JP2007204348A - 赤色顔料用酸化鉄粉およびその製造方法 - Google Patents

赤色顔料用酸化鉄粉およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化鉄中に含まれるMnの影響を抑制し、鮮やか赤色を示す塩化鉄系赤色顔料用酸化鉄粉とその有利な製造方法を提案する。
【解決手段】酸化鉄換算で、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25である塩化鉄溶液を、550〜800℃の温度で噴霧焙焼し、その後、粉砕することにより、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、比表面積が6〜14m/gであり、好ましくは、AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25で、さらに好ましくは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下である赤色顔料用酸化鉄粉を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤色顔料用酸化鉄粉に関し、特に、鮮やかな赤色を呈する塩化鉄系の赤色顔料用酸化鉄粉およびその製造方法に関するものである。
酸化鉄(ヘマタイト)は、人体に対する安全性が高く、耐候性や耐薬品性にも優れていることから、赤色の無機顔料として古くから用いられており、現在でも、コンクリートやアスファルト、ゴム、プラスチック、陶磁器などの様々な分野で着色剤として用いられている。
従来、赤色顔料用酸化鉄粉には、鮮やかな赤色を示す硫酸鉄を原料とする硫酸鉄系酸化鉄粉(以降、酸化鉄粉は「酸化鉄」とも略記する。)が主に用いられてきた。この硫酸鉄系酸化鉄は、硫酸第一鉄溶液とアルカリ溶液を原料として、湿式法でマグネタイトやゲータイト等を合成し、その後、これらを熱処理することにより製造されている。しかし、湿式法を用いる製法は、合成がバッチ処理になること、硫酸第一鉄溶液を中和するためのアルカリ溶液を必要とすること、得られたマグネタイトやゲータイト等を熱処理する工程が必要であること、工程が複雑で長く製造コストが高いこと等の問題がある。
赤色顔料用酸化鉄としては、他に塩化鉄系酸化鉄も用いられている。この塩化鉄系酸化鉄は、鉄鋼の製造過程で発生する酸洗廃液(塩化鉄溶液)を原料とし、これを噴霧焙焼して熱分解することにより製造している。塩化鉄を熱分解する方法としては、ルスナー法、ルルギ法、ケミライト法などが知られているが、これらの方法は、酸化鉄を連続的に大量に生産することができる。そのため、塩化鉄系酸化鉄は、硫酸鉄系酸化鉄に比べて、コスト的に有利である。
しかしながら、塩化鉄溶液を熱分解して製造する酸化鉄は、色調が茶色や紫色掛かった色をしており、鮮やかな赤色顔料用と言うには程遠く、顔料用としては適さない。そのため、顔料として用いられるにしても、ごく限られた色にのみ使われる程度で、その用途は極めて限定されているのが実情である。
酸化鉄の色調に影響を与える因子としては、粒子サイズや粒度分布(凝集状態)があり、粒子サイズが小さいほど鮮やかな赤色になり、逆に、大きいほど暗い赤色となること、また、粒度分布がブロードで粒子が凝集しているほど暗い赤色となり、逆に、粒度分布がシャープなほど鮮やかな赤色となることが知られている。
しかし、酸化鉄の色調に対して、粒子サイズや粒度分布と並んで大きな影響を及ぼすのが、酸化鉄中に含まれるMn量である。Mn量は、多いほど酸化鉄の色調が黒ずんだものとなり、鮮やかな赤色顔料用には適さないものとなる。塩化鉄系酸化鉄の色調が劣るのは、このMn量が多いためであり、Mnを多く含む場合には、粒子サイズを小さくしたり、粒度分布を改善したりしても、色鮮やかな赤色は得ることができない。噴霧焙焼して製造する塩化系酸化鉄にMnが多く含まれる理由は、原料となる酸洗廃液中に、鋼板を起源とするMnが含まれていて、それがそのまま酸化鉄に取り込まれてしまうためである。
従来、酸化鉄中のMn量を低減し、色鮮やかな赤色顔料用酸化鉄を得るために、各種の技術が開発されている。例えば、硫酸鉄系赤色顔料用酸化鉄の主要な製法である湿式法では、特許文献1に、Mnイオンを不純物として含む硫酸第一鉄溶液に、当量以上のアルカリを添加して得たFe(OH)とMn(OH)とを含むアルカリ性白色懸濁液に、60〜90℃に加温した状態で酸化性ガスを吹き込み、液中のFe(OH)の量がMn(OH)の量の少なくとも2倍量になる迄の時点で酸化反応を停止し、液中に残存するFe(OH)とMn(OH)とを酸処理によって溶解し、その後、液中に残存するFe粒子の沈殿物を濾過回収することによりMn量の少ない原料粉末を得る方法が提案されている。
また、特許文献2には、不純物としてMnを含む硫酸第一鉄溶液にアルカリを加えつつ酸化性ガスを吹き込んで鉄酸化物の沈殿を生成させる際に、溶液中の鉄イオン濃度がマンガンイオン濃度より低くならない状態で反応を停止する方法が提案されている。さらに、特許文献3には、塩化第一鉄溶液を用いる湿式合成法おいて、低Mnの黄色酸化鉄や黒色酸化鉄を生成させ、これを熱処理することにより赤色酸化鉄を得る方法が提案されている。しかし、これらの技術は、いずれも湿式法を用いているため、噴霧焙焼法を用いる場合よりもコストが高いという問題がある。
一方、噴霧焙焼法では、例えば、特許文献4には、塩化第一鉄主体の水溶液を500℃以下の温度で噴霧することにより、赤色酸化鉄を得る方法が提案されている。しかし、この方法は、未反応の化合物が酸化鉄中に残存するため、鮮やかさに欠けるものとなる他、Mnにより色調が黒ずむ影響を抑制することはできない。また、特許文献5には、SiOやAlを添加した塩化鉄溶液を噴霧焙焼する製法が提案されている。しかし、SiOやAlを添加することで酸化鉄が微粒化し、色調が改善することは記載されているものの、Mnの効果を抑制することについては触れられていない。
特開昭54−064099号公報 特開昭63−117915号公報 特開平11−228144号公報 特開2004−175596号公報 特開昭60−215530号公報
上記のように、塩化鉄溶液を噴霧焙焼する製法で、Mnにより色調が黒ずむ影響を抑制して鮮やかな赤色顔料用酸化鉄を得る技術は、今のところ確立されていないのが実情である。また、近年になり、赤色顔料用の硫酸鉄系酸化鉄に対して、製造コストの低減が求められるようになり、それに伴って、湿式法よりも安価な噴霧焙焼法で製造される塩化鉄系酸化鉄を、赤色顔料に適用することが検討され始めている。
一方、塩化鉄系酸化鉄は、従来、ハードフェライトやソフトフェライトの原料として主に用いられてきたが、フェライト産業の海外移転等に伴って、フェライト以外の分野への用途開発が望まれるようになった。
そこで、本発明の目的は、酸化鉄中に含まれるMnの影響を抑制し、鮮やか赤色を示す塩化鉄系赤色顔料用酸化鉄粉とその有利な製造方法を提案することにある。
発明者らは、酸化鉄中に含まれるMnの影響を抑制するための技術について鋭意検討を重ねた。その結果、不純物としてMnが含まれる酸化鉄に、適正量のAlを添加してやることで、上記課題を解決でき、鮮やかな赤色顔料用酸化鉄粉を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、塩化鉄溶液を噴霧焙焼して得られた酸化鉄粉であって、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、比表面積が6〜14m/gであることを特徴とする赤色顔料用酸化鉄粉である。
本発明の上記酸化鉄粉は、AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25であることを特徴とする。
また、本発明の上記酸化鉄粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下であることを特徴とする。
また、本発明は、酸化鉄換算で、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25である塩化鉄溶液を、550〜800℃の温度で噴霧焙焼し、その後さらに粉砕して、上記酸化鉄粉粉を得ることを特徴とする赤色顔料用酸化鉄粉の製造方法を提案する。
本発明によれば、塩化鉄溶液を噴霧焙焼する製造方法で、Mnによって酸化鉄の色調が黒ずむ影響を抑制した、鮮やかな赤色を呈する赤色顔料用酸化鉄粉を得ることができるので、従来の硫酸鉄系の赤色顔料に比べて、大幅にコストを下げることが可能になる。
本発明の赤色顔料用酸化鉄粉は、塩化鉄溶液を噴霧焙焼し、熱分解することにより製造される。この製造方法は、連続的に大量生産するのに適しており、硫酸鉄系酸化鉄粉の製造方法に比べて、コスト的に優れている。原料となる塩化鉄溶液は、塩化第一鉄溶液、塩化第二鉄溶液あるいは第一鉄溶液と第二鉄溶液の混合液を用いることができる。通常、塩化第一鉄溶液を用いることが多い。
本発明に係る赤色顔料用酸化鉄粉について説明する。
Mn:0.1〜3mass%
噴霧焙焼により製造される塩化鉄系酸化鉄粉は、一般に、鋼材を酸洗した廃液から得た塩化鉄溶液を原料に用いるため、鋼材起源のMnが不可避的に含まれる。本発明の酸化鉄中に含まれるMn量は、0.1〜3mass%であることが必要である。酸化鉄中に含まれるMn量が0.1mass%未満であれば、Mnの影響は小さく、そのままでも鮮やかな赤色を呈するので、本発明を適用する必要はない。一方、Mn量が0.1mass%を超えると、Mnの影響により酸化鉄の色調は黒ずんだものとなる。このMnの悪影響は、後述するように、Alの添加により抑制され、鮮やかな赤色を得ることができる。しかし、酸化鉄中に含まれるMn量が3mass%を超えると、Alを加えても鮮やかな赤色を得るのが困難である。よって、酸化鉄中のMn量は0.1〜3mass%の範囲とする。
Al:0.03〜3mass%
Alは、上述したように、Mnによる色調が黒ずむ影響を抑制し、鮮やかな赤色を得るのに有効な成分である。Alの含有量が0.03mass%未満では、Mnの悪影響を抑制する効果が充分ではなく、鮮やかな赤色は得られない。逆に、Alが3mass%を超えると、Alの固溶限を超えるため、AlFeOやα−Al等の酸化鉄(ヘマタイト)以外の相が生成するなどの問題が生じる。よって、Alの含有量は0.03〜3mass%の範囲とする。好ましいAl含有量は0.1〜2.5mass%であり、より好ましくは0.15〜2mass%である。
AlおよびMnの質量比(Al/Mn):0.3〜25
酸化鉄中に含まれるAlおよびMnの質量比(Al/Mn)は、0.3〜25であることが好ましい。Mnによる色調が黒ずむ悪影響を抑制するためには、Mnに対して一定量以上のAlを含むことが望ましいからである。Al/Mnが0.3未満では、Mnの影響を抑制するのに充分ではなく、一方、25を超えると、顔料の色調に黄色味が強くなったり、Alの固溶限を超えるためAlFeOやα−Al等の酸化鉄(ヘマタイト)以外の相が生成したりするなどの問題が生じるからである。
なお、本発明の酸化鉄粉は、MnやAlの他に、SiOやCa,Ni,Co,Mg,P,Cl,Sなど、酸化鉄に含まれる一般的な不純物を含んでいても、その効果は失われるものではない。
比表面積:6〜14m/g
本発明の赤色顔料用酸化鉄粉は、比表面積が6〜14m/gのものであることが好ましい。赤色酸化鉄の色調は、粒子径に依存することが知られており、粒子径が大きい場合には、紫色や茶色掛かった色となるが、粒子径が小さくなるにつれ、暗赤→赤→黄赤の順に変化する。噴霧焙焼により製造される酸化鉄の比表面積は、一般には3〜4m/g程度で、粒径が小さい酸化鉄であっても5m/g程度である。つまり、顔料用の鮮やかな赤色の酸化鉄と比べると粒径が大きいため、茶色や紫色掛かった色をしていて、鮮やかな赤色顔料には程遠いものである。
しかし、噴霧焙焼の条件を適正化することにより、一次粒子を小さく、かつ、比表面積を6〜14m/gとすることができ、鮮やかな赤色を得ることが可能となる。比表面積が6m/g未満では、上述した理由により、鮮やかな赤色顔料には使用できない。一方、比表面積が14m/gを超えると、赤味は弱くなって黄色味が強くなるため好ましくない。また、細かくなることにより凝集が激しくなり、粉砕してもD50を0.7μm以下にすることが難しくなる。また、粉砕を行っても、後述する、2μm以上の粗粒量が5vol%以下にならないため、色調が悪化し好ましくない。より好ましい比表面積は6〜12m/g、さらに好ましくは7〜10m/gである。
50:0.7μm以下、2μm以上の凝集粒子:5vol%以下
さらに、本発明の酸化鉄は、レーザー回折式の粒度分布測定装置で測定したD50(粉体の粒径分布において、ある粒子径より大きい粒子の質量が、全粉体のそれの50%を占めるときの粒子径、メディアン径とも言う)が0.7μm以下で、かつ、2μm以上の凝集粒子の量が5vol%以下であること好ましい。前述したように、粒径が大きいと、色調が黒ずんだものとなり、鮮やかな色の赤色顔料として用いるには適切ではないからである。しかし、塩化鉄溶液を噴霧熱分解して製造する酸化鉄は、高温で焙焼して製造されるため、一般に、製造時の熱により凝集が生じやすい。そのため、硫酸鉄系の顔料用酸化鉄と比較すると、凝集粒を多く含み、D50が大きいという問題がある。したがって、鮮やかな色調の赤色顔料を得るためには、大きな凝集粒子を低減し、D50を小さくすることが必要であり、特に、D50が0.7μmを超えると、色が黒ずむため、D50は0.7μm以下とするのが好ましい。より好ましいD50は0.6μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。
また、凝集粒子は、粒径が大きい一次粒子と同じように振舞うため、凝集粒子が多く存在する場合には、色調は黒ずんだものとなり、鮮やかな色の赤色顔料として用いるには適切ではない。2μm以上の凝集粒子は、色調に大きく影響し、特に、この凝集粒子量が5vol%よりも多い場合には,色調は黒ずんだものとなり、好ましくない。よって、2μm以上の凝集粒子は、5vol%以下とするのが好ましい。より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下であり、理想的には0%が望ましい。なお、上述した、レーザー回折式の粒度分布測定装置は、一般に市販されているものが使用できる。
次に、本発明に係る酸化鉄の製造方法について説明する。
本発明の酸化鉄の製造方法は、不可避的に含まれるMnを、酸化鉄換算で0.1〜3mass%含有し、さらにAlを酸化鉄換算で0.03〜3mass%含有し、上記AlおよびMnの含有量の比(Al/Mn)が0.3〜25の範囲にある塩化鉄溶液を、550〜800℃の温度で噴霧焙焼し、その後、粉砕することを特徴とする。
原料となる塩化鉄溶液中に含まれるMn量が、酸化鉄換算で0.1mass%未満であれば、得られる酸化鉄のMnによる色調への悪影響は小さく、そのままでも鮮やかな赤色の酸化鉄を得ることができる。しかし、Mn量が0.1mass%を超えると、Mnの影響により酸化鉄の色調は黒ずんだものとなるが、Mn量が0.1〜3mass%であればAlの添加により、Mnの影響を抑制して鮮やかな赤色を得ることができる。一方、塩化鉄溶液中に含まれるMn量が3mass%を超えると、Alを加えても鮮やかな赤色を得るのは困難である。
また原料となる塩化鉄溶液には、Mnの他に、Alを酸化鉄換算で、0.03〜3mass%含有することが必要である。Alを含有することで、Mnによる色調が黒ずむ影響を抑制し、鮮やかな赤色を得ることができるためである。Alが0.03mass%未満では、Mnの影響を抑制する効果が充分ではなく、鮮やかな赤色は得られない。逆に、Alが3mass%を超えると、Alの固溶限を超えるため酸化鉄以外の相が生成するなどの問題が生じる。塩化鉄溶液中の好ましいAl含有量は、酸化鉄換算で、0.1〜2.5mass%、さらに好ましくは、0.15〜2mass%である。
また、原料塩化鉄溶液に含まれるAlおよびMnの質量比(Al/Mn)は、0.3〜25である。Mnにより色調が黒ずむ効果を抑制するためには、一定量以上のAlを含む必要があるためである。質量比Al/Mnが0.3未満では、Mnの影響を抑制するのに充分ではなく、25を超えると、Alの固溶限を超えるためAlFeOやα−Al等の酸化鉄(ヘマタイト)以外の相が生成するなどの問題が生じる。Alの添加方法としては、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどを、塩化鉄溶液に添加すればよい。
熱分解のための噴霧焙焼温度は、550〜800℃であることが好ましい。噴霧焙焼温度が800℃よりも高い場合には、一次粒子が成長して大きくなり易く、また熱により一次粒子同士が焼結して凝集粒を作るなどの問題が生じるため、粒径が小さい比表面積6〜14m/gの鮮やかな赤色の酸化鉄が得られない。逆に、噴霧焙焼温度が550℃よりも低い場合には、熱分解が完全に起こらないため、未分解の塩化鉄が残留したり、酸化鉄中に未酸化のFe2+が存在したりするため、色調が悪い酸化鉄となる。なお、噴霧焙焼温度の他に、ノズル径を小さくする、塩化鉄溶液の濃度を下げる、塩化鉄溶液の噴霧量を減らす等も、本発明の粒径の小さい酸化鉄を得るためには有効である。
本発明の酸化鉄の製造方法では、焙焼後に粉砕を行う必要がある。というのは、本発明の酸化鉄は、製法上、噴霧焙焼時に凝集粒子が生成してしまうため、凝集粒子を砕いてシャープな粒度分布にする必要があるためである。粉砕により、レーザー回折式の粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、かつ2μm以上の凝集粒子が5vol%以下になるように粉砕するのが好ましい。粉砕方法としては、ジェットミルや振動ミル、アトマイザーなど、公知の粉砕方法を用いることができる。またアトライターやボールミル、ビーズミルなどの湿式粉砕を用いることもできる。
表1に(発明例1〜15)および(比較例1〜8)として示した、酸化鉄に換算したMn,Alの含有量がそれぞれ異なるFe濃度が120g/lの塩化第一鉄溶液を噴霧焙焼して塩化鉄系酸化鉄とし、これをアトマイザー、振動ミル、ジェットミルを用いて粉砕し、以下の評価に供した。また、従来例として、市販の塩化鉄系一般酸化鉄(従来例1)、市販の塩化鉄系高純度酸化鉄(従来例2)および市販の赤色顔料用の硫酸鉄系酸化鉄(従来例3)についても同様の評価を行った。
(a)酸化鉄中のMn、Al含有量:ICPで分析
(b)比表面積:BET法にて測定
(c)D50および2μm以上の粗粒量:レーザー回折式粒度分布測定装置(HRA、Microtrac社製)を使用
(d)色調:酸化鉄1gにあまに油0.6gを加えてフーバーマーラーでペースト化し、得られたペーストに透明ラッカー12gを加えて、アプリケーターにて厚み0.2mmの塗膜試料を作製し、得られた試料について、日本電色製の色差計を用いて、L値、a値およびb値を測定し、従来の塩化鉄系一般酸化鉄(従来例1)のL値、a値、b値を基準(0)とし、これからのずれ値(ΔL、Δa、Δb)を求めた。
上記測定の結果を、表1に併記して示した。この結果から、噴霧焙焼温度が550〜800℃で、比表面積が6〜14m/g、酸化鉄中のMnが0.1〜3mass%、Alが0.03〜3mass%、AlおよびMnの質量比(Al/Mn)が0.3〜25、D50が0.7μm以下、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下の条件を満たす酸化鉄は、従来の塩化鉄系一般酸化鉄(従来例1)や塩化鉄系高純度酸化鉄(従来例2)に比べて、ΔL、Δa、Δbが大きくて市販の硫酸鉄系酸化鉄(従来例3)に近く、赤色顔料として適していることがわかる。
本発明の技術は、一般の赤色顔料用酸化鉄だけでなく、より耐熱性が求められる用途にも適用することができる。

Claims (4)

  1. 塩化鉄溶液を噴霧焙焼して得られた酸化鉄粉であって、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、比表面積が6〜14m/gであることを特徴とする赤色顔料用酸化鉄粉。
  2. AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25であることを特徴とする請求項1に記載の赤色顔料用酸化鉄粉。
  3. レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の赤色顔料用酸化鉄粉。
  4. 酸化鉄換算で、Mnを0.1〜3mass%、Alを0.03〜3mass%含有し、AlとMnとの質量比(Al/Mn)が0.3〜25である塩化鉄溶液を、550〜800℃の温度で噴霧焙焼し、その後さらに粉砕して、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化鉄粉を得ることを特徴とする赤色顔料用酸化鉄粉の製造方法。
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