JP2013206579A - 正極とその製造方法ならびにその正極を用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

正極とその製造方法ならびにその正極を用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】過充電状態における正極活物質(活物質層)の電子伝導性が向上された正極とその正極の製造方法を提供すること。更に、CIDおよびガス発生添加剤を備えた電池であって、該添加剤の酸化分解反応性を高め、ガス発生量を増加させた非水電解質二次電池を提供すること。
【解決手段】
正極活物質と導電材とバインダとを含む正極活物質層を備える正極であって、正極活物質の表面の少なくとも一部に、正孔輸送材が配置されている正極とする。また、この正極と、電池内の内圧に応じて正極および負極の間の導電経路を遮断し得る電流遮断機構を備え、非水電解質は、正極において酸化分解されることでガスを発生させる機能を有するガス発生添加剤を含み、上記ガス発生添加剤により発生されるガスにより電池内の内圧が高められて、上記電流遮断機構が上記導電経路を遮断し得る非水電解質二次電池とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、正極とその製造方法、ならびにその正極を用いた非水電解質二次電池に関する。より詳しくは、電解質にガス発生添加剤を含む非水電解質二次電池に用いる正極とその製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池やニッケル水素電池およびその他の二次電池は、電気を駆動源とする車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末その他の電気製品等に搭載される電源として重要性が高まっている。この種の二次電池の一つの典型的な構成では、電荷担体を可逆的に吸蔵および放出し得る電極活物質を含む電極活物質層を備える正負の電極が、電解質と共に電池ケース内に収容されている。
かかる二次電池は、通常は、例えば3.0V以上4.2V以下程度の所定の電圧領域に収まるよう制御された状態で使用されるが、様々な要因により通常の状態から外れた場合には、所定の電圧領域から逸脱して過充電の状態に陥る可能性がある。この過充電の状態では、電解液が分解して電池ケース内にガスが発生したり、活物質が発熱して電池内部の温度が上昇したりするといった問題が生じ得る。そのため、このような問題を未然に防止する目的で、過充電状態を電池温度や電池内圧等により検知して電流を遮断する機構(電流遮断機構:CID)を備えることが提案されている(例えば、特許文献1)。
電池内圧の上昇により作動するタイプのCIDを備える二次電池においては、過充電時に上記CIDをより迅速に作動させるため、電解質中にシクロヘキシルベンゼン(CHB)やビフェニル(BP)等のガス発生添加剤を予め添加することがなされている。このガス発生添加剤は、電解質溶媒よりも酸化電位(即ち、酸化分解反応の始まる電圧)が低く、過充電時には正極表面において電解質よりも先に速やかに酸化分解され得る。この正極での酸化分解反応に起因して負極では多量のガスが発生し、電池内の圧力を迅速に高め、CIDをより早い段階で作動させることができるのである。つまり、かかる構成によると、より安全な状態で電池内の電極反応を停止させることが可能とされる。
特開2006−324235号公報
ところで、上記のガス発生添加剤の酸化分解反応性は、正極活物質の種類に影響され得る。そのため、例えば、表面の電子伝導性が低い正極活物質を用いた場合、過充電状態においても正極でのガス発生添加剤の酸化分解反応が迅速に進まず、発生されるガスの量は少なくなってしまっていた。そのため、CIDが作動するまでに時間を要し、安全な状態で電池内の電流を遮断することが困難となるおそれがあった。
本発明は、かかる従来の状況を鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、正極活物質(活物質層)の電子伝導性が向上された正極およびその正極の製造方法、更に、CIDおよびガス発生添加剤を備えた電池であって、該添加剤の酸化分解反応性を高め、ガス発生量を増加させた非水電解質二次電池を提供することである。
すなわち、本発明者らが鋭意研究を行った結果、上記の正極におけるガス発生添加剤の酸化分解反応性は、正極活物質の表面の電子伝導性に大きく影響を受けると考えられた。そして、正極活物質とガス発生添加剤との反応性を高めるために、過充電状態において、これらの界面に反応性を高める材料、すなわち正極活物質からの電子の引き抜きを促し電解質およびガス発生添加剤に電子を供給し得る材料を配置させることが電子伝導性を高めるのに有効であることを見出し、本発明を想到するに至った。
本発明が提供する正極は、正極活物質と導電材とバインダとを含む正極活物質層を備える正極であって、上記正極活物質の表面の少なくとも一部に、正孔輸送材が配置されていることを特徴としている。
例えばリチウム二次電池においては、放電時には、負極活物質である黒鉛から電荷担体であるリチウムイオンが電解質中に引き抜かれ、このリチウムイオンは電解質中を通ってリチウムを放出した状態にある正極活物質(例えば、コバルト酸化物:CoO)の構造中に入る。そして正極活物質の表面で、外部回路を輸送されてきた電子を得て、正極活物質(リチウムコバルト複合酸化物:LiCoO)を形成する。
ここで、正極活物質は、一般に負極活物質として多用されている黒鉛等と比べて電導性に劣り、そのため正極活物質層において導電材の存在は欠かせないものとなっている。ここに開示される正極においては、この導電材とは別に、かかる正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設することで、所定の電圧が発生している際の正極活物質の表面の電導性を高め、この正極が電池に用いられた際の正極活物質表面における反応性を高め得るようにしている。
なお、正孔輸送材は、正孔(ホール)との親和性が高く、所定の電界のもとで正孔を受け取って移動させるホール輸送性を有する材料である。ここで、ホール輸送性とは、例えばホール移動度が電子移動度よりも50倍以上大きいか、あるいは、Time
of Flight法(TOF法)でホール移動度のみが測定され、電子移動度が測定されない特性として考慮することができる。なお、TOF法とは、試料の表面にパルス光を照射した際に発生するキャリアが、試料内を移動することによって生じる電流を測定することで、電子移動度またはホール移動度を測定する手法である。
ここに開示される正極の好ましい一態様において、上記正極活物質の表面の少なくとも一部は、上記正孔輸送材により被覆されていることを特徴とする。正極活物質の表面における正孔輸送剤の配設形態としては、正孔受け取り性(電子供与性)を高めるために、正極活物質と正孔輸送材との接触面積が多い方が好ましい。したがって、正極活物質は単に正孔輸送材が隣接して配置されているだけよりも、正孔輸送材に被覆されているのが好ましい。これにより、正極活物質の表面の電導性がより高められ、反応性の高い正極が実現される。
ここに開示される正極の好ましい一態様において、上記正極活物質は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含むリチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする。ニッケル、コバルトおよびマンガンを含むリチウム遷移金属複合酸化物は、いわゆる三元系の正極活物質であり、例えばリチウム二次電池の正極活物質としては放電容量が大きいものの、比較的電導性(電子伝導性)が低い材料である。そこで、かかる三元系の正極活物質の表面に電導性を付与することで、高容量かつ電導性の高い正極を実現することができる。
ここに開示される正極の好ましい一態様において、上記正孔輸送材が上記正極活物質層に占める割合は、固形分質量割合で、0.01質量%〜1.0質量%であることを特徴としている。正極における正孔輸送材は、上記のとおり、所定の電圧発生時には正極活物質の表面の電導性を高めるものであるが、この正極を備える電池の通常の使用時においては、電池の内部抵抗を高めるものとなり得る。したがって、多すぎる正孔輸送材の含有は好ましいものではない。かかる正極は、正孔輸送材の割合を上記の範囲とすることで、正極活物質の表面の電導性と電池の内部抵抗をバランスよく具備するものとなり得る。
ここに開示される正極の好ましい一態様において、上記正孔輸送材は、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)―N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上であることを特徴とする。これらは正孔輸送材として汎用されている材料であって、正極活物質の表面の電導性を好適に高めることができるために好ましい。特に、TPDおよびポリビニルカルバゾール(PVCz)は、イオン化エネルギーや電子親和力の観点から正孔輸送材として好ましいものとなり得る。したがって、例えば過充電時には、正極活物質へのホール注入がよりスムーズに行われるよう促進し、効率的にガス発生添加剤を酸化分解することができるために好ましい。
本発明が他の側面で提供する非水電解質二次電池は、正極、負極および非水電解質を備える二次電池であって、上記正極として、上記のいずれかに記載された正極を備えることを特徴とする。かかる構成によると、上記の正極は、正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材が配設されている。そのため、この非水電解質二次電池において正孔輸送材がホール輸送性を発現し得る所定の電圧が発生している際には、正極活物質の表面の電導性を高め、この正極が電池に用いられた際の正極活物質と電解質イオンとの反応性を高め得るようにしている。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい一態様において、電池内の内圧に応じて上記正極および上記負極の間の導電経路を遮断し得る電流遮断機構(CID)をさらに備え、上記非水電解質は、正極において酸化分解されることでガスを発生させる機能を有するガス発生添加剤を含み、上記ガス発生添加剤により発生されるガスにより電池内の内圧が高められて、上記電流遮断機構が上記導電経路を遮断し得ることを特徴とする。かかる構成によると、例えば、この非水電解質二次電池が過充電の状態となった場合には、正極活物質とガス発生添加剤との界面でガス発生添加剤への電子付与性が高められ、ガス発生添加剤をより速やかに酸化分解することが可能とされる。これにより、電池の内圧を高めるに十分な量のガスを発生させることが可能とされる。延いては、過充電時に電池内の圧力を迅速に高めることができ、CIDをより早い段階で作動させることができ、より安全性と信頼性の高い非水電解質二次電池を実現することが可能とされる。
ここに開示される発明が提供する正極の製造方法は、正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を備える正極の製造方法である。かかる製造方法は、上記正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設する工程、上記正孔輸送材が配設された正極活物質層、導電材およびバインダを溶媒と共に混合して正極活物質層形成用組成物(以下、単に正極ペーストという場合もある。)を用意する工程、および、上記正極活物質層形成用組成物を上記正極集電体上に供給して上記正極活物質層を形成する工程、を包含する。
かかる製造方法によると、正孔輸送材はまず正極活物質の表面の少なくとも一部に配設された後、正極ペースト中に配合される。したがって、正極活物質層の表面の少なくとも一部に正孔輸送材が配設された正極を提供することができる。すなわち、正孔輸送材のホール輸送性によって正極活物質の表面の導電性が高められた正極を提供することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記正孔輸送材の配設は、上記正極活物質を流動させた状態で、上記正孔輸送材を含む溶液を噴霧し、上記正極活物質の表面の少なくとも一部に上記溶液の微小液滴が付着した状態で乾燥させ、上記正極活物質の表面の少なくとも一部を上記正孔輸送材で被覆することにより行うことを特徴とする。正極活物質に対する正孔輸送材の配設は、両者の密着性を高めることで、正孔輸送材のホール輸送特性を効果的に発現させることができる。そのため、例えば、正孔輸送材を溶液化して正極活物質層の表面に付着させることで、正極活物質の表面に正孔輸送材をより密着性良く配設できるために好ましい。これにより、少量の正孔輸送材でより効果的に正極活物質の導電性を高めることが可能となる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記正孔輸送材を上記正極活物質と混合することで上記正極活物質の表面の少なくとも一部に配設することを特徴とする。かかる方法によっても、正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設することができる。これにより、所定の電圧印加時に導電性および反応性が高められた正極を好適に製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記正極活物質としてニッケル、コバルトおよびマンガンを含むリチウム遷移金属複合酸化物を用いることを特徴としている。かかるリチウム遷移金属複合酸化物は、いわゆる三元系の正極活物質であり、例えばリチウム二次電池の正極活物質としては放電容量が大きいものの、比較的電導性(電子伝導性)が低い材料である。そこで、正極活物質としてかかる三元系のリチウム遷移金属複合酸化物を用い、この表面に電導性を付与することで、高容量かつ電導性の高い正極を製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記溶媒として水系溶媒を用い、上記バインダとして水溶性または水分散性のバインダを用いることで、正極活物質層形成用組成物を用意することを特徴としている。上記の正孔輸送材料は、非水系溶媒の典型である有機溶媒に対して溶解性を有するものが多い。したがって、正極ペーストの調製において有機系溶媒を用いると、正極活物質の表面に配設した正孔輸送材料がこの溶媒中に溶解し、ペースト中に分散してしまう。そのため、有機溶媒の使用は不可能ではないものの、溶媒として正孔輸送材料を溶解しない水系溶媒を用いることが望ましい。これにより、ここに開示される正極をより好適に製造することができる。
ここに開示される製造方法の好ましい一態様においては、上記正極活物質層に占める上記正孔輸送材の割合が、固形分質量で、0.01質量%〜1.0質量%となるように配合することを特徴としている。ここに開示された正極における正孔輸送材は、上記のとおり、所定の電圧発生時には正極活物質の表面の電導性を高めるものとなり得るが、この正極を備える電池の通常の使用時等においては、電池の内部抵抗を高めるものともなり得る。したがって、多すぎる正孔輸送材の含有は好ましくない。かかる製造方法によると、正孔輸送材の割合を上記の範囲とすることで、電池の内部抵抗を低く抑えたまま正極活物質の表面の電導性を備えることが可能となる。
一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す斜視図である。 図1中のII−II線に沿う縦断面図である。 一実施形態に係る正極の製造方法のフローチャートである。 一実施形態に係る非水電解質二次電池を備えた車両を例示した側面図である。 正孔輸送材料の添加量と電池抵抗との関係の一例を示す図である。 正孔輸送材料の添加量と過充電時のガス発生量との関係の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「二次電池」とは、リチウム二次電池、ニッケル水素電池等の繰り返し充電可能な蓄電デバイス一般をいう。また、本明細書において「リチウム二次電池」とは、リチウムイオンを電荷担体とし繰り返し充電可能な電池一般をいい、典型的にはリチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等を包含する。
また、本明細書における「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置により測定された粒度分布における、体積基準の積算値50%での粒径(50%体積平均粒子径)を意味するものとする。
本発明が提供する正極は、正極活物質と導電材とバインダとを含む正極活物質層を備えている。正極活物質は、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的にはインターカレートおよびディカレート)可能としている。導電材は、正極活物質間の導電性を確保し、正極活物質層における導電経路を形成している。また、典型的には、この正極活物質層と、正極活物質層を保持している正極集電体との間の導電性をも確保している。バインダは、正極活物質と導電材とを結着する役割を担い、また正極活物質層と正極集電体とを結着する役割をも有している。
そこで、ここに開示される正極においては、正極活物質の表面の少なくとも一部に、正孔輸送材が隣接して配置されていることを特徴としている。正孔輸送材は、上記のとおり、所定の電圧下において正極活物質に正孔を輸送し注入する機能を有している。換言すると、正極活物質から電子を引き抜き、電子の移動性を改善する。すなわち、正極表面のキャリアが増加するため電導度等の電気特性が高められ得る。そのため、正極活物質の表面を反応場とする各種の反応において電子供与性が高まり、かかる反応を円滑に促進することができる。
例えば、正孔輸送材の正孔輸送能が発現され、かつ、電解質に添加されるガス発生添加剤の酸化分解反応の始まる電圧が発生するような過充電時においては、以下のように反応性が高められる。すなわち、例えば、具体的には、(1)正極活物質と正孔輸送材の界面では、正孔輸送材により正極活物質からの電子引き抜き性が高められ、(2)正孔輸送材とガス発生添加剤との界面では、正孔輸送材からガス発生添加剤への電子付与性が高められ、全体としてガス発生添加剤をより速やかに酸化分解することが可能とされる。これにより、例えばこの正極と対となる負極においては、多量のガスを発生させることができる。
かかる構成によると、例えば、電子伝導性の低い正極活物質を用いて正極を作製してCIDを備える二次電池に用いる場合であっても、過充電時にはCIDを作動させるに必要な所定の量のガスを発生させることが可能となる。したがって、例えば、電解質中のガス発生添加剤の添加量を増やしたり、CIDを作動させる内圧を所定の圧力よりも低く設定し直す等の、各種の設計を変更する必要はない。
なお、正孔輸送材は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等に用いられ得る材料であって、近年更に各種の材料が研究・開発されてきており、かかる正孔輸送能を発現するに必要な電圧も数V程度と低いものであり得る。したがって、ここに開示される正極は、所望の電圧域で正孔輸送特性が得られるよう正孔輸送材を適宜選択して用いることで、所望の電池において進行する電極反応を促進すること等が可能とされ得る。
以下、かかる正極について、その構成および製造方法を、一実施形態としてのリチウム二次電池用の正極の場合を例にしてより詳しく説明する。なお、ここに開示される技術がこの実施形態に限定されないことは言うまでもない。すなわち、ここに開示される正極の構成材料、用途、形状、製造手法、製造装置等は特に限定されない。
ここに開示される正極の製造方法は、図3のフローチャートに例示したように、本質的に以下の工程を含んでいる。
(S10)正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設する工程
(S20)正孔輸送材が配設された正極活物質層、導電材およびバインダを溶媒と共に混合して、典型的にはペースト状(スラリー状)に調製された正極活物質層形成用組成物(以下、単に正極ペーストという場合もある。)を用意する工程
(S30)正極活物質層形成用組成物を正極集電体上に供給して正極活物質層を形成する工程
[正孔輸送材の配設工程:S10]
ステップS10においては、正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設する。
正極活物質としては、所望の電池に使用し得る任意の正極活物質であってよい(以下、同様である)。本実施形態では、従来のリチウム二次電池に用いられている正極活物質の一種または二種以上を特に制限なく用いることができる。このような正極活物質としては、典型的には粒子状のリチウム遷移金属酸化物が好適に用いられ、層状構造の酸化物あるいはスピネル構造の酸化物等を適宜選択して使用することができる。例えば、リチウムニッケル系酸化物(代表的には、LiNiO)、リチウムコバルト系酸化物(代表的には、LiCoO)およびリチウムマンガン系酸化物(代表的には、LiMn)から選択される一種または二種以上のリチウム遷移金属酸化物を使用することができる。
ここで、例えば「リチウムニッケル系酸化物」とは、LiとNiとを構成金属元素とする酸化物の他、LiおよびNi以外に他の一種または二種以上の金属元素(すなわち、LiおよびNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を原子数でNiと同程度またはNiよりも少ない割合で含む複合酸化物をも包含する意味である。なお、LiおよびNi以外の金属元素を二種以上含む場合には、それらのいずれもがNiよりも少ない割合となるようにする。かかる金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の元素であり得る。
また、その他、例えば、一般式:
Li(LiMnCoNi)O
(式中のa、x、y、zはa+x+y+z≒1かつxyz≠0を満たす。)
等で表わされる、遷移金属元素を3種含むいわゆる三元系のリチウム遷移金属酸化物や、一般式:
xLi[Li1/3Mn2/3]O・(1−x)LiMeO
(式中、Meは1種または2種以上の遷移金属であり、xは0<x<1を満たす。)
等いわゆる固溶型のリチウム過剰遷移金属酸化物等であってもよい。これら、三元系の正極活物質やリチウム過剰型の正極活物質は、リチウム二次電池の正極活物質としては放電容量が大きく、また比較的粒子表面の導電性に乏しいため、本発明の構成を効果的に適用できる点で好ましい。
さらに、上記正極活物質として一般式がLiMAO(ここでMは、Fe,Co,NiおよびMnから成る群から選択される少なくとも1種の金属元素であり、Aは、P,Si,SおよびVから成る群から選択される元素である。)で表記されるポリアニオン型化合物も挙げられる。
このような正極活物質を構成する化合物は、例えば、公知の方法で調製して用意することができる。例えば、目的の正極活物質の組成に応じて適宜選択されるいくつかの原料化合物を所定の割合で混合し、その混合物を適切な手段によって焼成する。これにより、正極活物質を構成する化合物としての酸化物を調製することができる。なお、正極活物質(典型的には、リチウム遷移金属酸化物)の調製方法は、それ自体は何ら本発明を特徴づけるものではない。
また、正極活物質の形状等について厳密な制限はないものの、上記のとおり調製された正極活物質は、適切な手段で粉砕、造粒および分級することができる。例えば、平均粒径がおよそ1μm〜25μm(典型的にはおよそ2μm〜15μm)の範囲にある二次粒子によって実質的に構成されたリチウム遷移金属酸化物粉末を、ここに開示される技術における正極活物質として好ましく採用することができる。
正孔輸送材としては、所定の電界を印加した際に、すなわち所定の電圧で、正孔輸送能を発現する各種の材料の一種または二種以上を特に制限なく用いることができる。例えば、有機EL素子等に用いられている各種の正孔輸送材を用いることができる。このような正孔輸送材としては、例えば、駆動電圧の観点から、イオン化エネルギーが6.5eV以下程度で、5eV以上程度であることが好ましく、6.2eV以下であることがより好ましく、更には6.0eV以下であることが好ましい。また、電子親和力については、1.2eV以上3.0eV以下、より限定的には1.4eV以上、例えば1.5eV以上であることが好ましい。また、例えば、所定の電圧下でp型半導体特性を示す材料等であっても良い。
このような正孔輸送材としては、具体的には、例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマチオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及びそれらの誘導体等が挙げられる。なかでも、以下の材料を挙げることができる。中でも、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)―N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリアニリンおよびポリピロール等が好ましい。TPDを主鎖や側鎖に組み込んだ高分子化合物からなる正孔輸送材であってもよい。
正孔輸送材を正極活物質の表面に配設する手法についても特に限定されないが、正孔輸送材による正孔輸送能をより効果的に得るためには、正孔輸送材と正極活物質とが良好な接触界面を形成していることが好ましい。かかる界面は、例えばバインダ等を介することなく、両者が直接接触していることが望ましい。したがって、例えば、具体的には、粒子状の正孔輸送材を用意し、これを正極活物質と混合(粉混ぜ)することで、正孔輸送材を正極活物質の表面の少なくとも一部に配設するのが好ましい。かかる正孔輸送材の平均粒径は、例えば、正極活物質の平均粒径の1/20〜1/10程度の大きさを目安として用意するのが好適である。例えば、平均粒径が、0.1μm〜1μm程度の正孔輸送材を用いることが好ましい例として示される。
上記の手法以外にも、例えば、噴霧により正孔輸送材を正極活物質の表面に付着させる手法も好適である。具体的には、例えば、予め正孔輸送材を有機溶剤等に溶解または分散させて正孔輸送材を含む溶液を用意する。そしてこの溶液を噴霧することで、正孔輸送材を所定の大きさの微小液滴とする。このとき、正極活物質を流動させておき、微小液滴状の正孔輸送材を付着させて乾燥させることで、正極活物質の表面の少なくとも一部を正孔輸送材で被覆することができる。正孔輸送材を液体の状態で配設することで、正極活物質と正孔輸送材とを密着性良く付着させることができる。これにより、正孔輸送材のホール輸送特性をより効果的に発現させることができる。
なお、かかる噴霧による正孔輸送材の配設は、例えば、スプレードライ法と流動層システムとを一体とした造粒装置等を利用することで簡便に実施することができる。スプレードライ法は、液体または液体と固体との混合物(スラリーの状態であり得る。)を気体中に噴霧して急速に乾燥させ、粉体を製造する手法である。液体またはスラリーを噴霧する際にアトマイザーまたはスプレーノズル等を使用することにより、平均粒径の制御された液滴および粉体を得ることができる。また液滴の乾燥には、空気や窒素ガス等を典型的には熱気流として吹き付けることで乾燥させることができる。正極活物質の流動は、例えば、撹拌、転動、垂直方向での流動層形成等により実施することができる。
[正極ペーストを用意する工程:S20]
ステップS20においては、ステップS10で用意した正孔輸送材が配設された正極活物質層と導電材およびバインダを溶媒と共に混合して、ペースト状の正極活物質層形成用組成物(正極ペースト)を用意する。本発明においてペースト状とは、スラリー状、インク状等の形態をも含み得る。
導電材としては、特定のものに限定されることはなく、例えば、従来よりこの種のリチウム二次電池で用いられている各種の導電材を用いることができる。具体的には、例えば、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料が導電材として用いられ得る。カーボン粉末としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、グラファイト粉末等のカーボン粉末などを用いることができる。これらは、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。導電材は、例えば、構成粒子(典型的には、二次粒子)の平均粒径が凡そ100nm〜2000nm、例えばおよそ200nm〜1000nmの範囲にある粒状の導電材を使用するのが好ましい。
バインダとしては、正極ペーストの調製に使用する溶媒に、溶解または分散が可能なポリマーを用いることができる。かかる溶媒としては、有機溶媒等の溶剤系溶媒を用いることも可能であるが、上記の正極活物質に配設した正孔輸送材を溶解してしまうものの使用は好ましくない。このことから、溶媒としては、水系溶媒を用いるのが好ましい。したがって、好適なバインダとしては、例えば、水に溶解する(水溶性の)ポリマー材料として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース系ポリマー;ポリビニルアルコール(PVA);等が例示される。また、水に分散する(水分散性の)ポリマー材料として、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のビニル系重合体;ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)等のフッ素系樹脂;酢酸ビニル共重合体;スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類等が例示される。
なお、溶媒として非水溶媒を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリルニトリル(PAN)等のポリマーを用いることができる。
以上の正極活物質層を構成する材料を溶媒と混合して正極ペーストを調製する。
溶媒としては、上記のとおり、水系の溶媒を用いるのが好ましい。水系溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒からなる組成物とすることができる。混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。なお、非水溶媒を用いる場合は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を、正孔輸送材の溶解、剥離等が生じない範囲で用いることができる。
なお、上記のバインダとして例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、正極ペーストの増粘剤等の添加剤としての機能を発揮する目的で使用することもあり得る。さらに、上記の正極活物質層を構成する材料の他に、必要に応じて分散剤、増粘剤等の各種の添加剤等を添加してもよい。
混合の手段は特に制限されず、正極ペーストの調製に従来より用いられる一般的な混練機を用いることができる。例えば、ニーダー、撹拌機、分散機、混合機等と呼ばれるペーストの調製が可能な装置等を使用できる。ただし、これらの装置においても、正極活物質層を構成する材料に強いせん断力が作用する条件での混合は、正孔輸送材の剥離につながるために好ましくない。
正極ペーストの調製において、正極活物質は、正極活物質層の全体に占める割合を固形分重量でおよそ50質量%以上、典型的には50〜98質量%程度とすることが好ましく、およそ60〜90質量%程度とするのがより好ましい。
正孔輸送材は、正極活物質層に占める割合を固形分質量で0.01質量%〜1.0質量%となるように配合されるのが好ましい。正孔輸送材は、ごく少量の添加でも正極活物質の表面の電気的特性を改善し、例えば過充電時のガス発生量を十分に増量させることができるが、その割合が0.01質量%未満であると十分な効果が得られない場合があるために好ましくない。また、正孔輸送材は、正極活物質層に占める割合が1.0質量%よりも多すぎると電池の内部抵抗を高めてしまうために好ましくない。正孔輸送材の割合は、好ましくは、0.01質量%〜0.9質量%であり、より好ましくは、0.01質量%〜0.8質量%である。これにより、電池の内部抵抗を低く抑えたまま正極活物質の表面の電導性の改善およびガス発生量の増量を達成することが可能となる。なお、かかる割合は、正極活物質を100質量%としたときに0.01質量%〜1.2質量%程度の割合として把握することができる。
導電材は、正極活物質層に占める割合を固形分質量でおよそ3〜25質量%とすることができ、およそ3〜15質量%とすることが好ましい。
[正極活物質層の形成工程:S30]
ステップS30においては、上記で調製した正極ペーストを正極集電体上に供給して正極活物質層を形成する。
正極集電体としては、従来のリチウム二次電池の正極に用いられる集電体と同様の、導電性の良好な金属およびその合金等を用いることができる。例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、鉄等を主成分とする金属またはその合金等をであり、より好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウム合金である。正極集電体の形状は、所望の目的に応じて様々な形態を考慮することができる。例えば、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等であり得る。例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシートを好適に用いることができる。
正極集電体の表面への正極ペーストの塗布については、公知の各種の塗工装置等を用いて行うことができる。例えば、コーターを用いて、集電体の片面または両面にペーストを塗布することができる。コーターとしては、ペーストを集電体に塗布可能なものであればよく、例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーターや、ドクターブレードによるコーター、コンマコーター等を使用して好適に行うことができる。正極ペーストの塗布は、正極集電体の両面に行ってもよいし、いずれか一方の片面に行ってもよい。正極ペーストの塗布量は特に限定されず、目的とする電極特性等に応じて任意に設定することができる。一般的には、塗布量が少なすぎると過充電時に電流を低減または遮断する効果が得られにくくなり、塗布量が多すぎると正極のシート抵抗が大きくなる傾向がある。したがって、例えば、3〜50mg/cm程度の範囲内で適宜に設定することができる。
次いで、正極集電体に塗布された正極ペーストを乾燥させて、正極集電体上に正極活物質層を形成する。乾燥は、溶媒等の余分な成分を除去できるものであれば特に限定されず、必要に応じて適切な手段を採用することができる。典型的には、例えば、熱風装置、各種赤外線装置、電磁誘導装置、マイクロ波装置等の適当な乾燥装置や送風機等の乾燥促進手段を用いることができる。乾燥の後は、必要に応じて全体をプレスしたり、所望の大きさに裁断したりすることによって、目的とする厚み、空隙率および寸法の正極とすることができる。プレス(圧縮)方法としては、例えば、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。正極活物質層の厚さを調整するにあたり、膜厚測定器で厚みを測定し、プレス圧を調整して所望の厚さになるまで複数回圧縮してもよい。これによって、ここに開示される正極を製造することができる。
以下、適宜図面を参照しつつ、ここに開示される非水電解質二次電池の好適な一実施形態としてのリチウム二次電池について説明する。この実施形態では、角型形状のリチウム二次電池について説明しているが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。かかるリチウム二次電池は、上記のとおりの特徴的な正極を用いること以外は特に制限されない。また、リチウム二次電池の構成について特に言及する以外の事項については、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
図1はリチウム二次電池10の外観を示し、図2は図1のII−II断面図である。このリチウム二次電池10は、正極30、負極50およびセパレータ70を備える捲回電極体20と、図示しないガス発生添加剤を含む非水電解質とが、電池ケース80に収容されて構成されている。非水電解質の少なくとも一部は電極体20に含浸されている。
正極30は、上記のここに開示される正極により構成される。かかる正極30には正極活物質を含む正極活物質層34が備えられているが、この正極活物質は表面の少なくとも一部に正孔輸送材を備えることで特徴づけられている。
負極50は、従来公知のリチウム二次電池等に用いられるのと同様の負極であってよい。具体的には、負極50は、負極活物質と、必要に応じて導電材と、バインダとを含む負極活物質層54を備えている。負極活物質は、電荷担体となる化学種(例えば、リチウム二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的にはインターカレートおよびディカレート)可能としている。導電材は、負極活物質間および負極活物質層54と負極集電体の間の導電性を確保する目的で、必要に応じて添加される。バインダは、これら負極活物質と導電材とを結着する役割を担い、また負極活物質層54と負極集電体52とを結着する役割をも有する。
負極集電体52としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。負極集電体52の形状は、リチウム二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態では、シート状の銅製の負極集電体52を用いている。例えば、厚みが5μm〜30μm程度の銅製シートを好適に用いることができる。
負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、好適な負極活物質としてカーボン粒子が挙げられる。カーボン粒子としては、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料であって、いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、およびこれらを非晶質カーボンで被覆する等して組み合わせた構造を有するもの等、いずれの炭素材料も好適に使用され得る。また、炭素材料以外にも、例えば、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物、好ましくは金属酸化物等を用いることができる。例えば、具体的には、LTO(チタン酸リチウム)等である。なお、電子伝導性に乏しい負極活物質については、例えば、炭素被膜を設けて金属化合物の表面の少なくとも一部を被覆したり、負極活物質層54に導電材料を含ませるなどして、導電性を具備するようにしてもよい。炭素被膜を設ける場合は、負極活物質層54に導電材を含有させなくてもよいし、従来よりも導電材の含有率を低減させてもよい。このような負極活物質の付加的な態様や、粒径等の形態は、所望の特性に応じて適宜に選択することができる。
負極活物質層54を形成するに当たって用いる導電材、バインダおよび溶媒については、正極活物質層34の形成に用いるのと同様の物から適宜選択して使用することができる。負極活物質層54の形成にあたり、バインダおよび溶媒は、水系または溶剤系の何れをも使用することができる。環境負荷を考慮すると、水系(水溶性または水分散性)のバインダおよび水系の溶媒を用いるのが好ましい。特に限定するものではないが、負極活物質層54に占める負極活物質の割合は、およそ50質量%以上であることが好ましく、例えばおよそ85〜99質量%、さらには90〜97質量%であることがより好ましい。また、負極活物質層に占めるバインダの割合は、例えば1〜15質量%とすることができ、通常はおよそ3〜10質量%とするのが好ましい。
上記の材料を混合してペースト状の負極活物質層形成用組成物(以下、単に負極ペーストという。)を負極集電体52に塗布し、溶媒を揮発させて乾燥させた後、適宜圧縮(プレス)および裁断等を行うことで負極50を得ることができる。なお、塗布、乾燥および圧縮等の方法は、上述の正極30の製造方法と同様に従来公知の手法を利用して実施することができる。
セパレータ70としては、従来と同様のセパレータを使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。かかる多孔性シートの構成材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。特に、PEシート、PPシート、PE層とPP層とが積層された二層構造シート、二層のPP層の間に一層のPE層が挟まれた態様の三層構造シート等の多孔質ポリオレフィンシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質もしくはゲル状電解質を使用する場合には、電解質自体がセパレータとして機能し得るため、セパレータ70が不要な場合があり得る。
これら正極30、負極50およびセパレータ70は、いずれも長尺シート状に形成されており、正極30および負極50間に二枚のセパレータ70が介在するように積層して捲回することで、電極体20が形成されている。なお、正極30において、正極集電体32の長手方向に沿う一方の縁には、正極活物質層34が設けられずに集電体32が露出した未塗工部33が設けられている。この未塗工部33は、正極リード端子36を介して蓋体82の正極端子39に電気的に接続されている。同様に、負極50において、負極集電体52の長手方向に沿う一方の縁には、負極活物質層54が設けられずに集電体52が露出した未塗工部53が設けられている。この未塗工部53は、負極リード端子56を介して蓋体82の負極端子59に電気的に接続されている。
非水電解質は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒(非水溶媒)中に含んだものである。常温で液状の非水電解質(すなわち電解液)を好ましく使用し得る。リチウム塩としては、例えば、従来からリチウム二次電池の非水電解質の支持塩として用いられている公知のリチウム塩を、適宜選択して使用することができる。例えば、かかるリチウム塩として、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。上記非水電解質は、例えば、上記支持塩の濃度が0.7〜1.6mol/Lの範囲内となるように調製することが好ましい。非水溶媒としては、一般的なリチウム二次電池に用いられる有機溶媒を適宜選択して使用することができる。特に好ましい非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。
そしてかかる非水電解質は、ガス発生添加剤を含んでいる。ガス発生添加剤としては、酸化電位がリチウム二次電池の稼動電圧以上(例えば、4.2Vで満充電となるリチウム二次電池の場合は、4.2V以上)であって、酸化されると大量のガスを発生するような化合物であれば特に限定なく用いることができる。酸化電位が電池の稼動電圧と近接していると通常の稼動電圧においても局所的な電圧上昇等で徐々に分解するおそれがある一方、分解電圧が4.9V以上になると、添加剤の酸化分解によるガス発生の前に、非水電解質の主成分及び電極材料の反応により熱暴走を生じるおそれがある。従って、4.2Vで満充電状態となるリチウム二次電池においては、酸化反応電位が4.4V以上4.9V以下の範囲のものが好ましく用いられる。より好ましくは、芳香族炭化水素化合物からなるガス発生添加剤である。このようなものとして、例えば、ビフェニル化合物、シクロアルキルベンゼン化合物、アルキルベンゼン化合物、有機リン化合物、フッ素原子置換芳香族化合物、カーボネート化合物、環状カルバメート化合物、脂環式炭化水素等が挙げられる。より具体的には、ビフェニル(BP)、アルキルビフェニル、ターフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロビフェニル、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、trans−ブチルシクロヘキシルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミノベンゼン、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、フェニルフルオライド、4−フルオロフェニルアセテート、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、ビスターシャリーブチルフェニルカーボネート、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等が挙げられる。特に、シクロヘキシルベンゼン(CHB)、シクロヘキシルベンゼン誘導体およびビフェニル(BP)が例示される。使用する非水電解質100質量%に対するガス発生添加剤の使用量は、例えばおよそ0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%程度とすることができる。
電池ケース80は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体84と、その開口部を塞ぐ蓋体82とを備える。電池ケース80を構成する材質としては、アルミニウム、スチール等の金属材料が好ましく用いられる。本実施形態ではアルミニウムを用いているが、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を成形してなる電池ケース80であってもよい。電池ケース80の上面、すなわち蓋体82には、捲回電極体20の正極30と電気的に接続する正極端子39と、該電極体20の負極50と電気的に接続する負極端子59とが設けられている。これら電極端子39,59の間には、典型的には、電解質を注入する注液口86と、電池ケースの内圧を開放する安全弁88とが設けられている。
また、電池ケース80の内部には、電池ケース80の内圧上昇により作動する電流遮断機構60が設けられている。電流遮断機構60は、電池ケース80の内圧がガス発生添加剤に起因するガス発生により上昇した場合に、少なくとも一方の電極端子39,59から電極体20に至る導電経路を切断することで、充電電流を遮断し得るように構成されている。この実施形態では、電流遮断機構60は、蓋体82に固定した正極端子39と電極体20との間に設けられ、電池ケース80の内圧が上昇した場合に正極端子39から電極体20に至る導電経路を切断するように構成されている。
上記電流遮断機構60は、第一部材62と第二部材64とからなる導通部材を含んでいる。そして、電池ケース80の内圧が上昇した場合に第一部材62および第二部材64の少なくとも一方(ここでは第一部材62)が変形して他方から離隔することにより、上記導電経路を切断するように構成されている。この実施形態では、第一部材62は変形金属板62であり、第二部材64は接合点66において上記変形金属板62に接合された接続金属板64である。変形金属板(第一部材)62は、中央部分が下方へ湾曲したアーチ形状を有し、その周縁部分が集電リード端子65を介して正極端子60の下面と接続されている。また、変形金属板62の湾曲部分63の先端が接続金属板64の上面と接合されている。接続金属板64の下面(裏面)には正極リード端子36が接合され、かかる正極リード端子36が電極体20の正極30(正極集電体32)に接続されている。このようにして、正極端子39から電極体20に至る導電経路が形成されている。
また、電流遮断機構60は、プラスチック等により形成された絶縁ケース61を備えている。絶縁ケース61は、変形金属板62を囲むように設けられ、変形金属板62の上面を気密に密閉している。この気密に密閉された湾曲部分63の上面には、電池ケース80の内圧が作用しない。また、絶縁ケース61は、変形金属板62の湾曲部分63を嵌入する開口部を有しており、該開口部から湾曲部分63の下面を電池ケース80の内部に露出させている。この電池ケース80の内部に露出した湾曲部分63の下面には、電池ケース80の内圧が作用する。
かかる構成の電流遮断機構60において、電池ケース80の内圧が高まると、該内圧が変形金属板62の湾曲部分63の下面に作用し、下方へ湾曲した湾曲部分63が上方へ押し上げられる。この湾曲部分63の上方への押し上げ力は、電池ケース80の内圧が上昇するに従い増大する。そして、電池ケース80の内圧が設定圧力を超えると、湾曲部分63が上下反転し、上方へ湾曲するように変形する。かかる湾曲部分63の変形によって、変形金属板62と接続金属板64との接合点66が切断される。このことにより、正極端子39から電極体20に至る導電経路が切断され、充電電流が遮断されるようになっている。なお、この実施形態では、内圧上昇時に変形する導通部材62、64が、第一部材62と第二部材64とに分けて構成されている場合を例示したが、これに限定されない。例えば、導通部材が1つの部材であってもよい。また、電流遮断機構60は正極端子39側に限らず、負極端子59側に設けてもよい。また、電流遮断機構60は、上述した変形金属板62の変形を伴う機械的な切断に限定されない。例えば、電池ケース80の内圧をセンサで検知し、該センサで検知した内圧が設定圧力を超えると充電電流を遮断するような外部回路を電流遮断機構として設けることもできる。
本実施形態に係る正極30は、上記のとおり正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材が配設されており、例えば電池10が過充電の状態においては、正極活物質の表面の反応性が高められ、ガス発生添加剤の酸化分解を迅速に進行させ得る。これに伴い負極50では速やかに多量のガスが発生され、電池ケース80の内圧は設定圧力を超える圧力にまで急速に上昇し得る。したがって、かかるリチウム二次電池10は、過充電に陥ると電流遮断機構60が早期に作動して充電電流を遮断し、より安全な状態で電極反応を停止し得るものとなる。
このようなリチウム二次電池10は、各種用途向けの二次電池として利用可能であり、例えば図4に示したように、特に高い安全性と信頼性が求められる自動車等の車両1の駆動用電源(車両駆動用モータの電源)として好適に利用することができる。かかるリチウム二次電池10が搭載される車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等であり得る。かかるリチウム二次電池10は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池100の形態で使用されてもよい。
ここに開示される非水電解質二次電池の好ましい一態様において、電池内の内圧に応じて上記正極および上記負極の間の導電経路を遮断し得る電流遮断機構(CID)をさらに備え、上記非水電解質は、正極において酸化分解されることでガスを発生させる機能を有するガス発生添加剤を含み、上記ガス発生添加剤により発生されるガスにより電池内の内圧が高められて、上記電流遮断機構が上記導電経路を遮断し得ることを特徴とする。かかる構成によると、例えば、この非水電解質二次電池が過充電の状態となった場合には、正極活物質とガス発生添加剤との界面でガス発生添加剤への電子付与性が高められ、ガス発生添加剤をより速やかに酸化分解することが可能とされる。これにより、電池の内圧を高めるに十分な量のガスを発生させることが可能とされる。延いては、過充電時に電池内の圧力を迅速に高めることができ、CIDをより早い段階で作動させることができ、より安全性と信頼性の高い非水電解質二次電池を実現することが可能とされる。
したがって、例えばかかる構成を高エネルギー密度等の特性を備えるリチウム二次電池等に適用することで、その二次電池は、本来有する特性に加えて更に安全性および信頼性を兼ね備えたものとなり得る。かかる安全性を備える非水電解質二次電池は、例えば、自動車等の車両に搭載される車両駆動用モータ(電動機)の電源として好適に利用することができる。そこで本発明は、上記の非水電解質二次電池を駆動用電源として備える車両をも提供することができる。かかる車両の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等であり得る。ここで非水電解質二次電池は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下に実施例を示し、本発明についてさらに説明する。ただし、本発明がこれらの例に限定されないことは言うまでもない。
[正極活物質の調製1]
正孔輸送材として(a)TPDと(b)PCVzを用い、これを溶剤としてのトルエン100gに対して正孔輸送材が5gとなる割合で混合、溶解させて正孔輸送材溶液とした。この正孔輸送材溶液を、スプレードライ法により微小な液滴として、一般式LiNi1/3Co1/3Mn1/3で表わされる組成のリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に吹付けた後、150℃のNガス気流により乾燥させて、正孔輸送材を備える粒子状の正極活物質とした。この正極活物質粒子において、リチウム遷移金属複合酸化物と正孔輸送材との割合は、質量比で、下記に示す表1の割合とした。
[正極活物質の調製2]
正孔輸送材として(a)平均粒径が0.2μmのTPDと(b)平均粒径が0.5μmのPCVzを用い、これを一般式LiNi1/3Co1/3Mn1/3で表わされる組成のリチウム遷移金属複合酸化物からなる正極活物質と混合することで、リチウム遷移金属複合酸化物の表面に正孔輸送材を備えた粒子状の正極活物質を調製した。この正極活物質粒子において、リチウム遷移金属複合酸化物と正孔輸送材との割合は、質量比で、下記に示す表1の割合とした。
<サンプル1>
すなわち、サンプル1の正極活物質は、正孔輸送材を備えておらず、通常のリチウム遷移金属複合酸化物のみで構成されるものである。
<サンプル2>
サンプル2の正極活物質は、正孔輸送材として(a)TPDを0.1質量%の割合で備え、これをスプレードライ法によりリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
<サンプル3>
サンプル3の正極活物質は、正孔輸送材として(a)TPDを備え、スプレードライ法により正極活物質層全体に対する割合が0.5質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
<サンプル4>
サンプル4の正極活物質は、正孔輸送材として(a)TPDを備え、粒状の正極活物質と粉末状の正孔輸送材とを混ぜる(粉混ぜ)ことにより正極活物質層全体に対する割合が0.5質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
<サンプル5>
サンプル5の正極活物質は、正孔輸送材として(b)PCVzを備え、スプレードライ法により正極活物質層全体に対する割合が0.5質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
<サンプル6>
サンプル6の正極活物質は、正孔輸送材として(a)TPDを備え、スプレードライ法により正極活物質層全体に対する割合が1質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
<サンプル7>
サンプル7の正極活物質は、正孔輸送材として(a)TPDを備え、スプレードライ法により正極活物質層全体に対する割合が2質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである
<サンプル8>
サンプル8の正極活物質は、正孔輸送材として(b)PCVzを備え、粒状の正極活物質と粉末状の正孔輸送材とを混ぜる(粉混ぜ)ことにより正極活物質層全体に対する割合が2質量%となるようにリチウム遷移金属複合酸化物の表面に配設したものである。
[正極]
上記のとおり用意したサンプル1〜8の正極活物質と、導電材としてのアセチレンブラック、増粘剤としてのCMCと、バインダとしてのPTFEを、表1に示す割合で配合し、溶媒としてのイオン交換水を加えて混合することで、ペースト状の正極活物質層形成用の組成物(以下、単に正極ペーストともいう。)を得た。なお、正極ペーストは、いずれも正孔輸送材と導電材との合計量が固形分重量換算で6質量%となる配合である。この正極ペーストを、厚さ15μmの長尺なアルミニウム箔の両面に、目付量が両面の合計で30mg/cmとなるように塗付し、120℃の温度で乾燥させた後、正極活物質層の多孔度(正極活物質層に占める細孔体積の割合)が30%となるようにプレスすることで正極シートを作製した。
[負極]
負極活物質層としての黒鉛と、バインダとしてのSBRと、増粘剤としてのCMCとを、負極活物質:バインダ:増粘剤としたときの質量比が98:1:1となる割合で配合し、イオン交換水を加えて混合することで、ペースト状の負極活物質層形成用の組成物(以下、単に負極ペーストともいう。)を得た。この負極ペーストを、厚さ10μmの長尺な銅箔の両面に、上記の正極に対する対向容量比が1.4となるように塗付し、120℃の温度で乾燥させた後、プレスすることで正極シートを作製した。
[評価用セルの構築]
上記の正極と負極とを二枚の長尺状セパレータとともに積層し、その積層シートを長尺方向に捲回して捲回電極体を作製した。セパレータとしては、PP/PE/PPからなる三層構造の微多孔質シートを用いた。この電極体を外装ケースに収容した後、非水電解質を注液して、18650型(直径18mm、高さ65mm)のリチウム二次電池を構築した。非水電解質としては、ECおよびDECを3:7の体積比で混合した溶媒中に、リチウム源としての1.0MのLiPFと、ガス発生添加剤としての1質量%のCHBと1質量%のBPとを溶解させたものを用いた。
[コンディショニング]
上記のとおり構築した評価用セルに対し、次の手順1、2によってコンディショニングを行なった。
手順1:1Cの充電レートで4.1Vまで定電流充電した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電し、5分間休止する。
[SOC調整]
SOC(state of charge)調整は、以下の手順により行った。なお、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なった。
先ず、評価用セルが3.0Vになるまで1Cで定電流放電した後、3Vから1Cの充電レートで定電流充電を行い、所望の充電状態(例えば、定格容量の20%の充電状態(SOC20%))になるよう電圧調整する。その後、該電圧で2.5時間の定電圧充電を行う。これにより、評価用セルは、所定の充電状態に調整される。なお、上記は、SOCを20%に調整する場合について記載したが、充電状態を所望のSOC値に変更することによって、任意の充電状態に調整することができる。例えば、SOC100%に調整する場合には、手順1において、評価用セルを定格容量の100%の充電状態(SOC100%)にすればよい。
[内部抵抗の測定]
上記の手順に従い、各評価用セルをSOC20%に調整した。次いで、25℃にて、10Cで10秒間の放電を行い、10秒後の電圧降下量△Vを電流値で割った値を算出し、電池抵抗とした。電池抵抗(mΩ)の測定結果を表1と図5に示した。
[ガス発生量の測定]
また、上記の手順に従い、各評価用セルをSOC100%に調整した。次いで、25℃にて、SOC145%となるまで0.5Cで過充電を行い、この間に発生したガス量を測定し、1C容量で割った値を算出し、過充電時のガス発生量とした。過充電ガス発生量(ml/Ah)を表1と図6に示した。なお、ガス発生量は、液上置換法により測定することで求めた。液上置換法とは、測定対象物である評価用セルを、例えば、フッ素系不活性液体等の液体に沈めてガス発生前後で体積変化を評価することにより、測定対象物の体積を求める方法である。
Figure 2013206579
[評価]
表1および図5から明らかなように、従来の正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物の表面に、正孔輸送材を配設することで、過充電時のガス発生量を著しく増加できることが確認された。表1および図6から、正孔輸送材は、極少量を用いることで十分効果が得られるものの、多すぎると電池抵抗の上昇を招いてしまうことがわかった。図6からは、リチウム遷移金属酸化物に対して0.1質量%〜1.0質量%程度の割合の正孔輸送材を配設するのが良いことがわかる。
また、正孔輸送材は、(a)TPDと(b)PCVzとでガス発生量に顕著な差異は見られない。一方で、その配設方法については、乾式混合でも効果は得られるもののスプレードライ法のような正極活物質の表面との付着面積をより広くとれる手法の方がより効果的であることがわかった。
また、正孔輸送材として、上記の(a)TPDと(b)PCVzに替えて、ポリピロール、ポリアニリン等の有機p型半導体材料もしくは正孔輸送材料を用いても、同様の効果が得られることが確認された。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
ここで開示される技術によると、過充電状態における正極活物質層の電子伝導性が向上されて、正極活物質と電解質に含まれるガス発生添加剤との酸化分解反応性が効率的に高められて得る正極と、その製造方法を提供することができる。また、この正極を備える非水電解質二次電池をも提供する。CIDおよびガス発生添加剤を備えた非水電解質二次電池によると、電導性の低い正極活物質を用いた場合であってもガス発生添加剤の酸化分解反応性が高まり、過充電状態においてCIDを速やかに作動させ得る量のガスを発生させることができる。また、電池の設計変更は必要なく、電池抵抗等の特性を損なうことなく実施できる。
1 車両
10 リチウム二次電池
20 捲回電極体
30 正極
32 正極集電体
33 未塗工部
34 正極活物質層
36 正極リード端子
39 正極端子
50 負極シート(負極)
52 負極集電体
53 未塗工部
54 負極活物質層
56 負極リード端子
59 負極端子
60 電流遮断機構
61 絶縁ケース
62 変形金属板(第一部材)
63 湾曲部分
64 接続金属板(第二部材)
65 集電リード端子
66 接合点
70 セパレータ
80 電池ケース
82 蓋体
84 ケース本体
86 注液口
88 安全弁
100 組電池

Claims (13)

  1. 正極活物質と導電材とバインダとを含む正極活物質層を備える正極であって、
    前記正極活物質の表面の少なくとも一部に、正孔輸送材が配置されている、正極。
  2. 前記正極活物質の表面の少なくとも一部は、前記正孔輸送材により被覆されている、請求項1に記載の正極。
  3. 前記正極活物質は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを含むリチウム遷移金属複合酸化物である、請求項1または2に記載の正極。
  4. 前記正孔輸送材が前記正極活物質層に占める割合は、固形分質量割合で、0.01質量%〜1.0質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の正極。
  5. 前記正孔輸送材は、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)―N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリアニリンおよびポリピロールからなる群から選択されるいずれか1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の正極。
  6. 正極、負極および非水電解質を備える二次電池であって、
    前記正極として、請求項1〜5のいずれか1項に記載された正極を備える、非水電解質二次電池。
  7. 電池内の内圧に応じて前記正極および前記負極の間の導電経路を遮断し得る電流遮断機構をさらに備え、
    前記非水電解質は、正極において酸化分解されることでガスを発生させる機能を有するガス発生添加剤を含み、
    前記ガス発生添加剤により発生されるガスにより電池内の内圧が高められて、前記電流遮断機構が前記導電経路を遮断し得る、請求項6に記載の非水電解質二次電池。
  8. 正極集電体に正極活物質を含む正極活物質層を備える正極の製造方法であって、
    前記正極活物質の表面の少なくとも一部に正孔輸送材を配設する工程、
    前記正孔輸送材が配設された正極活物質層、導電材およびバインダを溶媒と共に混合して正極活物質層形成用組成物を用意する工程、および、
    前記正極活物質層形成用組成物を前記正極集電体上に供給して前記正極活物質層を形成する工程、
    を包含する、正極の製造方法。
  9. 前記正孔輸送材の配設は、
    前記正極活物質を流動させた状態で、前記正孔輸送材を含む溶液を噴霧し、
    前記正極活物質の表面の少なくとも一部に前記溶液の微小液滴が付着した状態で乾燥させ、
    前記正極活物質の表面の少なくとも一部を前記正孔輸送材で被覆することにより行う、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記正孔輸送材を前記正極活物質と混合することで前記正極活物質の表面の少なくとも一部に配設する、請求項8に記載の製造方法。
  11. 前記正極活物質としてニッケル、コバルトおよびマンガンを含むリチウム遷移金属複合酸化物を用いる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記溶媒として水系溶媒を用い、前記バインダとして水溶性または水分散性のバインダを用いることで、正極活物質層形成用組成物を用意する、請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記正極活物質層に占める前記正孔輸送材の割合が、固形分質量で、0.01質量%〜1.0質量%となるように配合する、請求項8〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
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