JP2007165054A - 蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化状態においてニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態においてニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、負極を構成する負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用し、前記正極と前記負極とが直接接触しており、かつ、正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いる。
【選択図】図1
Description
本発明の蓄電デバイスは、
酸化状態において下記化学式(I)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(II)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う下記反応式(A)で示される反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、
負極を構成する負極活物質としてリチウムもしくはリチウム合金を利用し、
前記正極と前記負極とが直接接触しており、かつ、
正極用集電体として、正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料で形成された導電補助層を金属板上に一体化形成した正極用集電体を用いることを特徴としている。
正極集電体の金属板と、その上に形成された導電補助層と、正極活物質であるニトロキシル高分子の三者の間で、正孔輸送準位・電子輸送準位の関係が適切となるように導電補助層形成用材料を選択することによって、電荷注入障壁による抵抗が下がり、高電流密度での容量が向上する。つまり、充電時の電位勾配での正極用集電体の金属板の電子輸送準位とニトロキシル高分子の電子輸送準位との中間に電子輸送準位を持つような電子輸送性と、放電時の電位勾配での正極用集電体の金属板の正孔輸送準位とニトロキシル高分子の正孔輸送準位との中間に正孔輸送準位を持つような正孔輸送性とを兼備するような材料を導電補助層に用いることによって、正極用集電体とニトロキシル高分子との間の電荷注入障壁による抵抗を抑えることができる。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
上記第1の実施の形態において、コイン型であった蓄電デバイスの形状を、例えば従来公知の他の形状にすることができる。蓄電デバイス形状の例としては、電極の積層体あるいは巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、あるいはラミネートフィルム等によって封止したものが挙げられる。また外観としては、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等が挙げられる。
化学式(B2)で示されるキノリノール系の金属錯体の具体例としては、下記化学式(B21)〜(B26)で示される化合物が挙げられる。
化学式(1)において、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、それぞれ独立に直鎖状のアルキル基が好ましい。また、ラジカルの安定性の観点から、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。基Xにおいて環員を構成する原子は、炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群より選ばれる。基Xとしては化学式(1)が5〜7員環を形成するような2価の基を表し、具体的には、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−が挙げられ、その中で、隣接しない−CH2−は、−O−、−NH−または−S−によって置き換えられていてもよく、−CH=は−N=によって置き換えられていてもよい。また、環を構成する原子に結合した水素原子は、アルキル基、ハロゲン原子、=O等により置換されていてもよい。
このとき用いられる主鎖ポリマーの構造としては特に制限はなく、どのようなものであっても、化学式(2)で示される残基が側鎖に存在していればよい。具体的には、次に挙げるポリマーに、化学式(2)で示される残基が付加したもの、またはポリマーの一部の原子または基が、化学式(2)で示される残基によって置換されたものを挙げることができる。いずれの場合も、化学式(2)で示される残基が直接ではなく、適当な2価の基を中間に介して結合していてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリヘプテン、ポリイソブテン、ポリオクタデセン等のポリアルキレン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン等のジエン系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート類;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ポリクロロスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン系ポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン等のビニル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブテンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリアセトアルデヒド、ポリメチルビニルエーテル、ポリプロピルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリベンジルビニルエーテル等のポリエーテル系ポリマー;ポリメチレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリエチレンジスルフィド、ポリプロピレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテトラフルフィド、ポリエチレントリメチレンスルフィド等のポリスルフィド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンパラフェニレンジアセテート、ポリエチレンイソプロピリデンジベンゾエート等のポリエステル類;ポリトリメチレンエチレンウレタン等のポリウレタン類;ポリエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系ポリマー;ポリオキシイソフタロイル等のポリ無水物系ポリマー;ポリエチレンアミン、ポリヘキサメチレンアミン、ポリエチレントリメチレンアミン等のポリアミン系ポリマー;ナイロン、ポリグリシン、ポリアラニン等のポリアミド系ポリマー;ポリアセチルイミノエチレン、ポリベンゾイルイミノエチレン等のポリイミン系ポリマー;ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミド、ポリピロメルイミド等のポリイミド系ポリマー;ポリアリレン、ポリアリレンアルキレン、ポリアリレンアルケニレン、ポリフェノール、フェノール樹脂、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサジン、ポリベンゾキサゾール、オリカルボラン、ポリジベンゾフラン、ポリオキソイソインドリン、ポリフランテトラカルボキシル酸ジイミド、ポリオキサジアゾール、ポリオキシンドール、ポリフタラジン、ポリフタライド、ポリシアヌレート、ポリイソシアヌレート、ポリピペラジン、ポリピペリジン、ポリピラジノキノキサン、ポリピラゾール、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリピロメリチミン、ポリキノン、ポリピロリジン、ポリキノキサリン、ポリトリアジン、ポリトリアゾール等のポリアロマティック系ポリマー;ポリジシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー;ポリシラン系ポリマー;ポリシラザン系ポリマー;ポリホスファゼン系ポリマー;ポリチアジル系ポリマー;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役系ポリマーを挙げることができる。なお、(メタ)アクリルとはメタクリルまたはアクリルを意味する。
次に具体的な実施例を用いて、実施の形態の製造方法を説明する。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A14)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B12)で示される電子輸送材料1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(C1)で示される正孔輸送性基と電子輸送基を有する高分子(X/Y:50/50、重量平均分子量:64000)1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン30gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A11)で示される正孔輸送性材料1.0gと化学式(B11)で示される電子輸送材料1.0gとアセチレンブラック1.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、化学式(43)で示される単位からなるポリメタクリレート(重量平均分子量:53000)1.0gを加えて5分間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液を正極用集電体上に薄く塗布し、乾燥させて正極の電極板を作製したこと以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
負極としてリチウム−シリコン合金負極を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器に純水20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に溶解させた。そこにアセチレンブラック2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、100℃で乾燥させて導電補助層を作製した。導電補助層の厚みは10ミクロンであった。このようにして、炭素を主成分とする導電補助層とアルミニウム板とが一体化された正極用集電体が得られた。
導電補助層を形成せず、厚さ20ミクロンのアルミニウム板をそのまま正極集電体として用い、その上に直接化学式(42)で示される単位からなるポリメタクリレートの正極層を形成した以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(A14)で示される正孔輸送性材料2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
小型ホモジナイザ容器にN−メチルピロリドン20gを測り取り、テフロン(登録商標)粒子およびセルロースからなるバインダー272mgを加えて3分間攪拌し完全に懸濁させた。そこに化学式(B12)で示される電子輸送材料2.0gを加え、15分間攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを厚さ20ミクロンのアルミニウム板上に薄く塗布し、乾燥させて導電補助層を形成したこと以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
2 絶縁パッキン
3 リチウムもしくはリチウム合金負極
4 ニトロキシル高分子を含む正極
5 正極用集電体
6 正極用金属集電体
Claims (6)
- 前記正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料が、正孔輸送性基を有するモノマーと電子輸送性基を有するモノマーとを共重合させた高分子を含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
- 前記正孔輸送性基と電子輸送性基とを含む材料が、正孔輸送性材料と電子輸送性材料とを含むことを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
- 前記負極活物質として、リチウム−スズ系の合金もしくはリチウム−シリコン系の合金を用いることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の蓄電デバイス。
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