JP6230382B2 - 低カフェイン茶エキスの製造方法および低カフェイン茶エキス - Google Patents
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(1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5
(2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
(1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
(2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
本発明は、カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜および/または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行って得られる茶エキスを調合することを特徴とする茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭抑制方法を提供するものである。
本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法で用いる茶抽出液は、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である。茶ポリフェノールに対してカフェインを優先的に膜透過させることができる点、すなわちカフェインを選択的に除去することができる点で、[(A)/(B)]は0.33以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。[(A)/(B)]が0.37を超えると、茶ポリフェノールが膜を透過し易くなるため、選択的なカフェインの除去が困難となり、茶ポリフェノールの損失が大きくなる。
(1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5
(2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
上記(1)〜(3)を満たすことで、苦味・エグ味、雑味のない香味の良好な低カフェイン茶エキスとなる。
即ち、本発明における低カフェイン飲料とは、本発明の低カフェイン茶エキスを調合して得られる、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が次の(1)〜(4)を満たす低カフェイン飲料である。
(1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
(2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
上記(1)〜(4)を満たすことで、苦味・エグ味、雑味のない香味の良好な低カフェイン飲料となる。
また、本発明の低カフェイン飲料中のカフェイン(C)濃度は、0.01〜40mg/100mLであるが、好ましくは、0.1〜30mg/100mL、より好ましくは、0.2〜10mg/100mL、さらに好ましくは、0.3〜2.5mg/100mLである。カフェイン濃度が、40mg/100mLを超えると、苦味が強く、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比[(B)/(C)]は、5.0以上であるが、好ましくは、10以上、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは35以上であり、最も好ましくは40以上である。[(B)/(C)]が5未満の場合は、カフェインの除去が不十分な苦味の強い飲料であるか、茶ポリフェノールも除去された風味が乏しい飲料となり、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)とシュウ酸(D)の重量比率[(B)/(D)]は16以上であるが、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは40以上である。[(B)/(D)]が16未満の場合は、シュウ酸の除去が不十分で苦味・エグ味の強い飲料となり、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)及びマンガン(G)の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]は、35以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは43以上であり、最も好ましくは56以上である。[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が35未満である場合は、雑味が多くなる。
本発明の低カフェイン飲料中のカテキン(A)、茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]は、0.37以下であることが好ましいが、より好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは0.10以下、もっとも好ましくは0.08以下である。
本発明の低カフェイン飲料中の[(A)/(B)]が0.37以下であることから、本発明の低カフェイン飲料は、半発酵茶飲料や発酵茶飲料が好ましく、発酵茶飲料がより好ましい。
茶ポリフェノールを多量(例えば100mg/100ml以上)に配合する場合においては、苦味や渋味を抑制する手段として、苦渋味抑制剤を配合することが好ましい。苦渋味抑制剤としては、例えば、環状オリゴ糖を用いることが好ましい。環状オリゴ糖としては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン、サイクロフラクタン類等が挙げられるが、中でも、β−サイクロデキストリンが好ましい。茶飲料に対する苦渋味抑制剤の添加量は、例えば、β−サイクロデキストリンを用いる場合、茶ポリフェノールの含量に対して、0.020〜2.5重量%の割合で配合することが好ましい。苦渋味抑制剤として環状オリゴ糖を用いる場合、茶飲料の茶ポリフェノールの含量に対して0.2〜5重量倍量を添加することが好ましい。
さらには、従来の方法で低カフェイン処理した茶エキスと本発明の低カフェイン茶エキスを混合し、所望とする茶調合液を得ることができる。
各種茶葉40gを表1に示す所定温度・所定量のイオン交換水で10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて固液分離した。得られたろ液を必要に応じて表1に示す倍率でイオン交換水で希釈し、重曹を加えてpHを調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7410(日東電工(株)製)を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセル((株)トライテック製)と送液ポンプKP−12((株)フロム製)を用い、表1に示す処理温度・操作圧力で、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表1に示す。
透過率(%)=75%回収した透過液中の濃度(mg/100mL)/膜処理前の被処理液中の濃度(mg/100mL)×100
ここでいう「75%回収した透過液中の濃度」とは、膜処理に供した処理液の液量の75%量の透過液が得られた時点での透過液中の濃度である。つまり、160mLの茶抽出液を膜処理した場合は、得られた120mLの透過液における透過液中の濃度である。
カフェイン除去速度(mg/cm2/hr)=透過液中のカフェイン濃度(mg/100mL)/100×透過液量(mL)/膜面積(cm2)/処理時間(hr)
非透過液の茶ポリフェノール残存率(%)=[非透過液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)]×100
非透過液のカフェイン除去率(%)=[1−{非透過液のカフェイン濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のカフェイン濃度(mg/100mL)}]×100
固形分は20℃における糖用屈折計示度(Brix)で表され、RX−5000α((株)アタゴ製)にて測定した。
茶ポリフェノールの定量は「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月)の252〜254ページに記載の酒石酸鉄吸光光度法に従って行った。定量用標準物質には没食子酸エチル(東京化成工業(株)製)を用いた。
カフェインおよびカテキン類の定量はHPLC分析法により次の条件で行った。定量用標準物質にはカフェイン(関東化学(株)製)とカテキン類(EGCg、EGC、ECg、EC、GCg、GC、Cg、C、全て三井農林(株)製)を用いた。
装置:Alliance HPLCシステム(ウォーターズ社製)
カラム:Poroshell 120 EC−C18(4.6×100mm,粒子径2.7μm、アジレント社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液0.05%リン酸水/アセトニトリル=1000/25(体積比),B液メタノール
グラジエントプログラム:0〜1分,B0%→1〜11分,B0〜33%→11〜11.25分,B33〜95%→11.25〜13.25分,B95%→13.25〜13.5分,B95〜0%→13.5〜15.5分,B0%
流速:1.5mL/min
検出:UV275nm(カフェイン),UV230nm(カテキン類)
紅茶葉ディンブラ120gを90℃のイオン交換水1760gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて1.28倍に希釈した後、重曹を加えてpH6.0または6.5に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mmの円形平膜の各種逆浸透膜、NADIR NP010(マイクロダイン・ナディア社製)、NTR−7410、NTR−7430、NTR−7450、NTR−7250、NTR−729HF(以上、日東電工(株)製)や各種限外ろ過膜GE、GH、PT、PW(以上、ジーイー・ウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製)、CF30−S(日東電工(株)製)を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、表2に示す処理温度・操作圧力で、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表2に示す。
紅茶葉アッサム60gを95℃のイオン交換水960gで15分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて1.33倍に希釈した後、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mm円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、表3に示す処理温度で、操作圧力3.0MPa、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度を算出した。その結果を表3に示す。
紅茶葉ディンブラ30gを90℃のイオン交換水480gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて、表3に記載の所定の希釈倍率で希釈した後、重曹を加えてpH5.0またはpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mm円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPa、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表3に示す。
ブレンド茶葉C(紅茶葉ウバ:紅茶葉ニルギリ=1:1)20gを90℃のイオン交換水320gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。ろ液146gにイオン交換水を加えて1.37倍に希釈した後、アスコルビン酸ナトリウム300mgを添加し、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液1とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPaで循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液1の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで非透過液にイオン交換水120mLを加えて膜処理を行った。この操作を4回繰り返した(イオン交換水120mL添加を4回、合計480mL)。4回目のイオン交換水の添加の後、透過液が120mL得られるまで膜処理を行い、非透過液を回収して発明茶エキス1となる低カフェイン茶エキスを得た。茶抽出液1、1回目の膜処理で得られた透過液および非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス1の成分分析を行い、低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率(%)=[低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)]×100
低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率(%)=[1−{低カフェイン茶エキスのカフェイン濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のカフェイン濃度(mg/100mL)}]×100
紅茶葉ディンブラ30gを90℃のイオン交換水480gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。ろ液149gにイオン交換水を加えて1.34倍に希釈した後、アスコルビン酸ナトリウム300mgを添加し、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液2とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPaで循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液2の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで非透過液にイオン交換水120mLを加えて膜処理を行った。この操作を4回繰り返した(イオン交換水120mL添加を4回、合計480mL)。4回目のイオン交換水の添加の後、透過液が120mL得られるまで膜処理を行い、非透過液を回収して発明茶エキス2となる低カフェイン茶エキスを得た。茶抽出液2、1回目の膜処理で得られた透過液および非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス2の成分分析を行い、低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
紅茶葉ディンブラ2.1kgを90℃のイオン交換水25.2kgで10分間撹拌抽出後、ステンレスメッシュと生産用ろ紙(No.28)で固液分離してろ液17.81kgを得た。ろ液14.39kgにイオン交換水19.61kg、アスコルビン酸ナトリウム51g、重曹11gを加えて膜処理用の茶抽出液3とした。
直径2インチのスパイラル型の逆浸透膜NTR−7450HG−S2F(日東電工(株)製)を設置した膜処理装置(栗田工業(株)製)と送液ポンプMW3HP601B((株)丸山製作所)を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPa、循環流量10L/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液3の膜処理を行った。33.5kgの茶抽出液3を膜処理に供し、透過液が25.13kg得られた時点で、非透過液125g(発明茶エキス3)を抜き取り、イオン交換水24.75kgを残りの非透過液側に加えた。2回目の膜処理を行い、透過液が24.75kg得られた時点で、非透過液125g(発明茶エキス4)を抜き取り、イオン交換水24.38kgを残りの非透過液側に加えた。3回目の膜処理を行い、透過液が24.38kg得られた時点で非透過液125g(発明茶エキス5)を抜き取り、イオン交換水24.00kgを残りの非透過液側に加えた。4回目の膜処理を行い、透過液が28.60kg得られた時点で膜処理を終了し、得られた非透過液3.0kgの内2.8kgを110℃で30秒間UHT殺菌を行い、発明茶エキス6となる低カフェイン茶エキスを得た。膜処理の各段階における茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、茶ポリフェノール透過率/カフェイン透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス3〜6の成分分析を行い、各低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
2種類の低カフェイン紅茶葉40gそれぞれを90℃のイオン交換水640gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離を行った。酢酸エチル抽出によりカフェインが除去された紅茶葉(ヘルゼン・アンド・リヨン社製)、超臨界二酸化炭素抽出によりカフェインが除去された紅茶葉セイロン((株)セレクティー製)それぞれから、比較茶エキス1、2となる低カフェイン茶エキスを得た。
低カフェイン紅茶抽出物粉末1g(プラントエクストラクト社製、超臨界二酸化炭素処理した紅茶葉ケニアの抽出物)をイオン交換水20gに溶解して比較茶エキス3となる低カフェイン茶エキスを得た。
紅茶葉ディンブラ40gを75℃のイオン交換水580gで20分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)で固液分離して茶抽出液4となる紅茶抽出液460gを得た。
400gの茶抽出液4へ活性炭(クラレケミカル(株)製)13.2gを添加し、45℃で1時間撹拌した。活性炭処理後、ろ紙(No.5C、アドバンテック(株)製)でろ過を行い、比較茶エキス4となる低カフェイン茶エキスを得た。
直径95mmの桐山漏斗に、No.5C、No.5B、No.5Aのろ紙(全てアドバンテック(株)製)を順次敷いた。アスピレーターで吸引しながら、イオン交換水50mLに懸濁させた珪藻土3.53gをろ紙上に投入して珪藻土によるろ過床を準備した。次に、イオン交換水50mLに懸濁した酸性白土(ミズカエース#600、水沢化学工業(株)製)7.03gと珪藻土3.53gをアスピレーターで吸引しながら上記ろ過床上に投入して処理剤層を形成し、イオン交換水1250mLを通液して洗浄した。
紅茶葉ディンブラ50gを90℃のイオン交換水800gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)で固液分離した。得られたろ液をBrix15%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した後、イオン交換水で希釈してBrixを2.5%に調整して茶抽出液5−1となる紅茶抽出液645gを得た。283gの茶抽出液5−1に珪藻土2.83gを懸濁し、上記の処理剤層に通液して、比較茶エキス5−1となる低カフェイン茶エキスを得た。
<酸性白土処理による低カフェイン茶エキスの製造−2>
紅茶葉ディンブラ10gを85℃のイオン交換水400gで4分間撹拌抽出後、No.28生産用ろ紙で吸引ろ過し、固液分離した。得られたろ液を20℃まで冷却した後にイオン交換水で400gとし、遠心分離処理を行い、茶抽出液5−2となる紅茶抽出液を得た。
得られた紅茶抽出液200gに対し、酸性白土(ミズカエース#20、水沢化学工業(株)製)3gと重曹660mgを加えてpH7.30に調製した後、酸性白土に1時間接触させた。接触後に遠心分離処理と0.2μmメンブランフィルターろ過を行い、比較例茶エキス5−2となる低カフェイン紅茶エキスを得た。
実施例5〜11で得られた茶抽出液、発明茶エキス、比較茶エキスの成分分析を行った(表5)。低カフェイン茶エキスのシュウ酸除去率は下記の通り算出した。
低カフェイン茶エキスのシュウ酸除去率(%)=[1−{低カフェイン茶エキスのシュウ酸濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のシュウ酸濃度(mg/100mL)}]×100
シュウ酸の定量はキャピラリー電気泳動(CE)分析法により次の条件で行った。定量用の標準物質にはシュウ酸ナトリウム(関東化学(株)製)を用いた。
装置:G1600A CEシステム(アジレント社製)
キャピラリー:フューズドシリカ(75μm×805mm,アジレント社製)
キャピラリー温度:20℃
緩衝液:有機酸分析バッファー(アジレント社製)
電圧:−25kV
検出:シグナル350/20nm,リファレンス200/10nm
マグネシウム、カルシウム、マンガンの定量は誘導結合プラズマ発光分光分析法により次の条件で行った。定量用標準物質にはマグネシウム標準液、カルシウム標準液、マンガン標準液(全て関東化学(株)製)を用いた。
装置:CIROS CCD−M((株)リガク製)
プラズマ電力:1400W
ポンプ流量:1mL/min
プラズマガス流量:アルゴン,13L/min
補助ガス流量:アルゴン,1L/min
ネブライザーガス流量:アルゴン,1L/min
分析線:279.079nm(マグネシウム),422.673nm(カルシウム),259.373nm(マンガン)
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)、1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
評価点:4(希釈液中に完全に溶解している)、3(溶解している)、2(沈殿物が見られる)、1(沈殿物が多く見られる)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
また、比較茶エキス1〜4、5−2に苦味・エグ味が感じられたため、茶抽出液、発明茶エキス、比較茶エキスの成分分析を実施したところ、本発明の膜処理の工程ではカフェインと同時にシュウ酸が除去されることが明らかになった。発明茶エキス1〜6ではシュウ酸が33〜88%除去されており、茶ポリフェノール(B)とシュウ酸(D)の重量比率[(B)/(D)]が21〜119と大きいことが苦味・エグ味を感じない原因であることが示された。
さらに、比較茶エキス1、3、5−1、5−2には雑味が有り、特に比較茶エキス5−1、5−2で雑味が強く感じられた。同じく成分分析を実施したところ、比較茶エキス5−1は酸性白土処理によりマグネシウム、カルシウム、マンガンが増加しており、処理前後で茶ポリフェノール(B)とマグネシウム(E)、カルシウム(F)、マンガン(G)の和との重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が62から18へと低下していた。
比較茶エキス5−2も5−1と同様に重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が57から8.4へと低下していた。比較茶エキス1、3についても、本発明よりも[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が低かった。よって、発明茶エキス1〜6では[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が46〜69と大きいことが雑味を感じない原因であることが示された。
溶解性はいずれの発明茶エキスも良好であったが、[(B)/(C)]が17以上であるとより良好であった。
実施例5〜11で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス1〜6、比較茶エキス1〜5−1)を、それぞれ茶ポリフェノール濃度が60mg/100mLとなるようにイオン交換水で希釈し、アスコルビン酸ナトリウム濃度30mg/100mL、pH6.2となるように、アスコルビン酸ナトリウムと重曹を添加して調合液を得た。この調合液を飲料缶に充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って低カフェイン茶飲料を調製した。実施例12の記載と同様の方法で成分を定量し、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性について官能評価を行った。結果を表6に示す。
実施例7で作製した発明茶エキス6と実施例9で作製した比較茶エキス3をそれぞれ種々の割合で配合し、得られた各配合エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表7に示す。
さらに、[(B)/(D)]が19となった発明茶エキス10では苦味・エグ味は感じられず、[(B)/(D)]が11となった比較茶エキス6では明らかな苦味・エグ味が感じられた。よって、[(B)/(D)]が一定の数値より小さい茶エキスは、苦味・エグ味を呈することが明らかになった。
実施例14で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス7〜10、比較茶エキス6、7)を、茶ポリフェノール濃度を50mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表8に示す。
実施例7で作製した発明茶エキス6と実施例11で作製した比較茶エキス5−1をそれぞれ種々の割合で配合し、得られた各配合エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表9に示す。
実施例16で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス11〜14、比較茶エキス8、9)を、茶ポリフェノール濃度を70mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表10に示す。
50gの発明茶エキス6にシュウ酸ナトリウム91mgを加えて発明茶エキス15、50gの発明茶エキス6にシュウ酸ナトリウム113mgを加えて比較茶エキス10となる低カフェイン茶エキスを得た。また、50gの発明茶エキス6に塩化マグネシウム33mg、塩化カルシウム6mg、塩化マンガン2mgを加えて発明茶エキス16、50gの発明茶エキス6に塩化マグネシウム66mg、塩化カルシウム12mg、塩化マンガン4mgを加えて比較茶エキス11となる低カフェイン茶エキスを得た。得られた低カフェイン茶エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表11に示す。
また、発明茶エキス6に塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マンガンを添加して得られた発明茶エキス16および比較茶エキス11について、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が38となった発明茶エキス16では雑味は感じられず、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が29となった比較茶エキス11では雑味が感じられたため、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が29以下である茶エキスは雑味を呈することが確かめられた。
実施例18で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス15、16、比較茶エキス10、11)を、茶ポリフェノール濃度を80mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表12に示す。
実施例7の発明茶エキス6を、茶ポリフェノール濃度が5、10、40、80、120、160、200、220mg/100mLとなるようにそれぞれ希釈し、実施例13と同様の方法で茶飲料とし、官能評価を行った。本実施例においては、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性に加え、渋味の官能評価も行った。
(渋味の評価基準)
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。結果を表13に示す。
また、発明茶エキス3についても同様に飲料とし、官能評価を行った。結果を表14に示す。
(加熱殺菌時の劣化臭の評価基準)
評価点:4(発生が感じられない)、3(微弱に感じるが問題なし)、2(発生が香味に悪影響を及ぼしている)1(強く発生しており飲用に不適)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
実施例7で作製した発明茶エキス6と茶抽出液1をそれぞれ種々の割合で配合した。得られた各配合エキスを、実施例13と同様の方法で茶飲料とした。得られた低カフェイン茶飲料について、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性に加え、加熱殺菌時の劣化臭の官能評価を行った。比較として実施例21で茶抽出物1から調製した比較飲料16についても同様の評価を行った。結果を表16に示す。
[(B)/(C)]が4.7である比較飲料19は、カフェイン由来の苦味が確認できたのに対し、[(B)/(C)]が7.1以上である発明飲料29〜34では苦味が抑制されており、[(B)/(C)]が22以上である発明飲料29〜31においてはさらに良好であった。よって、[(B)/(C)]を一定の数値以上に調整した飲料は、苦味が改良されることが示された。
さらに、本発明の茶エキスを配合した発明飲料29〜34では、比較飲料16で感じられた加熱殺菌時の劣化臭が抑制されていた。
25gの発明茶エキス6にデキストリン(サンデック#150、三和澱粉工業(株)製)25gを加え、凍結乾燥機で乾燥させて、低カフェイン粉末茶飲料を27.5g得た。当粉末茶飲料を茶ポリフェノール濃度が90mg/100mLになるよう熱水に溶解したところ、香りが良く、苦味・エグ味や雑味は感じられない茶飲料が得られた。
50gの発明茶エキス5と、無水クエン酸1.0g、10質量%重曹水5.7gを溶解した。次に、無水結晶果糖46.6g、エリスリトール7.5g、L−アスコルビン酸0.5g、レモンライム香料1.0gを添加して、イオン交換水で全量を1,000gとした。この調合液を飲料缶に充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って、茶ポリフェノールを含有する低カフェイン飲料を調製した。
Claims (17)
- カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことにより、茶抽出液中のカフェインを低減し、かつ茶ポリフェノールの損失を抑制する工程を有する低カフェイン茶エキスの製造方法。
- カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.33以下の茶抽出液である、請求項1記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
- 処理温度が50〜70℃である請求項1または2に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
- 茶抽出液のpHが5.0〜6.9である請求項1〜3のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
- 膜処理の間、非透過液に対して間欠的または連続的に水性媒体を加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
- 非透過液の茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]が17以上となるまで膜処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
- カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことを特徴とする茶エキスのカフェイン低減および茶ポリフェノールの損失抑制方法。
- カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜および/または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行って得られる低カフェイン茶エキスを調合することを特徴とする茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭抑制方法。
- 茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)を含有し、次の(1)〜(3)を満たす低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された茶エキス。
(1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
(2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35 - 請求項9に記載の低カフェイン茶エキスを配合して得られる、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が次の(1)〜(4)を満たす低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料。
(1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
(2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35 - カフェイン(C)の濃度が、0.1〜40mg/100mLである請求項10記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料。
- 飲料が容器詰である請求項10または11に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された容器詰飲料。
- 飲料が茶飲料である請求項10〜12のいずれか一項に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された茶飲料。
- 請求項10〜13のいずれか一項に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料の製造方法。
- 水性媒体を用いて液体状にした時に、請求項10または11に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料となる低カフェイン粉末飲料。
- 粉末飲料が粉末茶飲料である請求項15に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された粉末飲料。
- 請求項15または16に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された粉末飲料の製造方法。
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