JP2011010778A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールについて、耐擦過傷性をより向上させる。
【解決手段】本発明のゴルフボールは、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、樹脂成分として、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とから構成され、構成成分として鎖長延長剤を含まないポリウレタンエラストマーを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールに関するものであり、より詳細には、ゴルフボールのカバーの耐擦過傷性を向上する技術に関するものである。
ゴルフボールのカバーを構成する基材樹脂として、アイオノマー樹脂やポリウレタン樹脂が使用されている。アイオノマー樹脂を使用したカバーは、反発性や耐久性、加工性などに優れることから広く使用されている。しかし、アイオノマー樹脂カバーは、高い剛性と硬度を有するために打球感が悪く、また、スピン性能も十分なものが得られず、コントロール性が劣るなどの問題が指摘されている。一方、アイオノマー樹脂に比べて打球感やスピン特性が向上することから、カバーを構成する基材樹脂として、ポリウレタン樹脂が使用されている。
ポリウレタン樹脂を用いたゴルフボールとして、例えば、特許文献1には、側鎖アルキル基を有する高分子ポリオール(A1)を含有する数平均分子量500〜10,000の高分子ポリオール(A)、有機ジイソシアネート(B)、分子量500未満の鎖長延長剤(C)を反応させて得られ、側鎖アルキル基含有量と重量平均分子量が所定量に調整された熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いたゴルフボールが開示されている(特許文献1、請求項4、段落0039)。
特許文献2には、有機ポリイソシアネート化合物と長鎖ポリオールおよび鎖長延長剤とのポリウレタン形成反応により得られる熱可塑性ポリウレタンを主材としたカバー材にてカバーが形成されたゴルフボールであって、上記長鎖ポリオールが、数平均分子量400〜4000の共重合ポリカーボネートポリオールを含み、上記熱可塑性ポリウレタンのDMF溶液中およびn−ブチルアミン0.05モル/LのDMF溶液中における対数粘度が所定範囲内であることを特徴とするゴルフボールが開示されている(特許文献2、請求項1、段落0029)。
特許文献3には、高分子ジオール化合物と単分子鎖長延長剤とジイソシアネートから形成されるポリウレタンの主鎖の末端に存在するイソシアネート基と、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体系樹脂のカルボキシル基と、がアミド結合を形成することで生成した反応物を、カバーが含有することを特徴とするゴルフボールが開示されている(特許文献3、請求項3、段落0035)。
特開2004−97581号公報 特開2007−90096号公報 特開2008−149059号公報
しかしながら、近年、ゴルフボールのカバーの厚みを薄くしたり(薄カバー化)、ゴルフクラブの進化(高反発化、低スピン化、フェースの溝形状の変化)にともなって、ゴルフボールのカバー性能を一層向上させることが求められ、従来のポリウレタン樹脂を使用したカバーの耐擦過傷性は満足できるレベルではなくなってきている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールについて、耐擦過傷性をより向上することを課題とする。また、本発明の好ましい態様ではカバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールについて、打球感をより向上することをさらなる課題とする。
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、樹脂成分として、ポリウレタンエラストマーを含有し、前記ポリウレタンエラストマーが構成成分に、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含み、かつ、鎖長延長剤を含まないことを特徴とする。
鎖長延長剤を含まないポリウレタンエラストマーは、各分子鎖が、分子鎖全体にわたって弱い水素結合により隣接する分子鎖と連結されている。そのため、比較的大きな応力が加えられないと変形が開始されず、また、ハードセグメントのように強い水素結合を形成する部分が存在しないため、変形量が大きくなっても分子鎖のずれに対する抵抗力は一定である。このようなポリウレタンエラストマーをカバーの樹脂成分に用いると、ゴルフクラブによる打撃のような高速衝撃に対する耐久性が向上し、耐擦過傷性が向上すると考えられる。
前記ポリオール成分として、主鎖にカーボネート基、環状構造および不飽和結合よりなる群から選択される少なくとも1種を有する硬質ポリオールと、主鎖にカーボネート基、環状構造および不飽和結合のいずれも有さない軟質ポリオールとを含有することが好ましい。
前記硬質ポリオールはポリカーボネートポリオール、前記軟質ポリオールはポリエーテルポリオールが好適である。また、前記硬質ポリオールは下記式(1)で示される化合物、前記軟質ポリオールは下記式(2)で示される化合物がより好適である。

[式(1)中、R1は主鎖に脂環式構造または芳香環構造を有する二価の炭化水素基を表し、nは自然数を表す]

[式(2)中、R2は二価の飽和炭化水素基を表し、nは自然数を表す]
前記ポリウレタンエラストマーを構成する硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)は3/7〜7/3が好適であり、3/7〜5/5がより好適である。
前記ポリイソシアネート成分は、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、前記カバーのショアD硬度は、20以上50以下が好ましく、前記カバーの厚みは0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。
本発明によれば、カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールであって、耐擦過傷性に優れたゴルフボールが得られる。また、本発明の好ましい態様によれば、カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールであって、打球感に優れたゴルフボールが得られる。
鎖長延長剤を含まないポリウレタンエラストマーを説明する模式図である。 鎖長延長剤を含むポリウレタン樹脂を説明する模式図である。
本発明は、コアと、前記コアを被覆するポリウレタンエラストマー含有カバーとを有するゴルフボールを対象とする。そして、本発明の特徴は、前記ポリウレタンエラストマーが構成成分に、ポリオール成分(例えば、高分子量ポリオール)と、ポリイソシアネート成分を含み、かつ、鎖長延長剤を実質的に含まない点にある。
すなわち、前記ポリウレタンエラストマーは、構成成分として鎖長延長剤を含まず、分子内にウレタン結合を複数有するものであればよく、例えば、高分子量ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることによって、ウレタン結合が分子内に形成された生成物が挙げられる。
鎖長延長剤を実質的に含まないポリウレタンエラストマーによって、ゴルフボールの耐擦過傷性が向上する理由は必ずしも明らかでないが、以下のように考えられる。
すなわち、図2に示すように、構成成分として鎖長延長剤成分を含むポリウレタン2では、分子鎖中に高分子量ポリオール成分からなるソフトセグメント2aと、ポリイソシアネート成分と鎖長延長剤成分とからなるハードセグメント2bとを有する。この場合、樹脂中には、ハードセグメント同士が強固な水素結合により連結した部分と、ソフトセグメントが絡み合った部分が存在する。このようなポリウレタン樹脂に外力が加えられると、ソフトセグメントが絡み合った部分は分子鎖が容易にずれることができるため、比較的小さな応力で変形が開始する。そして、変形量が大きくなりソフトセグメントがほぼ限界までずれた後、ハードセグメントの水素結合が切れ始める、すなわち抵抗力が最も大きくなる。従って、クリープ変形の場合には、ポリウレタン樹脂の性能を充分に発揮できる。しかし、このようにハードセグメントを有するポリウレタン樹脂では、ゴルフクラブによる打撃のような高速衝撃に対しては、ハードセグメント部分の分子鎖はずれにくいため、ハードセグメントの水素結合が切れる前に分子鎖の破断が生じてしまう。そのため、ハードセグメントが起点となって擦過傷が発生しやすいと考えられる。
これに対して、図1に示すように、鎖長延長剤を含まないポリウレタンエラストマー1では、分子鎖中にソフトセグメントやハードセグメントは存在せず、いわゆるセグメントフリーとなり、各分子鎖は、分子鎖全体にわたって弱い水素結合により隣接する分子鎖と連結される。このようなポリウレタンエラストマーに外力が加えられると、分子鎖全体が弱い水素結合により連結されているため、比較的大きな応力が加えられないと変形は開始されない。また、徐々に変形量が大きくなる場合にも、分子鎖中にハードセグメントのように強い水素結合を形成する部分が存在せず、分子鎖のずれに対する抵抗力はほぼ一定であるため、分子鎖が破断するまで比較的大きな抵抗力を維持することができる。このような、セグメントフリーのポリウレタンエラストマーでは、ゴルフクラブによる打撃のような高速衝撃に対しても分子鎖全体がずれやすく、分子鎖全体にわたる弱い水素結合の切断にエネルギーが消費される。そのため、分子鎖が断裂しにくくなり、耐擦過傷性が向上すると考えられる。
上述したように、本発明のポリウレタンエラストマーは、構成成分として鎖長延長剤を実質的に含まず、セグメントフリーになっていることを特徴とする。ここで、鎖長延長剤とは、分子量300以下の低分子量ポリオール、分子量300以下の低分子量ポリアミンである。
前記鎖長延長剤用の低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール(例:1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなど)、ジプロピレングリコール、ブタンジオール(例:1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオールなど)、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、1,6−シクロへキサンジメチロール、アニリン系ジオール、ビスフェノール系ジオール(ビスフェノールA系ジオールなど)などのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのテトラオールまたはヘキサオールなどが挙げられる。前記低分子量ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
なお、本発明では、ポリウレタンエラストマー中の鎖長延長剤の含有量が下記の場合、鎖長延長剤を含まないとして評価する。鎖長延長剤の含有量が下記の場合には、セグメントフリー化による耐擦過傷性向上効果を損なわないためである。ポリウレタンエラストマー中の鎖長延長剤の含有量は、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
なお、合成後のポリウレタンエラストマーが構成成分として鎖長延長剤を含むかどうかは、例えば、以下のようにして測定することができる。すなわち、ポリウレタンエラストマーを、n−ブチルアミンのDMF溶液で処理したり、あるいは、熱処理したりすることによって、ポリウレタンエラストマー中のウレタン結合を切断した後、被処理物を、ガスクロマトグラフィーなどにより分析することで確認することができる。前記n−ブチルアミンのDMF溶液の濃度としては、0.01mol/l〜0.25mol/lが好ましく、0.05mol/lのDMF溶液がより好ましい。前記熱処理としては、例えば、130℃〜150℃で2時間〜4時間程度熱処理することが好ましい。
前記ポリウレタンエラストマーを構成するポリオール成分としては、前記鎖長延長剤と異なるポリオールであれば特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール;ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールなどのポリカーボネートポリオール;アクリルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;などの高分子量ポリオールが挙げられ、上述した高分子量ポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。
前記高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、400以上が好ましく、より好ましくは1,000以上である。また、前記高分子量ポリオールの数平均分子量は、例えば、10,000以下が好ましく、より好ましくは8,000以下である。前記高分子量ポリオールの数平均分子量が上記範囲内であれば、ポリウレタン分子鎖の剛性をより高度に調節することができ、耐擦過傷性および打球感をより向上させることができる。なお、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとしてTSK−GEL SUPERH2500(東ソー株式会社製)2本を用いて測定すればよい。
また、高分子量ポリオールの水酸基価は、500mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは250mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下である。なお、高分子量ポリオールの水酸基価は、JIS K 1557−1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
前記ポリウレタンエラストマーを構成するポリオール成分(高分子量ポリオールなど)は、分子鎖の剛性に対する影響が異なる2種以上のポリオール(例えば、硬質ポリオール、軟質ポリオールなど)を含有することが好ましい。ポリオール成分として2種以上のポリオールを併用することで、ポリウレタン分子鎖の剛性を容易に調節することができ、分子鎖のずれに対する抵抗力を調節することができる。そのため、得られるゴルフボールの耐擦過傷性や打球感をより高度に制御できる。
前記硬質ポリオールとしては、分子運動性を低下させる基または構造、例えば、カーボネート基;脂環式構造や芳香環構造などの環状構造;炭素−炭素二重結合、炭素−炭素三重結合などの不飽和結合;の1種または2種以上を主鎖に有するポリオールが使用できる。
前記カーボネート基を有するポリオールには、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオールなどのポリ(アルキレンカーボネート)ジオール;などが挙げられる。脂環式構造を有するポリオールには、1,6−シクロへキサンジメチロールなどのシクロへキシル基を有するポリオール;などが挙げられる。芳香環構造を有するポリオールには、ビスフェノール系ジオール(得にビスフェノールA系ジオール)などのフェニレン基を有するポリオール;などが挙げられる。不飽和結合を有するポリオールには、ポリブタジエングリコールなどの炭素−炭素二重結合を有するポリオール;などが挙げられる。
硬質ポリオールとしては、カーボネート基を主鎖に有するポリカーボネートポリオールが好ましく、カーボネート基と環状構造とを主鎖に有するポリカーボネートポリオールが特に好ましい。カーボネート基と環状構造とを主鎖に有するポリカーボネートポリオールは、例えば、下記式(1)で示すことができる。

[式(1)中、R1は主鎖に脂環式構造または芳香環構造を有する二価の炭化水素基を表し、nは自然数を表す]
上記式(1)中の主鎖に脂環式構造を有する二価の炭化水素基としては、例えば、1,4−シクロへキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジエタノール、1,1’‐ビシクロヘキサン‐4,4’‐ジオールなどのジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基を挙げることができる。これらの中でも脂環式構造がシクロへキシル基であり、炭素数6〜10の二価の炭化水素基が好ましい。
また、主鎖に芳香環構造を有する二価の炭化水素基としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基を挙げることができる。これらの中でも芳香環構造がフェニル基であり、炭素数12〜20の二価の炭化水素基が好ましい。
上記式(1)で表される化合物としては、例えば、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネート)グリコールなどが挙げられる。
一方、前記軟質ポリオールとしては、前記のような分子運動性を低下させる基または構造を有さないポリオールが使用できる。前記軟質ポリオールには、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリペンタメチレンエーテルグリコールなどのポリアルキレンエーテルポリオール;などが挙げられる。
前記軟質ポリオールとしては、ポリエーテルポリオールが好ましく、例えば、下記式(2)で示すことができる。

[式(2)中、R2は二価の飽和炭化水素基を表し、nは自然数を表す]
上記式(2)中の二価の飽和炭化水素基としては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖のジオールから2個の水酸基を除いた二価の残基;プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオールなどの側鎖基を有するジオールから2個の水酸基を除いた側鎖基を有する二価の残基を挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜6の二価の飽和炭化水素基が好ましく、特に、側鎖基を有する二価の飽和炭化水素基が好ましい。
上記式(2)で表される化合物としては、例えば、ポリオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。
硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)は3/7以上が好ましく、より好ましくは4/6以上であり、7/3以下が好ましく、より好ましくは6/4以下、さらに好ましくは5/5以下である。硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比を上記範囲内とすることにより、得られるゴルフボールの耐擦過傷性をより向上することができる。また、特に硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比を5/5以下とすることにより、得られるゴルフボールの打球感も向上させることができる。
前記ポリイソシアネート成分としては、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートなどのうちの1種、または、2種以上の混合物などである。
耐擦過傷性を向上するという観点からは、ポリウレタンエラストマーのポリイソシアネート成分として、MDIなどの芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、ポリウレタンエラストマーのポリイソシアネート成分として、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、H6XDI、IPDI、H12MDI、NBDIなど)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。
前記ポリウレタンエラストマーは、前記ポリオール成分、ポリイソシアネート成分を適宜組み合わせることにより作製できる。ポリウレタンの合成方法としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分などを一括に反応させるワンショット法を挙げることができる。
ワンショット法によりポリウレタンエラストマーを合成する場合、ポリオール成分とポリイソシアネート成分との仕込み比は、ポリオール成分の有する水酸基(OH)に対するポリイソシアネート成分の有するイソシアネート基(NCO)のモル比(NCO/OH)を1.00以上とすることが好ましく、より好ましくは1.02以上、さらに好ましくは1.04以上であり、1.10以下が好ましく、より好ましくは1.08以下、さらに好ましくは1.06以下である。
また、ウレタン化反応を行う際の温度は、70℃以上が好ましく、より好ましくは75℃以上であり、90℃以下が好ましく、より好ましくは85℃以下である。また、反応時間は10時間以上が好ましく、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは15時間以上であり、30時間以下が好ましく、より好ましくは25時間以下、さらに好ましくは20時間以下である。
ポリウレタンの合成には、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の触媒を使用できる。前記触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンなどのポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミンなどの環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒が好ましく、特に、ジブチルチンジラウレートが好適に使用される。
本発明のゴルフボールのカバーは、本発明の効果を損なわない程度に、樹脂成分として、前記ポリウレタンエラストマーに加えて、他の樹脂成分を含有することができる。なお、本発明のカバーに他の樹脂成分を含有させる場合には、全樹脂成分中のポリウレタンエラストマーの含有率は50質量%以上が好ましく、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。さらに、前記樹脂成分が、実質上、前記ポリウレタンエラストマーのみからなることも好ましい態様である。
前記他の樹脂成分としては、アイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはこれらの混合物などを挙げることができる。
前記金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性などから好ましく用いられる。前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステルなどが用いられる。
前記アイオノマー樹脂の具体例としては、三井・デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(登録商標)」など;デュポン(株)から市販されている「サーリン(登録商標)」、「HPF1000」、「HPF2000」など;エクソンモービル化学(株)から市販されている「アイオテック(登録商標)」などを挙げることができる。
前記熱可塑性エラストマーとしては、例えばアルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー;東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)」で市販され、また三菱化学(株)から商品名「プリマロイ(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリエステル系エラストマー;三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマー;三井・デュポンポリケミカル社から商品名「ニュクレル(登録商標)」で市販されているエチレン−メタクリル酸共重合体;ダウケミカル社から商品名「PRIMACOR(登録商標)」で市販されているエチレン−アクリル酸共重合体;BASFジャパン社から商品名「エラストラン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー;などが挙げられる。
本発明において、前記カバーは、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分;酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤;分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤などを、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
前記白色顔料の含有量は、カバーを構成する樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量が0.5質量部以上であれば、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部以下であれば、得られるカバーの耐久性がより良好となる。
本発明のゴルフボールのカバーは、樹脂成分として、上述したポリウレタンエラストマーを含有するカバー用組成物を用いて成形することにより作製される。カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から半球状のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力と、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆し、圧縮成形して一体化する方法を挙げることができる。一体化のための条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力と、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。上記成形条件とすることによって、均一なカバー厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
一方、カバー用組成物をコア上に直接射出成形してカバーを成形する場合、カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。上記ホールドピンを突き出した金型に、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形できる。この成形は、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、150℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
また、カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。さらに、カバーが形成されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが5μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上であり、25μm以下が好ましく、より好ましくは18μm以下である。膜厚が5μm未満では継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が25μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
前記カバーの厚みは、1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.6mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。カバーの厚みが1.0mm以下であれば、相対的にコアが大径化されることとなり、得られるゴルフボールの反発性が良好となる。カバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、例えば0.3mmである。カバーの厚みが0.3mm以上であれば、カバーの成形がより容易となる。なお、カバーの厚みとは、ディンプルが形成されていない部分、すなわち、ランドの直下におけるカバーの厚みを、少なくとも4点測定して得られる平均値である。
前記カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは23以上、さらに好ましくは25以上であり、50以下が好ましく、より好ましくは48以下、さらに好ましくは46以下である。カバー硬度が20以上であれば、ゴルフボールの反発性が向上し、飛距離がより向上する。また、カバー硬度が50以下であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより良好となる。ここで、カバーのスラブ硬度とは、カバー用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。
本発明のゴルフボールの構造は、コアと、このコアを被覆するカバーとを有するものであれば特に限定されず、種々のコアが採用できる。コアとしては、単層のコア;センターと前記センターを被覆する単層の中間層とからなる2層コア;センターと前記センターを被覆する複数片もしくは複数層(特に3以上の片もしくは層)の中間層とからなる多層コア;糸巻きコアなどを挙げられる。単層コア、2層コア、多層コアまたは糸巻きコアを用いたゴルフボールは、それぞれ、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボール、マルチピースゴルフボールまたは糸巻きゴルフボールと呼ばれる。いずれの場合であっても、本発明を好適に適用できる。好ましいコアは、単層コア、2層コア、多層コアである。
コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する箇所が生じるからである。一方、センターの形状としては、球状が一般的であるが、球状センターの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状センターの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状センターの表面にセンターと一体的に突条を設ける態様、あるいは、球状センターの表面に突条の中間層を設ける態様などを挙げることができる。
前記突条は、例えば、球状センターを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状センター表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られたそれぞれの凹部を、複数片の中間層によって別々に充填するようにして、コアの形状を球形とすることが好ましい。あるいは、単層の中間層によって、突条によって仕切られた全ての凹部を充填し、かつ突条を被覆することにより、コアの形状を球形とすることが好ましい。前記突条の縦断面形状は、特に限定されることなく、例えば、円弧状、あるいは、略円弧状(例えば、互いに交差あるいは直交する部分において切欠部を設けた形状)などを挙げることができる。
本発明のゴルフボールのコアまたはセンターには、従来公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、および、必要により充填剤を含むゴム組成物を採用することができ、この組成物を加熱プレスすることでコアやセンターを成形することができる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。架橋開始剤の配合量が0.2質量部以上であれば、コアが柔らかくなりすぎず反発性がより良好となり、3質量部以下であれば、共架橋剤の使用量を過剰にすることなく所望の硬度が得られるため、コアの反発性がより良好となる。
前記共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、または、これらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、例えば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムなどを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。前記共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、より好ましくは20質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは40質量部以下である。共架橋剤の使用量が10質量部以上であれば、架橋開始剤の使用量を過剰にすることなく所望の硬度が得られるため、コアの反発性がより良好となる。また、共架橋剤の使用量が50質量部以下であれば、コアが硬くなりすぎず打球感がより良好となる。
コア用ゴム組成物に含有される充填剤は、主として最終製品として得られるゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、より好ましくは3質量部以上であり、50質量部以下が好ましく、より好ましくは35質量部以下である。充填剤の配合量が2質量部以上であれば、比重調整がより容易となり、50質量部以下であれば、コア全体に占めるゴム成分の質量分率が大きくなりコアの反発性がより向上する。
前記コア用ゴム組成物には、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、しゃく解剤などを適宜配合できる。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドなどのモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドなどのテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドなどのペンタ置換体などが挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
前記老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成形条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃〜200℃で10分間〜60分間加熱するか、あるいは130℃〜150℃で20分間〜40分間加熱した後、160℃〜180℃で5分間〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
前記コアの直径は、39.0mm以上が好ましく、より好ましくは39.5mm以上、さらに好ましくは40.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、より好ましくは42.0mm以下、さらに好ましくは41.8mm以下である。コアの直径が39.0mm以上であれば、得られるゴルフボールの反発性がより向上する。また、コアの直径が42.2mm以下であれば、相対的にカバーが厚くなり、カバーによる保護効果がより向上する。
また、コアは、直径39.0mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が2.50mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.60mm以上であり、3.20mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.10mm以下である。前記圧縮変形量が2.50mm以上であれば、コアが硬くなりすぎずゴルフボールの打球感がより向上し、また、3.20mm以下であれば、柔らかくなりすぎずコアの反発性がより向上する。
前記コアとして、その中心と表面で硬度差を有するものを使用することも好ましい態様であり、JIS−C硬度による表面硬度と中心硬度との差は、10以上が好ましく、12以上がより好ましく、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。前記硬度差が10以上であれば打球感がより良好となり、40以下であれば耐久性がより良好となる。前記コアの表面硬度と中心硬度との差は、コアの加熱成形条件を適宜選択することによって調節できる。
なお、前記コアの表面硬度は、JIS−C硬度で、65以上が好ましく、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であり、85以下が好ましい。コア表面のJIS−C硬度が65以上であれば、柔らかくなり過ぎずコアの反発性がより良好となり飛距離がより向上し、また、JIS−C硬度が85以下であれば、硬くなり過ぎず打球感がより良好となる。
前記コアの中心硬度は、JIS−C硬度で、45以上が好ましく、より好ましくは50以上であり、70以下が好ましく、より好ましくは65以下である。前記コア中心のJIS−C硬度が45以上であれば、柔らかくなり過ぎず耐久性より良好となり、JIS−C硬度が70以下であれば、硬くなり過ぎず打球感がより良好となる。
本発明のゴルフボールのコアが、前記2層コアまたは多層コアの場合、前記センターの直径は、30mm以上が好ましく、より好ましくは32mm以上であり、41mm以下が好ましく、より好ましくは40.5mm以下である。前記センターの直径が30mm以上であれば、中間層またはカバー層の厚みが厚くなり過ぎず、その結果反発性がより良好となる。また、センターの直径が41mm以下であれば、中間層またはカバー層が薄くなり過ぎず、中間層またはカバー層の機能がより発揮される。
前記中間層を形成する樹脂成分としては、例えば、前記カバーの樹脂成分として例示したアイオノマー樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。また前記中間層には、前記樹脂成分に加えてさらに、硫酸バリウム、タングステン等の比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
前記中間層のスラブ硬度は、ショアD硬度で、50以上が好ましく、より好ましくは55以上、さらに好ましくは60以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは72以下、さらに好ましくは70以下である。中間層のスラブ硬度が、ショアD硬度で、50以上であれば、得られるゴルフボールの反発性が向上し、飛距離がより向上する。また、中間層のスラブ硬度が、ショアD硬度で、75以下であれば、優れた打球感が得られると共に、繰り返し打撃による耐久性の低下をより抑制することができる。ここで、中間層のスラブ硬度とは、中間層用組成物をシート状に成形して測定した硬度であり、後述する測定方法により測定する。
中間層を形成する方法は、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに形成し、それを2枚用いてセンターを包み、加圧成形する方法、または、前記中間層用組成物を直接センター上に射出成形してセンターを包み込む方法などを採用できる。
前記中間層の厚みは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、2.5mm以下が好ましく、より好ましくは2.3mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下である。中間層の厚みが0.3mm以上であれば、得られるゴルフボールの耐久性がより向上する。また、中間層の厚みが2.5mm以下であれば、得られるゴルフボールの反発性の低下を抑制できる。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボールの場合、コアとして糸巻きコアを用いれば良い。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
(1)中間層用組成物のスラブ硬度、カバー用組成物のスラブ硬度(ショアD硬度)
中間層用組成物またはカバー用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(2)コア中心硬度、コア表面硬度、センター表面硬度(JIS−C硬度)
JIS−K 6301に規定するスプリング式硬度計C型を用いて、センターまたはコアの表面部において測定したJIS−C硬度をセンター表面硬度、コア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したJIS−C硬度をコア中心硬度とした。
(3)圧縮変形量(mm)
センター、コアまたはゴルフボールに初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮方向の変形量(圧縮方向にセンター、コアまたはゴルフボールが縮む量)を測定した。
(4)耐擦過傷性
スイングロボットにサンドウェッジを取り付け、ヘッドスピード36m/sでゴルフボールを打撃し、打撃部を観察して耐擦過傷性を評価した。
評価基準
0点:打撃痕が判別できない。
1点:点(最大幅3mm未満)でめくれている。
2点:点(最大幅3mm以上5mm未満)でめくれている。
3点:線(最大幅5mm以上)で、めくれている。
4点:線(最大幅5mm以上)で、しっかりめくれている。
5点:線(最大幅5mm以上)で、深く、広くめくれている。
6点:深く、広くめくれており、面になりかけている。
7点:面で削れている。
(5)打球感
アマチュアゴルファー(上級者)10人により、パターを用いた実打テストを行って、各人の打撃時のフィーリングを下記基準で評価させた。10人の評価のうち、最も多い評価をそのゴルフボールの打球感とした。
評価基準
優:衝撃が少なくてフィーリングが良い。
良:普通。
不良:衝撃が大きくてフィーリングが悪い。
(A)鎖長延長剤を含有しないポリウレタンの作製
表2に示す配合(ゴルフボールNo.1〜11)となるように、各ポリオール成分(PCHC1000など)を容器に投入し、110℃のオイルバス中加熱しながら混合し混合ポリオールを得た。続いて、この混合ポリオールを減圧脱泡した後、イソシアネート成分(MDI)を、イソシアネート成分が有するイソシアネート基と混合ポリオールが有する水酸基のモル比(イソシアネート基/水酸基)が0.95となるように投入し、5分間、窒素気流下で撹拌した。その後、室温にて1分間減圧することにより、系中の脱気を行った。これを容器に延展した後、窒素雰囲気下、80℃で15時間保存しウレタン化反応を行い、鎖長延長剤を含有しないポリウレタンを得た。
(B)鎖長延長剤を含有するポリウレタンの作製
(B1)ゴルフボールNo.12に使用するポリウレタン樹脂の作製
表2に示す配合となるように、PCHC1000、PPG1000およびBDを容器に投入し、110℃のオイルバス中加熱しながら混合し混合ポリオールを得た。続いて、この混合ポリオールを減圧脱泡した後、イソシアネート成分(MDI)を、イソシアネート成分が有するイソシアネート基と混合ポリオールが有する水酸基のモル比(イソシアネート基/水酸基)が0.95となるように投入し、5分間、窒素気流下で撹拌した。その後、室温にて1分間減圧することにより、系中の脱気を行った。これを容器に延展した後、窒素雰囲気下、80℃で15時間保存しウレタン化反応を行い、鎖長延長剤を含有するポリウレタンを得た。
(B2)ゴルフボールNo.13に使用するポリウレタン樹脂の作製
表2に示す配合となるように、80℃に加熱したMDIに、80℃に加熱したPTMG1000を投入し、さらに、他の原料(MDI、PTMG1000およびBD)の総量の0.005質量%のジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製、ジブチルチンジラウレート)を投入した後、窒素気流下にて、80℃で2時間撹拌を行った。続いて、窒素気流下にて、80℃に加熱したBDを投入した後、80℃で1分間撹拌を行った。その後、反応液を冷却して、室温にて1分間減圧することにより系中の脱気を行った。脱気後の反応液を、容器に延展し、窒素雰囲気下、110℃にて15時間保存しウレタン化反応を行い、鎖長延長剤を含有するポリウレタンを得た。
(C)ゴルフボールの作製
(C1)コアの作製
表1に示す配合のセンター用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で、170℃で15分間加熱プレスすることにより球状のセンターを得た。表1に示した配合の中間層材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状の中間層用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150℃〜230℃に加熱された。得られた中間層用組成物を上述のようにして得られたセンター上に射出成形して、センターと前記センターを被覆する中間層とを有するコアを作製した。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
アクリル酸亜鉛:日本蒸溜工業社製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺(登録商標)R」
ジクミルパーオキサイド:日油製、「パークミル(登録商標)D」
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ハイミラン1605:三井・デュポンポリケミカル社製、ナトリムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井・デュポンポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(C2)カバー用組成物の配合
次に、表2に示した配合のカバー用材料を、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。
(C3)ハーフシェルの成形
ハーフシェルの圧縮成形は、前述のようにして得たペレット状のカバー用組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度160℃、成形時間5分、成形圧力2.94MPaの条件で行った。
(C4)カバーの成形
(C1)で得られたコアを(C3)で得られた2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形によりカバー(厚み0.5mm)を成形した。圧縮成形は、成形温度150℃、成形時間2分、成形圧力9.8MPaの条件で行った。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.3gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールの耐擦過傷性および打球感について評価した結果を併せて表2に示した。
MDI:住化バイエルウレタン社製、「スミジュール(登録商標) 44S」(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)
PCHC500:宇部興産社製、「ETERNACOLL(登録商標) UC−50」(数平均分子量500のポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートグリコール)
PCHC1000:宇部興産社製、「ETERNACOLL(登録商標) UC−100」(数平均分子量1000のポリ1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートグリコール)
PPG1000:旭硝子社製、「EXCENOL(登録商標) 1020」(数平均分子量1000のポリオキシプロピレングリコール)
PPG2000:旭硝子社製、「EXCENOL(登録商標) 2020」(数平均分子量2000のポリオキシプロピレングリコール)
PTMG1000:保土谷化学工業社製、「PTMG−1000SN」(数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール)
PTMG2000:保土谷化学工業社製、「PTMG−2000SN」(数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール)
BD:和光純薬社製、1,4−ブタンジオール
ゴルフボールNo.1〜11は、カバーが樹脂成分として、鎖長延長剤を含まないポリウレタンエラストマーを含有する場合である。これらのゴルフボールにおいて、硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)が3/7〜7/3であるゴルフボールNo.2〜6、8〜11は耐擦過傷性に優れていた。また、これらの中でも、硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)が3/7〜5/5であるゴルフボールNo.2〜4は、耐擦過傷性に加えて打球感にも優れていた。
ゴルフボールNo.12、13は、鎖長延長剤を含むポリウレタン樹脂を用いた場合であるが、いずれも耐擦過傷性および打球感に劣る。特に、ゴルフボールNo.12の結果から、硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)が5/5であっても鎖長延長剤を含むと耐擦過傷性、打球感のいずれも向上しないことがわかる。
本発明は、カバーの樹脂成分としてポリウレタンを含有するゴルフボールにおいて、カバーの耐擦過傷性を向上するのに有用である。
1:鎖長延長剤を含まないポリウレタン分子鎖、2:鎖長延長剤を含むポリウレタン分子鎖、2a:ソフトセグメント、2b:ハードセグメント

Claims (9)

  1. コアと、前記コアを被覆するカバーとを有するゴルフボールであって、
    前記カバーが、樹脂成分として、ポリウレタンエラストマーを含有し、前記ポリウレタンエラストマーが構成成分に、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含み、かつ、鎖長延長剤を含まないことを特徴とするゴルフボール。
  2. 前記ポリオール成分として、主鎖にカーボネート基、環状構造および不飽和結合よりなる群から選択される少なくとも1種を有する硬質ポリオールと、主鎖にカーボネート基、環状構造および不飽和結合のいずれも有さない軟質ポリオールとを含有する請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 前記硬質ポリオールがポリカーボネートポリオール、前記軟質ポリオールがポリエーテルポリオールである請求項2に記載のゴルフボール。
  4. 前記硬質ポリオールが下記式(1)で示される化合物である請求項3に記載のゴルフボール。

    [式(1)中、R1は主鎖に脂環式構造または芳香環構造を有する二価の炭化水素基を表し、nは自然数を表す]
  5. 前記軟質ポリオールが下記式(2)で示される化合物である請求項3または4に記載のゴルフボール。

    [式(2)中、R2は二価の飽和炭化水素基を表し、nは自然数を表す]
  6. 前記硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)が3/7〜7/3である請求項2〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  7. 前記硬質ポリオールと軟質ポリオールとの質量比(硬質ポリオール/軟質ポリオール)が3/7〜5/5である請求項2〜5のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  8. 前記ポリイソシアネート成分が、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1〜7のいずれか一項に記載のゴルフボール。
  9. 前記カバーのショアD硬度が、20以上50以下である請求項1〜8のいずれか一項に記載のゴルフボール。
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