JP5016162B2 - 黒色顔料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用途に好適な黒色顔料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用等に用いられる黒色顔料は、黒色度、色相、着色力、隠蔽力等の特性に優れ、かつ安価であることが求められており、カーボンブラックやマグネタイトを始めとする酸化鉄系顔料、その他複合酸化物顔料が用途に応じて利用されている。
【0003】
昨今、上記いずれかの分野においても高性能化、高品質化の要求はとどまるところがなく、例えば、上記カーボンブラックにおいては、環境問題や人体に与える影響等により、使用が差し控えられている。一方、マグネタイトを始めとする酸化鉄系顔料においては、カーボンブラックのような問題は少ないものの、飽和磁化が高いため、非磁性用トナー等の用途に用いるのには適さない。
【0004】
上記のような問題を解決するために、非磁性の無機フィラーの表面に黒色度の高い物質を被覆させたり、固着させたりすることが考えられ、このことに関して特開2000−265154号公報等が提案されている。
【0005】
特開2000−265154号公報には、黒酸化鉄等を被覆した板状硫酸バリウムについて開示されており、このものは化粧用の有色紫外線吸収組成物として好ましい旨の記載がある。しかし、かかる物質は板状であるがゆえの配向性に起因して、光反射性に優れていることから、紫外線吸収組成物としての有用性はあるものの、樹脂との混練後、粉砕した際に樹脂から顔料が板状面に沿って剥がれ、遊離するおそれがあり、特にトナー用途の黒色顔料としては不向きである。
【0006】
さらに、特開平11−338191号公報には、黒色トナー用黒色複合非磁性粒子粉末についての開示があり、鉄系化合物表面にオルガノシラン系化合物を被覆し、さらにカーボンブラック微粒子を付着させる技術についての記載があるが、このものは黒色度に優れるものの、上記したように、鉄系化合物表面にオルガノシラン系化合物を被覆するものであり、また有害性のあるカーボンブラックを用いている。
【0007】
また、顔料、例えば黒色顔料の構成成分をフィラー表面に配した複合材料においては、粒子表面の黒色顔料の構成成分が表面から剥離、離脱しないことも重要である。その理由としては、いくら黒色度改善がなされても、塗料化や樹脂混練中に黒色顔料成分が剥離、離脱してしまっては、フィラーの色が出てしまい被塗装物や被着色物の色味を悪くしてしまうからである。
【0008】
また、非磁性トナー用途で用いる際には、飽和磁化の低い黒色顔料が好ましいことはいうまでもない。
【0009】
従って、本発明の目的は、主に塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用途に好適であり、黒色度に優れ、飽和磁化が低く、かつ分散や混練等の物理的作用による黒色度の劣化がない黒色顔料及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ただ単に黒色度の向上及び飽和磁化低下といった改善にとどまらず、高い黒色度を発現するフィラー表面に存在する鉄酸化物の剥離防止を改善する上で重要な、フィラー選定と表面被覆方法について鋭意検討を行った。
【0011】
その結果、磁性を有さない粒状硫酸バリウムを用い、マグネタイト表面被覆時のpH、温度等を調整することにより、マグネタイトと粒状硫酸バリウムが静電エネルギーによって引き付け合い、粒子成長することでマグネタイトの剥離が著しく改善できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明の黒色顔料は、球状、六面体状、八面体状又は多面体状の硫酸バリウム表面に、マグネタイトを被覆してなり、
平均粒径が0.001〜0.5μmであり、
色差計によるL値が30以下であり、
以下の方法で行われるホモジナイザーH−LL(国産エンジニアリング製)による被覆微粒子剥離試験後の色差計によるL値が35以下であることを特徴とする。
試料濃度75g/lの水分散スラリーをホモジナイザーを用いて5パス通液し、強分散処理を行った後、処理スラリーを濾過、乾燥し、強分散処理粉末を得る。この粉末2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計にてL値を測定する。
【0013】
また、本発明の黒色顔料の製造方法は、球状、六面体状、八面体状又は多面体状の硫酸バリウムスラリーに、鉄塩水溶液と水酸化アルカリとを中和混合すると共に、50〜100℃、pH5〜13の範囲で酸化することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の黒色顔料及びその製造方法の実施の形態を説明する。
【0015】
発明の黒色顔料は、粒状硫酸バリウム表面にマグネタイトを被覆させることを特徴とする。
【0016】
本発明の黒色顔料の芯材料である硫酸バリウムは、粒状であることが重要である。この理由は、上述したように、例えば板状の硫酸バリウムにおける樹脂との混練後、粉砕した際に樹脂から顔料が板状面に沿って剥がれ、遊離する現象を防ぐことができる上、板状面での重なるような凝集がなく、分散性にも優れるからである。
【0017】
ここで粒状とは、楕円状、球状、六面体状、八面体状、多面体状等であり、針状、板状等を除いたものである。
【0018】
また、粒状硫酸バリウム表面には、マグネタイト成分が被覆されていることが重要である。
【0019】
マグネタイトは各種黒色顔料の中でも高い黒色度を有し、カーボンブラックのような有害性も少なく、湿式酸化法で粒状硫酸バリウム表面に形成することが容易であるので好適である。なお、黒色度を向上させる目的で、銅、マンガン、アルミニウム、コバルト、クロム等の成分を適宜複合酸化物の形態でマグネタイト中に存在させることも有用である。
【0020】
粒状硫酸バリウム表面上でのマグネタイトの存在形態は、強固に層状に被覆された状態である
【0021】
芯材の粒状無機フィラーとしては、ゼオライト、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブテン、硫化亜鉛、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、スラグ繊維の中より選ばれる少なくとも1種又は2種以上を単独の芯材として、もしくはどちらか一方を他方の表面に被覆、又は固着したものを芯材として用いても相応の特性を導き出すことが可能であるが、本発明者らは、芯材表面にマグネタイトを被覆させた際の耐剥離性において、硫酸バリウムが芯材として最も優れていることを知見した。この理由は定かではないが、硫酸バリウムの等電点はマグネタイトに対し、特定のpHにおいて、より逆の電位を示す。このことに起因して、芯材である硫酸バリウムにマグネタイトが静電的に引きつけられ、被覆又は固着が強固になっていることが考えられる。
【0022】
本発明の黒色顔料は、ホモジナイザーによる被覆又は固着微粒子剥離試験後の色差計によるL値が35以下であるより好ましくは30以下、最も好ましく25以下である。このL値が35を超える場合には、硫酸バリウム粒子からのマグネタイトの被覆や固着微粒子が剥離して、色相の点で劣るものである。
【0023】
本発明の黒色顔料に含まれるマグネタイトは、粒状硫酸バリウム表面の存在量に応じて黒色度を改善する効果がある。その含有量は、黒色顔料中、10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。また粒状硫酸バリウムは、黒色度を改善する効果はないものの、芯材として使用することにより飽和磁化の低下が達成され、その含有量が多いほど飽和磁化は低下するという利点がある。粒状硫酸バリウム含有量は、黒色顔料中、40質量%以上、好ましくは45質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
【0024】
このように、マグネタイトと硫酸バリウムとは相反する効果をもたらし、総合的に望まれる黒色顔料中のマグネタイト含有量は、10〜60質量%、より好ましくは15〜55質量%、さらに好ましくは20〜50質量%である。
【0025】
本発明の黒色顔料は、低飽和磁化であることが好ましく、低飽和磁化とは、具体的には外部磁場796kA/mにおける飽和磁化(σs)が40Am2 /kg以下の実質的に磁化レベルがマグネタイト粒子単体より低く、かつマグネタイトの黒味を保持し、また真比重がマグネタイト単味より小さい特徴を示すものである。このような黒色顔料であれば、非磁性用トナー等の用途に用いるのに好適である。
【0026】
本発明の黒色顔料は、色差計によるL値(JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度測定)が30以下である25以下であるとより好ましい。このL値が30を超える場合、黒色顔料としての黒味が劣る。
【0027】
本発明の黒色顔料は、SEM観察による平均粒径(フェレ径)が0.001〜0.5μmである0.005〜0.3μmであることがより好ましく、このような平均粒径を有する黒色顔料であれば、各種用途いずれにおいても好適な黒色度や着色力を被塗装物や被着色物にもたらすことができる。
【0028】
次に、本発明の黒色顔料の製造方法について述べる。
本発明の黒色顔料は、粒状硫酸バリウムとマグネタイト微粉末をホイール型混練機やらいかい機に投入し、圧縮、せん断、及びへらなでを行い、粒状硫酸バリウム表面にマグネタイト微粒子を固着させても製造できるが、ここではより好ましい粒状硫酸バリウム表面にマグネタイト被覆を行う方法についてその詳細を述べる。
【0029】
本発明の黒色顔料の製造方法は、粒状硫酸バリウムスラリーに、鉄塩水溶液と水酸化アルカリとを中和混合し、温度50〜100℃、pH5〜13の範囲で酸化することを特徴とする。
【0030】
本発明で用いられる鉄塩水溶液は、水可溶性塩、もしくは金属鉄や鉄酸化物を酸で溶解させたもの等が使用できる。また、水酸化アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム等の強塩基、弱塩基にもかかわらず、中和作用を有するものであれば特に限定されることはない。
【0031】
まず、粒状硫酸バリウムを水中に分散させる。この分散スラリーに、最終的に黒色顔料が目的とする粒状硫酸バリウムとマグネタイトの比率となるように、予め鉄塩の濃度を調整した水溶液と水酸化アルカリとを温度50〜100℃、pH5〜13を維持しながら添加し、酸化反応を行う。この酸化反応は、酸化含有ガスで反応させても、過酸化水素水、硝酸塩等の各種酸化剤を使用しても良い。
【0032】
上記酸化反応時の温度を50〜100℃に保持することは重要であり、温度が50℃未満の場合には、反応が進行しなかったり、マグネタイト以外の鉄系化合物が生成してしまうため、得られる黒色顔料の特性に悪影響を及ぼす。温度が100℃を超える場合には、コスト上不経済である。
【0033】
また、上記酸化反応時のpHを5〜13に保持することも重要である。反応時のpHは、硫酸バリウム表面のマグネタイト被覆に大きな影響を及ぼす。反応pHは、硫酸バリウムの等電点pHとマグネタイトの等電点pHの間に設定することが望まれる。上記pH域では、硫酸バリウムとマグネタイトの表面が逆の電位を持つため両者が静電的に強く付着して表面を覆うことができ、その上にマグネタイトが成長し、硫酸バリウムからの剥離のない強固なマグネタイト被覆を有する黒色顔料が製造できる。pHが5未満の場合には、反応の進行が進まないのみならず、マグネタイト以外の鉄系化合物が生成してしまう。pHが13を超える場合には、特性上の影響は少ないものの、コスト上不経済である。
【0034】
本発明の黒色顔料の特性を制御するための具体的な方法を次に述べる。まず、磁性を制御するための具体的な方法としては、例えばマグネタイト被覆量を少なくすれば磁性の弱い黒色顔料を得やすく、多くすれば磁性の強い黒色顔料を得やすい。また、黒色度を制御するための具体的な方法としては、例えばマグネタイト被覆量を多くすれば黒色度の高い黒色顔料を得やすく、少なくすれば黒色度の低い黒色顔料を得やすい。従って、用途に応じてマグネタイト被覆量を調整すれば良い。
【0035】
また、本発明の黒色顔料において、マグネタイトよりも真比重の小さな粒状硫酸バリウムを用いているので、マグネタイト単味と比較して、得られる黒色顔料は比重が小さくなり、トナー、塗料、樹脂中への添加重量が少なくてすむという利点を有する。
【0036】
【実施例】
以下、実施例等により本発明を具体的に説明する。
【0037】
〔実施例1〕
硫酸第一鉄7水塩2421gを温度50℃、5.6Lの水に投入、撹拌し、溶解した。一方、平均粒径47nmの粒状硫酸バリウム1000gを温度85℃、100Lの水に投入、撹拌し、水分散スラリーを得た。また、別途500g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用意した。
【0038】
次に、上記硫酸バリウムスラリーを撹拌しながら、上記硫酸鉄塩水溶液を徐々に添加すると共に、空気を導入し酸化反応を行った。その際、液温は80〜85℃を保持し、上記水酸化ナトリウム水溶液を添加することでpH7〜8を保持した。所定の硫酸鉄を添加し終わった後、更に10分間酸化反応を行った。
【0039】
このようにして生成したスラリーを常法の洗浄、濾過、乾燥、粉砕を行い、粒状硫酸バリウム表面にマグネタイトが被覆された黒色顔料を得た。
【0040】
得られた黒色顔料について、下記の評価方法で諸特性を評価した。結果を表1に示す。また、粒状硫酸バリウム表面にマグネタイト被覆する前後の黒色顔料の粒子形状を示す走査型顕微鏡写真(×2万倍)を図1及び図2にそれぞれ示す。さらに、強分散をかけた後の黒色顔料の粒子形状を示す顕微鏡写真(×2万倍)を図3に示す。
【0041】
<評価方法>
(1)平均粒径(フェレ径)
走査型顕微鏡写真を用いて黒色顔料の粒径を測定した。
(2)マグネタイト含有量
サンプルを溶解し、滴定にて鉄元素含有率を測定し、この値から計算によりマグネタイト含有量を求めた。
(3)磁気特性
東英工業社製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外部磁場796kA/mと79.6kA/mにて測定した。
(4)強分散前の黒色度(L値)
試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製、カラーアナライザーTC−1800型)にて、黒色度(L値)を測定した。
(5)強分散後の黒色度(L値)
試料濃度75g/lの水分散スラリーをホモジナイザーH−LL(国産エンジニアリング製)を用いて5パス通液し、強分散処理を行った後、処理スラリーを濾過、乾燥し、強分散処理粉末を得た。この粉末を用いて上記(4)と同様の方法で黒色度(L値)を測定した。
【0042】
〔実施例2〜6〕
表1に示すように、硫酸バリウムの平均粒径及び添加する硫酸第一鉄投入量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で粒状硫酸バリウム表面にマグネタイトが被覆された黒色顔料を得た。得られた黒色顔料について、実施例1と同様に諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
〔実施例7〕
実施例2において用いた硫酸バリウム10kgと平均粒径25nmの粒状マグネタイト微粒子粉末(比表面積39.8m2 /g、飽和磁化79.1Am2 /kg(796kA/m時)、L値19.0)7kgとを、サンドミルMPUV−2(松本鋳造鉄工所製)に投入して、線荷重60kg/cm下で60分間混合して黒色顔料を得た。
【0044】
〔比較例1〕
表1に示すように、硫酸バリウムスラリーを用いないこと以外は、実施例1と同様の方法でマグネタイト粉末を得た。得られたマグネタイト粉末について、実施例1と同様に諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0045】
〔比較例2〕
硫酸バリウム粉末について、実施例1と同様に諸特性を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
Figure 0005016162
【0047】
表1から明らかな通り、実施例1は、L値が十分に低く、黒色度に優れ、かつ飽和磁化が比較例1に示すマグネタイト粉末に比べ低いことが分かる。
【0048】
また、実施例2〜3は、実施例1に比べ、粒径が大きい硫酸バリウム粒子にマグネタイトを被覆している。この場合には、比表面積が実施例1よりも小さく、マグネタイト層の厚みが増加し、L値が低く、より黒色度が優れていた。これに対し、実施例4は、実施例1に比べ、粒径が小さい硫酸バリウム粒子にマグネタイトを被覆している。この場合には、比表面積が実施例1よりも大きく、マグネタイト層の厚みが減少し、飽和磁化が低かった。
【0049】
実施例5は、実施例1と同様の硫酸バリウム粒子を用い、マグネタイト被覆量を増加させたことにより、L値が充分低く、最も黒色度が優れていた。一方、実施例6は、実施例1と同様の硫酸バリウム粒子を用い、マグネタイト被覆量を減少させたことにより、飽和磁化が充分に低かった。
【0050】
実施例7は、物理的処理でマグネタイト微粒子を硫酸バリウム表面に固着させたものであり、強分散後のL値がやや高いものの、黒色度、飽和磁化が共に充分に実用的なレベルの特性を示した。
【0051】
これら実施例1〜7から明らかなように、用途に応じて黒色度や飽和磁化を調整することができる。
【0052】
また、図1及び図2の対比から、硫酸バリウム粒子表面にマグネタイト被覆層が成長もしくは析出し、粒径が著しく大きくなっていることが分かる。
【0053】
また、実施例1〜7においては、強分散後もL値に殆ど変化がなく低い値を示し、黒色度は充分に優れており、マグネタイト被覆の剥離が殆どないことが推測される。
【0054】
また、これら実施例1〜7の黒色顔料においては、黒色度評価の際の塗料作成時、走査型電子顕微鏡(×2万倍)にて観察を行った結果、マグネタイトの硫酸バリウム粒子からの剥離が認められないことを確認した。さらに、ホモジナイザーを用いて強分散をかけた後、同様の走査型電子顕微鏡にて観察を行ったが、図3に示したようにマグネタイトの剥離はなかった。
【0055】
これに比べ、比較例1のマグネタイト粉末では、L値が低く、黒色度は充分に優れているが、飽和磁化が非常に高く、非磁性材料用途には不向きである。一方、比較例2の硫酸バリウム粉末では、非磁性だが、測色するまでもなく白色であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明の黒色顔料は、黒色度に優れており、かつ硫酸バリウムを芯材として用いることにより、マグネタイト粉末に比べて飽和磁化が低く、かつ分散や混練等の物理的作用による粒子表面に存在するマグネタイトの剥離が少ない。また、粒状粒子であることから、塗料用、インキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適である。特に、カーボンブラック代替の非磁性トナー用黒色顔料や高温混練を要するエンジニアリングプラスチックスの着色用黒色顔料に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1において、表面にマグネタイト被覆前の黒色顔料の粒子形状を示す走査型顕微鏡写真(×2万倍)である。
【図2】図2は、実施例1において、表面にマグネタイト被覆後の黒色顔料の粒子形状を示す顕微鏡写真(×2万倍)である。
【図3】図3は、実施例1において、強分散をかけた後の黒色顔料の粒子形状を示す顕微鏡写真(×2万倍)である。

Claims (5)

  1. 球状、六面体状、八面体状又は多面体状の硫酸バリウム表面に、マグネタイトを被覆してなり、
    平均粒径が0.001〜0.5μmであり、
    色差計によるL値が30以下であり、
    以下の方法で行われるホモジナイザーH−LL(国産エンジニアリング製)による被覆微粒子剥離試験後の色差計によるL値が35以下である黒色顔料。
    試料濃度75g/lの水分散スラリーをホモジナイザーを用いて5パス通液し、強分散処理を行った後、処理スラリーを濾過、乾燥し、強分散処理粉末を得る。この粉末2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フーバー式マーラーで練り込む。この練り込んだサンプル2.0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後、これをミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて塗布し、乾燥後、色差計にてL値を測定する。
  2. 上記粒状硫酸バリウム表面の被覆マグネタイト微粒子の含有量が、黒色顔料中、10〜60重量%である請求項1記載の黒色顔料。
  3. 外部磁場796kA/m時の飽和磁化(σs)が40Am2 /kg以下である請求項1又は2記載の黒色顔料。
  4. 請求項1に記載の黒色顔料の製造方法であって、
    球状、六面体状、八面体状又は多面体状の硫酸バリウムスラリーに、鉄塩水溶液と水酸化アルカリとを中和混合すると共に、50〜100℃、pH5〜13の範囲で酸化することを特徴とする黒色顔料の製造方法。
  5. スラリー中への空気の導入又はスラリー中への酸化剤の添加によって酸化を行う請求項4記載の製造方法。
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