JP2018088901A - ステインフリー茶飲料 - Google Patents

ステインフリー茶飲料 Download PDF

Info

Publication number
JP2018088901A
JP2018088901A JP2016237560A JP2016237560A JP2018088901A JP 2018088901 A JP2018088901 A JP 2018088901A JP 2016237560 A JP2016237560 A JP 2016237560A JP 2016237560 A JP2016237560 A JP 2016237560A JP 2018088901 A JP2018088901 A JP 2018088901A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tea
tea beverage
beverage
present
ascorbic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016237560A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6912190B2 (ja
Inventor
あずさ 工藤
Azusa KUDO
あずさ 工藤
かおり 小川
Kaori Ogawa
かおり 小川
桂子 中嶋
Keiko Nakajima
桂子 中嶋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kirin Co Ltd
Original Assignee
Kirin Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kirin Co Ltd filed Critical Kirin Co Ltd
Priority to JP2016237560A priority Critical patent/JP6912190B2/ja
Publication of JP2018088901A publication Critical patent/JP2018088901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6912190B2 publication Critical patent/JP6912190B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Tea And Coffee (AREA)

Abstract

【課題】ステイン付着が抑制された風味良好な茶飲料の提供。【解決手段】本発明によれば、縮合リン酸塩とアスコルビン酸類とを含有してなる、茶飲料あって、茶飲料中の縮合リン酸塩の濃度が0.01〜0.1質量%であり、茶飲料中のアスコルビン酸類の濃度が0.01〜0.05質量%であり、かつ、茶飲料のpHが4.2〜7.0である、茶飲料が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、歯へのステイン付着が抑制された茶飲料に関する。
歯の着色汚れであるステインは、食物中に含まれるタンニンなどのポリフェノール類や煙草によるヤニ(タール)等の着色物質と、歯のエナメル質表面を覆う唾液成分ペリクルが結合して歯に付着することで生じる。
近年では、口腔審美に対する意識の高まりから、ステインは審美上の主要な課題となっている。このため、歯に付着したステインの除去を目的とした様々な手法が開発・検討されてきている。例えば、特許文献1には、ポリリン酸塩など4成分を含有するステイン除去効果の高い歯磨剤組成物が開示されている。特許文献2には、メタリン酸ナトリウムを含有するステイン除去用口腔用組成物が開示されている。このように歯に付着したステインの除去を目的とした技術は知られているが、歯へのステイン付着の抑制を目的とした茶飲料はこれまで知られていない。
特開2013−112654号公報 特開2015−137274号公報
本発明は、風味良好なステインフリーの茶飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、茶飲料に縮合リン酸塩を配合することにより、歯へのステイン付着が抑制されることを見出した。本発明者らはまた、縮合リン酸塩を含有させた茶飲料にアスコルビン酸をさらに配合することによってステイン付着の抑制効果は維持されつつ、風味良好な茶飲料が提供できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]縮合リン酸塩と、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類とを含んでなる茶飲料であって、茶飲料中の縮合リン酸塩の濃度が0.01〜0.1質量%であり、茶飲料中のアスコルビン酸類の濃度が0.01〜0.05質量%であり、かつ、茶飲料のpHが4.2〜7.0である、茶飲料。
[2]ステインフリー茶飲料である、上記[1]に記載の茶飲料。
[3]タンニン含有茶飲料である、上記[1]または[2]に記載の茶飲料。
[4]縮合リン酸塩がメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびピロリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の茶飲料。
[5]アスコルビン酸類が、アスコルビン酸および/またはアスコルビン酸ナトリウムである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の茶飲料。
[6]茶飲料が、発酵茶、後発酵茶および半発酵茶からなる群から選択される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の茶飲料。
[7]縮合リン酸塩と、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類とを配合する工程を含んでなる、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の茶飲料の製造方法。
本発明によれば、茶飲料に縮合リン酸塩とアスコルビン酸類とを配合することによって、歯へのステイン付着を抑制するとともに風味良好な茶飲料を提供できる。すなわち、本発明は審美意識が高い消費者のニーズに応えることができる点で有利である。
発明の具体的説明
本発明において「ステインフリー」とは、飲料(例えば、茶飲料)中、飲料と共に摂取する食品(例えば、カレー、ブドウ、チョコレート、ココア、コーヒー)中、あるいは煙草中の着色物質(例えば、ポリフェノール、ヤニ)の歯への付着が抑制されることをいう。また、本発明において「ステインフリーの茶飲料」は、通常の茶飲料に比べ、上記着色物質の歯への付着が抑制される茶飲料を意味する。本発明は特に、茶飲料中に含まれるタンニン(ポリフェノールの一種)の歯への付着抑制に大きな効果を発揮する。
本発明の茶飲料は、通常の茶抽出液の調製に用いられている方法を用いて製造される茶抽出液やその濃縮液または希釈液から調製することができる。例えば、茶葉と水(0〜100℃)を混合接触させるか、あるいは、茶エキスや茶パウダーなどの茶抽出液の濃縮物や精製物を水(0〜100℃)に混合または溶解させることにより、本発明に用いられる茶抽出液を得ることができる。また、上記の茶葉と水を混合接触させて得られる茶抽出液と、上記の茶エキスや茶パウダーとを混合したものを茶抽出液として本発明の茶飲料に用いてもよい。茶葉と水を混合接触させた場合には、遠心分離や濾過などの分離手段を用いて茶葉と茶抽出液を分離することができる。また、茶抽出液の調製に際し茶葉以外の任意の原料を配合してよい。
茶抽出液の調製に用いられる原料は、特に限定されないが、穀物等(麦、米等)やマメ科植物(ルイボス等)の他、ツバキ科の常緑樹である茶樹カメリラ・シネンシス(Camellia sinensis var.)に属する茶葉を用いることができる。本発明の茶飲料の製造に用いられる茶葉は、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、製茶の段階で発酵工程を経た茶葉であることが望ましい。すなわち、発酵工程を経た茶葉は発酵によりタンニン成分が重合し、ステインの色が目立つことから、このような茶葉から調製された茶飲料について本発明が特に効果を発揮するためである。ここで、発酵工程を経た茶葉は、後発酵茶、発酵茶、半発酵茶を含むものであり、例えば、プーアル茶、紅茶、ウーロン茶が挙げられ、好ましくは紅茶またはウーロン茶である。本発明においてはまた、複数種類の原料および茶葉が使用されてもよい。
本発明で用いられる紅茶葉は、茶期や、茶葉の形状、産地、品種や種類および等級などは限定されず、一般に飲用で市販されている乾燥茶葉を使用することができる。茶葉の種類は、例えば、スリランカ産茶葉(例えば、ウバ、ディンブラ、キャンディ、ラトナプラ、ギャル、ルフナ)、インド産茶葉(例えば、アッサム、ダージリン、ニルギリ)、ケニア、キーマン、ジャワとしてもよい。これらは1種類を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において「紅茶抽出液」とは、紅茶葉を抽出処理に付することにより得られる、抽出液を意味する。本発明に用いられる紅茶抽出液は、紅茶葉からの抽出液それ自体や、その加工品類(例えば、濃縮液体エキス、粉末エキス)などが挙げられ、従来、紅茶飲料の製造に用いられている紅茶抽出原料であれば、特に限定されず、適宜選択することができる。
紅茶葉の抽出処理は、特に限定されず、食品加工分野で一般的に用いられている種々の抽出方法を用いることができ、例えば、溶媒抽出、気流抽出、圧搾抽出などが包含され、必要に応じて、沈殿もしくは濾過などの固液分離、濃縮、遠心分離、乾燥(例えば、噴霧乾燥、凍結乾燥)または粉末化などの処理をさらに施してもよい。
ここで、溶媒抽出で用いられる抽出溶媒としては、水(例えば、硬水、軟水、イオン交換水および天然水)が望ましい。抽出溶媒の量は、当業者が適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、抽出溶媒が水の場合は、その量は、茶葉の1〜100倍量(質量)である。
抽出温度および時間は、当業者が適宜選択することができ、特に限定されない。例えば、抽出溶媒が水の場合は、その温度および時間は、10〜120℃で1分〜12時間である。
抽出処理の一例としては、紅茶葉を、水中に、0〜90℃で、1分〜24時間浸漬および攪拌し、その後、茶葉を濾過または遠心分離する方法が挙げられる。ここで、抽出時の温度や時間などの条件は、特に限定されず、茶葉の種類や量によって当業者が任意に選択し、かつ設定することができる。
紅茶抽出液の調製において、紅茶エキスや紅茶パウダーなどの紅茶抽出液の濃縮物や精製物を用いてもよく、例えば、Value Instant Tea(Kroger社製)などの市販品を用いることができる。また、これらの紅茶濃縮物や紅茶精製物は、そのまままたは水で溶解もしくは希釈したものを単独で使用しても、複数の種類を混合して用いても、茶抽出液と混合して用いてもよい。
本発明の茶飲料は、縮合リン酸塩が配合されてなるものである。本発明で使用する縮合リン酸塩としては、例えば、メタリン酸、ウルトラリン酸およびポリリン酸類の金属塩が挙げられる。これら縮合リン酸の金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩が挙げられ、具体的には、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ウルトラリン酸ナトリウム、ウルトラリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸カリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸二水素二カリウム、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウムからなる群から選択される1種または2種以上を本発明の茶飲料に配合することができる。本発明の茶飲料に配合することができる好ましい縮合リン酸塩はメタリン酸ナトリウムである。
本発明の茶飲料中の縮合リン酸塩の濃度の下限値は0.01質量%(好ましくは0.03%)とすることができ、該濃度の上限値は0.1%(好ましくは0.08%)とすることができる。茶飲料中の縮合リン酸塩の濃度は、0.01〜0.1質量%とすることができる。
本発明の茶飲料は、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類が配合されてなるものである。後記実施例に示されるように、縮合リン酸塩の配合により茶飲料の香味が悪化するが、アスコルビン酸類を所定量配合することにより、pH中性領域において風味良好な茶飲料とすることができる。
本発明で使用されるアスコルビン酸には、L−アスコルビン酸のみならず、構造異性体(例えば、イソアスコルビン酸)も含まれる。また、本発明で使用されるアスコルビン酸は塩の形態であってもよく、食品上許容される塩であれば特に限定されない。このような塩としては、食品としての安全性が認められた塩(例えば、食品衛生法により食品への添加が認められた塩)が挙げられ、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、イソアスコルビン酸ナトリウムである。
本発明で使用されるアスコルビン酸はエステルであってもよく、そのようなエステルとしてはアスコルビン酸脂肪酸エステルが挙げられる。アスコルビン酸脂肪酸エステルとしては、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、アスコルビン酸パルミチン酸エステルが挙げられる。
本発明で使用するアスコルビン酸は遊離形態であっても、塩の形態であってもよく、あるいは遊離形態のアスコルビン酸と塩の形態のアスコルビン酸の混合物であってもよい。すなわち、本発明においてはアスコルビン酸およびその塩のいずれかまたは両方を茶飲料に添加することができる。
茶飲料中のアスコルビン酸類の濃度の下限値は0.01質量%とすることができ、該濃度の上限値は0.05質量%とすることができる。茶飲料中のアスコルビン類の濃度は、0.01〜0.05質量%とすることができる。なお、本発明においてアスコルビン酸類の濃度は、遊離型アスコルビン酸に基づいて算出するものとする。
本発明の茶飲料は、pHを4.2〜7.0の範囲、好ましくは4.5〜7.0の範囲に調整することができる。本発明の飲料のpHは通常の飲料のpHを調整する手法により調整することができ、例えば、炭酸水素ナトリウムを用いて調整することができる。飲料のpHは市販のpHメーター(例えば、東亜電波工業株式会社製)を使用して測定することができる。
本発明の茶飲料においては、特に、茶飲料中のタンニンが飲用により歯に付着して生じるステイン付着が抑制される。従って、本発明の茶飲料は、タンニンを含んでなる茶飲料においてその効果をよりよく発揮できるといえることから、茶飲料中のタンニン濃度を15〜50mg/100mLの範囲内とすることができ、好ましくは20〜45mg/100mL、より好ましくは20〜40mg/100mLの範囲内である。本発明の茶飲料に含まれるタンニンは、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシル基をもつ成分のことを意味し、好ましくは茶由来のタンニンである。茶由来のタンニンとは、茶葉中に含まれる各種タンニン類を指し、例えば、カテキン類やプロアントシアニジン類、これらの酸化重合等による生成物であるテアシネンシン類、ウーロンテアニン、テアフラビン類、テアルビジン類等を挙げることができる。
本発明の茶飲料中のタンニン含有量の調整は、例えば、茶葉抽出物および/または茶類エキスのタンニン含有量を測定することにより、タンニン含有量を所定の範囲に調整することができる。あるいは、予めタンニン含有量が調製された茶葉抽出物および/または茶類エキスを茶飲料に対して所定量添加することによっても、茶飲料のタンニン含有量の調整を行うことができる。
本発明において、茶飲料中のタンニン含有量は、茶類のポリフェノール量を評価する際の基準である日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法(酒石酸鉄吸光度法)を用いて測定することができる。
本発明において、ステイン付着は、茶飲料浸漬前歯牙と茶飲料浸漬後歯牙の歯牙表面の色差をL表色系(JIS Z8722:2009)で測定することにより求めることができる。茶飲料浸漬前歯牙と茶飲料浸漬後歯牙の歯牙表面の色差が、通常の茶飲料に浸漬した場合に比べて減少した茶飲料では、茶飲料によるステイン付着が抑制されたと判断することができる。歯牙表面の色差は、例えば分光色差計により求めることができる。測定に用いる歯牙としては、例えば、ハイドロキシアパタイトペレット(ペンタックス社製)を用いることができる。
本発明の茶飲料においては、茶飲料浸漬前歯牙と茶飲料浸漬後歯牙の歯牙表面の色差ΔEabは3.2以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましい。
茶飲料に関しては乳成分が歯へのステイン付着を抑制することが知られている。従って、本発明の茶飲料は乳成分が含まれないか、あるいは乳成分の濃度が所定値以下の茶飲料である場合にその効果をよりよく発揮することができる。すなわち、本発明の茶飲料は、茶飲料中の乳成分濃度が乳固形分として3重量%未満の茶飲料とすることができる。ここで、「乳成分」とは、牛乳、脱脂乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリーム等が挙げられる。
本発明の茶飲料では、通常の飲料の製造に用いられている配合成分、例えば、甘味料、酸味料、香料、色素、果汁、食品添加剤(例えば、起泡・泡持ち向上剤、苦味料、保存料、酸化防止剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、pH調整剤)等を添加してもよい。なお、本発明の飲料を低カロリー飲料あるいは低糖質飲料として提供する場合には、糖類を配合せずに無糖飲料とすることができる。このような無糖飲料であっても本発明の茶飲料は風味良好なステインフリーの茶飲料として提供できるので有利である。
本発明の茶飲料は、容器詰め飲料の形態で提供することができる。容器詰め飲料の容器とは、内容物と外気との接触を断つことができる密閉容器を意味し、例えば、金属缶、樽容器、プラスチック製ボトル(例えば、PETボトル、カップ)、紙容器、瓶、パウチ容器等が挙げられる。
本発明の別の面によれば、縮合リン酸塩と、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類とを配合する工程を含んでなる、本発明の茶飲料の製造方法が提供される。
本発明の茶飲料の製造は、縮合リン酸塩とアスコルビン酸類とが原料に配合される点を除いては、茶飲料の製造に用いられる通常の方法に従って実施することができる。例えば、茶抽出液を準備し、所定の縮合リン酸塩の濃度およびアスコルビン酸類の濃度となるようにこれらを調合し、茶飲料を得ることができる。本発明の茶飲料の製造においては、通常の飲料の処方設計に用いられている飲料用添加剤を添加してもよく、これら添加剤の添加時期は特に制限されない。
茶飲料の製造に当たっては、当業界に公知の製造技術を用いて製造することができ、例えば、「改訂新版ソフトドリンクス」(株式会社光琳)を参考とすることができる。
本発明の茶飲料の製造手順において縮合リン酸塩の添加時期およびアスコルビン酸類の添加時期は特に制限されず、例えば、調合工程に添加することができる。縮合リン酸塩を添加する手順と、アスコルビン酸類を添加する手順は、同時に実施しても、別々に実施してもよく、別々に実施する場合にはいずれが先であってもよい。
本発明により提供される茶飲料は、抽出工程、調合工程、充填工程および殺菌工程などの工程を経て容器詰め飲料として提供することができる。例えば、調合工程で得られた飲料を常法に従って殺菌し、容器に充填することができる。殺菌は容器への充填前であっても充填後であってもよい。
本発明の茶飲料の製造において殺菌処理を行う場合、食品分野で一般的に用いられている種々の殺菌方法を用いることができ、典型的には加熱殺菌法を用いることができる。使用できる殺菌方法としては、例えば、レトルト殺菌、UHT殺菌、低温殺菌、HTST殺菌などが挙げられる。これらの加熱殺菌方法は茶飲料の製造に通常用いられている条件で実施することができる。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:ポリリン酸塩が着色に与える影響
(1)紅茶飲料(サンプル番号1〜14)の調製
紅茶葉100gに対して80℃の熱水4000gを添加し、8分間攪拌しながら抽出した。得られた紅茶抽出液をタンニン濃度が20mg、40mg/100mLとなるように希釈した各種タンニン濃度の飲料ベースを調製し、それぞれの飲料ベースに、メタリン酸ナトリウム(太平化学産業社製、以下同様)を表1に示すメタリン酸ナトリウム濃度となるように添加した後、表1に示すpHとなるように炭酸水素ナトリウムを添加し、各種紅茶飲料を調製した。また、メタリン酸ナトリウムを添加しない試験区も設けた。得られた紅茶飲料についてUHT殺菌処理を行い、PETボトルに充填し、紅茶サンプル飲料(サンプル番号1〜14)を得た。
紅茶抽出液のタンニン濃度は、酒石酸鉄吸光度法に従って測定した(以下、同様)。具体的には、日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法(酒石酸鉄吸光度法)に従って測定を行った。この測定方法においては、液中のタンニンと、酒石酸鉄試薬とを反応させて生じた紫色成分について、吸光度(540nm)を測定することにより、没食子酸エチルを標準物質として作成した検量線を用いて定量することができる。このようにして得られた定量した値に1.5倍したものをタンニン量とすることができる。
(2)紅茶飲料(サンプル番号15〜17)の調製
紅茶葉50gに対して80℃の熱水2000gを添加し、8分間攪拌しながら抽出した。得られた紅茶抽出液をタンニン濃度が40mg/100mLとなるように希釈した飲料ベースを調製し、飲料ベースに、ピロリン酸二水素ナトリウム(太平化学産業社製)、トリポリリン酸カリウム(太平化学産業社製)、またはトリポリリン酸ナトリウム(太平化学産業社製)を表1に示す各種ポリリン酸塩濃度となるように添加した後、表1に示すpHとなるように炭酸水素ナトリウムを添加し、各種紅茶飲料を調製した。得られた紅茶飲料についてレトルト殺菌処理を行い、缶に充填し、紅茶サンプル飲料(サンプル番号15〜17)を得た。
(3)ステイン付着評価
上記(1)および(2)で得られた各紅茶サンプル飲料によるステイン付着は、ハイドロキシアパタイトペレット(APP−100、PENTAX社、以下「HAP」という)を用いて評価した。分光色差計(SE7700、日本電色工業社製)を用いてHAPの表面を測色後、HAPを人工唾液(50mM塩化カリウム、1mM塩化カルシウム、0.1mM塩化マグネシウム、1mMリン酸2水素カリウム、1%アルブミン、pH7.0)に37℃で7時間浸漬した。浸漬後のHAPを全イオン交換水で洗浄した後、HAPを上記(1)および(2)で得られた各紅茶サンプル飲料に、37℃で24時間浸漬させた。浸漬後のHAPの表面を測色し、浸漬前後のHAP表面の色差ΔEabを算出した。HAPの色差ΔEabが3.2以下である紅茶サンプル飲料をステイン付着が抑制されたと判断した。
HAPの測色は、JIS Z8722:2009に基づくL表色系のL軸(明度)、a軸(彩度:赤・緑軸)、b軸(彩度:黄・青軸)で、反射測定条件、測定径φ6mmで上記分光色差計を用いて測定した。浸漬前のHAPの測色値をL1、a1、b1、浸漬後のHAPの測色値をL2、a2、b2とした時、以下の式により色差ΔEabとして算出した。
ΔEab=[(L1−L2)+(a1−a2)+(b1−b2)1/2
(4)結果
評価結果を表1に示す。
Figure 2018088901
表1の結果より、所定量のポリリン酸塩を含む所定pH値の紅茶飲料では、ステイン付着が抑制されることが確認された。
例2:メタリン酸塩およびアスコルビン酸がステイン付着および香味に与える影響
(1)紅茶飲料の調製
紅茶葉100gに対して90℃の熱水3000gを添加し、6分間攪拌しながら抽出した。得られた紅茶抽出液をタンニン濃度が40mg/100mLとなるように希釈した飲料ベースを調製し、飲料ベースに、メタリン酸ナトリウムおよびアスコルビン酸を表2に示す濃度となるように添加した後、表2に示すpHとなるように炭酸水素ナトリウムを添加し、各種紅茶飲料を調製した。得られた紅茶飲料は缶に充填して、121℃で7分間のレトルト殺菌処理を行い、紅茶サンプル飲料(サンプル番号21〜32)を得た。紅茶サンプル飲料中のアスコルビン酸濃度は、紅茶サンプル飲料に対する使用したアスコルビン酸の比率(質量%)を示す。
(2)ステイン付着評価
ステイン付着評価は、例1(3)に記載の手順に従って行った。
(3)官能評価
上記(1)で得られた各紅茶サンプル飲料を官能評価に供した。具体的には、ポリリン酸塩を添加することで生じる舌の上で感じる収斂を「後苦味」として、以下の評価基準に従って評価した。ここで、「後苦味」とは、「飲用後(口中を通過した直後)に舌の表面で感じられる収斂味」をいう。
5点:後苦味を非常に強く感じる
4点:後苦味を感じる
3点:後苦味を少し感じる
2点:後苦味をほとんど感じない
1点:後苦味を感じない
官能評価は4名の訓練されたパネラーにより実施した。パネラー4名の評価スコアの平均値を算出し、平均値が3.5以下の紅茶飲料を風味良好な紅茶飲料と判断した。
(4)結果
評価結果を表2に示す。
Figure 2018088901
表2の結果より、所定量のメタリン酸塩に加えて所定量のアスコルビン酸を含有させることにより、ステイン付着が抑制され、かつ、風味良好な紅茶飲料を提供できることが確認された。

Claims (7)

  1. 縮合リン酸塩と、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類とを含んでなる茶飲料であって、茶飲料中の縮合リン酸塩の濃度が0.01〜0.1質量%であり、茶飲料中のアスコルビン酸類の濃度が0.01〜0.05質量%であり、かつ、茶飲料のpHが4.2〜7.0である、茶飲料。
  2. ステインフリー茶飲料である、請求項1に記載の茶飲料。
  3. タンニン含有茶飲料である、請求項1または2に記載の茶飲料。
  4. 縮合リン酸塩がメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムおよびピロリン酸二水素ナトリウムからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の茶飲料。
  5. アスコルビン酸類が、アスコルビン酸および/またはアスコルビン酸ナトリウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の茶飲料。
  6. 茶飲料が、発酵茶、後発酵茶および半発酵茶からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の茶飲料。
  7. 縮合リン酸塩と、アスコルビン酸並びにその塩および脂肪酸エステルからなる群から選択される1種または2種以上のアスコルビン酸類とを配合する工程を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の茶飲料の製造方法。
JP2016237560A 2016-12-07 2016-12-07 ステインフリー茶飲料 Active JP6912190B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237560A JP6912190B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 ステインフリー茶飲料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016237560A JP6912190B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 ステインフリー茶飲料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018088901A true JP2018088901A (ja) 2018-06-14
JP6912190B2 JP6912190B2 (ja) 2021-08-04

Family

ID=62564463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016237560A Active JP6912190B2 (ja) 2016-12-07 2016-12-07 ステインフリー茶飲料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6912190B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023004029A1 (en) * 2021-07-21 2023-01-26 Onstad Andrew Composition for preventing teeth staining

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11504224A (ja) * 1996-02-26 1999-04-20 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 透明度および色を改善するための陽イオン交換処理および微小濾過が施された緑茶抽出物
JP2003520040A (ja) * 2000-01-21 2003-07-02 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 歯の侵食を処置するための飲料組成物を使用する方法
JP2006513183A (ja) * 2002-12-13 2006-04-20 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 飲料組成物を使用する方法
JP2011125224A (ja) * 2009-12-15 2011-06-30 Kao Corp 容器詰飲料

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11504224A (ja) * 1996-02-26 1999-04-20 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 透明度および色を改善するための陽イオン交換処理および微小濾過が施された緑茶抽出物
JP2003520040A (ja) * 2000-01-21 2003-07-02 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 歯の侵食を処置するための飲料組成物を使用する方法
JP2006513183A (ja) * 2002-12-13 2006-04-20 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー 飲料組成物を使用する方法
JP2011125224A (ja) * 2009-12-15 2011-06-30 Kao Corp 容器詰飲料

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023004029A1 (en) * 2021-07-21 2023-01-26 Onstad Andrew Composition for preventing teeth staining

Also Published As

Publication number Publication date
JP6912190B2 (ja) 2021-08-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2266415B1 (en) Taste-improving agent and tea drink containing the same
JP4750123B2 (ja) 抗酸化剤を含む摂取可能な組成物
JP5342874B2 (ja) ポリフェノール高含有紅茶飲料及びその製造法
JP3329799B2 (ja) 容器詰飲料
WO2016174888A1 (ja) 緑茶抽出組成物
JP3338705B2 (ja) 容器詰飲料の製造方法
JP4999084B2 (ja) インスタント粉末茶
AU2005318620B2 (en) Method for making a food composition with a preservative free enhancer and a food composition
JP5491449B2 (ja) カテキンを含む製品
JP6912190B2 (ja) ステインフリー茶飲料
JP2018157792A (ja) 茶飲料
JP7339398B2 (ja) 抹茶風味付与剤及びこれを含有する緑茶飲料
JP2006333769A (ja) 茶抽出物
JP6212675B1 (ja) 茶飲料
JP2018139557A (ja) 容器詰緑茶飲料としての好ましい香味を保持しつつ、加熱殺菌後の緑色安定性が十分に改善された容器詰緑茶飲料
JP7139575B2 (ja) 縮合リン酸塩配合飲料
JP2006320246A (ja) 茶抽出物
JP7311673B2 (ja) 抹茶風味付与剤及びこれを含有する緑茶飲料
JP7376009B2 (ja) コラーゲン配合飲料およびその製造方法
JP7226886B2 (ja) 濃厚茶飲料
JP2012507993A (ja) 茶組成物
JP2006325469A (ja) 茶抽出物
EP4167749A1 (en) Iron fortified tea-based beverage
WO2021254678A1 (en) Iron fortified tea-based beverage
CN117279514A (zh) 纸气味得到了抑制的容器装茶饮料及其制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20190731

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190828

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200908

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210104

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210622

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210708

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6912190

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150