JP2007161196A - ソリッドタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性の低下を防ぐとともに、燃費性能の低下を防ぐソリッドタイヤを提供する
【解決手段】ソリッドタイヤは、ベース部1と、ベース部1の表面上に形成されるトレッド部2とを備えている。トレッド部2は、表層部2aと内層部2bとを含んでいる。内層部2bは、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いている。ゴム組成物は、カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が1/20〜20/1となるカーボンブラックがさらに配合されている。
【選択図】図1

Description

本発明はソリッドタイヤに関する。
従来、トラクッシュタイヤなどのソリッドタイヤは、フォークリフトなどの産業用車両用タイヤとして使用されている。産業用車両は、比較的低速かつ高荷重で使用され、悪路の状況下で使用される。そのため、産業用車両用タイヤは、耐カット性および耐摩耗性などの諸特性が要求される。また、近年バッテリー車の普及が進んでおり、低燃費性能も要求されている。さらに、多量のゴムを使用するため配合コストを下げることも要求されている。
配合コストを下げる手法として、従来、ゴム組成物に安価な炭化カルシウムを充填剤として配合することが提案されている。
しかし、炭化カルシウム等を充填してなるゴム組成物では、炭化カルシウムの比重が重いため、燃費性能が低下する場合がある。また、炭化カルシウムの補強性は、比較的弱いため、耐久性が低下する場合がある。
そのため、たとえば特開平5−43755号公報(特許文献1)には、ハロゲン化ブチルゴムを40〜100wt%含有する基材ゴム100重量部に対し、平均粒径0.1mm以下の歴青炭粉砕物10〜120重量部含有することを特徴とするゴム組成物が開示されている。
特開平5−43755号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示のゴム組成物は、耐久性は向上できるものの、高荷重の環境下では、まだ耐久性が低いという問題がある。特に、ソリッドタイヤに用いると、耐久性が低いため、製品化が困難であるという問題がある。
また、一般的にソリッドタイヤは重量が重く中実であるため、同じサイズの空気入りタイヤと比較してゴム容積が大きいので、製造時における加硫時間は長くなる。加硫時間を短縮しようとすると、加硫温度を高い状態で加硫する必要があり、加硫戻りが発生する場合がある。トレッド表面で加硫戻りが発生すると、燃費性能が低下するという問題がある。
それゆえ本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、耐久性の低下を防ぐとともに、燃費性能の低下を防ぐソリッドタイヤを提供することである。
本発明の一の局面におけるソリッドタイヤは、ベース部と、ベース部の表面上に形成されるトレッド部とを備えている。トレッド部は、表層部と内層部とを含む。内層部は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
比重の軽い歴青炭粉砕物を上記配合量で用いることにより、タイヤを軽量化することができる。そのため、燃費性能の低下を防ぐことができる。また、内層部に上記配合量で歴青炭粉砕物を配合することにより、ソリッドタイヤ全体としての耐久性を維持することができる。
なお、上記「表層部」とは、ソリッドタイヤの最表面層であって、少なくともソリッドタイヤの内径方向においてトレッド溝が形成されている厚み部分に相当する層を意味する。また、上記「内層部」とは、トレッド部において、ソリッドタイヤの内径方向においてトレッド溝が形成されていない厚み部分に相当する層を意味する。
本発明の他の局面におけるソリッドタイヤは、ベース部と、ベース部の表面上に形成されるトレッド部とを備えている。トレッド部は、表層部と内層部とを含む。内層部は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が10〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いたことを特徴とする。
比重の軽い歴青炭粉砕物を上記配合量で用いることにより、タイヤを軽量化することができる。そのため、燃費性能の低下を防ぐことができる。また、内層部に上記配合量で歴青炭粉砕物を配合することにより、ソリッドタイヤ全体としての耐久性を維持することができる。
上記ソリッドタイヤにおいて好ましくは、内層部のゴム組成物は、カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が1/20〜20/1となるようなカーボンブラックがさらに配合されている。
カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合を1/20以上とすることにより、カーボンブラックは補強性が強いのでタイヤの強度を向上する。一方、20/1以下とすることによって、歴青炭粉砕物が適度に含まれるので燃費性および耐久性が向上する。
上記ソリッドタイヤにおいて好ましくは、内層部のゴム組成物は、カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が2/11〜8/1となるようなカーボンブラックがさらに配合されている。
カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合を2/11以上とすることにより、カーボンブラックは補強性が強いのでタイヤの強度をより向上する。一方、8/1以下とすることによって、歴青炭粉砕物が適度に含まれるので燃費性および耐久性がより向上する。
以上説明したように、本発明のソリッドタイヤによれば、比重が軽い歴青炭粉砕物を用いることにより、燃費性能の低下を防ぐことができる。内層部に歴青炭粉砕物を配合することにより、ソリッドタイヤ全体としての耐久性を維持することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるソリッドタイヤの片側断面図である。図1に示すように、本発明の実施の形態におけるソリッドタイヤは、ベース部1と、ベース部1の表面上に形成されるトレッド部2とを備えている。トレッド部2は、表層部2aと内層部2bとを含んでいる。内層部2bは、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いている。
実施の形態におけるソリッドタイヤは、ベース部1と、トレッド部2と、サイドウォール部3とを備えている。トレッド部2は、ベース部1のソリッドタイヤ半径方向外側の表面上に設けられた内層部2bと、内層部2bのタイヤ半径方向外側の表面上に設けられた表層部2aとを含む。サイドウォール部3は、ベース部1およびトレッド部2の幅方向の両端に設けられている。ソリッドタイヤは、主に産業用車両用タイヤとして用いられており、いわゆる空気入りタイヤとは異なり、タイヤ内部までゴム組成物などで構成されている。
ベース部1は、ソリッドタイヤを強固にして、リムスリップを防止するための部材である。ベース部1は、ソリッドタイヤの径方向断面高さのたとえば30〜60%高さの範囲を占めている。ベース部1は、金属製のリムRと直接または接着剤などを介して接している。
ベース部1は、ゴム組成物を用いている。ベース部1に用いるゴム組成物は、特に限定されないが、たとえば天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)などの汎用ゴム含み、圧縮弾性率の高い補強ゴムまたは硬質ゴムからなる。
トレッド部2は、表層部2aと内層部2bとを含んでいる。表層部2aと内層部2bとは、トレッド部2において、ソリッドタイヤの径方向断面におけるトレッド溝(図示せず)の底部を境界としている。表層部2aは、ソリッドタイヤの最表面であって、ソリッドタイヤの内径方向においてトレッド溝が形成されている厚み部分に相当する層である。また、内層部2bは、ソリッドタイヤの内径方向においてトレッド溝が形成されていない厚み部分に相当する層を意味する。トレッド溝は、ソリッドタイヤが装着された車体が走行する際の滑りを防止するために、路面との摩擦を生じさせるために設けられている。すなわち、表層部2aは、トレッド部2において走行に伴う摩耗に関与する部分である。内層部2bは、トレッド部2において走行に伴う摩耗に関与しない部分である。
また、表層部2aは、トレッド部2の容積の10%〜70%の範囲に設定されることが好ましい。
表層部2aは、ゴム組成物からなる。表層部2aに用いるゴム組成物は、特に限定されないが、路面と接する部分であるため路面と摩擦による耐摩耗性も要求されるので、たとえばブタジエンゴムや天然ゴムを含むゴム組成物を用いる。
内層部2bは、ゴム組成物からなる。内層部2bのゴム組成物に配合されるジエン系ゴムとしては、通常のタイヤゴム組成物に使用されるいかなるゴムも使用できるが、たとえば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)などをゴム成分中に1種類または2種類以上含んでいてもよい。なお、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)に第三ジエン成分を含むものであり、ここで第三ジエン成分とは、炭素数5〜20の非共役ジエンであり、たとえば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、たとえば1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、たとえば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネンなどが挙げられ、特にジエンの中では、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが使用できる。
内層部2bのゴム組成物に配合される歴青炭(bitumious coal)は、石炭一般を含む。このような歴青炭は粉砕物としてゴム組成物中に含有される。ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いている。また、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、配合される歴青炭粉砕物が10〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いていることが好ましい。歴青炭粉砕物が5質量部よりも少ないと、熱伝導性のよい歴青炭粉砕物の効果が発現しにくく、加硫速度が短くならない。また、加硫温度を上げて加硫速度を上げると、加硫戻りが生じてしまう。10質量部以上とすることによって、加硫律速となるベース部1の表面上の内層部2bに熱伝導性のよい歴青炭粉砕物を配合することで加硫時間を短縮できるので、生産性を向上することができる。一方、配合される歴青炭粉砕物が80質量部よりも多いと、ゴム組成物自体の強度が低下して、耐久性が悪くなる。
また、歴青炭粉砕物の比重は1.6以下が好ましく、さらに好ましくは1.3以下である。比重を1.6以下とすることによって、ゴム組成物全体の比重を減少でき、ソリッドタイヤを装着した車体の燃費を十分に低減することができる。比重を1.3以下とすることによって、燃費をより十分に低減できる。
また、歴青炭粉砕物の平均粒径は、0.1mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.05mm以下である。平均粒径を0.1mm以下とすることによって、得られるゴムのヒステリスロスが十分に低減でき、その結果ソリッドタイヤの転がり抵抗を十分に低減することができる。平均粒径を0.05mm以下とすることによって、ソリッドタイヤの転がり抵抗をより十分に低減することができる。
表層部2aおよび内層部2bのゴム組成物は、強度向上の観点からカーボンブラックを配合されることが好ましい。
内層部2bのゴム組成物には、カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が1/20〜20/1となるようなカーボンブラックがさらに配合されていることが好ましい。さらに好ましくは、(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が2/11〜8/1となるようなカーボンブラックがさらに配合されている。(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)を1/20とすることによって、カーボンブラックは補強性が強いのでソリッドタイヤの強度を向上する。2/11とすることによって、カーボンブラックの補強性の効果をさらに発現して、ソリッドタイヤの強度をさらに向上する。一方、(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)を20/1以下とすることによって、歴青炭粉砕物が適度に含まれるので燃費性および耐摩耗性が向上する。8/1とすることによって、歴青炭粉砕物の燃費性および耐摩耗性の効果をさらに発現して、ソリッドタイヤの燃費性および耐摩耗性の効果がさらに向上する。
表層部2aおよび内層部2bのゴム組成物に配合されるカーボンブラックは特に限定されないが、たとえば窒素吸着比表面積が50〜200m2/g、DBP吸油量が50〜130ml/100g、CTAB吸着比表面積が50〜170m2/gとなるような凝集サイズ、および多孔性を有することが特に好ましい。この場合、ゴム組成物は硬くなり過ぎず、良好な氷上性能が得られる一方、十分な耐摩耗性も得ることができる。また、比重が1.5〜1.9のものを用いることが好ましい。
表層部2aにおけるカーボンブラックの配合量はゴム成分100重量部に対して10〜150重量部であることが好ましい。カーボンブラックが10重量部未満では補強効果が十分でなく、150重量部を超えると発熱が大きくなる。好ましくは15〜100重量部、特に25〜80重量部である。
一方、内層部2bにおけるカーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム成分100重量部に対して5〜80重量部であることが好ましい。5重量部未満では効果が小さく、80重量部を超えると硬くなりすぎて加工性が悪い。
使用されるカーボンブラックとしては、たとえばHAF、ISAF、SAFなどのチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、またはサーマルブラックなどを用いることができる。
表層部2aおよび内層部2bのゴム組成物には、その他添加剤として、たとえば共架橋剤、過酸化物、加硫剤、加硫促進剤、着色剤、軟化剤等の通常のゴム組成物に配合されるものを適宜配合してもよい。
共架橋剤としては、たとえばα,β−不飽和カルボン酸の金属酸化物の金属酸化物を用いることができる。
過酸化物としては、たとえば有機過酸化物、アゾ化合物、オキシム化合物等が挙げられる。これらは1種で用いても2種以上の混合物として用いてもよいが、ゴム組成物の所望の物性を損なわない範囲で配合する。
加硫剤としては、たとえば硫黄、硫黄化合物等が挙げられ、硫黄化合物としてはモルフォリンジスルフィド等が挙げられる。
加硫促進剤としては、たとえばスルフェンアミド系、グアニジン系、チアゾール系、チラウム系、チオウレア系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系等の化合物を用いることができる。
着色剤としては、色着色剤であるカーボンブラックの他に、たとえばブルーム性化合物の材質および含有量を適宜変化させて配合することにより、ゴム製品を、たとえば緑色、赤色、紫色等に発色させることができる。
軟化剤として、たとえばプロセスオイルを用いることができる。プロセスオイルとしては、たとえばパラフィン系、オレフィン系、アロマ系等のプロセスオイルの他、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系、ヒマシ油、亜麻仁油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系等のオイルを用いることができる。
表層部2aおよび内層部2bのゴム組成物の調製法は特に限定されないが、たとえば上記各配合剤をニーダまたはバンバリー等で混練して行なうことができる。
サイドウォール部3は、ソリッドタイヤの側面である。サイドウォール部3の材質は特に限定されないが、走行中の凹凸に対応するため、たとえばジエン系ゴムを含み、補強ゴムからなる。
実施の形態におけるソリッドタイヤは、たとえばベース部1のゴム組成物をシート状とし、該シートをソリッドタイヤ幅で同心円に巻き、その外側にトレッド部2を巻くことによって形成される。
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるソリッドタイヤによれば、トレッド部2における摩耗に関与しない部分である内層部2bに、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いている。内層部2bは、比重の軽い歴青炭粉砕物が配合されてなるゴム組成物を用いているので、内層部2bを軽量化することができる。そのため、ソリッドタイヤ全体として軽量化を図ることができる。よって、燃費を向上することができる。
また、内層部2bは、熱伝導性の良い歴青炭粉砕物が配合されてなるゴム組成物を用いているので、ゴム組成物の加硫時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。そのため、ソリッドタイヤ全体の生産性を維持して、路面と直接接する表層部2aを加硫戻りの発生しないように製造することができる。
さらに、内層部2bは、安価な歴青炭粉砕物が配合されてなるゴム組成物を用いているので、内層部2bはコストを低減できる。そのため、ソリッドタイヤ全体としてコストを低減することができる。
さらには、摩耗に関与しない内層部2bに歴青炭粉砕物を配合するので、表層部2aは耐久性および耐カット性を有したままである。そのため、ソリッドタイヤ全体としての耐久性および耐カット性を維持できる。
[実施例]
本実施例では、本発明によるソリッドタイヤの効果を調べた。始めに、下記の表1および表2を参照して、実施例および比較例の各々のソリッドタイヤを以下の方法により製造した。
(実施例1〜3および比較例1〜3)
表1および表2に示す配合処方にしたがって、1.7Lのバンバリーミキサー(神戸製鋼(株)製)にて150℃で4分間の条件で混練して混練物を得た。次いで、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤としてのN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドとを加えて二軸ローラを用いて80℃で4分間の条件で練り込んで表層部および内層部のゴム組成物を得た。これらの各ゴム組成物を用いてゴムシートを作製してトレッド部となるようにタイヤに成形し、150℃の条件で加硫を行ない、実施例1〜3および比較例1〜3におけるソリッドタイヤを製造した。
Figure 2007161196
Figure 2007161196
以下に、実施例1〜3および比較例1〜3で用いた各種配合剤について説明する。なお、表2においてなお、表中で「phr」とあるのは、ジエン系ゴム100質量部当たりの配合量(部)を示す。
(注1) 天然ゴムとして、SOUTHLAND RUBBER社製のNR RSS♯3を用いた。
(注2) 歴青炭粉砕物として、コール・フィラーズ・インク(Coal Fillers Inc)社製のオースチンブラック325を用いた。
(注3) カーボンブラックとして、三菱化学(株)製のN330(平均粒径 31nm)を用いた。
(注4) 老化防止剤として、精工化学社製のオゾノン6Cを用いた。
(注5) ワックスとして、(株)日本精蝋製のオゾエースを用いた。
(注6) プロセスオイルとして、出光興産(株)製のダイアナプロセスPS32を用いた。
(注7) ステアリン酸として、日本油脂(株)製の桐を用いた。
(注8) 酸化亜鉛として、東邦亜鉛(株)製の銀嶺Rを用いた。
(注9) 硫黄として、鶴見化学(株)製のイオウを用いた。
(注10) 加硫促進剤として、大内新興化学(株)製のノクセラーNSを用いた。
以下に、ソリッドタイヤの評価方法について説明する。
(加硫時間の測定)
幅が7〜12インチのサイズのソリッドタイヤを150℃の加硫温度で製造したときに必要な加硫時間を測定した。充分に加硫されていないタイヤにはその内部に細孔が発生するので、加硫時間は、細孔が発生しなくなった時間に10分足した時間とした。その結果を表1に示す。なお、表1における加硫時間は、比較例1のソリッドタイヤの加硫時間を100としてその指標を示し、指標が大きいほど加硫時間が短く、生産効率が高いことを示す。
(耐久性の測定)
980Nの荷重をソリッドタイヤの回転軸にかけながら、タイヤの走行速度が8km/hとなるように回転させて、1000km(125時間)の距離を走行させた。そして、走行後のソリッドタイヤに損傷がないかを確認した。その結果を表1に示す。
(重量の測定)
ソリッドタイヤの重量を測定した。その結果を表1に示す。なお、比較例1のソリッドタイヤの重量を100としてその指標を示し、指標が小さいほど重量が軽いため、燃費が高いことを示す。
(評価結果)
表1に示すように、内層部にジエン系ゴム成分100質量部に対して歴青炭粉砕物が5〜80質量部の範囲内で配合されてなるゴム組成物を用いた実施例1〜3は、比較例1〜3と比較して、加硫時間を短くでき、かつ耐久性を向上することができ、かつ重量を軽量化することができ、加硫時間、耐久性、および重量のすべてにおいて優れていることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態におけるソリッドタイヤの片側断面図である。
符号の説明
1 ベース部、2 トレッド部、2a 表層部、2b 内層部、3 サイドウォール部、R リム。

Claims (2)

  1. ベース部と、前記ベース部の表面上に形成されるトレッド部とを備えるソリッドタイヤであって、
    前記トレッド部は、表層部と内層部とを含み、
    前記内層部は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、歴青炭粉砕物が5〜80質量部配合されてなるゴム組成物を用いることを特徴とする、ソリッドタイヤ。
  2. 前記ゴム組成物は、カーボンブラックに対する歴青炭粉砕物の質量割合(歴青炭粉砕物/カーボンブラック)が1/20〜20/1となるようなカーボンブラックがさらに配合されていることを特徴とする、請求項1に記載のソリッドタイヤ。
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