JP4401154B2 - 黒色複合酸化鉄粒子 - Google Patents

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本発明は、チタン及び鉄を含有する黒色複合酸化鉄粒子に関する。
マグネタイト粒子にチタンを含有させて、該粒子の特性を向上させる試みがなされている。しかし通常の湿式法によってマグネタイト粒子を製造する工程においてチタンを添加する場合、十分な量のチタンをマグネタイトに取り込むことは困難である。この場合チタンはTiO2単独粒子の形で析出してしまうか、或いはマグネタイト粒子の表面にTiO2が析出してしまう。このような粒子は、通常のマグネタイト粒子と比較してBET比表面積が大きくなってしまい、環境依存性が劣ったり、黒色度が低下するという欠点があった。
多量のチタンをマグネタイトに取り込む方法として、粒子表面をチタン化合物で被覆したマグネタイト粒子粉末を還元して得られた還元粉末等を、非酸化性雰囲気下、700℃以上の温度で加熱焼成する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしこの方法は、マグネタイトの湿式合成に加えて後処理としての加熱焼成が必要となり、製品を安価に製造することが難しい。また、加熱によって粒子どうしが焼結することに起因して粒子の分散性が劣り、所期の性能が十分に発揮されない。
特開平3−2276号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るチタン含有の黒色複合酸化鉄粒子を提供することにある。
本発明は、Fe34及び(FexTiyz4(式中、xは0.5〜3、yは0.25〜1.25、zは0.5〜1.5の数を表す)の結晶構造を有し、チタンの含有量が4.5〜10重量%であることを特徴とする黒色複合酸化鉄粒子を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、前記黒色複合酸化鉄粒子の好ましい製造方法として、第一鉄及びチタンのイオンを含む水溶液に有機酸又は有機酸塩を共存させた条件下、該水溶液に空気を吹き込んで湿式酸化を行い、且つ湿式酸化時の第一鉄イオンの消費速度を1時間当たり4〜8g/lとすることを特徴とする黒色複合酸化鉄粒子の製造方法を提供するものである。
本発明の黒色複合酸化鉄粒子は、多量のチタンを含有し、低磁化のものである。またFeO含有量が高く黒色度が優れたものである。更に、重金属や発ガン性の物質を含有しないので安全性が高い。その上、湿式合成のみで多量のチタンを含有させることができるので安価に製造できる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の黒色複合酸化鉄粒子(以下、単に複合酸化鉄という)はその高チタン含有量によって特徴付けられる。本発明の複合酸化鉄におけるチタンの含有量は4.5〜10重量%であり、好ましくは4.5〜8重量%、更に好ましくは4.5〜7重量%である。チタンの含有量が4.5重量%未満では複合酸化鉄の磁化が高くなるため、磁場の影響が強い場所での使用が難しくなる。10重量%超となると、チタンが複合酸化鉄の内部に取り込むことが困難となり、粒子表面にTiO2の形で析出してしまう。その結果、粒子の比表面積が増大して環境依存性が悪くなってしまう。複合酸化鉄におけるチタンの含有量は、該複合酸化鉄を溶解させ、ICPによってチタンを定量することで測定される。複合酸化鉄におけるチタンの含有量を前記範囲内とするためには、例えば後述する製造方法に従い湿式法で複合酸化鉄を製造すればよい。
本発明の複合酸化鉄は、Fe34及び(FexTiyz4の結晶構造を有することによっても特徴付けられる。つまり本発明の複合酸化鉄は、マグネタイト及びフェライト類似の結晶構造を有する。(FexTiyz4は、Fe34における二価の鉄のサイトの一部がチタンで置換されている状態のものであり、フェライトに類似の構造を有している。尤もフェライトは、マグネタイトにおける二価の鉄が他の二価の金属元素で置換されているものであるから、(FexTiyz4は完全にフェライトの構造を有しているわけではない。従って本発明では(FexTiyz4をフェライト類似の構造と呼んでいる。このことから明らかなように、本発明の複合酸化鉄においては、チタンはTiO2の形で存在するのではなく、鉄との複合酸化物の状態で存在している。
X線回折分析の結果から見ると、本発明の複合酸化鉄においてFe34と(FexTiyz4とは、両者が固溶して粒子全体に均一に存在しているのではないかと考えられる。本発明の複合酸化鉄における(FexTiyz4においてxは0.5〜3であり、1〜2.5であることが好ましく、yは0.25〜1.25であり、0.5〜1であることが好ましく、zは0.5〜1.5であり、0.8〜1.33であることが好ましい。特に好ましくは、(FexTiyz4は(Fe2.5Ti0.51.044、(Fe2Ti)0.84又は(FeTi)1.334で表される構造を有する。
本発明の複合酸化鉄が(FexTiyz4という構造を有することは、X線回折分析から同定することができる。具体的には、測定されたX線回折ピークがどの結晶構造のものであるかを、各種結晶構造の計算値によるプロファイルと比較すればよい。また複合酸化鉄におけるFe34と(FexTiyz4とのモル比もX線回折分析から求めることができる。具体的には、存在比率を示す指標として使用されるX線回折ピークの強度比から計算すればよい。Fe34と(FexTiyz4とのモル比、つまりFe34/(FexTiyz4は0.13〜6.46、特に0.13〜2.17であることが、FeOを高く維持でき、結果として色味(a値、b値)も良好にする点から好ましい。
本発明の複合酸化鉄においては、チタンは粒子の中心から表面にわたってほぼ均一に存在している。従って本発明の複合酸化鉄は、マグネタイト粒子の表面にTiO2が析出している粒子、つまり表面にチタンが偏在している粒子とは、チタンの分布において明確に相違するものである。チタンが粒子の中心から表面にわたってほぼ均一に存在しているか否かは、粒子をその表面から徐々に溶解させ、溶解の程度とチタンの溶出量との関係から確認することができる。
本発明の複合酸化鉄が上述の構成となっていることによって、該複合酸化鉄は通常の湿式合成で生成されるマグネタイトと比較して低磁化のものとなる。具体的には、本発明の複合酸化鉄は、79.6kA/m下での飽和磁化が好ましくは35〜55Am2/kg、更に好ましくは79.6kA/m下での飽和磁化が35〜50Am2/kgという低い値になっている。このことは、本発明の複合酸化鉄を磁場の強い場所で使用しても不都合が生じにくいという点から有利である。
また、上述の構成となっている本発明の複合酸化鉄は、そのBET比表面積が小さいものとなっている。具体的には本発明の複合酸化鉄は、そのBET比表面積が好ましくは10〜100m2/g、更に好ましくは10〜60m2/gという小さい値になっている。このことは、環境依存性を高める点から有利である。BET比表面積の小さい本発明の複合酸化鉄は、粒子の表面にTiO2が析出しておりそれに起因してBET比表面積が大きくなっているマグネタイト粒子とは明確に区別されるものである。
本発明の複合酸化物の粒子形状は、該複合酸化物に要求される特性や具体的な用途に応じて種々の形状となすことができる。例えば本発明の複合酸化物の分散性を向上させたい場合には球形又は六面体の形状とすれば良い。また、FeOを高く維持して色味(a値、b値)を改善したい場合には八面体とすれば良い。更に、分散性、色味の両方を改善したい場合は八面体超の多面体の形状とすれば良い。複合酸化物の粒子形状は、後述する製造方法における諸条件を調整することによってコントロールすることができる。
複合酸化物の平均粒径は、フェレ径で0.05〜0.5μm、特に0.08〜0.3μmであることが好ましい。この範囲の粒径であれば、隠蔽力及び着色力が十分になり、黒色顔料としての性能が向上する。
本発明の複合酸化物は、上述した構成を有していることからFeO含有量が高く黒色度の高いものである。詳細にはJIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度及び色相測定において色差計によるL値が好ましくは25以下、更に好ましくは22以下であるという黒色度の高いものである。またa値は0.5以下であることが好ましく、b値は0.5以下であることが好ましい。
本発明の複合酸化物の各種特性を向上させることを目的として、該複合酸化物の表面に各種の被覆処理を施してもよい。例えばアルミニウム化合物で複合酸化物の表面を被覆処理することができる。アルミニウム化合物としては、例えばAl(OH)3、α−AlO(OH)、γ−AlO(OH)、ヘルシナイト(FeO・Al23)等が挙げられる。これらのアルミニウム化合物によって被覆処理を施すことによって、本発明の複合酸化物の79.6kA/m下での飽和磁化を下げる効果が期待でき、磁場中で一層利用しやすくなる。この観点から、アルミニウム化合物としては、Al(OH)3、γ−AlO(OH)、ヘルシナイト(FeO・Al23)を用いることが好ましい。
複合酸化物の表面をシランカップリング剤で被覆処理することもできる。シランカップリング剤としては、酸化鉄の表面処理剤として通常用いられるものを特に制限無く用いることができる。例えば通常のシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤等を用いることができる。これらのシランカップリング剤によって被覆処理を施すことによって、本発明の複合酸化物の樹脂中での分散性が向上する。シランカップリング剤としては、特にオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランを用いることが、粒子表面に均一に被覆できる点から特に好ましい。
次に本発明の複合酸化物の好ましい製造方法について説明する。本発明の複合酸化物は、第一鉄塩の湿式酸化によって製造される。本製造方法の利点の一つとして、湿式酸化後に加熱焼成等の熱処理を行う必要がないことが挙げられる。このことは、分散性の高い粒子が得られるという点から有利である。また、本発明の複合酸化物を安価に製造できる点からも有利である。
本製造方法の特徴は、第一鉄塩の湿式酸化において、反応系中に有機酸又は有機酸塩を存在させ且つFe2+の酸化を徐々に行う点にある。即ち本発明の複合酸化物は、有機酸又は有機酸塩を含むアルカリ水溶液に、第一鉄塩及びチタン塩を含む水溶液を添加し、次いで空気を吹き込んでFe2+を徐々に湿式酸化させることで好適に製造される。この操作によって本発明の複合酸化鉄を首尾良く製造することができる。つまり、多量のチタンを酸化鉄粒子の中に取り込むことができる。
有機酸としては、例えば多価有機酸を好ましく用いることができる。これらのうち、チタンの取り込み効果が高い点から、酒石酸、クエン酸、コハク酸等を用いることが特に好ましい。
第一鉄塩としては水溶性の塩であればその種類に特に制限はなく、例えば硫酸第一鉄や塩化第一鉄を用いることができる。チタン塩としてもやはり水溶性の塩であればその種類に特に制限はなく、例えば硫酸チタニル等を用いることができる。
本製造方法の好適な一例の手順は次の通りである。先ず、有機酸塩又はその塩を含む水溶液を調製する(この水溶液を溶液Aという)。溶液Aには有機酸塩又はその塩及びアルカリが含まれている。溶液Aにおける有機酸又はその塩の濃度は0.04〜0.5重量%、特に0.08〜0.35重量%であることが好ましい。有機酸又はその塩の濃度が0.04重量%未満の場合には、有機酸又はその塩が反応系に存在する金属イオン又は水酸化物に十分に作用しないためチタンが十分に取り込まれず、所望の複合酸化鉄を生成させることが容易でないことがある。有機酸又はその塩の濃度が0.5重量%超の場合には、生成する複合酸化鉄の粒径が小さくなる傾向があり、着色力及び隠蔽力を向上させることが容易でないことがある。アルカリの濃度は例えばアルカリとして水酸化ナトリウムを用いる場合には、(水酸化ナトリウム重量/(水+水酸化ナトリウム重量))9〜12.5重量%、特に10〜12.5重量%であることが好ましい。アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウムなどの強アルカリを用いることができる。
溶液Aとは別に、第一鉄塩の水溶液(この水溶液を溶液Bという)及びチタン塩の水溶液(この水溶液を溶液Cという)をそれぞれ調製する。溶液Bにおける第一鉄塩の濃度は、Fe2+に換算して9〜12.5重量%、特に10〜12.5重量%となるような量とする。一方、溶液Cにおけるチタン塩の濃度は、Ti4+に換算して4.5〜10重量%、特に5〜8.5重量%となるような量とする。
前述の濃度をそれぞれ有する溶液Bと溶液Cとを混合撹拌する。混合割合は、溶液Bの重量と溶液Cの重量との比(溶液Bの重量/溶液Cの重量)が6.5〜11、特に7.2〜10であることが好ましい。
次いで、溶液Bと溶液Cとの混合溶液35〜55℃程度に加熱し、その状態下に、65〜100℃程度に加熱された状態の溶液Aに添加する。次いで、三者の混合溶液にアルカリを添加してそのpHを6.5〜11.5程度に調整する。溶液B及び溶液Cの混合溶液の重量と、溶液Aの重量との比(溶液B及び溶液Cの混合溶液の重量/溶液Aの重量)は、0.5〜1.5、特に0.6〜1であることが好ましい。
この状態下に反応系中に空気を吹き込み湿式酸化を行う。このときFe2+を徐々に酸化させることが重要である。酸化を急激に行うとチタンの加水分解反応が支配的になりTiO2が析出してしまう。この観点から、湿式酸化時のFe2+の消費速度が1時間当たり4〜8g/lとなるように空気を吹き込み、好ましくは4〜6.5g/lとなるように空気を吹き込む。
湿式酸化の間の空気の吹き込み量は、一定にしておいてもよく、或いは変動させてもよい。例えば湿式酸化の初期段階では空気の吹き込み量を相対的に多くしておき、その後の段階では相対的に少なくすることができる。吹き込み量をこのように変動させると、生成反応初期のスラリー粘度の高い状態での攪拌を十分に行うことができ、粒度分布の揃った粒子を生成できるという利点がある。
有機酸又はその塩の存在下、このような条件で湿式酸化を行うことで多量のチタンを粒子中に取り込むことができ、本発明の複合酸化鉄を首尾良く製造することができる。
湿式酸化時における反応系のpH及び反応系に存在する有機酸又は有機酸塩の濃度を調整することで、得られる複合酸化鉄の粒子形状をコントロールすることができる。具体的には、球状の粒子を得たい場合には、反応系のpHを6.5〜9.5程度とし且つ有機酸又は有機酸塩の濃度を0.05〜0.2重量%程度とすることが好ましい。八面体の粒子を得たい場合には、反応系のpHを9.5〜11.5程度とし且つ有機酸又は有機酸塩の濃度を0.025〜0.05重量%程度とすることが好ましい。八面体超の多面体粒子を得たい場合には、反応系のpHを9.5〜11.5程度とし且つ有機酸又は有機酸塩の濃度を0.05〜0.25重量%程度とすることが好ましい。
湿式酸化は反応系中に未反応のFe2+が存在しなくなるまで行う。反応終了後、反応系を中和し、引き続き固液分離して本発明の複合酸化物を得る。得られた複合酸化物に対して更に熱処理を施す必要はない。従って、熱処理に起因する粒子凝集は起こらず、その結果複合酸化物はその分散性が良好になる。
このようにして得られた複合酸化物は、粒子中に多量のチタンが含まれているので、その磁化が通常湿式合成で生成されるマグネタイトと比較して低いものとなる。また、チタンがTiO2等の形で表面に析出していないので、複合酸化物のBET比表面積は小さいものとなる。その結果、複合酸化物は環境依存性に優れたものとなる。
本発明の複合酸化鉄は、電子写真用トナー用材料粉や塗料用黒色顔料粉などとして好適に用いられる。電子写真用トナー用材料粉として用いれば、電子写真方式による画像形成方法によって画像濃度、解像度、階調性等の画像特性に優れた各種画像を形成することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
(1)溶液Aの調製
水60lに水酸化ナトリウム8kgを添加した。これに、500mlの温水に溶解させた55.3gの酒石酸を添加して溶液Aを得た。
(2)溶液Bの調製
水35lに硫酸第一鉄を溶解させて溶液Bを得た。硫酸第一鉄の添加量は、Fe2+換算で4000gとなるような量とした。
(3)溶液Cの調製
温水5lに硫酸チタニルを溶解させて溶液Cを得た。硫酸チタニルの添加量は、Ti4+換算で277gとなるような量とした。
(4)湿式酸化
溶液B及び溶液Cを混合し50℃に昇温した。この混合溶液を、85℃に昇温した溶液Aに添加混合し、反応液を得た。反応液に水酸化ナトリウムを添加してpHを10.5に調整した。この状態下に、反応液に空気を吹き込み湿式酸化を行った。空気の吹き込み量は5l/minとした。このときのFe2+の消費速度は1時間当たり5.9g/lであった。未反応のFe2+が存在しなくなったことを確認して空気の吹き込みを停止した。反応液を中和してpHを6にし、引き続き固液分離して複合酸化鉄を得た。
〔実施例2ないし8及び比較例1ないし4〕
溶液Aに含まれる有機酸の種類及び濃度を表1に示すものとし、また溶液B及びCの濃度を同表に示す値とし、且つ空気の吹き込み量を同表に示す値とする以外は実施例1と同様にして複合酸化鉄を得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた複合酸化鉄について、全Fe量、FeO量及びTi量を以下の方法で測定した。またFe34と(FexTiyz4とのモル比を前述の方法で求めた。更に、得られた複合酸化鉄の形状及び平均粒径を電子顕微鏡観察した。平均粒径はフェレ径を測定して求めた。更に79.6kA/m下での飽和磁化、BET比表面積及び黒色L値を以下の方法で測定した。これらの結果を表2に示す。また、実施例1で得られた複合酸化鉄のX線回折分析の結果を図1に示す。
〔全Fe量、FeO量及びTi量の測定〕
全Fe量及びTi量は、複合酸化鉄を溶解し、その溶液中に含まれるFe及びTiの量をICPにて測定した。FeO量は、複合酸化鉄を硫酸にて溶解し、過マンガン酸カリウム標準溶液を用い酸化還元滴定にて測定した。
〔飽和磁化〕
東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外部磁場79.6kA/mにて測定した。
〔BET比表面積〕
島津−マイクロメリティックス製2200型BET計にて測定した。
〔黒色L値〕
試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練り込んだ。この練り込んだ試料2.0gにラッカー7.5gを加えて更に練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケータを用いて塗布した。乾燥後、色差計(東京電色社製カラーアナライザーTC−1800型)にて測定した。
Figure 0004401154
Figure 0004401154
表1及び表2に示す結果から明らかなように、各実施例の複合酸化鉄は飽和磁化が低い値に抑えられていることが判る。またBET比表面積が小さい値に抑えられていることが判る。更に、FeO含有量が高く、黒色L値が高いものとなっている。これに対して湿式酸化時に有機酸を共存させていない比較例1ではチタンが粒子の内部に取り込まれず、表面にTiO2の形で析出してしまうことが判る。湿式酸化の速度を速めた比較例2でもやはりチタンが粒子の内部に取り込まれず、表面にTiO2の形で析出してしまった。チタンの仕込量が少ない比較例3では十分な量のチタンが粒子に取り込まれなかった。チタンの仕込量が多い比較例4では、チタンが粒子の内部に取り込まれず、TiO2粒子の形で単独に析出してしまった。マグネタイトは不定形のものとなってしまった。
実施例1で得られた複合酸化鉄のX線回折分析の結果を示すチャートである。

Claims (10)

  1. Fe34及び(FexTiyz4(式中、xは0.5〜3、yは0.25〜1.25、zは0.5〜1.5の数を表す)の結晶構造を有し、チタンの含有量が4.5〜10重量%であり、チタンが粒子の中心から表面にわたって均一に存在していることを特徴とする黒色複合酸化鉄粒子。
  2. 79.6kA/m下での飽和磁化が35〜55Am2/kgである請求項1記載の黒色複合酸化鉄粒子。
  3. 平均粒径が0.05〜0.5μmである請求項1又は2記載の黒色複合酸化鉄粒子。
  4. BET比表面積が10〜100m2/gである請求項1ないし3の何れかに記載の黒色複合酸化鉄粒子。
  5. 表面がAl化合物で被覆処理されている請求項1ないし4の何れかに記載の黒色複合酸化鉄粒子。
  6. 表面がシランカップリング剤で被覆処理されている請求項1ないし4の何れかに記載の黒色複合酸化鉄粒子。
  7. Fe 3 4 及び(Fe x Ti y z 4 (式中、xは0.5〜3、yは0.25〜1.25、zは0.5〜1.5の数を表す)の結晶構造を有し、チタンの含有量が4.5〜10重量%である黒色複合酸化鉄粒子の製造方法であって、
    第一鉄及びチタンのイオンを含む水溶液に有機酸又は有機酸塩を共存させた条件下、該水溶液に空気を吹き込んで湿式酸化を行い、且つ湿式酸化時の第一鉄イオンの消費速度を1時間当たり4〜8g/lとすることを特徴とする黒色複合酸化鉄粒子の製造方法。
  8. 前記有機酸又は有機酸塩が、多価有機酸又はその塩である請求項7記載の黒色複合酸化物の製造方法。
  9. 請求項1記載の黒色複合酸化鉄粒子を用いた電子写真用トナー。
  10. 請求項9記載の電子写真用トナーを用いた電子写真方式による画像形成方法。
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