JP5332251B2 - 高分子ラジカル材料・導電性材料複合体、その製造方法及び蓄電デバイス - Google Patents

高分子ラジカル材料・導電性材料複合体、その製造方法及び蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、蓄電デバイスの電極材料として好適な、高分子ラジカル材料・導電性材料複合体、その製造方法、及びその複合体を用いた蓄電デバイスに関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話などの携帯電子機器は、通信システムの発展に伴い急激に普及しており、またその性能も年々向上している。しかし、携帯電子機器は、性能の向上に伴い消費電力も大きくなる傾向にある。そこで、その電源である電池に対して、高エネルギー密度、大出力密度などの要求が高まっている。
高エネルギー密度の電池としては、リチウムイオン電池が開発され、1990年代以降に広く用いられるようになった。このリチウムイオン電池は、電極活物質として正極にマンガン酸リチウムやコバルト酸リチウムといったリチウム含有遷移金属酸化物を用い、負極に炭素を用いたものであり、これら電極活物質へのリチウムイオンの挿入・脱離反応を利用して充放電を行っている。リチウムイオン電池はサイクル特性に優れており、携帯電話をはじめとした種々の電子機器に利用されている。しかしながら、このリチウムイオン電池は、特に正極に比重の大きな遷移金属酸化物を用いているため、単位質量当たりの容量密度には改善の余地があった。また、電極反応の反応速度が小さいため、大きな電流を取り出すと電池性能は著しく低下する。そのため、大きな出力をだすことが難しく、また充電のためにも長時間要するという欠点があった。
大きな出力をもつ蓄電デバイスとして、電気二重層キャパシタが知られている。この電気二重層キャパシタは、大電流を一度に放出できるため大きな出力をだすことが可能であり、サイクル特性にも優れており、バックアップ電源として開発が進められている。しかしながら、エネルギー密度は非常に小さく、小型化が困難であることから、多くの携帯電子機器の電源には適していない。
軽量な電極材料を得る目的で、電極活物質に硫黄化合物や有機化合物を用いた電池も開発されてきた。例えば、特許文献1には、ジスルフィド結合を有する有機化合物を正極に用いた電池が提案されている。同文献1は、ジスルフィド結合の生成、解離を伴う電気化学的酸化還元反応を電池の原理として利用したものである。この電池は硫黄や炭素といった比重の小さな元素を主成分とする電極材料から構成されているため、高エネルギー密度の大容量電池という点において一定の効果を奏している。しかしながら、解離した結合が再度結合する効率が小さいことや電極活物質の電解液への拡散のため、充放電サイクルを重ねると容量が低下しやすいという欠点がある。
特許第2715778号公報
また、有機化合物を利用した電池として、導電性高分子を電極活物質に用いた電池が提案され、また、蓄電デバイスとしては、トリフェニルアミンを繰り返し単位として含む導電性高分子を電極材料に用いた非水電解質キャパシタが提案されている(特許文献2参照)。この非水電解質キャパシタにおいては、大きな出力を出すことができ、従来の電気二重層キャパシタに比べ高いエネルギー密度をもっている。しかし、導電性高分子を電極活物質として用いた電池と同様に、発生するドープ濃度に限界があり、エネルギー密度に関してはまだ改善の余地があると考えられる。
特開2000−315527号公報
また、特許文献3には、正極、負極の少なくとも一方の活物質がラジカル化合物を含有することを特徴とする二次電池が提案され、また、特許文献4,5には、ニトロキシル化合物を正極中に含有した蓄電デバイスが提案されている。これら二次電池等の蓄電デバイスは、電極活物質(ラジカル化合物)自体の電極反応が速いため大電流で充放電ができ、そのため高い出力が得られるとされている。
特許3687736号公報 特開2002−304996号公報 特開2007−165054号公報
特許文献3〜5で提案された蓄電デバイスの正極等を構成するラジカル化合物は脂肪族有機化合物であるため、それ自体に導電性はなく、大きな電流での充放電を行うためには、効率よくラジカル化合物と電子の受け渡しができる導電性材料と混合する必要がある。
しかしながら、有機ラジカル材料と導電性材料とを混合しても、有機ラジカル材料に導電性材料を均一に分布させることは難しく、その結果、特に大きな電流で放電した場合に、電圧が低下し、放電電流量が小さくなることがあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、大きな電流で放電させても電圧の低下が少ない電極材料及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、そうした電極材料を用いた蓄電デバイスを提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究している過程で、下記本発明に係る特定の方法により、高分子ラジカル材料と導電性材料との混合時の不均一性を解消できることを見出し、その結果として得られた高分子ラジカル材料と導電性材料との複合体を電極材料として用いることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記課題を解決するための本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤し且つ導電性材料が分散又は溶解してなる原料溶液を、前記高分子ラジカル材料と前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで該高分子ラジカル材料と該導電性材料とからなる沈殿物を生成することを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤し且つ導電性材料が分散又は溶解してなる原料溶液を、前記高分子ラジカル材料と前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注ぐことにより、該導電性材料が該高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られてなることを特徴とする。
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体及びその製造方法の好ましい態様は、前記高分子ラジカル材料が、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物であるように構成する。
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体及びその製造方法の好ましい態様は、前記ニトロキシル高分子化合物が、還元状態において下記化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物であるように構成する。
(化学式(3)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体及びその製造方法の好ましい態様は、前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又は該化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法。
(化学式(4)(5)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R5は水素又はメチル基を表す。)
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の好ましい態様は、前記導電性材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブから選ばれるように構成する。
上記課題を解決するための本発明の蓄電デバイスは、上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を電極として用いたことを特徴とする。
本発明の蓄電デバイスの好ましい態様は、前記電極を正極として構成する。
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法によれば、高分子ラジカル材料に導電性材料を均一分散することができる。そのため、得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体に良好な電子伝導性をもたせることができ、高分子ラジカル材料の酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電が可能となる。また、得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、充放電反応に寄与できるラジカルサイトの割合も高くなることから、大きな電流で放電させても電圧の低下が少ない蓄電デバイス用の電極材料として好ましく用いることができる。
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体によれば、導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られるので、良好な電子伝導性を発現することができ、高分子ラジカル材料の酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電が可能となる。また、本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、充放電反応に寄与できるラジカルサイトの割合も高く、大きな電流で放電させても電圧の低下が少ない蓄電デバイス用の電極材料として好ましく用いることができる。
本発明の蓄電デバイスによれば、良好な電子伝導性を発現する上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を電極として用いたので、酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電が可能な蓄電デバイスとすることができる。
以下、本発明の高分子ラジカル材料・炭素材料複合体、その製造方法及び蓄電デバイスについて説明する。
[高分子ラジカル材料・炭素材料複合体及びその製造方法]
本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤し且つ導電性材料が分散又は溶解してなる原料溶液を、前記高分子ラジカル材料と前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで該高分子ラジカル材料と該導電性材料とからなる沈殿物を生成する方法である。この製造方法により、導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られてなる、本発明の高分子ラジカル材料・炭素材料複合体が得られる。以下、各構成要素について説明する。
(高分子ラジカル材料)
先ず、高分子ラジカル材料について説明する。高分子ラジカル材料としては、蓄電デバイスとして利用可能な材料であって、還元状態においてラジカル部分構造をとる材料を用いることができる。より詳しくは、下記反応式(A)に示すように、酸化状態において化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において化学式(2)で示されるニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子化合物を好ましく用いることができる。
なお、反応式(A)は正極の電極反応を表しており、こうした反応を伴う高分子ラジカル材料は、電子の蓄積と放出を行う蓄電デバイス用材料として機能させることができる。反応式(A)に示す酸化還元反応は、有機化合物の構造変化を伴わない反応機構であるため、反応速度が大きく、この高分子ラジカル材料を電極材料として蓄電デバイスを構成すれば、一度に大きな電流を流すことが可能となる。
本発明において、ニトロキシル高分子化合物は、還元状態において化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物となっている。
化学式(3)において、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、それぞれ独立に直鎖状のアルキル基が好ましい。また、ラジカルの安定性の観点から、R1〜R4はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
基Xにおいて、環員を構成する原子は炭素、酸素、窒素、及び硫黄からなる群より選ばれる。基Xとしては、化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表し、具体的には、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−が挙げられ、その中で、隣接しない−CH2−は、−O−、−NH−又は−S−によって置き換えられていてもよく、−CH=は、−N=によって置き換えられていてもよい。また、環を構成する原子に結合した水素原子は、アルキル基、ハロゲン原子、=O等により置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましい環状ニトロキシル構造は、還元状態において、化学式(6)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルラジカル、化学式(7)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルラジカル、および化学式(8)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルラジカルからなる群より選ばれるものである。なお、化学式(6)〜(8)中、R1〜R4は前記化学式(3)と同じである。
ただし、上記の化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造は、側鎖もしくは主鎖の一部としてポリマーの一部を構成している。すなわち、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成しており、環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った構造としてポリマーの側鎖もしくは主鎖の一部に存在している。合成等の容易さから側鎖に存在している方が好ましい。側鎖に存在するときは、下記化学式(9)で示される残基のように、化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造の基X中の環員を構成する−CH2−、−CH=又は−NH−から水素を取った残基X’によって主鎖ポリマーに結合している。
化学式(9)中、R1〜R4は前記化学式(3)と同じであり、X’は前記化学式(3)のXから水素を取った残基を表したものである。このとき用いられる主鎖ポリマーの構造としては特に制限はなく、どのようなものであっても、化学式(9)で示される残基が側鎖に存在していればよい。具体的には、次に挙げるポリマーに、化学式(9)で示される残基が付加したもの、又はポリマーの一部の原子又は基が、化学式(9)で示される残基によって置換されたものを挙げることができる。いずれの場合も、化学式(9)で示される残基が直接ではなく、適当な2価の基を中間に介して結合していてもよい。
主鎖ポリマーの構造としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリヘプテン、ポリイソブテン、ポリオクタデセン等のポリアルキレン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン等のジエン系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート類;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ポリクロロスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン系ポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン等のビニル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブテンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリアセトアルデヒド、ポリメチルビニルエーテル、ポリプロピルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリベンジルビニルエーテル等のポリエーテル系ポリマー;ポリメチレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリエチレンジスルフィド、ポリプロピレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテトラフルフィド、ポリエチレントリメチレンスルフィド等のポリスルフィド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンパラフェニレンジアセテート、ポリエチレンイソプロピリデンジベンゾエート等のポリエステル類;ポリトリメチレンエチレンウレタン等のポリウレタン類;ポリエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系ポリマー;ポリオキシイソフタロイル等のポリ無水物系ポリマー;ポリエチレンアミン、ポリヘキサメチレンアミン、ポリエチレントリメチレンアミン等のポリアミン系ポリマー;ナイロン、ポリグリシン、ポリアラニン等のポリアミド系ポリマー;ポリアセチルイミノエチレン、ポリベンゾイルイミノエチレン等のポリイミン系ポリマー;ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミド、ポリピロメルイミド等のポリイミド系ポリマー;ポリアリレン、ポリアリレンアルキレン、ポリアリレンアルケニレン、ポリフェノール、フェノール樹脂、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサジン、ポリベンゾキサゾール、オリカルボラン、ポリジベンゾフラン、ポリオキソイソインドリン、ポリフランテトラカルボキシル酸ジイミド、ポリオキサジアゾール、ポリオキシンドール、ポリフタラジン、ポリフタライド、ポリシアヌレート、ポリイソシアヌレート、ポリピペラジン、ポリピペリジン、ポリピラジノキノキサン、ポリピラゾール、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリピロメリチミン、ポリキノン、ポリピロリジン、ポリキノキサリン、ポリトリアジン、ポリトリアゾール等のポリアロマティック系ポリマー;ポリジシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー;ポリシラン系ポリマー;ポリシラザン系ポリマー;ポリホスファゼン系ポリマー;ポリチアジル系ポリマー;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役系ポリマーを挙げることができる。なお、(メタ)アクリルとはメタクリル又はアクリルを意味する。
この中で、電気化学的な耐性に優れている点で、ポリアルキレン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート類、ポリスチレン系ポリマーを主鎖構造として有することが好ましい。主鎖とは、高分子化合物中で、最も炭素数の多い炭素鎖のことである。この中でも、還元状態で下記化学式(10)で示される単位を含むことができるように、ポリマーが選ばれることが好ましい。
ここで、化学式(10)中、R1〜R4は前記化学式(3)と同じであり、X’は前記化学式(9)と同じである。R5は、水素又はメチル基である。Yは特に限定されないが、−CO−、−COO−、−CONR6−、−O−、−S−、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアリーレン基、及びこれらの基の2つ以上を結合させた2価の基を挙げることができる。R6は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。化学式(10)で示される単位で、特に好ましいものは、下記化学式(11)〜(13)で示される単位である。
化学式(11)〜(13)において、R1〜R4は前記化学式(3)と同じであり、Yは上記化学式(10)と同じであるが特に−COO−、−O−及び−CONR6−のいずれかが好ましい。
本発明において、化学式(9)で示される残基が、側鎖のすべてに存在しなくてもよい。例えば、ポリマーを構成する単位のすべてが化学式(10)で示される単位であっても、又は一部が化学式(10)で示される単位であってもいずれでもよい。ポリマー中にどの程度含まれるかは、目的、ポリマーの構造、製造方法に異なるが、わずかでも存在していればよく、通常1質量%以上、特に10質量%以上が好ましい。ポリマー合成に特に制限が無く、またできるだけ大きな蓄電作用を得たい場合には、50質量%以上、特に80質量%以上が好ましい。
以下に、本発明で好ましく用いられるニトロキシル高分子が有する単位の例として、下記化学式(4)(5)で示される高分子化合物、又はその化学構造を繰り返し単位として含む共重合体を好ましく挙げることができる。なお、化学式(4)(5)中、R1〜R4は前記化学式(3)と同じであり、R5は、水素又はメチル基である。
本発明におけるニトロキシル高分子の分子量は特に制限はないが、蓄電デバイスを構成した際にその電解質に溶けないだけの分子量を有していることが好ましく、これは電解質中の有機溶媒の種類との組み合わせにより異なる。一般には、重量平均分子量1,000以上であり、好ましくは10,000以上、特に20,000以上であり、また、5,000,000以下、好ましくは500,000以下である。また、化学式(9)で示される残基を含むポリマーは、架橋していてもよく、それにより電解質に対する耐久性を向上させることができる。
(導電性材料)
次に、導電性材料について説明する。導電性材料としては、上記高分子ラジカル材料の内部に取り込まれることによって、その複合体に良好な電子伝導性を発現できる導電性を有する微粒子状材料、粉体状材料、ファイバー状材料、チューブ状材料であれば種々の導電性材料を用いることができる。例えば、炭素材料、導電性無機材料、導電性高分子材料等を挙げることができる。なかでも、炭素材料が好ましく、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
導電性材料の大きさは特に限定されないが、均一分散の観点からは細かいほど好ましく、例えば微粒子である場合における粒径としては、一次粒子の平均粒子径で、500nm以下が好ましく、ファイバー状やチューブ状材料である場合における直径としては、500nm以下、長さとしては5nm以上、50μm以下が好ましい。なお、ここでの平均粒径や各寸法は、電子顕微鏡により測定された値である。
こうした導電性材料は、後述の製造方法の欄でも説明するように、原料溶液を構成する溶媒には溶解してもしなくてもよいが、その原料溶液内の高分子ラジカル材料と導電性材料とからなる複合体を沈殿物として生成するための溶液には、溶解も膨潤もしない性質の材料ることが必要である。なお、通常、導電性のよい炭素材料や無機材料は原料溶液にも沈殿物を生成するための溶液にも溶解せず、分散するものがほとんどである。
(製造方法)
次に、上記した高分子ラジカル材料と導電性材料を主要の原材料とした本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法について説明する。本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法は、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤し且つ導電性材料が分散又は溶解してなる原料溶液を、その高分子ラジカル材料と導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで高分子ラジカル材料と導電性材料とからなる沈殿物を生成させる方法である。高分子ラジカル材料と導電性材料は上述したとおりであるので、以下においては、それ以外の構成について説明する。
原料溶液を構成する溶媒は、上述した高分子ラジカル材料を溶解又は膨潤することができる溶媒であることが必要である。その溶媒は、導電性材料を溶解させてもさせなくてもよいが、通常、導電性のよい炭素材料や無機材料は不溶性のものが多く、溶媒に溶解せずに分散するものがほとんどである。そうした溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを好ましく挙げることができるが、高分子ラジカル材料と導電性材料との関係で、前記した溶解性を備えるものであれば他の溶媒も好ましく用いることができる。
原料溶液の調整は、先ず、高分子ラジカル材料を溶解又は膨潤可能な溶媒中に、高分子ラジカル材料を入れて溶解する。そこに、導電性材料を加えて撹拌する。加える導電性材料の量としては、電子伝導性等を考慮して調整されるが、高分子ラジカル材料を100重量部としたとき、5重量部以上200重量部以下の範囲で配合する。この配合量は、高分子ラジカル材料の種類や導電性材料の種類によって異なるが、導電性材料の量が少ない場合は、得られた電極の導電性が不十分となり、また、多すぎる場合は、高分子ラジカル材料の量が相対的に少なくなるために得られた電池の容量が小さくなる。
なお、本願において、高分子ラジカル材料の「溶解」とは、文字通り溶解する場合のほか、溶媒中に流動性をもって相溶している態様も含むものとし、また、「膨潤」とは、一般的な溶解とは言えなくても溶媒と作用していわゆる膨潤状態となり、導電性材料と共に混合することによって高分子ラジカル材料内に導電性材料を均一に分散させる程度になっている態様を含むものとする。また、導電性材料の「分散」とは、例えば炭素材料のように不溶性材料が溶媒中に分散した態様を含むものとし、導電性材料の「溶解」とは、文字通り溶解する場合のほか、溶媒に相溶した態様を含むものとする。
高分子ラジカル材料と導電性材料とを混合するのに用いる機器としては、ホモジナイザーなどの攪拌/混合装置を使用できる。こうした機器を用いて混合することにより、高分子ラジカル材料が溶解又は膨潤した溶液に導電性材料を均一に分散したスラリー状の原料溶液が得られる。
こうして得られた原料溶液を、メタノールなどの高分子ラジカル材料と導電性材料が溶解しない溶媒(貧溶媒)に、少しずつ滴下するか、もしくは注ぐ。こうすることにより、高分子ラジカル材料と導電性材料を同時に沈殿させることができる。
貧溶媒は、主に高分子ラジカル材料との関係で選択され、本発明では主にメタノール等を好ましく用いるが、貧溶媒として作用すれば他の溶媒であっても構わない。なお、導電性材料は、一般的に有機溶媒には解けにくいのであまり考慮されないが、導電性材料が溶解したり膨潤したりすることのない溶媒であることが必要である。
こうした貧溶媒中に原料溶液を少しずつ滴下もしくは注いで沈殿物を生成することになるが、そうした滴下や注ぎの態様(滴下量や滴下速度等)は、生じる沈殿物の特性や形態に応じて調整される。特に本発明では、導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に均一に分散した態様で取り込まれた沈殿物として得られることが望ましいので、そうした態様になるように、滴下もしくは注ぐことが望ましい。
得られた沈殿物を濾過などにより回収し、これを乾燥させることにより、高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を得る。得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、粉砕などにより微粉化してもよい。
以上説明したように、本発明の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法によれば、高分子ラジカル材料に導電性材料を均一分散することができ、こうした製造方法によって得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、導電性材料が高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物として得られるので、得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体に良好な電子伝導性をもたせることができる。その結果、高分子ラジカル材料の酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電が可能となる。また、得られた高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は、充放電反応に寄与できるラジカルサイトの割合も高くなることから、大きな電流で放電させても電圧の低下が少ない蓄電デバイス用の電極材料として好ましく用いることができる。
[蓄電デバイス]
次に、上記高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を用いた蓄電デバイスについて説明する。図1は、本発明の蓄電デバイスの一実施形態である電池の分解構成図である。
図1に示す電池10は、正極集電体2上に設けた正極1と、負極集電体4上に設けた負極3とを、電解質を含むセパレータ5を介して対向するように重ね合わせた基本構造を成している。本発明は、こうした基本構成において、正極1又は負極3又は両電極に用いられる電極材料が、上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体であることを特徴とする。
なお、蓄電デバイスとは、少なくとも正極1と負極3を有し、電気化学的に蓄えられたエネルギーを電力の形で取り出すことのできるデバイスである。蓄電デバイスとして、図1に例示するような一次電池や充放電可能な二次電池等の電池;キャパシタ、コンデンサ等の電気容量デバイス;その他電気化学的なスイッチング素子、を挙げることができる。蓄電デバイスにおいて正極1とは、酸化還元電位が高い電極のことであり、負極3とは逆に酸化還元電位が低い方の電極のことである。ここでは、電池について説明する。
図1に示す電池10において、電解質として固体電解質やゲル電解質を用いる場合は、セパレータ5に代えてこれら電解質を正極1と負極2間に介在させる形態にすることもできる。絶縁パッキン6は、正極集電体2と負極集電体5との電気的接触を防ぐ目的で設けられるものであり、プラスチック樹脂等の絶縁性材料からなるものである。また、符号7は正極側の外装体であり、符号8は負極側の外装体であり、好ましくはステンレス材料で形成されている。次に、構成毎に説明する。
(正極)
上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体は酸化還元電位が比較的高いことから、正極活物質として好ましく用いられる。正極1には、高分子ラジカル材料・導電性材料複合体に加えて、他の導電性材料を添加することもできる。導電性材料としては、炭素材料、銅、鉄、金、白金、ニッケルなどの金属酸化物粒子、導電性高分子等を挙げることができる。炭素材料としては、上記したのと同様の、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブ等を挙げることができ、導電性高分子としては、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等を挙げることができる。また、これらの導電性材料を単独、もしくは組み合わせて使用することもできる。また、バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂を挙げることができる。
正極の作製方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体に溶剤に加えてスラリーとし、そのスラリーを正極集電体2に塗布する方法、上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体にバインダー樹脂を加えて圧力をかけて固める方法や熱をかけて焼き固める方法などが挙げられる。
(負極)
負極としては、リチウム金属やリチウム合金を負極活物質として用いることができる。リチウム合金負極としては、例えば、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金等が挙げられる。また、活性炭やグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、リチウムイオン吸蔵炭素、その他各種の金属単体又は合金、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子を用いることもできる。負極3の形状としては特に限定されず、例えばリチウム金属では薄膜状のものに限らず、バルク状のもの、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であってもよい。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。
(結着剤)
電極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共化合物、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共化合物、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、部分カルボキシ化セルロース、各種ポリウレタン等が挙げられる。
(集電体及びセパレータ)
正極集電体2、負極集電体4として、ニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、金属平板、メッシュ状などの形状のものを用いることができる。また、集電体に触媒効果を持たせたりしてもよい。一方、上記の正極1と負極3が接触しないようにポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム、セルロース膜、不織布などのセパレータ5を用いることもできる。
(電解質)
電解質は、正極1と負極3との間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には20℃で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有していることが好ましい。電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF、LiClO、LiBF、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON、Li(CFSOC、Li(CSOC等の従来公知の材料を用いることができる。
電解液に溶剤を用いる場合における溶剤としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。
さらに、電解質として固体電解質を用いることもできる。固体電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共化合物、フッ化ビニリデン−エチレン共化合物、フッ化ビニリデン−モノフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共化合物、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン三元共化合物等のフッ化ビニリデン系化合物や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共化合物、アクリロニトリル−メチルアクリレート共化合物、アクリロニトリル−エチルメタクリレート共化合物、アクリロニトリル−エチルアクリレート共化合物、アクリロニトリル−メタクリル酸共化合物、アクリロニトリル−アクリル酸共化合物、アクリロニトリル−ビニルアセテート共化合物等のアクリルニトリル系化合物、さらにポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共化合物、これらのアクリレート体やメタクリレート体の化合物などが挙げられる。これらの高分子化合物に電解液を含ませてゲル状にしたものを用いても、高分子化合物のみをそのまま用いても良い。
(電池形状)
電池の形状は特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。電池形状としては、電極積層体、あるいは巻回体を金属ケース、樹脂ケース、あるいはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムからなるラミネートフィルム等によって封止したもの等が挙げられ、円筒型、角型、コイン型、及びシート型等で作製されるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(電池の製造方法)
電池の製造方法としては特に限定されず、材料に応じて様々な方法を用いることができる。例えば、正極1と負極3をセパレータ5で挟んで積層又は巻回して外装体で包み、電解液を注入して封止するといった方法が挙げられる。また、電極からのリードの取り出しや外装等のその他の製造条件は、電池の製造方法として従来公知の方法を用いることができる。
以上説明したように、本発明の蓄電デバイス(電池)によれば、良好な電子伝導性を発現する上記本発明に係る高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を電極として用いたので、酸化還元に伴う電子の受け渡しが導電性材料を通じてスムーズとなり、大きな電流での充放電が可能な蓄電デバイスとすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1〜R5がメチル基である上記化学式(4)のニトロキシル化合物(重量平均分子量:28000)3.0gをN−メチルピロリドン12mlに溶解した。ここに炭素材料(昭和電工製、商品名:VGCF−H/気相法により合成された高結晶性のカーボンナノファイバー、繊維径150nm、繊維長10〜20μm、アスペクト比10〜500)1.7gを加え、ホモジナイザーにて攪拌し、導電性材料が均一に分散してなるスラリーを得た。このスラリーをメタノール1Lに撹拌しながら少しずつ加えることにより、ニトロキシル化合物・炭素材料複合体を沈殿させた。沈殿物をろ過し、さらに減圧乾燥機にて60℃で8時間の真空乾燥を行い、ニトロキシル化合物・炭素材料複合体の固形物を得た。これを乳鉢ですりつぶし、粉末状とした。
ニトロキシル化合物・炭素材料複合体4.75g、カルボキシメチルセルロース(CMC)200mg、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)50mg、水8mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なペーストを調整した。このスラリーを正極集電体であるアルミ箔上に塗布し、さらに100℃で10分間乾燥し、100μmの厚さを持つ正極を形成した。次に、得られた正極を直径12mmの円状に打ち抜き、これに電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1.0mol/LのLiPF電解質塩を含むエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液(混合比3:7)を用いた。電解液を含浸させた正極に、電解液を含浸させたポリプロピレン多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに、負極となるリチウム張り合わせ銅箔(リチウム厚30μm)を積層し、これをステンレス製コイン型電池外装体に入れ、かしめ機によって圧力を加え、実施例1の密閉型のコイン型電池とした。
(比較例1)
実施例1において、ニトロキシル化合物・炭素材料複合体を作製せずに、ニトロキシル化合物3g、炭素材料1.25g、カルボキシメチルセルロース(CMC)200mg、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)50mg、水8mlをホモジナイザーにて攪拌し、均一なスラリーを調整した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の密閉型のコイン型電池とした。
(顕微鏡観察の結果)
図2は、実施例1で得られたニトロキシル化合物・炭素材料複合体の電子顕微鏡写真であり、図3は、比較例1で得られたニトロキシル化合物・炭素材料複合体の電子顕微鏡写真である。なお、両図において、(B)は(A)をさらに拡大したものである。図2及び図3の結果からわかるように、実施例1のニトロキシル化合物・炭素材料複合体は、炭素材料であるカーボンナノファイバーがニトロキシル化合物内部に取り込まれているのに対し、比較例1のニトロキシル化合物・炭素材料複合体は、ニトロキシル化合物の塊の周りに、炭素材料であるカーボンナノファイバーが付着しているのが確認された。
(放電実験とその結果)
実施例1及び比較例1のコイン型電池を、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後、電流の大きさを変えて放電を行った。図4は、放電実験による放電電流とニトロキシル化合物あたりの放電容量との関係を示すグラフである。ニトロキシル化合物のラジカルがすべて酸化還元に寄与した場合の放電容量は111mAh/gであるが、小電流(0.4mAh/g)で放電した場合の放電容量は、実施例1のコイン型電池の場合は107mAh/gであり、比較例1のコイン型電池の場合は85mAh/gであり、本発明に係るニトロキシル化合物・炭素材料複合体を用いた実施例1の場合のほうが大きくなった。また、放電電流を大きくしても実施例1のコイン型電池の放電容量の減少は少なく、9.3mA/cmの放電で75mAh/gであった。一方、比較例1のコイン型電池は、9.3mA/cmの放電で12mAh/gに減少した。
また、図5は、0.113mA(正極面積あたり0.1mA/cm)の定電流で電圧が4.2Vになるまで充電し、その後電流の大きさを変えて放電したときの1秒後の電圧値との関係を示すグラフである。実施例1のコイン型電池は、70mA/cmの電流値まで2V以上の電圧を示したが、比較例1のコイン型電池は2V以上の電圧を示したのは40mA/cmまでであった。
以上より、本発明の高分子ラジカル材料・炭素材料複合体を用いた電池は、複合体を用いなかった場合に比べて、大きな電流で放電させても、容量の低下及び電圧の低下が少なかった。また、低電流で放電した場合でも高い容量が得られた。
本発明の蓄電デバイスの一実施形態である電池の分解構成図である。 実施例1で得られたニトロキシル化合物・炭素材料複合体の電子顕微鏡写真である。 、比較例1で得られたニトロキシル化合物・炭素材料複合体の電子顕微鏡写真である。 放電実験による放電電流とニトロキシル化合物あたりの放電容量との関係を示すグラフである。 定電流で一定電圧になるまで充電し、その後電流の大きさを変えて放電したときの1秒後の電圧値との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 正極
2 正極1アルミ箔
3 負極
4 負極集電体
5 セパレータ
6 絶縁パッキン
7 正極側の外装体
8 負極側の外装体
10 電池

Claims (8)

  1. 溶媒に、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料を入れて溶解又は膨潤させ、且つ、前記溶媒に、導電性材料を加えて分散又は溶解させて原料溶液を調製する工程と、
    この原料溶液を、前記高分子ラジカル材料と前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで該導電性材料が該高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物を生成する工程とを有し、
    前記高分子ラジカル材料は、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物であることを特徴とする高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法。
    (化学式(3)中、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。)
  2. 前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又は該化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、請求項に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法。
    (化学式(4)(5)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R5は水素又はメチル基を表す。)
  3. 前記導電性材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブから選ばれる、請求項1又は2に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体の製造方法。
  4. 溶媒に、還元状態においてラジカル部分構造をとる高分子ラジカル材料を入れて溶解又は膨潤させ、且つ、前記溶媒に、導電性材料を加えて分散又は溶解させて原料溶液を調製する工程と、
    この原料溶液を、前記高分子ラジカル材料と前記導電性材料が溶解又は膨潤しない溶液に滴下又は注いで該導電性材料が該高分子ラジカル材料の内部に取り込まれた沈殿物を生成する工程とによって得られる沈殿物であり、
    前記高分子ラジカル材料は、酸化状態において下記化学式(1)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(3)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物であることを特徴とする高分子ラジカル材料・導電性材料複合体。
    化学式(3)中、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(3)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただし、Xの少なくとも一部は、ポリマーの主鎖の一部を構成している。
  5. 前記高分子ラジカル材料が、下記化学式(4)及び/又は(5)の化学構造で表される高分子化合物、又は該化学構造を繰り返し単位として含む共重合体である、請求項4に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体。
    (化学式(4)(5)中、R 1 〜R 4 はそれぞれ独立にアルキル基を表し、R 5 は水素又はメチル基を表す。)
  6. 前記導電性材料が、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ炭素繊維、カーボンナノチューブから選ばれる、請求項4又は5に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の高分子ラジカル材料・導電性材料複合体を電極として用いたことを特徴とする蓄電デバイス。
  8. 前記電極が正極である、請求項に記載の蓄電デバイス。
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