JP4332487B2 - 容器詰緑茶飲料 - Google Patents
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Description
また、前記容器詰緑茶飲料であって、容器詰緑茶飲料の品温が50℃〜70℃である容器詰緑茶飲料を提供する。
また、前記容器詰緑茶飲料であって、pHが5〜7である容器詰緑茶飲料を提供する。
すなわち、精製したEGCg、或いはEGCgを含む混合物、又は、茶抽出物或いは浸出液などのEGCgを含有するカテキン組成物を、約80℃以上で加熱処理してEGCgの熱異性化を促すことにより、GCgの含有濃度を高めることができ、このようにしてGCgを得ることができる。さらに、この加熱処理物からGCg或いはGCgを含む組成物を高濃度とするために濃縮したり或いは分離・精製することもできる。
このうち、グルタミン酸及びその塩は、うま味成分として調味料や食品添加物として知られている他、食品や医薬の苦味・渋味の軽減に関する添加剤として知られている(例えば、特開2000−204036号公報、特開2001−69961号公報、特開2003−160484号公報)。また、中川は、緑茶の味に与えるグルタミン酸及びショ糖を同時に添加した場合の呈味構造及び嗜好性の変化について報告している(中川致之、緑茶の味と化学成分、茶業研究報告、40号、1−9、1973)。これによれば、グルタミン酸及びショ糖の添加濃度を上げた場合、グルタミン酸の濃度が1%では苦味・渋味については強度が増す傾向が見られ、2〜4%の添加によりそれらの強度が低下し、グルタミン酸とショ糖の添加に伴い嗜好性が低下し、緑茶とはいえない違和感のある味となることが報告されている。
拡散透過率の調整は、容器詰緑茶飲料の原料となる緑茶抽出液を微細濾過工程に供することで調製することができ、微細濾過工程の直後或いは加熱殺菌工程の前後の緑茶抽出液、又は製造された直後の容器詰緑茶飲料のうちいずれかにおいて、ロット毎に一部をサンプリングして、拡散透過率を測定し1.0%以下となっていることを基準に管理すればよい。さらに、一旦調整された拡散透過率は、容器詰緑茶飲料を加温保管(60℃、2週間)してもほとんど変化しないことが確認されている。
なお、拡散透過率は、オリの発生を抑制することができる値であれば四捨五入して1.0%以下となる範囲をも包含する。
ヘーズ(%)=(拡散透過率/全光線透過率)×100
本実施形態に係る容器詰緑茶飲料は、例えば、緑茶葉を水乃至熱湯で抽出し、その後、所定のカテキン類を含むカテキン組成物を混合してEGCg及びGCgの量を調整し、さらにグルタミン酸を加えてこの量を調整すると共に、製品での拡散透過率が1.0%以下になるように微細濾過を実施し、その他は通常の緑茶飲料と同様の方法よりに製造することができる。このような製造方法によれば、自然な茶の香りを引き出せることからより好ましい。以下、本実施形態に係る容器詰緑茶飲料の製造方法の一形態について説明するが、この実施形態に限定されるものではない。
原料として用いる茶葉としては、茶樹(学名:Camellia sinensis)から摘採した葉であればその品種、産地、摘採時期、摘採方法、栽培方法などを限らず、どのような茶種も対象とすることができる。生茶葉等(葉や茎を含む)を原料茶葉とすることも可能である。更に、これらの生茶葉等を蒸すか或いは炒るかなどの手段で酵素活性を停止させる荒茶加工を施した荒茶又はこれをもとにした仕上茶であれば、煎茶、釜炒り茶、かぶせ茶、玉露、てん茶、抹茶、番茶、焙じ茶、蒸製玉緑茶、釜炒製玉緑茶、嬉野茶、青柳茶等のいずれの種類も原料茶葉として用いることができる。また、これらの荒茶又は仕上茶を二種類以上組み合わせてもよいし、香料を入れて作製してもよい。
緑茶葉の抽出は、風味を考慮した緑茶成分の抽出が行える範囲でよく、抽出方法及び抽出条件等を特に限定するものではない。例えば、抽出温度帯は冷水から熱水まで可能である。また、冷水で抽出した抽出液と熱水で抽出した抽出液とを合わせて用いることもできる。抽出水量や抽出時間設定は、抽出温度帯と必要とされる抽出効率にあわせて任意に設定することが可能である。抽出装置も抽出作業が十分に行うことができる構造を有していればよく、例えば、ニーダー等を用いることができる。必要に応じて、抽出時における攪拌や圧力調整(加圧抽出)を行えばよい。抽出に用いる抽出水は、純水、硬水、軟水、イオン交換水のほか、アスコルビン酸含有水溶液及びpH調製水等を例示することができる。
次に、上記の如く抽出した緑茶抽出液を微細濾過に供する。微細濾過によって緑茶本来の風味を残しつつ、拡散透過率を1.0%以下とすることができ、その結果、緑茶抽出液を容器詰緑茶飲料とした際のオリの発生を好適に抑制することができる。
微細濾過とは、本実施形態では概ね1μm以上の物質を取り除く濾過(分離)を示し、例えば、珪藻土による濾過、フィルター濾過、MF膜分離、UF膜分離等が挙げられ、中でも珪藻土濾過が好ましい。さらに、これらの濾過方法のうち2種類以上を併用してもよい。
なお、「Darcy0.05〜0.1の珪藻土濾過助剤」とは、Darcyの透過率Kが0.05〜0.1の範囲内にある珪藻土濾過助剤の意である。「Darcyの透過率K」は濾過助剤の透過性を示す指標の一つであり、水透過法或いは空気透過法により求めることができる。
また、本実施形態で用いる珪藻土には、酸処理によって鉄が溶出除去された珪藻土を用いるのが好ましい。鉄は、緑茶飲料において味に影響するばかりか、褐変の原因にもなるからである。さらに、珪藻土にシリカゲル、パーライト、セルロース等の他の濾過助剤を混合して用いてもよい。
珪藻土の使用量及び接触時間は、原液である緑茶抽出液の処理量や濃度に依存して調節すればよく、例えば、原料茶に対して20〜100倍量の抽出水を用いて緑茶抽出液を調製した場合、プリコート及びボディーフィードの合計量で緑茶抽出液当たり0.1〜5質量%を5分〜120分接触させると、好適に拡散透過率を1.0%以下とすることができる。
次に、上記の如く調製した緑茶抽出液に所定のカテキン組成物を添加して、EGCg及びGCgの合計の濃度が380mg/L〜1500mg/L、好ましくは590〜1000mg/LとなるようにEGCg及びGCgの量を調整する。
EGCg及びGCgの合計の濃度が380mg/L〜1500mg/Lであると、有用成分であるEGCg及びGCgを効率的に摂取することができると共に、緑茶飲料としてのおいしさを提供することが可能である。
EGCg及びGCgの合計の濃度が380mg/L〜1500mg/Lを含有する緑茶抽出液は、カテキン類の中でも生理機能に有効なEGCg及びGCgを効率的に飲用することができ、かつ呈味の嗜好性を有する容器詰緑茶飲料を提供することができる。
カテキン類の除去方法としては、緑茶抽出液を、合成吸着樹脂等による樹脂吸着や限外濾過膜や逆浸透膜による膜分離、ゲル濾過クロマトグラフィー法、溶媒抽出法といった除去方法を用いることができる。中でも、合成吸着樹脂であるPVPPを用いた樹脂吸着は、選択的にカテキン類を吸着することができるため、カテキン類の除去方法として好適である。さらには、本出願人による発明(特許3315304号公報)であるカテキン類の除去方法は特に好適である。この際に、合成吸着樹脂であるPVPP量は、緑茶抽出液に含まれるカテキン組成物の量や濃度によって適宜選択すればよい。
通常、緑茶抽出液には、緑茶葉に含まれているグルタミン酸が抽出されることから、緑茶抽出液に含まれるグルタミン酸濃度は、緑茶葉の抽出濃度に依存する。従って、緑茶葉の抽出条件に合わせて緑茶抽出液へのグルタミン酸の添加量を調整すればよい。なお、グルタミン酸は、抽出工程にて抽出された緑茶抽出液が容器詰されるまでに添加し溶解させればよく、好ましくはEGCg及びGCgの量を調節した後にグルタミン酸を添加し溶解させる工程を設定するとよい。また、グルタミン酸を高濃度含有する素材を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としてはビタミンC(アスコルビン酸又はアスコルビン酸の塩)、ビタミンE、システインなどを用いることができ、特にビタミンCを0.005〜0.2質量%含有するのがよい。さらに、pH調整剤として重曹、炭酸カリウム等を用い、pHを5〜7、中でも5.5〜6.5に調整すると緑茶飲料の風味や保存時の安定性を保つことができ好ましい。
また、例えば甘味料としてはぶどう糖、果糖、異性化液糖、フラクトオリゴ糖、乳化オリゴ糖、大豆オリゴ糖、サイクロデキストリン、アスパルテーム、ラカンカエキスなどを用いることができ、特にサイクロデキストリンを0.01〜1.0質量%含有するのがよい。これらの添加物を単独、あるいは併用して配合することにより、さらに好適な飲料を提供することができる。また、適宜水で希釈し、カテキン類や配合物が飲用濃度となるように濃度調整することもできる。
本実施形態に係る容器詰緑茶飲料は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等といった通常の容器の形態で提供することができ、前記の如く調製した緑茶飲料をこれらの容器に充填して製造する。この充填の際に、窒素ガス等の不活性ガスで充填する環境や容器内を置換すると、容器詰緑茶飲料の酸化防止に好適である。
緑茶飲料の拡散透過率は、ヘーズメーターを用いて測定して1.0%以下であることを基準として管理する。
拡散透過率の測定は、微細濾過工程の直後或いは加熱殺菌工程の前後の緑茶抽出液、又は製造された直後の容器詰緑茶飲料のうちいずれかにおいて管理すればよく、中でも、金属缶に充填する場合であれば充填直前の緑茶飲料について、又はPETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できない容器に充填する場合は加熱殺菌後の緑茶飲料について、ロット毎に一部をサンプリングして前記の如く拡散透過率を測定し1.0%以下であることを管理すると好ましい。
通常、前記の条件にて微細濾過を施した緑茶飲料であれば、拡散透過率は1.0%以下となっているが、仮に拡散透過率を測定し1.0%を超えた値であった場合、再度微細濾過に供すればよい。
カテキン類の成分分析として、HPLCグラジェント法を用いた。分析条件は以下の通りである。
カラム:YMC J‘sphere ODS−H80 φ4.6×250mm
移動層:A液 アセトニトリル:水:リン酸=5:94.9:0.1
B液 アセトニトリル:水:リン酸=50:49.9:0.1
によるグラジェント溶出法(グラジェントのプログラムは表1に示す。)
注入量:10μL
流速:1.0mL/min.
検出:UV230nm
カラム温度:40℃
グルタミン酸及びテアニンはオルトフタルアルデヒド反応液を用いた蛍光検出HPLC法により定量した。分析条件は以下の通りである。
カラム:Wakosil−II 5C18HG φ4.6×250mm
移動相:A液 50mM酢酸ナトリウム(pH6.0になるように酢酸で調整)
B液 100%アセトニトリル
によるグラジェント溶出法(グラジェントのプログラムは表2に示す。)
発色試薬:o−フタルアルデヒド試薬(OPA)
0.1M ホウ酸緩衝液(pH10.0になるように1M NaOHで調整)2 0mLにo−フタルアルデヒド246mgを溶解し、2−メルカプトエタノール 200μLを添加する。
注入量: OPA、試料、OPAをそれぞれ5μm、合計15μm
流速: 1.0mL/min.
検出: 蛍光検出器、励起波長340nm、検出波長455nm
カラム温度:40℃
拡散透過率は、製造直後の缶詰された飲料と、製造後60℃で2週間保管した後の缶詰された飲料について、JIS K7105に記載された方法に準じ、村上色彩技術研究所製のヘーズメーターHM−150を用いて品温25℃で分析した。
耐熱ビンに詰められた緑茶飲料について、4℃或いは60℃で2週間保管した後、オリの発生状況を目視で評価した。
−:なし
+:わずか(微粉あり)
++オリ少ない
+++:オリ中程度
++++:オリやや多い
+++++:オリきわめて多い
官能特性は、5人の熟練した審査員により、25℃で2週間保管した飲料と、25℃保管サンプルを官能評価直前に60℃に温めた飲料とを表3の評価シートに従い、緑茶飲料特有の「口当たりの刺激」、「渋味」、「濃厚感」それぞれについて7段階評価で採点した。さらに、「口当たりの刺激」、「渋味」、「濃厚感」のバランス及びその他の呈味を勘案した緑茶飲料としての総合的な「おいしさ」についても評価した。
オリ発生の評価及び官能評価の結果を総合して、容器詰緑茶飲料としての製品価値を判断した。
◎:加温、常温、冷蔵した容器詰緑茶飲料として極めて好ましい
〇:加温、常温、冷蔵した容器詰緑茶飲料として適する
△:常温、冷蔵した容器詰緑茶飲料として適するが、加温には適さない
×:容器詰緑茶飲料として適さない
緑茶60.0gを60℃のイオン交換水2500mLで5分抽出して得られた抽出液をメッシュで粗ろ過した後、25℃以下まで冷却した。次いで、アスコルビン酸を3.0g添加して、遠心分離(ウエストファリア社製SA1連続遠心分離機を使用して、流速300L/h、回転数10000rpm、遠心沈降面積1000m2)を行い、その後珪藻土濾過(接触時間:30分、Darcy値0.1の酸処理済み珪藻土を100g使用し、濾過面積当たり0.15g/cm2で、加圧方式で濾過)をした。次いで、珪藻土濾過された緑茶抽出液にアスコルビン酸4.0gと表4に示すようにグルタミン酸ナトリウム(林純薬工業製、食品添加物)とエピガロカテキンガレートTEAVIGO(DSM Nutritional Products社)を様々な濃度となるように添加した後、イオン交換水を加水して、さらに重曹を用いてpH6.0〜6.1に調整し、10kgに調整した。調整後、液温を90℃まで加温して、スチール缶に充填して缶詰とした。次いで、充填した飲料を加熱殺菌(123℃、10分)し、容器詰緑茶飲料を調製した。調製した容器詰緑茶飲料の一本を開封し、容器内の緑茶飲料の一部をサンプリングし、各成分濃度及び製造直後の拡散透過率を測定した。また、オリの観察用のために、別途透明耐熱ビンに充填し、前記同様に加熱殺菌し、容器詰緑茶飲料を調製した。
実施例1〜6の各成分濃度、上記評価結果について、表4に示す。
比較例1、3、5は、遠心分離後の珪藻土濾過を行わなかった以外は実施例の手順と同様に容器詰緑茶飲料を調製した。
比較例2及び4は、グルタミン酸を添加しない(比較例2)又はグルタミン酸含有量を14.1mgとした以外は実施例の手順と同様に容器詰緑茶飲料を調製した。
比較例3は、遠心分離後の珪藻土濾過を行わず、グルタミン酸を添加しなかった以外は実施例の手順と同様に容器詰緑茶飲料を調製した。
比較例1〜5の各成分濃度、上記評価結果について、表5に示す。
表4に、実施例1〜6の評価結果を示す。EGCg及びGCgの合計の濃度を約1000mg/L(8種カテキン合計量約1200mg/L〜1300mg/L)とし、種々のグルタミン酸濃度(約25mg/L〜110mg/L)とした実施例1〜4では、いずれの実施例においてもオリの発生を抑制することができた。また、官能評価では、25℃及び60℃のいずれにおいても「口当たりの刺激」、「渋味」及び「濃厚感」のバランスが取れており、グルタミン酸の含有量とともに「おいしさ」も向上することが分かった。
また、EGCg及びGCgの合計の濃度を約400mg/L〜600mg/L(8種カテキン合計量約600mg/L〜800mg/L)とし、種々のグルタミン酸濃度約25mg/Lとした実施例5、6においても実施例1〜4と同様に、オリの発生を抑制することができ、官能評価では、25℃及び60℃のいずれにおいても「口当たりの刺激」、「渋味」及び「濃厚感」のバランスや「おいしさ」もさらに優れていた。
従って、実施例1〜6の容器詰緑茶飲料の総合評点は、低温及び加温時の保存性ならびに、常温及び加温時の官能に優れることから、容器詰緑茶飲料に適し、中でも実施例3〜6では極めて優れていることが分かった。
また官能評価においては、EGCg及びGCgの合計の濃度を約1000mg/L(8種カテキン合計量約1200mg/L〜1300mg/L)とし、グルタミン酸濃度(約6mg/L〜14mg/L)とした比較例1、2、4では、「口当たりの刺激」、「渋味」及び「濃厚感」は、同程度のカテキン濃度である実施例1〜4と比較して強調されており、総合的な「おいしさ」についても、同等かそれ以下であることが分かった。
次に、EGCg及びGCgの合計の濃度を約1000mg/L(8種カテキン合計量約1300mg/L)、グルタミン酸濃度を約455mg/Lとした比較例9では、グルタミン酸の呈味与える効果により「口当たりの刺激」、「渋味」及び「濃厚感」のバランスは取れるものの、グルタミン酸の呈味が強調されすぎるため、総合的な「おいしさ」では、許容できない程度であった。
Claims (3)
- 緑茶葉を抽出して得られた緑茶抽出液を含有する容器詰緑茶飲料であって、エピガロカテキンガレート及びガロカテキンガレートを合計値で380mg/L〜1500mg/L含有し、かつグルタミン酸を20mg/L〜120mg/L含有し、かつ拡散透過率が1.0%以下である容器詰緑茶飲料。
- 容器詰緑茶飲料の品温が50℃〜70℃で保持される加温販売用途の請求項1に記載の容器詰緑茶飲料。
- pHが5〜7であることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器詰緑茶飲料。
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