JP2007210876A - フェライト磁性材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】Coの含有量を従来よりも少なくしても、従来のSr、La及びCoを含有する六方晶M型フェライト磁性材料と同等の磁気特性を安定して得ることを目的とする。
【解決手段】Sr、La、R、Fe及びCoを構成元素として含む六方晶構造を有するフェライトを主成分とし、この主相におけるSr、La、R、Fe及びCoそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、組成式:Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCoで示され、この組成式で示される主成分に対して、副成分としてAl成分をAl換算で0.03〜0.6wt%含有することを特徴とするフェライト磁性材料。
ただし、上記組成式において、RはPr及びNdの1種又は2種であり、m、x、y及びzは、0<m≦0.10、0.07≦x≦0.20、0.07≦y≦0.12、0.90<z<1.10である。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物磁性材料に関し、特にSr、La及びCoを含有するM型のフェライト磁性材料に関するものである。
酸化物永久磁石材料としては、一般に六方晶系のマグネトプランバイト型(M型)Srフェライト又はBaフェライトが主に用いられている。これらのM型フェライトは、比較的安価で高い磁気特性を有するという特徴から、焼結磁石やボンディッド磁石として利用され、例えば家電製品や自動車等に搭載されるモータなどに応用されている。
近年、電子部品の小型化、高性能化への要求が高まっており、それに伴ってフェライト焼結磁石への小型化、高性能化が強く要求されている。例えば、特開平11−154604号公報(特許文献1)には、従来のM型フェライト焼結磁石では達成不可能であった高い残留磁束密度と高い保磁力とを有する、フェライト焼結磁石が提案されている。このフェライト焼結磁石は、少なくともSr、La及びCoを含有し、六方晶M型フェライトを主成分とするものである。また、特開平11−97226号公報(特許文献2)、特開平11−195516号公報(特許文献3)にSr、Pr及びCo又はSr、Nd及びCoを有する六方晶M型フェライトについて開示されている。
特開平11−154604号公報 特開平11−97226号公報 特開平11−195516号公報
しかしながら、これらのフェライト焼結磁石においても保磁力及び飽和磁化の両方の特性改善がさらに要求されている。また、これらのフェライト焼結磁石はCoを含有させることにより、保磁力(HcJ)及び残留磁束密度(Br)を向上させているが、Coが高価であるためにフェライト焼結磁石のコストアップを招いている。
一方で、フェライト焼結磁石を製造する場合に、その製造条件の変動によらず、高い磁気特性を安定して得ることが望まれる。工業的な製造規模においては、各製造工程の条件を一定に制御することが事実上困難であり、そのために得られるフェライト焼結磁石の磁気特性を安定して得ることは難しい。
そこで本発明は、Coの含有量を従来よりも少なくしても、従来のSr、La及びCoを含有する六方晶M型フェライト磁性材料と同等の磁気特性を安定して得ることを目的とする。
本発明者らは、六方晶M型フェライト焼結磁石の磁気特性向上について検討の結果、六方晶M型フェライトの主成分の一部をLa及びCoで置換したフェライトにおいて、Pr及びNdの1種又は2種を含有することにより、Co含有量の低減による磁気特性の低下を補償できることを知見した。しかし、Pr及びNdの1種又は2種を含有させた材料は、製造条件の変動、特に粉末の粒度及び焼成温度の変動による磁気特性の変動が比較的大きいことが判明した。この点について検討したところ、フェライトの構成元素以外に、副成分としてAlを含有することが、上記の製造条件の変動による磁気特性の変動を抑制できることを確認し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、Sr、La、R、Fe及びCoを構成元素として含む六方晶構造を有するフェライトを主成分とし、この主成分におけるSr、La、R、Fe及びCoそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、組成式:Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCoで示され、この組成式で示される主成分に対して、副成分としてAl成分をAl換算で0.03〜0.6wt%含有することを特徴とするフェライト磁性材料である。
ただし、上記組成式において、RはPr及びNdの1種又は2種であり、m、x、y及びzは、0<m≦0.10、0.07≦x≦0.20、0.07≦y≦0.12、0.90<z<1.10である。
本発明のフェライト磁性材料において、m、x、y及びzは、以下の値とすることが好ましい。
0.005≦m≦0.09
0.09≦x≦0.18
0.08≦y≦0.12
0.91≦z≦1.09
また、本発明のフェライト磁性材料において、Al成分はAl換算で0.05〜0.6wt%であることが好ましい。
また本発明のフェライト磁性材料において、主成分に対して、副成分としてCa成分をCaCO換算で0.95〜1.95wt%を含有し、かつSi成分をSiO換算で0.4〜0.9wt%を含有することが好ましい。
さらに、本発明のフェライト磁性材料において、1.1≦(x+m)/y≦2.2とすることが好ましい。
本発明によれば、Laの一部をPr及び/又はNdで置換することで、Co含有量を少なくしても従来のSr、La及びCoを含有する六方晶M型フェライト磁性材料と同等の高い磁気特性を得ることが可能となる。しかも、本発明によれば、このような高い磁気特性を製造条件の変動に対して安定して得ることができる。
本発明のフェライト磁性材料は、六方晶構造を有するフェライトを主成分とし、この主成分はSr、La、R、Fe及びCoから構成される。そして、Sr、La、R、Fe及びCoそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、組成式:Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCoで示される。ここで、m、x、y及びzは、0<m≦0.10、0.07≦x≦0.20、0.07≦y≦0.12、0.90<z<1.10、である。この組成式は、M型フェライトを示す一般式に基づいているが、酸素の表記を省略している。
以下、上記組成式の限定理由について説明する。
m:R
mが0を超える、つまりLaの一部をRで置換すると磁気特性が向上するが、mが0.10を超えると、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)ともにその低下が無視できなくなる。そこで本発明は0<m≦0.10とする。好ましいmの値は0.005≦m≦0.09、さらに好ましいmの値は0.01≦m≦0.07である。
RはPr及びNdの1種又は2種であり、この中ではPrを必須とすることが磁気特性向上にとってより好ましい。
x:La
上記組成式においてxが小さすぎると、すなわちLaの量が少なすぎると、六方晶M型フェライトに対するCoの所定の固溶量を確保できなくなり、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が低い。逆にxが大きすぎると、六方晶M型フェライト中に置換固溶できない過剰なLaが存在することにより、Laを含むオルソフェライト等の異相が生成するため、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が低下する。そこで本発明は0.07≦x≦0.20とする。好ましいxの値は0.09≦x≦0.18、さらに好ましくは0.10≦x≦0.15である。
y:Co
Co量を示すyが小さすぎると残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)がともに低い。しかし、yが大きすぎると、六方晶M型フェライト中に置換固溶できない過剰なCoが存在することになる。また、Coが置換固溶できる範囲であっても、異方性定数(K1)や異方性磁場(Ha)の劣化が大きくなってくる。さらに、本発明は、Co量の低減を目的とするものであり、0.07≦y≦0.12とする。好ましいyの値は0.08≦y≦0.12、さらに好ましくは0.09≦y≦0.11である。
z:Fe12―y
zが小さすぎるとSrやLaを含む異相が増加するため、またzが大きすぎるとα−FeやCoを含むスピネルフェライト相等の異相が増加するため、磁気特性が低下する。したがって本発明におけるzは、0.90<z<1.10とする。好ましいzの値は0.91≦z≦1.09、さらに好ましいzの値は0.93≦z≦1.05である。
(x+m)/y:(La+R)/Co
本発明のフェライト磁性材料は、La及びRの合計量とCo量との比を示す(x+m)/yを1.1≦(x+m)/y≦2.2とすることが好ましい。従来、前述した特許文献1〜3に開示されているように、この比は1であることが理想とされていた。しかし、1.1以上になると磁気特性が向上するため、(x+m)/yは、1.2≦(x+m)/y≦2.1とすることがより好ましく、1.4≦(x+m)/y≦1.8とすることがさらに好ましい。
上記組成式において、本発明はSrを用いる。ただし、六方晶M型フェライトの一般式であるMFe1219において、MとしてSrとともに用いられることが知られているBa及び/又はPbで、Srの一部、例えばSrの30原子%以下程度置換することを本発明は許容する。また、原料の純度によって、Ba及び/又はPbは不純物として0.1wt%程度混入することがあり、本発明はこのような形態をも包含する。
上記組成式は、Sr、La、R、Fe及びCoそれぞれの金属元素の総計の構成比率を示したものであるが、酸素Oも含めた場合には、Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCo19で表すことができる。本発明では、上記組成式で示される六方晶M型フェライト相(M相)主成分とし、この主成分の比率が95%以上であるフェライト磁性材料を得ることができる。ここで、酸素Oの原子数は19となっているが、これは、Coが2価、Fe、La及びRが3価であって、かつx=y、z=1のときの、酸素Oの化学量論組成比を示したものである。x、y、z及びmの値によって、酸素Oの原子数は異なってくる。また、例えば焼成雰囲気が還元性雰囲気の場合は、酸素Oの欠損(ベイカンシー)ができる可能性がある。さらに、FeはM型フェライト相においては通常3価で存在するが、これが2価などに変化する可能性もある。また、Coも価数が変化する可能性があり、さらにRにおいても3価以外の価数をとる可能性があり、これらにより金属元素に対する酸素Oの比率は変化する。以上では、また後述する実施例において、x、y、zの値によらず酸素Oの原子数を19と表示してあるが、実際の酸素Oの原子数は、これから多少偏倚した値を示すことがあり、そのような場合をも本願発明は包含することはいうまでもない。
本発明のフェライト磁性材料において、La及びRが所定量含まれていることを前提として、その一部を他の希土類元素(Ce、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)の1種又は2種以上で置換することができる。
本発明のフェライト磁性材料は、上述した組成式で示される主成分100wt%に対して、Al成分をAlに換算して0.03〜0.6wt%含有する。Al成分は、フェライト磁性材料の製造条件の変動による磁気特性の変動を抑制する効果を有する。すなわち、本発明のフェライト磁性材料は、成形体を構成する微粉砕材の比表面積により残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が変動するが、Al成分を含有させることにより、保磁力(HcJ)の変動を抑制することができる。また、本発明のフェライト磁性材料は、焼成温度により残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が変動するが、Al成分を含有させることにより、残留磁束密度(Br)の変動を抑制することができる。好ましいAl成分の含有量は、Alに換算して0.05〜0.6wt%、さらに好ましいAl成分の含有量は、Alに換算して0.05〜0.3wt%である。
本発明によるフェライト磁性材料は、さらに、副成分としてCa成分及びSi成分を含有することが好ましい。副成分としてのCa成分及びSi成分は、焼結性の改善、磁気特性の制御及び焼結体の結晶粒径の調整等を目的としている。なお、副成分としてのCa成分及びSi成分は、ほとんど粒界に存在する。
Ca成分としては、CaCOを用いるのが好ましい。含有量はCaCO換算で0.95〜1.95wt%、より好ましくは1.0〜1.8wt%である。
Si成分としてはSiOを用いるのが好ましい。含有量はSiO換算で0.4〜0.9wt%、より好ましくは0.5〜0.8wt%である。
本発明のフェライト磁性材料は、さらにCrを副成分として含有することができる。Crは、保磁力(HcJ)を向上させる効果を有する。しかし、Crは、残留磁束密度(Br)を低下させる傾向にあるため、好ましくは1.0wt%以下とする。なお、Cr添加の効果を充分に発揮させるためには、その含有量を0.1wt%以上とすることが好ましい。
本発明のフェライト磁性材料には、副成分としてBが含まれていてもよい。Bを含むことにより仮焼温度及び焼結温度を低くすることができるので、生産上有利である。Bの含有量は、フェライト磁性材料全体の0.5wt%以下であることが好ましい。B含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
本発明のフェライト磁性材料には、Na、K、Rb等のアルカリ金属元素は含まれないことが好ましいが、不純物として含有されていてもよい。これらをNaO、KO、RbO等の酸化物に換算して含有量を求めたとき、これらの含有量の合計は、フェライト焼結体全体の1.0wt%以下であることが好ましい。これらの含有量が多すぎると、飽和磁化が低くなってしまう。
本発明によるフェライト磁性材料の組成は、蛍光X線定量分析などにより測定することができる。フェライト磁性材料が焼結体を構成する場合、焼結体について蛍光X線定量分析によりその組成を分析することができる。本発明で特定される各元素の含有量は、この分析値によって特定することができる。
本発明のフェライト磁性材料は、フェライト焼結磁石を構成することができる。また、本発明のフェライト磁性材料は、フェライト磁石粉末を構成することができる。このフェライト磁石粉末は、樹脂と混合されることによりボンディッド磁石を構成することができる。また、本発明のフェライト磁性材料は、膜状の磁性層として磁気記録媒体などを構成することもできる。
本発明のフェライト磁性材料がフェライト焼結磁石の形態をなす場合、その平均結晶粒径は、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、さらに好ましくは0.2〜1.0μmである。結晶粒径は走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
本発明によるフェライト焼結磁石及びボンディッド磁石は所定の形状に加工され、以下に示すような幅広い用途に使用される。例えば、フューエルポンプ用、パワーウィンド用、ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)用、ファン用、ワイパ用、パワーステアリング用、アクティブサスペンション用、スタータ用、ドアロック用、電動ミラー用等の自動車用モータとして使用することができる。また、FDDスピンドル用、VTRキャプスタン用、VTR回転ヘッド用、VTRリール用、VTRローディング用、VTRカメラキャプスタン用、VTRカメラ回転ヘッド用、VTRカメラズーム用、VTRカメラフォーカス用、ラジカセ等キャプスタン用、CD/DVD/MDスピンドル用、CD/DVD/MDローディング用、CD/DVD光ピックアップ用等のOA/AV機器用モータとして使用することができる。さらに、エアコンコンプレッサー用、冷凍庫コンプレッサー用、電動工具駆動用、ドライヤーファン用、シェーバー駆動用、電動歯ブラシ用等の家電機器用モータとしても使用することができる。さらにまた、ロボット軸、関節駆動用、ロボット主駆動用、工作機器テーブル駆動用、工作機器ベルト駆動用等のFA機器用モータとしても使用することが可能である。その他の用途としては、オートバイ用発電器、スピーカ・ヘッドホン用マグネット、マグネトロン管、MRI用磁場発生装置、CD−ROM用クランパ、ディストリビュータ用センサ、ABS用センサ、燃料・オイルレベルセンサ、マグネトラッチ、アイソレータ等に、好適に使用される。
また、本発明のフェライト磁性材料が磁石粉末の形態をなす場合、その平均粒径を0.1〜5.0μmとすることが望ましい。ボンディッド磁石用粉末のより望ましい平均粒径は0.1〜2.0μm、さらに望ましい平均粒径は0.1〜1.0μmである。ボンディッド磁石を製造する際には、フェライト磁石粉末を樹脂、金属、ゴム等の各種バインダと混練し、磁場中または無磁場中で成形する。バインダとしては、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、塩素化ポリエチレン、ポリアミド樹脂などが好ましい。成形後、硬化を行ってボンディッド磁石とする。
本発明のフェライト磁性材料を用いて、磁性層を有する磁気記録媒体を作製することができる。この磁性層は、M型フェライト相を95モル%以上含む。磁性層の形成には、例えば蒸着法、スパッタ法などを用いることができる。スパッタ法で磁性層を形成する場合には、本発明によるフェライト焼結磁石をターゲットとして使用することもできる。なお、磁気記録媒体としては、ハードディスク、フレキシブルディスク、磁気テープ等が挙げられる。
次に、本発明のフェライト磁性材料の好ましい製造方法を焼結磁石について述べる。
本発明によるフェライト焼結磁石の製造方法は、配合工程、仮焼工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程及び焼成工程を含む。
<配合工程>
配合工程は、原料粉末を所定の割合となるように秤量後、湿式アトライタ、ボールミル等で0.1〜20時間程度混合、粉砕処理する。出発原料としては、フェライト構成元素の1種を含有する化合物(例えば、SrCO、La(OH)、Fe、Pr11及びCo)又はこれらの2種以上を含有する化合物を用いればよい。化合物としては酸化物、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等を用いる。出発原料の平均粒径は特に限定されないが、通常、0.1〜2.0μm程度とすることが好ましい。出発原料は、仮焼前の本工程ですべてを混合する必要はなく、各化合物の一部または全部を仮焼の後に添加する構成にしてもよい。また、副成分の一部または全部を配合時に添加する構成にしてもよい。
<仮焼工程>
配合工程で得られた原料組成物を仮焼する。仮焼は、通常、空気中等の酸化性雰囲気中で行われる。仮焼温度は1100〜1400℃の温度範囲で行うことが好ましく、1100〜1300℃がより好ましく、1100〜1250℃がさらに好ましい。安定時間は1秒間〜10時間、さらには1秒間〜3時間が好ましい。仮焼後の物質は、M相を70%以上有し、その一次粒子径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは2μm以下である。
<粉砕工程>
仮焼材は、一般に顆粒状、塊状等になっており、そのままでは所望の形状に成形ができないため、粉砕する。また、所望の最終組成に調整するための原料粉末、及び添加物等を混合するために、粉砕工程が必要である。本工程で主成分、副成分の原料の一部を添加することができ、それが後添加である。粉砕工程は、通常、粗粉砕工程と微粉砕工程に分かれる。なお、仮焼材を所定の粒度に粉砕することにより、ボンディッド磁石用のフェライト磁石粉末とすることもできる。
<粗粉砕工程>
前述のように、仮焼材は一般に顆粒状、塊状等であるので、これを粗粉砕することが好ましい。粗粉砕工程では、振動ミル等を使用し、平均粒径が0.5〜5.0μmになるまで処理される。なお、ここで得られた粉末を粗粉砕材と呼ぶことにする。
<微粉砕工程>
粗粉砕材を湿式アトライタ、ボールミル、あるいはジェットミル等によって粉砕し、平均粒径0.08〜2.0μm、好ましくは0.1〜1.0μm、より好ましくは0.2〜0.8μm程度に粉砕する。得られた微粉砕材の比表面積(BET法により求められる)としては、7〜12m/g程度とすることが好ましい。粉砕時間は、粉砕方法にもよるが、例えば湿式アトライタでは30分間〜10時間、ボールミルによる湿式粉砕では10〜40時間程度、処理すればよい。
微粉砕を行うにあたって、副成分を添加することが好ましい。特に本発明では、Al成分としてAlを、Si成分としてSiOを、Ca成分としてCaCOを添加することが好ましい。
本発明において、後添加物は微粉砕工程で添加されることが好ましい。また、本発明においては、焼結体の磁気的配向度を高めるために、一般式Cn(OH)nHn+2で示される多価アルコールを微粉砕工程で添加することが好ましい。ここで、前記一般式において、炭素数を表すnの好ましい値は4〜100、より好ましくは4〜30、さらに好ましくは4〜20、より一層好ましくは4〜12である。多価アルコールとしては、例えばソルビトールが望ましいが、2種類以上の多価アルコールを併用しても良い。さらに、多価アルコールに加えて、他の公知の分散剤を使用しても良い。
多価アルコールの添加量としては、添加対象物に対して0.05〜5.0wt%、好ましくは0.1〜3.0wt%、より好ましくは0.2〜2.0wt%程度とすればよい。なお、添加した多価アルコールは、磁場中成形工程後の焼成工程で熱分解除去される。
<磁場中成形工程>
磁場中成形工程は、乾式成形、もしくは湿式成形のいずれの方法でも行うことができるが、磁気的配向度を高くするためには、湿式成形で行うことが好ましい。
湿式成形を行う場合、微粉砕工程を湿式で行い、得られたスラリを所定の濃度に濃縮し、湿式成形用スラリとする。濃縮は、遠心分離やフィルタープレス等によって行えば良い。この場合、微粉砕材が、湿式成形用スラリ中の30〜80wt%程度を占めることが好ましい。また、分散媒としては水が好ましく、さらに、グルコン酸及び/又はグルコン酸塩、ソルビトール等の界面活性剤を添加することができる。
次いで、湿式成形用スラリを用いて磁場中成形を行う。成形圧力は0.1〜0.5ton/cm程度、印加磁場は5〜15kOe程度とすれば良い。なお、分散媒は水に限らず、非水系溶媒を使用しても良い。非水系の分散媒を使用する場合には、トルエンやキシレン等の有機溶媒を使用することができる。この場合には、オレイン酸等の界面活性剤を添加することが好ましい。
<焼成工程>
得られた成形体を焼成し、焼結体とする。焼成は、通常、大気中等の酸化性雰囲気中で行われる。焼成温度は1050〜1270℃、好ましくは1080〜1240℃の温度範囲で行い、保持する時間は0.5〜3時間程度とすれば良い。
湿式成形で成形体を得た場合、成形体を充分に乾燥させないまま急激に加熱すると、成形体にクラックが発生する可能性がある。その場合、室温から100℃程度まで、例えば0.5℃/分程度のゆっくりとした昇温速度にすることで、成形体を充分に乾燥し、クラック発生を抑制することが好ましい。また、界面活性剤(分散剤)等を添加した場合、100〜500℃程度の範囲で、例えば2.5℃/分程度の昇温速度とすることで脱脂処理を行い、分散剤を充分に除去することが好ましい。
出発原料として酸化鉄(Fe)、炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化プラセオジム(Pr11)及び水酸化ランタン(La(OH))を用意した。主成分を構成するこれらの出発原料を、焼成後の主成分が以下の組成式となるように秤量した後、主成分に対して0.6wt%となるように酸化ケイ素(SiO)を添加した。
組成式:Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCo19
R=Pr
m=0.03,x=0.12,y=0.10,z=1
(x+m)/y=1.5
この混合原料を湿式アトライタで10分間混合、粉砕してスラリ状の原料組成物を得た。この原料組成物を乾燥後、大気中1150℃で2時間保持する仮焼を行った。得られた仮焼材を小型ロッド振動ミルで粗粉砕した。得られた粗粉砕材に対して、前述の焼成後の主組成になるような0.68wt%の酸化コバルト(Co)を秤量して加えた後、前述の焼成後の主組成に対して1.5wt%の炭酸カルシウム(CaCO)、0.04wt%の酸化ケイ素(SiO)、0.1wt%の酸化アルミニウム(Al)及び0.5wt%のソルビトールを添加し、湿式アトライタにて微粉砕した。
得られた微粉砕スラリを脱水して固形分濃度を調整し、湿式磁場成形機を使用して、12kOeの印加磁場中で直径30mm×厚み15mmの円柱状成形体を得た。成形体は大気中室温にて乾燥後、大気中1170〜1220℃で1時間保持する焼成を行った(試料No.1−1)。
得られた円柱状焼結体の直径、厚み及び重量を測定してから上下面を加工した後、MPS磁気記録計を使用して、残留磁束密度(Br)、保磁力(HcJ)を測定した。
この材料の比較例として、以下のようにして2種類の材料を作製し同様に磁気特性の評価を行った。
比較例として、微粉砕時の酸化ケイ素(SiO)及び酸化アルミニウム(Al)を添加することなく、上記と同様に焼結体(試料No.1−2)を作製した。
また、試料No.1−3として、以下のような方法で同様の焼結体を作製した。なお、試料No.1−3は、Coの含有量が試料No.1−1、試料No.1−2よりも高く設定されている。このCoの含有量は、少なくともSr、La及びCoを含有し、六方晶M型フェライトを主成分とする従来のフェライト焼結磁石と同等である。
出発原料として酸化鉄(Fe)及び炭酸ストロンチウム(SrCO)を用意した。主成分を構成するこれらの出発原料を秤量した後、主成分に対して0.21wt%の酸化ケイ素(SiO)及び0.09wt%の炭酸カルシウム(CaCO)を添加した。
この混合原料を湿式アトライタで10分間混合、粉砕してスラリ状の原料組成物を得た。このスラリを乾燥後、大気中1240℃で2時間保持する仮焼を行った。
得られた仮焼材を小型ロッド振動ミルで粗粉砕した。得られた粗粉砕材に対して、1.15wt%の酸化コバルト(Co)及び3.3wt%の水酸化ランタン(La(OH))を秤量して加えた後、主組成に対して1.06wt%の炭酸カルシウム(CaCO)、0.43wt%の酸化ケイ素(SiO)及び0.45wt%のソルビトールを添加し、湿式アトライタにて微粉砕した。
得られた微粉砕スラリを脱水して固形分濃度を調整し、湿式磁場成形機を使用して、12kOeの印加磁場中で直径30mm×厚み15mmの円柱状成形体を得た。成形体は大気中室温にて乾燥後、大気中1210〜1230℃で1時間保持する焼成を行った。
得られた円柱状焼結体の直径、厚み及び重量を測定してから上下面を加工した後、MPS磁気記録計を使用して、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。
以上の測定結果を表1に示す。また、図1に、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の関係を示す。
なお、表1における|ΔBr(S)|、|ΔHcJ(S)|は、各々以下のように定義される。
|ΔBr(S)|:最適焼成温度±10℃の範囲における、残留磁束密度(Br)の最大値と最小値の差の絶対値を示し、これを残留磁束密度(Br)の焼成温度依存性と定義
|ΔHcJ(S)|:最適焼成温度±10℃の範囲における、保磁力(HcJ)の最大値と最小値の差の絶対値を示し、これを保磁力(HcJ)の焼成温度依存性と定義
また、試料No.1−1、試料No.1−2及び試料No.1−3の焼成後の主成分、副成分の組成を以下に列挙しておく。
試料No.1−1:
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe11.9Co0.1019
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.1−2:
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe11.9Co0.1019
副成分;CaCO=1.5wt%、SiO=0.6wt%
試料No.1−3:
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
Figure 2007210876
表1及び図1に示すように、試料No.1−1と試料No.1−2を比べると、残留磁束密度(Br)の焼成温度依存性|ΔBr(S)|及び保磁力(HcJ)の焼成温度依存性|ΔHcJ(S)|がともに試料No.1−1の方が小さく、特に残留磁束密度(Br)の焼成温度依存性については試料No.1−1の方が顕著に小さい。このことは、試料No.1−1の方が、焼成温度が変動しても磁気特性を安定して得られることを示している。また、試料No.1−1と試料No.1−2は、前者が副成分としてAlを添加しているのに対して後者は含んでいない点で相違する。
つぎに、Prを含む試料No.1−1は、添加した酸化コバルトの量が試料No.1−3よりも少ないにも係らず、同等以上の磁気特性が得られていることがわかる。
試料No.1−1の微粉砕時間を100〜120分間の範囲で変化させ、成形体の焼成温度を1190℃とした以外は、試料No.1−1と同様に焼結体の作製及び評価を行った(試料No.2−1)。
また、比較例として、試料No.1−2の微粉砕時間を100〜120分間の範囲で変化させ、成形体の焼成温度を1180℃とした以外は、試料No.1−2と同様に焼結体の作製及び評価を行った(試料No.2−2)。
評価結果を表2に示す。また、図2に微粉砕材の比表面積(BET)と残留磁束密度(Br)の関係を、図3に微粉砕材の比表面積(BET)と保磁力(HcJ)の関係を示す。
なお、表2における|ΔBr(B)|、|ΔHcJ(B)|は、各々以下のように定義される。
|ΔBr(B)|:BET 1m/g当りのBrの変化量を示し、これをBrのBET(比表面積)依存性と定義
|ΔHcJ(B)|:BET 1m/g当りのHcJの変化量を示し、これをHcJのBET(比表面積)依存性と定義
試料No.2−1に示す本発明による材料は、比較例である試料No.2−2に示す材料よりも微粉砕材の比表面積(BET)に対する残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の変化率を小さくすることができる。特に、保磁力(HcJ)については、比表面積(BET)によらずほとんど一定の値を示している。
Figure 2007210876
以上の実施例1、実施例2に示した結果により、本発明によって、現在工業的に生産されているフェライト焼結磁石の最高特性材(試料No.1−3)のCo含有量(Co=1.15wt%)からCo含有量を削減しても同等の磁気特性を得ることができ、かつ、磁気特性の焼成温度依存性及び微粉砕材の比表面積(BET)依存性を小さくすることが可能である。
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表3に示すように3種類の温度で行った。なお、各例の3つの焼成温度の中で、真中の温度を最適焼成温度と以下では称する。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表3に示す。また、図4に最適焼成温度におけるPr量(m)と残留磁束密度(Br)との関係を、また、図5に最適焼成温度におけるPr量(m)と保磁力(HcJ)との関係を示す。
試料No.3−1〜3−10(試料No.3−4は試料No.1−1と同じ)
主成分;Sr(0.88−m)La0.12(Pr/Nd)Fe11.9Co0.1019
m=0,0.01,0.02,0.03,0.04,0.06,0.08,0.11
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.3−11(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
表3、図4及び図5より、Pr及びNdの1種又は2種を含むことによって残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が向上することがわかる。ただし、Pr量(m)が多くなりすぎると、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が低下する。以上の結果より、本発明ではR量を示すmを0<m≦0.10とする。mは、好ましくは0.005〜0.09、より好ましくは0.01〜0.07である。
Figure 2007210876
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表4に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表4に示す。また、図6に最適焼成温度におけるLa量(x)と残留磁束密度(Br)との関係を、また、図7に最適焼成温度におけるLa量(x)と保磁力(HcJ)との関係を示す。
試料No.4−1〜4−8(試料No.4−4は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr(0.97−x)LaPr0.03Fe11.9Co0.1019
x=0.05,0.08,0.10,0.12,0.14,0.16,0.19,0.22
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.4−9(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
表4、図6及び図7より、La量(x)が多くなるにつれて残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が向上することがわかる。ただし、La量(x)が多くなりすぎると、残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が低下する。以上の結果より、本発明ではLa量を示すxを、0.07≦x≦0.20とする。xは、好ましくは0.09≦x≦0.18、より好ましくは0.10≦x≦0.15である。
Figure 2007210876
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表5に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表5に示す。また、図8に最適焼成温度におけるCo量(y)と残留磁束密度(Br)との関係を、また、図9に最適焼成温度におけるCo量(y)と保磁力(HcJ)との関係を示す。
試料No.5−1〜5−4(試料No.5−3は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe(12.0−y)Co19
y=0.06,0.08,0.10,0.12
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.5−5(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
表5、図8及び図9より、Co量(y)が多くなるにつれて残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が向上することがわかる。ただし、Co量(y)が多くなりすぎると、Co量低減という本願発明の趣旨を逸脱することになる。そこで、以上の結果をも考慮して、本発明ではCo量を示すyを、0.07≦y≦0.12とする。yは、好ましくは0.08≦y≦0.12、より好ましくは0.09≦y≦0.11である。
Figure 2007210876
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表6に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表6に示す。また、図10に最適焼成温度におけるzと残留磁束密度(Br)との関係を、また、図11に最適焼成温度におけるzと残留磁束密度(Br)との関係を示す。
試料No.6−1〜6−7(試料No.6−4は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe11.9zCo0.1019
z=0.90,0.92,0.98,1.00,1.02,1.08,1.10
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.6−8(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
表6、図10及び図11より、zが小さすぎても、また大きすぎても残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が向上することがわかる。そこで、以上の結果を考慮して、本発明ではzを、0.90<z<1.10とする。zは、好ましくは0.91≦z≦1.09、より好ましくは0.93≦z≦1.05である。
Figure 2007210876
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表7に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表7に示す。また、図12に最適焼成温度におけるAl量(wt%)と残留磁束密度(Br)との関係を、図13に最適焼成温度におけるAl量(wt%)と保磁力(HcJ)との関係を示す。
試料No.7−1〜7−6(試料No.7−3は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe11.9Co0.1019
副成分;Al=0wt%、0.05wt%、0.1wt%、0.2wt%、0.5wt%、0.7wt%
CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.7−7(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
表7、図12及び図13より、Al量が増えると保磁力(HcJ)は大きくなるが、残留磁束密度(Br)は小さくなる。そこで、以上の結果を考慮して、本発明ではAl量を、0.03〜0.6wt%とする。Al量は、好ましくは0.05〜0.6wt%、より好ましくは0.05〜0.3wt%である。
Figure 2007210876
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにし、さらにCaCO及びSiOを表8に示すように添加した以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表8に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表8に示す。
試料No.8−1〜8−13(試料No.8−8は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr0.85La0.12Pr0.03Fe11.9Co0.1019
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=表8、SiO=表8
試料No.8−14(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
Figure 2007210876
表8より、CaCO及びSiOの量によって残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が変動することがわかる。そして、CaCO及びSiOの量が、0.95〜1.95wt%、0.4〜0.9wt%の範囲とすることにより、高い残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を備えることができる。
焼成後の主成分が以下の組成式となるようにした以外は実施例1と同様にして焼結体を作製した。なお、焼成温度は、各例について表9に示すように3種類の温度で行った。焼結体について実施例1と同様に磁気特性を測定した。その結果を表9に示す。なお、表9には、(x+m)/yを記載した。また、図14には(x+m)/yと残留磁束密度(Br)の関係を、図15に(x+m)/yと保磁力(HcJ)の関係を示している。
試料No.9−1〜9−7(試料No.9−4は試料No.1−1と同じ):
主成分;Sr0.85LaPr0.03Fe11.9Co0.1019
x=0.05、0.08、0.12、0.19、0.22
副成分;Al=0.1wt%、CaCO=1.5wt%、SiO=0.64wt%
試料No.9−8(試料No.1−3と同じ):
主成分;Sr0.82La0.18Fe11.835Co0.16519
副成分;CaCO=1.15wt%、SiO=0.64wt%
Figure 2007210876
表9、図14及び図15より、(x+m)/yの値によって残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)が変動することがわかる。特に、(x+m)/yが1.1〜2.2の範囲にあると高い残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を得ることができる。
残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 微粉砕材の比表面積(BET)と残留磁束密度(Br)の関係を示すグラフである。 微粉砕材の比表面積(BET)と保磁力(HcJ)の関係を示すグラフである。 Pr量(m)と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 Pr量(m)と保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。 La量(x)と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 La量(x)と保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。 Co量(y)と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 Co量(y)と保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。 zと残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 zと保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。 Al量と残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 Al量と保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。 (x+m)/yと残留磁束密度(Br)との関係を示すグラフである。 (x+m)/yと保磁力(HcJ)との関係を示すグラフである。

Claims (8)

  1. Sr、La、R、Fe及びCoを構成元素として含む六方晶構造を有するフェライトを主成分とし、
    この主成分におけるSr、La、R、Fe及びCoそれぞれの金属元素の総計の構成比率が、
    組成式:Sr1−(x+m)LaFe(12−y)zCoで示され、
    この組成式で示される前記主成分に対して、副成分としてAl成分をAl換算で0.03〜0.6wt%含有することを特徴とするフェライト磁性材料。
    ただし、上記組成式において、
    RはPr及びNdの1種又は2種であり、
    m、x、y及びzは、
    0<m≦0.10、
    0.07≦x≦0.20、
    0.07≦y≦0.12、
    0.90<z<1.10である。
  2. 前記組成式において、0.005≦m≦0.09であることを特徴とする請求項1に記載のフェライト磁性材料。
  3. 前記組成式において、0.09≦x≦0.18であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフェライト磁性材料。
  4. 前記組成式において、0.08≦y≦0.12であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト磁性材料。
  5. 前記組成式において、0.91≦z≦1.09であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフェライト磁性材料。
  6. Al成分をAl換算で0.05〜0.6wt%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフェライト磁性材料。
  7. 前記主成分に対して、副成分としてCa成分をCaCO換算で0.95〜1.95wt%を含有し、かつSi成分をSiO換算で0.4〜0.9wt%を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフェライト磁性材料。
  8. 1.1≦(x+m)/y≦2.2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフェライト磁性材料。
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