JP2007169782A - 高純度ジルコニウム粉の製造方法 - Google Patents
高純度ジルコニウム粉の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 ジルコニウム若しくはハフニウム原料を電子ビーム溶解して高純度化した後インゴットに鋳造する工程、得られた高純度ジルコニウム若しくはハフニウムインゴット又は切粉等を水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化する工程、該インゴットを冷却し水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得る工程、及び水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の水素を除去する工程からなることを特徴とする高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
【選択図】なし
Description
このため、従来のシリコンでは役に立たず、シリコンよりも誘電率の高い材料を用いなければならないが、このような材料として20前後の高い誘電率を持ち、Siと混ざりにくいZrO2及びHfO2使用が考えられる。
しかし、ZrO2及びHfO2は酸化剤を通過させ易いこと、また成膜時やその後のアニールにおいて誘電率の小さい界面層を形成させてしまう欠点があるので、ZrO2及びHfO2に替えてZrSi2及びHfSi2の使用も考えられる。
このようなゲート酸化膜又はシリサイド膜として使用する場合には、Zr若しくはHfターゲット又はこれらのシリサイドターゲットをアルゴン等の不活性ガス雰囲気中又は反応性ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成することが考えられるが、いずれの場合もZr及びHfが中心原料となる。
すなわち、
(1) Na、K等のアルカリ金属元素
(2) U、Th等の放射性元素
(3) Fe、Ni、Co、Cr、Cu等の遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素
(4) C、O、N、H等のガス成分元素
を極力減少させ、4Nすなわち99.99%(重量)以上の純度をもつことが必要である。なお、本明細書中で使用する%、ppm、ppbは全て重量%、重量ppm、重量ppbを示す。
上記半導体デバイス中に存在する不純物であるNa、K等のアルカリ金属は、ゲート絶縁膜中を容易に移動しMOS−LSI界面特性の劣化の原因となり、U、Th等の放射性元素は該元素より放出するα線によって素子のソフトエラーの原因となり、さらに不純物として含有されるFe、Ni、Co、Cr、Cu等の遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素は界面接合部のトラブルの原因となることが分かっている。
また、同様に一般に入手できる2Nレベルの純度のハフニウムスポンジについても表3に示すように、Cd:30ppm、Co:10ppm、Cr:150ppm、Cu:50ppm、Fe:300ppm、Mn:25ppm、Nb:30ppm、Ni:75ppm、Ta:100ppm、O:500ppm、N:60ppmなど大量の不純物が含有されている。
これらの不純物は、いずれも半導体としての動作機能を阻害するものばかりであり、このような半導体デバイスに対して有害である不純物を効率的に除去することが必要である。
しかし、従来はジルコニウム若しくはハフニウムを半導体デバイスにおけるゲート酸化膜として使用するという実績が少なく、またこれらの不純物を除去する精製技術が特殊でありコスト高になるために、考慮されずに放置されているに等しい状態であった。
したがって、上記の電子ビーム溶解法によって得た高純度のジルコニウム若しくはハフニウムをインゴットに鋳造した後、さらに粉末にする工程が必要となる。インゴットからの粉末化は通常、破砕によって行われるが、高純度のジルコニウム若しくはハフニウム粉は発火爆発の危険があり、インゴットからの粉末化は危険を伴うものである。このようなことから、インゴットからの粉末化の工程は十分な管理が必要であり、コスト高となる問題があった。
1.ジルコニウム若しくはハフニウム原料を電子ビーム溶解し高純度化してインゴット化する工程、得られた高純度ジルコニウム若しくはハフニウムインゴット又は高純度ジルコニウム若しくはハフニウムインゴットを切削し、酸洗浄した切粉等を水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化する工程、該インゴットを冷却し水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得る工程、及び水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の水素を除去する工程からなることを特徴とする高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
2.水素雰囲気中で700°C以上に加熱して水素化することを特徴とする上記1記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
3.冷却時にアルゴン等の不活性ガスを導入することを特徴とする上記1又は2記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
4.インゴット又は切粉等を500°C以下に冷却して水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得ることを特徴とする上記1〜3のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
5.インゴットから剥落した高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を、さらに粉砕することを特徴とする上記1〜4のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
6.真空下又は不活性雰囲気中で加熱することにより水素を除去することを特徴とする上記1〜5のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法
7.ガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする上記1〜6のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム粉の製造方法
を提供する。
8.Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Hfを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がジルコニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする上記1〜7のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム粉の製造方法
9.ジルコニウム及びガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする上記1〜6のそれぞれに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
を提供する。
さらに、本発明は
10.Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Zrを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする上記10記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
11.Zr含有量が0.5%以下であることを特徴とする上記9又は10に記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
を提供する。
また、酸素、炭素等のガス成分の発生を抑制してスパッタリング時のパーティクル発生を効果的に減少させることのできるガス成分の少ないジルコニウム若しくはハフニウムスパッタリングターゲットを得ることができ、半導体デバイスにおけるゲート酸化膜等の製造に有用である高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得ることができる著しい特徴を有している。
スポンジの表面を清浄にした後電子ビーム溶解ができるように、通常は該スポンジ原料をプレスにより圧縮してコンパクトにするが、この場合ジルコニウム若しくはハフニウムスポンジ原料が非常に脆いためにぼろぼろと崩れてしまう問題がある。
このため、Al、Zn、Cu、Mg等の揮発性元素の箔で包んでコンパクト材とする。このコンパクト材を電子ビーム溶解炉に投入しつつ電子ビーム溶解するのが望ましい。
上記コンパクト材は、電子ビーム溶解は真空中で実施するため、前記揮発性金属元素は溶解直後に、ガス成分や溶湯またはそこに浮上しているその他の不純物と共に揮発除去されるので、汚染物質とはならない。
なお、ジルコニウムにはハフニウムが、ハフニウムにはジルコニウムが相互にかなりの量で含有されており、これらの間の分離精製が難しいということがあるが、それぞれの材料の使用目的からして害とならないもので無視し得る。
水素化に際しては、上記のようにインゴット又は切粉を水素雰囲気又は気流中の炉に入れ、500°C以上に加熱する。ジルコニウム若しくはハフニウムインゴットは約500°Cから水素化し始め、700°Cに至ると急速に水素化の進行が速くなる。この炉中温度で10分以上保持するとかなりの量が水素化する。
剥落した材料はその状態でも粉末化しているものもあるが、薄片状のものは、必要に応じてこれを粉砕し微細な水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得ることができる。
このようにして得た微細な水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉は、単独のジルコニウム若しくはハフニウム粉とは異なり、発火爆発の虞が無く、安定して容易に製造できるという著しい効果を有する。さらに、還元性(水素)雰囲気中での粉末化工程なので、インゴットの酸化や粉末の酸化が防止できる利点がある。
また、水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉は、用途に応じてこのままの水素化粉末を使用できるが、脱水素が必要な場合には、真空下又は不活性雰囲気下で加熱することによって、水素を容易に除去することができる。これによって、外部からの汚染及び酸化が防止でき、高純度のジルコニウム若しくはハフニウム粉を容易に得ることができるという優れた特徴を有する。
(実施例1)
表1に示す純度(3Nレベル)の原料ジルコニウムスポンジを弗硝酸で洗浄し、表面に付着している不純物を除去した後、これをZn箔で包んでコンパクトとした。なお、表1に示す原料ジルコニウムスポンジは主な不純物のみを表示した。
次に、このコンパクトを電子ビーム溶解炉に導入し電子ビーム溶解を実施した。電子ビーム溶解の条件は次の通りである。
真空度: 2×10−4Torr
電流: 1.25A
鋳造速度: 20kg/hr
電力源単位: 4kwh/kg
なお、このようなZn等の箔で包まずプレスによりジルコニウムスポンジだけで押し固めコンパクトにしようとしたが、プレスの作業の途中でボロボロと崩れてしまい、コンパトとすることができなかった。したがって、Al、Zn、Cu、Mg等の揮発性元素の箔で包んでコンパクトにすることは、上記高純度ジルコニウムを製造するための望ましい条件である。
この結果、インゴットの30%、すなわち300gが水素化したジルコニウム粉が得られた。この後、水素化しなかったジルコニウムについて、再度同じ操作を実施したところ、残り全て水素化したジルコニウム粉が得られた。粉体になっていないものは、粉砕処理により容易に粉とすることができた。
また、この水素化したジルコニウム粉の製造工程中、発火や爆発の虞がなく、安全に操業できた。さらに、水素化したジルコニウム粉を真空下又はアルゴンガス等の不活性雰囲気下で加熱することによって、容易にジルコニウム粉が得られた。
これによって得た高純度ジルコニウム粉の分析結果を表2に示す。
特に、Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Hfを除くFe、Ni、Cr、Zrなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がジルコニウム及びその他の不可避不純物である高純度ジルコニウム粉が得られた。
表2に表示する通り、上記以外のその他の不純物については、そられの殆どが0.1ppm未満であった。
表3に示す純度(2Nレベル)のハフニウムスポンジを実施例1と同様に弗硝酸で洗い、表面に付着している不純物を除去した後、これをZn箔で包んでコンパクトとした。
次に、このコンパクトを電子ビーム溶解炉に導入し、電子ビーム溶解を実施した。この時の電子ビーム溶解の条件は実施例1と同様で、次の通りである。
真空度: 2×10−4Torr
電流: 1.25A
鋳造速度: 20kg/hr
電力源単位: 4kwh/kg
次に、高純度ハフニウムインゴットから1kgを取り、これを水素雰囲気炉に入れ、水素気流中で800°C30分間保持し、その後冷却した。冷却により400°Cに達した時点で水素をアルゴンに置換え、室温まで冷却した後、インゴットを取出した。
この結果、インゴットの30%、すなわち300gが水素化したハフニウム粉が得られた。この後、水素化しなかったハフニウムについて、再度同じ操作を実施したところ、残り全て水素化したハフニウム粉が得られた。粉体になっていないものは、粉砕処理により容易に粉とすることができた。
また、この水素化したハフニウム粉の製造工程中、発火や爆発の虞は全くなく、安全に操業できた。さらに、水素化したハフニウム粉を真空下又はアルゴンガス等の不活性雰囲気下で加熱することによって、容易にハフニウム粉が得られた。
これによって得た高純度ハフニウム粉の分析結果を表4に示す。
表4に示すように、表3に示す純度(2Nレベル)のハフニウムスポンジが、弗硝酸による洗浄と電子ビーム溶解により、ジルコニウム及び酸素、炭素などのガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満となり、ジルコニウム及び酸素、炭素などのガス成分を除き4N(99.99%)レベルの高純度ハフニウムが得られた。
特に、Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Hfを除くFe、Ni、Cr、Zrなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物である高純度ハフニウムが得られた。表5に表示していないその他の不純物については、そられの殆どが0.1ppm未満であった。
実施例1と同様にして製造したジルコニウムインゴットを旋盤で切粉にし弗硝酸洗浄後、同様の条件で水素化を実施した。これにより容易に粉にすることができた。分析結果は、表2とほぼ同様であった。
したがって、酸素、炭素等のガス成分の発生を抑制してスパッタリング時のパーティクル発生を効果的に減少させることのできるガス成分の少ないジルコニウム若しくはハフニウムスパッタリングターゲットの製造に有用である。
Claims (11)
- ジルコニウム若しくはハフニウム原料を電子ビーム溶解し高純度化してインゴット化する工程、得られた高純度ジルコニウム若しくはハフニウムインゴット又は高純度ジルコニウム若しくはハフニウムインゴットを切削し、酸洗浄した切粉等を水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化する工程、該インゴットを冷却し水素化ジルコニウム若しくはハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得る工程、及び水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の水素を除去する工程からなることを特徴とする高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- 水素雰囲気中で700°C以上に加熱して水素化することを特徴とする請求項1記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- 冷却時にアルゴン等の不活性ガスを導入することを特徴とする請求項1又は2記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- インゴット又は切粉等を500°C以下に冷却して水素化高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を得ることを特徴とする請求項1〜3のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- インゴットから剥落した高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉を、さらに粉砕することを特徴とする請求項1〜4のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- 真空下又は不活性雰囲気中で加熱することにより水素を除去することを特徴とする請求項1〜5のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム若しくはハフニウム粉の製造方法。
- ガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする請求項1〜6のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム粉の製造方法。
- Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Hfを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がジルコニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする請求項1〜7のそれぞれに記載の高純度ジルコニウム粉の製造方法。
- ジルコニウム及びガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする請求項1〜6のそれぞれに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Zrを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする請求項9記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- ジルコニウム含有量が0.5%以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
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