JP6018261B1 - のどごし感に優れた高濃度茶由来粒子含有容器詰め茶飲料 - Google Patents

のどごし感に優れた高濃度茶由来粒子含有容器詰め茶飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】茶由来粒子を高濃度に含有するにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料を提供すること。【解決手段】680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が、0.5以上に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料において、テアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmにそれぞれ調整することで、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料を製造し、提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、茶由来の粒子を高濃度に含有するにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰め茶飲料、及びその製造方法に関する。
近年、自然志向や健康志向の流れを受けて、容器詰めの茶飲料は多くの消費者の支持を受けている。その中でも抹茶や粉砕した緑茶葉などを配合した緑茶飲料は、茶由来の粒子を取り除いた従来の緑茶飲料に比べて、家庭で飲む急須でいれた緑茶に近い香味を有することなどの理由で人気が高まっている。しかし、抹茶や粉砕した緑茶葉を多く入れすぎると、飲用時に口内にざらつきを感じて、飲みにくくなるという問題が生じるため、その添加量には限界があった。
粉砕緑茶葉を用いて、緑茶の微粒子を含有させた緑茶飲料においては、そのコク、深い味わいの風味、色調等を生かす方法として、各種の方法が開示されている。例えば、特許文献1には、緑茶抽出液から抽出に伴って生じる微粒子を除去し、飲料調合時に緑茶粉末を添加する方法により、濁度をOD720で0.05〜3.00とし、適度な濁度に自由に調整することができる緑茶飲料の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、茶抽出液に対して、カフェイン、銅置換クロロフィル及びヒドロキシカルボン酸を一定比率で配合し、緑色の安定性の保持と、濁り成分の旨味を保持した濁り茶が開示されている。実施例には濁度が高い濁り茶が開示されているが、濁度は茶由来粒子によるものではなく、専ら、緑色植物から調製した銅置換クロロフィルによるものであることが示されている。
また、粉末茶等を含有する茶飲料において、のどごし感等を改良する方法も開示されている。例えば、特許文献3には、緑茶飲料中に粉砕茶葉は0.3重量%以上〜10.0重量%未満添加し、SOD(スーパーオキサイドデスムターゼ)様活性を1,000〜25,000(U/ml)有する缶入り緑茶飲料において、原料茶葉を、粒径0.4〜200μm以下に粉砕することにより、飲用時のざらつきの問題がない、のどごしの良い緑茶飲料が提供できることが、特許文献4には、粒子径2μm以下の粉末茶葉と、モノガラクトシルジグリセリド及びジガラクトシルジグリセリドとを含有させることにより、香り立ちを増強しながら、ざらつき感を低減した粉末茶飲料を提供できることが、それぞれ開示されている。
更に、特許文献5には、粉末抹茶を含有する飲料中の、全粒子数に対する、粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数の割合及び粒子径7μm以上20μm以下の粒子の数に対する、粒子径2μm以下の粒子の割合を、特定な値に調整することによる、粉末抹茶が有する香り立ちを保持しながら、苦渋味やざらつき感を低減した粉末茶飲料が、特許文献6には、抹茶と、緑茶抽出物及び/又は穀類抽出物と、甘味成分とを含み、飲料100mLあたりの不溶性固形分が0.3g〜0.9gであるように調整することによる、多量に水不溶性固形分を含むにもかかわらず、抹茶本来の深いコク(味わい)と飲み易さを実現した抹茶入り飲料が開示されている。これらの粉末茶を含有する茶飲料は、粉末茶葉の粒子径や、添加量を調整して、粉末抹茶が有する香り立ちを保持しながら、粉末茶粒子に起因するざらつきを低減し、のどごし感等を改善するものであるが、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め緑茶飲料においては、香味に優れ、のどごしの良い容器詰め緑茶飲料を調製し、安定的に維持することが難しいという面がある。
他方で、容器詰め茶飲料において、茶抽出液にテアニンを添加して、テアニンの有する旨味や、コク或いは甘味を茶抽出液に増強して、旨味やコクの付与された容器詰め茶飲料を製造する方法が開示されている。例えば、特許文献7には、テアニン及びアルギニンのようなアミノ酸を含有させることによる、旨味やコクが強く、渋味が抑えられ、かつ旨味と渋味のバランスのとれた容器詰め緑茶飲料が、特許文献8には、テアニンと、(A)モノガラクトシルジグリセリド及び(B)ジガラクトシルジグリセリドを所定量で添加、配合することによる、テアニンの有する旨味や甘味が増強された容器詰め茶飲料が開示されている。しかし、該開示のものは、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料の味覚の改善に向けられたものではなく、また、該容器詰め茶飲料の茶由来粒子に起因する飲用の際のざらつきの低減について開示されているものでもない。
なお、茶由来粒子を高濃度に含む、紅茶やウーロン茶といった緑茶以外の容器詰め茶飲料はこれまで知られていなかった。
特開平8−163958号公報 特開2014−14315号公報 特開平10−234301号公報 特開2014−68636号公報 特開2014−68635号公報 特開2014−221018号公報 特開2006−061125号公報 特開2014−068634号公報
本発明の課題は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料において、抹茶や粉砕茶葉について特別な加工や分級を要することなく、また茶飲料にとって特殊な原材料を使用することなく、茶由来粒子を高濃度に含有する容器詰め茶飲料のざらつきを低減し、のどごし感を改善する方法について、鋭意検討を行った結果、思いがけずも、茶飲料中のテアニン及び/又はグルタミン酸の濃度を一定範囲に調整することで、茶由来粒子が高濃度に含まれていても、飲用時に口内のざらつきを感じにくくなることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料、特に容器詰め緑茶飲料において、テアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmにそれぞれ調整したことを特徴とする、のどごし感に優れた茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料からなる。本発明の容器詰め茶飲料は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰めの茶飲料である。本発明の作用機序は明確にはできていないが、テアニンやグルタミン酸の呈味と、のどごし感の相互作用により、高濃度の茶由来粒子によってもたらさせる、口内のざらつきがマスキングされるものと推測できる。
本発明の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料において、濁度の調整は、抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上を添加することによって行うことができる。また、本発明の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料、特に茶由来粒子高濃度含有容器詰め緑茶飲料においては、テアニン及び/又はグルタミン酸の濃度調整は、かぶせ茶又は玉露の抽出液の添加によって行うことができる。
本発明の茶由来粒子高濃度含有容器詰め緑茶飲料においては、濁度を、1.0、さらには2.0以上に調整することにより、より高濃度に茶由来粒子を含有する容器詰め茶飲料として調製することができる。
本発明は、680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液のテアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmにそれぞれ調整し、該緑茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填することからなる、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法の発明を包含する。
本発明の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法において、0.5以上に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した茶飲料の濁度の調整は、茶飲料への抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上を添加することにより行うことができる。また、本発明の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法において、テアニン及び/又はグルタミン酸の濃度の調整は、かぶせ茶又は玉露の抽出液を原料茶抽出液へ添加することにより行うことができる。
さらに、本発明は、680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が、0.5以上に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料茶抽出液のテアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmにそれぞれ調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料飲用時の茶由来粒子のざらつきを低減する方法をも包含する。
(削除)
すなわち具体的には本発明は、[]680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液のグルタミン酸濃度を10〜1000ppmに調整し、該茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填することを特徴とする、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法や、[]0.5以上に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した茶飲料の濁度の調整が、茶飲料への抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上の添加により行うことを特徴とする、上記[]に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法や、[]グルタミン酸の濃度調整が、かぶせ茶又は玉露の抽出液を原料茶抽出液への添加により行うことを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法や、[]680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が、0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料茶抽出液を、グルタミン酸濃度を10〜1000ppmに調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料飲用時の茶由来粒子のざらつきを低減する方法からなる。
本発明は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れ、かつ、茶由来粒子を高濃度に含有する、容器詰めの茶飲料、及びその製造方法を提供する。
本発明は、680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料において、テアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmにそれぞれ調整することにより、茶由来粒子を高濃度に含有するにもかかわらず、ざらつきを感じにくく、口当たりのよいすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた容器詰め茶飲料、及びその製造方法を提供することからなる。
本発明でいう「ざらつき」とは、飲料を口に含んだ際に上あごと舌の間で感じる、ざらざらとした不快な食感をさす。「ざらつき」を低減することで、口当たりがよく、すっきりとしたのどごしの、飲みやすい茶飲料となる。
<茶飲料>
本発明の茶飲料は、茶樹(カメリア・シネンシス)の葉を加工した茶葉から抽出した茶飲料であれば、緑茶、紅茶、ウーロン茶を始め、黒茶などの醗酵茶などいずれも対象となる。その中では、特に緑茶飲料は、本発明により、高濃度の茶由来粒子を含有したことによる飲料の旨味やコクが保持できるという点で好ましいものである。
茶飲料のタンニン値については特に制限はないが、緑茶飲料の場合は、適度な飲みごたえを与えるとともに、苦味を感じすぎないようにすることから、100mg/100mL以下が好ましく、90mg/100mL以下がより好ましく、10〜90mg/100mLがさらに好ましく、20〜80mg/100mLにすることが最も好ましい。このタンニン値は酒石酸鉄法(中林敏郎他著「緑茶・紅茶・烏龍茶の化学と機能」弘学出版、137ページ参照)を用いて測定することができる。すなわち、被検液中のポリフェノールと酒石酸鉄試薬とを反応させて生じた紫色成分の吸光度(540nm)測定値を、没食子酸エチルを標準物質として作成した検量線を用いて定量値とし、さらにその値を1.5倍してタンニン量とする。
更に、通常、容器詰め茶飲料で使用することが知られている、甘味料、香料、酸味料、pH調整剤、又は増粘剤なども適宜使用することが可能である。
<茶由来粒子>
本発明の茶飲料は、高濃度の茶由来粒子を含有する。ここで、茶由来粒子は、茶由来であって、0.1〜300μm程度の微粒子のことをさし、(1)茶抽出液に別途添加した茶粉砕物に由来するもの、及び(2)茶抽出のために使用する茶葉中に混在する茶由来粒子に由来するものがある。これら(1)若しくは(2)のいずれか、又は両方を茶飲料中に含有させることで、高濃度、すなわち茶飲料の濁度(OD680)を0.5以上に調整することができる。
上記(1)について説明すると、ここで茶粉砕物としては、茶(カメリア・シネンシス)由来のものであれば、緑茶、紅茶、ウーロン茶などいずれ茶葉の粉砕物であっても使用できる。しかし、その中でも抽出用茶葉と同種の茶葉、すなわち緑茶飲料なら緑茶の粉砕物、紅茶飲料なら紅茶の粉砕物、を使用することが好ましい。さらに緑茶の場合には、緑茶由来の抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、煎茶粉砕物などがより好ましく、更に、その中でも抹茶、かぶせ茶粉砕物又は玉露粉砕物が最も好ましい。
ここで抹茶としては、栽培時に一定期間日光を遮って栽培した茶樹から得られる茶葉を蒸してから揉まずに乾燥した碾茶を石臼でひいたものが挙げられ、本発明においては、その粒度には制限はなく、市場に流通しているものをそのまま使用することができる。具体的には平均粒子径が0.5〜300μm程度の抹茶が使用できる。
一方、かぶせ茶と玉露は栽培時に一定期間日光を遮って栽培した茶樹から得られる茶葉を製茶したものであり、玉露が20日間ほど遮光するのに対して、かぶせ茶は茶摘みの前の1週間程度だけであるという違いがある。これらの茶葉はテアニンやグルタミン酸をはじめとするアミノ酸類が他の茶葉に比べて多く含まれているという特徴を有する。また、煎茶は、かぶせ茶や玉露と異なり、日光を遮ることなく栽培した茶樹から摘み取られた新芽を使って製茶されたものである。かぶせ茶、玉露、煎茶は、従来知られた方法によって粉砕して使用できる。その粉砕方法や、粉砕粒度等に制限はないが、具体的にはボールミルや石臼などを用いて平均粒子径が0.5〜300μm位になるまで粉砕したものを用いることができる。
次に(2)について説明すると、茶葉の特性上、抽出用の茶葉においても必ず微細な粉末茶葉(茶由来粒子)が混在している。また抽出の段階でも装置又は他の茶葉などとの接触により茶葉が分解して微細な粉末茶葉(茶由来粒子)が生じる。通常、緑茶抽出液を得る際には、抽出後に、まずは金網等で比較的大きな茶葉を除いた後、遠心分離を行って微細な粉末茶葉まで除去することで、ほぼ透明な緑茶抽出液を得ている。この遠心分離の際に、その遠心強度を弱めることで、抽出用茶葉に混在している微細な粉末茶葉(茶由来粒子)の一部を抽出液中に残存させることが可能である。その結果として、茶由来粒子を含有する緑茶抽出液が調製できることになる。さらに、この遠心強度を弱めて調製した抽出液に、さらに前記の茶粉砕物を別途添加することで、(1)と(2)の両方の茶由来粒子を組み合わせることも可能である。
茶由来粒子は、高濃度、すなわち、最終的に茶飲料の濁度(OD680)を0.5以上に調整するために必要な量を添加、含有させる。具体的には茶粉砕物の添加量を調整したり、固液分離の際の遠心強度を調整したりして、茶飲料最終製品の濁度(OD680)を調整する。なお、本発明は濁度(OD680)0.5以上でざらつきの低減効果を発揮するが、当該効果をより強く実感できるという観点から、濁度1.0以上が好ましく、濁度1.5以上がより好ましく、濁度2.0以上が最も好ましい。なお、本発明の濁度とは、680nmにおける吸光度(OD680)で示され、常法にしたがい、一般の分光光度計で測定することができる。
<テアニン・グルタミン酸>
本発明では、茶中のテアニン濃度を50〜2000ppm及び/又はグルタミン酸濃度を10〜1000ppmに調整することが必要である。この範囲よりも濃度が低い場合にはざらつきの低減効果が弱く、多い場合にはアミノ酸由来の異味が目立って好ましくない。
更に、効果を明確にするためには、テアニンなら、70〜1000ppmに調整するのが好ましく、80〜500ppmに調整するのがより好ましく、110〜500ppmに調整するのが最も好ましい。一方、グルタミン酸は、15〜1000ppmが好ましく、14〜800ppmがより好ましく、24〜500ppmが最も好ましい。テアニン又はグルタミン酸いずれか一方のみでもこれら濃度範囲を満たせばざらつきの低減効果を発揮するが、テアニンは口に含んだ際のトップ〜ミドルで特にざらつき感低減の効果を発揮し、グルタミン酸はミドル〜ラストで特にざらつきの低減効果を発揮するため、両成分とも上記濃度範囲を満たした方がより効果を発揮する。
テアニン及びグルタミン酸は、共にアミノ酸の一種であり、ほぼ純品のものが、食品原料として販売されているのでそれを用いて茶飲料中の濃度を調整することが可能である。そのほか、これらの成分を多く含む食品原料等を用いて調整してもよい。緑茶飲料の場合に最も好ましいのは、かぶせ茶や玉露を用いる方法である。これを用いれば緑茶由来の原料だけでの商品設計が可能となる。これらの茶葉には、テアニンやグルタミン酸が比較的多く含まれているので、緑茶抽出液の一部もしくは全部に、これらかぶせ茶や玉露の抽出液を用いることでテアニンとグルタミン酸の濃度を調整できる。かぶせ茶や玉露を抽出する際に、低温で抽出することでさらにそれらの成分濃度を高めることも可能である。
更に、茶粉砕物として、抹茶、かぶせ茶粉砕物又は玉露粉砕物を添加すると、そこからの、テアニンやグルタミン酸の溶出が期待できるのでテアニンとグルタミン酸の濃度調整が容易になる点で好ましい。ただし、抹茶の添加のみでテアニンとグルタミン酸の濃度調整を行うと、容器詰め飲料の製造の際の加熱殺菌の影響で、緑茶飲料に苦味が生じる場合があるので、抹茶を使用する場合には、玉露やかぶせ茶などの抽出液と併用したり、純品のテアニン及びグルタミン酸と併せて使用したりして濃度調整することがより好ましい。
<製造方法>
以下に、本発明の容器詰め茶飲料の製造方法について示す。まず、常法にしたがい、茶を抽出する。使用する茶葉は、茶葉であればいずれも使用できるが、緑茶の場合には、テアニン及び/又はグルタミン酸の濃度調整のために、かぶせ茶あるいは玉露を全部又は一部使用することが好ましい。抽出条件は特に制限はないが、テアニンやグルタミン酸の溶出量を高めるためにはより低温、たとえば50℃程度で抽出することが好ましい。抽出後の茶葉と抽出液の分離方法に特に制限はないが、例えばメッシュの粗い金網で比較的大きい茶葉を取り除いた後、遠心分離に供することが好ましい。前記の通り、茶葉を分離する際の遠心分離の条件は、従来よりも弱めることで抽出茶葉中に含まれる茶由来粒子を抽出液に残すことも可能である。
得られた茶抽出液に対して、高濃度、すなわち濁度(OD680)が0.5以上になるように、必要量の茶粉砕物を添加する。緑茶の場合には、茶粉砕物として、抹茶、かぶせ茶粉砕物又は玉露粉砕物を使用すると、それらからのテアニンやグルタミン酸の溶出が期待できるのでより好ましい。
最終的にテアニン及び/又はグルタミン酸の濃度を調整する。抽出用茶葉や茶粉砕物について、かぶせ茶、玉露又は抹茶を使用することで、予めテアニン及び/又はグルタミン酸の濃度を調整しておくことも可能であり、その場合には最終調整の必要がないが、必要な場合には、テアニンやグルタミン酸を別途添加することで濃度調整を行う。
そのほか、香料などの必要な食品添加物等を添加した後、UHT殺菌をおこなってペットボトル等の容器に充填する。缶に充填してからレトルト殺菌することでもよいが、本発明の特徴である、濃い濁り茶の外観を楽しむためにはペットボトルなどの透明容器に充填することが好ましい。
以下に実施例をもって、本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[調製例]
<(1)茶由来粒子調合液の調製>
イオン交換水に抹茶(碾茶の石臼粉砕物;市販品)を0.6重量%、ビタミンCを0.12重量%、重曹を0.12重量%添加し、茶由来粒子含有調合液を得た(以下、ベース調合液)。以下の試験サンプル調製時には、全サンプルにおいてベース調合液が3倍希釈(抹茶換算で0.2重量%)となるよう、他原料・イオン交換水を配合した。なお、本ベース調合液(3倍希釈時)はOD680が2.2、テアニン濃度10ppm、グルタミン酸濃度4ppm、タンニン値20mg/100mLであった。
なお、濁度(OD680)は、日立社製分光光度計U−3310を用いて、680nmにおける吸光度を測定することで求めた。被検液をよく撹拌した後、光路長10mmのセルに入れて速やかに測定をおこなった。
また、テアニンとグルタミン酸の濃度は、日立社製アミノ酸分析計L−8800を用いて測定した。具体的には、メインカラムとして#2622を、ガードカラムとして#2619をそれぞれ用い、アミノ酸をニンヒドリンで発色させて570nmで検出し、予め作成した検量線から濃度を算出した。
<(2)緑茶抽出液の調製>
(A)かぶせ茶抽出液の調製:
緑茶葉(かぶせ茶)100gに対して50℃の熱水2500gを添加し、5分間抽出した。抽出後、目開き100μmのメッシュを通し、3000rpm10分の条件で遠心分離処理を行ってから、冷却機を用いて10℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た(以下、かぶせ茶抽出液)。以下の試験サンプル調製時には、かぶせ茶抽出液が3倍希釈となるように配合した。なお、かぶせ茶抽出液(3倍希釈時)のテアニン濃度100ppm、グルタミン酸濃度は20ppm、タンニン値は40mg/100mLであった。
(B)煎茶抽出液の調製:
緑茶葉(低級煎茶)100gに対して80℃の熱水3000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、目開き100μmのメッシュを通し、3000rpmで10分の条件で遠心分離処理を行ってから、冷却機を用いて10℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た(以下、煎茶抽出液)。下記試験サンプル調製時には、煎茶抽出液が最終的に5倍希釈となるように配合した。なお、煎茶抽出液(5倍希釈)のテアニン濃度は10ppm、グルタミン酸濃度は4ppm、タンニン値は40mg/100mLであった。
[実施例1〜7、比較例1〜3]
表1の通りサンプルを配合し、UHT殺菌し、ペットボトルに充填することで実施例1〜7及び比較例1〜3の容器詰め緑茶飲料サンプルを調製した。なお、テアニンは市販のL-テアニン、グルタミン酸ナトリウムは市販のL-グルタミン酸ナトリウム、タンニン製剤は市販の高濃度カテキン製剤(三井農林社製カテキン30.3重量%、タンニン値40mg/100mL)を使用した。サンプルの配合割合を調整する際には、イオン交換水を使用した。
<(3)評価>
各実施例及び比較例の、濁度、テアニン、グルタミン酸及びタンニン値、並びにざらつき低減効果を表2に示す。ざらつき低減効果は、茶飲料の開発に精通したパネラー6人で飲用し、協議の上評価した。
評価軸は以下の通りである。なお対照は比較例1のサンプルとした。
◎:飲用時のざらつきが顕著に低減した。
○:飲用時のざらつきが低減した。
×:ざらつきが低減していない、または低減効果が不十分である。
試験の結果、飲料中のテアニン50ppm以上、又はグルタミン酸10ppm以上で、ざらつきの低減効果が見られた。テアニン・グルタミン酸いずれか一方のみでも含有量を満たせば効果を発揮するが、テアニンは口に含んだ際のトップ〜ミドルで特にざらつき低減効果を発揮し、グルタミン酸はミドル〜ラストで特にざらつき低減効果を発揮するため、両成分とも上記量を満たした方がより効果を発揮することが分かった。また、実施例4と実施例7の比較により、タンニン値が変化しても、ざらつき低減効果に影響がないことを確認した。
[実施例8〜11]
各種緑茶抽出液、抹茶又は茶粉砕物を組み合わせて、様々な濁度、テアニン濃度、グルタミン酸濃度を有する容器詰め緑茶飲料を調製し、それぞれのざらつき低減効果を上記評価例と同様にして確認した。その結果を以下に示す。本発明の緑茶飲料はいずれも、ざらつきをほとんど感じない、口当たりの良い、すっきりとしたのどごしの飲料であった。
本発明は、茶由来粒子を高濃度に含むにもかかわらず、飲用時にざらつきを感じにくく、口当たりの良いすっきりしたのどごしを有する、のどごし感に優れた、容器詰め茶飲料を提供する。

Claims (4)

  1. 680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料緑茶抽出液のグルタミン酸濃度を10〜1000ppmに調整し、該茶抽出液を加熱殺菌処理し、容器に充填することを特徴とする、茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
  2. 0.5以上に調整された茶由来粒子を高濃度に含有した茶飲料の濁度の調整が、茶飲料への抹茶、かぶせ茶粉砕物、玉露粉砕物、若しくは煎茶粉砕物の1又は2以上の添加により行うことを特徴とする、請求項1に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
  3. グルタミン酸の濃度調整が、かぶせ茶又は玉露の抽出液を原料茶抽出液への添加により行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の茶由来粒子高濃度含有容器詰め茶飲料の製造方法。
  4. 680nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD680)が、0.5以上に調整された、茶由来粒子を高濃度に含有した容器詰め茶飲料の製造において、0.5以上に調整された茶由来粒子を含有する原料茶抽出液を、グルタミン酸濃度を10〜1000ppmに調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料飲用時の茶由来粒子のざらつきを低減する方法。
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