JP4732969B2 - 赤色顔料用酸化鉄粉 - Google Patents

赤色顔料用酸化鉄粉 Download PDF

Info

Publication number
JP4732969B2
JP4732969B2 JP2006171269A JP2006171269A JP4732969B2 JP 4732969 B2 JP4732969 B2 JP 4732969B2 JP 2006171269 A JP2006171269 A JP 2006171269A JP 2006171269 A JP2006171269 A JP 2006171269A JP 4732969 B2 JP4732969 B2 JP 4732969B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iron oxide
mol
amount
iron
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006171269A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008001542A (ja
Inventor
孝宏 菊地
聡志 後藤
広幸 峰村
愼一 来島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Chemical Corp
Original Assignee
JFE Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Chemical Corp filed Critical JFE Chemical Corp
Priority to JP2006171269A priority Critical patent/JP4732969B2/ja
Publication of JP2008001542A publication Critical patent/JP2008001542A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4732969B2 publication Critical patent/JP4732969B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compounds Of Iron (AREA)

Description

本発明は、赤色顔料用酸化鉄粉に関し、特に、鮮やかな赤色を呈する赤色顔料用酸化鉄粉に関するものである。
Feで表される酸化鉄(ヘマタイト)は、人体に対する安全性が高く、耐候性や耐薬品性にも優れていることから、古くから赤色の無機顔料として用いられてきた。また、現在でも、コンクリートやアスファルト、ゴム、プラスチック、陶磁器等の様々な分野で、赤色の着色剤として用いられている。
上記赤色顔料に用いられている酸化鉄(ヘマタイト)には、紫がかった色から鮮やかな赤色まで様々な色が存在する。酸化鉄の色調に影響する因子としては、粒子サイズや粒度分布(凝集状態)の他に、酸化鉄中に含まれるMn量がある。特に、Mnの含有量が色調に及ぼす影響は大きく、Mn含有量が多くなると、酸化鉄の色調は黒ずんだものとなる。
ところで、赤色顔料用酸化鉄Fe(ヘマタイト)の原料としては、硫酸第一鉄溶液や塩化第一鉄溶液が多く用いられている。このうち、硫酸第一鉄溶液を原料に用いる場合には、アルカリを副原料としてマグネタイト(Fe)やゲータイト(α−FeO(OH))等を湿式合成し、その後、熱処理してヘマタイトを得る湿式法が一般に用いられている。そのため、湿式法では、従来から、Mnの含有量を低減し、鮮やかな赤色を示す酸化鉄を得るための努力がなされてきた。
例えば、特許文献1には、Mnイオンを不純物として含む硫酸第一鉄溶液に、当量以上のアルカリ溶液を添加して得たFe(OH)とMn(OH)とを含むアルカリ性白色懸濁液に、60〜90℃に加温した状態で酸化性ガスを吹き込んで酸化させ、液中のFe(OH)の量がMn(OH)の量の少なくとも2倍量になる迄に酸化反応を停止し、液中に残存するFe(OH)とMn(OH)とを酸処理して溶解し、その後、液中に残存するFe粒子の沈殿物を濾過回収することによって、Mn量の少ない原料粉末を得る方法が提案されている。また、特許文献2には、不純物としてMnを含む硫酸第一鉄溶液にアルカリを加えつつ酸化性ガスを吹き込んで鉄酸化物の沈殿物を生成させる際、溶液中のFeイオン濃度がMnイオン濃度より低くならない状態で反応を停止する方法が提案されている。
一方、塩化第一鉄溶液を酸化鉄原料とする場合には、鉄鋼の製造過程で発生する酸洗廃液(塩化鉄溶液)を原料とし、これを噴霧焙焼して熱分解し、酸化鉄(ヘマタイト)を得る噴霧焙焼法が一般的に用いられている。しかし、上記塩化鉄溶液には、鉄鋼を起源とするMnが多量に含まれており、それが製品である酸化鉄中にも必然的に取り込まれてしまうため、Mn量の低い顔料用酸化鉄を得るのは難しい。また、塩化鉄溶液を噴霧焙焼して得られる酸化鉄は、Mnを含む他に、粒径が大きいという特性に起因して紫色がかった色をしており、鮮やかな赤色顔料と言うには程遠いのが実情であり、その用途は極めて限定されていた。
そこで、噴霧焙焼法においても、酸化鉄の色調を改善する各種方法が検討されている。例えば、特許文献3には、塩化第一鉄主体の水溶液を500℃以下の温度で噴霧することにより、赤色酸化鉄を得る方法が提案されている。また、特許文献4には、SiOやAlを添加した塩化鉄溶液を噴霧焙焼する方法が提案されている。
特開昭54−064099号公報 特開昭63−117915号公報 特開2004−175596号公報 特開昭60−215530号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示された湿式法は、酸処理により残存Fe(OH)とMn(OH)を溶解させる工程が必要になること、また、反応を停止するタイミングの見極めが難しく、廃液中にFeイオンやMnイオンが多量に残留するなどの問題がある。したがって、Mn含有量の少ない酸化鉄を得るためには、高純度の硫酸第一鉄溶液を原料に用いざるを得ない。また、特許文献3に開示された方法は、未反応の化合物が酸化鉄中に残存するため、鮮やかさに欠けるものとなる他、Mnによって色調が黒ずむ影響を抑制することはできない。さらに、特許文献4の噴霧焙焼法では、SiOやAlを添加することで、酸化鉄が微粒化して色調が改善されるものの、Mnの悪影響を抑制することについては考慮されていない。
上記のように、赤色顔料用酸化鉄(ヘマタイト)の原料として硫酸第一鉄溶液を用いる湿式法、塩化鉄溶液を用いる噴霧焙焼法のいずれの方法においても、Mnの色調への悪影響を抑制することに成功していないのが実情である。
そこで、本発明の目的は、Mnによる色調への悪影響を抑制した、鮮やかな赤色を示す顔料用酸化鉄を提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決すべく検討を重ねた。その結果、酸化鉄Feの比表面積を適正範囲に制御すると共に、Fe中のFe原子の一部をある特定の元素により置換してやることにより、Mnの影響を抑制し、鮮やかな赤色を示す顔料用酸化鉄が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、比表面積が6〜14m/gのFe粉であって、Fe 中のFe原子の4.5mol%以下がMnにより置換されてなり、かつ、Fe中のFe原子の一部が、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,B,Gaおよびnの中から選ばれる1種以上の元素により合計で0.1〜9mol%置換されてなる赤色顔料用酸化鉄粉である。
また、本発明の赤色顔料用酸化鉄粉は、Fe 中のFe原子の0.07〜4.5mol%がMnにより置換されてなり、(Mn以外の置換元素による合計置換量(mol%))/(Mnによる置換量(mol%))が0.3以上であることを特徴とする。
また、本発明の赤色顔料用酸化鉄粉は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下であることを特徴とする。
本発明によれば、Mnにより酸化鉄の色調が黒ずむのを抑制し、色鮮やかな赤色顔料用酸化鉄を得ることが可能になる。そのため、本発明によれば、湿式法で鮮やかな赤色顔料酸化鉄を得るために、原料としてMn量の少ない硫酸鉄系溶液を用いる必要がなく、また、噴霧焙焼法でも、従来は得ることができなかった鮮やかな赤色の酸化鉄を製造できるようになるので、低コスト化が可能になる。
本発明に係る赤色顔料用酸化鉄粉について説明する。
比表面積:6〜14m/g
酸化鉄粉の色調は、粒子径に依存して変化することが知られており、粒子径が大きい、即ち、比表面積が小さい場合には、紫色あるいは茶色掛かった色をしているが、粒子径が小さくなる、即ち、比表面積が大きくなるにつれて、暗赤→赤→黄赤のように変化していく。噴霧焙焼法で熱分解して得られる酸化鉄粉の比表面積は、通常、3〜4m/g程度で、粒径が小さいものであっても比表面積は5m/g程度である。したがって、赤色顔料として一般に用いられている酸化鉄粉と比べると粒径が大きく、茶色あるいは紫色掛かった色をしていて、鮮やかな赤色顔料と言うには程遠いものである。
しかし、一次粒子径を小さくし、比表面積を6〜14m/gの範囲に制御することにより、噴霧焙焼法でも、鮮やかな赤色酸化鉄を得ることができる。比表面積が6m/g未満では、鮮やかな赤色顔料には使用できない。一方、比表面積が14m/gを超えると、赤味が弱くなって黄色味が強くなるので好ましくない。また、粒子径が細かくなることによって、鉄粉が凝集し易くなり、粉砕しても、後述するD50が0.7μm以下にならなかったり、2μm以上の粗粒量が5vol%以下にならなかったりするなどの問題が生じるため、色調が悪化するので好ましくない。好ましい比表面積は6〜12m/g、さらに好ましくは7〜10m/gの範囲である。
Fe置換元素:Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,Ge,Snの中から選ばれる1種または2種以上を合計で0.1〜9mol%
本発明の酸化鉄は、Fe中のFeの一部を、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnの中から選ばれる1種以上の元素で置換したものであることに特徴がする。これらの元素でFeの一部を置換することによって、酸化鉄の色調がより鮮やかになる。ただし、これら元素の合計置換量が0.1mol%より少ない場合には、酸化鉄の色調を鮮やかにする効果が充分に得られない。一方、上記元素の合計置換量が9mol%を超える場合には、置換元素が酸化鉄に固溶する限度を超えてしまうため、酸化鉄以外の相が生成したり、黄色の色が強くなり過ぎたりするなどの問題が生じる。したがって、これらの元素の合計置換量は、酸化鉄中のFeに対して0.1〜9mol%の範囲に制御する必要がある。好ましくは0.3〜7mol%、さらに好ましくは0.5〜5mol%の範囲である。
Fe中のFeの一部を上記置換元素で置換するには、上記元素からなる硫酸化合物、塩化物、水酸化物などを、原料である硫酸鉄溶液や塩化鉄溶液に加えて酸化鉄を作ればよい。なお、本発明の酸化鉄は、これらの置換元素の他に、本発明の効果を害さない範囲内であれば、SiO,Al,Ni,Co,P,Cl,S等の不可避に取り込まれる不純物を含むことができる。
Mn:Fe中のFeの0.07mol%未満または0.07〜4.5mol%
本発明の酸化鉄には、不可避的にMnが混入してくる。例えば、硫酸鉄溶液を原料とする場合には、硫酸鉄溶液が得られる酸化チタン(白色顔料)の製造工程や、硫酸にスクラップを溶解する工程でMnが溶け込み、酸化鉄中に取り込まれる。また、塩化鉄溶液の場合は、鉄鋼の製造過程で発生した酸洗廃液を塩化鉄溶液の原料に用いるため、鋼材を起源とするMnが不可避的に混入し、これが酸化鉄中に取り込まれるからである。
酸化鉄中に含まれるMn量が0.07mol%未満の場合には、上記置換元素を添加しなくても、程々に鮮やかな赤色を得ることができる。しかし、0.07mol%未満であっても、上記置換元素を添加することで、より鮮やかな赤色の酸化鉄粉を得ることができる。一方、Mn量が0.07mol%を超えて多くなると、酸化鉄粉の色調は黒ずんだものとなるが、上記置換元素の添加により、Mnの影響を抑制して鮮やかな赤色を得ることができる。しかし、4.5mol%を超えると、上記置換元素の添加によっても鮮やかな赤色を得るのは困難となる。
(Mn以外の置換元素による合計置換量(mol%))/(Mnによる置換量(mol%)):0.3以上
本発明の酸化鉄Fe中に含まれる、上記Mn以外の置換元素による合計置換量(mol%)とMnによる置換量(mol%)の比は、0.3以上であることが好ましい。Mnにより色調が黒ずむ効果を抑制するためには、一定量以上の置換元素が必要なためである。モル比が0.3未満では、Mnの影響を十分に抑制することができない。
50:0.7μm以下、2μm以上の凝集粒子:5vol%以下
塩化鉄溶液から得られる酸化鉄は、一般に高温で噴霧焙焼して製造されるため、製造時の熱によって凝集が起こり易いので、硫酸鉄溶液から得られる酸化鉄と比較すると、凝集粒子を多く含むようになる。凝集粒子は、物理的に、粒径が大きい一次粒子と同じように振舞うため、凝集粒子が多く存在する場合には、色調は黒ずんだものとなり、鮮やかな色の赤色顔料として用いることができない。
従って、鮮やかな色調の赤色顔料を得るためには、大きな粒子だけでなく、大きな凝集粒子をも低減することが好ましく、具体的には、レーザー回折式の粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下でかつ2μm以上の凝集粒子が5vol%以下であることが望ましい。ここで、上記D50とは、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した粉体の粒径分布において、ある粒径よりも大きい粒子の体積が、粉全体の50%を占めるときの粒子径(中位径とも言う)のことである。なお、上記粒度分布測定装置は、一般に市販されているものを使用できる。
求める色調により適切なD50は異なるが、D50が小さい方が鮮やかな赤色となり、D50が0.7μmを超えると、色が黒ずむため好ましくない。より好ましいD50は0.6μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下である。また、2μm以上の凝集粒子の量も色調に影響し、5vol%よりも多い場合には、色調は黒ずんだものとなるため、凝集粒子は5vol%以下が好ましい。より好ましくは3vol%以下、さらに好ましくは1vol%以下が望ましく、理想的には0vol%である。
次に、本発明の酸化鉄粉の製造方法の概略を説明する。
本発明の酸化鉄粉の製造方法としては、湿式法、噴霧焙焼法のいずれの方法を用いてもよい。湿式法を用いる場合は、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnの中から選ばれる1種以上の元素を含み、これらの元素の合計置換量が酸化鉄中のFe原子の0.1〜9mol%に相当する原料溶液を用いて製造すればよい。なお、原料溶液中に含まれるMnの量は、酸化鉄中のFeに対して、0.07mol%未満であることが好ましいが、0.07〜4.5mol%の範囲で含有していても構わない。原料溶液としては、硫酸第一鉄溶液、塩化第一鉄溶液のいずれも用いることができる。それ以外にも、硫酸第二鉄溶液や塩化第二鉄溶液、硝酸鉄溶液などを用いることもできる。また、これら複数の溶液の混合物であっても構わない。
上記溶液から湿式法で酸化鉄を得るには、上記鉄塩溶液をアルカリ溶液で中和して水酸化鉄を生成させ、さらにこの水酸化鉄を含む溶液に特定条件の温度、pH下で空気を吹き込んで酸化し、得られるゲータイトやレピドクロサイト(γ−FeO(OH))などの含水酸化鉄やマグネタイトを水洗、乾燥後に焼成する方法、水酸化鉄自体を水洗、乾燥した後に焼成する方法など、一般的に知られている方法を用いることができる。
また、塩化鉄溶液から酸化鉄を得る場合には、通常、噴霧焙焼法が用いられるが、この場合も、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnの中から選ばれる1種以上の元素を含み、これらの元素の合計置換量が酸化鉄中のFe原子の0.1〜9mol%に相当する原料塩化鉄溶液を噴霧焙焼すればよい。この場合も、原料溶液中に含まれるMnの量は、酸化鉄中のFeに対して、0.07mol%未満であることが好ましいが、0.07〜4.5mol%の範囲で含有していても構わない。
噴霧焙焼する時の温度は、550〜800℃の範囲が好ましい。噴霧焙焼温度が800℃よりも高い場合には、一次粒子が成長して大きくなり易く、またこの時の熱によって一次粒子同士が焼結して凝集粒を形成し易くなるため、比表面積6〜14m/gの小さい粒径の酸化鉄が得難くなり、鮮やかな赤色酸化鉄粉にはならない。逆に、噴霧焙焼温度が550℃よりも低い場合には、熱分解が完全に起こらないため、未分解の塩化鉄が残留したり、酸化鉄中に未酸化のFe2+が存在したりするため、色調が悪い酸化鉄となる。また噴霧焙焼温度の他にも、ノズル径を小さくしたり、塩化鉄溶液の濃度を下げたり、あるいは、塩化鉄溶液の噴霧量を減らすことも、粒径の小さい酸化鉄を得るためには有効である。
本発明の酸化鉄は、上記湿式法あるいは噴霧焙焼法で得た酸化鉄を、さらに粉砕し、D50が0.7μm以下かつ2μm以上の凝集粒子が5vol%以下のシャープな粒度分布にするのが望ましい。粉砕方法としては、ジェットミルや振動ミル、アトマイザーなど、一般に知られている粉砕方法を用いることができる。また、アトライターやボールミル、ビーズミルなどの湿式粉砕法を用いてもよい。
Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnの金属イオンを表1に示した量を含有するFe濃度が0.5mol/lの塩化第一鉄溶液または硫酸第一鉄溶液を、水酸化ナトリウムで中和してFeおよび上記金属イオンを含む水酸化鉄溶液とし、次いで、この溶液を温度80℃、pH10に維持しながら、液中に空気を吹き込んで酸化し、上記金属を含む鉄酸化物を得、その後、この鉄酸化物を脱塩し、濾過し、乾燥し、解砕して粉末とし、さらにこの粉末を大気中で650℃×2時間の熱処理し、上記金属を含む酸化鉄を得た。この酸化鉄を、さらに振動ボールミルで20分間粉砕して酸化鉄粉とし、以下の評価試験に供した。
(a)置換金属の含有量の分析:酸化鉄中のMg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,Ge,Snの含有量を、ICPを用いて分析した。
(b)比表面積(SSA)の測定:BET法にて測定した。
(c)中位径D50および2μm以上の粗粒量:粒度分布測定装置(Microtrac HRA、日機装社製)を用いて測定した。
(d)色調調査:酸化鉄1gにあまに油0.6gを加えてフーバー式マーラーでペースト化し、得られたペーストに透明ラッカー12gを加え、アプリケーターにて厚み0.2mmの塗膜試料を作製し、日本電色製の色差計を用いて、上記試料の色調(L値、a値およびb値)を測定した。なお、色調については、Mn量が微量(0.01mol%未満)で、置換元素を含まない比較例1のL値、a値およびb値を基準(0)とし、比較例1からのずれ(ΔL、ΔaおよびΔb)を求めた。
上記測定の結果を表1に示した。表1から、酸化鉄Fe中のFeの適正量を、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnのいずれか1種以上で置換し、湿式法で作製した酸化鉄粉は、いずれも置換元素を含まない場合(比較例1)と比べて、ΔL、ΔaおよびΔbが大きく、赤色が鮮やかになっていること、また、置換元素量が少ない場合は、L値、a値およびb値の改善効果は小さく、一方、置換元素量が多過ぎる場合には、Feが単相とならず、赤色顔料として好ましくないことがわかる。また、図1は、置換元素の添加量とΔL、ΔaおよびΔbの関係を示したものであるが、置換元素の添加により色調が改善されていることがわかる。
Figure 0004732969
Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnの金属イオンを表2に示した量を含有するFe濃度が120g/lの塩化第一鉄溶液を、温度650℃で噴霧焙焼して熱分解し、酸化鉄を得、さらに、この酸化鉄を振動ボールミルで20分間粉砕して酸化鉄粉とし、上記実施例1と同様の評価試験を行った。なお、色調については、Mn量が微量(0.01mol%未満)で、置換元素を含まない比較例5のL値、a値およびb値を基準(0)とし、比較例5からのずれ(ΔL、ΔaおよびΔb)を求めた。
上記測定の結果を表2に示した。表2から、塩化第一鉄中のFeの適正量を、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnのいずれか1種以上で置換し、噴霧焙焼法で作製した酸化鉄粉は、いずれも置換元素を含まない場合(比較例5)と比べて、ΔL、ΔaおよびΔbが大きく、赤色が鮮やかになっていること、また、置換元素量が少ない場合は、L値、a値およびb値の改善効果は小さく、一方、置換元素量が過ぎる場合には、Feが単相とならず、赤色顔料として好ましくないことがわかる。なお、図1中に、実施例2における置換元素の添加量とΔL、ΔaおよびΔbの関係を併記したが、置換元素の添加により色調が改善されていることがわかる。
Figure 0004732969
表3に示した所定量のMnと、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnのうちから選ばれる1種以上の金属イオンとを含む、Fe濃度が実施例1または実施例2と同様(湿式法では0.5mol/l、噴霧焙焼法では120g/l)の硫酸第一鉄溶液または塩化第一鉄溶液を原料として、上記実施例1の湿式法または実施例2の噴霧焙焼法を用いて酸化鉄とし、この酸化鉄を振動ボールミルで20分間粉砕して酸化鉄粉とし、その後、実施例1または2と同様の各種評価を行った。なお、色調については、Mnを表3に示した所定量含むが、置換元素を全く含まない酸化鉄粉を同時に作製して同様の評価を行い、この置換元素を含まない酸化鉄粉のL値、a値およびb値を基準(0)とし、置換元素を添加した酸化鉄粉のL値、a値およびb値との差(ΔL、ΔaおよびΔb)で評価した。
上記測定の結果を表3に併記して示した。発明例24〜40の結果から、MnをFeに対して0.07〜4.5mol%含む場合でも、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,Ti,Zr,B,Ga,In,Si,GeおよびSnで、酸化鉄中のFeの適正量を置換してやることにより、置換元素で置換しない場合に比べて、ΔL、Δa、Δbが大きくなり、赤色が鮮やかになっていることがわかる。
一方、置換元素の量が少なく、置換元素の合計量とMn量との比が0.3未満の比較例10では、色調の改善効果が小さく、一方、置換元素の添加量が9mol%を超える比較例11では、ヘマタイトが単相とならない。また、Mn量が4.5mol%を超える比較例12の場合には、色調の改善効果が小さく、さらに、粉砕を行わなかったために、D50が0.7μmよりも大きく、2μm以上の凝集粒子が5vol%を超える比較例13の場合には、ΔL、Δa、Δbが小さく、黒ずんだ赤色になっていることがわかる。また、図3は、置換元素の添加量とΔL、ΔaおよびΔbの関係を示したものであるが、Mnを0.07mol%以上含有する場合でも、置換元素を(Mn以外の置換元素による合計置換量(mol%))/(Mnによる置換量(mol%))で0.3以上添加することにより色調が改善されていることがわかる。
Figure 0004732969

Claims (3)

  1. 比表面積が6〜14m/gのFe粉であって、Fe 中のFe原子の4.5mol%以下がMnにより置換されてなり、かつ、Fe中のFe原子の一部が、Mg,Ca,Sr,Sc,Y,B,Gaおよびnの中から選ばれる1種以上の元素により合計で0.1〜9mol%置換されてなる赤色顔料用酸化鉄粉。
  2. Fe 中のFe原子の0.07〜4.5mol%がMnにより置換されてなり、(Mn以外の置換元素による合計置換量(mol%))/(Mnによる置換量(mol%))が0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤色顔料用酸化鉄粉。
  3. レーザー回折式粒度分布測定装置で測定したD50が0.7μm以下で、2μm以上の凝集粒子が5vol%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤色顔料用酸化鉄粉。
JP2006171269A 2006-06-21 2006-06-21 赤色顔料用酸化鉄粉 Expired - Fee Related JP4732969B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006171269A JP4732969B2 (ja) 2006-06-21 2006-06-21 赤色顔料用酸化鉄粉

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006171269A JP4732969B2 (ja) 2006-06-21 2006-06-21 赤色顔料用酸化鉄粉

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008001542A JP2008001542A (ja) 2008-01-10
JP4732969B2 true JP4732969B2 (ja) 2011-07-27

Family

ID=39006238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006171269A Expired - Fee Related JP4732969B2 (ja) 2006-06-21 2006-06-21 赤色顔料用酸化鉄粉

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4732969B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5926746B2 (ja) * 2011-12-28 2016-05-25 シャープ株式会社 酸化物およびその製造方法
KR101340315B1 (ko) * 2012-04-25 2013-12-11 최인규 적색 무기안료 및 그 제조방법
JP6989833B2 (ja) 2018-06-21 2022-01-12 学校法人 工学院大学 酸化鉄粉末、組成物、陶磁器、酸化鉄粉末前駆体、酸化鉄粉末前駆体の製造方法、及び酸化鉄粉末の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS582226A (ja) * 1981-06-29 1983-01-07 Tone Sangyo Kk 赤色酸化鉄の製造方法
JPS61232226A (ja) * 1985-04-03 1986-10-16 Toda Kogyo Corp 球型を呈したヘマタイト粒子粉末及びその製造法
JPS6350326A (ja) * 1986-08-20 1988-03-03 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd ヘマタイトの製造方法
JPS63117915A (ja) * 1986-11-07 1988-05-21 Sumitomo Metal Mining Co Ltd マンガンの少ない酸化鉄用原料の製法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008001542A (ja) 2008-01-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4977967B2 (ja) 鉄系黒色粒子粉末及び該鉄系黒色粒子粉末を用いた黒色塗料、ゴム・樹脂組成物
EP1293480A1 (en) Process for producing granular hematite particles
JP4732969B2 (ja) 赤色顔料用酸化鉄粉
US7465495B2 (en) Composite black oxide particle, method for producing same, black coating material and black matrix
JP3934858B2 (ja) 黒色複合酸化物粒子及びその製造方法
JP4685651B2 (ja) 赤色顔料用酸化鉄粉の製造方法
JP4495995B2 (ja) 複合黒色酸化物粒子の製造方法、黒色塗料及びブラックマトリックス
JP4688708B2 (ja) 黒色複合酸化物粒子、その製造方法、黒色ペースト及びブラックマトリックス
US20230286823A1 (en) Titanium dioxide coloring particles, method for producing the same, and titanium dioxide particle mixture
EP4039649A1 (en) Iron-based oxide magnetic powder and method for producing same
JP4929002B2 (ja) 粒状酸化コバルト黒色顔料の製造方法
JP4336227B2 (ja) 複合黒色酸化物粒子、その製造方法、黒色塗料及びブラックマトリックス
JP4401154B2 (ja) 黒色複合酸化鉄粒子
JP4448687B2 (ja) 黒色酸化鉄粒子、その製造方法及びそれを用いた電子写真用トナー並びに該トナーを用いた画像形成方法
JP3552015B2 (ja) 非磁性黒色顔料粉末、該非磁性黒色顔料粉末を用いた非磁性黒色塗料並びに該非磁性黒色顔料粉末を用いた黒色ゴム・樹脂組成物
JP4336224B2 (ja) 複合黒色酸化物粒子、その製造方法、黒色塗料及びブラックマトリックス
JP2011102238A (ja) 赤色顔料用酸化鉄粉
JP4444061B2 (ja) 複合黒色酸化物粒子、その製造方法、黒色塗料及びブラックマトリックス
JP4750445B2 (ja) 塩化鉄系赤色顔料用酸化鉄の製造方法
JP2002053322A (ja) 酸化鉄粒子
JP5180482B2 (ja) 磁性酸化鉄粒子の製造方法
JP4682063B2 (ja) 低磁性黒色顔料粒子、電子写真用トナー、および画像形成方法
US20090270239A1 (en) Black Complex Oxide Particles, Process for Producing the Same, Black Pastes, and Black Matrixes
JP5029981B2 (ja) 黒色複合酸化鉄粒子及びそれを用いた電子写真用トナー並びに画像形成方法
JP4815075B2 (ja) 磁鉄鉱粒子含有トナー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101207

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110204

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110419

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110421

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140428

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees