JP2007176980A - 活性エネルギー線硬化型接着剤およびその接着体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型接着剤およびその接着体 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線等の活性エネルギー線の照射により、速やかに硬化することができ、密着性、とりわけフィルム等の薄膜の密着性、および異種材料間の密着性に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。また、該活性エネルギー線硬化型接着剤を用い、ガラス、金属や樹脂等の2以上の被着体を接着させてなる接着体を提供する。
【解決手段】本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、下記一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物、活性エネルギー線照射によりカチオンを発生する光重合開始剤を含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2007176980

【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線照射により硬化し、密着性、シール性、接着強度に優れた硬化物を形成することのできる活性エネルギー線硬化型接着剤、及びこの接着剤を使用した接着体に関する。
近年、液晶や有機ELが用いられた表示装置が各種携帯機器に搭載され、携帯機器の小型化、薄型化、軽量化が進められている。液晶や有機ELが用いられた表示装置の基板や表示部分には、ガラス、アルミニウム等の金属、PET等の合成樹脂、アセチルセルロース等の半合成樹脂が使用されている。これら材料の中、樹脂で薄膜状のフィルムや、異種材料を簡便に短時間でしかも強力に接着させる接着剤が望まれている。
従来、簡便で短時間に硬化し、接着させるために紫外線等の活性エネルギー線硬化型の接着剤が使用されてきた。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、エポキシ基やビニル基を有するカチオン重合性化合物及び活性エネルギー線照射によりカチオンを発生するカチオン重合開始剤を含むカチオン重合型と、ラジカル重合性不飽和基を有するラジカル重合性化合物及び活性エネルギー線照射によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤を含むものが知られている。
しかしながら、ラジカル重合型の接着剤は硬化速度が比較的速いという特徴がある反面、材料への密着性、加工性が不十分であり、また酸素による硬化阻害があるため、表面の硬化性に劣り、窒素封入などの設備は必要である等の問題がある。
一方、カチオン重合型の接着剤は、ラジカル重合型の接着剤と比較して、材料への密着性、加工性が良好であり窒素封入などの設備も必要としないなどの利点がある反面、硬化速度が遅いという問題があった。オキセタニル基を含む脂環式化合物を用いてこの問題を解決した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、硬化物の接着強度の良いものが望まれている。とりわけフィルム等の薄膜の接着で密着性の良い接着剤が望まれている。
また、従来から異種材料の接着で硬化速度が速く、かつ十分な接着強度を持つ接着剤の提供が望まれていた。かかる課題を解決する提案として、2つの脂環エポキシ基を有し、エステル結合を有していない式特定の構造からなるエポキシ化合物を含む紫外線硬化型接着剤が知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、該方法では、様々な素材に対して、いまだ十分な接着力を有しているとはいえず、より優れた接着強度を有する接着剤が求められていた。
特開2003−213243号公報 特開2005−146038号公報
本発明の課題は、窒素封入などの設備を必要としない紫外線等の活性エネルギー線の照射により、速やかに硬化することができ、密着性、とりわけフィルム等の薄膜の密着性、および異種材料間の密着性に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を行なった結果、特定の構造を有する脂環式エポキシ化合物と光重合開始剤を用いることにより密着性、とりわけフィルム等の薄膜の密着性、および異種材料間の密着性に優れた活性エネルギー線硬化型接着剤を見出し本発明に至った。
すなわち、本発明の第1は、下記一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)、活性エネルギー線照射によりカチオンを発生する光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
Figure 2007176980
さらに、本発明の第2は、脂環式エポキシ化合物(A)以外の他のエポキシ化合物(B)を含有する本発明第1に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
さらに、本発明の第3は、他のエポキシ化合物(B)が下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物である本発明第2に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
Figure 2007176980
(R1〜R18は、各独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である)
さらに、本発明の第4は、一般式(2)で表されるエポキシ化合物のR1〜R18の全てが水素原子である本発明第3に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
さらに、本発明の第5は、脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる本発明第2〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
さらに、本発明の第6は、脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、エポキシ基またはエポキシ基と水酸基を有するアクリル樹脂(C)1〜85重量部を含有する樹脂組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる本発明第2〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
さらに、本発明の第7は、脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、分子内に水酸基を2〜4個有するカプロラクトン変性ポリオール化合物(D)1〜50重量部を含有する樹脂組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる本発明第2〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を提供する。
さらに、本発明の第8は、本発明第1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて形成されることを特徴とする接着体を提供する。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、カチオン重合開始剤の存在下、窒素封入等の設備を必要とすることなく、低照射量の活性エネルギー線照射によっても、速やかに、効率よくカチオン重合により硬化させることができ、かつフィルム等の薄膜の接着、すなわち、PETフィルム/PETフィルム等の接着や、異種材料間の接着、すなわち、ガラス等の無機材料とPET、アセチルセルロース等の樹脂、及びその薄膜、アルミニウム等の金属材料とPET等の樹脂及びその薄膜の接着において密着性に優れている。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、上記一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(以下、脂環式エポキシ化合物(A)という)及び光重合開始剤を必須の成分として含有する。本発明に用いられるエポキシ化合物としては、脂環式エポキシ化合物(A)のみであってもよいが、脂環式エポキシ化合物(A)とともに(A)以外のエポキシ化合物(以下、他のエポキシ化合物(B)という)を用いてもよい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、上記エポキシ化合物(A)、(B)、光重合開始剤に加えて、エポキシ基またはエポキシ基と水酸基を有するアクリル樹脂(以下、アクリル樹脂(C)という)や分子内に水酸基を2〜4個有するカプロラクトン変性ポリオール化合物(以下、ポリオール(D)という)を添加してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線を照射することにより硬化可能な接着剤である。活性エネルギー線としては、可視光、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線などを用いることができる。中でも、安全性、反応効率などの工業性の観点などから、波長200〜600nmの紫外線が好ましい。
以下に、本発明における各成分について説明する。
[脂環式エポキシ化合物(A)]
本発明の脂環式エポキシ樹脂(A)は、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂である。本発明の脂環式エポキシ化合物(A)は、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールをエステル交換反応することにより下記一般式(3)で表される脂環式オレフィン多価エステル化合物を得、さらにそれを過酢酸のようなエポキシ化剤によりエポキシ化することによって製造される。主な製造方法は下記のとおりである。
Figure 2007176980
<エステル交換反応>
3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレート及び1,4−シクロヘキサンジメタノールをエステル交換反応させる。3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートの比率は1,4−シクロヘキサンジメタノールの水酸基当量に対して2.5〜7.5当量、好ましくは、3.5〜6当量である。3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートの比率が2.5当量より低い場合、着色しやすくなり、比率が7.5当量より大きい場合は、生産性が低下する。
エステル交換反応は、減圧下で行うことが望ましい。圧力は、10〜100torrで行うことが好ましい。100torrより高いと3−シクロヘキセニルメタノールのような脱離したアルコールが留出しにくくなり、10torrより低いと、装置上の制約が多くなる。温度は、140〜200℃が好ましく、より好ましくは150〜190℃である。温度が低いと反応が進みにくく、高すぎると反応制御が難しくなる上、製品の着色が起こりやすい。
エステル交換反応は、蒸留塔を用いて行うことが望ましい。これは、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートを留出させず、3−シクロヘキセニルメタノールのような脱離したアルコールを留出させて反応を効率よく進めるためである。蒸留塔の段数は、5〜20段程度が好ましい。
エステル交換反応の際には触媒を使用するのが好ましく、触媒としては、種々の有機及び無機の金属化合物を用いることが可能であるが、好ましい触媒は、塩化第一スズ、モノブチルスズトリス−2−エチルヘキサネート、オクタン酸第一スズ、ジブチルスズジラウレートのようなスズ系化合物等やテトラブトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート等のようなチタン系の触媒である。これら以外にも重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸バリウム、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸セシウム、チオシアン酸コバルト、チオシアン酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸及び炭酸その他の金属塩、シュウ酸金属塩、水素化カルシウムなどが好ましく例示される。触媒の使用量は、エステル交換反応における出発原料に対して重量基準で3〜300ppmが好ましく、より好ましくは5〜100ppmである。多すぎると目的生成物の着色が生じ、少なすぎると反応が進みにくい。触媒添加の際は、触媒の失活を防ぐため系内の水分を極力減らした状態で添加を行うことが望ましい。これら触媒は、一度に又は数回に分けて仕込むことも可能である。
エステル交換反応終了後は、反応生成物の水洗を行い触媒の失活又は除去することが必須である。水洗を行なわないと未反応の3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートを留去する際に着色が生じ、後述するエポキシ化反応における目的生成物である脂環式エポキシ化合物の品質を大きく低下させるためである。水洗の条件は、特に限定されないが、例えば、30〜90℃にて1〜2時間程度水と共に撹拌する方法などが挙げられる。水洗時の温度が高すぎたり、時間が長すぎると、生産性が低下する場合があり、逆に水洗時の温度が低すぎたり、時間が短いと十分に触媒を除去できない場合がある。水の仕込比率は、エステル交換反応により得られる脂環式オレフィン多価エステル化合物の0.1〜2重量倍が好ましく、より好ましくは0.3〜1重量倍である。水の仕込み比率が高いと生産性が低下する場合があり、逆に低いと十分に触媒を除去できない場合がある。
水洗後に未反応の3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートの留去を行う。条件は、150〜200℃、好ましくは、160℃〜180℃であり、圧力は、1〜5torrが好ましく、より好ましくは2〜4torrである。装置は、反応器ないしエバボレーター等を用いることも可能であるが、製造効率、着色防止の観点から、流下液膜式薄膜蒸発装置(FFE)やかきとり式薄膜蒸発装置(WFE)などの薄膜蒸発機が好ましい。
<エポキシ化反応>
上記で得られた一般式(3)で表される脂環式オレフィン多価エステル化合物をエポキシ化剤と反応させることにより一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)を製造する。
使用できるエポキシ化剤としては、過酸又は過酸化水素が挙げられるが、過酸、特に水分を実質的に含まない過カルボン酸を使用することが好ましい。これは、水存在下でのエポキシ化反応は、エポキシ基の開環反応が進みエポキシ化合物の収率が低下するためである。本発明でいう実質的に水分を含まない過カルボン酸とは、アセトアルデヒドの空気酸化により製造される過カルボン酸のことである。このような過カルボン酸の製造方法としては、例えば特開昭54-3006号公報に記載の方法が挙げられる。本発明で使用される過カルボン酸の水分含量としては、0.8〜0.1%、好ましくは、0.6〜0.3%である。これは、過酸化水素から過カルボン酸を合成し、溶媒に抽出し過カルボン酸を製造する場合に比べて連続して低い水分含量の過カルボン酸を大量に高濃度で合成できるため、実質的に安価なプロセスを作ることができる。過酸類としては過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、トリフルオロ過酢酸等を用いることができる。このうち特に過酢酸は工業的に安価に製造可能で、かつ安定度も高く、好ましいエポキシ化剤である。
エポキシ化剤の使用量は、特に限定されず、使用する個々のエポキシ化剤、所望されるエポキシ化度、使用する個々の被エポキシ化物等に応じて適宜調節する。不飽和結合に対するエポキシ化剤の仕込みモル比は、残存させる不飽和結合に応じ調整するが、エポキシ基の多い化合物を得るためには、エポキシ化剤は不飽和基に対して等モルかそれ以上加えるのが好ましい。ただし、経済性、及び次に述べる副反応の問題から2倍モルを越えることは通常不利であり、過酢酸の場合1.3〜1.8倍モルが好ましい。
エポキシ化反応は、装置や原料物性に応じて不活性溶媒使用の有無や反応温度を調節して行なう。不活性溶媒としては、原料粘度の低下、エポキシ化剤の希釈による安定化などの目的で使用することができ、過酢酸の場合であれば芳香族化合物、エーテル類、エステル類などを用いることができる。特に好ましい溶媒は、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸エチルである。反応温度は、用いるエポキシ化剤の反応性によって異なり特に限定されないが、例えば、過酢酸の場合、20〜70℃が好ましい。20℃以下では反応が遅なる場合があり、70℃では過酢酸の分解が起こる場合がある。反応は、例えば、上記の混合物を1〜5時間攪拌することにより行う。得られたエポキシ化物の単離は適当な方法、例えば貧溶媒で沈殿させる方法、エポキシ化物を熱水中に攪拌の下で投入し溶媒を蒸留除去する方法、直接脱溶媒法などで行うことができる。
[その他のエポキシ化合物(B)]
本発明のその他のエポキシ化合物(B)は、上記脂環式エポキシ化合物(A)以外のエポキシ化合物である。中でも、その他のエポキシ化合物(B)としては、上記一般式(2)で表される上記化合物が好ましく、さらに、一般式(2)中のR1〜R18の全てが水素原子である下記一般式(4)の化合物(エポキシ化ビシクロヘキシル(EBP))が特に好ましい。なお、一般式(2)で表されるエポキシ化合物は、例えば、特開2005−146038号公報に示された方法によって製造することができる。
Figure 2007176980
上記化合物の他にも、分子中にエポキシ基を1個以上、好ましくは1〜2個有するエポキシ化合物であれば、その他のエポキシ化合物(B)として用いることができる。このエポキシ基は脂環式エポキシ基でも脂環式エポキシ基以外のエポキシ基でもよい。分子中に脂環式エポキシ基を有する化合物の具体例としては、リモネンジオキサイド、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン−1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステルなどが挙げられる。一方、分子中に脂環式エポキシ基以外のエポキシ基を有する化合物としては、ビスフェノールA型、F型に代表される各種ビスフェノール型のジグリシジルエーテル(市販品としては、エピコート828、806(ジャパンエポキシレジン社製)、YD−128(東都化成製)など)、ビスフェノール型エポキシ樹脂の核水添品(市販品としては、HBE−100(新日本理化製)、YX−4000(ジャパンエポキシレジン社製)など)が挙げられる。その他に、シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテルなどの環状脂肪族骨格を持ったグリシジルエーテル(市販品としては、DME−100(新日本理化製)など)、ノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル、DCPDなどを共重合させたノボラック型フェノール樹脂のグリシジルエーテル、ナフタレンなどの多環芳香族のグリシジルエーテル、脂環骨格に末端エポキシを持つエポキシ樹脂(市販品としては、EHPE−3150、EHPE−3150CE(ダイセル化学工業製)など)、エポキシ基を持ったシリコン樹脂(市販品としては、A−186(日本ユニカー製)、KBM303、KBM403、KBM42(信越化学工業製)など)も挙げられる。その他のエポキシ化合物(B)としては、上記に挙げたエポキシ化合物を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤のエポキシ化合物としては、硬化性、密着性等の観点から、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)を混合して用いることが好ましい。その場合、脂環式エポキシ化合物(A)の配合比率は、(A)と(B)の合計量100重量部に対して、10〜99重量部が好ましく、より好ましくは20〜70重量部、さらに好ましくは30〜60重量部である。その他のエポキシ化合物(B)の配合比率は、(A)と(B)の合計量100重量部に対して、90〜1重量部が好ましく、より好ましくは80〜30重量部、さらに好ましくは70〜40重量部である。上記比率で配合することにより、優れた硬化性と、3次元架橋効果による良好な接着性が両立できる。上記範囲を外れると、活性エネルギー線の照射量が低い場合に接着剤の硬化性が低下する場合や、得られる接着体の硬度、密着性が劣る場合がある。
[アクリル樹脂(C)]
本発明のアクリル樹脂(C)は、エポキシ基を有するアクリル樹脂、又は、エポキシ基と水酸基を有するアクリル樹脂である。アクリル樹脂(C)は、エポキシ基を含むモノマーを重合するか、又は、エポキシ基を含むモノマーと水酸基を含むモノマーを共重合することで得ることが出来る。エポキシ基を含むモノマーとしては、グリシジルエーテル又は、類似の末端エポキシを持つ化合物、脂環エポキシなど有する(メタ)アクリル酸エステルなどを挙げることができる。具体例としては、グリシジルメタクリレート、2−メチル−グリシジルメタクリレート、エポキシ化イソプレニルメタクリレート、CYM M−100及び、CYM A−400(ダイセル化学工業製)などが挙げられる。一方、水酸基を含むモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びこれらの水酸基含有アクリレートをカプロラクトン変性したモノマー(商品名FM−1、FM−3、FM−10、FA−1、FA−3でダイセル化学工業より市販されている。)が挙げられる。
本発明のアクリル樹脂(C)には、モノマーとして、エポキシ基を含むモノマーと水酸基を含むモノマーの他、通常のアルキルアクリレート単量体を共重合に使用することができる。共重合に使用することができる通常のアルキルアクリレート単量体としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−、i−又はt−ブチルアクリレート、n−、i−もしくはt−ブチルメタアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等の如きアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキル又はシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜8個のヒドロキシアルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアクリルアミドもしくはメタクリルアミド又はこれらの誘導体;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニルピバレート、ベオバモノマー(シェル化学社製、分岐脂肪酸のビニルエステル)、サイラプレーンFM0711、同FM0721、同FM0725(以上、いずれもチッソ社製、末端にメタクリロイル基を有するポリジメチルシロキサンマクロモノマー)、その他ビニル単量体を挙げることができる。
本発明のアクリル樹脂(C)をモノマーから製造する際には、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、デカノイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、アセチルパーオシキド、メチルエチルケトンパーオキシド、コハク酸パーオキシド、ジセチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、AIBN(2,2'−アゾビスイソブチロニトリル)、ABN−E(2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))、ABN−V(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))、パーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート)などを使用することができる。
重合開始剤の使用量は、モノマー100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、より好ましくは3〜6重量部である。重合開始剤は、一部あらかじめ反応器に仕込んでおいても良いし、モノマーに配合しても、又は配合せず別々に滴下しても良い。また、モノマーを仕込んだ後に開始剤を追加仕込みにしても良い。
重合温度は、90〜130℃が好ましく、より好ましくは100〜120℃である。温度が、130℃以上では重合が不安定になり高分子量の化合物が多く生成し好ましくない場合がある。一方、90℃以下では重合時間が長くなる場合がある。
本発明のアクリル樹脂(C)中のエポキシ基の量は、オキシラン酸素濃度として、カチオン重合性を有するエポキシ化合物及びカチオン種と反応する官能基を有するアクリル樹脂を合計した際に、6〜11%が好ましく、より好ましくは7.5〜9.5%である。又、エポキシ基の他に水酸基も有するアクリル樹脂中の水酸基の量は、水酸基価として1〜300の範囲が好ましく、更に、1.5〜250の範囲がより好ましい。
本発明のアクリル樹脂(C)の配合量は、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して、1〜85重量部が好ましく、より好ましくは3〜70重量部、さらに好ましくは5〜60重量部である。配合量が、1重量部未満の場合にはアクリル樹脂(C)の配合効果が得られない場合があり、85重量部を超えると得られる硬化物の接着力が低下する場合がある。
[ポリオール(D)]
本発明のポリオール(D)は、分子内に水酸基を2〜4個有するカプロラクトン変性ポリオール化合物である。具体的には以下のものが例示される。水酸基を2個持つものとしては、PCL−205、PCL−212、PCL−240、PCL−L208AL、PCL−L220AL、PCL−220EC、PCL−CD220PL、PCL−CD210HL(いずれもダイセル化学工業(株)より市販されている)などが挙げられる。水酸基を3個持つものとしては、PCL−303、PCL−308、PCL−L320AL(いずれもダイセル化学工業(株)より市販されている)、水酸基を4個持つものとしては、PCL−410、PCL−420D(いずれもダイセル化学工業(株)より市販されている)などが挙げられる。
本発明のポリオール(D)の配合量は、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して、1〜50重量部が好ましく、より好ましくは3〜45重量部、さらに好ましくは5〜40重量部である。配合量が、1重量部未満の場合にはポリオール(D)の配合効果が得られない場合があり、50重量部を超えると得られる硬化物の接着力が低下する場合がある。
[光重合開始剤]
本発明の光重合開始剤は、紫外線などの活性エネルギー線照射によりカチオン種を発生して重合を開始させる化合物(光カチオン重合開始剤)であり、例えば、下記式(I)〜(XV)で示されるヘキサフルオロアンチモネート塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩及びその他のカチオン重合開始剤を挙げることができる。
Figure 2007176980
(上記式中、Arはアリール基、例えばフェニル基を表し、X-はPF6 -、SbF6 - 又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、R20は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表し、rは0〜3の整数を表す。X-はPF6 -、SbF6 -又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、Y- はPF6 -、SbF6 -、AsF6 -又はSbF5(OH)-を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、X-はPF6 -、SbF6 - 又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、X-はPF6 -、SbF6 - 又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、X-はPF6 -、SbF6 - 又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、R21は炭素原子数7〜15のアラルキル基又は炭素原子数3〜9のアルケニル基を表し、R22は炭素原子数1〜7の炭化水素基又はヒドロキシフェニル基を表し、R23は酸素原子又は硫黄原子を含有していてもよい炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
-はPF6 -、SbF6 - 又はAsF6 -を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、R24及びR25はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。)
Figure 2007176980
(上記式中、R26及びR27はそれぞれ独立に炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。)
Figure 2007176980
本発明の光重合開始剤としては、市販品を使用することもできる。市販品としては、例えば、UVACURE1591(ダイセル・サイテック(株)社製)、イルガキュア264(チバガイギー社製)、CIT−1682(日本曹達(株)製)、サイラキュアUVI−6970、同UVI−6974、同UVI−6990(以上いずれも米国ユニオンカーバイド社製))、SI−60L、SI−100L(以上いずれも三新化学工業製)、オプトマー SP−150、SP−170、SP−152、SP−172、R−gen−BF1172(ダブルボンドケミカル製)、イルガキュア250(チバスペシャリティケミカル製)、UV1240、UV1241、UV2257(ドイトロン製)などを挙げることができる。
本発明の光重合開始剤の配合量は、上記成分(A)〜(D)の合計量100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤に、例えば、(A)、(B)のみが用いられる場合には、(A)と(B)の合計量100重量部に対して上記配合量範囲にすることが好ましいし、(A)、(B)及び(C)が用いられる場合には、(A)、(B)、(C)の合計量を100重量部に対して上記配合量範囲にすることが好ましい。
[その他の添加剤]
本発明の接着剤には、上記(A)〜(D)の化合物及び光重合開始剤以外に、必要に応じて、増感剤;硬化を著しく阻害しない量の着色顔料、体質顔料などの顔料類、染料;ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ化ポリブタジエン樹脂などの改質樹脂;有機樹脂微粒子;溶剤などを配合することができる。
前記増感剤は、活性エネルギー線による硬化性をさらに向上させる目的で配合されるものであり、例えば、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビンなどを挙げることができる。この増感剤の配合量は、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して、通常10重量部以下が好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
改質樹脂を配合する場合には、該改質樹脂は、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して、通常0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。
ことが好ましい。
また、レベリングを防止し、塗布性能を向上させるために、各種界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、シリコン系化合物、フッ素系化合物が使用できる。
さらに有機樹脂微粒子を使用することも可能である。これらは、粒子径が50〜500nmの範囲内の有機樹脂微粒子が好ましく、例えば内部が3次元架橋したアクリル樹脂微粒子などを挙げることができる。有機樹脂微粒子としては、有機重合体を粉砕して微粒子化したもの;乳化剤の存在下に水中でエマルジョン重合して得られる重合体微粒子を乾燥、粉砕したもの;高分子安定剤の存在下に有機溶剤中でディスパージョン重合して得られる重合体微粒子を乾燥、粉砕したものなどを挙げることができる。本発明の接着剤に有機樹脂微粒子を配合することによって塗膜の密着性及び加工性を改良することができる。有機樹脂微粒子を配合する場合には、該有機樹脂微粒子の配合量は、脂環式エポキシ化合物(A)とその他のエポキシ化合物(B)の合計量100重量部に対して、通常0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部である。
[活性エネルギー線硬化型接着剤の調製、硬化方法及び用途]
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、以上に述べた各成分を混合し、均一な接着剤となるように撹拌することにより調製することができる。例えば、各成分を混合し、必要に応じて、加温、例えば50℃程度で加温し、ディソルバーなどの撹拌機にて均一になるまで、例えば10分間程度撹拌することにより調製することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、例えば、ロールコート塗装、スプレー塗装、ハケ塗り、バーコート塗装、ローラー塗り、シルクスクリーン印刷などの方法によって塗布することができる。接着剤が溶剤を含有する場合には、塗布後、加熱などにより溶剤を除去した後、活性エネルギー線照射によって硬化されるが、照射条件は塗布された接着剤の種類や膜厚等に応じて適宜変えることができる。照射する活性エネルギー線としては、紫外線が好ましく、波長としては、通常、200〜600nmの範囲内が適当であり、カチオン重合開始剤の種類等に応じて、感度の高い波長を有する照射源を適宜選択して使用することができる。
活性エネルギー線として紫外線を用いる場合、照射源としては、例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハライドランプ、太陽光などを挙げることができる。塗膜への照射条件は、通常、線量が10〜1000mJ/cm2が好ましく、より好ましくは50〜500mJ/cm2である。
また、活性エネルギー線照射後、必要に応じて接着剤を加熱してもよい。加熱によって接着剤中の未反応物の低減および活性エネルギー線照射による塗膜の硬化性や成型加工によって発生した歪みの緩和を行なうことができる。この加熱によって接着剤の硬度や密着性の向上を行なうことができる場合がある。上記加熱は、通常150〜200℃の雰囲気温度で1〜30分間の条件で行なうことができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤は、ガラス、アルミニウム等の金属、PET等の合成樹脂、アセチルセルロース等の半合成樹脂などに対して使用することが可能である。中でも、特にフィルム等の薄膜材料に対して好ましく用いられる。さらに、ガラス等の無機材料とPET、アセチルセルロース等の樹脂など異種材料間でも優れた密着性を発揮する。
本発明の活性エネルギー線硬化型接着剤を用い、2以上の被着体を接着させることによって、接着体が得られる。本発明の接着体の用途としては、特に限定されないが、携帯電話の液晶パネル等携帯機器の表示装置などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、「%」及び「部」は、特に示す場合を除くほか「重量%」及び「重量部」を示す。
実施例に用いた脂環式エポキシ化合物(A)、一般式(4)で表される化合物(EBP)、アクリル樹脂(C−1)、(C−2)はそれぞれ下記の合成例により作製した。
(合成例1) 脂環式エポキシ化合物(A)の合成
10段の蒸留塔のついた10リットル反応器に3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレートを6110g、1,4−シクロヘキサンジメタノールを400g反応器に仕込み、90℃で溶解させた。溶解確認後、塩化スズを出発原料に対して10ppm相当仕込み、170℃、8torr(1.06kPa)まで減圧にした。副生する3−シクロヘキセニルメタノールを留出させながら反応させ、3−シクロヘキセニルメタノールの留出がほぼ停止したところで加熱を停止し、エステル交換反応を終了させた。
その後、反応粗液の0.5重量倍のイオン交換水を用いて60℃で1時間水洗を行い30分静置した。水層を分離後、薄膜蒸発機にてジャケット温度178℃、圧力3.2torr(0.43kPa)で水洗液中に残存する3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセンカルボキシレート及び3−シクロヘキセニルメタノールを留去することにより、脂環式オレフィン多価エステル化合物(上記一般式(3)の化合物)が821g得られた。
さらに、撹拌器、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた1リットルのジャケット付きフラスコに、得られた脂環式ジオレフィン化合物200gと酢酸エチル200gを仕込み、窒素を気相部に吹き込みながら、反応系内の温度を25℃になるように約3時間かけて実質的に無水の過酢酸の酢酸エチル溶液402g(過酢酸濃度29.5%、水分0.35%)を滴下した。過酢酸溶液滴下終了後、25℃で5時間熟成し反応を終了した。反応粗液を30℃で水洗し、70℃、20torr(2.66kPa)で脱低沸を行い、脂環式エポキシ化合物(A)212.5gを得た。得られた脂環式エポキシ化合物(A)は、オキシラン酸素濃度7.88%の白色結晶であった。
1HNMRから、δ5〜5.8付近の2重結合に由来するピークが消失し、δ2.9〜3.3付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。
(合成例2) 一般式(4)で表されるエポキシ化合物(EBP)の合成
ビシクロヘキシル−3,3'−ジエン406gと、酢酸エチル1217gを反応器に仕込み、窒素を気相部に流しながら、且つ、反応器内の温度を37.5℃に保ちながら約3時間かけて30 重量%過酢酸の酢酸エチル溶液(水分率0.41重量%)457gを滴下した。過酢酸の酢酸エチル溶液滴下終了後、40℃で1時間攪拌を行い反応を終了した。続いて反応器を30℃まで冷却し、反応粗液を水洗した。その後70℃/20mmHgで反応粗液から低沸成分を除去し、一般式(4)で表されるエポキシ化合物(EBP)415gを得た。得られたEBPのオキシラン酸素濃度は14.7重量%で、収率は85%であった。
得られたエポキシ化合物の1HNMRを用いて分析したところ、δ4.5〜5ppm付近の内部二重結合に由来するピークが消失し、δ2.9〜3.1ppm付近にエポキシ基に由来するプロトンのピークの生成が確認された。
(合成例3) アクリル樹脂(C−1)の合成
撹拌器、還流冷却管、滴下ろうと、温度計を備えたフラスコに3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(商品名CEL−2021P:ダイセル化学工業(株)製)を233g仕込む。そして空気を吹き込みながら105〜110℃に昇温し、メチルメタクリレート55g、n−ブチルメタクリレート15g、ヒドロキシエチルメタクリレート20g、CYM M−100(ダイセル化学工業製)10g、アゾビスイソブチロニトリル3g、パラメトキシフェノール0.3gを3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を行い反応を終了し、エポキシ基と水酸基を有するアクリル樹脂(C−1)を得た。アクリル樹脂(C−1)の水酸基価は23.6KOHmg/g、オキシラン酸素濃度は8.0重量%であった。
(合成例4) アクリル樹脂(C−2)の合成
CEL−2021P(233g)に対して加えるモノマー等を、メチルメタクリレート65g、n−ブチルメタクリレート10g、ヒドロキシエチルメタクリレート15g、グリシジルメタクリレート10g、アゾビスイソブチロニトリル3g、パラメトキシフェノール0.3gに変更して、合成例3と同様に、アクリル樹脂(C−2)を得た。アクリル樹脂(C−2)の水酸基価は18.3KOHmg/g、オキシラン酸素濃度は8.5重量%であった。
実施例1〜8及び比較例1〜7
攪拌機、温度計を備えた500mlのフラスコに表1、表2に示した各成分を加え、30℃で20分攪拌して、活性エネルギー線硬化型接着剤を得た。
このようにして得た各接着剤の接着力は、以下の手順で測定した。
ガラスの場合は1mm厚、Al板(アルミ板)は0.5mm厚、PET(ポリエステルフィルム)は200μm厚、Acセル(アセチルセルロースフィルム)は200μm厚で、各15mm幅の試験片を用意し、重ね合わせ長さを5mmとし、重ね合わせ部分に得られた接着剤を20μm厚に塗布し、泡を抜きながら貼り合わせて固定し、高圧水銀灯120w×10m×4パス照射した後(照射量1200mJ/cm2)引っ張り試験機で接着力(kg/15mm)を測定した。なお、試験はすべて23℃において行なった。
PET/PET、ガラス/ガラス、ガラス/PET、Al板/PET、ガラス/Acセルの組み合わせ(5項目)について測定を行い、それぞれ、以下の場合を各項目における接着性が良好とした。
PET/PET : 14kg/15mm以上
ガラス/ガラス : ガラス破壊すること
ガラス/PET : 13kg/15mm以上
Al板/PET : 16kg/15mm以上
ガラス/Acセル : フィルム破断すること
[評価判定]
上記、5項目の評価のうち、全て(5項目)が良好な場合を優れた接着性(◎)、4項目が良好な場合を接着性良好(○)、3項目の場合を接着性不十分(△)、2項目以下の場合を接着性不良(×)と判定した。なお、上記、△と×は接着剤として使用するには不十分なレベルである。
なお、実施例、比較例で用いた(表1に示した)各成分は下記の通りである。
合成例1: 上記合成例1で得られた脂環式エポキシ化合物(A)
合成例2: 上記合成例2で得られた一般式(4)で表されるエポキシ化合物(エポキシ化ビシクロヘキシル(EBP))
合成例3: 上記合成例3で得られたアクリル樹脂(C−1)
合成例4: 上記合成例4で得られたアクリル樹脂(C−2)
CEL−2021P: ダイセル化学工業(株)製「セロキサイド2021P」
PCL308: ダイセル化学工業(株)製「プラクセル308」(3官能ポリエステルポリオール)
PCL220EC: ダイセル化学工業(株)製「プラクセル220EC」(2官能ポリエステルポリオール)
A−186: 日本ユニカー(株)製「NACシリコンA−186」(β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン)
L−7604: 日本ユニカー(株)製「L−7604」(界面活性剤)
UVACURE 1591: ダイセル・サイテック(株)社製「UVACURE 1591」(光カチオン重合開始剤)
Figure 2007176980
Figure 2007176980
結果、表1、2に示すとおり、本発明の脂環式エポキシ化合物(A)を用いた活性エネルギー線硬化型接着剤は優れた接着性を示した。一方、本発明の脂環式エポキシ化合物(A)を用いない活性エネルギー線硬化型接着剤は、接着力が不足し性能の劣るものであった。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される脂環式エポキシ化合物(A)、活性エネルギー線照射によりカチオンを発生する光重合開始剤を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型接着剤。
    Figure 2007176980
  2. 脂環式エポキシ化合物(A)以外の他のエポキシ化合物(B)を含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
  3. 他のエポキシ化合物(B)が下記一般式(2)で表されるエポキシ化合物である請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
    Figure 2007176980
    (R1〜R18は、各独立に、水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、もしくはハロゲン原子を含んでよい炭化水素基、又は置換基を有してよいアルコキシ基である)
  4. 一般式(2)で表されるエポキシ化合物のR1〜R18の全てが水素原子である請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
  5. 脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる請求項2〜4のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
  6. 脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、エポキシ基またはエポキシ基と水酸基を有するアクリル樹脂(C)1〜85重量部を含有する樹脂組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる請求項2〜4のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
  7. 脂環式エポキシ化合物(A)10〜99重量部と他のエポキシ化合物(B)1〜90重量部[(A)と(B)の合計量は100重量部である]からなるエポキシ組成物100重量部に対して、分子内に水酸基を2〜4個有するカプロラクトン変性ポリオール化合物(D)1〜50重量部を含有する樹脂組成物100重量部に対して、光重合開始剤を0.01〜20重量部配合してなる請求項2〜4のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかの項に記載の活性エネルギー線硬化型接着剤を用いて形成されることを特徴とする接着体。
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