JP2007165054A - 蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】セパレータレスの薄型蓄電デバイスにおいて、高い電流密度での容量を向上させ、高出力が可能な薄型蓄電デバイスを提供する。
【解決手段】酸化状態においてニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態においてニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、負極を構成する負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用し、前記正極と前記負極とが直接接触しており、かつ、正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高出力が可能な薄型の蓄電デバイスに関する。
正極活物質として、ニトロキシル高分子を利用する蓄電デバイスが提案されている。例えば、特許文献1に記載されている蓄電デバイスでは、ニトロキシル高分子を活物質とする正極を、セパレータをはさんで負極と対峙させて蓄電デバイスを構築している(特許文献1の図1参照)。
また、特にサイクル特性に優れた蓄電デバイスを実現するために、特許文献2では、正極活物質としてニトロキシル高分子を利用し、負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用する蓄電デバイスにおいて、前記正極と前記負極とが直接接触させて蓄電デバイスを構築している(特許文献2の図1参照)。このようなセパレータレスの構成とすることで、蓄電デバイスの薄型化が可能となる。
特開2002−304996号公報 国際公開第2005/078831号パンフレット
しかしながら、この特許文献2に開示された蓄電デバイスは、高い電流密度で利用する際に容量が低下するという問題点がある。この原因は、正極用集電体の金属板と、導電補助層に用いられている炭素材料と、正極活物質であるニトロキシル高分子の三者の間で、正孔輸送準位・電子輸送準位の関係が適切でなく、電荷注入障壁が大きいためである。
本発明の目的は、セパレータレスの薄型蓄電デバイスにおいて、高い電流密度での容量を向上させ、高出力が可能な薄型蓄電デバイスを提供することにある。
[発明の特徴]
本発明の蓄電デバイスは、
酸化状態において下記化学式(I)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(II)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う下記反応式(A)で示される反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、
負極を構成する負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用し、
前記正極と前記負極とが直接接触しており、かつ、
正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いることを特徴としている。
Figure 2007165054
[作用]
正極集電体の金属板と、その上に形成された導電補助層と、正極活物質であるニトロキシル高分子の三者の間で、正孔輸送準位・電子輸送準位の関係が適切となるように導電補助層形成用材料を選択することによって、電荷注入障壁による抵抗が下がり、高電流密度での容量が向上する。つまり、充電時の電位勾配での正極用集電体の金属板の電子輸送準位とニトロキシル高分子の電子輸送準位との中間に電子輸送準位を持つような電子輸送性と、放電時の電位勾配での正極用集電体の金属板の正孔輸送準位とニトロキシル高分子の正孔輸送準位との中間に正孔輸送準位を持つような正孔輸送性とを兼備するような材料を導電補助層に用いることによって、正極用集電体とニトロキシル高分子との間の電荷注入障壁による抵抗を抑えることができる。
本発明の効果は、適切な正孔輸送準位・電子輸送準位を持つ導電補助材料を用いることによって、高い電流密度での容量を向上させ、高出力が可能な薄型蓄電デバイスを提供することができる。
[構造]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1の形態である蓄電デバイスの概観図である。図1に示されたコイン型の形状を有している蓄電デバイスは、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板に一体化形成した正極用集電体5上に、ニトロキシル高分子を含む正極活物質4が設けられ、リチウムもしくはリチウム合金からなる負極3と直接接触しており、この上下を正極用金属集電体6と、絶縁パッキン2で被覆された負極用金属集電体1とではさみ、封止されている。
第1の実施の形態において正極活物質として利用するニトロキシル高分子としては、下記化学式(41)で示される単位からなるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ メタクリレート)(PTMA)を用いている。第1の実施の形態におけるニトロキシル高分子を含む正極4としては、電解液を含んだPTMA電極を利用している。第1の実施の形態における電解液としては、支持塩として1MのLiPF6を含む、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(混合体積比EC/DEC=3/7)を用いている。第1の実施の形態における正極用集電体5としては、下記化学式(A11)で示される正孔輸送性材料と、下記化学式(B11)で示される電子輸送性材料との混合物を主成分とする導電補助層をアルミニウム電極上に一体化形成したものを用いている。負極用金属集電体1および正極用金属集電体6としては、ステンレス製の金属集電体を用いている。絶縁パッキン2としては、ポリプロピレン製の絶縁パッキンを用いている。
Figure 2007165054
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[製法]
次に、第1の実施の形態の製造方法を説明する。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A11)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B11)で示される電子輸送材料1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を作製した。導電補助層の厚みは10ミクロンであった。このようにして、正孔輸送性材料と電子輸送性材料との混合物を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体が得られた。
次に小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、化学式(41)で示される単位からなるPTMA(重量平均分子量:89000)1.0gを加えて5分間攪拌し完全に懸濁させた。得られた懸濁液を、正孔輸送性材料と電子輸送性材料との混合物を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体上に薄く塗布し、乾燥させて正極の電極板を作製した。
正極の電極板を直径12mmの円形に打ち抜ぬき、蓄電デバイス用電極として成型した。次に、得られた電極を電解液に浸して、ニトロキシル高分子を含む正極中に電解液を染み込ませて、正極用金属集電体上に置いた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液を用いた。次に、電解液を含むニトロキシル高分子電極上に、負極となるリチウム金属板を直接積層し、絶縁パッキンで被覆された負極用金属集電体を重ね合わせた。こうして作られた積層体を、かしめ機によって圧力を加え、コイン型蓄電デバイスを得た。
[発明の他の実施の形態]
上記第1の実施の形態において、コイン型であった蓄電デバイスの形状を、例えば従来公知の他の形状にすることができる。蓄電デバイス形状の例としては、電極の積層体あるいは巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、あるいはラミネートフィルム等によって封止したものが挙げられる。また外観としては、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料の主成分として用いた正孔輸送性材料および電子輸送性材料は、例えば従来公知の他の正孔輸送性材料および電子輸送性材料に置き換えることができる。
他の正孔輸送性材料としては、例えば、下記化学式(A12)〜(A14)で示されるようなトリアリールジアミン類、下記化学式(A15)及び(A16)で示されるようなスターバースト型分子等のトリアリールアミン類が挙げられる。
Figure 2007165054
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Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
また、他の電子輸送性材料としては、下記化学式(B12)及び(B13)で示されるようなオキサジアゾール誘導体、下記化学式(B14)で示されるようなトリアゾール誘導体が挙げられる。
Figure 2007165054
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また、他の電子輸送性材料としては、下記化学式(B2)〜(B4)で示されるようなキノリノール系の金属錯体も挙げられる。
Figure 2007165054
(化学式(B2)中、Qは置換もしくは無置換のヒドロキシキノリン誘導体、または置換もしくは無置換のベンゾキノリン誘導体を表し、Mは金属原子、nはその金属原子の価数を表す。)
Figure 2007165054
(化学式(B3)中、Qは置換もしくは無置換のヒドロキシキノリン誘導体、または置換もしくは無置換のベンゾキノリン誘導体を表し、Lはハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、または置換もしくは無置換の窒素原子を含んでもよいアリール基を表し、Mは金属原子、nはその金属原子の価数を表す。)
Figure 2007165054
(化学式(B4)中、Qは置換もしくは無置換のヒドロキシキノリン誘導体、または置換もしくは無置換のベンゾキノリン誘導体を表し、Mは金属原子、nはその金属原子の価数を表す。)
化学式(B2)で示されるキノリノール系の金属錯体の具体例としては、下記化学式(B21)〜(B26)で示される化合物が挙げられる。
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化学式(B3)で示されるキノリノール系の金属錯体の具体例としては、下記化学式(B31)〜(B36)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007165054
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化学式(B4)で示されるキノリノール系の金属錯体の具体例としては、下記化学式(B41)〜(B43)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007165054
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Figure 2007165054
正孔輸送性材料と電子輸送性材料との比率は、質量比で1:9〜9:1の範囲とすることができる。
また、上記第1の実施の形態において正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料の主成分として用いた正孔輸送性材料および電子輸送性材料の代わりに、正孔輸送性基を有するモノマーと電子輸送性基を有するモノマーとを共重合させた高分子を用いてもよい。そのような高分子の具体例としては、下記化学式(C11)〜(C12)で示される高分子が挙げられる。
Figure 2007165054
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なお、上記化学式(C31)及び(C32)中のX及びYは、それぞれ正孔輸送性基を有する単位及び電子輸送性基を有する単位の数を示す。XとYとの比は、1:9〜9:1の範囲とすることができる。
上記第1の実施の形態において、塗布形成された導電補助層を、共蒸着法により形成された導電補助層で構成することができる。導電補助層を共蒸着法により形成した場合は、導電補助層を正極用集電体の金属板上に薄く形成することができるので、蓄電デバイスのエネルギー密度を高めることができるという相乗的な効果を奏する。
本発明における導電補助層とは、正極活物質であるニトロキシル高分子と正極用集電体の金属板との電荷移動を補助するための層である。本発明では、導電補助層は正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成される。例えば、正孔輸送性材料および電子輸送性材料の混合物を主成分として含むことができる。また、正孔輸送性基を有するモノマーと電子輸送性基を有するモノマーとを共重合させた高分子を主成分として含むことができる。本発明における主成分とは、層全体の質量に占める成分の質量が50%を越える成分であるという意味である。層を構成する他の成分としては、バインダー成分等が用いられる。
導電補助層の厚さは、例えば0.01〜500μmとすることができる。
上記第1の実施の形態において、正極集電体の金属板として用いたアルミニウム板は、例えば従来公知の他の金属板に置き換えることができる。他の金属板としては、ニッケル、銅、金、銀、チタン、アルミニウム合金、ステンレス等が挙げられる。
金属板の厚さは、例えば1〜100μmとすることができる。
上記第1の実施の形態において、正極活物質であるPTMAを、例えば従来公知の他のニトロキシル高分子で構成することができる。本発明におけるニトロキシル高分子とは、代表的構造として下記化学式(II)で示されるような、ニトロキシル構造を有する高分子化合物の総称であるが、ニトロキシル構造は、下記反応式(B)で示されるように、電子の授受により化学式(I)〜(III)の状態を取りうる。
Figure 2007165054
Figure 2007165054
本発明における蓄電デバイスは、化学式(I)の状態と化学式(II)の状態の間の反応を正極の電極反応として用い、それに伴う電子の蓄積と放出により蓄電効果を機能させるものである。ここで蓄電デバイスとは、少なくとも正極と負極を有し、電気化学的に蓄えられたエネルギーを電力の形で取り出すことのできるデバイスである。蓄電デバイスにおいて正極とは、酸化還元電位が高い電極のことであり、負極とは酸化還元電位が低い方の電極のことである。
本発明において、酸化状態におけるニトロキシルカチオン部分構造を有する構造としては、下記化学式(1)で示される環状ニトロキシル構造が好ましい。還元状態においては、化学式(1)で示される環状ニトロキシル構造のニトロキシル部分が化学式(II)で示されるニトロキシルラジカル構造となっている。
Figure 2007165054
(化学式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(1)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
化学式(1)において、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、それぞれ独立に直鎖状のアルキル基が好ましい。また、ラジカルの安定性の観点から、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。基Xにおいて環員を構成する原子は、炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群より選ばれる。基Xとしては化学式(1)が5〜7員環を形成するような2価の基を表し、具体的には、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−が挙げられ、その中で、隣接しない−CH2−は、−O−、−NH−または−S−によって置き換えられていてもよく、−CH=は−N=によって置き換えられていてもよい。また、環を構成する原子に結合した水素原子は、アルキル基、ハロゲン原子、=O等により置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましい環状ニトロキシル構造は、酸化状態において、化学式(11)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオン、化学式(12)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルカチオン、および化学式(13)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルカチオンからなる群より選ばれるものである。
Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
ただし、上記の化学式(1)で示される環状ニトロキシル構造は、側鎖もしくは主鎖の一部としてポリマーの一部を構成している。すなわち、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成しており、環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った構造としてポリマーの側鎖もしくは主鎖の一部に存在している。合成等の容易さから側鎖に存在している方が好ましい。側鎖に存在するときは、下記化学式(2)で示される残基のように、化学式(1)で示される環状ニトロキシル構造の基X中の環員を構成する−CH2−、−CH=または−NH−から水素を取った残基X’によって主鎖ポリマーに結合している。
Figure 2007165054
(化学式(2)中、R1〜R4は前記化学式(1)と同義である。X’は前記化学式(1)のXから水素を取った残基を表す。)
このとき用いられる主鎖ポリマーの構造としては特に制限はなく、どのようなものであっても、化学式(2)で示される残基が側鎖に存在していればよい。具体的には、次に挙げるポリマーに、化学式(2)で示される残基が付加したもの、またはポリマーの一部の原子または基が、化学式(2)で示される残基によって置換されたものを挙げることができる。いずれの場合も、化学式(2)で示される残基が直接ではなく、適当な2価の基を中間に介して結合していてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリヘプテン、ポリイソブテン、ポリオクタデセン等のポリアルキレン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン等のジエン系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート類;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ポリクロロスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン系ポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン等のビニル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブテンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリアセトアルデヒド、ポリメチルビニルエーテル、ポリプロピルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリベンジルビニルエーテル等のポリエーテル系ポリマー;ポリメチレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリエチレンジスルフィド、ポリプロピレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテトラフルフィド、ポリエチレントリメチレンスルフィド等のポリスルフィド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンパラフェニレンジアセテート、ポリエチレンイソプロピリデンジベンゾエート等のポリエステル類;ポリトリメチレンエチレンウレタン等のポリウレタン類;ポリエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系ポリマー;ポリオキシイソフタロイル等のポリ無水物系ポリマー;ポリエチレンアミン、ポリヘキサメチレンアミン、ポリエチレントリメチレンアミン等のポリアミン系ポリマー;ナイロン、ポリグリシン、ポリアラニン等のポリアミド系ポリマー;ポリアセチルイミノエチレン、ポリベンゾイルイミノエチレン等のポリイミン系ポリマー;ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミド、ポリピロメルイミド等のポリイミド系ポリマー;ポリアリレン、ポリアリレンアルキレン、ポリアリレンアルケニレン、ポリフェノール、フェノール樹脂、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサジン、ポリベンゾキサゾール、オリカルボラン、ポリジベンゾフラン、ポリオキソイソインドリン、ポリフランテトラカルボキシル酸ジイミド、ポリオキサジアゾール、ポリオキシンドール、ポリフタラジン、ポリフタライド、ポリシアヌレート、ポリイソシアヌレート、ポリピペラジン、ポリピペリジン、ポリピラジノキノキサン、ポリピラゾール、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリピロメリチミン、ポリキノン、ポリピロリジン、ポリキノキサリン、ポリトリアジン、ポリトリアゾール等のポリアロマティック系ポリマー;ポリジシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー;ポリシラン系ポリマー;ポリシラザン系ポリマー;ポリホスファゼン系ポリマー;ポリチアジル系ポリマー;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役系ポリマーを挙げることができる。なお、(メタ)アクリルとはメタクリルまたはアクリルを意味する。
この中で、電気化学的な耐性に優れている点で、ポリアルキレン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート類、ポリスチレン系ポリマーを主鎖構造として有することが好ましい。主鎖とは、高分子化合物中で、最も炭素数の多い炭素鎖のことである。この中でも、酸化状態で下記化学式(3)で示される単位を含むことができるように、ポリマーが選ばれることが好ましい。
Figure 2007165054
ここで、化学式(3)中、R1〜R4は前記化学式(1)と同義であり、X’は前記化学式(2)と同義である。R5は、水素またはメチル基である。Yは特に限定はないが、−CO−、−COO−、−CONR6−、−O−、−S−、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアリーレン基、およびこれらの基の2つ以上を結合させた2価の基を挙げることができる。R6は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。化学式(3)で示される単位で、特に好ましいものは、下記化学式(31)〜(34)で示される単位である。
Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
化学式(31)〜(34)において、Yとしては、上記化学式(3)と同義であるが、特に−COO−、−O−および−CONR6−のいずれかが好ましい。
本発明において、化学式(2)で示される残基が、側鎖のすべてに存在しなくても良い。例えばポリマーを構成する単位のすべてが化学式(3)で示される単位であっても、または一部が化学式(3)で示される単位であってもいずれでもよい。ポリマー中にどの程度含まれるかは、目的、ポリマーの構造、製造方法に異なるが、わずかでも存在していれば良く、通常1質量%以上、特に10質量%以上が好ましい。ポリマー合成に特に制限が無く、またできるだけ大きな蓄電作用を得たい場合には、50質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。
化学式(3)で示される単位を有するポリマーを合成するには、例えば下記化学式(4)で示されるモノマーを単独重合、またはアルキルアクリレート等の共重合しうるモノマーとの共重合によりポリマーを得た後、−NH−部分を酸化することで、酸化状態において化学式(3)で示される単位を有するポリマーを得ることができる。
Figure 2007165054
ここで、R1〜R5、X’、及びYは前記化学式(3)と同義である。
また、例えば、メタクリル酸等を重合してベースとなるポリマーを合成した後に、高分子反応により化学式(2)で示される残基(あるいはNOラジカルに酸化される前の−NH−を有する残基)を導入しても良い。
以下に、本発明で用いられるニトロキシル高分子が有する単位の例として下記化学式(41)〜(44)で示される単位を挙げるが、本発明はその要旨を越えない限りこれらに限定されるものではない。
Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
Figure 2007165054
本発明におけるニトロキシル高分子の分子量は特に制限はないが、電解質に溶けないだけの分子量を有していることが好ましく、これは電解質中の有機溶媒の種類との組み合わせにより異なる。一般には、重量平均分子量1,000以上であり、好ましくは10,000以上、特に100,000以上である。本発明では、粉体として正極に混合することができるので、分子量はいくら大きくてもよい。一般的には重量平均分子量5,000,000以下である。また、化学式(2)で示される残基を含むポリマーは、架橋していてもよく、それにより電解質に対する耐久性を向上させることができる。
本発明における正極中には、イオン導電性を高めるために、例えば従来公知のポリマー電解質を添加しても良い。ポリマー電解質としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。ただし、本発明では正極と負極とが直接接触するため、例えばアセチレンブラック等の導電性付与剤は、正極中にあまり多く含まない方が好ましい。正極における導電性付与剤の含有量は50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、実質的に全く含まないことが最も好ましい。正極中には必要に応じて従来公知のバインダー等を含んでいても良い。
本発明では、正極中にニトロキシル高分子以外の正極活物質を含んでいても構わない。ただし、正極に含まれる正極活物質中、ニトロキシル高分子が90質量%以上含んでいる場合に、本発明の効果が大きく好適である。他の正極活物質を含む場合、ニトロキシル高分子の含有量は99質量%以下とすることができる。ただし、本発明は、正極中にニトロキシル高分子以外の正極活物質を含まない場合に、特に効果が大きく好適である。
正極の厚さは、例えば5〜1000μmとすることができる。
上記第1の実施の形態において、リチウム金属を用いていた負極を、例えば従来公知のリチウム合金負極に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。リチウム合金負極としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、ステンレスを用いていた負極用金属集電体の材質を、例えば従来公知の他の材質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。他の負極用金属集電体材質としては、例えば、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、チタン、アルミニウム合金等の材質が挙げられる。また、形状としては、箔や平板、メッシュ状のものを用いることができる。
上記第1の実施の形態において、ステンレスを用いていた正極用金属集電体の材質を、例えば従来公知の他の材質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。他の正極用金属集電体材質としては、例えば、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、チタン、アルミニウム合金等の材質が挙げられる。また、形状としては、箔や平板、メッシュ状のものを用いることができる。また、本発明では、正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層をアルミニウム等の金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いていることから、正極用金属集電体を用いずに、正極用集電体に使用した金属板を正極用金属集電体の代わりに使用することもできる。
上記第1の実施の形態において、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液を使用していた電解質を、例えば従来公知の他の電解質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。電解質は、負極3と正極4との間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には室温で10-5〜10-1S/cmの電解質イオン伝導性を有している。従来公知の電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。このような溶剤としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒、もしくは硫酸水溶液や水などが挙げられる。本発明ではこれらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23等が挙げられる。
なお、本発明においては、正鵠と負極とが直接接する構成とするため、セパレータは用いない。
<実施例1>
次に具体的な実施例を用いて、実施の形態の製造方法を説明する。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A11)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B11)で示される電子輸送材料1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を作製した。導電補助層の厚みは10ミクロンであった。このようにして、正孔輸送性材料と電子輸送性材料との混合物を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体が得られた。
次に小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、化学式(41)で示される単位からなるPTMA(重量平均分子量:74000)1.0gを加えて5分間攪拌し完全に懸濁させた。得られた懸濁液を、正孔輸送性材料と電子輸送性材料との混合物を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体上に薄く塗布し乾燥させて、正極を有する電極板を作製した。正極の厚さは50μmであった。
得られた電極板を直径12mmの円形に打ち抜ぬき、蓄電デバイス用電極として成型した。次に、得られた電極を電解液に浸して、ニトロキシル高分子を含む正極中に電解液を染み込ませて、正極用金属集電体(ステンレス製)上に置いた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液を用いた。次に、電解液を含むニトロキシル高分子電極上に、負極となるリチウム金属板を直接積層し、絶縁パッキン(ポリプロピレン製)で被覆された負極用金属集電体(ステンレス製)を重ね合わせた。こうして作られた積層体を、かしめ機によって圧力を加え、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例2>
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A14)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B12)で示される電子輸送材料1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例3>
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(C1)で示される正孔輸送性基と電子輸送基を有する高分子(X/Y:50/50、重量平均分子量:64000)1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例4>
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン30gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A11)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B11)で示される電子輸送材料1.0gとアセチレンブラック1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例5>
小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、化学式(43)で示される単位からなるポリメタクリレート(重量平均分子量:53000)1.0gを加えて5分間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液を正極用集電体上に薄く塗布し、乾燥させて正極の電極板を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例6>
負極としてリチウム−シリコン合金負極を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例1>
小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に溶解させた。そこにアセチレンブラック2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、100℃で乾燥させて導電補助層を作製した。導電補助層の厚みは10ミクロンであった。このようにして、炭素を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体が得られた。
次に、小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、化学式(42)で示される単位からなるポリメタクリレート(重量平均分子量:62000)1.0gを加えて5分間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液を、炭素を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体上に薄く塗布し乾燥させて、正極を有する電極板を作製した。正極の厚さは50μmであった。
得られた電極板を乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜ぬき、蓄電デバイス用電極として成型した。次に、得られた電極を電解液に浸して、ニトロキシル高分子を含む正極中に電解液を染み込ませて、正極用金属集電体(ステンレス板)上に置いた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液(混合体積比EC/DEC=3/7)を用いた。次に、電解液を含むニトロキシル高分子電極上に、負極となるリチウム金属板を直接積層し、絶縁パッキン(ポリプロピレン製)で被覆された負極用金属集電体(ステンレス板)を重ね合わせた。こうして作られた積層体を、かしめ機によって圧力を加え、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例2>
導電補助層を形成せず、厚さ20ミクロンのアルミニウム板をそのまま正極集電体として用い、その上に直接化学式(42)で示される単位からなるポリメタクリレートの正極層を形成した以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例3>
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A14)で示される正孔輸送性材料2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例4>
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(B12)で示される電子輸送材料2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
本実施例1において作製した蓄電デバイスの開放電位は2.9Vであった。次に、得られた蓄電デバイスに対し、0.113mAの定電流で充電を行い、電圧が4.0Vまで上昇した時点で充電を終了した。充電後の蓄電デバイスを分解し、正極を分析するとラジカル濃度の減少が観測され、対応する2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオンの生成が確認された。このカチオンは電解質アニオンPF6 -によって安定化されている。
同様にして蓄電デバイスを作製し、0.113mAの定電流で充電を行い、電圧が4.0Vまで上昇した直後に放電を行った。放電は、充電時と同じ0.113mAの定電流で行い、電圧が2.5Vに達した時点で放電を終了した。放電時において、3.4V付近に電圧平坦部が認められた。この電圧平坦部は、正極で起こっているニトロキシルカチオンからニトロキシルラジカルに変化する還元反応と、負極で起こっているリチウムメタルのイオン化反応との間の電位差に相当することが分かった。すなわちこれは、本実施例1による蓄電デバイスが、化学電池として動作していることを示す結果である。本実施例1における平均放電電圧は、3.32Vであった。
図2に実施例1および比較例1で作製した蓄電デバイスの出力特性を示す。図2では、0.113mAでの定電流充放電時の放電容量を100%として容量を表している。実施例1のように、正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を正極用集電体の金属板に一体化形成した正極用集電体を用いる蓄電デバイスの方が、比較例1のように正極用集電体として、炭素を主成分とする導電補助層を正極用集電体の金属板に一体化形成した正極用集電体を用いる蓄電デバイスより、出力特性に優れることが分かった。
実施例2〜6及び比較例2〜4についても同様に特性を評価したところ同様の傾向が見られ、正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を正極用集電体の金属板に一体化形成した正極用集電体を用いる蓄電デバイスの方が出力特性が向上することが分かった。
本発明による蓄電デバイスは、薄型で高い電流密度での動作が可能なので、高出力を必要とする蓄電デバイスとして利用することができる。本発明の活用例としては、従来、電気二重層キャパシタや鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等が用いられていた、パソコンやサーバーのバックアップ電源、電気自動車用の補助電源、携帯機器用電源等のほか、カードやアクセサリー、財布、洋服などこれまで電池を内蔵せずに利用しているものへ内蔵してエネルギーを供給する方法も挙げられる。
第1の実施の形態に挙げた蓄電デバイスの構成を示す概観図である。 実施例1および比較例1で作製した蓄電デバイスの出力特性を示すグラフである。
符号の説明
1 負極用金属集電体
2 絶縁パッキン
3 リチウムもしくはリチウム合金負極
4 ニトロキシル高分子を含む正極
5 正極用集電体
6 正極用金属集電体

Claims (6)

  1. 酸化状態において下記化学式(I)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(II)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う下記反応式(A)で示される反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、
    負極を構成する負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用し、
    前記正極と前記負極とが直接接触しており、かつ、
    正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いることを特徴とする蓄電デバイス。
    Figure 2007165054
  2. 前記正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料が、正孔輸送性基を有するモノマーと電子輸送性基を有するモノマーとを共重合させた高分子を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
  3. 前記正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料が、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
  4. 前記負極活物質として、リチウム−スズ系の合金もしくはリチウム−シリコン系の合金を用いることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の蓄電デバイス。
  5. 前記ニトロキシル高分子が、酸化状態において下記化学式(1)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の蓄電デバイス。
    Figure 2007165054
    (化学式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(1)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
  6. 前記ニトロキシル高分子は、酸化状態において、下記化学式(11)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオン、下記化学式(12)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルカチオン、および下記化学式(13)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一つの環状ニトロキシル構造の環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った残基を側鎖に含む高分子化合物であることを特徴とする請求項5に記載の蓄電デバイス。
    Figure 2007165054
    Figure 2007165054
    Figure 2007165054
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