JP4530133B2 - 蓄電デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、内部抵抗の小さな蓄電デバイスに関する。
正極活物質として、ニトロキシル高分子を利用する蓄電デバイスが提案されている。例えば、特許文献1の図1に記載されている従来の蓄電デバイスでは、ニトロキシル高分子を活物質とする正極を、アルミニウムもしくはステンレスといった正極用金属集電体の上に直接塗布、もしくは圧着させて蓄電デバイスを構築している。
特開2002−304996号公報
しかしながら、この特許文献1に開示された蓄電デバイスには、蓄電デバイスの内部抵抗が高くなるという問題点がある。この原因は、アルミニウムもしくはステンレスといった金属集電体と、有機半導体であるニトロキシル高分子との間に、ショットキー型の内部抵抗が生じることに起因する。そのため、内部抵抗に起因するエネルギーの損失が大きくなってしまう。本発明の目的は、正極活物質としてニトロキシル高分子を用いた蓄電デバイスにおいて、内部抵抗の小さな蓄電デバイスを提供することにある。
[発明の特徴]
本発明の蓄電デバイスは、酸化状態において下記化学式(I)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(II)で示されニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う下記反応式(B)で示される反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスであって、ニトロキシル高分子を含有する正極と、アルミニウムもしくはステンレスといった正極用金属集電体との間に、カーボンペーパーを有することを特徴としている。
Figure 0004530133
[作用]
ニトロキシル高分子を活物質とする正極と、アルミニウムもしくはステンレスといった正極用金属集電体との間に挟んだカーボンペーパーが、有機高分子化合物と金属集電体とのポテンシャル障壁を小さくする効果があるため、蓄電デバイスの内部抵抗が小さくなる。
本発明の効果は、ニトロキシル高分子を活物質とする正極と金属集電体との間にカーボンペーパーを挟むことで、内部抵抗の小さな蓄電デバイスを提供することができる。
[構造]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態として蓄電デバイスの概観図が示されている。
本発明による蓄電デバイスは、例えば図1に示すような構成を有している。図1に示された蓄電デバイスは負極3と正極5とを電解質を含むセパレータ4を介して重ね合わせた構成を有しており、正極5と正極用金属集電体7との間にカーボンペーパー6を有していることを特徴としている。第1の実施の形態におけるカーボンペーパー6は、繊維状炭素を原料とした不織布構造をとっており、その厚みは0.11ミリメートル、空隙率は80%である。第1の実施の形態におけるカーボンペーパー6の室温における電気抵抗率は、厚み方向で80mΩ・cm、面方向で6.3mΩ・cmである。第1の実施の形態における負極用金属集電体1および正極用金属集電体7はステンレス板からなっており、ポリプロピレン製の絶縁パッキン2を挟んだコイン型蓄電デバイスの形状を有している。第1の実施の形態における負極3としてはリチウム金属を使用し、正極活物質としては、下記化学式(1)で示されるニトロキシル高分子、ポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ メタクリレート)(PTMA)を用いている。正極活物質であるPTMAは、アセチレンブラックを主成分とする導電性付与剤およびポリテトラフルオロエチレンを主成分とするバインダーと複合化させて正極を形成している。それらの含有率は重量比で、PTMA/導電性付与剤/バインダー=5/4/1の割合である。第1の実施の形態におけるセパレータ4としては、ポリプロピレン製の多孔質セパレータを用いている。第1の実施の形態における電解液としては、支持塩として1MのLiPF6を含む、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(混合体積比EC/DEC=3/7)を用いている。
Figure 0004530133
[製法]
次に図1を参照して、第1の実施の形態の製造方法を説明する。
還流管を付けた100mlナスフラスコ中に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート モノマー20g(0.089mol)を入れ、乾燥テトラヒドロフラン80mlに溶解させた。そこへ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.29g(0.00178mol)(モノマー/AIBN=50/l)を加え、アルゴン雰囲気下75〜80℃で攪拌した。6時間反応後、室温まで放冷した。へキサン中でポリマーを析出させて濾別し、減圧乾燥してポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)18g(収率90%)を得た。次に、得られたポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)10gを乾操ジクロロメタン100mlに溶解させた。ここへm−クロロ過安息香酸15.2g(0.088mol)のジクロロメタン溶液100mlを室温にて攪拌しながら1時間かけて滴下した。さらに6時間攪拌後、沈殿したm−クロロ安息香酸を濾別して除き、濾液を炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄後、ジクロロメタンを留去した。残った固形分を粉砕し、得られた粉末をジエチルカーボネート(DEC)で洗浄し、減圧下乾燥させて、下記化学式(2)で示されるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ メタクリレート)(PTMA)7.2gを得た(収率68.2%、茶褐色粉末)。得られた高分子の構造はIRで確認した。また、GPCにより測定した結果、重量平均分子量Mw=89000、分散度Mw/Mn=3.30という値が得られた。ESRスペクトルにより求めたスピン濃度は2.26×1021spin/gであった。これはポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)のN−H基が、N−Oラジカルへ90%転化されると仮定した場合のスピン濃度と一致する。
Figure 0004530133
合成した化学式(2)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。10分ほど乾式混合して得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸して、厚さ200μmの薄型電極板を得た。薄型電極板を、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜ぬき、蓄電デバイス用電極として成型した。次に、得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液を用いた。電解液を含浸させた電極を直径12mmの円形に打ち抜いた厚み0.11ミリメートルの不織布構造カーボンペーパー上にのせて、正極用金属集電体上に置き、その上に同じく電解液を含浸させた多孔質フィルムセパレータを積層した。さらに負極となるリチウム金属板を積層し、絶縁パッキンで被覆された負極用金属集電体を重ね合わせた。こうして作られた積層体を、かしめ機によって圧力を加え、コイン型蓄電デバイスを得た。
[発明の他の実施の形態]
上記第1の実施の形態において、コイン型であった蓄電デバイスの形状を、従来公知の形状にすることができる。蓄電デバイス形状の例としては、電極の積層体あるいは巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、あるいはラミネートフィルム等によって封止したものが挙げられる。また外観としては、円筒型、角型、コイン型、およびシート型等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、不織布構造であったカーボンペーパーを、繊維状炭素を織ってできる布状構造のカーボンペーパーで構成することができる。本発明におけるカーボンペーパーとは、繊維状炭素を集積化させて平たく伸ばした材料の総称であり、大きく分けて不織布構造のものと布状構造のものとがある。カーボンペーパーの厚みは、一般に0.03〜0.50ミリメートル程度であるが、機械的強度を保つためには0.05ミリメートル以上であることが好ましい。しかしながら、蓄電デバイスのエネルギー密度を高めるといった観点から言えば、カーボンペーパーの厚みは薄い方がよく、0.25ミリメートル以下であることが好ましい。カーボンペーパーの空隙率は、一般に50〜90%程度であるが、正極との接触面積を大きくすると言う観点から70%以上であることが好ましい。カーボンペーパーの室温における電気抵抗率は、蓄電デバイスの内部抵抗を小さくすると言う観点から、厚み方向で300mΩ・cm以下、面方向で30mΩ・cm以下であることが好ましい。
上記第1の実施の形態において、正極活物質であるPTMAを、従来公知のニトロキシル高分子で構成することができる。本発明におけるニトロキシル高分子とは、代表的構造として下記化学式(3)で示されるような、ニトロキシル構造を有する高分子化合物の総称であるが、ニトロキシル構造は、下記反応式(A)で示されるように、電子の授受により化学式(I)〜(III)の状態を取りうる。
Figure 0004530133
Figure 0004530133
本発明における蓄電デバイスは、化学式(I)と(II)の間の反応を正極の電極反応として用い、それに伴う電子の蓄積と放出により蓄電効果を機能させるものである。ここで蓄電デバイスとは、少なくとも正極と負極を有し、電気化学的に蓄えられたエネルギーを電力の形で取り出すことのできるデバイスである。蓄電デバイスにおいて正極とは、酸化還元電位が高い電極のことであり、負極とは逆に酸化還元電位が低い方の電極のことである。
本発明において、酸化状態おけるニトロキシル構造としては下記化学式(5)で示される環状ニトロキシル構造が好ましい。還元状態においては、化学式(5)のニトロキシル部分が式(II)のニトロキシルラジカル構造となっている。R1〜R4は、それぞれ独立にアルキル基を表し、特に直鎖状のアルキル基が好ましい。また、ラジカルの安定性の点で炭素数は1〜4のアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。基Xにおいて環員を構成する原子は、炭素、酸素、窒素、および硫黄からなる群より選ばれる。基Xとしては化学式(5)が5〜7員環を形成するような2価の基を表し、具体的には、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH=CH−、−CH=CHCH2−、−CH=CHCH2CH2−、−CH2CH=CHCH2−が挙げられ、その中で、隣接しない−CH2−は、−O−、−NH−または−S−によって置き換えられていてもよく、−CH=は−N=によって置き換えられていてもよい。また、環を構成する原子に結合した水素原子は、アルキル基、ハロゲン原子、=O等により置換されていてもよい。
Figure 0004530133
特に好ましい環状ニトロキシル構造は酸化状態において、化学式(6)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオン、化学式(7)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルカチオン、および化学式(8)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルカチオンからなる群より選ばれるものである。
Figure 0004530133
Figure 0004530133
Figure 0004530133
ただし、本発明において、上記の化学式(5)で示される環状ニトロキシル構造は、側鎖もしくは主鎖の一部としてポリマーの一部を構成している。すなわち、環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った構造としてポリマーの側鎖もしくは主鎖の一部に存在している。合成等の容易さから側鎖に存在している方が好ましい。側鎖に存在するときは、下記化学式(9)に示すように、化学式(5)の基X中の環員を構成する−CH2−、−CH=または−NH−から水素を取った残基X’によって主鎖ポリマーに結合している。
Figure 0004530133
(式中、R1〜R4は前記化学式(5)と同義である。)
このとき用いられる主鎖ポリマーとしては特に制限はなく、どのようなものであっても、化学式(9)の環状ニトロキシル構造を有する残基が側鎖に存在していればよい。具体的には、次に挙げるポリマーに、化学式(9)の残基が付加したもの、またはポリマーの一部の原子または基が、化学式(9)の残基によって置換されたものを挙げることができる。いずれの場合も、化学式(9)の残基が直接ではなく、適当な2価の基を中間に介して結合していてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリデセン、ポリドデセン、ポリヘプテン、ポリイソブテン、ポリオクタデセン等のポリアルキレン系ポリマー;ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリイソブテン等のジエン系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)アクリルアミド、ポリジメチル(メタ)アクリルアミド、ポリイソプロピル(メタ)アクリルアミド等のポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート等のポリアルキル(メタ)アクリレート類;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマー;ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ポリクロロスチレン、ポリメチルスチレン等のポリスチレン系ポリマー;ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン等のビニル系ポリマー;ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブテンオキサイド、ポリオキシメチレン、ポリアセトアルデヒド、ポリメチルビニルエーテル、ポリプロピルビニルエーテル、ポリブチルビニルエーテル、ポリベンジルビニルエーテル等のポリエーテル系ポリマー;ポリメチレンスルフィド、ポリエチレンスルフィド、ポリエチレンジスルフィド、ポリプロピレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンテトラフルフィド、ポリエチレントリメチレンスルフィド等のポリスルフィド系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンパラフェニレンジアセテート、ポリエチレンイソプロピリデンジベンゾエート等のポリエステル類;ポリトリメチレンエチレンウレタン等のポリウレタン類;ポリエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン等のポリケトン系ポリマー;ポリオキシイソフタロイル等のポリ無水物系ポリマー;ポリエチレンアミン、ポリヘキサメチレンアミン、ポリエチレントリメチレンアミン等のポリアミン系ポリマー;ナイロン、ポリグリシン、ポリアラニン等のポリアミド系ポリマー;ポリアセチルイミノエチレン、ポリベンゾイルイミノエチレン等のポリイミン系ポリマー;ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズイミド、ポリピロメルイミド等のポリイミド系ポリマー;ポリアリレン、ポリアリレンアルキレン、ポリアリレンアルケニレン、ポリフェノール、フェノール樹脂、セルロース、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾキサジン、ポリベンゾキサゾール、オリカルボラン、ポリジベンゾフラン、ポリオキソイソインドリン、ポリフランテトラカルボキシル酸ジイミド、ポリオキサジアゾール、ポリオキシンドール、ポリフタラジン、ポリフタライド、ポリシアヌレート、ポリイソシアヌレート、ポリピペラジン、ポリピペリジン、ポリピラジノキノキサン、ポリピラゾール、ポリピリダジン、ポリピリジン、ポリピロメリチミン、ポリキノン、ポリピロリジン、ポリキノキサリン、ポリトリアジン、ポリトリアゾール等のポリアロマティック系ポリマー;ポリジシロキサン、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系ポリマー;ポリシラン系ポリマー;ポリシラザン系ポリマー;ポリホスファゼン系ポリマー;ポリチアジル系ポリマー;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン等の共役系ポリマーを挙げることができる。なお、(メタ)アクリルとはメタクリルまたはアクリルを意味する。
この中で、主鎖が電気化学的な耐性に優れている点で、ポリアルキレン系ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド類ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート類、ポリスチレン系ポリマーが好ましい。主鎖とは、高分子化合物中で、最も炭素数の多い炭素鎖のことである。この中でも、酸化状態で下記化学式(10)で示される単位を含むことができるように、ポリマーが選ばれることが好ましい。
Figure 0004530133
ここで、R1〜R4は前記化学式(5)と同義である。R5は、水素またはメチル基である。Yは特に限定はないが、−CO−、−COO−、−CONR6−、−O−、−S−、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアリーレン基、およびこれらの基の2つ以上を結合させた2価の基を挙げることができる。R6は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。化学式(10)で表される単位で、特に好ましいものは、次の化学式(11)〜(14)で表されるものである。
Figure 0004530133
Figure 0004530133
Figure 0004530133
Figure 0004530133
化学式(11)〜(14)において、Yとしては、上記化学式(10)と同義であるが、特に−COO−および−CONR6−のいずれかが好ましい。
本発明において、化学式(9)の残基が、側鎖のすべてに存在しなくても良い。例えばポリマーを構成する単位のすべてが化学式(10)で示される単位であっても、または一部が化学式(10)で示される単位であってもいずれでもよい。ポリマー中にどの程度含まれるかは、目的、ポリマーの構造、製造方法に異なるが、わずかでも存在していれば良く、通常1重量%以上、特に10重量%以上が好ましい。ポリマー合成に特に制限が無く、またできるだけ大きな蓄電作用を得たい場合には、50重量%以上、特に80重量%以上が好ましい。
このようなポリマーを合成するには、例えば下記化学式(15)で示されるモノマーを単独重合またはアルキルアクリレート等の共重合しうるモノマーとの共重合によりポリマーを得た後、−NH−部分を酸化することで、酸化状態において化学式(10)で示される単位を有するポリマーを得ることができる。
Figure 0004530133
また、例えば、メタクリル酸等を重合してベースとなるポリマーを合成した後に、高分子反応により化学式(9)で示される残基(あるいはNOラジカルに酸化される前の−NH−を有する残基)を導入しても良い。
本発明におけるニトロキシル高分子の分子量は特に制限はないが、電解質に溶けないだけの分子量を有していることが好ましく、これは電解質中の有機溶媒の種類との組み合わせにより異なる。一般には、重量平均分子量1,000以上であり、好ましくは10,000以上、特に100,000以上である。本発明では、粉体として正極に混合することができるので、分子量はいくら大きくてもよい。一般的には重量平均分子量5,000,000以下である。また、化学式(9)で示される残基を含むポリマーは、架橋していてもよく、それにより電解質に対する耐久性を向上させることができる。
上記第1の実施の形態において、50重量%であった正極中におけるニトロキシル高分子の含有率は、任意に調整することができる。正極中におけるニトロキシル高分子の主要な機能は、蓄電に寄与する活物質としての役割である。従って、従来の蓄電デバイス、例えば従来の電池の正極活物質の全量を本発明で規定するニトロキシル高分子に置き換えることができる。正極重量全体に対して、10重量%以上であれば十分に効果が見られる。さらに、できるだけ大きな蓄電作用を得たい場合には、50重量%以上、特に80重量%以上であり、100重量%とすることも好ましい。
上記第1の実施の形態において、PTMAのみであった正極活物質を、異種正極活物質と組み合わせて正極を構成することができる。異種正極活物質成分としては蓄電デバイス電極材料として従来高知のものが利用できる。このようなものとして、例えば、活性炭やグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、LiMnO2、LiCoO2、LiNiO2、あるいはLix25(0<x<2)等の金属酸化物やポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子、ジスルフィド化合物等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、アセチレンブラックを主成分としていた導電性付与剤を、従来公知の導電性付与剤材料に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知の導電性付与剤としては、例えば、活性炭やグラファイト、カーボンブラック、ファーネスブラック、金属粉末等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、テトラフルオロエチレンを用いていたバインダーを、従来公知のバインダーに置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知のバインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂バインダー等が挙げられる。環状ニトロキシル構造を有するポリマーの主鎖の種類、環状ニトロキシル構造が付加されている側鎖の種類、または環状ニトロキシル構造を有していない側鎖の種類等によっては、バインダーの機能を兼ねることができる。その場合、従来のバインダーの使用が不要であったり、従来のバインダーの使用量を減らすことができる。あるいは、従来の活物質をそのまま使用し、バインダーとして環状ニトロキシル構造を有するポリマーを用いても良く、その場合にはバインダーに相当する量が活物質としても機能することになるので、それだけ高容量化を図ることができる。また、ポリマーの主鎖がポリアセチレン、ポリアニリン等の導電性ポリマーからなり、その側鎖に環状ニトロキシル構造が存在する場合には、環状ニトロキシル構造を有するポリマーが導電補助剤を兼ねることができる。この場合、従来の導電補助剤の使用が不要であったり、従来の導電補助剤の使用量を減らすことができる。あるいは、従来の活物質をそのまま使用し、導電補助剤として環状ニトロキシル構造を有するポリマーを用いても良く、その場合には導電補助剤に相当する量が活物質としても機能することになるので、それだけ高容量化を図ることができる。また、ニトロキシルカチオン構造は、例えば電解質中に含まれる水、アルコール等の不純物を不活性化する働きもあると考えられ、蓄電デバイスの性能劣化を抑制する働きもしている。いずれの場合も、環状ニトロキシル構造を有するポリマーは、有機溶媒等を含む電解質に対する溶解性が低く、耐久性が高いために特に効果が大きい。
上記第1の実施の形態において、リチウム金属を用いていた負極を、従来公知の負極に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知の負極としては、例えば、活性炭やグラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素材料、リチウム合金、リチウムイオン吸蔵炭素、その他各種の金属単体や合金、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリアニリン、ポリピロール等の導電性高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド等の樹脂バインダー、その他ジスルフィド化合物や触媒効果を示す化合物、イオン導電性高分子等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、ステンレスを用いていた負極用金属集電体の材質を、従来公知の材質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知の負極用金属集電体材質としては、例えば、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、チタン、アルミニウム合金等の材質が挙げられる。また、形状としては、箔や平板、メッシュ状のものを用いることができる。
上記第1の実施の形態において、ステンレスを用いていた正極用金属集電体の材質を、従来公知の材質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知の正極用金属集電体材質としては、例えば、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、チタン、アルミニウム合金等の材質が挙げられる。また、形状としては、箔や平板、メッシュ状のものを用いることができる。
上記第1の実施の形態において、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液を使用していた電解質を、従来公知の電解質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。電解質は、負極3と正極5との間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には室温で10-5〜10-1S/cmの電解質イオン伝導性を有している。従来公知の電解質としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した電解液を利用することができる。このような溶剤としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒、もしくは硫酸水溶液や水などが挙げられる。本発明ではこれらの溶剤を単独もしくは2種類以上混合して用いることもできる。また、電解質塩としては、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23等が挙げられる。また、本発明に用いられる電解質としては固体電解質を用いても良い。これら固体電解質のうち、有機固体電解質材料としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ化ビニリデン系重合体や、アクリロニトリル−メチルメタクリレート共重合体、アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合体等のアクリルニトリル系重合体、さらにポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。これらの高分子材料は、電解液を含ませてゲル状にして用いても、また電解質塩を含有させた高分子物質のみをそのまま用いても良い。一方、無機固体電解質としては、CaF2、AgI、LiF、βアルミナ、ガラス素材等が挙げられる。
上記第1の実施の形態において、ポリプロピレン製の多孔質フィルム用いていたセパレータの材質を、従来公知の材質に置き換えて蓄電デバイスを構成することができる。従来公知のセパレータの材質としては、例えば、ポリエチレン等の材質が挙げられる。
次に具体的な実施例を用いて、実施の形態の製造方法を説明する。
<環状ニトロキシル構造含有ポリマーの合成例>
還流管を付けた100mlナスフラスコ中に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート モノマー20g(0.089mol)を入れ、乾燥テトラヒドロフラン80mlに溶解させた。そこへ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.29g(0.00178mol)(モノマー/AIBN=50/l)を加え、アルゴン雰囲気下75〜80℃で攪拌した。6時間反応後、室温まで放冷した。へキサン中でポリマーを析出させて濾別し、減圧乾燥してポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)18g(収率90%)を得た。次に、得られたポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)10gを乾操ジクロロメタン100mlに溶解させた。ここへm−クロロ過安息香酸15.2g(0.088mol)のジクロロメタン溶液100mlを室温にて攪拌しながら1時間かけて滴下した。さらに6時間攪拌後、沈殿したm−クロロ安息香酸を濾別して除き、濾液を炭酸ナトリウム水溶液および水で洗浄後、ジクロロメタンを留去した。残った固形分を粉砕し、得られた粉末をジエチルカーボネート(DEC)で洗浄し、減圧下乾燥させて、下記化学式(16)で示されるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ メタクリレート)(PTMA)7.2gを得た(収率68.2%、茶褐色粉末)。得られた高分子の構造はIRで確認した。また、GPCにより測定した結果、重量平均分子量Mw=89000、分散度Mw/Mn=3.30という値が得られた。ESRスペクトルにより求めたスピン濃度は2.26×1021spin/gであった。これはポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン メタクリレート)のN−H基が、N−Oラジカルへ90%転化されると仮定した場合のスピン濃度と一致する。
Figure 0004530133
同様の方法で、下記化学式(17)で示されるポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシ アクリレート)[重量平均分子量Mw=74000、分散度Mw/Mn=2.45、スピン濃度:2.23×1021spin/g(N−H基がN−Oラジカルへ84%転化されると仮定した場合のスピン濃度と一致)]、化学式(18)で示されるポリ(2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシ メタクリレート)[重量平均分子量Mw=52000、分散度Mw/Mn=3.57、スピン濃度:1.96×1021spin/g(N−H基がN−Oラジカルへ74%転化されると仮定した場合のスピン濃度と一致)]、化学式(19)で示されるポリ(2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシ メタクリレート)[重量平均分子量Mw=33000、分散度Mw/Mn=4.01、スピン濃度:2.09×1021spin/g(N−H基がN−Oラジカルへ78%転化されると仮定した場合のスピン濃度と一致)]を合成した。
Figure 0004530133
Figure 0004530133
Figure 0004530133
<実施例1>
合成した化学式(16)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。10分ほど乾式混合して得られた混合体を、圧力を掛けてローラー延伸して、厚さ200μmの薄型電極板を得た。薄型電極板を、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12mmの円形に打ち抜ぬき、蓄電デバイス用電極として成型した。次に、得られた電極を電解液に浸して、電極中の空隙に電解液を染み込ませた。電解液としては、1mol/lのLiPF6電解質塩を含むEC/DEC混合溶液(混合体積比EC/DEC=3/7)を用いた。電解液を含浸させた電極を直径12mmの円形に打ち抜いた厚み0.11ミリメートルの不織布構造カーボンペーパー(空隙率:80%、室温における電気抵抗率:80mΩ・cm(厚み方向)、6.3mΩ・cm(面方向))上にのせて、正極用金属集電体(ステンレス板)上に置き、その上に同じく電解液を含浸させた多孔質フィルムセパレータ(ポリプロピレン製)を積層した。さらに負極となるリチウム金属板を積層し、絶縁パッキン(ポリプロピレン製)で被覆された負極用金属集電体(ステンレス板)を重ね合わせた。こうして作られた積層体を、かしめ機によって圧力を加え、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例2>
合成した化学式(17)のポリアクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例3>
合成した化学式(18)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例4>
合成した化学式(19)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例5>
負極としてグラファイト電極板を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例6>
合成した化学式(16)のポリメタクリレート100mgと、アセチレンブラック800mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例7>
合成した化学式(16)のポリメタクリレート800mgと、アセチレンブラック100mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例8>
厚み0.05ミリメートルの不織布構造カーボンペーパー(空隙率:82%、室温における電気抵抗率:80mΩ・cm(厚み方向)、6.0mΩ・cm(面方向))を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例9>
厚み0.25ミリメートルの不織布構造カーボンペーパー(空隙率:78%、室温における電気抵抗率:80mΩ・cm(厚み方向)、5.6mΩ・cm(面方向))を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<実施例10>
厚み0.25ミリメートルの布状構造カーボンペーパー(空隙率:68%、室温における電気抵抗率:240mΩ・cm(厚み方向)、14mΩ・cm(面方向))を使用する以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例1>
カーボンペーパーを用いずに、電解液を含浸させた電極を正極用金属集電体上に直接置く以外は、実施例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例2>
合成した化学式(17)のポリアクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例3>
合成した化学式(18)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例4>
合成した化学式(19)のポリメタクリレート500mgと、アセチレンブラック400mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例5>
負極としてグラファイト電極板を使用する以外は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例6>
合成した化学式(16)のポリメタクリレート100mgと、アセチレンブラック800mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
<比較例7>
合成した化学式(16)のポリメタクリレート800mgと、アセチレンブラック100mg、ポリテトラフルオロエチレン樹脂バインダ100mgを測り採り、メノウ乳鉢で混合した。それ以降は、比較例1と同様の方法で実施し、コイン型蓄電デバイスを得た。
本実施例1において作製した蓄電デバイスの開放電位は2.9Vであった。次に、得られた蓄電デバイスに対し、0.113mAの定電流で充電を行い、電圧が4.0Vまで上昇した時点で充電を終了した。充電後の蓄電デバイスを分解し、正極を分析するとラジカル濃度の減少が観測され、対応する2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオンの生成が確認された。このカチオンは電解質アニオンPF6 -によって安定化されている。
同様にして蓄電デバイスを作製し、0.113mAの定電流で充電を行い、電圧が4.0Vまで上昇した直後に放電を行った。放電は、充電時と同じ0.113mAの定電流で行い、電圧が3.0Vに達した時点で放電を終了した。放電時において、3.5V付近に電圧平坦部が認められた。この電圧平坦部は、正極で起こっているニトロキシルカチオンからニトロキシルラジカルに変化する還元反応と、負極で起こっているリチウムメタルのイオン化反応との間の電位差に相当することが分かった。すなわちこれは、本実施例1による蓄電デバイスが、化学電池として動作していることを示す結果である。本実施例1における平均放電電圧は、3.52Vであった。
同様にして実施例2〜10、比較例1〜7において作製した蓄電デバイスの充放電挙動を測定した。表1に実施例1〜実施例10および比較例1〜7における、0.113mAの定電流放電時の平均放電電圧についてまとめる。正極活物質および負極活物質が同じ種類の場合、平均放電電圧が高いほど蓄電デバイスの内部抵抗が小さく、平均放電電圧が低いほど内部抵抗が大きいことになる。実施例1と比較例1とを比較すると、正極と正極用金属集電体との間にカーボンペーパーを挟むことで、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。実施例2〜4と比較例2〜4とを比較すると、化学式17〜19のいずれの正極活物質においても、正極と正極用金属集電体との間にカーボンペーパーを挟むことで、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。実施例5と比較例5とを比較すると、負極活物質としてグラファイトを用いた場合でも、正極と正極用金属集電体との間にカーボンペーパーを挟むことで、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。実施例6、7と比較例6、7とを比較すると、正極中に占める正極活物質の割合が10%および80%の場合でも、正極と正極用金属集電体との間にカーボンペーパーを挟むことで、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。また、正極中に占める正極活物質の割合が80%の場合には、その効果が一段と大きくなることが分かる。実施例8、9と比較例1とを比較すると、カーボンペーパーの厚みが0.05mmおよび0.25mmの場合でも、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。実施例10と比較例1とを比較すると、カーボンペーパーの種類が布状構造の場合でも、蓄電デバイスの平均放電電圧が高くなる、すなわち内部抵抗が小さくなることが分かる。
Figure 0004530133
本発明による蓄電デバイスは、内部抵抗が小さいので、高い出力を必要とする蓄電デバイスとして利用することができる。本発明の活用例としては、従来、電気二重層キャパシタや鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン二次電池等が用いられていた、パソコンやサーバーのバックアップ電源、電気自動車用の補助電源、携帯機器用電源等が挙げられる。
第1の実施の形態に挙げた蓄電デバイスの構成を示す概観図である。
符号の説明
1 負極用金属集電体
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 カーボンペーパー
7 正極用金属集電体

Claims (3)

  1. 酸化状態において下記化学式(I)で示されるニトロキシルカチオン部分構造をとり、還元状態において下記化学式(II)で示されニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル高分子を正極中に含有し、その2つの状態間で電子の授受を行う下記反応式(B)で示される反応を正極の電極反応として用いる蓄電デバイスにおいて、正極と正極用金属集電体との間に、カーボンペーパーを有することを特徴とする蓄電デバイス。
    Figure 0004530133
  2. 前記ニトロキシル高分子が、酸化状態において下記化学式(21)で示される環状ニトロキシル構造を含む高分子化合物であることを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイス。
    Figure 0004530133
    〔化学式(21)中、R1〜R4はそれぞれ独立にアルキル基を表し、Xは化学式(21)が5〜7員環を形成するような2価の基を表す。ただしXが、ポリマーの側鎖もしくは主鎖の一部を構成している。〕
  3. 前記ニトロキシル高分子は、酸化状態において、下記化学式(22)で示される2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルカチオン、下記化学式(23)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリジノキシルカチオン、および下記化学式(24)で示される2,2,5,5−テトラメチルピロリノキシルカチオンからなる群より選ばれる少なくとも一つの環状ニトロキシル構造の環状構造を形成する元素に結合する少なくとも1つの水素を取った残基を側鎖に含む高分子化合物であることを特徴とする請求項2記載の蓄電デバイス。
    Figure 0004530133
    Figure 0004530133
    Figure 0004530133
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