JP2007215862A - ゴルフボールおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カバー成形時に発生するランナーを効率的に再利用できるとともに、耐擦過傷性、および、コントロール性に優れるゴルフボールの製造方法およびゴルフボールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のゴルフボールの製造方法は、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを配合してカバー用組成物を得る工程、および、得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形する工程を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴルフボールおよびその製造方法に関するものであり、より詳細には、ウレタンカバーを有するゴルフボールの耐擦過傷性およびコントロール性の改良、さらには、カバー成形時に発生するランナーの再利用を可能にするウレタンカバーを有するゴルフボールおよびその製造方法に関するものである。
ゴルフボールのカバーを構成する基材樹脂としては、アイオノマー樹脂やポリウレタンが使用されている。アイオノマー樹脂を使用したカバーは、反発性や耐久性、加工性などに優れることから、広く使用されているが、高い剛性と硬度を有するために打球感が悪く、また、スピン性能も十分なものが得られずコントロール性が劣るなどの問題が指摘されている。一方、アイオノマー樹脂に比べて打球感やスピン特性が向上することから、カバーを構成する基材樹脂として、ポリウレタンが使用されている。例えば、特許文献1〜3には、熱硬化性ポリウレタンを、特許文献4および5には、熱可塑性ポリウレタンをカバーに使用することが開示されている。しかしながら、熱硬化性ポリウレタンをカバーに使用すると、耐擦過傷性に優れるゴルフボールを得ることはできるが、ゴルフボールの製造工程が複雑化する。また、熱可塑性ポリウレタンをカバーに使用したゴルフボールは、熱硬化性ポリウレタンを使用した場合に比べて、耐擦過傷性、打球感や反発性などが十分でない。
熱可塑性ポリウレタンを使用したカバーの耐擦過傷性を改良するものとして、例えば、特許文献6および7がある。特許文献6には、ソリッドコアと該ソリッドコアにカバーを被覆してなるソリッドゴルフボールにおいて、上記カバーを形成する樹脂成分が、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとブロックドイソシアネートとの反応生成物を主成分としてなることを特徴とするゴルフボールが開示されている。また、特許文献7には、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(X)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物を、イソシアネート基と実質的に反応しうる熱可塑性高分子材料に添加して架橋することにより、得られるカバーを改質することが開示されている。
しかしながら、特許文献6に開示されているようにブロックドイソシアネートを使用する方法では、成形時に解離したブロック剤がガス化するという問題がある。また、特許文献7に開示されている方法でも、アイアン打撃時の耐擦過傷性は充分ではなかった。
特開昭51−74726号公報 特許第2662909号公報 米国特許第4,123,061号公報 米国特許第3,395,109号公報 米国特許第4,248,432号公報 特開平11−178949号公報 特開2002−336379号公報
上述したように、熱可塑性ポリウレタンを使用するウレタンカバーは、耐擦過傷性が低くなりがちである。一方、耐擦過傷性を向上させるために、架橋剤を配合して架橋度を高めてしまうと、スピン量が低下してコントロール性が低下する場合がある。また、熱可塑性ポリウレタンを使用するウレタンカバーを有するゴルフボールを具体的に生産していくためには、カバー成形時に発生するランナー(成形時の副産物)を効率的に再利用する必要がある。しかしながら、耐擦過傷性を高めるために、カバーを構成する熱可塑性ポリウレタンの架橋度を高くし過ぎると、ランナーを再利用できないという問題点がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カバー成形時に発生するランナーを効率的に再利用できるとともに、耐擦過傷性、および、コントロール性に優れるゴルフボールの製造方法およびゴルフボールを提供することを目的とする。
上記課題を解決することのできたゴルフボールの製造方法は、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを配合してカバー用組成物を得る工程、および、得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形する工程を含むことを特徴とする。
上記課題を解決することのできた本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーは、基材樹脂成分として、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを含有するカバー用組成物により形成されていることを特徴とする。
すなわち、本発明では、カバー成形時に、ポリイソシアネート(b−1)とカルボジイミド化合物(c−1)とが反応して、ウレトンイミン結合を形成するとともに、ポリイソシアネート(b−1)が熱可塑性ポリウレタン(A)中のウレタン結合や尿素結合と反応して架橋構造を形成しているものと考えられる。特に、ポリイソシアネート(b−1)とカルボジイミド化合物(c−1)とを併用することによって、ポリイソシアネート(b−1)のみを用いて架橋した場合に比べて、得られるゴルフボールの耐擦過傷性が向上する。また、カバー成形時に発生したランナーには、ポリイソシアネート(b−1)が熱可塑性ポリウレタン中のウレタン結合や尿素結合と反応して形成される架橋構造(アロハネート架橋やビュレット架橋)が存在するが、これらの架橋構造は、約120〜130℃程度で解離するために、ランナーを加熱して再利用することが可能になる。
本発明によれば、得られるゴルフボールの耐擦過傷性、コントロール性が向上するとともに、ゴルフボールの成形時に発生するランナーを再利用することができる。
本発明のゴルフボールの製造方法は、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを配合してカバー用組成物を得る工程、および、得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形する工程を含むことを特徴とする。以下、本発明について詳細に説明する。
(A)熱可塑性ポリウレタンについて
本発明で使用する熱可塑性ポリウレタンは、分子内にポリウレタン結合を複数有し熱可塑性を示すものであれば、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させることによって、ウレタン結合が分子内に形成された生成物であり、必要に応じて、さらに低分子量のポリオールやポリアミンなどにより鎖長延長反応させることにより得られものである。
前記熱可塑性ポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種、または、2種以上の混合物などである。
耐擦過傷性を向上するという観点からは、熱可塑性ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、熱可塑性ポリウレタンのポリイソシアネート成分として、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、HXDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られるからである。
前記熱可塑性ポリウレタンを構成するポリオール成分としては、ヒドロキシル基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオールなどを挙げることができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのテトラオールまたはヘキサオールなどをが挙げられる。高分子量のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジぺート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)のようなラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;及びアクリルポリオールなどが挙げられ、上述したポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。
高分子量のポリオールの平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、400以上であることが好ましく、より好ましくは1,000以上である。高分子量ポリオールの平均分子量が小さくなりすぎると、得られるポリウレタンが硬くなり、ゴルフボールの打球感が低下するからである。高分子量ポリオールの平均分子量の上限は、特に限定されるものではないが、10,000以下、より好ましくは8,000以下である。
また、必要に応じて前記熱可塑性ポリウレタンを構成するポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基を有するものであれば特に限定されない。前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族系ポリアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式系ポリアミン、及び、芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
前記芳香族ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合しているものであれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えば低級アルキレン基を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミンでもよい。
前記単環式芳香族ポリアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。また、前記多環式芳香族ポリアミンとしては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリ(アミノベンゼン)でもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介在して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、4,4'−ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体が特に好ましい。
前記熱可塑性ポリウレタンの構成態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分と低分子量ポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分と低分子量ポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様などを挙げることができる。
(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物について
前記ポリイソシアネート(b−1)としては、分子内にイソシアネート基を2つ以上有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(HXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種、または、2種以上の混合物などである。また、上記ポリ(ジ)イソシアネートのイソシアヌレート変性体、アダクト体(アロハネート変性体、ビュレット変性体)などを用いても良い。
前記イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アオノマー樹脂のほか、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性ポリスチレンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタン(A)との相溶性に優れるからである。
前記ポリイソシアネート混合物として、前記熱可塑性樹脂(b−2)100質量部に対して、前記ポリイソシアネート(b−1)を5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、100質量部以下、より好ましくは60質量部以下含有するものを使用することが好ましい。前記ポリイソシアネート(b−1)が上記範囲外の場合には、十分な架橋構造が得られなかったり、架橋密度が増えすぎて熱可塑性が損なわれる場合があるからである。
(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物について
前記カルボジイミド化合物(c−1)としては、カルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジメチルカルボジイミド、N,N’−ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩、N−t−ブチル−N’−イソプロピルカルボジイミド、N,N’−ジフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−t−ブチルカルボジイミド、N,N’−ジ−β−ナフチルカルボジイミドなどを例示することができ、好ましくは、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドなどである。また、ジイソシアネートを脱炭酸することにより、イソシアネート基とカルボジイミド基とを有する化合物が得られるが、斯かる化合物は(b−1)のポリイソシアネートとして取扱う。
前記カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂のほか、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリスチレンエラストマー等が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性ポリスチレンエラストマーが好ましい。熱可塑性ポリウレタン(A)との相溶性に優れるからである。
前記カルボジイミド混合物として、前記熱可塑性樹脂(c−2)100質量部に対して、前記カルボイジミド化合物(c−1)を5質量部以上、15質量部以上、100質量部以下、60質量部以下含有するものを使用することが望ましい。カルボジイミド化合物(c−1)の含有量が、上記範囲外であると、十分な架橋構造が得られなかったり、架橋密度が増えすぎて熱可塑性が損なわれる場合があるからである。
ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させる方法、カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させる方法は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂(b−2、c−2)とこれらの化合物(b−1、c−1)とを温度が130℃〜250℃のミキシングロールやバンバリーミキサーなどで混練して、ペレット化また冷却後粉砕することにより得ることができる。イソシアネート混合物(B)の具体例としては、大日精化工業(株)製クロネートEM30(MDI含有率30質量%)を挙げることができる。
本発明で使用するカバー用組成物は、上述した樹脂成分等の他、酸化チタンや青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、得られるカバーの耐久性が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボールの製造方法では、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部(好ましくは2〜35質量部、より好ましくは5〜30質量部)と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部(好ましくは2〜50質量部、より好ましくは5〜40質量部)とを配合してカバー用組成物を得る。また、得られるカバーの樹脂成分中のポリシソアネート(b−1)とカルボジイミド化合物(c−1)の合計含有率を、1質量%以上10質量%以下とするように配合することが好ましい態様である。得られるカバーの樹脂成分中のポリシソアネート(b−1)とカルボジイミド化合物(c−1)の合計含有率が、1質量%以上10質量%以下になるように配合することによって、カバーを構成する樹脂成分の架橋度を調整することができ、カバー成形時に発生するランナーを容易に再利用することが可能になる。
(A)熱可塑性ポリウレタンと(B)ポリイソシアネート混合物と(C)カルボジイミド混合物の配合は、例えば、ペレット状の原料を配合できる混合機を用いるのが好ましく、より好ましくはタンブラー型混合機を用いる。カバー用組成物を配合する態様としては、例えば、カバー成形前には、(B)ポリイソシアネート混合物と(C)カルボジイミド混合物との反応を抑制するように配合する態様であれば、特に限定されない。例えば、(A)熱可塑性ポリウレタンのペレット100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート混合物のペレット1〜40質量部と(C)カルボジイミド混合物のペレット1〜50質量部と、さらに必要に応じて、酸化チタンなどのカバー用添加剤とをドライブレンドする態様;(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に、酸化チタンなどのカバー用添加剤を混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、前記白ペレットと(B)ポリイソシアネート混合物のペレット1〜40質量部と(C)カルボジイミド混合物のペレット1〜50質量部とをドライブレンドする態様;(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部と(B)ポリイソシアネート混合物1〜40質量部と、酸化チタンなどのカバー用添加剤とを混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、前記白ペレットと(C)カルボジイミド混合物のペレット1〜50質量部とをドライブレンドする態様;(C)カルボジイミド混合物1〜50質量部と、酸化チタンなどのカバー用添加剤とを混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、前記白ペレットと、(A)熱可塑性ポリウレタンのペレット100質量部と、(B)ポリイソシアネート混合物のペレット1〜40質量部とをドライブレンドする態様;(C)カルボジイミド混合物1〜50質量部と、酸化チタンなどのカバー用添加剤とを混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、一方で、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部と(B)ポリイソシアネート混合物1〜40質量部とを混合し、押出して、予め透明ペレットを調製し、前記白ペレットと透明ペレットとをドライブレンドする態様;および、(B)ポリイソシアネート混合物1〜40質量部と、酸化チタンなどのカバー用添加剤とを混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、前記白ペレットと(A)熱可塑性ポリウレタンのペレット100質量部と、(C)カルボジイミド混合物のペレット1〜50質量部とをドライブレンドする態様などを挙げることができ、好ましくは(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部と(B)ポリイソシアネート混合物1〜40質量部と、酸化チタンなどのカバー用添加剤とを混合し、押出して、予め白ペレットを調製し、前記白ペレットと(C)カルボジイミド混合物のペレット1〜50質量部とをドライブレンドする態様である。
得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、配合されたカバー用組成物をコア上に直接射出成形することが好ましい態様である。カバー用組成物をコア上に射出成形してカバーを成形する場合、カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ディンプル付きで、ディンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、上記ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、加熱溶融されたカバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、980KPa〜1,500KPaの圧力で型締めした金型内に、150℃〜230℃に加熱溶融したカバー用組成物を0.1秒〜1秒で注入し、15秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、ペイント層やマークを形成することもできる。本発明では、カバーを成形する際に発生するランナー(成形時の副産物)を再利用(再度成形)することができる。
本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、上述したカバー用組成物により形成されているものであれば、特に限定されず、例えば、コアと前記コアを被覆するカバーとからなるツーピースゴルフボール、センターと前記センターを被覆する中間層とを有するコア、および、前記コアを被覆するカバーとからなるスリーピースゴルフボール、少なくとも4層以上の構造を有するマルチピースゴルフボール、或いは、糸巻きゴルフボールを挙げることができる。
本発明のゴルフボールのカバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で25D以上であり、より好ましくは28D以上であり、さらに好ましくは31D以上であって、50D以下、より好ましくは46D以下であり、さらに好ましくは42D以下であることが望ましい。カバーのスラブ硬度を25D以上とすることによって、得られるカバーの耐擦過傷性が向上する。一方、スラブ硬度を50D以下とすることによって、ゴルフボール打撃時の打球感が向上する。ここで、カバーのスラブ硬度とは、カバー用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。また、前記カバーのスラブ硬度は、上述した熱可塑性ポリウレタン(A)の骨格成分、架橋度および充填材の含有量などを適宜選択することによって、調整することができる。
本発明において、ゴルフボールのカバーの厚みは、1.6mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましく、0.5mm以下がさらに好ましい。1.6mm以下とすることによって、反発性の低下を防ぐことができるからである。カバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0.1mmである。0.1mm未満では、カバーの成形が困難になる虞があるからである。
本発明のゴルフボールにおけるコアまたはセンターについて説明する。前記コアまたはセンターには、従来より公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を採用することができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤および充填剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤としては、有機過酸化物を好適に使用できる。前記有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。有機過酸化物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上、より好ましくは0.4質量部以上であって、5質量部以下、より好ましくは3質量部以下であることが望ましい。0.3質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、5質量部を超えると、硬くなりすぎて、打球感が低下するからである。
前記共架橋剤としては、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩を使用できる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。前記α,β−不飽和カルボン酸又はその金属塩として好ましいのは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛である。
前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であって、55質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは48質量部以下であることが望ましい。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために有機過酸化物の使用量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が55質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下する虞がある。
前記充填剤は、ゴルフボールのコアに通常配合されるものであればよく、無機塩(具体的には、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、高比重金属粉末(例えば、タングステン粉末、モリブデン粉末等)およびそれらの混合物が挙げられる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100重量部に対して、0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上であって、30質量部以下、好ましくは20質量部以下であることが望ましい。0.5質量部未満では、比重調整が困難になり適正な重量が得られなくなり、30質量部を超えるとコア全体に占めるゴム分率が小さくなって反発性が低下するからである。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、有機過酸化物、及び、充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、又は、しゃく解剤等を適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。ジフェニルジスルフィド類の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド等のモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド等のジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド等のトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド等のテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィド等のペンタ置換体等が挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130〜200℃で10〜60分間加熱するか、あるいは130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間と2段階加熱することが好ましい。
本発明のゴルフボールに使用するコアは、直径39.5mm以上、好ましくは40.9mm以上、より好ましくは41.7mm以上で、42.5mm以下、好ましくは42.4mm以下、より好ましくは42.3mm以下とするのが好ましい。コアの直径が上記下限に満たない場合には、カバーが厚くなり過ぎて反発性が低下し、一方コアの直径が上記上限を超える場合には、カバーの厚さが薄くなりすぎるため、カバーの成形が困難になるからである。
前記コアとしては、表面硬度が中心硬度より大きいもの(コアが多層コアの場合は、最外層の表面硬度がセンターの中心硬度よりも大きいもの)を使用することも好ましい態様である。コアの表面硬度を中心硬度より大きくすることで、打出角が高くなり、スピン量が低くなって飛距離が向上する。この観点から本発明のゴルフボールに使用するコアの表面と中心との硬度差は、20以上が好ましく、25以上がより好ましく、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。硬度差が前記下限に満たない場合は、高打出角化および低スピン量を達成し難いため飛距離が低下する傾向にある。また、打撃時の衝撃力が大きくなるためソフトで良好な打球感が得られ難い。一方、硬度差が上記上限を超える場合には耐久性が低下する傾向にある。
前記コアの中心硬度は、ショアD硬度で30D以上、好ましくは32D以上、より好ましくは35D以上であり、50D以下、好ましくは48D以下、より好ましくは45D以下であることが望ましい。中心硬度が上記下限より小さいと、柔らかくなり過ぎて反発性が低下する傾向があり、上記上限を超えると、硬くなりすぎて打球感の低下や、打出角の低下が発生し、またスピン量も大きくなって飛行性能が低下する。なお、本発明において、コアの中心硬度とは、コアを2等分に切断して、その切断面の中心点についてスプリング式硬度計ショアD型で測定した硬度を意味する。
前記コアの表面硬度は、ショアD硬度で45D以上、好ましくは50D以上、より好ましくは55D以上であり、65D以下、好ましくは62D以下、より好ましくは60D以下である。表面硬度が上記下限より小さいと、柔らかくなり過ぎて反発性の低下や打出角の低下が生じたり、スピン量が大きくなって飛行性能が低下する場合がある。表面硬度が上記上限より大きいと、硬くなりすぎて打球感が低下する場合がある。なお、本発明においてコアの表面硬度とは、得られた球状コアの表面においてスプリング式硬度計ショアD型で測定した硬度を意味する。また、コアが多層構造である場合は、コアの表面硬度とは、コアの最外層の表面の硬度を意味する。
本発明のゴルフボールが、スリーピースゴルフボールやマルチピースゴルフボールである場合には、中間層としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ナイロン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;ポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等の熱可塑性エラストマーなどが挙げられ、アイオノマー樹脂が好適である。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等から好ましく用いられる。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているハイミラン(Himilan)1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM7311(Mg)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)等が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、サーリン(Surlyn)8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)等が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、アイオテック(Iotek)8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)等が挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)等が挙げられる。前記アイオノマー樹脂は、例示のものをそれぞれ単独または2種以上の混合物として用いてもよい。前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、K、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
前記中間層には、上記樹脂成分に加えてさらに、硫酸バリウム、タングステン等の比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボールの場合、コアとして糸巻きコアを用いれば良い。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤等を配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)耐擦過傷性
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットに市販のサンドウェッジを取り付け、ヘッドスピード36m/秒でボールの2箇所を各1回打撃し、打撃部を観察して、下記評価基準に基づいて、5段階で評価した。
評価基準
5点:傷がついていないか、ほとんど傷が目立たない。
4点:やや傷が見られるものの、ほとんど気にならない。
3点:表面がやや毛羽立っている。
2点:表面が毛羽立ったり、ディンプルが欠けたりしている。
1点:ディンプルが完全に削り取られてしまっている。
(2)カバーのスラブ硬度(ショアD硬度)
カバー用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板等の影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(3)コントロール性:スピン性能(rpm)
ゴルフラボラトリー社製のスイングロボットにアイアン#9を取り付け、ヘッドスピード32m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによって求めた。ゴルフボールNo.5のスピン量を100として、指数化した値で示した。
(4)ランナーのリサイクル性
カバー成形時に発生するランナーを粉砕したものを、バージン樹脂を使用する成型条件で成形できるかどうかを調べた。
評価基準:
○:リサイクル成形ができた。
×:リサイクル成形ができなかった。
[ゴルフボールの作製]
(1)センターの作製
表1に示す配合のセンター用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃で15分間加熱プレスすることにより直径38.7mm、質量34.0gの球状のセンターを得た。
Figure 2007215862
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製のBR730(ハイシスポリブタジエン)
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製のZNDA−90S
酸化亜鉛:東邦亜鉛製の銀嶺R
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製のパークミルD
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
(2)中間層用組成物の配合
次に、表2に示した配合の中間層材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。
Figure 2007215862
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル(株)製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン1706:三井デュポンポリケミカル(株)製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
得られた中間層用組成物を上述のようにして得られたセンター上に射出成形して、センターと前記センターを被覆する中間層(厚み1mm)とを有するコアを作製した。
(3)カバー用組成物の調製およびゴルフボール本体の作製
次に、表3に示した(A)熱可塑性ポリウレタンのペレット(B)ポリイソシアネート混合物のペレット(C)カルボジイミド混合物のペレット、および、カバー用添加剤(酸化チタン、ウルトラマリンブルー)をタンブラー型混合機を用いてドライブレンドしてカバー用組成物を調製した。続いて、得られたカバー用組成物を中間層上に直接射出成形することにより、前記中間層を被覆するカバー(厚み1mm)を作製した。カバー成形用上下金型は、半球状キャビティを有し、ディンプル付きで、ディンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねている。上記ホールドピンを突き出し、コアを投入後ホールドさせ、80トンの圧力で型締めした金型に210℃に加熱した樹脂を0.3秒で注入し、30秒間冷却して型開きしてゴルフボールを取り出した。得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理をして、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.4gのゴルフボールを得た。
得られたゴルフボールの耐擦過傷性、コントロール性(スピン性能)、及び、ランナーのリサイクル性について評価した結果を併せて表3に示した。
Figure 2007215862
熱可塑性ポリウレタン1:BASFジャパン社製エラストランET885(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/ポリオキシテトラメチレングリコール/1,4−ブタンジオール系ポリウレタン、ショアD硬度32D)
熱可塑性ポリウレタン2:BASFジャパン社製エラストラン1195ATR(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート/ポリオキシテトラメチレングリコール/1,4−ブタンジオール系ポリウレタン、ショアD硬度43D)
ポリイソシアネート混合物(B):大日精化株式会社製クロスネートEM−30(熱可塑性ポリエステル樹脂にMDIを分散させたもの、MDI含有量30質量%)
カルボジイミド混合物1(C):BASFジャパン社製熱可塑性ポリウレタン(XNY90A)100質量部に対して、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミドを20質量部分散させたもの
カルボジイミド混合物2(C):BASFジャパン社製熱可塑性ポリウレタン(XNY90A)100質量部に対して、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドを40質量部分散させたもの
表3中、ゴルフボールNo.1〜No.5は、(A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、(B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と(C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させた(C)カルボジイミド混合物1〜50質量部とを配合してカバー用組成物を得、得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形した場合である。スピン量が高く、かつ、耐擦過傷性が向上していることが分かる。また、カバー成形時に発生したランナーのリサイクル性について調べたところ、いずれもバージン樹脂を成形するのと同じ条件で成形することができた。
ゴルフボールNo.6は、カバー用組成物として、(A)熱可塑性ポリウレタンに(B)のイソシアネート混合物のみを配合した場合であるが、耐擦過傷性が低いことが分かる。一方、ゴルフボールNo.7およびNo.9は、カバー用組成物として、(A)熱可塑性ポリウレタンに(B)のイソシアネート混合物と(C)のカルボジイミド混合物とを配合した場合であるが、スピン量が低く、かつ、カバー成形時に発生したランナーをリサイクルすることができなかった。これは、ポリイソシアネート混合物とカルボジイミド混合物の配合量が、熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、過剰であるためだと考えられる。ゴルフボールNo.8は、カバー用組成物として、(A)熱可塑性ポリウレタンに(B)のイソシアネート混合物と(C)のカルボジイミド混合物とを配合した場合であるが、ポリイソシアネート混合物とカルボジイミド混合物の配合量が少なすぎたために、耐擦過傷性が向上しなかった。
本発明は、耐擦過傷性、コントロール性に優れるゴルフボールおよびその製造方法として好適である。

Claims (6)

  1. (A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、
    (B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と
    (C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを配合してカバー用組成物を得る工程、および、
    得られたカバー用組成物を用いてカバーを成形する工程を含むことを特徴とするゴルフボールの製造方法。
  2. 前記ポリイソシアネート混合物として、前記熱可塑性樹脂(b−2)100質量部に対して、前記ポリイソシアネート(b−1)を5〜100質量部含有するものを使用する請求項1に記載のゴルフボールの製造方法。
  3. 前記カルボジイミド混合物として、前記熱可塑性樹脂(c−2)100質量部に対して、前記カルボイジミド化合物(c−1)を5〜100質量部含有するものを使用する請求項1または2に記載のゴルフボールの製造方法。
  4. コアとカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記カバーは、基材樹脂成分として、
    (A)熱可塑性ポリウレタン100質量部に対して、
    (B)ポリイソシアネート(b−1)を、イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたポリイソシアネート混合物1〜40質量部と
    (C)カルボジイミド化合物(c−1)を、カルボジイミド基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂(c−2)中に分散させたカルボジイミド混合物1〜50質量部とを含有するカバー用組成物により形成されていることを特徴とするゴルフボール。
  5. 前記ポリイソシアネート混合物は、前記熱可塑性樹脂(b−2)100質量部に対して、前記ポリイソシアネート(b−1)を5〜100質量部含有するものである請求項4に記載のゴルフボール。
  6. 前記カルボジイミド混合物は、前記熱可塑性樹脂(c−2)100質量部に対して、前記カルボイジミド化合物(c−1)を5〜100質量部含有するものである請求項4または5に記載のゴルフボール。
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