JP4927930B2 - ゴルフボール用材料およびこれを用いたゴルフボール - Google Patents

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Description

本発明は、新規なゴルフボール用材料およびこれを用いたゴルフボールに関するものである。
ゴルフボールのカバーを構成する樹脂成分としては、アイオノマー樹脂やポリウレタンが使用されている。アイオノマー樹脂は、反発性、耐久性、および、加工性に優れることから広く使用されている。しかしながら、アイオノマー樹脂を使用したカバーは、高い剛性と硬度を有するために打球感が悪く、また、スピン性能も十分なものが得られずコントロール性が劣るなどの問題が指摘されている。一方、カバーを構成する樹脂成分として、ポリウレタンを使用した場合には、アイオノマー樹脂に比べて打球感やスピン性能が向上することが知られている。
ドライバーショットでよく飛び、アプローチショットでよく止まるゴルフボールを提供することが、ゴルフボールを開発する当業者の究極の目標である。ドライバーショットでよく飛ばすためには、材料的には、高反発性を有するコア材料を採用することが検討されている(特許文献1)。構造的には、コアを大径化することが検討されている。一方、アプローチショットでゴルフボールを良く止めるには、例えば、柔らかいカバー材料を採用して、アプローチショット時のスピン量を高めることが行われている(特許文献2)。さらに、本願発明者らは、カバーの樹脂成分であるポリウレタンの立体構造を制御して、スピン量を高める技術について特許出願をしている(特許文献3)。
特開2003−154035号公報 特開2006−034740号公報 特開2009−131508号公報
従来の柔らかいカバー材料を採用してアプローチショットのスピン量を高めると、ドライバーショットのスピン量も高くなる。ドライバーショットのスピン量が高くなると、ゴルフボールの初速が下がり、飛距離が短くなる。そのため、アプローチショットで良く止まるということと、ドライバーショットで良く飛ばすということを両立することは困難とされていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アプローチショットに対しては高スピン量であり、ドライバーショットに対しては低スピン量のゴルフボールが得られる新規なゴルフボール用材料を提供することを目的とする。
ゴルボールを打撃したときのカバーの変形は、ドライバーショットに対しては、圧縮変形が支配的であり、アプローチショットに対しては、剪断変形が支配的であると考えられる。この仮説に基づいて、ゴルフボールの材料特性について鋭意検討した結果、ドライバーショットのスピン量は、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、引張モードで測定した引張損失弾性率E”に相関し、アプローチショットのスピン量は、剪断モードで測定した剪断損失弾性率G”に相関していることが分かった。そして、前記剪断損失弾性率G”が2.11×10Pa以下であり、引張損失弾性率E”の剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)が1.78以上である材料が、アプローチショットに対しては高スピン量であり、ドライバーショットに対しては低スピン量を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。本発明のゴルフボール用材料は、樹脂成分としてポリウレタンを含有することが好ましい。前記ポリウレタンを構成するポリオール成分としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましく、前記ポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが好ましく、前記ポリウレタンを構成する鎖延長剤成分としては、1,4−ブタンジオールが好ましい。
本発明には、本発明のゴルフボール用材料からなる構成部材を有するゴルフボールが含まれる。本発明のゴルフボールとしては、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、カバーが、本発明のゴルフボール用材料を含有するものが好ましい。この場合、カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で5以上、80以下が好ましく、カバーの厚みは、0.3mm以上、2.0mm以下が好ましい。
本発明によれば、アプローチショットに対しては高スピン量であり、ドライバーショットに対しては低スピン量のゴルフボールを提供することができる。
アプローチショットのスピン量と剪断損失弾性率G”との相関関係を示すグラフ。 ドライバーショットのスピン量と引張損失弾性率E”との相関関係を示すグラフ。
本発明のゴルフボール用材料は、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、剪断モードで測定した剪断損失弾性率G”が2.11×10Pa以下であり、引張モードで測定した引張損失弾性率E”の前記剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)が1.78以上であることを特徴とする。なお、本発明における動的粘弾性の測定条件として、加振周波数:10Hz、温度:0℃の測定条件を採用しているのは、以下の理由に基づく。ゴルフボールをクラブで打撃する際のゴルフボールとクラブとの接触時間は、数100μ秒であり、これを一回の打撃変形と考えると、数1000Hzの周波数の変形に対応する。一般的なポリウレタンエラストマーの時間換算則から、温度:室温、加振周波数:数1000Hzの測定条件で測定する動的粘弾性は、温度:0℃、加振周波数:10Hzの測定条件で測定する動的粘弾性に相当する。
動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、剪断モードで測定した剪断損失弾性率G”が小さくなると、アプローチショットのスピン量が高くなる。そのため、本発明のゴルフボール材料は、前記剪断損失弾性率G”が、2.11×10Pa以下であり、より好ましくは1.95×10Pa以下であり、さらに好ましくは1.83×10Pa以下である。前記剪断損失弾性率G”の下限は、特に限定されるものではないが、1.00×10Paが好ましく、1.10×10Paがより好ましい。前記剪断損失弾性率G”が1.00×10Pa以上であれば、生産工程でのハンドリングが容易になるからである。
動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、引張モードで測定した引張損失弾性率E”が大きくなると、ドライバーショットのスピン量が低くなる。従って、引張損失弾性率E”の剪断損失弾性率G”に対する比を一定以上に制御することにより、アプローチショットで高スピン量であり、ドライバーショットで低スピン量のゴルフボールが得られる。前記損失弾性率の比E”/G”は、1.78以上であり、より好ましくは、1.86以上であり、さらに好ましくは1.90以上である。前記損失弾性率の比E”/G”の上限は、特に限定されるものではないが、6が好ましく、5.5がより好ましい。前記損失弾性率の比E”/G”を6以下とすることにより、生産工程でのハンドリングが容易になるからである。前記引張損失弾性率E”は、2.00×10Pa以上が好ましく、2.20×10Pa以上がより好ましく、2.40×10Pa以上がさらに好ましい。前記剪断損失弾性率G”、および、引張損失弾性率E”は、例えば、ゴルフボール用材料に含まれるポリウレタンを構成する各成分の組成比、分子量などを適宜調整することにより制御することができる。
本発明のゴルフボール用材料は、樹脂成分としてポリウレタンを含有することが好ましい。前記ポリウレタンは、分子鎖内にウレタン結合を複数有するポリマーであり、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。
本発明で好ましく使用するポリウレタンを構成するポリオール成分としては、数平均分子量が200以上、3000以下のポリオールを使用することが好ましい。数平均分子量が200以上、3000以下のポリオールは、ソフトセグメントを形成し、ポリウレタンに柔軟性を付与する。前記ポリオール成分の数平均分子量は、250以上が好ましく、300以上がより好ましく、1500以上がさらに好ましい。ポリオール成分の数平均分子量が小さすぎると、得られるポリウレタンが硬くなり過ぎる場合があるからである。ポリオール成分の数平均分子量は、6000以下が好ましく、4000以下がより好ましく、3000以下がさらに好ましい。数平均分子量が、6000以下であれば、ドライバーショットに対して低スピンのゴルフボールが得られるからである。
ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとしてTSK−GEL SUPERH2500(東ソー株式会社製)2本を用いて測定すればよい。
数平均分子量が200以上、3000以下のポリオール成分は、重合体ポリオールであることが好ましい。重合体ポリオールとは、低分子化合物を重合して得られる重合体であって、水酸基を複数有するものである。これらの中でも、水酸基を二つ有する重合体ジオールが好ましい。重合体ジオールを使用することにより、直鎖状の熱可塑性ポリウレタンが得られ、ゴルフボールを構成する部材への成形が容易になるからである。
数平均分子量が200以上、3000以下のポリオール成分としては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などのポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)などの縮合系ポリエステルポリオール;ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)などのラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオールなどが挙げられ、上述したポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。これらの中でも、ポリオール成分としては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールが好ましい。ポリテトラメチレンエーテルグリコールを使用することにより、ドライバーショットとアプローチショットに対するスピン量を高いレベルで制御することができる。
前記ポリウレタンを構成する重合体ポリオール成分の水酸基価は、561mgKOH/g以下が好ましく、173mgKOH/g以下がより好ましく、94mgKOH/g以上が好ましく、112mgKOH/g以上がより好ましく、132mgKOH/g以上がさらに好ましい。なお、ポリオール成分の水酸基価は、JIS K 1557−1に準じて、例えば、アセチル化法によって測定することができる。
前記ポリウレタンは、本発明の効果を損なわない範囲で、鎖延長剤を構成成分として有してもよい。前記鎖延長剤成分としては、低分子量ポリオールや低分子量ポリアミンなどを使用することができる。低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール(例:1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなど)、ジプロピレングリコール、ブタンジオール(例:1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオールなど)、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、1,4−シクロへキサンジメチロールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどのトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのテトラオールまたはヘキサオールなどが挙げられる。
また、鎖延長剤成分として使用できる低分子量のポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基を有するものであれば特に限定されない。前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、ピペラジンなどの脂環式ポリアミン;芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
前記芳香族ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合しているものであれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えば低級アルキレン基を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミンでもよい。
前記単環式芳香族ポリアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミンなどのアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプなどが挙げられる。また、前記多環式芳香族ポリアミンとしては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリ(アミノベンゼン)でもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介在して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体が特に好ましい。
前記鎖延長剤の分子量は、400以下が好ましく、350以下がより好ましく、200未満がさらに好ましく、30以上が好ましく、40以上がより好ましく、45以上がさらに好ましい。分子量が大きくなりすぎると、ポリウレタンのソフトセグメントを構成する高分子量ポリオールとの区別が困難になるからである。なお、鎖延長剤として使用する「低分子量ポリオール」および「低分子量ポリアミン」は、分子量分布を有さない低分子化合物である点で、低分子化合物を重合して得られる数平均分子量が200以上3000以下の重合体ポリオールとは区別されるものである。
本発明で好ましく使用するポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネートと2,6−トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトリレン−4,4’−ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)などの芳香族ポリイソシアネート;4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)などの脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネートを挙げることができる。前記ポリイソシアネート成分は、上述したポリイソシアネートのうちの1種、或いは、2種以上の混合物であってもよい。
耐擦過傷性を向上するという観点からは、ポリウレタンを構成するポリイソシアネートとして、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、ポリウレタンを構成するポリイソシアネートとして、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、H6XDI、IPDI、H12MDI,NBDIなど)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性にも優れるカバーが得られるからである。
本発明で好ましく使用するポリウレタンの構成態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート成分と数平均分子量が200以上3000以下のポリオール成分とによって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と数平均分子量が200以上3000以下のポリオール成分と鎖延長剤成分によって構成されている態様などを挙げることができる。
本発明で好ましく使用するポリウレタンは、ポリイソシアネート成分として、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ポリオール成分として、数平均分子量が200以上、3000以下のポリテトラメチレンエーテルグリコールを構成成分として含有することが好ましく、さらに好ましくは、鎖延長剤成分として、1,4−ブタンジオールを含有する。
本発明で好ましく使用するポリウレタンのショアD硬度は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、15以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましく、55以下が特に好ましい。ポリウレタンの硬度が低すぎると、ドライバーショットのスピン量が増加する場合がある。また、ポリウレタンの硬度が高すぎると、アプローチショットのスピン量が低下しすぎる場合がある。
本発明で好ましく使用するポリウレタンは、いわゆる熱可塑性ポリウレタンや熱硬化性ポリウレタン(二液硬化型ポリウレタン)のいずれの態様であってもよい。熱可塑性ポリウレタンとは、加熱により可塑性を示すポリウレタンであり、一般に、ある程度高分子量化された直鎖構造を有するポリウレタンを意味する。一方、熱硬化性ポリウレタン(二液硬化型ポリウレタン)は、比較的低分子量のプレポリマーと硬化剤とを反応させて高分子量化することにより得られるポリウレタンである。熱硬化性ポリウレタンには、使用するプレポリマーや硬化剤の官能基の数を制御することによって、直鎖構造のポリウレタンや3次元架橋構造を有するポリウレタンが含まれる。なお、本発明で使用するポリウレタンは、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
ポリウレタンの合成方法としては、ワンショット法、あるいは、プレポリマー法を挙げることができる。ワンショット法とは、ポリイソシアネート成分、ポリオール成分などを一括で反応させる方法である。プレポリマー法とは、多段階でポリイソシアネート成分、ポリオール成分などを反応させる方法であり、例えば、比較的低分子量のウレタンプレポリマーを合成した後、続けてさらに高分子量化する方法である。なお、本発明に用いられるポリウレタンは、プレポリマー法によって作製することが好ましい。
以下、ポリウレタンをプレポリマー法にて作製する態様の一例として、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した後、鎖延長剤により高分子量化する態様について詳細に説明する。
まず、ポリイソシアネート成分と、重合体ポリオール成分とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成する。この際、ポリイソシアネート成分と重合体ポリオール成分との仕込み比は、重合体ポリオール成分の有する水酸基(OH)に対するポリイソシアネート成分の有するイソシアネート基(NCO)のモル比(NCO/OH)を1以上とすることが好ましく、より好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上であり、10以下が好ましく、より好ましくは9以下、さらに好ましくは8以下である。
また、プレポリマー化反応を行う際の温度は、10℃以上が好ましく、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、200℃以下が好ましく、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。また、反応時間は10分間以上が好ましく、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは3時間以上であり、32時間以下が好ましく、より好ましくは16時間以下、さらに好ましくは8時間以下である。
次に、得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを、鎖延長剤成分により鎖長延長反応させて高分子量ポリウレタンを得る。この際、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと鎖延長剤成分との仕込み比は、鎖延長剤成分の有する水酸基(OH)に対するイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基(NCO)のモル比(NCO/OH)を0.9以上とすることが好ましく、より好ましくは0.92以上、さらに好ましくは0.95以上であり、1.1以下が好ましく、より好ましくは1.08以下、さらに好ましくは1.05以下である。
鎖延長反応を行う際の温度は、10℃以上が好ましく、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上であり、220℃以下が好ましく、より好ましくは170℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。また、反応時間は10分間以上が好ましく、より好ましくは30分間以上、さらに好ましくは1時間以上であり、20日間以下が好ましく、より好ましくは10日間以下、さらに好ましくは5日間以下である。
プレポリマー化反応および鎖延長反応は、いずれも乾燥窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
ポリウレタンの合成には、公知の触媒を使用することができる。前記触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンなどのモノアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'',N''−ペンタメチルジエチレントリアミンなどのポリアミン類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミンなどの環状ジアミン類;ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒などが挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジブチルチンジラウリレート、ジブチルチンジアセテートなどの錫系触媒が好ましく、特に、ジブチルチンジラウリレートが好適に使用される。
本発明のゴルフボール用材料は、樹脂成分として、ポリウレタンのみを含有することが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、アイオノマー樹脂や熱可塑性エラストマーを含有しても良い。この場合、樹脂成分中のポリウレタンの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。前記α,β−不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、特にアクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、イソブチルエステル等が用いられ、特にアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましい。前記エチレンとα,β−不飽和カルボン酸との共重合体や、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの2価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられるが、特にナトリウム、亜鉛、マグネシウムイオンが反発性、耐久性等から好ましく用いられる。
前記アイオノマー樹脂の具体例としては、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されているハイミラン、さらにデュポン(株)から市販されているサーリン、エクソンモービル化学(株)から市販されているアイオテックなどを挙げることができる。
前記熱可塑性エラストマーの具体例としては、例えば、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)(例えば、「ラバロンT3221C」)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマーなどが挙げられる。前記アイオノマー樹脂および熱可塑性エラストマーは、単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
本発明のゴルフボール用材料は、さらに、白色顔料(酸化チタン)、青色顔料などの顔料成分、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを含有してもよい。
前記白色顔料(酸化チタン)の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下、より好ましくは8質量部以下であることが望ましい。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、ゴルフボール用材料に隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部超になると、ゴルフボール用材料の耐久性が低下する場合があるからである。
本発明のゴルフボールは、本発明のゴルフボール用材料から形成された構成部材を有するゴルフボールであれば、特に限定されない。例えば、単層コアと、前記コアを被覆するように配設されたカバーとを有するツーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆するように配設された単層の中間層とからなるコアと、前記コアを被覆するように配設されたカバーとを有するスリーピースゴルフボール;または、センターと前記センターを被覆するように配設された二以上の中間層とからなるコアと、前記コアを被覆するように配設されたカバーを有するマルチピースゴルフボールを構成するいずれかの構成部材が前記ゴルフボール用材料から形成されているゴルフボールを挙げることができる。これらのなかでも、カバーが本発明のゴルフボール用材料を含有するゴルフボールが好ましい。本発明のゴルフボール用材料をカバーに用いることにより、アプローチショットに対しては高スピンでありながら、ドライバーショットに対して低スピンのゴルフボールが得られる。
以下、本発明のゴルフボールを、コアとカバーとを有するゴルフボールであって、カバーが本発明のゴルフボール用材料を含有する態様に基づいて詳述するが、本発明は、斯かる態様に限定されない。
本発明のゴルフボールのカバーは、本発明のゴルフボール用材料(以下、単に「カバー用組成物」と称する場合がある)を用いて成形することにより作製される。カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空のシェルを成形し、コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空のハーフシェルを成形し、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、カバー用組成物をコア上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。カバー用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いてカバーを成形する方法としては、例えば、コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形してカバーに成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、カバー用組成物の流動開始温度に対して、−20℃以上、70℃以下の成形温度を挙げることができる。上記成形条件とすることによって、均一な厚みを有するゴルフボールカバーを成形できる。
本発明では、カバー用組成物をコア上に直接射出成形してカバーを成形することもできる。この場合、カバー成形用上下金型としては、半球状キャビティを有し、ピンプル付きで、ピンプルの一部が進退可能なホールドピンを兼ねているものを使用することが好ましい。射出成形によるカバーの成形は、上記ホールドピンを突き出し、コアを投入してホールドさせた後、カバー用組成物を注入して、冷却することによりカバーを成形することができ、例えば、9MPa〜15MPaの圧力で型締めした金型内に、150℃〜250℃に加熱したカバー用組成物を0.5秒〜5秒で注入し、10秒〜60秒間冷却して型開きすることにより行う。
また、カバーを成形する際には、通常、表面にディンプルと呼ばれるくぼみが形成される。さらに、カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが5μm以上、より好ましくは7μm以上、25μm以下、より好ましくは18μm以下であることが望ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が25μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
本発明において、ゴルフボールのカバーの厚みは、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。2mm以下とすることによって、コアの外径を大きくできるため、反発性能を向上させることができるからである。カバーの厚みの下限は、特に限定されるものではないが、例えば、0.3mmが好ましく、0.4mmがより好ましく、0.5mmがさらに好ましい。0.3mm未満では、カバーの成形が困難になるおそれがある。
また、カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましく、60以下が特に好ましい。カバーのスラブ硬度が5未満では、ゴルフボールの反発性が低下して飛距離が低下する場合があるからである。一方、カバーのスラブ硬度が80超では、得られるゴルフボールの耐久性が低下する場合がある。前記カバーのスラブ硬度は、カバー用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度であり、後述する測定方法により測定することができる。
次に、本発明のゴルフボールに用いられるコアについて説明する。前記コアの構造としては、例えば、単層コア、センターと前記センターを被覆する1以上の中間層を有するコアを挙げることができる。センターと前記センターを被覆する1以上の中間層を有するコアとしては、例えば、センターと前記センターを被覆する単層の中間層とからなるコア、センターと前記センターを被覆する複数もしくは複層の中間層とからなるコアなどがある。また、コアの形状としては、球状であることが好ましい。コアの形状が球状でない場合には、カバーの厚みが不均一になる。その結果、部分的にカバー性能が低下する場合があるからである。一方、センターの形状としては、球状が一般的であるが、球状センターの表面を分割するように突条が設けられていても良く、例えば、球状センターの表面を均等に分割するように突条が設けられていても良い。前記突条を設ける態様としては、例えば、球状センターの表面にセンターと一体的に突条を設ける態様、あるいは、球状センターの表面に突条の中間層を設ける態様などを挙げることができる。
前記突条は、例えば、球状センターを地球とみなした場合に、赤道と球状センター表面を均等に分割する任意の子午線とに沿って設けられることが好ましい。例えば、球状センター表面を8分割する場合には、赤道と、任意の子午線(経度0度)、および、斯かる経度0度の子午線を基準として、東経90度、西経90度、東経(西経)180度の子午線に沿って設けるようにすれば良い。突条を設ける場合には、突条によって仕切られる凹部を、複数の中間層、あるいは、それぞれの凹部を被覆するような単層の中間層によって充填するようにして、コアの形状を球状とするようにすることが好ましい。前記突条の断面形状は、特に限定されることなく、例えば、円弧状、あるいは、略円弧状(例えば、互いに交差あるいは直交する部分において切欠部を設けた形状)などを挙げることができる。
本発明のゴルフボールのコアまたはセンターは、例えば、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤、および必要に応じて充填剤を含むゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」と称する場合がある)を加熱プレスして成形することにより得られる。
前記基材ゴムとしては、天然ゴムまたは合成ゴムを使用することができ、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらの中でも、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。
前記架橋開始剤は、基材ゴム成分を架橋するために配合されるものである。前記架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、3質量部以下が好ましく、より好ましくは2質量部以下である。0.2質量部未満では、コアが柔らかくなりすぎて、反発性が低下する傾向があり、3質量部を超えると、適切な硬さにするために、共架橋剤の使用量を増加する必要があり、反発性が不足気味になる。
前記共架橋剤としては、基材ゴム分子鎖にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素数が3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸またはその金属塩を使用することができ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、または、これらの金属塩を挙げることができる。前記金属塩を構成する金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムを挙げることができ、反発性が高くなるということから、亜鉛を使用することが好ましい。
共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して、10質量部以上、より好ましくは20質量部以上であって、50質量部以下、より好ましくは40質量部以下であることが望ましい。共架橋剤の使用量が10質量部未満では、適当な硬さとするために有機過酸化物の量を増加しなければならず、反発性が低下する傾向がある。一方、共架橋剤の使用量が50質量部を超えると、コアが硬くなりすぎて、打球感が低下する虞がある。
コア用ゴム組成物に含有される充填剤は、主として最終製品として得られるゴルフボールの比重を1.0〜1.5の範囲に調整するための比重調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、2質量部以上、より好ましくは3質量部以上であって、50質量部以下、より好ましくは35質量部以下であることが望ましい。充填剤の配合量が2質量部未満では、重量調整が難しくなり、50質量部を超えるとゴム成分の重量分率が小さくなり反発性が低下する傾向があるからである。
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、架橋開始剤、共架橋剤および充填剤に加えて、さらに、有機硫黄化合物、老化防止剤、しゃく解剤などを適宜配合することができる。
前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類を好適に使用することができる。前記ジフェニルジスルフィド類としては、例えば、ジフェニルジスルフィド;ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド,ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィドなどのモノ置換体;ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのジ置換体;ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィドなどのトリ置換体;ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィドなどのテトラ置換体;ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドなどのペンタ置換体などが挙げられる。これらのジフェニルジスルフィド類はゴム加硫体の加硫状態に何らかの影響を与えて、反発性を高めることができる。これらの中でも、特に高反発性のゴルフボールが得られるという点から、ジフェニルジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィドを用いることが好ましい。前記有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。
前記老化防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成形条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130〜200℃で10〜60分間加熱するか、あるいは130〜150℃で20〜40分間加熱した後、160〜180℃で5〜15分間の2段階で加熱することが好ましい。
本発明のゴルフボールに使用するコアは、直径38mm以上が好ましく、39.0mm以上がより好ましく、40.8mm以上がさらに好ましく、42.2mm以下が好ましく、42mm以下がより好ましく、41.8mm以下がさらに好ましい。コアの直径が上記下限に満たない場合には、カバーが厚くなり過ぎて反発性が低下し、一方コアの直径が上記上限を超える場合には、カバーの厚さが薄くなりすぎるため、カバーの成形が困難になるからである。
前記コアは、直径38mm〜42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向にコアが縮む量)が、2.40mm以上が好ましく、2.50mm以上がより好ましく、2.60mm以上がさらに好ましく、3.20mm以下が好ましく、3.10mm以下がより好ましい。前記圧縮変形量が、2.40mm未満では打球感が硬くて悪くなり、3.20mmを超えると、反発性が低下する場合がある。
前記コアとして、その中心と表面で硬度差を有するものを使用することも好ましい態様であり、JIS−C硬度による表面硬度と中心硬度との差は、10以上が好ましく、12以上がより好ましく、40以下が好ましく、35以下がより好ましく、30以下がさらに好ましい。前記硬度差が40より大きいと、耐久性が低下し、前記硬度差が10より小さいと、打球感が硬くて衝撃が大きくなる場合がある。前記コアの表面硬度は、JIS−C硬度で、好ましくは65以上、より好ましくは70以上、さらに好ましくは72以上であって、好ましくは100以下である。コアの表面硬度がJIS−C硬度で65より小さいと、柔らかくなり過ぎて反発性が低下し、飛距離が低下する。一方、コア表面硬度が100より大きいと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなる場合がある。前記コアの中心硬度は、JIS−C硬度で、好ましくは45以上、より好ましくは50以上であって、好ましくは70以下、より好ましくは65以下である。前記コア中心硬度が45より小さいと、柔らかくなり過ぎて耐久性が低下する虞がある。前記コア中心硬度が70より大きいと、硬くなり過ぎて打球感が悪くなる場合がある。前記コアの硬度差は、センターよりも硬度が高い中間層を設けること、或いは、センターの加熱成形条件を適宜選択することによって設けることができる。本発明において、コアの中心硬度とは、コアを2等分に切断して、その切断面の中心点についてスプリング式硬度計JIS−C型で測定した硬度を意味する。コアの表面硬度とは、得られた球状コアの表面においてスプリング式硬度計JIS−C型で測定した硬度を意味する。また、コアが多層構造である場合は、コアの表面硬度とは、コアの最外層の表面の硬度を意味する。
本発明のゴルフボールのコアの構造が、センターと前記センターを被覆する一以上の中間層とからなるコアの場合、前記センターの材料としては、前記コア用ゴム組成物を用いることができる。前記センターの直径は、30mm以上が好ましく、より好ましくは32mm以上であり、41mm以下が好ましく、より好ましくは40.5mm以下である。前記センターの直径が30mmよりも小さいと、中間層またはカバーを所望の厚さより厚くする必要があり、その結果反発性が低下する場合がある。一方、センターの直径が41mmを超える場合は、中間層またはカバーを所望の厚さより薄くする必要があり、中間層またはカバー層の機能が十分発揮されない。
前記中間層の材料としては、例えば、ゴム組成物の硬化物、アイオノマー樹脂、アルケマ(株)から商品名「ペバックス(登録商標)(例えば、「ペバックス2533」)」で市販されている熱可塑性ポリアミドエラストマー、東レ・デュポン(株)から商品名「ハイトレル(登録商標)(例えば、「ハイトレル3548」、「ハイトレル4047」)」で市販されている熱可塑性ポリエステルエラストマー、BASFジャパン社から商品名「エラストラン(登録商標)(例えば、「エラストランXNY97A」)」で市販されている熱可塑性ポリウレタンエラストマー、三菱化学(株)から商品名「ラバロン(登録商標)」で市販されている熱可塑性ポリスチレンエラストマーなどが挙げられる。前記中間層の材料は、単独または複数を混合して使用することができる。
前記アイオノマー樹脂としては、特にエチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸の共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したアイオノマー樹脂、エチレンと炭素数3〜8個のα,β−不飽和カルボン酸とα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、または、これらの混合物を挙げることができる。
前記アイオノマー樹脂の具体例を商品名で例示すると、三井デュポンポリケミカル(株)から市販されている「ハイミラン(Himilan)(登録商標)(例えば、ハイミラン1555(Na)、ハイミラン1557(Zn)、ハイミラン1605(Na)、ハイミラン1706(Zn)、ハイミラン1707(Na)、ハイミランAM3711(Mg)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1856(Na)、ハイミラン1855(Zn)など)」が挙げられる。
さらにデュポン社から市販されているアイオノマー樹脂としては、「サーリン(Surlyn)(登録商標)(例えば、サーリン8945(Na)、サーリン9945(Zn)、サーリン8140(Na)、サーリン8150(Na)、サーリン9120(Zn)、サーリン9150(Zn)、サーリン6910(Mg)、サーリン6120(Mg)、サーリン7930(Li)、サーリン7940(Li)、サーリンAD8546(Li)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、サーリン8120(Na)、サーリン8320(Na)、サーリン9320(Zn)、サーリン6320(Mg)など)」が挙げられる。
またエクソンモービル化学(株)から市販されているアイオノマー樹脂としては、「アイオテック(Iotek)(登録商標)(例えば、アイオテック8000(Na)、アイオテック8030(Na)、アイオテック7010(Zn)、アイオテック7030(Zn)などが挙げられ、三元共重合体アイオノマー樹脂としては、アイオテック7510(Zn)、アイオテック7520(Zn)など)」が挙げられる。
なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの比重調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
ゴム組成物を主成分(50質量%以上)とする中間層用組成物を使用する場合には、中間層の厚みは、1.2mm以上、より好ましくは1.8mm以上、さらに好ましくは2.4mm以上とすることが望ましく、好ましくは6.0mm以下、より好ましくは5.2mm以下、さらに好ましくは4.4mm以下とすることが望ましい。
また、樹脂を主成分(50質量%以上)とする中間層用組成物を使用する場合には、中間層の厚みを0.3mm以上、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上とすることが望ましく、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは2.4mm以下、さらに好ましくは2.3mm以下とすることが望ましい。中間層の厚みが2.5mmを超えると、得られるゴルフボールの反発性能が低下するおそれがある。また、0.3mm未満では、ドライバーショット時の過剰なスピン量を抑えることができなくなるおそれがある。
中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予めハーフシェルに形成し、それを2枚用いてセンターを包み、加圧成形する方法、または、前記中間層用組成物を直接センター上に射出成形してコアを包み込む方法などを採用できる。
本発明のゴルフボールの中間層の硬度は、ショアD硬度で40以上が好ましく、45以上がより好ましく、50以上がさらに好ましく、80以下が好ましく、70以下がより好ましく、65以下がさらに好ましい。中間層の硬度を40以上とすることによって、コアの外剛内柔度合いを大きくすることに寄与するため、高打出角、低スピンとなり高飛距離化が達成される。一方、中間層の硬度を80以下とすることによって優れた打球感が得られると共に、スピン性能を向上させ、コントロール性を向上させることができる。ここで、中間層の硬度は、中間層用組成物をシート状に成形して測定したスラブ硬度であり、後述する測定方法により測定する。また、前記中間層の硬度は、上述した樹脂成分またはゴム組成物の組合せ、添加剤の含有量などを適宜選択することによって、調整することができる。
本発明のゴルフボールが、糸巻きゴルフボールの場合、コアとして糸巻きコアを用いれば良い。斯かる場合、糸巻きコアとしては、例えば、上述したコア用ゴム組成物を硬化させてなるセンターとそのセンターの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成した糸ゴム層とから成るものを使用すればよい。また、前記センター上に巻き付ける糸ゴムは、糸巻きゴルフボールの糸巻き層に従来から使用されているものと同様のものを使用することができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンに硫黄、加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤などを配合したゴム組成物を加硫することによって得られたものを用いてもよい。糸ゴムはセンター上に約10倍に引き伸ばして巻きつけて糸巻きコアを作製する。
本発明によれば、アプローチショットに対しては高スピン量であり、ドライバーショットに対しては、低スピン量のゴルフボールを提供できる。アプローチショットのスピン量は、6500rpm以上が好ましく、6550rpm以上がより好ましい。アプローチショットのスピン量が6500rpm以上であれば、アプローチショットで良く止まるゴルフボールが得られる。アプローチショットのスピン量の上限は、特に限定されないが、アプローチショットのスピン量が高くなりすぎると、ドライバーショットのスピン量も高くなるおそれがある。この観点から、アプローチショットのスピン量は、8000rpm以下が好ましく、7800rpm以下がより好ましい。一方、ドライバーショットのスピン量は、2600rpm以下が好ましく、2580rpm以下がより好ましい。ドライバーショットのスピン量が2600rpm以下であれば、スピン量が低くなって、飛距離の出るゴルフボールが得られる。また、ドライバーショットで飛距離がでるためには、ある程度のスピン量が必要であり、ドライバーショットのスピン量は、2000rpm以上が好ましく、2100rpm以上がより好ましく、2200rpm以上がさらに好ましい。アプローチショットおよびドライバーショットのスピン量は、後述する方法により求めることができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[評価方法]
(1)剪断損失弾性率G”
ポリウレタンの剪断損失弾性率G”を以下の条件で測定した。
装置:TAインスツルメント社製レオメータARES
測定サンプル:プレス成形により、厚み2mmのポリウレタンシートを作製し、このポリウレタンシートから、幅10mm、クランプ間距離10mmになるように試料片を切り出した。
測定モード:捻り(剪断)
測定温度:0℃
加振周波数:10Hz
測定ひずみ:0.1%
(2)引張損失弾性率E”
ポリウレタンの引張損失弾性率E”を以下の条件で測定した。
装置:ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000
測定サンプル:プレス成形により、厚み2mmのポリウレタンシートを作製し、このポリウレタンシートから、幅4mm、クランプ間距離20mmになるように試料片を切り出した。
測定モード:引張
測定温度:0℃
加振周波数:10Hz
測定ひずみ:0.1%
(3)アプローチショットのスピン量(ドライ、ウエット、スピン保持率)
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットに、アプローチウェッジ(SRIスポーツ社製、SRIXON I−302、シャフトS)を取り付け、ヘッドスピード21m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピン量(rpm)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行い、その平均値をスピン量とした。ドライスピン量は、クラブフェースとゴルフボールが乾いた状態で試験を行ったときのスピン量であり、ウエットスピン量は、クラブフェースとゴルフボールを水で濡らした状態で試験を行ったときのスピン量である。スピン保持率は、下記式により算出した。
スピン保持率(%)=100×ウエットスピン量/ドライスピン量
(4)ドライバーショットのスピン量
ゴルフラボラトリー社製スイングロボットに、ドライバー(SRIスポーツ社製、XXIO シャフトS ロフト11°)を取り付け、ヘッドスピード50m/秒でゴルフボールを打撃し、打撃されたゴルフボールを連続写真撮影することによってスピン量(rpm)を測定した。測定は、各ゴルフボールについて10回ずつ行い、その平均値をスピン量とした。
(5)スラブ硬度(ショアD硬度)
ポリウレタン、中間層用組成物、またはカバー用組成物を用いて、熱プレス成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、ASTM−D2240に規定するスプリング式硬度計ショアD型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて測定した。
(6)コア硬度(JIS−C硬度)
スプリング式硬度計JIS−C型を備えた高分子計器社製自動ゴム硬度計P1型を用いて、コアの表面部において測定したJIS−C硬度をコア表面硬度とした。また、コアを半球状に切断し、切断面の中心において測定したJIS−C硬度をコア中心硬度とした。
(7)ポリオール成分の数平均分子量の測定
ポリオール成分について、下記の測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定を行った。
測定条件
装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
溶離液:THF
温度:40℃
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー社製)
ポリオール濃度:0.2質量%(ポリオール/(ポリオール+THF))
サンプル注入量:5μl
流速:0.5ml/min
分子量標準:ポリスチレン(東ソー社製、PStQuick Kit−H)
[ゴルフボールの作製]
(1)センターの作製
表1に示す配合のセンター用ゴム組成物を混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃で15分間加熱プレスすることにより球状のセンター(直径38.5mm)を得た。
Figure 0004927930
ポリブタジエンゴム:JSR(株)製、「BR730(ハイシスポリブタジエン)」
アクリル酸亜鉛:日本蒸留製、「ZNDA−90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛製、「銀嶺R」
ジフェニルジスルフィド:住友精化製
ジクミルパーオキサイド:日本油脂製、「パークミル(登録商標)D」
(2)コアの作製
次に、表2に示した配合の中間層材料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状の中間層用組成物を調製した。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。得られた中間層用組成物を上述のようにして得られたセンター上に射出成形して、センターと前記センターを被覆する中間層を有するコア(直径41.7mm)を作製した。
Figure 0004927930
ハイミラン1605:三井デュポンポリケミカル社製のナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミランAM7329:三井デュポンポリケミカル社製の亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
(3)ポリウレタンの合成
表3〜表4に示した組成比を有するポリウレタンを、以下のようにして合成した。80℃に加熱したジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)に、80℃に加熱したポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)を投入し、さらに、原料(H12MDI、PTMGおよびBD)の総量の0.005質量%のジブチルチンジラウレート(アルドリッチ社製、ジブチルチンジラウレート)を投入した後、窒素気流下にて、80℃で2時間撹拌を行った。続いて、窒素気流下にて、80℃に加熱したブタンジオール(BD)を投入した後、80℃で1分間撹拌を行った。その後、反応液を冷却して、室温にて1分間減圧することにより系中の脱気を行った。脱気後の反応液を、容器に延展し、窒素雰囲気下、110℃にて6時間保存することにより、ウレタン化反応を行いポリウレタンを得た。
(4)ハーフシェルの成形
上述のようにして得られたポリウレタンを酸化チタンとともにドライブレンドし、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150〜230℃に加熱された。ハーフシェルの圧縮成形は、得られたペレット状のカバー用組成物をハーフシェル成形用金型の下型の凹部ごとに1つずつ投入し、加圧してハーフシェルを成形した。圧縮成形は、成形温度170℃、成形時間5分、成形圧力2.94MPaの条件で行った。
(5)カバーの成形
(2)で得られたコアを(4)で得られた2枚のハーフシェルで同心円状に被覆して、圧縮成形によりカバーを成形した。圧縮成形は、成形温度145℃、成形時間2分、成形圧力9.8MPaの条件で行った。
得られたゴルフボール本体の表面をサンドブラスト処理して、マーキングを施した後、クリアーペイントを塗布し、40℃のオーブンで塗料を乾燥させ、直径42.7mm、質量45.3gのゴルフボールを得た。得られたゴルフボールのスピン性能について評価した結果を併せて表3〜4に示した。
Figure 0004927930
Figure 0004927930
表3〜表4で使用した材料は、以下の通りである。
12MDI:住化バイエルウレタン製デスモジュール
PTMG650:ダイアケミカル社製PTMG650(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量650)
PTMG850:保土谷化学工業社製PTMG−850SN(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量850)
PTMG1000:保土谷化学工業社製PTMG−1000SN(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量1000)
PTMG1500:保土谷化学工業社製PTMG−1500SN(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量1500)
PTMG2000:保土谷化学工業社製PTMG−2000SN(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量2000)
PTMG3000:保土谷化学工業社製PTMG−3000SN(ポリテトラメチレンエーテルグリコール数平均分子量3000)
BD:和光純薬工業社製1,4−ブタンジオール
ジブチルチンジラウレート:アルドリッチ製ジブチルチンジラウレート
表3〜4におけるアプローチショットのスピン量と剪断損失弾性率G”との相関関係を図1のグラフに示した。図1から、アプローチショットのスピン量と剪断損失弾性率G”との間には、よい相関が認められ、剪断損失弾性率G”が小さくなるとアプローチショットのスピン量が増大することが分かる。
表3〜4におけるドライバーショットのスピン量と引張損失弾性率E”との相関関係を図2のグラフに示した。図2から、ドライバーショットのスピン量と引張損失弾性率E”との間には、よい相関が認められ、引張損失弾性率E”が大きくなると、ドライバーショットのスピン量が増大することが分かる。
表3〜表4中、動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、剪断モードで測定した剪断損失弾性率G”が2.11×10Pa以下であり、引張モードで測定した損失弾性率E”の前記剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)が1.78以上であるゴルフボールは、ドライバーショットのスピン量が低く、アプローチショットのスピン量が高くなっていることが分かる。特に、ポリウレタンを構成するポリオール成分の数平均分子量が1500以上、3000以下の場合、スピン保持率が高くなり、雨天でも止まりやすいゴルフボールが得られる。
本発明によれば、アプローチショット時には高スピン量であり、ドライバーショット時には低スピン量のゴルフボールを提供することができる。

Claims (9)

  1. 動的粘弾性装置を用いて、加振周波数10Hz、温度0℃の測定条件で、剪断モードで測定した剪断損失弾性率G”が1.95×10Pa以下であり、引張モードで測定した引張損失弾性率E”の前記剪断損失弾性率G”に対する比(E”/G”)が1.78以上であることを特徴とするゴルフボールカバー用材料。
  2. 樹脂成分として、ポリウレタンを含有する請求項1に記載のゴルフボールカバー用材料。
  3. 前記ポリウレタンを構成するポリオール成分は、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項2に記載のゴルフボールカバー用材料。
  4. 前記ポリウレタンを構成するポリイソシアネート成分は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである請求項2または3に記載のゴルフボールカバー用材料。
  5. 前記ポリウレタンを構成する鎖延長剤成分が、1,4−ブタンジオールである請求項2〜4のいずれか一項に記載のゴルフボールカバー用材料。
  6. 前記剪断損失弾性率G”が1.83×10 Pa以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のゴルフボールカバー用材料
  7. コアとカバーとを有するゴルフボールであって、前記カバーが、請求項1〜のいずれか一項に記載のゴルフボールカバー用材料を含有することを特徴とするゴルフボール。
  8. 前記カバーのスラブ硬度は、ショアD硬度で5以上、80以下である請求項7に記載のゴルフボール。
  9. 前記カバーの厚みは、0.3mm以上、2.0mm以下である請求項7または8に記載のゴルフボール。
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