JP2007104967A - 精製緑茶抽出物 - Google Patents

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Abstract

【課題】非重合体カテキン類中のガレート体率の高いカテキン製剤の、風味を改善し、カフェインを低減させた精製緑茶抽出物を提供する。
【解決手段】非重合体カテキン類を25〜40質量%含有する緑茶抽出物と50〜99質量%のエタノール水溶液とを混合し、更に活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させる工程(a)、次いでタンナーゼで処理する工程(b)の処理を行って得られる、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率が35〜55質量%であり、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比率が0.001〜0.09であることを特徴とする精製緑茶抽出物、及びその製造法。
【選択図】なし

Description

本発明は、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率及び非重合体カテキン類に対するカフェイン比が低減され、風味が改善された精製緑茶抽出物に関する。
カテキン類の効果としてはαアミラーゼ活性阻害作用等が報告されている(特許文献1)。このような生理効果を発現させるためには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要であることから、より簡便に大量のカテキン類を摂取するため、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれていた。
この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物等の水溶性抽出組成物を利用して、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法が用いられている。しかしながら、カテキン類を高濃度に配合する対象となる飲料の種類によっては、例えば紅茶抽出液や炭酸飲料へのカテキン類の添加等において、非重合体カテキンガレート体率が高い場合やカフェインの残存及び緑茶由来の風味が残存する場合は、飲料の商品価値を大きく損ねる。
このように非重合体カテキンガレート体率の調整を行わない従来の製造法で得られる非重合体カテキン類組成物を添加すると、非重合体カテキンガレート体率が高いため苦味が強くなるという問題があった。
ガレート体率を低下させる技術として、非重合体カテキンガレート体率の高い緑茶抽出物を通常のタンナーゼ処理を行い特定のpHに調整することにより、ガレート体率を低減させる方法が知られている(特許文献1〜3)。しかし、得られる非重合体カテキン類組成物は不純物を多く含有するため、良好な風味が得られないという欠点があった。更に、ガレート体率の高い緑茶葉から得られた緑茶抽出物を通常の方法でタンナーゼ処理を行い、pHを調節して飲料を製造したところ、異味や外観に変化が生じることが判明した。
また、生理活性上好ましくないカフェインを低減するためには、クロロホルム処理や陽イオン交換樹脂を使用することが知られている(特許文献4)。しかしながら、特許文献4では、カフェインを低減させることは可能であるが、陽イオン交換樹脂に緑茶葉から抽出した抽出液を直接接触させているためカリウムやナトリウムの塩交換が起き、カフェインの除去効率が低下し、陽イオン交換樹脂の再生頻度が多くなる。また、カフェインのみを選択的に低減させると、澱発生の原因となるタンパク質、多糖類等の水溶性高分子を多く含む他、得られる非重合体カテキン類組成物の風味が低下する(特許文献5)という問題があった。
特開平10-313784号公報 特開2004-321105号公報 特開2005-130809号公報 特開平11-228565号公報 特開2004-305012号公報
本発明の目的は、非重合体カテキン類中のガレート体率の高い緑茶抽出物のガレート体率とカフェインを低減させ、風味を改善した精製緑茶抽出物を提供することにある。
本発明者らは、緑茶抽出物をエタノール水溶液に添加して、不溶の固形分を除去し、更に、活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上とを接触させ、カフェイン含有量が低減する工程及びタンナーゼ処理工程を行い、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体を低減させた風味が改善された緑茶抽出物の精製物が得られることを見出した。
本発明は、非重合体カテキン類を25〜40質量%含有する緑茶抽出物と50〜99質量%のエタノール水溶液とを混合し、更に活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させる工程(a)、次いでタンナーゼで処理する工程(b)の処理を行って得られる、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率が35〜55質量%であり、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比率が0.001〜0.09である精製緑茶抽出物を提供するものである。
また、本発明は、非重合体カテキン類を25〜40質量%含有する緑茶抽出物と50〜99質量%のエタノール水溶液とを混合し、更に活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させる工程(a)、次いでタンナーゼで処理する工程(b)の処理を行って、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率が35〜55質量%であって、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比率が0.001〜0.09である精製緑茶抽出物の製造法を提供するものである。
本発明により、非重合体カテキンガレート体率が低減し、カフェイン量が低減し、更に風味が改善された緑茶抽出物の精製物を得ることができる。
本発明で非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類をあわせての総称である。
本発明で非重合体カテキンガレート体とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートをあわせての総称である。また非重合体ガロ体とは、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレートをあわせての総称である。
本発明に用いる緑茶抽出物は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica及びやぶきた種又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉から得られる。当該製茶された茶葉は不発酵茶であれば全て利用できるが、釜入り茶以外の製茶葉、例えば普通煎茶、深蒸し煎茶、玉露、かぶせ茶、玉緑茶、番茶等の蒸し製茶葉が好ましい。
本発明に用いる緑茶抽出物は、緑茶葉から水を用いて抽出した水溶性組成物であり、通常の緑茶抽出条件で抽出製造される。緑茶葉から抽出する時の水の温度は、非重合体カテキン類の抽出効率を高くする観点から70〜100(沸騰水)℃が好ましく、更に好ましくは80〜100(沸騰水)℃である。緑茶葉からの抽出時の水の量は、緑茶葉に対して5〜60質量倍が好ましく、更に好ましくは5〜40質量倍である。緑茶葉からの抽出時間は1〜60分が好ましく、より好ましくは1〜40分、更に好ましくは1〜30分である。抽出時間が短すぎると非重合体カテキン類の溶出が不十分であり、長すぎると非重合体カテキン類の熱変性異性化反応が進行してしまう。
本発明に用いる緑茶抽出物は、非重合体カテキン類を25〜40質量%含有するいわゆる緑茶抽出物を濃縮したものであって、例えば特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報、特開2003−304811、特開2003−219800等に詳細に例示されている方法で調製したものを水に溶解して使用してもよい。緑茶抽出物を濃縮した市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」等が挙げられる。そのほか、カラム精製品及び化学合成品を使用してもよい。これらの緑茶抽出物は、通常25〜40質量%の非重合体カテキン類を含有する。ここでいう緑茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられるが、本発明の処理において、緑茶抽出物の濃縮物は事前に水溶液の状態に調製する。
本発明のエタノール水溶液に添加して不溶の固形分を除去する工程(a)では、まず当該緑茶抽出物をエタノールと水の質量比率が99/1〜50/50のエタノール水溶液に添加して懸濁させる。エタノールと水の質量比率は99/1〜50/50であるが、特に99/1〜70/30であるのが、非重合体カテキン類の抽出効率の観点から好ましい。緑茶抽出物とエタノール水溶液との混合質量比率としては、1:99〜40:60、特に5:95〜30:70が、非重合体カテキン類の抽出効率やスラリーの分散性の点から好ましい。
次いで、先に加えたエタノール水溶液よりも低濃度のエタノール水溶液又は水を添加するのが抽出効率の点で更に好ましい。懸濁液に添加する低濃度のエタノール水溶液又は水の量は、調整後のエタノールと水の質量比率が99/1〜50/50、好ましくは95/5〜60/40、さらに好ましくは80/20〜70/30になる量である。この範囲にあると抽出時の緑茶抽出物から水側への抽出効率の点で好ましく、またエタノール/水比が50/50未満の場合、味の改善効果が不十分となり好ましくない。ここで、最初に用いたエタノールと水の質量比率99/1〜90/10に分散した時点で非重合体カテキン類組成物の抽出効率のよいカテキン製剤を使用する場合は、低濃度のエタノール水溶液を添加する必要はないが、抽出効率が十分でない場合は懸濁液に低濃度のエタノール水溶液を添加することが好ましい。
エタノール水溶液又は水の添加方法は、必要量を10〜30分程度の時間でゆっくり滴下するのが好ましく、また固液抽出効率を上げるために攪拌状態で滴下するのが好ましい。エタノール水溶液又は水の滴下終了後は10分から40分程度の熟成時間を設けると更に好ましい。
前記混合溶媒の添加、エタノール水溶液又は水の添加及び固液抽出時の温度は、エタノールを使用する為に0〜60℃が良く、好ましくは10〜60℃、更に好ましくは10〜40℃が精製工程の管理上簡便であり好ましい。
本発明では、緑茶抽出物とエタノール水溶液の混合液から不溶の固形分をろ過等の方法で除去する前に、活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させることにより不溶固形分の除去が極めて容易となる。例えば、ろ過で不溶固形分を除去する場合、工程が最小回数、例えば1回で済む。該混合液と活性炭等との接触時期は、本工程(a)の当初、エタノール含有量を低濃度に調整するとき又は該調整後に接触できる。
用いる活性炭としては、一般に工業レベルで使用されているものであれば特に制限されず、例えば、ZN−50(北越炭素社製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D(クラレケミカル社製)、白鷲AW50、白鷲A、白鷲M、白鷲C(武田薬品工業社製)等の市販品を用いることができる。
活性炭の細孔容積は0.01〜0.8mL/gが好ましく、特に0.1〜0.7mL/gが好ましい。また、比表面積は800〜1300m2/g、特に900〜1200m2/gの範囲のものが好ましい。尚、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
活性炭はエタノール水溶液100質量部に対して0.5〜5質量部、特に0.5〜3質量部添加するのが好ましい。活性炭の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
用いる酸性白土又は活性白土は、共に一般的な化学成分として、SiO2、Al23、Fe23、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO2/Al23比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe23を2〜5質量%、CaOを0〜1.5質量%、MgOを1〜7質量%含有する組成の白土が好ましい。
活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸等の鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m2/gであるのが好ましく、pH(5質量%サスペンジョン)は2.5〜8、特に3.6〜7のものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
酸性白土又は活性白土は、エタノール水溶液100質量部に対して2.5〜25質量部、特に2.5〜15質量部で添加することが好ましい。酸性白土又は活性白土の添加量が少なすぎると、カフェイン除去効率が悪くなり、また多すぎるとろ過工程におけるケーク抵抗が大きくなり好ましくない。
また、活性炭と、酸性白土又は活性白土を併用する場合の割合は、質量比で活性炭1に対して1〜10であるのが好ましく、特に、活性炭:酸性白土又は活性白土=1:1〜1:6であるのが好ましい。更に、本発明の第1段階の工程で接触させる際、活性炭と酸性白土又は活性白土は2種同時に接触させても、いずれか1種ずつ接触させてもよい。
処理工程において活性炭及び酸性白土又は活性白土との接触処理を行う場合は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行ってもよい。一般には、粉末状の活性炭等を添加、攪拌し、カフェインを選択的に吸着後、ろ過操作によりカフェインを除去したろ液を得る方法、あるいは顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理によりカフェインを選択的に吸着する方法が採用される。
次いで、タンナーゼで処理する工程(b)を行う。この工程(b)を行う際には、酵素活性を向上させる観点から、予め減圧濃縮、薄膜濃縮等の方法によりエタノールを除去しておくことが好ましい。
工程(b)のタンナーゼ処理で使用するタンナーゼは、アスペルギルス属、ペニシリウム属、リゾプス属などのタンナーゼ生産菌を培養して得られるタンナーゼが好ましい。このうち、アスペルギルス オリーゼ由来のものがより好ましい。また、一般に市販されているものを使用する場合は、500〜5,000U/gの酵素活性を有することが好ましく、500U/g以下であると充分な活性を得ることができず、5,000U/g以上であると酵素反応速度が速すぎ反応系を制御することが困難となる。ここで1Uは、30℃の水中においてタンニン酸に含まれるエステル結合を1マイクロモル加水分解する酵素量で定義される。市販タンナーゼとしては、例えば、キッコーマンタンナーゼKT−FH、KT05、KT50(キッコーマン社製)、タンナーゼ「三共」(三共社製)等が挙げられる。
タンナーゼによる処理は、緑茶抽出物の非重合体カテキン類に対してタンナーゼを0.5〜10質量%の範囲になるように添加することが好ましい。酵素失活の工程を含め、タンナーゼ処理を良好な酵素反応時間である2時間以内で終了させるためには、タンナーゼ濃度が0.5〜5質量%、更に2〜4質量%であることが好ましい。0.5質量%未満の濃度であると酵素活性が弱いため非重合体カテキンガレート体率の低減効果が低く、10質量%を超える濃度であると酵素活性が強すぎるため、最適の非重合体カテキンガレート体率で酵素反応を停止することが困難となる。
タンナーゼ処理の温度は、良好な酵素活性が得られる15〜40℃が好ましく、更に好ましくは20〜30℃である。
タンナーゼ処理時のpHは、良好な酵素活性が得られる4.0〜6.0が好ましく、更に好ましくは4.5〜6.0であり、特に好ましくは5.0〜6.0である。前工程(a)において、酸性白土や活性白土を使用した場合、pHが低下する場合があるが、重炭酸ナトリウム等のアルカリ剤を添加することにより、pHを調整した後タンナーゼ処理を行うのが好ましい。
タンナーゼ反応を終了させる際には、酵素活性を失活させる必要がある。失活の条件は、緑茶抽出物中の非重合体カテキン類の非エピメリ化が起こらない温度である70〜90℃程度、より好ましくは80〜90℃で数十秒〜20分行う。70℃未満では酵素を充分に失活することが困難である為反応が進行し、所定の非重合体カテキンガレート体率の範囲内で酵素反応を停止することができない。また、所定の失活温度に到達してから10秒程度以下の保持時間であると酵素活性を充分に失活することが困難である為、酵素反応が進行し、20分以上行うと非重合体カテキン類の非エピメリ化が起こる場合があり好ましくない。
また、酵素活性を失活させる際に、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸及び天然成分から抽出した果汁類から選ばれる1種又は2種以上から選ばれる水溶性酸性物質を添加することにより、高温加熱による非重合体カテキン類組成物の酸化を防止することができ好ましい。添加量は、水溶性酸性物質/非重合体カテキン類組成物の質量比率が,0.01〜100.0、更に0.05〜50.0、特に0.1〜10.0であるのが好ましい。
酵素反応の失活方法は、バッチ式もしくはプレート型熱交換機のような連続式で加熱を行うことで停止することができる。また、タンナーゼ処理の失活終了後、遠心分離等の操作により緑茶抽出物を清浄化することができる。
本発明の精製緑茶抽出物中のカフェイン/非重合体カテキン類の質量比率は0.001〜0.09であるが、更に0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.02であるのが、カフェインが十分低減されているため安定性上好ましい。
得られた精製緑茶抽出物は、非重合体カテキン類の濃度が0.175質量%になるように溶解した時の水溶液の25℃におけるpHが4.0〜5.3、更に4.5〜5.3であるのが好ましい。pHが4.0未満の精製緑茶抽出物では、飲料のpHを4.0〜6.0の範囲に調節しても飲料の風味及び外観が悪くなり好ましくない。
精製緑茶抽出物の非重合体カテキン類中のガレート体率は、苦味を低減させる観点から35〜55質量%が好ましく、更に40〜50質量%が好ましい。
精製緑茶抽出物の製品形態として粉体が望ましい場合は、噴霧乾燥や凍結乾燥等の方法によって粉体とすることができる。
本発明の飲料は、このようにして得られた精製緑茶抽出物を配合した飲料であり、当該精製緑茶抽出物の配合対象としては不発酵茶である緑茶、半発酵茶及び発酵茶から選ばれた茶の抽出液、非茶系飲料が挙げられる。このうち、茶の抽出液に精製緑茶抽出物を配合した飲料が好ましく、不発酵茶、半発酵茶や発酵茶から得られた茶抽出液への配合が特に好ましい。半発酵茶としては、例えば烏龍茶が挙げられ、発酵茶としては、例えば紅茶が挙げられる。この場合、精製緑茶抽出物と茶の抽出液の混合質量比は、精製緑茶抽出物/茶の抽出液の質量比率が、0.01〜10.0、更に0.05〜5.0、特に0.1〜1.0であるのが好ましい。また、茶系飲料としては、例えばソフトドリンクである炭酸飲料、果実エキス入り飲料、野菜エキス入りジュース、ニアウォーター、スポーツ飲料、ダイエット飲料等が挙げられる。
本発明の飲料中には、水に溶解状態にある非重合体カテキン類を、0.05〜0.5質量%含有するが、好ましくは0.07〜0.5質量%、より好ましくは0.092〜0.4質量%、更に好ましくは0.11〜0.3質量%、特に好ましくは0.12〜0.3質量%含有する。非重合体カテキン類含量がこの範囲にあると、多量の非重合体カテキン類を容易に取り易く、強烈な苦味、渋味、強い収斂性が生じない。非重合体カテキン類の濃度は、当該精製緑茶抽出物の配合量によって調整することができる。
本発明の飲料は、苦味抑制剤を配合すると飲用しやすくなり好ましい。用いる苦味抑制剤は特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは飲料中に0.01〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.3質量%含有するのがよい。
飲料のpHは、不発酵茶である緑茶や半発酵茶である烏龍茶等の抽出液を使用し、甘味料を配合することのない飲料については、25℃で4.5〜7.0、好ましくは、4.5〜6.5とするのが自然の風味を維持するという立場から好ましい。また、非茶系飲料の酸性飲料の場合は、pHを3.0〜5.0、さらに好ましくは3.0〜4.0とするのが嗜好性の観点及び製品安定性の点から好ましい。
本発明の飲料には、茶由来の成分にあわせて、処方上添加してよい成分として、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤、品質安定剤等の添加剤を単独又は併用して配合してもよい。
例えば甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパラテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等が挙げられる。酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。飲料中に0.01〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.3質量%含有するのがよい。
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。飲料中に0.01〜0.5質量%、好ましくは0.01〜0.3質量%含有するのがよい。
本発明の飲料は、以下に示す容器に充填することによって容器詰飲料とすることができる。使用できる容器としては、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
ここでいう容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。
(カテキン類及びカフェインの測定法)
フィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った(通常カテキン類及びカフェインの濃度は、質量/体積%(%[w/v])で表すが、実施例中の含有量は液量を掛けて質量で示した)。
(タンナーゼ活性の測定法)
試薬A:pH5.5クエン酸緩衝溶液50mmol:蒸留水800mLにクエン酸10.5gを溶解し、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液でpH5.5に調整し、1000mLに希釈する。
試薬B:0.35質量%基質水溶液(タンニン酸):50mLクエン酸緩衝溶液(試薬A)にタンニン酸175mgを溶解する。
試薬C:90vol%エタノール溶液。
測定方法
試験管に基質溶液(試薬B)を1.0mL採取し、30℃で5分間保つ。
試料溶液0.25mL添加し、15分間30℃で培養する。ブランク溶液は、試料溶液の代わりにクエン酸緩衝溶液(試薬A)を加える。
酵素反応を停止するため試料溶液とブランク溶液に5.0mLのエタノール溶液(試薬C)を加える。
310nmの吸光度を測定する[試料:As、ブランク:A0]。
次の計算式により活性を計算する。
(数式)
体積当たりの活性(U/mL)=(As−A0)×20.3×1.0(mL)×1.04×df/(0.71×0.25(mL)×15(min))=ΔA×7.93×df
質量当たりの活性(U/g)=(U/mL)×1/C
*20.3:基質溶液(試薬B)の1.0mL中に含まれるタンニン酸のmmol。
*0.71:分析条件下での20.3μmolのタンニン酸が完全に加水分解した後の吸光度の変化量。
*1.04:換算係数
*df:希釈係数
*C:サンプル(g/mL)中のタンナーゼ濃度。
(殺菌後の風味評価)
各実施例で得られた緑茶抽出物の精製物をカテキン含有率が0.175%[w/v]となるように脱イオン水で希釈し、その40mLを50mLの耐圧製ガラス容器に入れた。そこにアスコルビン酸ナトリウムを0.1質量%添加し、5%重炭酸ナトリウム水溶液でpHを6.4に調整し、窒素置換を行い、オートクレーブで121℃、10分間加熱滅菌した。その後、評価パネラー5名によって緑茶由来の異味・異臭が感じられないか確認を行った。
(沈殿の評価方法)
耐圧製ガラス容器に入っている評価サンプルを、55℃の恒温槽に入れて、2週間後の濁りの発生状況を確認した。イルミネーター上で内容物の状態を観察し、澱の観察された時点を澱生成日とした。
実施例1
工程(a)
緑茶抽出物のカテキン製剤(ポリフェノンHG、三井農林社製、非重合体カテキン類含有量33.70質量%、カフェイン含有量5.5質量%、非重合体カテキン類/カフェイン=6.1、ガレート体率50.7質量%)270gを常温、200r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液1325g中に懸濁させ、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル社製)40.5gと酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)54.0gを投入後、約10分間攪拌を続けた。そして40質量%エタノール水溶液1104.6gを10分間かけて滴下したのち、室温のまま約30分間の攪拌処理を続けた。その後、2号ろ紙で活性炭及び沈殿物をろ過したのち、0.2μmメンブランフィルターによって再ろ過を行った。最後にイオン交換水540gをろ過液に添加し、40℃、3.3kPaでエタノールを留去し、緑茶抽出物の精製物326.5gを得た(非重合体カテキン類含有量22.79質量%、カフェイン含有量1.94質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.085、非重合体カテキン類0.175質量%のpHは4.14)。
工程(b)
得られた非重合体カテキン類組成物のうち50.31g(非重合体カテキン類11.47g)をステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を1、000gとし、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液3.0gを添加してpH5.51に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水1.07g中にキッコーマンタンナーゼKTFH(Industrial Grade、500U/g以上)0.27g(非重合体カテキン類に対して2.4%)を溶解した液を添加し、55分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活した後、25℃まで冷却した。
タンナーゼ処理後に得られた精製緑茶抽出物は10.43g、ガレート体率は39.7%であった。酵素反応による非重合体カテキン類の減少はごくわずかであるが、ガレート体率は大幅に低減した。更に、5時間後に再測定した際もこれらの数値は殆ど変わらず、酵素活性が完全に失活していることを確認できた。尚、カフェイン/非重合体カテキン類は0.088であった。
実施例2
工程(a)
95質量%エタノール水溶液を2430g使用し、40質量%エタノール水溶液を添加せずに、活性炭量を40.5g、酸性白土を135.0gに変更した以外は実施例1の工程(a)と同様の操作を行った。得られた緑茶抽出物の精製物は15.9質量%、カフェイン含有量0.3質量%、カフェイン/非重合体カテキン類は0.019であった。
工程(b)
実施例1の工程(b)と同様の操作を行った。タンナーゼ処理後に得られた精製緑茶抽出物は9.78g、ガレート体率は41.2%であり、カフェイン/非重合体カテキン類は0.019、非重合体カテキン類0.175質量%のpHは3.91であった。
比較例
工程(a)
活性炭量と酸性白土を使用しなかった以外は実施例1の工程(a)と同様の操作を行った。
工程(b)
実施例1の工程(b)と同様の操作を行った。
表1に分析並びに評価結果を示す。
Figure 2007104967
本発明の精製緑茶抽出物は、いずれも比較例に比べて、非重合体カテキンガレート率が低減し、カフェインが低減したものであった。
実施例3
実施例1、2及び比較例で製造した精製緑茶抽出物を使用した容器詰スポーツ飲料を製造した。なお、殺菌は98℃、30秒の高温短時間殺菌(UHT殺菌)で行った。
風味評価結果を表2示す。
Figure 2007104967
本発明の非重合体カテキン類含有精製緑茶抽出物(水溶液)を使用した本発明品1、2は、いずれも比較例に比べて、非重合体カテキン類ガレート体率が低減し、カフェインが低減した容器詰スポーツ飲料であった。また、殺菌後の風味評価において酸味や緑茶由来の異味・異臭が感じられず、55℃、7日保存後の澱生成もみられなかった。

Claims (7)

  1. 非重合体カテキン類を25〜40質量%含有する緑茶抽出物と50〜99質量%のエタノール水溶液とを混合し、更に活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させる工程(a)、次いでタンナーゼで処理する工程(b)の処理を行って得られる、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率が35〜55質量%であり、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比率が0.001〜0.09である精製緑茶抽出物。
  2. 更に、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸及び天然成分から抽出した果汁類から選ばれる1種又は2種以上の水溶性酸性物質を含有する請求項1記載の精製緑茶抽出物。
  3. 非重合体カテキン類を0.175質量%含有する水溶液のpHが4.0〜5.5である請求項1又は2記載の精製緑茶抽出物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の精製緑茶抽出物を配合し、非重合体カテキン類を0.05〜0.5質量%含有する飲料。
  5. 非重合体カテキン類を25〜40質量%含有する緑茶抽出物と50〜99質量%のエタノール水溶液とを混合し、更に活性炭、酸性白土又は活性白土から選ばれる1種以上と接触させる工程(a)、次いでタンナーゼで処理する工程(b)の処理を行って、非重合体カテキン類中の非重合体カテキンガレート体率が35〜55質量%であって、カフェイン/非重合体カテキン類の質量比率が0.001〜0.09である精製緑茶抽出物の製造法。
  6. 工程(a)の後に、エタノールを除去後、工程(b)を行う請求項5記載の精製緑茶抽出物の製造法。
  7. 工程(b)の後に、タンナーゼを失活させる際に、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、リン酸及び天然成分から抽出した果汁類から選ばれる1種又は2種以上から選ばれる水溶性酸性物質を添加する請求項5又は6記載の製造法。
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