JP6397559B1 - カテキン類を高濃度に含有する緑茶飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、高濃度にカテキンを含有する緑茶飲料であって、加熱殺菌時に発生する加熱劣化臭が低減された容器詰飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】43〜150mg/100mLのカテキン類を含有する容器詰緑茶飲料において、0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドを含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、カテキン類を高濃度に含有する緑茶飲料に関し、より詳細には、カテキン類及びティリロサイドを含有する容器詰緑茶飲料であって、加熱劣化臭が低減された容器詰緑茶飲料に関する。
緑茶飲料は、加熱による風味変化が大きいことが知られている。特に、常温で長期保存可能な容器詰緑茶飲料の製造では過酷な加熱殺菌を必要とするため、異質な加熱臭が発生し、緑茶飲料の香味が著しく低下する。そこで、サイクロデキストリンを用いて緑茶飲料の加熱臭を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
近年、高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料が多く開発されている。この高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料は、加熱による風味劣化がより顕在化する。高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料の加熱劣化臭を抑制する方法として、0.01〜1質量%のエタノールを共存させた状態で加熱殺菌処理する方法(特許文献2)や、緑茶葉の冷水抽出物と温水抽出物を混合して加熱殺菌処理する方法(特許文献3)が提案されている。
特開平1−174328号公報 特開2016−123416号公報 特開2003−219799号公報
本発明は、カテキン類を高濃度に含有していながらも、加熱劣化臭が低減されている容器詰緑茶飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定量のティリロサイドが、高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料の加熱劣化臭の低減に優れた効果があることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは、本発明を完成するに至った。本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1)緑茶抽出物を含有し、加熱殺菌処理された容器詰緑茶飲料であって、43〜150mg/100mLのカテキン類と0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドとを含有する、上記飲料。
(2)緑茶抽出物を含有する容器詰緑茶飲料の製造方法であって、
カテキン類の含有量を43〜150mg/100mLに調整する工程、
0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドを配合する工程、
カテキン類とティリロサイドとを共存させた状態で60℃以上の温度にて飲料を加熱する工程、及び
飲料を容器に充填する工程
を含む、上記製造方法。
本発明により、高濃度のカテキン類を含有していながらも、加熱劣化臭が低減されている容器詰緑茶飲料を提供することが可能となる。これにより、カテキン類の優れた生理作用を有しつつ、且つ香味が良く飲みやすい状態で長期間保管可能な容器詰緑茶飲料を提供することができる。
本発明の一態様は、緑茶抽出物を含有し、加熱殺菌処理された容器詰緑茶飲料であって、43〜150mg/100mLのカテキン類と0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドとを含有する、上記飲料である。
(緑茶飲料)
本発明は、所定量のカテキン類と所定量のティリロサイドとを含有する緑茶飲料である。本発明において「緑茶飲料」とは、緑茶葉から抽出して得られる緑茶抽出物を配合して調製した飲料を意味する。本発明の緑茶飲料は、具体的には、Camellia属(例えば、C. sinensis var. sinensis(やぶきた種を含む)、C. sinensis var. assamica等のCamellia sinensis等)及びそれらの雑種から選択される茶葉で不発酵茶に分類される茶葉(例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等)から抽出して得られる緑茶抽出物を配合して調製した飲料とすることができる。緑茶葉は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
緑茶抽出物としては、緑茶抽出液及び緑茶濃縮物のいずれか1種、又は2種を組み合わせて使用することが可能である。ここで、本明細書において「緑茶抽出液」とは、緑茶葉から抽出溶媒を用いて抽出されたものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。また、「緑茶濃縮物」とは、緑茶抽出液のうち溶媒の一部を除去するなどして非重合体カテキン類濃度を高めたものであり、例えば、濃縮方法として、常圧濃縮、減圧濃縮、膜濃縮等を挙げることができる。茶濃縮物としては市販品を使用してもよい。
緑茶抽出物に加えて、本発明の緑茶飲料には緑茶精製物を配合してもよい。「緑茶精製物」とは、緑茶抽出液を精製して、非重合体カテキン類の純度を高めたものをいう。緑茶精製物としては市販のカテキン製剤を使用してもよい。緑茶精製物を用いると、カテキン類濃度の調製を容易に行うことができる。
緑茶抽出液は、通常の抽出条件で製造される。すなわち、原料茶葉を抽出溶媒にて抽出し、その抽出液から抽出残渣を取り除くことにより得ることができる。抽出は、ニーダー等の抽出装置を用いた公知の方法で行うことができる。
本発明の緑茶飲料では、純水(硬水、軟水、イオン交換水を含む)を抽出溶媒として得られた緑茶抽出液を用いることが好ましい。この場合の抽出条件は、水の温度:60〜100℃(好ましくは、70〜90℃)、水の量:茶葉の重量に対して5〜100倍量(好ましくは20〜60倍量)、抽出時間:約1分〜40分(好ましくは1〜20分間)である。必要に応じて1回〜数回攪拌して、常圧又は加圧下で抽出できる。
本発明の緑茶飲料は、高濃度のカテキン類を含有する。ここで「カテキン類」とは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートの総称を表す。本発明の緑茶飲料ではこれらカテキン類のうち1種以上を含んでいればよい。
本明細書中、「高濃度のカテキン類を含有する」とは、水の溶解状態にあるカテキン類を、43〜150mg/100mL含有することを意味する。本発明者らの検討によると、43mg/100mL以上のカテキン類を含有する緑茶飲料で、加熱殺菌に伴う劣化臭(本明細書中、加熱劣化臭とも表記する)が顕在化する。ここで、緑茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭とは、加熱殺菌処理により茶飲料の香気が劣化して発生するオフフレーバーのことである。茶抽出物に含まれる水溶性の前駆物質が加熱により新たな揮発性成分となり、香気成分のバランスを崩すことが原因であると考えられており、カテキン類の濃度が高い場合は特に加熱劣化臭が強くなることが知られている。本発明の所期の作用効果が顕著に発揮される観点から、本発明の飲料中のカテキン類の含有量は44mg/100mL以上であることが好ましく、45mg/100mL以上又は49mg/100mL以上であることがより好ましい。また、150mg/100mLを超えるカテキン類を含有する緑茶飲料では、本発明の作用効果が発揮されないことがある。本発明の所期の作用効果が顕著に発揮される観点から、本発明の飲料中のカテキン類の含有量は150mg/100mL以下であり、80mg/100mL以下であることが好ましい。なお、確認のために記載するが、上記のカテキン類の含有量は、前記8種の各化合物の含有量の合計を意味する。飲料中のカテキン類の含有量は、高速液体クロマトグラム法(HPLC法)を用いることで、それぞれ個別のピークとして測定することができる。
(ティリロサイド)
本発明は、高濃度のカテキン類を含有する容器詰緑茶飲料で顕在化する加熱劣化臭を、ティリロサイドを用いることによって低減するものである。ここで、ティリロサイド(Tiliroside)とは、フラボノイド配糖体に分類される有機化合物の一種であって、下式(1)の構造を有する化合物である。ティリロサイドの別名はKaempferol-3-O-glucoside-6''-E-coumaroylとも称され、そのCAS登録番号は20316−62−5である。構造名・構造式から自明な通り、ティリロサイドは、ケンフェロール、クマル酸、グルコースから構成されている。
Figure 0006397559
本発明の緑茶飲料は、0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドを含有する。緑茶飲料中のティリロサイド含有量が上記の範囲内であることにより、カテキン類を高濃度に含有する容器詰緑茶飲料の加熱劣化臭を効果的に抑制し、緑茶飲料の香味改善を図ることができる。緑茶飲料中のティリロサイド含有量が0.01mg/100mL未満では、本発明の所期の作用効果が得られないことがある。本発明の所期の効果の大きさから、ティリロサイドの含有量は0.015mg/100mL以上が好ましく、0.02mg/100mL以上がより好ましい。一方、緑茶飲料中のティリロサイド含有量が1.0mg/100mLを超えると、ティリロサイドの呈味(苦味や収斂味)が感じられ、緑茶飲料としての嗜好性を損なうことがある。香味の観点から、ティリロサイドの含有量は0.8mg/100mL以下が好ましく、0.5mg/100mL以下がより好ましく、0.1mg/100mL以下がさらに好ましい。飲料中のティリロサイドの含有量は、HPLCを用いて測定することができる。HPLCによる測定条件を以下に示す。
・溶離液:37.5%アセトニトリル
・流速:1 mL
・検出:UV 254 nm
・カラム:資生堂CAPCELL PAK C18 (4.6 × 250 mm)
ティリロサイドは、市販されている既知の化合物である。本発明では、ティリロサイドは純品又は植物抽出物の形態で用いることができる。ティリロサイドの市販品としては、フナコシより販売されているもの、Merck KGaAによって販売されているもの等が挙げられる。また、ティリロサイドを含有する植物抽出物としては、森下仁丹製のローズヒップ抽出物、オリザ油化製のイチゴ種子抽出物等が挙げられる。植物抽出物を用いる場合、緑茶飲料としての嗜好性を損なわないよう、ティリロサイド濃度が高められた植物抽出物や、脱臭及び/又は脱色処理がされた植物抽出物などの粗精製物を用いることが好ましい。
(容器詰飲料)
上述のとおり、本発明は、カテキン類を高濃度に含有し、加熱殺菌処理して調製した容器詰緑茶飲料の加熱劣化臭を効果的に低減するものである。本発明における加熱殺菌の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60〜150℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは110〜150℃で、1秒間〜60分間、好ましくは1秒間〜30分間とすることができる。容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)を行えばよい。また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、容器に充填することができる。
本発明の緑茶飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などであり、これらに詰めた通常の形態で提供することができる。本発明の緑茶飲料の容量は、特に限定されないが、例えば350mL〜1000mLであり、好ましくは500mL〜2000mLである。
(その他の成分)
本発明の緑茶飲料は、緑茶原料とティリロサイドとを配合して得られる飲料であるが、さらにアスコルビン酸又はその誘導体を配合することが好ましい。ここで、緑茶原料とは少なくとも緑茶抽出物を含む。緑茶抽出物に加えて緑茶由来の成分(例えば、緑茶精製物や緑茶葉を粉砕して得られる粉砕茶葉等)を配合する場合には、これらも緑茶原料とする。アスコルビン酸又はその誘導体を含有させることにより、ティリロサイドの有する加熱劣化臭の低減作用を相加的又は相乗的に高めることができる。本発明の飲料に用いられるアスコルビン酸又はその誘導体としては、食品添加物として用いられるアスコルビン酸又はその誘導体であれば特に制限されない。例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸グリコシド、アスコルビン酸マグネシウムなどのアスコルビン酸塩等が用いられる。本発明の緑茶飲料におけるアスコルビン酸又はその誘導体の含有量は、例えば10〜80mg/100mLであり、好ましくは15〜70mg/100mL、より好ましくは20〜60mg/100mLである。
本発明の緑茶飲料では、さらにナトリウムを含有させると、その所期の効果を増大させることができる。本発明の緑茶飲料におけるナトリウム含有量は、例えば2〜20mg/100mLであり、好ましくは5〜15mg/100mLである。ナトリウムの供給源としては、これらに限定するものではないが、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどが用いられる。中でも緑茶飲料としての香味の観点から、炭酸水素ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどpH調整剤として用いられるナトリウム塩を用いることが好ましい。
上述したアスコルビン酸又はその誘導体とナトリウムとを併用すれば、カテキン類を高濃度で含有する緑茶飲料における加熱劣化臭をより効果的に低減することができる。すなわち、本発明の一つの好ましい態様は、43〜150mg/100mLのカテキン類、0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイド、アスコルビン酸又はその誘導体、及びナトリウムを組み合わせて含む飲料である。ティリロサイド、アスコルビン酸又はその誘導体、及びナトリウムについては、それぞれ単独では成分固有の風味が強く、いずれも単独での飲用は望ましくない味を呈することがあるが、前述の4つの成分を組み合わせることにより、加熱殺菌時の加熱劣化臭を効果的に低減するとともに、各成分固有の望ましくない風味が相互にマスキングされて緑茶飲料を飲用し易くすることができる。
本発明の緑茶飲料には、上記成分に加え、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、必要に応じて、香料、酸化防止剤、pH調整剤等の各種添加剤を配合することができる。
(製造方法)
本発明において、別の観点からは、緑茶飲料の製造方法が提供される。
すなわち、
緑茶抽出物を含有する容器詰緑茶飲料の製造方法であって、
カテキン類の含有量を43〜150mg/100mLに調整する工程、
0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドを配合する工程、
カテキン類とティリロサイドとを共存させた状態で60℃以上の温度にて飲料を加熱する工程、及び
飲料を容器に充填する工程
を含む、上記製造方法である。カテキン類を高濃度に含む緑茶飲料を、カテキン類とティリロサイドとを特定量共存させた状態で加熱し、当該飲料を飲料容器に充填して密封した後、容器詰飲料を冷却することで、加熱殺菌に伴う緑茶飲料の加熱劣化臭を効果的に低減することができる。
カテキン類とティリロサイドとを飲料中にて共存させる方法としては、緑茶抽出物にティリロサイド又はこれを含む植物抽出物を混合してから飲料に配合する方法、緑茶抽出物とティリロサイド又はこれを含む植物抽出物をそれぞれ別々に飲料に配合する方法等、特に制限されない。
本発明の製造方法は、緑茶抽出物及びティリロサイド以外にも、上記に示した各種成分及び材料を配合する工程やそれらの含有量を調整する工程も含むことができる。飲料中の成分の種類やその含有量等の各種要素については、本発明の飲料に関して上述した通りであるか、それらから自明である。本発明の製造方法では、各種成分を配合する方法は限定されない。例えば、公知の方法を用いて各種成分を飲料中に配合することができる。各種成分を配合する工程は同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。また、飲料の加熱工程及び容器詰め(容器充填)工程については、本発明の飲料に関して上述した通りであるか、それらから自明である。また、本発明の製造方法は、飲料を容器に充填した後で容器を密封する工程や、容器詰飲料を冷却する工程をさらに含むこともできる。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
本実施例中、飲料中のカテキン類の分析は以下の測定により実施した。
(カテキン類の分析)
試料となる茶飲料をフィルター(0.45μm)でろ過し、HPLC分析に供した。HPLCの分析条件は以下のとおり。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model II
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレートおよびエピガロカテキンガレート(クリタ高純度試薬)
(実験1:カテキン類含有緑茶飲料の評価)
まず、茶葉抽出物を製造した。10gの緑茶葉に対し熱水(70〜80℃)1000mLを用いて5分間抽出処理を行った後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、緑茶抽出液を得た。次に、カテキン類の含有量が100mLあたり42〜170mgとなるように、得られた緑茶抽出液に水を添加して希釈した。これら種々のカテキン類含有量の緑茶抽出液に30mg/100mLの濃度となるようにアスコルビン酸を添加し、さらに炭酸水素ナトリウムを混合してpH調整を行って、125℃で7分間加熱殺菌処理した。加熱殺菌された緑茶飲料のナトリウム濃度は8mg/100mLであり、pHは6.0であった。この加熱殺菌済みの緑茶飲料をPET容器(500mL)に充填して容器詰飲料(容器詰緑茶飲料)を製造した。得られた容器詰緑茶飲料について、パネル3名にて、1〜5点の5段階評価法にて評価した。官能評価基準は、加熱劣化臭の強さにつき、5点:全く感じない、4点:ほとんど感じない、3点:わずかに感じるが問題ない、2点:やや感じる、1点:強く感じる、として、各パネルが評価した結果を再度全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で表記した。なお、評価点は、2点以上のものが緑茶飲料として許容できる飲料であり、3点以上のものが嗜好性の高い香味良好な緑茶飲料であると判定した。
官能評価結果を表1に示す。カテキン類の含有量が比較的高濃度になると加熱殺菌処理により茶飲料の香気が劣化して発生するオフフレーバー(加熱劣化臭)が強くなった。カテキン類がオフフレーバーのエンハンサーとして作用することが推察された。カテキン類の含有量が43mg/100mL以上の緑茶飲料では、加熱劣化臭が強く感じられ、緑茶飲料としての嗜好性が低下した。
Figure 0006397559
(実験2:ティリロサイドによる加熱劣化臭の抑制効果(1))
実験1で得られた種々のカテキン類含有量の緑茶抽出液に、ティリロサイドが0.02mg/100mL、0.1mg/100mLの濃度となるようにティリロサイド(フナコシ、純度99%)を配合した。これらに対して実験1と同様にアスコルビン酸及び炭酸水素ナトリウムを配合して、加熱殺菌処理した後、PET容器(500mL)に充填して、容器詰緑茶飲料(ナトリウム濃度:8mg/100mL、pH:6.0)を製造した。得られた容器詰緑茶飲料について、実験1と同様にして官能評価試験を行った。
官能評価結果を表2に示す。カテキン類が100mLあたり43〜150mgの緑茶飲料において、ティリロサイドを配合することによる加熱劣化臭の低減効果が得られた。また、表2に示した容器詰緑茶飲料についてはいずれもティリロサイドの呈味(苦味や収斂味)は感じられなかった。高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料の加熱殺菌処理工程の前に、ティリロサイドを配合するという簡便な行為で、緑茶飲料の加熱劣化臭を抑制できた。
なお、下表では示していないが、ティリロサイドの含有量が1.0mg/100mLを超えるものは、ティリロサイドの苦味や収斂味が感じられ、緑茶飲料としての嗜好性が損なわれた。
Figure 0006397559
(実験3:ティリロサイドによる加熱劣化臭の抑制効果(2))
実験1で得られた45.3mg/100mLのカテキン類を含有する緑茶抽出液に、極微量のティリロサイド(0.005〜1.0mg/100mL)を添加した。これらに対して実験1と同様にアスコルビン酸及び炭酸水素ナトリウムを配合して、加熱殺菌処理した後、PET容器(500mL)に充填して、容器詰緑茶飲料(ナトリウム濃度:8mg/100ml、pH:6.0)を製造した。
実験2と同様にして官能評価試験を実施した。結果を表3に示す。表から明らかなとおり、加熱殺菌前にティリロサイドを飲料100mLあたり0.01mg以上、好ましくは0.02mg以上配合することで、加熱劣化臭を抑制できた。1.0mg/100mLより多くのティリロサイドを含有させると、ティリロサイドに起因する苦味が強く感じられ、飲用に適さなかった。
Figure 0006397559

Claims (4)

  1. 緑茶抽出物を含有し、加熱殺菌処理された容器詰緑茶飲料であって、
    43〜80mg/100mLのカテキン類と0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドとを含有し、
    アスコルビン酸又はその塩とナトリウムとを含有する、上記飲料。
  2. 緑茶抽出物、アスコルビン酸又はその塩、及びナトリウムを含有する容器詰緑茶飲料の製造方法であって、
    カテキン類の含有量を43〜80mg/100mLに調整する工程、
    0.01〜1.0mg/100mLのティリロサイドを配合する工程、
    カテキン類とティリロサイドとを共存させた状態で60℃以上の温度にて飲料を加熱する工程、及び
    飲料を容器に充填する工程
    を含む、上記製造方法。
  3. 緑茶抽出物を配合する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 茶葉を純水にて抽出して緑茶抽出物を得る工程をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
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