JP6230382B2 - 低カフェイン茶エキスの製造方法および低カフェイン茶エキス - Google Patents

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Description

本発明は、特定の処理条件下で膜処理することにより、効率的かつ選択的にカフェインを除去することができる香味の良好な低カフェイン茶エキスの製造方法、低カフェイン茶エキス、低カフェイン茶飲料の製造方法および低カフェイン茶飲料に関する。
茶に含まれるカフェインは覚醒作用、利尿作用等の生理効果を示す一方、過剰摂取すると悪心、不眠、心悸亢進等の有害作用を引き起こす原因にもなる。そのため、茶からカフェインを除去する方法が検討されてきた。これまでにカフェインを除去する方法として、有機溶媒により抽出除去する方法、超臨界二酸化炭素により抽出除去する方法(特許文献1)、活性炭により吸着除去する方法(特許文献2)、活性白土または酸性白土により吸着除去する方法(特許文献3)、セラミック膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、ナノろ過膜を組み合わせた膜処理により分離除去する方法(特許文献4)等が提案されている。また、逆浸透膜やナノろ過膜を利用して緑茶からのカフェイン除去の検討がなされている(非特許文献1〜3)。
その他にも茶の膜処理に関しては、茶を逆浸透膜濃縮して得られる透過液と非透過液を別々に乾燥した後に混合する茶エキス粉末の製造方法(特許文献5)、茶抽出液をナノろ過膜処理して得られる透過液を利用した茶風味飲料(特許文献6)、耐熱性逆浸透膜を使用する茶抽出液の濃縮方法(特許文献7)等が開示されている。
特開平1−289448 特開平8−70772 特開2011−19469 特開平6−116258 特開平9−285256 特開2001−57847 特開平8−89763
小林利彰,MRC,17号,2〜5(1996) 渡瀬隆也,中川博之,茶業研究報告,88号(別),152〜153(1999) 佐田康稔,MRC,31号,93〜97(2004)
茶からカフェインを除去する方法に関しては、上記のような種々の方法が開示されている。しかしながら、これらの方法は少なくとも次のような欠点を有する。例えば、特許文献1〜3の有機溶媒により抽出除去する方法、超臨界二酸化炭素により抽出除去する方法、活性炭・活性白土・酸性白土等の吸着材により吸着除去する方法では、カフェインと同時に茶の香りが失われ、苦味、エグ味や雑味が増加して香味が損なわれるという問題がある。また、有機溶媒を用いる方法では環境上好ましくなく、消費者は有機溶媒と食品の接触を望まないという社会的な問題があり、吸着材を用いる方法では処理後の吸着材が再生できないため産業廃棄物が発生するという問題がある。特許文献4のセラミック膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、ナノろ過膜を組み合わせた膜処理により分離除去する方法では各段階のカフェイン除去率が低く、多段階の膜処理を行う必要があるため工程が煩雑となる上に、カフェイン以外の成分の損失が非常に大きく香味が損なわれるという問題がある。また、非特許文献1〜3では逆浸透膜やナノろ過膜を利用した緑茶からのカフェイン除去の検討もなされているが、緑茶の主たる茶ポリフェノールであるカテキン類とカフェインの透過率に差が無く、カフェインを選択的に除去することができないことから、逆浸透膜・ナノろ過膜によるカフェイン除去は難しいことが記載されている。
特許文献5は茶エキス粉末の溶解性の向上、特許文献6は茶飲料の清涼感の向上、特許文献7は茶抽出液の効率の良い濃縮を目的としたものであって、カフェインの除去を目的としたものではなく、カフェインを除去できるという記載も全く見られない。また、実施例で示すように、これら特許文献で開示されている方法では効率的かつ選択的にカフェインを除去することは困難である。
したがって、上記問題点を克服した香味の良好な低カフェイン茶エキスおよび低カフェイン茶飲料を提供することが望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の成分比の茶抽出液を、特定の食塩阻止率の逆浸透膜および/または特定の分画分子量の限外ろ過膜を用いて特定の温度域で膜処理することにより、意外にも、茶ポリフェノールの膜透過は抑えながら、カフェインを効率良く膜透過できること、つまり、カフェインを選択的かつ効率的に除去できることを見出した。また、当該処理により得られる低カフェイン茶エキスは良好な香味を保持していることを見出した。また、当該処理により得られる低カフェイン茶エキスを調合して飲料を調製することにより、加熱殺菌時に発生する劣化臭を抑制できることを見出した。さらには飲料製造時に、含有する成分を特定の範囲に調製することで良好な香味を保持することが可能であること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことにより、茶抽出液中のカフェインを低減し、かつ茶ポリフェノールの損失を抑制する工程を有する低カフェイン茶エキスの製造方法を提供するものである。また、当該製造方法により得られる低カフェイン茶エキスを提供するものである。
また、本発明は、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)を含有し、次の(1)〜(3)を満たす低カフェイン茶エキスを提供するものである。
(1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5
(2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
上記の低カフェイン茶エキスを調合して得られる、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が次の(1)〜(4)を満たす低カフェイン飲料を提供するものである。
(1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
(2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
さらに、本発明はカテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて、45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことを特徴とする茶エキスのカフェイン低減および茶ポリフェノールの損失抑制方法を提供するものである。
本発明は、カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜および/または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行って得られる茶エキスを調合することを特徴とする茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭抑制方法を提供するものである。
本発明によれば、茶抽出液中のカフェインを効率的かつ選択的に除去して、良好な香味の低カフェイン茶エキスを工業的に有利に製造することができる。また、本発明の低カフェイン茶エキスから飲料を調製することにより、上記条件を満たした低カフェイン飲料を製造することができる。さらには、本発明の低カフェイン茶エキスから飲料を調製することによって、加熱殺菌時の劣化臭が抑制された飲料、特には、容器詰茶飲料、粉末茶飲料等の飲料を提供することができる。
以下において本発明を詳細に説明する。
本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法で用いる茶抽出液は、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である。茶ポリフェノールに対してカフェインを優先的に膜透過させることができる点、すなわちカフェインを選択的に除去することができる点で、[(A)/(B)]は0.33以下が好ましく、0.25以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。[(A)/(B)]が0.37を超えると、茶ポリフェノールが膜を透過し易くなるため、選択的なカフェインの除去が困難となり、茶ポリフェノールの損失が大きくなる。
また、本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法で用いる茶抽出液中のポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]に特に制限は無いが、得られる低カフェイン茶エキスの[(B)/(C)]が高くなる点で茶抽出液の[(B)/(C)]は2.6以上が好ましく、3.0以上がより好ましく、3.5以上がさらに好ましい。
本発明においてカテキン類とは、(−)−エピガロカテキンガレート(EGCg)、(−)−エピガロカテキン(EGC)、(−)−エピカテキンガレート(ECg)、(−)−エピカテキン(EC)、(−)−ガロカテキンガレート(GCg)、(±)−ガロカテキン(GC)、(−)−カテキンガレート(Cg)、(±)−カテキン(C)の8種を合わせた総称であり、カテキン類の含有量はHPLC法により上記8種を個別定量したそれらの合計量に基づく。本発明において茶ポリフェノールとは「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月)の252〜254ページに記載の酒石酸鉄吸光光度法により測定される、茶に含まれるポリフェノールのことであり、タンニンや茶タンニン等の用語と同義に扱う。茶ポリフェノールの例としては、上記カテキン類の他、フラボノール類、フラボノール配糖体類、没食子酸、テオガリンおよびそれらの重合体であるテアフラビン類、テアフラビン酸類、テアフラガリン類、テオガリニン類、テアフラボニン類、テアナフトキノン類、テアシネンシン類、プロアントシアニジン類、アッサミカイン類、ウーロンホモビスフラバン類、テアルビジンや、加水分解型タンニンであるストリクチニン、β−グルコガリン、1,4,6−トリガロイルグルコース等が挙げられる。
茶抽出液の調製に用いる原料茶葉は、ツバキ目ツバキ科ツバキ属の常緑樹である「チャノキ」であるCamellia sinensisの中国種(var.sinensis)、アッサム種(var.assamica)やそれらの雑種から得られる生葉や生茎、あるいはこれらを一次原料として製造された茶葉(例えば、煎茶、番茶、釜炒茶等の不発酵茶葉、不発酵茶葉に花の香りを移したジャスミン茶等の花茶葉、弱発酵茶葉、半発酵茶葉、発酵茶葉、プアール茶等の微生物発酵茶葉等)であり、「新版 緑茶・中国茶・紅茶の化学と機能」(伊奈和夫他著 株式会社アイ・ケイコーポレーション、2007年)の11〜25ページに記載されているもの等が例として挙げられる。原料茶葉を抽出して得られる茶抽出液のカテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]を0.37以下にコントロールするために、2種類以上の茶葉をブレンドして原料茶葉として用いても良い。得られる茶抽出液の[(A)/(B)]が低いことから、抽出に用いる茶葉は半発酵茶葉や発酵茶葉が好ましく、発酵茶葉がより好ましい。半発酵茶葉としては赤烏龍、膨風茶、水仙、鉄観音、黄金桂等の烏龍茶葉が挙げられる。発酵茶葉としては、ダージリン、アッサム、ニルギリ、ケニア、キーモン、ラプサンスーチョン、ヌワラエリア、ウバ、ディンブラ等の紅茶葉が挙げられる。得られる茶抽出液の[(A)/(B)]が0.37を超える茶葉(緑茶葉、弱発酵茶葉、発酵度の低い半発酵茶葉や発酵茶葉)は、発酵度の高い半発酵茶葉や発酵茶葉と混合して原料茶葉として用いたり、その抽出液を発酵度の高い半発酵茶葉や発酵茶葉の抽出液と混合したりして茶抽出液の[(A)/(B)]を0.37以下に制御することで用いることができる。また、これらの原料茶葉は抽出効率を上げるために予め粉砕、破断、細断しても良い。
本発明における原料茶葉の抽出方法としては、ニーダーや抽出用タンク等を用いたバッチ式抽出法や抽出塔等を用いたカラム式抽出法等の公知の方法が挙げられる。抽出の条件は原料茶葉の種類、抽出機の種類、原料茶葉を抽出して得られる茶抽出液のカテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]、風味等により適宜選択され、抽出には水性媒体を用いる。ここで言う水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、水性媒体中には後述する食品添加物等を含有しても良い。水性媒体の量としては、原料茶葉1重量部に対して3〜50重量部の水性媒体(通常、水、温水、熱水)を用いれば良く、4〜30重量部が抽出効率、製造コストおよび品質等の点で好ましい。抽出温度は特に制限されないが、50〜100℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。抽出時間は水性媒体の量や抽出温度にも依存するが、30秒〜6時間、好ましくは3分〜3時間、さらに好ましくは4分〜1時間が良い。抽出時は常圧、加圧または減圧下で必要に応じて撹拌を行い、上記抽出工程の後にカートリッジフィルター、ネルろ布、ろ過板、ろ紙、ろ過助剤を併用したフィルタープレス等のろ過や遠心分離等により固液分離して茶抽出液を得るようにすれば良い。また、抽出工程においては、茶抽出液の酸化を抑制するために、抽出時および/または抽出後の茶抽出液に酸化防止剤を添加しても良い。酸化防止剤としては、食品添加物として認められているアスコルビン酸、エリソルビン酸またはそれらの金属塩等が挙げられる。また、茶抽出液のpH調整のために、抽出時および/または抽出後の茶抽出液にpH調整剤を添加しても良い。pH調整剤としては、食品添加物として認められている重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤の添加量は、その種類に応じて所望のpHになるように決定すれば良い。茶抽出液のpH設定は25℃換算値で4.5〜7.0が好ましい。膜処理の際のカフェイン透過率が高く、カフェイン除去速度が速い点で、pH設定は5.0〜6.9がより好ましく、5.0〜6.5がさらに好ましい。pH7.0を超えるような塩基性条件下では茶ポリフェノールの劣化が著しく、pH4.5未満では茶ポリフェノール成分の凝集による沈澱が発生し易くなるため好ましくない。また、膜処理に供する茶抽出液の固形分濃度の設定に特に制限はないが、0.01〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%がより好ましい。茶抽出液の固形分濃度が0.01重量%未満であると、所定量の茶エキスを得るために、100〜2000倍程度の濃縮が必要となり、実用的ではない。なお、市販の粉末状または液体状の茶抽出物を水性媒体に溶解したものについても、そもそもの出発原料が茶葉である点で茶抽出液として利用することができる。
本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法では、前記の方法で得られるカテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、NaCl阻止率が5〜55%である逆浸透膜および/または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃で膜処理を行う。この処理条件下では、茶抽出液中のカフェインは水と共に膜を透過して透過液に除去されるが、茶ポリフェノールの多くは膜を透過せずに非透過液に残る。したがって、膜処理により茶抽出液中のカフェインを効率的かつ選択的に除去し、処理後に非透過液を採取することによって、低カフェイン茶エキスを得ることができる。また、本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法は、カフェインの除去だけでなく、苦味・エグ味の原因となるシュウ酸の除去も行うことができる。
カフェインの除去効率は、単位時間当たりに単位面積の膜を透過して透過液に移行するカフェイン量を示すカフェイン除去速度で表すことができる。本明細書ではカフェイン除去速度を、透過液中のカフェイン濃度(mg/100mL)/100×透過液量(mL)/膜面積(cm)/処理時間(hr)で算出するmg/cm/hrの形で表す。本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法では、茶抽出液を処理した場合のカフェイン除去速度は0.9mg/cm/hr以上となる。
一般的に成分の膜透過のし易さは、透過液中の成分濃度/処理前の溶液(被処理液)中の成分濃度×100で算出する成分透過率で表される。本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法は、カフェイン透過率が高く、茶ポリフェノール透過率は低いため、茶ポリフェノールに対して優先的にカフェインを除去することが可能、つまり選択的にカフェインを除去することが可能である。本明細書では、このカフェイン除去の選択性をカフェイン透過率に対する茶ポリフェノール透過率の比(カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比)で表現する。例えばこの比が2.5の場合は茶抽出液中のカフェインを50%除去すると、同時に茶ポリフェノールを20%損失することを示す。本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法のカフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比は高く、7.0以上を示す。
逆浸透膜とは、膜を介する溶液間の浸透圧差以上の圧力を高濃度溶液側に加えて、高濃度溶液の溶媒(多くは水)を低濃度溶液に透過させる液体分離法に用いる膜であり、本発明においてはナノろ過膜もこの範疇に含む。水のみを透過して純水を製造する際に使用する膜、溶質の濃縮に使用する膜、塩類および低分子物質を透過・分離する膜等があり、その分離レベルはNaCl阻止率により表現される。NaCl阻止率は、NaCl水溶液を膜処理したときのNaClの透過し難さを百分率で示したものであり、100%からNaClの透過率を引いたものである。NaCl阻止率は膜メーカーのカタログ等に記載されており、一般的には0.3〜5.6MPaの圧力下、0.05〜3.5%NaCl水溶液を用いて測定されており、測定条件はカタログ等に記載されている。本発明ではNaCl阻止率が5〜55%の逆浸透膜を用いるが、茶ポリフェノールの膜透過を抑えながらカフェインを膜透過できる点、すなわちカフェインを選択的に除去できる点で、好ましくはNaCl阻止率が25〜55%、より好ましくは40〜55%の逆浸透膜を用いる。NaCl阻止率が55%を超える逆浸透膜ではカフェイン除去速度が著しく遅くなるため、効率的にカフェインを除去することができない。
限外ろ過膜とは、一般に分子の大きさに基づいて分離を行う圧力ろ過に用いる膜であり、その分離レベルは分画分子量により表現される。分画分子量は膜メーカーのカタログ等に記載されており、多くの場合90%の阻止率で阻止できる最小の分子量のことである。分画分子量の測定に用いる標準物質としてはポリエチレングリコールやデキストラン等が用いられる。本発明では分画分子量が1000〜10000の限外ろ過膜を用いるが、カフェインを選択的に除去できる点で、好ましくは分画分子量が1000〜8000、より好ましくは1000〜5000、さらに好ましくは1000〜3500の限外ろ過膜を用いる。分画分子量が10000を超える限外ろ過膜では茶ポリフェノール透過率が著しく上昇し、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比が小さくなるため、選択的なカフェインの除去が困難になり、茶ポリフェノールの損失が大きくなる。
NaCl阻止率の低い逆浸透膜(ナノろ過膜を含む)と分画分子量の小さい限外ろ過膜は近接する技術であるため両者を明確に区別できるものではないが、上記分離レベルのいずれかを満たす膜であればいずれの膜でも本発明で利用することができる。
本発明で用いる逆浸透膜、限外ろ過膜の材質に特に制限はないが、再生セルロース系、酢酸セルロース系、ニトロセルロース系、ポリフッ化ビニリデン系、ポリテトラフルオロエチレン系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、アラミド系、ポリイミド系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系、架橋ポリアミド系、ポリエステル系、ポリ酸化エチレン系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリアミノ酸系の膜、およびそれらにスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等のカチオン交換基を導入した膜等が挙げられる。好ましくは熱、圧力に対する安定性が高いものであり、再生セルロース系、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系、架橋ポリアミド系の膜、およびそれらにスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等のカチオン交換基を導入した膜等である。より好ましくは、特に安定性の高い、再生セルロース系、酢酸セルロース系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、芳香族ポリアミド系、架橋ポリアミド系の膜、およびそれらにスルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等のカチオン交換基を導入した膜等である。カチオン交換基を導入した膜としては、スルホン化ポリエーテルスルホン系の膜等が挙げられる。スルホン化ポリエーテルスルホン膜は膜の機能性を構成するポリマーにスルホン化ポリエーテルスルホンが含まれていれば他の素材を併用していても、スルホン化ポリエーテルスルホン膜の範疇に含まれる。
NaCl阻止率が5〜55%の逆浸透膜として具体的には以下のものが挙げられる。スルホン化ポリエーテルスルホン系のNTR−7400シリーズ(日東電工(株)製):NTR−7410(食塩阻止率5〜15%)、NTR−7430(同25〜30%)、NTR−7450(同40〜51%)、ポリエーテルスルホン系のNADIR NPシリーズ(マイクロダイン・ナディア社製):NP010(同5〜15%)、NP030(同25〜35%)、架橋ポリアミド系のSU−600シリーズ(東レ(株)製):SU−610(同45〜55%)、SU−620(同45〜55%)、酢酸セルロース系のDRCシリーズ(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製):DRC−1000(同10〜20%)、DRC−3000(同30%)、ポリアミド系のAFCシリーズ(ピーシーアイ・メンブレン社製):AFC30(同30%)、AFC40(同40%)、NF270(ダウ・ケミカル社製、同45%)、DRA4510(ダイセン・メンブレン・システムズ(株)製、同45%)等が挙げられる。
分画分子量が1000〜10000の限外ろ過膜として具体的には以下のものが挙げられる。ポリアミド系のGシリーズ(ジーイー・ウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製):GE(分画分子量1000)、GH(同2500)、GK(同3500)、GM(同8000)、ポリエーテルスルホン系のPシリーズ(ジーイー・ウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製):PT(同5000)、PW(同10000)、ポリエーテルスルホン系のNADIR UPシリーズ(マイクロダイン・ナディア社製):UP005(同5000)、UP010(同10000)、ポリエーテルスルホン系のESシリーズ(ピーシーアイ・メンブレン社製):ES404(同4000)、ES209(同9000)、修飾ポリエーテルスルホン系のESP04(ピーシーアイ・メンブレン社製、同4000)とEM006(ピーシーアイ・メンブレン社製、同6000)再生セルロース系のNADIR UCシリーズ(マイクロダイン・ナディア社製):UC005(同5000)、UC010(同10000)、フッ素系複合膜のUF−ETNAシリーズ(アルファ・ラバル社製):ETNA01PP(同1000)、ポリスルホン系のETNA10PP(同10000)、UF−pHtシリーズ(アルファ・ラバル社製):GR95PP(同2000)、GR81PP(同10000)等が挙げられる。
膜の形状に特に制限はないが、平膜状、中空・円筒状等が例示される。また、膜を工業的に使用する場合、広い膜面積を持つ膜をコンパクトに納めた膜モジュールの形で使用する。膜モジュールは平膜状の膜であれば、プレートアンドフレーム型、スパイラル型等が例示され、中空・円筒状の膜であればホローファイバー型、キャピラリー型、チューブラー型等が例示できる。
本発明では、膜処理の形式としてクロスフロー形式、デッドエンド形式等が適用できる。クロスフロー形式の場合、送液ポンプを用いて、茶抽出液を膜面と平行な方向に流れるように供給すると同時に引き抜きながら加圧し、水と共にカフェインを膜透過させることでカフェインの除去が行われる。デッドエンド形式の場合、膜を装着した耐圧式容器に茶抽出液を入れ、抽出液側に圧力を加えることにより水と共にカフェインを膜透過させることでカフェインの除去が行われる。連続的に処理できる点で膜処理の形式はクロスフロー形式が好ましい。
本発明における膜処理の処理温度とは、膜処理時の非透過液の温度のことであり、その範囲は45〜80℃である。好ましくは50〜70℃、より好ましくは50〜60℃である。処理温度が高い方が透過液の透過速度は速いが、膜や非透過液の劣化も促進されるため処理温度は80℃以下で設定する。45℃を下回る温度では透過液の透過速度が遅くなり、カフェイン除去速度が低下するため効率的な生産を行うことができない。膜処理時の操作圧力に特に制限はないが、0.1〜10MPaが好ましく、0.5〜8MPaがより好ましく、1〜5MPaがさらに好ましい。0.1MPaより小さいと透過液の透過速度が遅いため処理に時間がかかり、10MPaを超える圧力では膜の閉塞が起こり易くなる。
また、本発明の製造方法では、非透過液に連続的または間欠的に水性媒体を加えることでより多くのカフェインを透過液側に膜透過させて、非透過液のカフェイン除去率を向上させることもできる。例えば、以降の実施例7で示すように、膜処理で得られた透過液量と同量の水を非透過液に加えて再度膜処理することを繰り返すことによって、非透過液のカフェイン除去率を47%、72%、85%、96%と徐々に向上させることができる。水性媒体を加える量は、カフェインの除去量、非透過液の固形分量を目安に設定すれば良い。非透過液の固形分量はBrixとして0.4〜20重量%が好ましく、より好ましくは1〜15重量%が例示できる。0.5重量%より低い場合、透過液量に対して除去されるカフェインの量が少なくなり、20重量%を超えると非透過液自体の浸透圧により、透過液の透過速度も低くなる。
非透過液または透過液のカフェイン含有量は高速液体クロマトグラフ(HPLC)法等により測定することができる。カフェイン含有量を測定しながら処理を行うことにより、膜処理の終点の判断基準とすることができる。目的とする非透過液のカフェイン含有量は適宜設定すれば良く、非透過液のカフェイン含有量が所望の含有量となった時点で処理を止め、非透過液を回収することで低カフェイン茶エキスを得ることができる。非透過液の茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]が17以上となるまで膜処理を行うと、低カフェイン茶エキスを水へ希釈した際の溶解性が高まるため好ましい。[(B)/(C)]が20以上であるとより好ましく、40以上がさらに好ましい。最も好ましくは60以上である。また、非透過液のカフェイン含有量が所望の量になった後にそのまま膜処理を継続して非透過液をさらに濃縮しても良い。この際の処理温度、操作圧力等の膜処理条件には特に制限はない。
本発明の低カフェイン茶エキスは、水溶液の形態として使用することができるが、必要に応じて公知の方法により濃縮液や乾燥させた固形状、粉末状等にしても良い。濃縮には減圧濃縮、逆浸透膜濃縮、凍結濃縮等の手段を採用すれば良いが、香味面を考慮すると熱負荷の小さい逆浸透膜濃縮や凍結濃縮が好ましい。濃縮の程度は特に制限されないが、茶飲料へ配合する際の作業性を考慮すると茶エキスのBrixは1〜30%が好ましい。殺菌する場合には、高温長時間の加熱では香味のバランスが崩れるため、高温短時間の加熱(80〜135℃で3秒〜30分程度)が適当である。さらに加熱後の濃縮液は冷蔵または冷凍保存することにより香味の劣化を防ぐことができる。乾燥させる場合には噴霧乾燥法や凍結乾燥法等、一般的に用いられている方法を採れば良い。
本発明の低カフェイン茶エキスは、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)を含有し、次の(1)〜(3)を満たす低カフェイン茶エキスである。
(1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5
(2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
上記(1)〜(3)を満たすことで、苦味・エグ味、雑味のない香味の良好な低カフェイン茶エキスとなる。
本発明の低カフェイン茶エキスは、茶の風味に不可欠なポリフェノールの損失を抑えながら、カフェインが選択的に除去されている点から、茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]が5以上となることが好ましい。より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは35以上であり、最も好ましくは40以上である。[(B)/(C)]が5未満の場合は、カフェインの除去が不十分な茶エキスであるか、カフェインと共にポリフェノールも除去された風味が乏しい茶エキスであり、不適合である。また、[(B)/(C)]が5未満の場合、水性媒体への溶解性にも問題が生じる。
本発明の低カフェイン茶エキスは、苦味・エグ味の原因となるシュウ酸が除去されている点から、茶ポリフェノール(B)とシュウ酸(D)の重量比率[(B)/(D)]が16以上であることが好ましい。より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上である。これらの数値は脱カフェイン率を上げる程高くなる。
本発明の低カフェイン茶エキスは、雑味の原因となるマグネシウム、カルシウム、マンガン等の塩化物が少ない点から、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が35以上であることが好ましい。より好ましくは40以上であり、さらに好ましくは43以上であり、最も好ましくは50以上である。
本発明の低カフェイン茶エキスを製造する方法は、低カフェイン茶エキス中の茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が上記(1)〜(3)を満たすことが出来れば特に制限はないが、膜を用いた本発明の低カフェイン茶エキスの製造方法は酸性白土処理のようにマグネシウム、カルシウム、マンガン等を増加させることなく、カフェインと同時に苦味・エグ味の原因となるシュウ酸を除去することができるため好適である。
かくして得られる、本発明の低カフェイン茶エキスは、溶解性が高く、苦味・エグ味、雑味のない良好な香味を有するものとなる。
また、本発明の低カフェイン茶エキスは、必要に応じて各種の食品に使用可能な添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、乳化剤、香料、pH調整剤、栄養強化剤等の成分を適宜選択して混合し、製剤として使用することもできる。
本発明では、本発明の低カフェイン茶エキス、好ましくは当該製造方法により得られた低カフェイン茶エキスを調合して得られる、下記のパラメータの範囲を満たす低カフェイン飲料が提供される。
即ち、本発明における低カフェイン飲料とは、本発明の低カフェイン茶エキスを調合して得られる、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が次の(1)〜(4)を満たす低カフェイン飲料である。
(1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
(2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
(4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
上記(1)〜(4)を満たすことで、苦味・エグ味、雑味のない香味の良好な低カフェイン飲料となる。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)濃度は、10〜200mg/100mLであることが好ましい。より好ましくは、30〜150mg/100mL、さらに好ましくは40〜100mg/100mLである。また、茶ポリフェノール濃度が200mg/100mLを超える場合は、渋味が強くなり、飲料として好ましくない。

また、本発明の低カフェイン飲料中のカフェイン(C)濃度は、0.01〜40mg/100mLであるが、好ましくは、0.1〜30mg/100mL、より好ましくは、0.2〜10mg/100mL、さらに好ましくは、0.3〜2.5mg/100mLである。カフェイン濃度が、40mg/100mLを超えると、苦味が強く、不適である。

本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比[(B)/(C)]は、5.0以上であるが、好ましくは、10以上、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは35以上であり、最も好ましくは40以上である。[(B)/(C)]が5未満の場合は、カフェインの除去が不十分な苦味の強い飲料であるか、茶ポリフェノールも除去された風味が乏しい飲料となり、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中のシュウ酸(D)濃度は、0.01〜12.5mg/100mLであるが、好ましくは0.1〜10.0mg/100mL、より好ましくは0.2〜5.0mg/100mLであり、さらに好ましくは0.3〜3.0mg/100mLである。シュウ酸(D)濃度が12.5mg/100mLより多い場合は、エグ味が強くなり、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)とシュウ酸(D)の重量比率[(B)/(D)]は16以上であるが、好ましくは20以上、より好ましくは30以上であり、さらに好ましくは40以上である。[(B)/(D)]が16未満の場合は、シュウ酸の除去が不十分で苦味・エグ味の強い飲料となり、不適である。
本発明の低カフェイン飲料中の[(E)+(F)+(G)]の合計の濃度は、0.1〜5.8mg/100mLであるが、好ましくは0.5〜5.0mg/100mL、より好ましくは、0.8〜4.0mg/100mL さらに好ましくは1.0〜3.5mg/100mLである。
本発明の低カフェイン飲料中の茶ポリフェノール(B)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)及びマンガン(G)の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]は、35以上であることが好ましく、より好ましくは40以上、さらに好ましくは43以上であり、最も好ましくは56以上である。[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が35未満である場合は、雑味が多くなる。
本発明の低カフェイン飲料中のカテキン(A)の濃度は、74mg/100mL以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜40mg/100mL、さらに好ましくは1.0〜20mg/100mLである。
本発明の低カフェイン飲料中のカテキン(A)、茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]は、0.37以下であることが好ましいが、より好ましくは0.20以下であり、さらに好ましくは0.10以下、もっとも好ましくは0.08以下である。
本発明の低カフェイン飲料中の[(A)/(B)]が0.37以下であることから、本発明の低カフェイン飲料は、半発酵茶飲料や発酵茶飲料が好ましく、発酵茶飲料がより好ましい。
茶ポリフェノールを多量(例えば100mg/100ml以上)に配合する場合においては、苦味や渋味を抑制する手段として、苦渋味抑制剤を配合することが好ましい。苦渋味抑制剤としては、例えば、環状オリゴ糖を用いることが好ましい。環状オリゴ糖としては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン、サイクロフラクタン類等が挙げられるが、中でも、β−サイクロデキストリンが好ましい。茶飲料に対する苦渋味抑制剤の添加量は、例えば、β−サイクロデキストリンを用いる場合、茶ポリフェノールの含量に対して、0.020〜2.5重量%の割合で配合することが好ましい。苦渋味抑制剤として環状オリゴ糖を用いる場合、茶飲料の茶ポリフェノールの含量に対して0.2〜5重量倍量を添加することが好ましい。
本発明の低カフェイン飲料は、飲料製造工程において、必要に応じてアスコルビン酸やエリソルビン酸、もしくはそれらの金属塩などの酸化防止剤、香料、炭酸水素ナトリウム等のpH調整剤、乳化剤、保存剤、甘味料、着色料、増粘安定剤、調味料、強化剤等の添加剤を単独または組合せて配合することもできるが、特に調合液の調合時に添加することが好ましい。また、調合液のpH設定は、25℃換算値で、3.0〜7.0が好ましく、4.0〜7.0がより好ましく、5.0〜7.0がさらに好ましい。
本発明では、低カフェイン茶エキス、好ましくは当該製造方法により得られた低カフェイン茶エキスから得られる容器詰飲料が提供される。製造方法としては、容器詰飲料の一般的な製造方法を用いることができ、特に限定されない。
本発明の低カフェイン容器詰飲料は、本発明の低カフェイン茶エキスを、そのまま適宜濃度調整して、調合液として使用し、この調合液を高温短時間殺菌(UHT殺菌)した後容器に充填するか、容器に充填した後レトルト殺菌することによって、容器詰茶飲料とすることができる。また、本発明の茶エキスと、別途製造した茶抽出液または市販品の茶抽出物を混合し、所望とする茶調合液を得ることができる。市販品としては、例えば、三井農林(株)の商品名「ポリフェノン」、(株)伊藤園の商品名「テアフラン」、太陽化学(株)の商品名「サンフェノン」、佐藤食品工業(株)の商品名「ウーロン茶エキス」、「紅茶エキスパウダー」等が挙げられる。
さらには、従来の方法で低カフェイン処理した茶エキスと本発明の低カフェイン茶エキスを混合し、所望とする茶調合液を得ることができる。
本発明の低カフェイン容器詰飲料は製造工程のいずれかの段階で殺菌を行い、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、瓶などの通常の状態で提供することができる。金属缶や瓶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合は、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)により製造されるが、PETボトルや紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめレトルト殺菌と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換機などで高温短時間殺菌(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間))し、一定の温度まで冷却後、容器に充填するなどの方法が選択できる。
本発明における茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭とは、上記殺菌工程などで行う加熱処理により茶飲料の香気が劣化して発生するオフフレーバーのことである。茶抽出物に含まれる水溶性の前駆物質が加熱により新たな揮発性成分となり、香気成分のバランスを崩すことが原因であると考えられている。
本発明における低カフェイン飲料には、粉末飲料が含まれる。粉末飲料とは、水、湯、牛乳、茶類、果汁入りエキスおよび水溶性エキスなどの水性媒体を用いて液状にして飲用する飲料における液体状にする前の粉末状態のものを意味する。粉末飲料には、粉末茶飲料、粉末緑茶飲料、粉末烏龍茶飲料、粉末紅茶飲料、粉末スポーツドリンク、粉末アイソトニックドリンク、粉末ジュース、粉末乳飲料などの粉末飲料を包含する。
本発明の低カフェイン粉末飲料は、デキストリン、オリゴ糖、環状オリゴ糖、植物性油脂、動物性油脂、果汁、食品用エキス、酒類、ハーブ、スパイス類、香辛料抽出物、pH調整剤、甘味料、酸味料、調味料、酵素、糊料、ゲル化剤、増粘多糖類、安定剤、乳化剤、着色料、香料、酸化防止剤、日持向上剤、栄養強化剤、保存料などの副成分を含有してもよい。これらの副成分は、低カフェイン茶エキスに添加してもよいし、低カフェイン茶エキスを濃縮したものに添加することも可能である。ここで得られた調合液は、スプレードライヤーや凍結乾燥機で乾燥・粉末化することで粉末飲料とすることが可能である。また、上記の副成分は、製造工程のいずれにおいても混合が可能であり、それぞれ用途に応じた好ましいタイミングで添加すればよい。特にデキストリンやオリゴ糖、環状オリゴ糖などは粉末化するための乾燥工程前に混合することで、乾燥・粉末化などの作業性が向上するため、通常、茶固形分1重量部に対しての添加量は0.1〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましく、1.5〜3重量部を添加することが最も好ましい。デキストリンやオリゴ糖、環状オリゴ糖などの添加量が多すぎると味への影響が大きく、少なすぎると乾燥、粒径化などの作業性向上が期待できない。また粉末状の副成分は乾燥工程後の添加も可能であり、乾燥工程後に添加を行うと添加量の調整が容易であること、および余分な熱がかからないため副成分の劣化を抑制することできる。このようにして得られた粉末飲料は、造粒装置を用いて顆粒化することもできる。
本発明の低カフェイン粉末飲料の包装形態は、特に制限はなく、紙、プラスチック、アルミなどからなる袋、瓶、缶、プラスチックボトル等の容器に大容量を詰め、スプーンで計量するタイプの形態を用いても良いが、分包タイプのものが一杯分を簡便に調整できる点で好ましい。包装品の材質は酸素・湿度透過性の低いものの方が粉末飲料の品質を維持する上で好ましく、窒素ガスを充填するとより好ましい。アルミ袋などの大容量に詰められた粉末飲料をカップ式自動販売機やディスペンサー等で使用することも可能である。
本発明では、上記粉末飲料製造時に、本発明の低カフェイン茶エキスに茶葉原料から抽出した茶抽出物を配合し、上記方法を用いて低カフェイン粉末茶飲料を製造することができる。茶抽出物の製造方法は、特に限定されないが、通常の茶抽出物の製造に用いられる方法を用いることができ、市販の粉末状または液体状の茶抽出物も利用できる。
本発明の低カフェイン粉末飲料は、水性媒体を用いて液体状にした時に、[0042]〜[0046]記載の成分比及び濃度となればよい。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、例えばイオン交換水、蒸留水などが挙げられ、水性媒体中にデキストリン、環状オリゴ糖、増粘多糖類、安定剤、乳化剤、アルコール類、抗酸化剤、pH調整剤などを適宜添加したものでもよい。
本発明の低カフェイン茶エキスまたはその製剤は、上記低カフェイン茶飲料の他、例えば低カフェイン茶エキスを含有する飲食品類、香粧品類、保健・衛生・医薬品類等を提供することができる。これらの例としては、例えばスポーツ飲料、炭酸飲料、果汁飲料、乳飲料、酒類等の飲料類、アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類等の冷菓類;和・洋菓子、チューインガム類、チョコレート類、パン類、各種のスナック類などが挙げられる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<茶抽出液の種類および処理温度の検討(1)>
各種茶葉40gを表1に示す所定温度・所定量のイオン交換水で10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて固液分離した。得られたろ液を必要に応じて表1に示す倍率でイオン交換水で希釈し、重曹を加えてpHを調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7410(日東電工(株)製)を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセル((株)トライテック製)と送液ポンプKP−12((株)フロム製)を用い、表1に示す処理温度・操作圧力で、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表1に示す。
茶ポリフェノール透過率およびカフェイン透過率は下記の通り定義して算出した。
透過率(%)=75%回収した透過液中の濃度(mg/100mL)/膜処理前の被処理液中の濃度(mg/100mL)×100
ここでいう「75%回収した透過液中の濃度」とは、膜処理に供した処理液の液量の75%量の透過液が得られた時点での透過液中の濃度である。つまり、160mLの茶抽出液を膜処理した場合は、得られた120mLの透過液における透過液中の濃度である。
カフェイン除去速度(mg/cm/hr)は下記の式により算出した。
カフェイン除去速度(mg/cm/hr)=透過液中のカフェイン濃度(mg/100mL)/100×透過液量(mL)/膜面積(cm)/処理時間(hr)
非透過液の茶ポリフェノール残存率と非透過液のカフェイン除去率は下記の式により算出した。
非透過液の茶ポリフェノール残存率(%)=[非透過液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)]×100
非透過液のカフェイン除去率(%)=[1−{非透過液のカフェイン濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のカフェイン濃度(mg/100mL)}]×100
なお、固形分、茶ポリフェノール、カフェイン、カテキン類の定量は以下の測定方法により行った。
(固形分の測定方法)
固形分は20℃における糖用屈折計示度(Brix)で表され、RX−5000α((株)アタゴ製)にて測定した。
(茶ポリフェノールの測定方法)
茶ポリフェノールの定量は「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月)の252〜254ページに記載の酒石酸鉄吸光光度法に従って行った。定量用標準物質には没食子酸エチル(東京化成工業(株)製)を用いた。
(カフェインおよびカテキン類の測定方法)
カフェインおよびカテキン類の定量はHPLC分析法により次の条件で行った。定量用標準物質にはカフェイン(関東化学(株)製)とカテキン類(EGCg、EGC、ECg、EC、GCg、GC、Cg、C、全て三井農林(株)製)を用いた。
装置:Alliance HPLCシステム(ウォーターズ社製)
カラム:Poroshell 120 EC−C18(4.6×100mm,粒子径2.7μm、アジレント社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液0.05%リン酸水/アセトニトリル=1000/25(体積比),B液メタノール
グラジエントプログラム:0〜1分,B0%→1〜11分,B0〜33%→11〜11.25分,B33〜95%→11.25〜13.25分,B95%→13.25〜13.5分,B95〜0%→13.5〜15.5分,B0%
流速:1.5mL/min
検出:UV275nm(カフェイン),UV230nm(カテキン類)
表1に示すように、25〜40℃で膜処理した場合、茶抽出液のカテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]の値に関わらず、カフェイン除去速度が0.17〜0.44mg/cm/hrと遅い(比較例1、3、7、10〜13)、またはカフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比が3.6と小さい(比較例5)ため、カフェインを効率的かつ選択的に除去することは困難であった。
50〜60℃で膜処理した場合、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.38より大きい茶抽出液では、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比が1.4〜4.4と小さい(比較例2、4、6、8、9)ため、カフェインを選択的に除去することが困難であった。一方、発明例1〜4に示す[(A)/(B)]が0.37以下の茶抽出液では、カフェイン除去速度が1.69〜2.56mg/cm/hrと速く、かつカフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比が7.6〜17.4と高いため、カフェインを効率的かつ選択的に除去できることが示された。本実施例で示したように、特定の成分比を持つ茶抽出液を高温で膜処理した場合にのみ、茶抽出液中のカフェインを効率的かつ選択的に除去できることがわかった。
<膜種類の検討>
紅茶葉ディンブラ120gを90℃のイオン交換水1760gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて1.28倍に希釈した後、重曹を加えてpH6.0または6.5に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mmの円形平膜の各種逆浸透膜、NADIR NP010(マイクロダイン・ナディア社製)、NTR−7410、NTR−7430、NTR−7450、NTR−7250、NTR−729HF(以上、日東電工(株)製)や各種限外ろ過膜GE、GH、PT、PW(以上、ジーイー・ウォーター・アンド・プロセス・テクノロジーズ社製)、CF30−S(日東電工(株)製)を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、表2に示す処理温度・操作圧力で、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、NaCl阻止率が5〜51%の逆浸透膜を用い、50〜65℃で膜処理を行った発明例5〜8では、カフェイン除去速度1.37〜2.71mg/cm/hr、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比16.6〜28.5であった。このように、効率的かつ選択的なカフェインの除去に使用できる逆浸透膜はNTR−7410に限らず、NaCl阻止率が5〜51%の逆浸透膜が使用できることが実証された。比較例14、15に示すNaCl阻止率が60%以上の逆浸透膜を使用した場合、カフェイン除去速度は0.15〜0.22mg/cm/hrと遅かった。このように、NaCl阻止率が60%以上の逆浸透膜では、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下の茶抽出液を50℃以上で処理しても効率的なカフェインの除去は困難であった。
分画分子量5000の限外ろ過膜を用い、26℃で膜処理を行った比較例16ではカフェイン除去速度は0.40mg/cm/hrと低いため効率的なカフェインの除去は困難であった。分画分子量1000〜10000の限外ろ過膜を用い、50〜60℃で膜処理を行った発明例9〜12では、カフェイン除去速度1.52〜2.13mg/cm/hr、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比8.6〜11.1であった。このように、50℃以上の処理温度であれば分画分子量が1000〜10000の限外ろ過膜も、効率的かつ選択的なカフェインの除去に使用できることが実証された。分画分子量20000の限外ろ過膜を用い、50℃で膜処理を行った比較例17ではカフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比は2.2と低かった。分画分子量が20000の限外ろ過膜では、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下の茶抽出液を50℃で処理しても選択的なカフェインの除去が困難であり、茶ポリフェノールの損失が大きかった。
<処理温度の検討(2)>
紅茶葉アッサム60gを95℃のイオン交換水960gで15分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて1.33倍に希釈した後、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mm円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、表3に示す処理温度で、操作圧力3.0MPa、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度を算出した。その結果を表3に示す。
<pHおよび固形分濃度の検討>
紅茶葉ディンブラ30gを90℃のイオン交換水480gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。得られたろ液にイオン交換水を加えて、表3に記載の所定の希釈倍率で希釈した後、重曹を加えてpH5.0またはpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液とした。
直径75mm円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPa、循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで処理を終了した。茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した。その結果を表3に示す。
表3の実施例3に示すように、比較例18の処理温度40℃ではカフェイン除去速度は0.30mg/cm/hrと著しく遅かった。また、実施例1の比較例10〜13の結果も含めて、処理温度が40℃以下では効率的なカフェインの除去が困難であった。これに対し、発明例13〜16では、カフェイン除去速度1.07〜3.80mg/cm/hr、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比17.7〜25.3であり、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下の茶抽出液から効率的かつ選択的にカフェインを除去することができる処理温度は45℃以上であることが示された。
また、実施例4の発明例17〜20では、カフェイン除去速度0.96〜1.58mg/cm/hr、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比13.0〜19.1、であり、カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下の茶抽出液であれば、茶抽出液のpHや固形分濃度を変更した場合についてもカフェインを効率的かつ選択的に除去することができることが実証された。
<加水試験と膜処理による低カフェイン茶エキスの製造(1)>
ブレンド茶葉C(紅茶葉ウバ:紅茶葉ニルギリ=1:1)20gを90℃のイオン交換水320gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。ろ液146gにイオン交換水を加えて1.37倍に希釈した後、アスコルビン酸ナトリウム300mgを添加し、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液1とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPaで循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液1の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで非透過液にイオン交換水120mLを加えて膜処理を行った。この操作を4回繰り返した(イオン交換水120mL添加を4回、合計480mL)。4回目のイオン交換水の添加の後、透過液が120mL得られるまで膜処理を行い、非透過液を回収して発明茶エキス1となる低カフェイン茶エキスを得た。茶抽出液1、1回目の膜処理で得られた透過液および非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度茶抽出液、透過液、非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス1の成分分析を行い、低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、カフェイン除去率は下記の通り算出した。
低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率(%)=[低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液の茶ポリフェノール濃度(mg/100mL)]×100
低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率(%)=[1−{低カフェイン茶エキスのカフェイン濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のカフェイン濃度(mg/100mL)}]×100
<加水試験と膜処理による低カフェイン茶エキスの製造(2)>
紅茶葉ディンブラ30gを90℃のイオン交換水480gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離した。ろ液149gにイオン交換水を加えて1.34倍に希釈した後、アスコルビン酸ナトリウム300mgを添加し、重曹を加えてpH6.0に調整して膜処理用の茶抽出液2とした。
直径75mmの円形平膜の逆浸透膜NTR−7450を設置した卓上型膜処理装置スピンフローセルと送液ポンプKP−12を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPaで循環流量50mL/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液2の膜処理を行った。茶抽出液160mLを膜処理に供し、透過液が120mL得られたところで非透過液にイオン交換水120mLを加えて膜処理を行った。この操作を4回繰り返した(イオン交換水120mL添加を4回、合計480mL)。4回目のイオン交換水の添加の後、透過液が120mL得られるまで膜処理を行い、非透過液を回収して発明茶エキス2となる低カフェイン茶エキスを得た。茶抽出液2、1回目の膜処理で得られた透過液および非透過液の成分分析を行い、茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、カフェイン透過率/茶ポリフェノール透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス2の成分分析を行い、低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
<加水試験と膜処理による低カフェイン茶エキスの製造(3)>
紅茶葉ディンブラ2.1kgを90℃のイオン交換水25.2kgで10分間撹拌抽出後、ステンレスメッシュと生産用ろ紙(No.28)で固液分離してろ液17.81kgを得た。ろ液14.39kgにイオン交換水19.61kg、アスコルビン酸ナトリウム51g、重曹11gを加えて膜処理用の茶抽出液3とした。
直径2インチのスパイラル型の逆浸透膜NTR−7450HG−S2F(日東電工(株)製)を設置した膜処理装置(栗田工業(株)製)と送液ポンプMW3HP601B((株)丸山製作所)を用い、処理温度50℃、操作圧力3.0MPa、循環流量10L/minとしてクロスフロー形式にて循環させて茶抽出液3の膜処理を行った。33.5kgの茶抽出液3を膜処理に供し、透過液が25.13kg得られた時点で、非透過液125g(発明茶エキス3)を抜き取り、イオン交換水24.75kgを残りの非透過液側に加えた。2回目の膜処理を行い、透過液が24.75kg得られた時点で、非透過液125g(発明茶エキス4)を抜き取り、イオン交換水24.38kgを残りの非透過液側に加えた。3回目の膜処理を行い、透過液が24.38kg得られた時点で非透過液125g(発明茶エキス5)を抜き取り、イオン交換水24.00kgを残りの非透過液側に加えた。4回目の膜処理を行い、透過液が28.60kg得られた時点で膜処理を終了し、得られた非透過液3.0kgの内2.8kgを110℃で30秒間UHT殺菌を行い、発明茶エキス6となる低カフェイン茶エキスを得た。膜処理の各段階における茶ポリフェノール透過率、カフェイン透過率、茶ポリフェノール透過率/カフェイン透過率比、カフェイン除去速度、非透過液の茶ポリフェノール残存率、非透過液のカフェイン除去率を算出した結果を表4に示す。また、発明茶エキス3〜6の成分分析を行い、各低カフェイン茶エキスの茶ポリフェノール残存率、低カフェイン茶エキスのカフェイン除去率を算出した結果も表4に示す。
表4の実施例5および6(発明例21および22)に示すように、茶抽出液を膜処理した(1回目の膜処理を行った)際の非透過液の茶ポリフェノール残存率は95〜98%、カフェイン除去率は42〜49%であった。この非透過液に加水した後に膜処理を実施することを繰り返した結果、カフェイン除去率が92%の低カフェイン茶エキス(発明茶エキス1および2)を得ることができた。発明茶エキス1および2の茶ポリフェノール残存率は83〜87%であり、多くの茶ポリフェノールを保持することができた。また、実施例7(発明例23)では平膜ではなく、スパイラル膜を用いて同様に加水と膜処理を繰り返した。低カフェイン茶エキス(発明茶エキス3〜6)のカフェイン除去率を比較して明らかなように、加水と膜処理を繰り返すことで47、72、85%とカフェイン除去率は上昇し、最終的にカフェイン除去率96%の低カフェイン茶エキスを得ることができた。発明茶エキス6の茶ポリフェノール残存率は91%であり、多くの茶ポリフェノールを保持することができた。
<低カフェイン茶葉の抽出による低カフェイン茶エキスの製造>
2種類の低カフェイン紅茶葉40gそれぞれを90℃のイオン交換水640gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)を用いて固液分離を行った。酢酸エチル抽出によりカフェインが除去された紅茶葉(ヘルゼン・アンド・リヨン社製)、超臨界二酸化炭素抽出によりカフェインが除去された紅茶葉セイロン((株)セレクティー製)それぞれから、比較茶エキス1、2となる低カフェイン茶エキスを得た。
<市販の低カフェイン茶エキス>
低カフェイン紅茶抽出物粉末1g(プラントエクストラクト社製、超臨界二酸化炭素処理した紅茶葉ケニアの抽出物)をイオン交換水20gに溶解して比較茶エキス3となる低カフェイン茶エキスを得た。
<活性炭処理による低カフェイン茶エキスの製造>
紅茶葉ディンブラ40gを75℃のイオン交換水580gで20分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)で固液分離して茶抽出液4となる紅茶抽出液460gを得た。
400gの茶抽出液4へ活性炭(クラレケミカル(株)製)13.2gを添加し、45℃で1時間撹拌した。活性炭処理後、ろ紙(No.5C、アドバンテック(株)製)でろ過を行い、比較茶エキス4となる低カフェイン茶エキスを得た。
<酸性白土処理による低カフェイン茶エキスの製造−1>
直径95mmの桐山漏斗に、No.5C、No.5B、No.5Aのろ紙(全てアドバンテック(株)製)を順次敷いた。アスピレーターで吸引しながら、イオン交換水50mLに懸濁させた珪藻土3.53gをろ紙上に投入して珪藻土によるろ過床を準備した。次に、イオン交換水50mLに懸濁した酸性白土(ミズカエース#600、水沢化学工業(株)製)7.03gと珪藻土3.53gをアスピレーターで吸引しながら上記ろ過床上に投入して処理剤層を形成し、イオン交換水1250mLを通液して洗浄した。
紅茶葉ディンブラ50gを90℃のイオン交換水800gで10分間撹拌抽出後、生産用ろ紙(No.28)で固液分離した。得られたろ液をBrix15%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した後、イオン交換水で希釈してBrixを2.5%に調整して茶抽出液5−1となる紅茶抽出液645gを得た。283gの茶抽出液5−1に珪藻土2.83gを懸濁し、上記の処理剤層に通液して、比較茶エキス5−1となる低カフェイン茶エキスを得た。
<酸性白土処理による低カフェイン茶エキスの製造−2>
紅茶葉ディンブラ10gを85℃のイオン交換水400gで4分間撹拌抽出後、No.28生産用ろ紙で吸引ろ過し、固液分離した。得られたろ液を20℃まで冷却した後にイオン交換水で400gとし、遠心分離処理を行い、茶抽出液5−2となる紅茶抽出液を得た。
得られた紅茶抽出液200gに対し、酸性白土(ミズカエース#20、水沢化学工業(株)製)3gと重曹660mgを加えてpH7.30に調製した後、酸性白土に1時間接触させた。接触後に遠心分離処理と0.2μmメンブランフィルターろ過を行い、比較例茶エキス5−2となる低カフェイン紅茶エキスを得た。
<低カフェイン茶エキスの評価>
実施例5〜11で得られた茶抽出液、発明茶エキス、比較茶エキスの成分分析を行った(表5)。低カフェイン茶エキスのシュウ酸除去率は下記の通り算出した。
低カフェイン茶エキスのシュウ酸除去率(%)=[1−{低カフェイン茶エキスのシュウ酸濃度(mg/100mL)/濃縮倍率/茶抽出液のシュウ酸濃度(mg/100mL)}]×100
なお、固形分、茶ポリフェノール、カフェインの定量は実施例1に記載の方法で行った。シュウ酸、マグネシウム、カルシウム、マンガンの定量は以下の測定方法により行った。
(シュウ酸の測定方法)
シュウ酸の定量はキャピラリー電気泳動(CE)分析法により次の条件で行った。定量用の標準物質にはシュウ酸ナトリウム(関東化学(株)製)を用いた。
装置:G1600A CEシステム(アジレント社製)
キャピラリー:フューズドシリカ(75μm×805mm,アジレント社製)
キャピラリー温度:20℃
緩衝液:有機酸分析バッファー(アジレント社製)
電圧:−25kV
検出:シグナル350/20nm,リファレンス200/10nm
(マグネシウム、カルシウム、マンガンの測定方法)
マグネシウム、カルシウム、マンガンの定量は誘導結合プラズマ発光分光分析法により次の条件で行った。定量用標準物質にはマグネシウム標準液、カルシウム標準液、マンガン標準液(全て関東化学(株)製)を用いた。
装置:CIROS CCD−M((株)リガク製)
プラズマ電力:1400W
ポンプ流量:1mL/min
プラズマガス流量:アルゴン,13L/min
補助ガス流量:アルゴン,1L/min
ネブライザーガス流量:アルゴン,1L/min
分析線:279.079nm(マグネシウム),422.673nm(カルシウム),259.373nm(マンガン)
また、実施例5〜11で得られた発明茶エキスと比較茶エキスを茶ポリフェノール濃度が60mg/100mLとなるようにイオン交換水で希釈し、香り、苦味・エグ味、雑味、溶解性についてパネリスト5名による官能評価を行った(表5)。
(香りの評価基準)
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
(苦味・エグ味、雑味の評価基準)
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)、1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
(溶解性の評価基準)
評価点:4(希釈液中に完全に溶解している)、3(溶解している)、2(沈殿物が見られる)、1(沈殿物が多く見られる)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
表5の結果より、いずれの低カフェイン茶エキスもカフェインが選択的に除去されており、これら茶エキスの茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]は5以上であった。しかしながら、本発明の低カフェイン茶エキス(発明茶エキス1〜6)は、香りが良く、苦味・エグ味や雑味は感じられなかったのに対し、比較茶エキス1〜5は、いずれも香りが無い、もしくは香りが劣化しているために香りが悪いと評価された。
また、比較茶エキス1〜4、5−2に苦味・エグ味が感じられたため、茶抽出液、発明茶エキス、比較茶エキスの成分分析を実施したところ、本発明の膜処理の工程ではカフェインと同時にシュウ酸が除去されることが明らかになった。発明茶エキス1〜6ではシュウ酸が33〜88%除去されており、茶ポリフェノール(B)とシュウ酸(D)の重量比率[(B)/(D)]が21〜119と大きいことが苦味・エグ味を感じない原因であることが示された。
さらに、比較茶エキス1、3、5−1、5−2には雑味が有り、特に比較茶エキス5−1、5−2で雑味が強く感じられた。同じく成分分析を実施したところ、比較茶エキス5−1は酸性白土処理によりマグネシウム、カルシウム、マンガンが増加しており、処理前後で茶ポリフェノール(B)とマグネシウム(E)、カルシウム(F)、マンガン(G)の和との重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が62から18へと低下していた。
比較茶エキス5−2も5−1と同様に重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が57から8.4へと低下していた。比較茶エキス1、3についても、本発明よりも[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が低かった。よって、発明茶エキス1〜6では[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が46〜69と大きいことが雑味を感じない原因であることが示された。
溶解性はいずれの発明茶エキスも良好であったが、[(B)/(C)]が17以上であるとより良好であった。
<低カフェイン茶飲料の調製(1)>
実施例5〜11で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス1〜6、比較茶エキス1〜5−1)を、それぞれ茶ポリフェノール濃度が60mg/100mLとなるようにイオン交換水で希釈し、アスコルビン酸ナトリウム濃度30mg/100mL、pH6.2となるように、アスコルビン酸ナトリウムと重曹を添加して調合液を得た。この調合液を飲料缶に充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って低カフェイン茶飲料を調製した。実施例12の記載と同様の方法で成分を定量し、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性について官能評価を行った。結果を表6に示す。
表6の結果より、本発明のエキスから得られた低カフェイン茶飲料(発明飲料1〜6)は、比較飲料1〜5と比して、苦味・エグ味、雑味がなく、香りが優れた茶飲料となった。
<低カフェイン茶エキスの配合試験(1)>
実施例7で作製した発明茶エキス6と実施例9で作製した比較茶エキス3をそれぞれ種々の割合で配合し、得られた各配合エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表7に示す。
表7の結果から明らかなように、本発明の低カフェイン茶エキスを既存の茶エキスと配合しても良好な香味を保持した低カフェイン茶エキスを得ることができた。
さらに、[(B)/(D)]が19となった発明茶エキス10では苦味・エグ味は感じられず、[(B)/(D)]が11となった比較茶エキス6では明らかな苦味・エグ味が感じられた。よって、[(B)/(D)]が一定の数値より小さい茶エキスは、苦味・エグ味を呈することが明らかになった。
<低カフェイン茶飲料の調製(2)>
実施例14で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス7〜10、比較茶エキス6、7)を、茶ポリフェノール濃度を50mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表8に示す。
表6の結果より、本発明のエキスから得られた低カフェイン茶飲料(発明飲料7〜10)は、[(B)/(D)]が不適な範囲である比較飲料6、7と比して香味が優れた茶飲料となった。
<低カフェイン茶エキスの配合試験(2)>
実施例7で作製した発明茶エキス6と実施例11で作製した比較茶エキス5−1をそれぞれ種々の割合で配合し、得られた各配合エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表9に示す。
表9の結果から明らかなように、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が43となった発明茶エキス14では雑味は感じられず、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が33となった比較茶エキス8では明らかな雑味が感じられた。よって、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が一定の数値より小さい茶エキスは、雑味を呈することが明らかになった。
<低カフェイン茶飲料の調製(3)>
実施例16で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス11〜14、比較茶エキス8、9)を、茶ポリフェノール濃度を70mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表10に示す。
表10の結果より、本発明の茶エキスから得られた低カフェイン茶飲料(発明飲料11〜14)は、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が不適な範囲である比較飲料8、9と比して香味が優れた茶飲料となった。
<低カフェイン茶エキスへのシュウ酸または塩化物の添加>
50gの発明茶エキス6にシュウ酸ナトリウム91mgを加えて発明茶エキス15、50gの発明茶エキス6にシュウ酸ナトリウム113mgを加えて比較茶エキス10となる低カフェイン茶エキスを得た。また、50gの発明茶エキス6に塩化マグネシウム33mg、塩化カルシウム6mg、塩化マンガン2mgを加えて発明茶エキス16、50gの発明茶エキス6に塩化マグネシウム66mg、塩化カルシウム12mg、塩化マンガン4mgを加えて比較茶エキス11となる低カフェイン茶エキスを得た。得られた低カフェイン茶エキスを、実施例12と同様の方法で官能評価を行った。結果を表11に示す。
表11より、発明茶エキス6にシュウ酸ナトリウムを添加して得られた発明茶エキス15および比較茶エキス10について、[(B)/(D)]が18となった発明茶エキス15では苦味・エグ味は感じられず、[(B)/(D)]が15となった比較茶エキス10では苦味・エグ味が感じられたため、[(B)/(D)]が15以下である低カフェイン茶エキスは、苦味・エグ味を呈することが確かめられた。
また、発明茶エキス6に塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マンガンを添加して得られた発明茶エキス16および比較茶エキス11について、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が38となった発明茶エキス16では雑味は感じられず、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が29となった比較茶エキス11では雑味が感じられたため、[(B)/{(E)+(F)+(G)}]が29以下である茶エキスは雑味を呈することが確かめられた。
<低カフェイン茶飲料の調製(4)>
実施例18で得られた低カフェイン茶エキス(発明茶エキス15、16、比較茶エキス10、11)を、茶ポリフェノール濃度を80mg/100mLとする以外は実施例13と同様の方法で茶飲料とし官能評価を行った。結果を表12に示す。
表12の結果より、本発明のエキスから得られた低カフェイン茶飲料(発明飲料15、16)は、比較飲料10、11と比して香味が優れた茶飲料となった。
<低カフェイン茶飲料の茶ポリフェノール量の調整>
実施例7の発明茶エキス6を、茶ポリフェノール濃度が5、10、40、80、120、160、200、220mg/100mLとなるようにそれぞれ希釈し、実施例13と同様の方法で茶飲料とし、官能評価を行った。本実施例においては、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性に加え、渋味の官能評価も行った。
(渋味の評価基準)
評価点:4(良い)、3(やや良い)、2(やや悪い)1(悪い)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。結果を表13に示す。
また、発明茶エキス3についても同様に飲料とし、官能評価を行った。結果を表14に示す。
表13および14の結果より、本発明の低カフェイン茶飲料は、(B)茶ポリフェノール濃度が10から200mg/100mlの範囲において優れた香味を奏することが示された(発明飲料17〜28)。一方、(B)茶ポリフェノール濃度が5mg/100mlである飲料は香りが劣り(比較飲料12、14)、220mg/100mlになると渋味が強くなることが示された(比較飲料13、15)。また、本発明によって得られた発明飲料26は、カフェイン濃度が29.89mg/100mlであっても、香味のバランスが良好な飲料であった。
本発明の低カフェイン茶飲料(発明飲料1〜6)、超臨界二酸化炭素抽出によりカフェインが除去された紅茶葉から調製した比較飲料2および実施例5〜7で調製した通常の茶抽出液1〜3を実施例13に記載の方法で茶飲料とした比較飲料16〜18について、加熱殺菌時の劣化臭の発生をパネリスト5名による官能評価によって比較した(表15)。
(加熱殺菌時の劣化臭の評価基準)
評価点:4(発生が感じられない)、3(微弱に感じるが問題なし)、2(発生が香味に悪影響を及ぼしている)1(強く発生しており飲用に不適)
評価:5人の平均評価点が、3.4以上を◎、2.7〜3.3を○、1.7〜2.6を△、1.6以下を×とした。
表15の結果から明らかなように、通常の容器詰茶飲料(比較飲料16〜18)は香味に悪影響を及ぼすほどの加熱殺菌時の劣化臭が発生したが、本発明の低カフェイン茶飲料(発明飲料1〜6)では劣化臭の発生が抑制されていることが示された。これに対し、比較飲料2は劣化臭の発生が強く認められた。また、加水による膜処理によってカフェイン除去を行った発明飲料4〜6は、劣化臭の発生がより抑制されていることが確かめられた。
<低カフェイン茶エキスと茶抽出液を配合した飲料の調製>
実施例7で作製した発明茶エキス6と茶抽出液1をそれぞれ種々の割合で配合した。得られた各配合エキスを、実施例13と同様の方法で茶飲料とした。得られた低カフェイン茶飲料について、香り、苦味・エグ味、雑味、飲料中の溶解性に加え、加熱殺菌時の劣化臭の官能評価を行った。比較として実施例21で茶抽出物1から調製した比較飲料16についても同様の評価を行った。結果を表16に示す。
表16の結果より、本発明の低カフェイン茶エキスを茶抽出液と配合して低カフェイン茶飲料を調製した場合も、良好な香味を保持した飲料が得られることが示された。
[(B)/(C)]が4.7である比較飲料19は、カフェイン由来の苦味が確認できたのに対し、[(B)/(C)]が7.1以上である発明飲料29〜34では苦味が抑制されており、[(B)/(C)]が22以上である発明飲料29〜31においてはさらに良好であった。よって、[(B)/(C)]を一定の数値以上に調整した飲料は、苦味が改良されることが示された。
さらに、本発明の茶エキスを配合した発明飲料29〜34では、比較飲料16で感じられた加熱殺菌時の劣化臭が抑制されていた。
<低カフェイン粉末茶飲料の調整>
25gの発明茶エキス6にデキストリン(サンデック#150、三和澱粉工業(株)製)25gを加え、凍結乾燥機で乾燥させて、低カフェイン粉末茶飲料を27.5g得た。当粉末茶飲料を茶ポリフェノール濃度が90mg/100mLになるよう熱水に溶解したところ、香りが良く、苦味・エグ味や雑味は感じられない茶飲料が得られた。
<低カフェイン飲料の調製>
50gの発明茶エキス5と、無水クエン酸1.0g、10質量%重曹水5.7gを溶解した。次に、無水結晶果糖46.6g、エリスリトール7.5g、L−アスコルビン酸0.5g、レモンライム香料1.0gを添加して、イオン交換水で全量を1,000gとした。この調合液を飲料缶に充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って、茶ポリフェノールを含有する低カフェイン飲料を調製した。
本発明は、茶抽出液から簡便かつ効率的・選択的にカフェインを除去することができ、得られた低カフェイン茶エキスは良好な紅茶の香味を保持している点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (17)

  1. カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことにより、茶抽出液中のカフェインを低減し、かつ茶ポリフェノールの損失を抑制する工程を有する低カフェイン茶エキスの製造方法。
  2. カテキン類(A)と茶ポリフェノール(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.33以下の茶抽出液である、請求項1記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
  3. 処理温度が50〜70℃である請求項1または2に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
  4. 茶抽出液のpHが5.0〜6.9である請求項1〜3のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
  5. 膜処理の間、非透過液に対して間欠的または連続的に水性媒体を加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
  6. 非透過液の茶ポリフェノール(B)とカフェイン(C)の重量比率[(B)/(C)]が17以上となるまで膜処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の低カフェイン茶エキスの製造方法。
  7. カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行うことを特徴とする茶エキスのカフェイン低減および茶ポリフェノールの損失抑制方法。
  8. カテキン類(A)および茶ポリフェノール(B)を含有し、(A)と(B)の重量比率[(A)/(B)]が0.37以下である茶抽出液を、食塩阻止率が5〜55%である逆浸透膜および/または分画分子量が1000〜10000である限外ろ過膜を用いて45〜80℃の処理温度で膜処理を行って得られる低カフェイン茶エキスを調合することを特徴とする茶飲料の加熱殺菌時の劣化臭抑制方法。
  9. 茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)を含有し、次の(1)〜(3)を満たす低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された茶エキス。
    (1)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0
    (2)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
    (3)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
  10. 請求項に記載の低カフェイン茶エキスを配合して得られる、茶ポリフェノール(B)、カフェイン(C)、シュウ酸(D)、マグネシウム(E)、カルシウム(F)およびマンガン(G)が次の(1)〜(4)を満たす低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料。
    (1)(B)の濃度が10〜200mg/100mL
    (2)(B)と(C)の重量比率[(B)/(C)]≧5.0(3)(B)と(D)の重量比率[(B)/(D)]≧16
    (4)(B)と(E)〜(G)の和の重量比率[(B)/{(E)+(F)+(G)}]≧35
  11. カフェイン(C)の濃度が、0.1〜40mg/100mLである請求項10記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料。
  12. 飲料が容器詰である請求項10または11に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された容器詰飲料。
  13. 飲料が茶飲料である請求項1012のいずれか一項に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された茶飲料。
  14. 請求項1013のいずれか一項に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料の製造方法。
  15. 水性媒体を用いて液体状にした時に、請求項10または11に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された飲料となる低カフェイン粉末飲料。
  16. 粉末飲料が粉末茶飲料である請求項15に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された粉末飲料。
  17. 請求項15または16に記載の低カフェインかつ茶ポリフェノールの損失が抑制された粉末飲料の製造方法。
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