JP5019286B2 - 高純度ハフニウム粉の製造方法 - Google Patents
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Description
このため、従来のシリコンでは役に立たず、シリコンよりも誘電率の高い材料を用いなければならないが、このような材料として20前後の高い誘電率を持ち、Siと混ざりにくいHfO 2 の使用が考えられる。
しかし、HfO 2 は酸化剤を通過させ易いこと、また成膜時やその後のアニールにおいて誘電率の小さい界面層を形成させてしまう欠点があるので、HfO 2 に替えてHfSi 2 の使用も考えられる。
このようなゲート酸化膜又はシリサイド膜として使用する場合には、Hfターゲット又はこれらのシリサイドターゲットをアルゴン等の不活性ガス雰囲気中又は反応性ガス雰囲気中でスパッタリングすることによって形成することが考えられるが、いずれの場合もHfが中心原料となる。
すなわち、
(1) Na、K等のアルカリ金属元素
(2) U、Th等の放射性元素
(3) Fe、Ni、Co、Cr、Cu等の遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素
(4) C、O、N、H等のガス成分元素
を極力減少させ、4Nすなわち99.99%(重量)以上の純度をもつことが必要である。なお、本明細書中で使用する%、ppm、ppbは全て重量%、重量ppm、重量ppbを示す。
上記半導体デバイス中に存在する不純物であるNa、K等のアルカリ金属は、ゲート絶縁膜中を容易に移動しMOS−LSI界面特性の劣化の原因となり、U、Th等の放射性元素は該元素より放出するα線によって素子のソフトエラーの原因となり、さらに不純物として含有されるFe、Ni、Co、Cr、Cu等の遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素は界面接合部のトラブルの原因となることが分かっている。
これらの不純物は、いずれも半導体としての動作機能を阻害するものばかりであり、このような半導体デバイスに対して有害である不純物を効率的に除去することが必要である。
しかし、従来はハフニウムを半導体デバイスにおけるゲート酸化膜として使用するという実績が少なく、またこれらの不純物を除去する精製技術が特殊でありコスト高になるために、考慮されずに放置されているに等しい状態であった。
したがって、上記の電子ビーム溶解法によって得た高純度のハフニウムをインゴットに鋳造した後、さらに粉末にする工程が必要となる。インゴットからの粉末化は通常、破砕によって行われるが、高純度のハフニウム粉は発火爆発の危険があり、インゴットからの粉末化は危険を伴うものである。このようなことから、インゴットからの粉末化の工程は十分な管理が必要であり、コスト高となる問題があった。
1.ハフニウム原料を電子ビーム溶解し高純度化してインゴット化する工程、得られた高純度ハフニウムインゴットを酸洗浄した後、水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化し、水素化したハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ハフニウム粉を得る工程、又は高純度ハフニウムインゴットを切削し、酸洗浄した切粉等を水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化する工程、及び前記水素化高純度ハフニウム粉の水素を除去する工程からなり、ジルコニウム及びガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする高純度ハフニウム粉の製造方法。
2.ハフニウム原料を電子ビーム溶解し高純度化してインゴット化する工程、得られた高純度ハフニウムインゴットを酸洗浄した後、水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化し、水素化したハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ハフニウム粉を得る工程、又は高純度ハフニウムインゴットを切削し、酸洗浄した切粉等を水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化する工程、及び前記水素化高純度ハフニウム粉の水素を除去する工程からなり、Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Zrを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする高純度ハフニウム粉の製造方法。
3.Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Zrを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物であることを特徴とする上記1記載の高純度ハフニウム粉の製造方法、を提供する。
4.水素雰囲気中で700°C以上に加熱して水素化することを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
5.冷却時にアルゴン等の不活性ガスを導入することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
6.インゴット又は切粉等を500°C以下に冷却して水素化高純度ハフニウム粉を得ることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
7.インゴットから剥落した高純度ハフニウム粉を、さらに粉砕することを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
8.真空下又は不活性雰囲気中で加熱することにより水素を除去することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法
9.ジルコニウム含有量が0.5%以下であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法、を提供する。
また、酸素、炭素等のガス成分の発生を抑制してスパッタリング時のパーティクル発生を効果的に減少させることのできるガス成分の少ないハフニウムスパッタリングターゲットを得ることができ、半導体デバイスにおけるゲート酸化膜等の製造に有用である高純度ハフニウム粉を得ることができる著しい特徴を有している。
スポンジの表面を清浄にした後電子ビーム溶解ができるように、通常は該スポンジ原料をプレスにより圧縮してコンパクトにするが、この場合ハフニウムスポンジ原料が非常に脆いためにぼろぼろと崩れてしまう問題がある。
このため、Al、Zn、Cu、Mg等の揮発性元素の箔で包んでコンパクト材とする。このコンパクト材を電子ビーム溶解炉に投入しつつ電子ビーム溶解するのが望ましい。
上記コンパクト材は、電子ビーム溶解は真空中で実施するため、前記揮発性金属元素は溶解直後に、ガス成分や溶湯またはそこに浮上しているその他の不純物と共に揮発除去されるので、汚染物質とはならない。
なお、ハフニウムにはジルコニウムがかなりの量で含有されており、これらの間の分離精製が難しいということがあるが、それぞれの材料の使用目的からして害とならないもので無視し得る。
水素化に際しては、上記のようにインゴット又は切粉を水素雰囲気又は気流中の炉に入れ、500°C以上に加熱する。ハフニウムインゴットは約500°Cから水素化し始め、700°Cに至ると急速に水素化の進行が速くなる。この炉中温度で10分以上保持するとかなりの量が水素化する。
剥落した材料はその状態でも粉末化しているものもあるが、薄片状のものは、必要に応じてこれを粉砕し微細な水素化ハフニウム粉を得ることができる。
このようにして得た微細な水素化ハフニウム粉は、単独のハフニウム粉とは異なり、発火爆発の虞が無く、安定して容易に製造できるという著しい効果を有する。さらに、還元性(水素)雰囲気中での粉末化工程なので、インゴットの酸化や粉末の酸化が防止できる利点がある。
また、水素化ハフニウム粉は、用途に応じてこのままの水素化粉末を使用できるが、脱水素が必要な場合には、真空下又は不活性雰囲気下で加熱することによって、水素を容易に除去することができる。これによって、外部からの汚染及び酸化が防止でき、高純度のハフニウム粉を容易に得ることができるという優れた特徴を有する。
表1に示す純度(2Nレベル)のハフニウムスポンジを弗硝酸で洗い、表面に付着している不純物を除去した後、これをZn箔で包んでコンパクトとした。
次に、このコンパクトを電子ビーム溶解炉に導入し、電子ビーム溶解を実施した。この時の電子ビーム溶解の条件は、次の通りである。
真空度: 2×10−4Torr
電流: 1.25A
鋳造速度: 20kg/hr
電力源単位: 4kwh/kg
次に、高純度ハフニウムインゴットから1kgを取り、これを水素雰囲気炉に入れ、水素気流中で800°C30分間保持し、その後冷却した。冷却により400°Cに達した時点で水素をアルゴンに置換え、室温まで冷却した後、インゴットを取出した。
この結果、インゴットの30%、すなわち300gが水素化したハフニウム粉が得られた。この後、水素化しなかったハフニウムについて、再度同じ操作を実施したところ、残り全て水素化したハフニウム粉が得られた。粉体になっていないものは、粉砕処理により容易に粉とすることができた。
また、この水素化したハフニウム粉の製造工程中、発火や爆発の虞は全くなく、安全に操業できた。さらに、水素化したハフニウム粉を真空下又はアルゴンガス等の不活性雰囲気下で加熱することによって、容易にハフニウム粉が得られた。
これによって得た高純度ハフニウム粉の分析結果を表4に示す。
特に、Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Hfを除くFe、Ni、Cr、Zrなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、残部がハフニウム及びその他の不可避不純物である高純度ハフニウムが得られた。表に示していないその他の不純物については、そられの殆どが0.1ppm未満であった。
したがって、酸素、炭素等のガス成分の発生を抑制してスパッタリング時のパーティクル発生を効果的に減少させることのできるガス成分の少ないハフニウムスパッタリングターゲットの製造に有用である。
Claims (6)
- ハフニウム原料の表面を弗硝酸で清浄にした後、該原料を揮発性元素の箔で包んでコンパクト材とし、このコンパクト材を電子ビーム溶解して高純度化してインゴット化する工程、得られた高純度ハフニウムインゴットを水素雰囲気中で500°C以上に加熱して水素化し、次にこれを冷却して、水素化したハフニウム粉をインゴットから剥落させて水素化高純度ハフニウム粉を得る工程、又は高純度ハフニウムインゴットを切削し、酸洗浄した切粉を、水素雰囲気中で500°C以上に加熱し冷却して水素化する工程、及び前記水素化高純度ハフニウム粉の水素を除去する工程からなり、Na、Kなどのアルカリ金属元素の含有量が総計で1ppm以下、U、Thなどの放射性元素の含有量が総計で5ppb以下、Zrを除くFe、Ni、Co、Cr、Cuなどの遷移金属若しくは重金属又は高融点金属元素が総計で50ppm以下、ジルコニウム含有量が0.5%以下、ジルコニウム及びガス成分を除く不純物含有量が100ppm未満であることを特徴とする高純度ハフニウム粉の製造方法。
- 水素雰囲気中で700°C以上に加熱して水素化することを特徴とする請求項1に記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- 冷却時にアルゴン等の不活性ガスを導入することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- インゴット又は切粉を500°C以下に冷却して水素化高純度ハフニウム粉を得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- インゴットから剥落した高純度ハフニウム粉を、さらに粉砕することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
- 真空下又は不活性雰囲気中で加熱することにより水素を除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高純度ハフニウム粉の製造方法。
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