JP5366739B2 - 容器詰酸性紅茶飲料 - Google Patents

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Description

本発明は、容器詰酸性紅茶飲料に関する。
消費者の嗜好の多様化、健康指向の高揚により多種多様の飲料が上市されているが、中でも茶飲料が注目されている。茶飲料には、例えば、非重合体カテキン類等のポリフェノール類が含まれており、ポリフェノール類による生理効果が期待されている。
生理効果を発現するには、多量のポリフェノール類を摂取することが有効である。多量のポリフェノール類をより簡便に摂取するには、高濃度のポリフェノール類を含有する飲料とすることが有利である。
高濃度のポリフェノール類を含有する茶飲料として、例えば、高濃度の紅茶ポリフェノールを含み、タンニンとテアフラビン類との含有質量比を一定に制御し、pHが6である紅茶飲料が提案されている(特許文献1)。また、紅茶葉をpH7〜9の中性又は弱塩基性条件下で45〜75℃にて抽出して抽出液を分離し、遠心分離により不溶物を除去し、そしてpHを3.8〜4.2に調整する酸性紅茶飲料の製造方法も知られている(特許文献2)。
特開2008−125428号公報 特開平1−168236号公報
しかしながら、一般に紅茶から熱水で抽出した紅茶抽出物は、ポリフェノール類の含有量が多いと冷却時にポリフェノール類が不溶化して沈澱が生じやすい。また、紅茶抽出物の液性を酸性にすると沈澱が生じやすく、更にこれを低温に冷却すると沈澱の生成がより一層顕著になる。
本発明者は、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰酸性紅茶飲料を製造すべく種々検討したところ、紅茶飲料の液性がpH5前後であれば長期間保存したとしても外観に大きな影響を与えないものの、pH3前後に酸性度を高めると長期保存時に沈殿が生成しやすく、特に低温に冷却したときに沈澱生成が顕著になるという問題が生じた。
また、容器詰飲料は、通常PETボトル等の透明容器に充填されて流通、販売されているため、沈殿が生成すると商品価値を著しく低下させる原因となる。
したがって、本発明の課題は、高濃度の非重合体カテキン類を含有し、かつ長期保存したとしても沈殿が生成し難く安定性に優れる容器詰酸性紅茶飲料及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、容器詰酸性紅茶飲料を長期保存したときや液性を酸性にしたときに沈殿が生ずる要因について究明すべく、種々の紅茶から得られた紅茶抽出物を用いて長期保存時の沈殿生成の有無を検討したところ、非重合体カテキン類及びテアフラビン類の濃度が沈殿生成に大きく関与するとの知見を得た。そして、非重合体カテキン類とテアフラビン類との含有質量比を一定の割合に制御し、かつpHを特定範囲内に調整することで、長期保存したとしても、また低温に冷却したとしても沈殿が生成し難く安定性に優れ、しかも風味の良好な容器詰酸性紅茶飲料が得られることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.65質量%、
(B)テアフラビン類
を含有し、
成分(A)と(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03であり、かつpHが2〜4である、容器詰酸性紅茶飲料を提供するものである。
本発明はまた、次の成分(A)及び(B);
(A)非重合体カテキン類:0.05〜0.65質量%、
(B)テアフラビン類
を、成分(A)と(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03となるように含有せしめ、かつpHを2〜4に調整する、容器詰酸性紅茶飲料の製造方法を提供するものである。
本発明は更に、紅茶抽出物と、緑茶抽出物、その濃縮物及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種とを配合して、(A)非重合体カテキン類の濃度が0.05〜0.65質量%、(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03となるように調整する工程と、
pHを2〜4に調整する工程
を含む、容器詰酸性紅茶飲料の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、高濃度の非重合体カテキン類を含み、かつ液性が酸性であるにも拘わらず、長期間保存したとしても、また低温に冷却したとしても沈澱が生成し難く安定性に優れ、しかも風味の良好な容器詰酸性紅茶飲料が提供される。したがって、提供される容器詰酸性紅茶飲料が冷飲料の場合に特に有用である。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称である。(A)非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
「(B)テアフラビン類」とは、茶の発酵過程でカテキン類が二量化して生成する赤色色素成分であって、テアフラビン、テアフラビン3−O−ガレート、テアフラビン3'−O−ガレート、テアフラビン3,3'−ジ−O−ガレートを併せての総称である。(B)テアフラビン類の濃度は、上記4種の合計量に基づいて定義される。
「(C)総ポリフェノール」とは、後掲の実施例に記載の酒石酸鉄法により測定されるものをいい、茶に含まれるカテキン単量体、該カテキン単量体の重合体、フラボノールアグリコン及びフラボノール配糖体等を包含する概念である。ここで、「フラボノールアグリコン」とは、ミリセチン、ケルセチン及びケンフェロールからなる混合物の総称である。また、「フラボノール配糖体」とは、ミリセチン、ケルセチン及びケンフェロールをアグリコン骨格として有する配糖体をいい、これら配糖体に更に糖が結合したものも包含される。
「冷飲料」とは、室温(25℃)よりも低い温度、特に15℃以下の温度に冷却された飲料をいう。
次に、本発明の容器詰酸性紅茶飲料について説明する。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料は、(A)非重合体カテキン類を高濃度で含有し、(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比及びpHが特定範囲内にあることを特徴とするものである。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料中の(A)非重合体カテキン類の含有量は0.05〜0.65質量%であるが、沈澱生成及び苦渋味の抑制の観点から、0.06〜0.5質量%、更に0.08〜0.35質量%、より更に0.1〜0.25質量%、特に0.1〜0.2質量%であることが好ましい。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料中の(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]は0.005〜0.03であるが、沈澱生成抑制及び風味向上の観点から、0.007〜0.028、更に0.01〜0.025、特に0.015〜0.02であることが好ましい。
また、本発明の容器詰酸性紅茶飲料には(C)総ポリフェノールが含まれており、本発明の容器詰酸性紅茶飲料中の(C)総ポリフェノールの含有量は、沈澱生成抑制及び風味向上の観点から、0.08〜0.74質量%、更に0.1〜0.35質量%、より更に0.15〜0.25質量%、特に0.18〜0.23質量%であることが好ましい。
更に、本発明の容器詰酸性紅茶飲料中の(B)テアフラビン類と(C)総ポリフェノールとの含有質量比[(B)/(C)]は、沈澱生成抑制及び風味向上の観点から、0.005〜0.025、更に0.008〜0.023、より更に0.01〜0.021、特に0.015〜0.018であることが好ましい。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料は酸性度が高められており、具体的にはpH(25℃)は2〜4であるが、2.3〜3.9、更に2.5〜3.8、より更に2.8〜3.7、特に3.0〜3.6であることが好ましい。これにより、沈殿生成及び高濃度非重合体カテキン類由来の苦渋味が抑制されるとともに、爽快感を付与することができる。
更に、本発明の容器詰酸性紅茶飲料には、所望により酸化防止剤、香料、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、甘味料、ガム、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、品質安定剤等の添加剤を単独で又は2種以上組み合わせて配合してもよい。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料を充填する容器としては、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合化した紙容器、瓶等の通常の包装容器を使用できるが、透明容器であることが好ましい。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料は、40〜60℃、好ましくは50〜60℃に加温した温飲料としても、室温(25℃)よりも低い温度、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、特に好ましくは5℃以下に冷却した冷飲料としてもよいが、低温冷却時における沈澱生成が顕著に抑制されることから、冷飲料とすることが好ましい。これにより、夏場等に需要が多く、嗜好性の高い紅茶飲料を提供することが可能になる。なお、冷却温度の下限は、凝固点よりも高いことが好ましい。
次に、本発明の容器詰酸性紅茶飲料の製造方法について説明する。
本発明の容器詰酸性紅茶飲料は、例えば、0.05〜0.65質量%の(A)非重合体カテキン類及び(B)テアフラビン類を、含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03となるように含有せしめ、かつpHを2〜4に調整することで製造することができる。
より具体的には、紅茶抽出物と、緑茶抽出物、その濃縮物及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種とを配合して、(A)非重合体カテキン類濃度、及び含有質量比[(B)/(A)]を上記範囲内となるように調整する工程と、pHを上記範囲内に調整する工程を含む工程に付して製造することができる。このように、緑茶由来の抽出物を配合することで、簡便に非重合体カテキン類を高濃度化することができる。なお、pHは、酸味料、果汁及びpH調整剤から選択される少なくとも1種を配合して調整することが可能である。
紅茶抽出物としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹から発酵工程を経て製茶された紅茶を、水又は熱水により抽出して得られる抽出物が例示される。紅茶抽出物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものがある。抽出方法としては、例えば、攪拌抽出、カラム法、ドリップ抽出等の公知の方法を採用することができる。
本発明で使用する紅茶抽出物としては、沈澱生成抑制及び風味向上の観点から、(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]が0.03〜0.35、更に0.05〜0.3、より更に0.1〜0.3、特に0.2〜0.3であるものが好ましい。
また、紅茶抽出物として、沈澱生成抑制及び風味向上の観点から、(A)非重合体カテキン類と(C)総ポリフェノールとの含有質量比[(A)/(C)]が0.35〜0.8、更に0.4〜0.75、特に0.45〜0.65であるものを使用することが好ましい。
このような性状を有する紅茶抽出物は、例えば、紅茶としてヌワラエリヤを単独で又はヌワラエリヤとこれ以外の紅茶とを組み合わせて抽出するか、あるいはヌワラエリヤから得られた紅茶抽出物と、ヌワラエリヤ以外の紅茶から得られた紅茶抽出物とを配合して得ることができる。なお、ヌワラエリヤ以外の紅茶としては、ウバ、ディンブラ、ダージリン、アッサム、スリランカ等が例示され、中でもウバが好ましい。
緑茶抽出物としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹から不発酵工程を経て製茶された緑茶を、水又は熱水により抽出して得られる抽出物が例示される。ここでいう緑茶抽出物とは、濃縮や精製操作が行われていないものである。緑茶としては、例えば、茎茶、棒茶、芽茶、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶等が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、抽出方法としては、上記と同様の方法を採用することができる。
また、緑茶抽出物の濃縮物とは、緑茶から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出した溶液から溶媒を一部除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、その形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが挙げられる。緑茶抽出物の濃縮物として、市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」等が例示される。
本発明においては、風味の観点から、緑茶抽出物の精製物を配合することが好ましい。なお、緑茶抽出物の精製物は、例えば、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせにより得ることができる。
(i)緑茶抽出物又はその濃縮物(以下、「緑茶抽出物等」という)を水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に懸濁して生じた沈殿を除去した後、溶媒を留去する方法。
(ii)緑茶抽出物等をタンナーゼ処理し、更に活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
(iii)緑茶抽出物等を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を脱離させる方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
(iv)緑茶抽出物等を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を接触させて非重合体カテキン類を脱離させ、次いで得られた脱離液を活性炭と接触させる方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
なお、上記(iii)及び(iv)の方法においても、合成吸着剤に吸着すべき緑茶抽出物等として、タンナーゼ処理したものを使用してもよい。ここで、「タンナーゼ処理」とは、緑茶抽出物等を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいい、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法を採用することができる。
このようにして酸性紅茶飲料を製造することができるが、得られた酸性紅茶飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填した後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で処理できる。また、PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、酸性紅茶飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌した後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。さらに、殺菌後の酸性紅茶飲料を充填した容器に、無菌下で別の成分を配合してもよい。
(1)非重合体カテキン類の測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(2)テアフラビン類の測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式LC−2010CHT、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
(3)総ポリフェノールの測定
総ポリフェノールは、酒石酸鉄法により、標準液として没食子酸エチルを用い、没食子酸の換算量として求めた(「緑茶ポリフェノール」飲食料品用機能性素材有効利用技術シリーズNo,10、社団法人菓子総合技術センター)。具体的には、試料5mLを酒石酸鉄標準溶液5mLで発色させ、リン酸緩衝液で25mLに定溶し、540nmで吸光度を測定し、没食子酸エチルによる検量線から総ポリフェノール量を求めた。
酒石酸鉄標準液の調製:硫酸第一鉄・7水和物100mg、酒石酸ナトリウム・カリウム(ロッシェル塩)500mgを蒸留水で100mLとした。
リン酸緩衝液の調製:1/15Mリン酸水素二ナトリウム溶液と、1/15Mリン酸二水素ナトリウム溶液を混合しpH7.5に調整した。
(4)外観の評価
各容器詰酸性紅茶飲料を、55℃で2週間加熱し、次いで5℃で1ヶ月間保存した後、沈殿の発生状態を蛍光灯照射下で目視にて観察し、下記の基準により評価した。
評価基準
評点4:沈殿の発生なし
3:わずかに沈殿の発生が認められる
2:沈殿の発生が認められる
1:顕著に沈殿の発生が認められる
(5)風味の評価
製造直後の各容器詰酸性紅茶飲料の風味について、パネラー3名により下記の基準で評価した。その後、協議によりスコアを決定した。
評価基準
評点4:紅茶感が非常に感じられる
3:紅茶感が感じられる
2:紅茶感がやや弱く感じられる
1:紅茶感が弱く感じられる
製造例1
紅茶抽出物の製造
紅茶抽出物の製造に用いる紅茶葉としてヌワラエリヤ、ウバ、ディンブラの3種を、表1に記載の割合で混合し、紅茶抽出物中の(A)非重合体カテキン類/(C)総ポリフェノール類、及び(B)テアフラビン類/(A)非重合体カテキン類の各含有質量比を調整した紅茶抽出物A〜Eを得た。
紅茶抽出物の製造条件は次のとおりである。すなわち、紅茶葉60gを90℃のイオン交換水3600gに浸漬し、次いで30秒間の攪拌を行い、次いで70秒間静置し、次いで20秒間攪拌し、その後浸漬開始から150秒間を経過するまで静置した。全浸漬時間を150秒間とする抽出操作を行った後、濾過により紅茶葉と抽出物とを固液分離し、紅茶抽出物を得た。
Figure 0005366739
製造例2
緑茶抽出物の製造
市販の緑茶抽出物の濃縮物(ポリフェノンHG、三井農林製)1,000gを、25℃、200r/minの攪拌条件下で、95質量%エタノール水溶液9,000g中に懸濁させ、活性炭(クラレコールGLC、クラレケミカル製)200gと酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学製)500gを投入後、約10分間攪拌を続けた。更に、25℃で約30分間攪拌を続けた。2号濾紙で活性炭、酸性白土及び沈殿物を濾過した後、0.2μmメンブランフィルターによって再濾過を行った。次いで、イオン交換水200gを濾過液に添加し、40℃、3.3kPaでエタノールを留去し、減圧濃縮を行った。このうち750gをステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を10,000gとし、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液30gを添加してpH5.5に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水10.7g中にタンナーゼ(タンナーゼKTFH、Industrial Grade、500U/g以上、キッコーマン製)2.7gを溶解した液を添加し、30分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活させた。次いで、25℃まで冷却した後に濃縮処理を行い、緑茶抽出物の精製物を得た。
緑茶抽出物の精製物は、非重合体カテキン類濃度が15.0質量%であり、非重合体カテキン類中のガレート体率が44.4質量%であった。
実施例1
紅茶抽出物A(固形分)2gに、緑茶抽出物の精製物10g、酸味料10g及び水を添加し、pH調整剤でpH(25℃)3.5に調整した後、イオン交換水で全量を1,000gとした。配合後、超高温短時間殺菌(UHT殺菌、108℃、30秒)しPETボトルに充填して容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
実施例2
紅茶抽出物Aに換えて紅茶抽出物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
実施例3
紅茶抽出物Aに換えて紅茶抽出物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
実施例4
緑茶抽出物の精製物の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
実施例5
緑茶抽出物の精製物の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
比較例1
紅茶抽出物Aに換えて紅茶抽出物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
比較例2
紅茶抽出物Aに換えて紅茶抽出物Eを用いたこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
参考例1
紅茶抽出物Aに換えて紅茶抽出物Eを用い、pH(25℃)を変更したこと以外は、実施例1と同様の操作にて容器詰酸性紅茶飲料を得た。得られた容器詰酸性紅茶飲料の分析値及び評価結果を表2に併せて示す。
Figure 0005366739
表2から、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰酸性紅茶飲料の(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]及びpHを所定範囲内に制御することで、保存温度を可変させた過酷な条件であっても沈澱が生成し難く安定性に優れ、しかも風味の良好な容器詰酸性紅茶飲料が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)及び(B);
    (A)非重合体カテキン類:0.05〜0.65質量%、
    (B)テアフラビン類
    を含有し、
    成分(A)と(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03であり、
    (C)総ポリフェノールの含有量が0.08〜0.74質量%であり、かつ
    pHが2〜4である、容器詰酸性紅茶飲料。
  2. 冷飲料である、請求項1記載の容器詰酸性紅茶飲料。
  3. 次の成分(A)及び(B);
    (A)非重合体カテキン類:0.05〜0.65質量%、
    (B)テアフラビン類
    を、成分(A)と(B)との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03、(C)総ポリフェノールの含有量が0.08〜0.74質量%となるように含有せしめ、かつpHを2〜4に調整する、容器詰酸性紅茶飲料の製造方法。
  4. 紅茶抽出物と、緑茶抽出物、その濃縮物及びそれらの精製物から選ばれる少なくとも1種とを配合して、(A)非重合体カテキン類の濃度が0.05〜0.65質量%、(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]が0.005〜0.03、(C)総ポリフェノールの含有量が0.08〜0.74質量%となるように調整する工程と、
    pHを2〜4に調整する工程
    を含む、容器詰酸性紅茶飲料の製造方法。
  5. 紅茶抽出物として、ヌワラエリアを含む紅茶から抽出して得られるものを用いる、請求項記載の製造方法。
  6. 紅茶抽出物として、(A)非重合体カテキン類と(B)テアフラビン類との含有質量比[(B)/(A)]が0.03〜0.35であるものを用いる、請求項又は記載の製造方法。
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