JP7339398B2 - 抹茶風味付与剤及びこれを含有する緑茶飲料 - Google Patents
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Description
[1]
亜鉛を有効成分として含有する、抹茶風味付与剤。
[2]
緑茶飲料の呈味を強化するための、[1]に記載の抹茶風味付与剤。
[3]
亜鉛源、緑茶葉エキス、並びに粉砕茶葉を含有し、以下、(A)、(B)及び(C)を満たす緑茶飲料:
(A)飲料中の亜鉛含有量が、0.08~4mg/100mLである;
(B)飲料の680nmにおける吸光度が、0.08~0.85である;
(C)飲料のpHが5~7である。
[4]
粉砕茶葉が抹茶である、[3]に記載の緑茶飲料。
[5]
カテキン類の濃度が40mg/100mL以下である、[3]又は[4]に記載の飲料。
[6]
粉砕茶葉が0.001g/100mL~0.1g/100mL添加されている、[3]~[5]のいずれか一項に記載の飲料。
[7]
亜鉛源が亜鉛の水溶性塩又は亜鉛含有酵母である、[3]~[6]のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
[8]
亜鉛源が亜鉛を4質量%以上含有する亜鉛含有酵母エキスである、[7]に記載の緑茶飲料。
[9]
亜鉛源が亜鉛を4質量%以上含有する亜鉛含有酵母エキスであり、飲料の680nmにおける吸光度が0.08~0.85である、[8]に記載の緑茶飲料。
[10]
加熱殺菌済である、[3]~[9]のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
[11]
加熱殺菌済容器詰緑茶飲料である、[10]に記載の緑茶飲料。
[12]
亜鉛の水溶性塩又は亜鉛含有酵母、緑茶葉エキス、粉砕茶葉、アスコルビン酸又はその塩、並びにpH調整のためのアルカリ金属塩からなる、[7]~[11]のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
[13]
緑茶葉エキス及び粉砕茶葉を含有する緑茶飲料の製造方法であって:
(A)亜鉛源を用いて飲料中の亜鉛含有量を0.08~4mg/100mLに調整する工程;
(B)飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整する工程;及び
(C)飲料のpHを5~7に調整する工程
を含む、上記製造方法。
[14]
以下の工程(イ)~(ホ):
(イ)緑茶葉を、水、熱水又は抽出助剤を添加した水溶液で抽出して、緑茶葉エキス
を調製する工程;
(ロ’-1)前記緑茶葉エキスに水不溶性亜鉛含有酵母を混合して、混合液中の亜鉛含有量を0.08~4mg/100mLに調整する工程;
(ロ’-2)前記混合液から固液分離手段により固体(水不溶性成分)を除去する工程;
(ハ’)前記固体が除去された液に粉砕茶葉を混合して、緑茶飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整する工程;
(ニ)pH調整剤を用いて前記緑茶飲料のpHを5~7に調整する工程;及び
(ホ)前記緑茶飲料を容器に充填する工程
を含む、容器詰緑茶飲料の製造方法。
本発明では、抹茶風味付与剤として亜鉛(Zn)を有効成分として用いることを特徴とする。本発明では、抹茶等の粉砕茶葉とともに亜鉛を共存させることにより、粉砕茶葉の有する爽快な苦味・甘さ・香ばしさのある豊かな風味を付与又は増強することができる。粉砕茶葉として抹茶を用いた場合には、じんわりと拡がる旨味と濃茶を点てたときのような濃厚で深い味わい(本明細書中、「コク」という)を付与又は増強することが可能となる。本明細書では、粉砕茶葉の有する爽快な苦味・甘さ・香ばしさのある豊かな風味、及びじんわりと拡がる旨味と濃茶を点てたときのような濃厚で深い味わいを合わせて「抹茶風味」と呼ぶ。
Zn(オリエンタル酵母社製)、亜鉛イースト(Bio Springer社製)等の食用酵母(亜鉛含有)を挙げることができる。水不溶性亜鉛含有酵母を用いる場合には、香味及び食感の観点から、ろ過等の固液分離手段を用いて飲料中から水不溶性成分を除去することが好ましい。
直径150mm)の濾紙の乾燥質量を測定した後、遠沈管内の遠心後の上清固形分を減圧濾
過により集める。次に遠沈管中にイオン交換水を加えて攪拌し、再び同条件で10分間遠心する。遠沈管内の遠心後の上清固形分を該濾紙上に減圧濾過により集める。さらに遠沈管中にイオン交換水を加えて攪拌し、同条件で10分間遠心する。遠沈管内の遠心後の上清固形分を該濾紙上に減圧濾過により集める。残った固形分も該濾紙上に集めて水洗し、減圧濾過する。水洗に用いたイオン交換水は全量で100mLとする。該濾紙を乾燥後に質量を測定する。(水不溶性固形分量(質量%))=((乾燥後の濾紙質量(g))-(濾紙の初期乾燥質量(g)))/10(g)×100とする。
(緑茶飲料)
本発明は、抹茶等の粉砕茶葉の有する豊かな風味が付与された緑茶飲料にも関する。具体的には、ざらつきを感じない程度の少量の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料に、特定量の亜鉛を共存させることにより、粉砕茶葉の風味を付与、強化した緑茶飲料にも関する。粉砕茶葉として抹茶を用いた場合、室温以下の温度帯で飲用した際にも、豊かな旨味と濃厚なコクを味わうことが可能となる。ここで、「少量の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料」とは、濁度を指標として粉砕茶葉の含有度合いを表したときに、0.08~0.85となる量の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料をいう。本明細書でいう「濁度」とは、飲料を500mLP
ETボトルに充填して20℃にし、攪拌(上下に10回振る)して10秒静置後に取得される、680nmにおける吸光度OD680を意味する。濁度が0.85を超える量の粉砕茶葉を含有する飲料は、水不溶性固形分に起因する異物感やざらつきを感じることがある。また、濁度が0.08未満となる量の粉砕茶葉では、亜鉛を共存させても粉砕茶葉の有する風味を十分に付与することができないことがある。本発明の緑茶飲料は、粉砕茶葉を、濁度が0.1~0.8となる量で含有することが好ましく、0.2~0.7となる量を含有することがより好ましい。濁度が0.08~0.85となる量の粉砕茶葉とは、具体的には、0.001~0.1g/100mL、0.005~0.05g/100mL、又は0.007~0.02g/100mLとなる量の粉砕茶葉を添加した緑茶飲料である。
の渋味は茶飲料の風味を形成するのに重要であることから、カテキン類は少なくとも10mg/100mL以上含有することが好ましく、15mg/100mL以上であることがより好ましく、20mg/100mL以上であることがさらに好ましい。カテキン類の含有量は、緑茶葉エキスの抽出温度や配合割合を調整する、緑茶葉エキスに酵素処理を行う、市販のカテキン類製剤を使用するなど、公知の方法を用いて調整することができる。
(緑茶飲料の製造方法)
本発明は、抹茶風味が付与又は増強された緑茶飲料の製造方法にも関する。本発明の緑茶飲料の製造方法は、緑茶葉エキス及び粉砕茶葉を含有する緑茶飲料の製造方法であって、(A)亜鉛源を用いて飲料中の亜鉛含有量を0.08~4mg/100mLに調整する工程;(B)飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整する工程;及び(C)飲料のpHを5~7に調整する工程を含む。上記工程(B)では、粉砕茶葉を0.001~0.1g/100mLとなる濃度で添加して、飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整することが好ましい。
(ロ)前記混合液に粉砕茶葉を混合して、飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整する工程、及び
(ハ)pH調整剤を用いて飲料のpHを5~7に調整する工程
上記工程(イ)の亜鉛含有酵母エキスには、市販品を用いてもよいし、水不溶性亜鉛含有酵母に抽出溶媒(水、水溶性有機溶媒、又はこれらの混合物)を混合、攪拌した後、固液分離して得られる抽出物を用いても良い。水不溶性亜鉛含有酵母から抽出物を得る場合、通常、水不溶性亜鉛含有酵母1重量部に対して5~100重量部程度の抽出溶媒が用い
られる。抽出効率の観点から、抽出溶媒は温水であることが好ましい。具体的には、20~100℃の温水、好ましくは40~95℃の温水、より好ましくは60~90℃の温水、さらに好ましくは70~90℃の温水である。攪拌手段としては、食品等の製造工程で通常使用される各種の攪拌機を使用すればよい。具体例としては、プロペラ攪拌機、高速ミキサー、ホモミキサー、カッター等の各種ミキサーや、ニーダー、エクストルーダー、タービュライザーに代表される混錬機等が挙げられる。中でも、高速に攪拌できるミキサー類を用いるのが好ましい。攪拌時間は、適宜選択すればよいが、通常、1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。生産性の観点から、攪拌時間は24時間以下、好ましくは12時間である。固液分離手段としては、遠心分離やその他濾過手段(例えば、限外濾過、微細濾過、精密濾過、逆浸透膜濾過、電気透析、生物機能性膜などの膜濾過等)から選択される一以上を用いることができる。中でも酸化劣化の影響の少なさ、操作の簡便性等から遠心分離が好適に用いられる。遠心分離は、例えば流速:200~10000L/h、回転数:5000~20000rpmの条件で行えばよく、この際、流速、回転数、遠心沈降面積(Σ)などを変えることで最終的に得られる抽出液の清澄度を調整することができる。
(イ’)水不溶性亜鉛含有酵母と緑茶葉エキスを混合して、混合液中の亜鉛含有量を0.08~4mg/100mLに調整する工程、
(ロ’)前記混合液から固液分離手段により固体(水不溶性成分)を除去する工程、
(ハ’)前記固体が除去された液に粉砕茶葉を混合して、飲料の680nmにおける吸光度を0.08~0.85に調整する工程、及び
(ニ’)pH調整剤を用いて飲料のpHを5~7に調整する工程
ものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
(亜鉛含有量の分析)
緑茶飲料中の亜鉛含有量は、ICP発光分光分析装置(Optima2100DV、パーキンエルマー社製)を用いてICP発光分光分析法により測定した。
(カテキン類含有量の分析)
試料となる緑茶飲料をフィルター(0.45μm)でろ過し、HPLC分析に供した。HPLCの分析条件は以下のとおり。
・HPLC装置:TOSOH HPLCシステム LC8020 model II
・カラム:TSKgel ODS80T sQA(4.6mm×150mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(90:10:0.05)
・移動相B:水-アセトニトリル-トリフルオロ酢酸(20:80:0.05)
・検出:UV275nm
・注入量:20μL
・流速:1mL/min.
・グラジエントプログラム:
時間(分) %A %B
0 100 0
5 92 8
11 90 10
21 90 10
22 0 100
29 0 100
30 100 0
・標準物質:カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート(クリタ高純度試薬)
(アスコルビン酸含有量の分析)
試料となる緑茶飲料をフィルター(0.45μm)でろ過した液1~5gに5%メタリン酸溶液に加え(50mL)て希釈した。これを遠心分離、ろ過した後、ろ液1mLを小試験管にとり、5%メタリン酸溶液1mLを加えた後、0.2%ジクロロフェノールインドフェノール溶液100μLと2%チオ尿素-5%メタリン酸溶液2mLを加え、これに2%2,4-ジニトロフェニルヒドラジン-4.5mol/L硫酸0.5mLを加え、38~42℃で16時間反応させた。反応後、酢酸エチル3mL(振盪60分間)で抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、HPLC分析に供した。HPLCの分析条件は以下のとおり。
・HPLC装置:LC-10AS(島津製作所製)
・検出:UV-VIS検出器(波長495nm)、SPD-10AV(島津製作所製)
・カラム:Senshupak Silca-1100(4.6mm×100mm)、
・カラム温度:35℃
・移動相:酢酸エチル-ヘキサン-酢酸-水の混合液(60:40:5:0.05)
・流速:1.5mL/min
(濁度の測定)
飲料の濁度は、飲料を500mLPETボトルに充填して20℃にし、攪拌(上下に10回振る)して10秒静置後に、分光光度計(島津製作所 分光光度計 UV-1600)を用いて、680nmにおける吸光度OD680を測定した。
(pHの測定)
飲料100mLを300mLのビーカーに量り取り、20℃に温度調整をしてpHメーター(堀場製作所製、HORIBA pHメーターF21)を用いて測定した。
まず、緑茶飲料のベースとなる緑茶葉エキスを製造した。煎茶葉(一番茶を中心とした弱火煎茶)の乾燥重量に対して30重量部の水を抽出溶媒として用いた。60℃の水で5分間抽出した後、茶葉を分離し、さらに遠心分離処理(6000rpm、10分)して粗大な粉砕茶組織や茶粒子などの固形分を除去して、カテキン類含有量が60mg/100mL緑茶葉エキスを得た(緑茶葉エキスA)。緑茶葉エキスAをカテキン類含有量が12.5mg/100mLとなるように水で希釈して、緑茶抽出液を製造した。この緑茶抽出液に、粉砕茶葉として、碾茶を石臼で挽いて製造された抹茶(D90:20μm)を0.007g/100mLとなるように混合した。これに、40mg/100mLの濃度となるようにアスコルビン酸を添加し、さらにpH6.4となるように重曹(炭酸水素ナトリウム)を混合した。さらに、グルコン酸亜鉛(扶桑化学社製、亜鉛含有量約14%)を亜
鉛含有量が表1の含有量となるように添加した。これを125℃で7分間加熱殺菌処理した。この加熱殺菌済緑茶飲料をPET容器(500mL)に充填して容器詰緑茶飲料を得た。容器詰緑茶飲料のカテキン類含有量は13mg/100mL、アスコルビン酸含有量は31mg/100mLであり、濁度(OD680)は0.15、pHは6.2であった。
実験1の1-5の緑茶飲料について、表2の濁度となる量の抹茶を配合すること以外は、実験1と同様にして容器詰緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.1)を製造し、評価した。また、参考例として、グルコン酸亜鉛中のグルコン酸と同量のグルコン酸を配合した緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.1)を製造した。
実験1の1-1、1-5、及び1-8の緑茶飲料で使用した抹茶を、煎茶(深蒸し茶)をミルで粉砕して得られた粉砕茶葉(D90:25μm)に変える以外は、実験1と同様にして容器詰緑茶飲料を製造して、評価した。評価結果を表3に示す。粉砕茶葉が煎茶の場合にも、亜鉛と粉砕茶葉を共存させることによりコクや甘みといった抹茶風味が強化された。
実験1の抹茶を20倍量の水に懸濁させて、マルチ撹拌システム(プライミクス株式会社製、商品名「T.K.ロボミックス」、仕様:T.K.ホモミキサー、処理条件:回転数10,000rpm×5分間)を用いて微細化抹茶(D90:2μm)の分散液を得た。この微細化抹茶分散液を、実験1の緑茶葉エキスAをカテキン類含有量が12.5mg/100mLとなるように水で希釈した緑茶抽出液に、15重量%、30重量%の濃度で混合し、さらに実験3と同様に、アスコルビン酸、重曹、グルコン酸亜鉛を添加し、加熱殺菌処理して容器詰緑茶飲料を得た。容器詰緑茶飲料のカテキン類含有量は13~14mg/100mL、アスコルビン酸含有量は31mg/100mLであり、pHは6.2であった。表4に、実験1と同様に評価した結果を示す。粉砕茶葉として微細化抹茶を用いた場合にも、亜鉛による抹茶風味付与効果が確認できた。
実験1の緑茶葉エキスAをカテキン類含有量が16mg/100mLとなるように水で希釈し、抹茶の配合量を0.02g/100mLとなるようにした以外は、実験1と同様に、グルコン酸亜鉛を用いて種々の亜鉛含有量の容器詰緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.2)を製造した。実験1と同様に、亜鉛無添加を1点(コントロール)、サンプル5-7の飲料の濃厚感を4点として4段階評価法にて評価した。評価結果を表5に示す。濁度が0.4の緑茶飲料においても、亜鉛による抹茶風味付与効果が確認できた。緑茶飲料5-8について、少しくどいと感じるパネルが1名存在したことから、亜鉛量の上限は4mg/100mL程度であることが示唆された。
表6に示すカテキン類含有量となるように、緑茶抽出液Aの希釈度合いを変える以外は、実験5-1、5-3、及び5-5の緑茶飲料と同様にして容器詰緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.2)を製造し、評価した。評価は、それぞれのカテキン類含有量の緑茶飲料において、亜鉛無添加の飲料の濃厚感を1点として4段階評価した以外は実験1と同様に行った。評価結果を表6に示す。カテキン類含有量が45mg/100mLの緑茶飲料は、カテキン類の渋味が強く知覚され、亜鉛による抹茶風味付与効果が知覚されにくい傾向にあった。カテキン類含有量が8mg/100mLの緑茶飲料は、亜鉛による抹茶風味付与効果は確認できるが、渋味が少なくて水っぽい(薄すぎる)と評価するパネルが存在した。これより、カテキン類含有量は、10~40mg/100mLの緑茶飲料が、亜鉛による抹茶風味付与効果が顕著にあり、風味豊かな緑茶飲料であることが示唆された。
実験6の6-7及び6-8の緑茶飲料について、抹茶配合量を表7に示す濁度となる量にする以外は、実験1と同様にして緑茶飲料と同様にして容器詰緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.2)を製造し、評価した。濁度0.08となるような少ない量の抹茶を添加した緑茶飲料においても、0.08mg/100mLの亜鉛による抹茶風味付与効果が確認できた。
実験7の7-1及び7-2の緑茶飲料について、抹茶配合量を表8に示す濁度となる量にする以外は、実験1と同様にして緑茶飲料と同様にして容器詰緑茶飲料8-1及び8-3(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.2)を製造し、評価した。また、亜鉛含有量を0.07mg/100mLとした以外は8-1及び8-3と同じ緑茶飲料8-2も製造した。結果を表8に示す。濁度0.09の緑茶飲料においても、0.08mg/100mLの亜鉛による抹茶風味付与効果が確認できた。
グルコン酸亜鉛を水溶性の亜鉛含有酵母エキス(イーストリッチシリーズ(亜鉛)、オリエンタル酵母工業株式会社、5質量%亜鉛含有)に変える以外は実験6-7及び6-9と同様にして、容器詰緑茶飲料(アスコルビン酸含有量:31mg/100mL、pHは6.2)を製造した。実験1と同様に、緑茶飲料の風味を評価した。濁度0.85の緑茶飲料においても、0.08mg/100mLの亜鉛による抹茶風味付与効果が確認できた
。
実験6の6-9の緑茶飲料のグルコン酸亜鉛を亜鉛含有酵母に変えて、容器詰緑茶飲料を製造した。まず、実験1の緑茶葉エキスAをカテキン類含有量が25mg/100mLとなるように水で希釈して、緑茶抽出液を製造した。次に、この緑茶抽出液に、実験1の抹茶を0.02g/100mLとなるように混合した。これに、40mg/100mLの濃度となるようにアスコルビン酸を添加し、さらにpH6.4となるように重曹(炭酸水素ナトリウム)を混合した。さらに、水溶性の亜鉛酵母エキス(イーストリッチシリーズ(亜鉛)、オリエンタル酵母工業株式会社、5質量%亜鉛含有)を、緑茶飲料中の亜鉛含有量が0.2mg/100mLとなるように添加した。実験1と同様にして加熱殺菌処理して容器詰緑茶飲料(10-1)を得た。容器詰緑茶飲料のカテキン類含有量は26mg/100mL、アスコルビン酸含有量は32mg/100mLであり、濁度(OD680)は0.4、pHは6.2であった。
実験11:亜鉛含有酵母による抹茶風味付与効果(2:水不溶性亜鉛含有酵母)
実験9の緑茶飲料の亜鉛含有酵母を水不溶性亜鉛含有酵母に変えて、容器詰緑茶飲料を製造した。まず、実験1の緑茶葉エキスAをカテキン類含有量が25mg/100mLとなるように水で希釈して、緑茶抽出液を製造した。この緑茶抽出液に、実験10の緑茶飲料10-1で用いた亜鉛酵母エキスと同量の水不溶性亜鉛含有酵母(ミネラル酵母シリーズ(亜鉛)、オリエンタル酵母工業株式会社、5質量%亜鉛含有)を混合して5分間攪拌
した後、遠心分離(株式会社コクサン製、商品名「冷却/高速遠心機 H-9R」、処理条件
:6300rpm、2分間)して上澄みを採取した。この上澄み液に実験1の抹茶0.02g/100mL、40mg/100mLのアスコルビン酸を添加し、さらにpH6.4となるように重曹(炭酸水素ナトリウム)を混合した。実験1と同様にして加熱殺菌処理して容器詰緑茶飲料(11-1)を得た。容器詰緑茶飲料のカテキン類含有量は25mg/100mL、亜鉛含有量は0.2mg/100mL、アスコルビン酸含有量は30mg/100mLであり、濁度(OD680)は0.4、pHは6.1であった。
原材料名が緑茶、ビタミンC(アスコルビン酸)と表記された市販の緑茶飲料5種(A~E;表8参照)に、実験10で用いた水溶性の亜鉛酵母エキスを亜鉛含有量が0.08mg/100mL、0.2mg/100mLとなるように添加した。A~Eの飲料それぞれについて、亜鉛無添加飲料と亜鉛添加飲料をそれぞれ組み合わせたペアを提示して、実験10と同様に2点識別試験により評価した。濁りのある緑茶飲料で、カテキン類含有量が少ない緑茶飲料において、亜鉛添加による抹茶風味付与効果が有意に強く、コクや甘みが強いと指摘した。
Claims (6)
- 亜鉛の水溶性塩又は亜鉛含有酵母、緑茶葉エキス、粉砕茶葉、アスコルビン酸又はその塩、及びpH調整のためのアルカリ金属塩を含む容器詰緑茶飲料であって、以下、(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)緑茶飲料中の亜鉛含有量が、0.08~4mg/100mLである;
(B)緑茶飲料の680nmにおける吸光度が、0.08~0.85である;
(C)緑茶飲料のpHが5~7である;
(D)緑茶飲料中のアスコルビン酸の含有量が、10~80mg/100mLである、
を満たし、かつ
以下の飲料(ア)及び(イ)を除く、前記緑茶飲料:
(ア)青汁成分を含む飲料;
(イ)亜鉛の水溶性塩又は亜鉛含有酵母、緑茶葉エキス、粉砕茶葉、アスコルビン酸又はその塩、及びpH調整のためのアルカリ金属塩からなる容器詰緑茶飲料であって、以下、(A’)、(B’)、(C’)、及び(D’)を満たす、前記緑茶飲料:
(A’)緑茶飲料中の亜鉛含有量が、0.08~4mg/100mLである;
(B’)緑茶飲料の680nmにおける吸光度が、0.08~0.85である;
(C’)緑茶飲料のpHが5~7である;
(D’)緑茶飲料中のアスコルビン酸の含有量が、10~80mg/100mLである。 - カテキン類の濃度が40mg/100mL以下である、請求項1に記載の緑茶飲料。
- 加熱殺菌済である、請求項1又は2に記載の緑茶飲料。
- 緑茶飲料中の粉砕茶葉含有量が0.001~0.1g/100mLである、請求項1~3のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
- 前記粉砕茶葉の90積算%粒子径(D90)が1~80μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
- 前記容器の開口部の面積が1200mm2以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載の緑茶飲料。
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