JP2011125224A - 容器詰飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度の非重合体カテキン類を含み、歯及び舌のざらつきが軽減され、後味のキレの改善された容器詰飲料を提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び(B);
(A)非重合体カテキン類:0.05〜3質量%、及び
(B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種:0.001〜2質量%
を含有する容器詰飲料。
【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料に関する。
消費者の嗜好の多様化や健康志向の高揚により、多種多様の飲料が上市されている。その中でも、茶飲料はカテキン類を含有しており、その生理効果が期待されている。その生理効果を発現させるには、多量のカテキン類を摂取することが有効であり、そのためには、例えば、カテキン類を高濃度で含有する飲料とすることが有利である。
しかしながら、高濃度のカテキン類を含有する容器詰飲料は、カテキン類由来の苦味や渋味が強過ぎて不快感ないし嫌悪感を伴うことがある。その苦味や渋味を改善する方法として、例えば、カテキン類とキナ酸との含有質量比を一定に制御する方法(特許文献1)、サイクロデキストリンをカテキン類に対して一定量配合する方法(特許文献2)、茶葉からカテキン類を抽出して得られた茶葉抽出液を更に溶媒抽出することにより、高濃度カテキン類含有抽出液とする方法(特許文献3)などが提案されている。
一方、飲食品の分野において、リン酸又はその塩は、例えば、pH調整剤(特許文献4)、濁り成分除去剤(特許文献5)、酸味料(特許文献6、7)などとして使用されている。
特開2003−169603号公報 特開2006−180711号公報 特開2007−159541号公報 特開2009−5685号公報 特開2006−191924号公報 特開2009−11288号公報 特開2008−178401号公報
本発明者らは、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料を開発すべく種々検討したところ、非重合体カテキン類を高濃度化すると、飲用後において歯及び舌にざらつきが残り、後味のキレが不十分となることが判明した。また、前記従来技術は、カテキン類の苦渋味そのものの低減という課題を解決しようとするものであり、これら技術では歯及び舌のざらつき防止や後味のキレという課題は解決できないことも判明した。
したがって、本発明の課題は、高濃度の非重合体カテキン類を含み、歯及び舌のざらつきが軽減され、後味のキレの改善された容器詰飲料を提供することにある。
本発明者らは、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料の歯及び舌のざらつき、後味のキレを改善すべく検討した結果、前記従来技術のいずれにも記載されていない、非重合体カテキン類と、特定のリン酸塩との組み合わせとし、これらの含有量を一定に制御することで、上記課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B);
(A)非重合体カテキン類:0.05〜3質量%、及び
(B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種:0.001〜2質量%
を含有する容器詰飲料を提供するものである。
本発明はまた、(A)非重合体カテキン類0.05〜3質量%に、(B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種を0.001〜2質量%添加する、非重合体カテキン類含有容器詰飲料の歯及び舌のざらつき、並びに後味のキレの改善方法を提供することにある。
本発明によれば、高濃度の非重合体カテキン類を含有するにも拘らず、飲用後の歯や舌に残るざらつきが軽減され、後味のキレが改善された容器詰飲料を提供することができる。したがって、本発明の容器詰飲料は、飲みやすく長期に亘って継続摂取することが可能であるから、非重合体カテキン類による生理効果を十分に期待できる。
先ず、本明細書で使用する用語について説明する。
「後味」とは、JIS Z 8144:2004に記載の「口内に残る感覚」をいう。また「えぐみ」とは、あくが強くて、舌やのどがひりひりとするような感じや味をいう。
「(A)非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類と、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、非重合体カテキン類の濃度は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
「非重合体カテキン類のガレート体」とは、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートを併せての総称である。また、「非重合体カテキン類中のガレート体率」とは、これら4種の非重合体カテキン類のガレート体の総和質量を、非重合体カテキン類8種の総和質量に対する百分率で表した値である。
本発明の容器詰飲料は、生理効果を有効に発現するために、成分(A)として非重合体カテキン類を高濃度で含有する。(A)非重合体カテキン類の含有量は、具体的には、本発明の容器詰飲料中に0.05〜3質量%であるが、風味(以下「後味」及び「えぐみ」を指す)及び生理効果の観点から、その下限は0.08質量%、更に0.12質量%、更に0.2質量%、より更に0.3質量%、特に0.55質量%であることが好ましく、他方上限は2.5質量%、更に2質量%、更に1.5質量%、より更に1.1質量%、特に0.8質量%であることが好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、えぐみなど不快な異味抑制の点から、非重合体カテキン類中のガレート体率の下限が10質量%、特に20質量%であることが好ましく、他方上限は60質量%、更に55質量%、より更に50質量%、特に45質量%であることが好ましい。
また、本発明の容器詰飲料は、歯及び舌のざらつき、後味のキレを改善するために、成分(B)として酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種を含有する。酸性リン酸塩としては、酸性オルトリン酸塩、酸性縮合リン酸塩、酸性メタリン酸が例示される。
また、塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)との金属塩、アンモニウム塩が例示され、中でも、えぐみ、及び後味のキレの改善の観点から、アルカリ金属塩が好ましい。なお、リン酸塩は、無水物でも、水和物であってもよい。
縮合リン酸塩とは、下記一般式(1);
n+2n3n+1 ・・・(1)
(nは正の整数)で表される化合物の塩であって、上記式(1)中の水素原子が全て金属原子又はアンモニウムで置換された化合物である。縮合リン酸塩としては、ピロリン酸アルカリ金属塩、トリポリリン酸アルカリ金属塩、テトラポリリン酸アルカリ金属塩等の縮合リン酸アルカリ金属塩が好ましく、特にトリポリリン酸ナトリウム(Na5310)、トリポリリン酸カリウム(K5310)が好ましい。
酸性オルトリン酸塩としては、酸性オルトリン酸アルカリ金属塩が好ましく、特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
酸性縮合リン酸塩とは、上記式(1)で表される化合物の塩であって、上記式(1)中の水素原子の一部が金属原子又はアンモニウムで置換された化合物である。酸性縮合リン酸塩としては、酸性縮合リン酸アルカリ金属塩が好ましく、特にピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸二水素二カリウムが好ましい。
酸性メタリン酸塩とは、下記一般式(2);
(HPO3m ・・・(2)
(mは正の整数)で表される化合物の塩であって、上記式(2)中の水素原子の一部が金属原子又はアンモニウムで置換された化合物である。酸性メタリン酸塩としては、トリメタリン酸塩、テトラメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩が好ましく、特に酸性ヘキサメタリン酸ナトリウムが好ましい。
中でも、成分(B)としては、歯及び舌のざらつき、後味のキレの改善の観点から、酸性オルトリン酸塩、縮合リン酸塩が好ましく、更に酸性オルトリン酸アルカリ金属塩、トリポリリン酸アルカリ金属塩が好ましく、特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、トリポリリン酸ナトリウムが好ましい。
本発明の容器詰飲料中の成分(B)の含有量は合計0.001〜2質量%であるが、歯及び舌のざらつき、えぐみ並びに後味のキレのより一層の改善の観点から、その下限は0.003質量%、更に0.005質量%、特に0.008質量%であることが好ましく、他方上限は1.5、更に1、更に0.9、更に0.7、更に0.4質量%、更に0.25質量%、特に0.15質量%であることが好ましい。
また、成分(A)に対する成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]は、歯及び舌のざらつき、えぐみ並びに後味のキレの改善の観点から、その下限が0.01、更に0.015、更に0.03、特に0.08であることが好ましく、他方上限は4、更に3、更に1.7、更に1、更に0.5、更に0.4、更に0.3、特に0.25、特に0.2、殊更0.17であることが好ましい。
更に、本発明の容器詰飲料は、歯及び舌のざらつき及び後味のキレをより一層改善するために、成分(C)として酸味料を含有することができる。
(C)酸味料としては、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸及びこれらのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)が例示され、これらは1種又は2種以上を併用することができる。中でも、(C)酸味料としては、クエン酸、クエン酸ナトリウムが好ましい。但し、本発明において、酸味料の概念には、酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩は含まれない。
本発明の容器詰飲料中の(C)酸味料の含有量は、後味のキレ改善の観点から、その下限が0.01質量%、更に0.1質量%、特に0.3質量%であることが好ましく、他方上限は3質量%、更に2質量%、特に1質量%であることが好ましい。
更にまた、本発明の容器詰飲料は、苦味を甘味でマスキングすべく、成分(D)として甘味料を含有することができる。(D)甘味料としては、天然から得られる炭水化物、グリセロール類、人工甘味料が例示され、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
炭水化物としては、例えば、単糖、オリゴ糖、複合多糖、糖アルコールが例示され、ブドウ糖、ショ糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖及びエリスリトールから選ばれる1種以上を含有することが好ましい。グリセロール類としては、グリセロール等の多価アルコールが例示される。人工甘味料としては、例えば、アスパルテーム、スクラロース、サッカリンなどの高甘度甘味料が例示される。
中でも、(D)甘味料としては、スクラロース、果糖ブドウ糖液糖、エリスリトールが好ましく、特にエリスリトールが好ましい。
なお、(D)甘味料の含有量は、その種類に応じて適宜決定することが可能であるが、本発明の容器詰飲料中に通常0.0001〜20質量%、好ましくは0.001〜18質量%、特に好ましくは0.01〜15質量%である。
本発明の容器詰飲料には、必要により、酸化防止剤、香料、色素類、乳化剤、保存料、調味料、ガム、油、ビタミン、アミノ酸、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、pH調整剤(酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩を除く)、品質安定剤等の添加剤を単独で又は2種以上を併用して配合してもよい。
本発明の容器詰飲料は、茶飲料でも、非茶系飲料であってもよい。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が例示される。また、非茶系飲料としては、清涼飲料(例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料)、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料が例示される。
本発明の容器詰飲料のpH(20℃)は、風味及び非重合体カテキン類の安定性の観点から2〜7、更に2.5〜6、特に3〜5であることが好ましい。
本発明の容器詰飲料は、茶抽出物、その濃縮物及びそれらの精製物から選択される少なくとも1種と、(B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種を配合し、成分(A)及び成分(B)の各濃度を上記範囲内に調整して得ることができる。中でも後味のキレの改善の観点から、茶抽出物の精製物を配合することが好ましい。茶抽出物の精製物としては、固形分中に非重合体カテキン類を40質量%以上、更に50質量%以上、特に60質量%以上含有するものが好ましい。なお、固形分中の非重合体カテキン類濃度の上限は98質量%、更に95質量%、特に90質量%であることが好ましい。ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
ここで、茶抽出物とは、茶から熱水又は水溶性有機溶媒を用いてニーダー抽出やカラム抽出等により抽出したものであって、濃縮や精製操作が行われていないものをいう。また、抽出用水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。
抽出に使用する茶としては、例えば、Camellia属、例えば、C.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶樹(Camellia sinensis)が好適である。その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に大別することができる。不発酵茶としては、例えば、煎茶、番茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が例示される。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が例示される。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、非重合体カテキン類の含有量の点から、緑茶が好適である。
また、茶抽出物の濃縮物とは、茶から熱水又は水溶性有機溶媒により抽出した抽出液から溶媒を一部除去して非重合体カテキン類濃度を高めたものをいい、例えば、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報等に記載の方法により調製することができる。茶抽出物の濃縮物としては市販品を使用してもよく、例えば、三井農林(株)の「ポリフェノン」、伊藤園(株)の「テアフラン」、太陽化学(株)の「サンフェノン」が例示される。茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等の種々のものが例示される。
茶抽出物の精製物は、例えば、下記(i)〜(iv)のいずれかの方法、あるいは2以上の組み合わせにより得ることができる。
(i)茶抽出物又はその濃縮物(以下、「茶抽出物等」という)を水、又は水と水溶性有機溶媒(例えば、エタノール)との混合物(以下、「有機溶媒水溶液」という)に懸濁して生じた沈殿を除去した後、溶媒を留去する方法。
(ii)茶抽出物等をタンナーゼ処理し、更に活性炭、酸性白土及び活性白土から選択される少なくとも1種の吸着剤と接触させる方法(例えば、特開2007−282568号公報)。
(iii)茶抽出物等を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液を接触させて非重合体カテキン類を脱離させる方法(例えば、特開2006−160656号公報)。
(iv)茶抽出物等を合成吸着剤に吸着させた後、該合成吸着剤に有機溶媒水溶液又は塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を接触させて非重合体カテキン類を脱離させ、次いで得られた脱離液を活性炭と接触させる方法(例えば、特開2008−079609号公報)。
上記(i)、(iii)及び(iv)の方法において、茶抽出物等としてタンナーゼ処理したものを使用してもよく、また精製処理後にタンナーゼ処理してもよい。ここで、「タンナーゼ処理」とは、茶抽出液又はその濃縮物を、タンナーゼ活性を有する酵素と接触させることをいい、非重合体カテキン類中のガレート体率を上記範囲内に低減することができる。なお、タンナーゼ処理における具体的な操作方法は公知の方法を採用することが可能であり、例えば、特開2004−321105号公報に記載の方法が例示される。
本発明の容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
また、本発明の容器詰飲料は、例えば、金属缶のような容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた殺菌条件で製造できる。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用できる。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でpHを酸性に戻すなどの操作も可能である。
次に、本発明の容器詰飲料の歯及び舌のざらつき、並びに後味のキレの改善方法について説明する。
本発明に係る歯及び舌のざらつき、並びに後味のキレの改善方法は、(A)非重合体カテキン類0.05〜3質量%に、(B)リン酸塩を0.001〜2質量%を添加することを特徴とするが、従来に比して極めて高濃度の非重合体カテキン類を含有する場合においても、飲用後の歯及び舌に残るざらつき、並びに後味のキレが改善される。このように容器詰飲料中の非重合体カテキン類を高濃度化することができれば、一日に何回も非重合体カテキン類を摂取することなく、一回で非重合体カテキン類を多量に摂取することが可能になるため、非重合体カテキン類を手軽に飲用して生理効果を十分に期待できる。したがって、高濃度非重合体カテキン類含有容器詰飲料における歯及び舌に残るざらつき、並びに後味のキレの改善技術はその意義が極めて高い。
1.非重合体カテキン類の測定
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム(L−カラムTM ODS、4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により分析した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
2.官能試験
各容器詰飲料の飲用直後の「歯及び舌のざらつき」、「後味のキレ」並びに「えぐみ」について、専門パネル4名により下記の評価基準で官能試験を行い、その後協議により下記基準の評点を0.5刻みで最終スコアを決定した。
(歯及び舌のざらつきの評価基準)
評点5:ざらつきを感じない。
4:ざらつきをあまり感じない。
3:ざらつきをやや弱く感じる。
2:ざらつきを弱く感じる。
1:ざらつきを感じる。
(後味のキレの評価基準)
評点5:後味にキレを強く感じる。
4:後味にキレを感じる。
3:後味にキレをやや弱く感じる。
2:後味にキレを弱く感じる。
1:後味にキレがない。
(えぐみの評価基準)
評点5:えぐみを感じない。
4:えぐみをあまり感じない。
3:えぐみをやや弱く感じる。
2:えぐみを弱く感じる。
1:えぐみを感じる。
製造例
緑茶抽出物の精製物の製造
緑茶抽出物の濃縮物としてポリフェノンHG(三井農林(株)製)100gを95.0質量%エタノール900gに分散させ、30分熟成し、2号濾紙及び孔径0.2μmの濾紙で濾過し、イオン交換水200mLを加えて減圧濃縮を行った。このうち75.0gをステンレス容器に投入し、イオン交換水で全量を1,000gとし、5質量%重曹水溶液3.0gを添加してpH5.5に調整した。次いで、22℃、150r/minの攪拌条件下で、イオン交換水1.07g中にタンナーゼ(タンナーゼKTFH、Industrial Grade、500U/g以上、キッコーマン社製)0.27g(非重合体カテキン類に対して2.4%)を溶解した液を添加し、55分後にpHが4.24に低下した時点で酵素反応を終了した。次いで95℃の温浴にステンレス容器を浸漬し、90℃、10分間保持して酵素活性を完全に失活した後、25℃まで冷却した後に濃縮処理を行い緑茶抽出物の精製物を得た。この緑茶抽出物の精製物は、非重合体カテキン類濃度が15.0質量%、非重合体カテキン類中のガレート体率が44%、固形分中の非重合体カテキン類濃度が61.6質量%であった。
実施例1〜10及び比較例1〜2
表1に示す割合の各成分を配合し、次いで超高温短時間殺菌(UHT殺菌、98℃、30秒)し透明PETボトルに充填して容器詰飲料を調製した。次いで、得られた容器詰飲料について、成分分析及び官能試験を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2011125224
表1から、高濃度の非重合体カテキン類に、酸性リン酸塩又は縮合リン酸塩を一定の割合で含有せしめることで、飲用後の歯及び舌に残るざらつきが軽減され、後味のキレの改善された容器詰飲料が得られることが確認された。特に実施例1〜5及び7〜10の容器詰飲料においては、飲用後の歯及び舌に残るざらつき、後味のキレのみならず、えぐみも改善されることが分かった。

Claims (7)

  1. 次の成分(A)及び(B);
    (A)非重合体カテキン類:0.05〜3質量%、及び
    (B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種:0.001〜2質量%
    を含有する容器詰飲料。
  2. 前記酸性リン酸塩が酸性オルトリン酸塩である請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. 前記縮合リン酸塩がトリポリリン酸アルカリ金属塩である請求項1又は2に記載の容器詰飲料。
  4. 前記成分(A)に対する前記成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]が0.01〜0.5である請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  5. 成分(C)として酸味料を更に含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  6. 成分(D)として甘味料を更に含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器詰飲料。
  7. (A)非重合体カテキン類0.05〜3質量%に、(B)酸性リン酸塩及び縮合リン酸塩から選択される少なくとも1種を0.001〜2質量%を添加する、非重合体カテキン類含有容器詰飲料の歯及び舌のざらつき、並びに後味のキレの改善方法。
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