JP2005333862A - 緑色度の高い不発酵茶および緑色度の高い不発酵茶の製造方法 - Google Patents

緑色度の高い不発酵茶および緑色度の高い不発酵茶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
緑色度の高い不発酵茶葉抽出液の緑色を加熱殺菌、保存を経るペットボトル等の容器入り製品の形態で製品化後も効果的に維持し、従来無い緑色度が高くそれに伴い良好な風味を有する新規な容器入り茶飲料を提供することを課題とする。
【解決手段】
不発酵茶葉を低温抽出処理等して得た緑色度の高い抽出物に金属酵母、グルコン酸塩、硫酸塩等の中から選ばれる少なくとも一つの形で亜鉛イオンおよび/または銅イオンを添加し、抽出物中の金属と亜鉛イオン、銅イオンを置換処理することで、容器入り飲料の形態で従来品より緑色度が高く、風味の良い新規な茶飲料とその茶飲料を製造する方法を提供することが可能となった。

Description

本発明は、ペットボトル等の容器入り飲料として提供される不発酵茶において、従来無い美しい緑色を持ち、その緑色を維持することができる、新規な不発酵茶と該不発酵茶の製造方法に関するものである。
日常的にお茶として飲用されている飲料は主にツバキ科に属する同じ品種の葉を原料としている。 この茶葉には酵素があり、葉を摘み取ったままにしておくとこの酵素の働きにより徐々に茶葉がいわゆる茶色になってくるため、この酵素の働きを加熱処理等で停止させ、茶葉を不発酵の状態で抽出処理して緑色の飲料として飲用されているのが緑茶である。近年、従来からボトル飲料等として消費されている烏龍茶等の半発酵茶や紅茶等の発酵茶に加えてこの緑茶、あるいは緑茶に他の葉もの茶や機能性成分、栄養成分をブレンドし、缶飲料、ボトル飲料として飲用する緑茶ドリンクの市場が急速に拡大してきた。しかしながらボトル飲料等は飲用に際して茶葉から茶を湯で抽出して温かい内に飲用する茶の通常の喫茶態様と異なり、長期間に渡って容器に入った状態で抽出液として保存する必要があるため、その間の風味の維持はもちろん、緑茶としてのテクスチャーに最も影響するその緑色を維持しなければならないという難しい課題があった。
しかしながら、現在までその課題を実質的に克服した例はなく、ボトル飲料等として市販されている緑茶飲料は茶葉から抽出したての美しい緑色を維持しているものはなく、緑茶というより山吹色茶と言った方が適切で、容器の色や包装デザインで印象を補っているものがほとんどである。
このような現状であるが、緑茶の緑色を安定化する方法として茶葉抽出物を銅製容器中で加熱処理したり、加熱した抽出物を銅粒を充填したカラムに通液することで抽出物中のクロロフィルを銅クロロフィルとして緑茶抽出物の緑色を安定化する方法が報告されている(特許文献1)。他に本願発明に関連しボトル容器等の包装形態で製品化された緑茶の緑色を維持する方法についての先行文献は見当たらないが、ワラビ、キュウリ等の漬け物や惣菜を対象とし、これらの植物体を亜鉛イオンと鉄イオンを含有する処理液で加熱浸漬処理するか亜鉛酵母等の金属含有酵母を含む処理液で加熱浸漬処理することで植物体の緑色を固定あるいは復元し、その後その緑色を維持する方法が報告されている(特許文献2、特許文献3)。
以上のような報告はあるが、先に述べたように、現在のところ茶葉から抽出直後の美しい緑色を製品化後も維持したボトル飲料等の緑茶飲料は市販されていない。緑色を維持した茶製品としては、茶葉を粉砕処理した抹茶などの粉製品をそのまま原材料として用いたもの(例えば特許文献4)があるがこれはあくまでも茶葉そのものを用いたものであり、茶葉からの抽出物を製品化したものではない。一方、例えば二軸エクストルーダー等を用いて低温で抽出操作を行う方法(特許文献5)で得られる茶葉抽出物は従来の市販緑茶飲料に比べてより美しい緑色を示し、また旨味に関係するアミノ酸が熱水抽出の場合より多く抽出されるため従来の熱水抽出品より良好な風味を有する抽出物が得られ、新規な茶飲料と言うべきものであった。しかしながらこの特許文献における抽出物の保存温度を僅かでも上げると緑色の退色が急速に進むことが明かとなり、実際にこの抽出物をペットボトル等の容器入り製品として提供する為にはさらに高い温度でこの高レベルの緑色の美しさを維持し、なおかつ旨味成分の多いこの抽出物のお茶としての旨味に影響しない効果的な緑色維持方法を開発するという新たな技術課題の解決が不可欠であった。
特開平7−112号公報 特許第2872971号公報 特開2004−67546号公報 特開平10−229838号公報 特開2004−41237号公報
本発明者らは、特許文献5の低温抽出法を茶葉に用いると抽出物の緑色度が非常に高く、また風味の点でも旨味成分を多く含む従来無い抽出物が得られることから、この抽出物の美しい緑色と豊かな旨味を持つという優れた特性を各種の保存条件に曝される製品化後も効果的に維持できる緑色維持方法を検討し、従来無い美しい緑色を保持し、かつ風味の良い新規なペットボトルや缶入り等の緑茶ドリンクを提供することを課題として鋭意検討を行った。特に現在市販されている緑茶飲料と特許文献5によって製造された茶葉の低温抽出物(加熱前)の緑色度には大きな隔たりがあるため、この従来無い低温抽出物の美しい緑色を数回の加熱工程、保存期間を経る製品においても維持することが最大の課題となった。
表1に現在市販されている主なペットボトル入り緑茶飲料のブリックス値(以下Brix)とその緑色度を色差計でa値として測定した結果を示す。本来緑色度としてのa値はマイナスa値として表されるものであるが、市販品にはマイナスa値となるものはなく、全て赤色度の指標であるプラスのa値を示し、その値から現在市販されているペットボトル入り緑茶飲料は緑茶と言うより赤味を帯びた山吹色の飲料として市場に提供されていることが明らかとなった。これに対し、先の低温抽出物(未加熱品)は市販品と同様のBrixにおいてマイナス9というa値を示した。この為、この低温抽出物の示す美しい緑色を出来るだけ製品にも維持し、これまでない新規な緑茶として市場に提供することが本発明の第一の課題であり、具体的には各種の保存試験を経た後でも少なくとも市販品よりa値が1程度低い新規な緑茶ドリンクを提供することを目的とした。また特許文献5の低温抽出物は従来の熱水抽出物に比べてグルタミン酸などの旨味成分が多く、一方、タンニンなどの苦み成分は少ないため、玉露に似た良好な風味を持つ抽出物となっている。その為、第一の課題を解決することによってこの良好な風味が犠牲とならないようにすることが第二の課題となった。
Figure 2005333862
通常、緑茶飲料の褐変防止策としては、酸化反応を防止する意味合いでアスコルビン酸等の酸化防止剤を添加したり、容器のヘッドスペース内の空気を窒素に置換する方法等が行われている。本発明者らもこれらの方法を検討したところ期待した効果を得ることは出来なかった。一方、本発明者らは、今回の発明対象とは別の対象物の検討において、茶葉の粉砕物である抹茶の緑色増強、維持を目的として金属イオン、特に亜鉛イオン、銅イオンのクロロフィル安定化効果に着目し、グルコン酸亜鉛について検討を行ったところ、抹茶の緑色増強、維持にはグルコン酸亜鉛は期待した効果を示さないという結果を得ていた。しかしながら、今回の発明対象物である特許文献5の低温抽出物は抹茶のような茶葉の粉砕物ではなく抽出物である為、改めて亜鉛イオン、銅イオンを、グルコン酸塩、硫酸塩、金属含有酵母等の形で添加したところ、抹茶の場合とは異なり、効果的に抽出物の緑色が維持され、数回の高温の加熱処理工程を経た後でも抽出物の緑色がそれらの工程中ほとんど退色しないことを見出した。そしてさらにその効果はボトル容器に充填し30℃30日間保存後にも美しい緑色が維持され、かつ添加物による茶の味に与える影響もないことを確認し、従来無い美しい緑色を呈し、優れた風味を持つ、これまで市販されたことのない新規な緑茶飲料をペットボトル等の容器入り緑茶飲料として提供することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
1) 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標としてのa値が、Brix0.1以上0.4未満のときに2.5からマイナス11であり、Brix0.4以上0.6未満のときに3.0からマイナス10であり、Brix0.6以上1.0未満のときに5.0からマイナス6であり、Brix1.0以上2.0未満のときに6.0からマイナス5であること、を特徴とする不発酵茶、
2) 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標としてのa値が、Brix0.1以上0.4未満のときに2.3からマイナス9であり、Brix0.4以上0.6未満のときに3.0からマイナス8であり、Brix0.6以上1.0未満のときに4.0からマイナス5であり、Brix1.0以上2.0未満のときに5.0からマイナス4であること、を特徴とする不発酵茶、
3) 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標であるa値が、Brix0.1以上0.4未満のときに2.0からマイナス9であり、Brix0.4以上0.6未満のときに2.8からマイナス8であり、Brix0.6以上1.0未満のときに3.0からマイナス5であり、Brix1.0以上2.0未満のときに4.0からマイナス4であること、を特徴とする不発酵茶、
4) 1)から3)に記載のa値が製品容器に充填後30℃30日保存後の値であること、を特徴とする不発酵茶、
5) 製品がプラボトル、缶、紙パック、カップ、瓶、ゲーブル、チアパックの形で供給される1)から4)に記載の不発酵茶、
6) 茶葉を二軸エクストルーダーもしくはコロイドミル中で50℃以下の低温溶媒と共に粉砕抽出処理し、抽出滓と抽出液を分離した後、抽出液に亜鉛酵母、銅酵母、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、硫酸亜鉛、硫酸銅の中から選ばれる少なくとも一つの緑色安定化剤を前記抽出液に添加すること、を特徴とする請求項1から4に記載の不発酵茶の製造方法、
7) 緑色安定化剤を添加後に抽出液中の金属と緑色安定化剤中の金属との置換処理を行うこと、を特徴とする請求項6記載の不発酵茶の製造方法、
8) 6)または7)に記載の緑色安定化剤の添加濃度が金属濃度で3ppmから100ppmである不発酵茶の製造方法、
に関するものである。
本発明の緑色度の高い不発酵茶は例えば特許文献5に示す低温抽出物を対象とした場合に得ることができるが、他の方法で得られた茶葉抽出物であっても良好な緑色度を示す茶葉抽出物であればその抽出物に亜鉛イオンや銅イオン等の金属イオンを適応することで緑色度が従来無い高い状態で維持される不発酵茶を得ることができる。
茶葉抽出物に亜鉛イオン、銅イオン等を作用させて抽出物中の金属(恐らくクロロフィル中の金属)と置換することで本発明品の緑色の安定化が成されると考えられる。この際、茶葉の粉砕物である抹茶では良好な結果が得られなかったことから、茶葉の細胞壁が残る程度の操作を経た段階では金属の置換は不十分で、抽出操作を行いクロロフィルが細胞外に露出していることが必要と考えられる。一方、特許文献2,3に於いては植物体自体に金属イオンを作用させた場合、つまり細胞壁が残っている場合でも緑色の復元、維持効果があることが示されている。不発酵茶の場合、茶葉中の酸化酵素を失活させる為に、茶葉を蒸す(日本茶)か釜煎り(中国茶)する加熱操作を行っている。この加熱操作が細胞壁の状態に変化を及ぼして、金属イオンの置換効率に影響を与えているものと考えられる。
金属イオンを抽出物に作用させる方法としては、グルコン酸塩、硫酸塩、金属含有酵母等の形で抽出物のBrixが0.3程度の時、金属濃度として3ppmから100ppm程度、好ましくは10ppmから60ppm程度、より好ましくは15ppmから40ppm程度で抽出物に各添加物を添加した後、例えば金属の置換操作と加熱殺菌とを兼ねて90℃10分間程度加熱処理を行う。加熱温度が高ければ処理時間は短くなり例えばプレート式熱交換機を用いて140℃3秒間で殺菌と置換操作を同時に行うことも出来る。
金属イオンの添加濃度は緑色安定化効果、添加物の種類、抽出物の濃度(Brix)等を勘案して決定するが金属イオンを栄養成分として見た場合には他の判断基準を勘案して添加濃度を決めていくこともできる。他の判断基準とは、例えば亜鉛、銅等の一日所要量(9〜10mg程度 参考;第六次改訂日本人の栄養所要量)を参照しながら茶葉抽出物への添加濃度を決めていくような場合である。
以上のようなポイントを考慮した結果、本発明品に必要な金属イオン濃度は例えばBrix0.3程度の茶葉抽出物にグルコン酸亜鉛を用いた場合、その添加濃度は金属濃度として15ppmから20ppm程度である。この濃度で飲料1リットルあたりの亜鉛量は15mgから20mgとなり、先に述べた亜鉛の一日栄養所要量10mgを考慮した場合でも無理のない範囲で本発明品の緑色維持が成されていることが確認できる。
尚、本発明品に他の公知の方法、例えば安定化剤であるアスコルビン酸等の酸化防止剤を添加したり抽出物の脱酸素処理やヘッドスペースの窒素置換処理をすることは本発明品の効果をより増強する効果があるので必要に応じて適宜組み合わせて用いればよい。
また例えば飲料量が限定される態様を想定した場合等にはさらに添加濃度を上げることで緑色の安定性がさらに増強されることは言うまでもない。
また飲料として考慮しなければならない金属の添加が味に与える影響を見たところ、亜鉛、銅の場合は50ppm添加した場合でも添加直後も保存試験後も味への影響は認められず、むしろ発明品の良好な風味を安定化させる効果もあり味に与える影響を考慮して亜鉛、銅の添加量に制限を加える必要は認められなかった。唯一、金属含有酵母の形で添加した場合にはその濃度によって酵母の味が認められる場合もあるがその場合でも、パン酵母など良好な風味を持つ酵母を選択することでむしろお茶にとって良好な風味が付加され実質的に影響のない形で使用することができる。
さらに金属含有酵母を用いた場合には、酵母をそのまま製品中に含有させておく態様に加えて、添加した酵母を金属置換処理後にクラリファイヤー処理、遠心分離、フィルター処理等で飲料中から取り除くこともできるので製品設計により幅をもたすことが出来る。
一方、硫酸亜鉛等は溶解性が高いので茶葉の低温抽出操作を行う時点で装置に加える液中に添加しておくこともできる。しかしながら低温抽出工程時に緑色の退色は認められないので通常は抽出操作完了後の抽出液に金属添加物を加える方が添加濃度の管理がし易いなど工程管理上より望ましいといえる。
本発明により、ボトル飲料等の製品形態で、従来のボトル飲料には無い美しい緑色を安定に維持し、且つ風味の良い不発酵茶(緑茶)を提供することが可能となった。特に特許文献5に示す茶葉の低温抽出物を対象とした場合、この抽出物に、亜鉛イオン、あるいは銅イオンを作用させる操作を行うことで、市販されている緑茶飲料と比べて明確に緑色度が高い飲料となり、文字どおり初めて緑茶と呼ぶことができる新規なボトル入り緑茶飲料を市場に提供することが可能となった。
本発明品のベースとなる緑色度が高く風味の良い不発酵茶葉低温抽出物は特許文献5に示される実施例を参考例として製造することができる。その製造法の要旨はかぶせ茶などの不発酵茶葉を二軸エクストルーダーもしくはコロイドミルに入れて茶葉を粉砕処理し、その際に50℃以下マイナス5℃以上好ましくは40℃以下マイナス5℃以上より好ましくは30℃以下マイナス5℃以上の低温溶媒で抽出処理し、その後抽出滓と抽出液を分離することで緑色度が高く風味の良い低温抽出物を得るというものである。この方法の場合、通常の熱水抽出品のような抽出時の加熱によるクロロフィル等の速やかな褐変が起こらず、また低温短時間での抽出にもかかわらず茶葉中の緑色や旨味に関係する成分は熱水抽出品と比べてより多く抽出される為例えばその緑色度を示す色差計で測定したa値は−9と明確に緑色としての数値を示す(表1)。
本発明品の緑色度はあくまでも不発酵茶葉抽出物の呈する緑色であり、他の添加物、例えば緑色の着色料や抹茶、玉露粉末、煎茶粉末等の通常食品に緑色を付加するために用いられる茶葉粉砕物、茶葉以外のゴーヤ等の緑色植物粉砕物等が添加された結果得られた緑色度ではない。これらを加えた結果見かけ上本発明品と同様の緑色度が得られたとしても、それは緑色の添加物を加えた結果実現した緑色度であり、本発明の、茶葉抽出物の緑色を安定化した結果得られた緑色度とはまったくその技術的意義が異なる。しかしながら、このことは本質的に抽出物自身の緑色が高く安定化している状態でさらに茶葉粉砕物以外のゴーヤ粉末等を添加する態様を否定するものではない。これらの素材は緑茶に機能性を付加するために添加する場合もあるからである。
本発明品に用いる緑色安定化剤は亜鉛、および/または銅のグルコン酸塩、硫酸塩、金属含有酵母等の形で用いることができる。金属含有酵母は食品として用いられており本発明品に比較的用いられ易い。金属としての添加濃度に安定化剤の種類による大きな差はなく最大100ppm程度を用いることができる。
本発明品の緑色度はハンターの色差式によるLab色差計における色調の色差aを指標として表すことができ、現在市販されている容器入り茶製品より低いa値を示すことが特徴である。例えば30℃30日間保存試験後のa値が、Brix0.3付近の時、2.5から-11、Brix0.5付近で3.0から-10、Brix0.8付近で5.0から−6、Brix1.0以上で6.0から-5の状態を維持することができる。Brixが高いと安定化すべきクロロフィルが多くなる為、緑色安定化剤の添加量も増加させた方が安定化効果は高いが添加量の上限はどのような食品として市場に提供するのかという商品性等を考慮し、先に挙げた最大100ppmの範囲内で判断すれば良い。またBrixが高いと抽出されてくる成分の割合も異なりa値も高くなる傾向があるため、本発明に於いてはBrixに関連させて保存試験後の到達すべきa値をBrix毎に設定した。従ってこの保存試験条件は発明当初におけるa値設定の基準を示したものであり、本発明品の保存性自体を示したものではない。表2から表4に本発明品と対照品の緑色度と風味の変動について4℃と30℃保存時に検討した結果を示す。
Figure 2005333862
Figure 2005333862
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以下に、本発明品の実施の態様を具体的に示して本発明をより詳細に説明するが本発明は以下の実施態様に限定されるものではない。
[実施例1]
茶葉(かぶせ茶)を20℃のイオン交換水中で二軸エクストルーダーを用いて粉砕、急速抽出した。この抽出液をガーゼでこしたロ液をBrix0.30%に調整した後、0.04%(w/v)亜鉛酵母(マリンバイオ社製、亜鉛含有量約10%)あるいは0.01%(w/v)グルコン酸亜鉛(扶桑化学社製、亜鉛含有量約14%)を添加し、90℃10分間加熱殺菌した。殺菌後冷却しペットボトルに充填後、4℃下で静置し、抽出液の経時的色差と風味の変化を調べることで、亜鉛イオンの緑色度保持効果、風味保持効果を確認した(表2、表3)。緑色度保持効果の確認にはLab色差計を用い、a値を測定した。風味保持効果の確認には、官能試験を行い5段階で評価を行った。
測定機器 Brix ;ATAGO社製デジタル屈折計RX5000 測定温度20℃。
a値;東京電色(株)カラーアナライザーTC-1800J 以下同様に使用。
[実施例2]
茶葉(かぶせ茶)を20℃のイオン交換水中で二軸エクストルーダーを用いて粉砕、急速抽出した。この抽出液をデカンタで固液分離したロ液をBrix0.55%に調整し、抗酸化剤としてアスコルビン酸ナトリウムを0.12%添加後、亜鉛最終濃度0.002%(w/v)となるように亜鉛酵母(マリンバイオ社製亜鉛含有量約10%)を添加した後、プレート式熱交換機で140℃、3秒間のUHT式加熱殺菌を行った。殺菌後抽出液の色差と風味を調べることでUHT加熱殺菌後の緑色度と風味を確認した。さらに亜鉛最終濃度0.002%(w/v)の抽出液をペットボトルに充填後、長期間30℃で保存試験を行い、加温保存による風味、緑色度の変動を検討した(表4)。風味は、官能試験において5段階評価を行った。緑色度保持効果の確認にはLab色差計を用い、a値を測定した。
[実施例3]
茶葉(かぶせ茶)を20℃のイオン交換水中で二軸エクストルーダーを用いて粉砕、急速抽出し、茶葉抽出液を調製した。この抽出液をガーゼでこしたロ液をBrix0.30%に調整した後、0.002%(w/v)硫酸亜鉛(亜鉛含量約40.5%)、0.002%(w/v)硫酸銅(銅含量約39.8%)を添加した。この添加液と対照品の90℃10分間加熱後の抽出液の色差を調べることで、亜鉛イオンの緑色度保持効果を確認した。緑色度保持効果の確認にはLab色差計を用い、a値を測定した(表5)。
Figure 2005333862

いずれの実施例でも本発明品は対照品に比べて明確な緑色保持効果を示し、保存試験結果から保存後の緑色保持効果に加えて風味維持効果も示すことが明らかとなった。

Claims (8)

  1. 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標であるa値が、ブリックス0.1以上0.4未満のときに2.5からマイナス11であり、ブリックス0.4以上0.6未満のときに3.0からマイナス10であり、ブリックス0.6以上1.0未満のときに5.0からマイナス6であり、ブリックス1.0以上2.0未満のときに6.0からマイナス5であること、を特徴とする不発酵茶。
  2. 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標であるa値が、ブリックス0.1以上0.4未満のときに2.3からマイナス9であり、ブリックス0.4以上0.6未満のときに3.0からマイナス8であり、ブリックス0.6以上1.0未満のときに4.0からマイナス5であり、ブリックス1.0以上2.0未満のときに5.0からマイナス4であること、を特徴とする不発酵茶。
  3. 製品における茶葉抽出物の緑色度の指標であるa値が、ブリックス0.1以上0.4未満のときに2.0からマイナス9であり、ブリックス0.4以上0.6未満のときに2.8からマイナス8であり、ブリックス0.6以上1.0未満のときに3.0からマイナス5であり、ブリックス1.0以上2.0未満のときに4.0からマイナス4であること、を特徴とする不発酵茶。
  4. 請求項1から3に記載のa値が製品容器に充填後30℃30日保存後の値であること、を特徴とする不発酵茶。
  5. 製品がプラボトル、缶、紙パック、カップ、瓶、ゲーブル、チアパックの形で供給される請求項1から4に記載の不発酵茶。
  6. 茶葉を二軸エクストルーダーもしくはコロイドミル中で50℃以下の低温溶媒と共に粉砕抽出処理し、抽出滓と抽出液を分離した後、抽出液に亜鉛酵母、銅酵母、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、硫酸亜鉛、硫酸銅の中から選ばれる少なくとも一つの緑色安定化剤を前記抽出液に添加すること、を特徴とする請求項1から4に記載の不発酵茶の製造方法。
  7. 緑色安定化剤を添加後に抽出液中の金属と緑色安定化剤中の金属との置換処理を行うこと、を特徴とする請求項6記載の不発酵茶の製造方法。
  8. 請求項6または7に記載の緑色安定化剤の添加濃度が金属濃度で3ppmから100ppmである不発酵茶の製造方法。
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