JP2007097716A - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】身体の溝及び肌の動きに追従して当接できる立体部を有する吸収性物品を提供すること。
【解決手段】生理用ナプキン1は、液透過性の外側シート44a及び内側シート44bを備える積層表面シート41で形成される立体部40、液不透過性の裏面シート13、並びに、これら立体部40及び裏面シート13の間に設けられた吸収体20を有し、長手方向と短手方向を有する実質的に縦長の形状である。立体部40は、使用者の身体の溝に当接する頂部45と、この溝を形成する肌に当接し、頂部45を形成する側壁部46と、を含む立体形状であり、立体部40の側壁部46のうち少なくとも一部には、短手方向に伸縮可能な拡張部47が形成されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、良好なフィット機能を有する吸収性物品に関する。
従来より、女性性器から排泄される経血を吸収し、保持する女性用生理用品として、吸収性物品が用いられている。吸収性物品は、一般的に、液透過性の表面シートと、液不透過性の裏面シートと、これら表面シート及び裏面シートの間に設けられた吸収層と、を有する縦長の形状である。着用時には、吸収性物品の表面シート側が使用者の肌面に接し、裏面シート側が、使用者が着用する下着の面に接する。
ところで、経血の漏れを防ぐためには、吸収性物品を、膣口、及び湾曲した臀部の溝の形状に合わせて隙間無く当接させねばならない。以上のような状況の下、種々の吸収性物品が提案されている。
例えば、特許文献1に記載の吸収性物品は、吸収性物品本体の幅方向の中心に、長手方向に沿って、硬い補強材料を内包するこぶが、表面シート側へ突出して設けられていることを特徴とする。
この吸収性物品によれば、使用者の身体の溝に当接するこぶを、硬い補強材料によって補強したので、例えば、使用者が着座することにより、こぶに圧力が作用した状態であっても、こぶの高さは維持されたまま、使用者の身体の溝に当接させ続けることができる。
特許文献2に記載の吸収性物品としての混合衛生ナプキンは、本体の表面シート側に、幅方向断面が略三角形状の立体部を備えており、この立体部は、反発性の弾性部材を有する吸収層を、フィルムや不織布等の非伸縮性のシートで被覆することによって形成されていることを特徴とする。
この混合衛生ナプキンによれば、立体部の内部を、反発性の弾性部材を有する吸収層で形成したので、立体部を、使用者の身体の輪郭に合致させることができる。
また、特許文献3に記載の吸収性物品は、不織布、或いはパルプ等で構成された非伸縮性の吸収層で形成された立体部と、この吸収層の下側に位置する本体とを備え、この立体部は、幅方向の中心及び両側縁部に、長手方向に沿って延びる弾性部材によって本体から使用者の肌側に離間した状態で支持されていることを特徴とする。
この吸収性物品によれば、立体部を、弾性部材により本体から離間させたので、この立体部は、本体とは独立に動くことができる。したがって、立体部を、常に使用者の局部に当接できる。
特開2001−504727号公報 特開平11−500940号公報 特開2001−245921号公報
しかしながら、特許文献1に記載の吸収性物品では、補強材料は、こぶを表面シート側の方向へ突出させるように設けられているため、使用者の身体の溝の形状が変形した場合であっても、このこぶの突出した形状を維持する力が作用し、身体の溝に対しこぶの中心が柔軟に追従できないため、身体の溝とこぶとの間に隙間が生じてしまう。
特許文献2に記載の混合衛生ナプキンでは、立体部の表面は非伸縮性の部材で被覆されているために、身体の溝を形成する肌の伸縮に応じて、立体部の表面を伸縮させることができない。したがって、例えば、使用者の動きによって身体の溝が左右にずれた場合に、立体部の頂部と身体の溝との間に隙間が生じてしまう。
また、特許文献3に記載の吸収性物品は、立体部は本体と離間しているために、立体部自体の自由度は高いのだが、上述の特許文献2に記載の混合衛生ナプキンと同様に、立体部を形成する面のうち使用者の肌と当接する部分は、非伸縮性の材料を使用しているため、使用者の動きによって身体の溝が左右にずれた場合に、この溝を形成する肌の伸縮に追従することができず、立体部と身体の溝との間に隙間が生じてしまうおそれがあった。
以上のように、使用者が静止した状態では、身体の溝に立体部を隙間無く当接させることができても、例えば、使用者が動くことにより、身体の溝を形成する肌が伸縮し、この溝が左右、或いは上下に移動した場合には、立体部を、この身体の溝及び肌の動きに追従させることができず、身体の溝と立体部との間に隙間が生じ、この隙間を伝い経血が漏れてしまう、という課題があった。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、使用者が動くことにより、身体の溝を形成する肌が伸縮し、この溝が左右、或いは上下に移動した場合であっても、この身体の溝及び肌の動きに追従して当接できる立体部を有する吸収性物品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、立体部を形成する面のうち、使用者の肌に当接する面に、幅方向に拡張可能な拡張部を形成することにより、使用者の動きに対して立体部を当接できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 液透過性の表面シートを備える表面部材で形成される立体部、液不透過性の裏面シート、並びに、これら立体部及び裏面シートの間に設けられた吸収体を有し、長手方向と短手方向を有する実質的に縦長の吸収性物品であって、前記立体部は、使用者の身体の溝に当接する頂部と、当該溝を形成する肌に当接し、前記頂部を形成する肌当接面と、を含む立体形状であり、前記立体部の肌当接面のうち少なくとも一部には、前記短手方向に伸縮可能な拡張部が形成されている吸収性物品。
(1)の吸収性物品によれば、短手方向に伸縮可能な拡張部を、立体部の頂部を形成する肌当接面に設けたので、立体部の頂部を、使用者の身体の溝に当接させた状態で、この身体の溝を形成する肌の伸縮に合わせて肌当接面を伸縮させることができる。したがって、使用者が動くことにより、身体の溝を形成する肌が伸縮し、この溝が左右、或いは上下に移動した場合であっても、立体部を、この身体の溝及び肌の動きに追従して当接できる。
(2) 前記拡張部は、前記表面部材の少なくとも一部に設けられた貫通又は非貫通の切り込みである(1)記載の吸収性物品。
(2)の吸収性物品は、立体部の肌当接面に、切り込みを入れることにより拡張部が形成されることを特徴とする。したがって、この切り込みの長さを変えることにより、容易に拡張部の幅方向の伸縮性を変えることができる。
(3) 前記立体部の少なくとも頂部付近には、前記長手方向に沿った弾性部材が配置されている(1)又は(2)記載の吸収性物品。
(3)の吸収性物品によれば、立体部の頂部付近に弾性部材を配置したので、立体部の頂部を、使用者の身体の溝に追従させやすくなる。使用者が動くことにより、身体の溝が左右、或いは上下に移動した場合、頂部はこの動きに追従するので、これに伴い、拡張部を容易に伸縮させることができる
(4) 前記肌当接面には、前記長手方向に沿って凸部及び凹部が交互に形成されており、当該長手方向の断面形状が波状となるように構成されている(1)から(3)いずれか記載の吸収性物品。
(4)の吸収性物品によれば、肌当接面は、長手方向の断面形状が波状に構成されているので、肌当接面は、予め長手方向にたるんだ状態にある。したがって、肌当接面に形成された拡張部が横方向に拡張することにより、肌当接面が長手方向に収縮する場合であっても、肌当接面には予めたるみが形成されているので、拡張部を横方向に容易に拡張できる。
(5) 前記表面部材の全部又は一部には、前記短手方向に沿って凸部及び凹部が交互に形成されており、当該短手方向の断面形状が波状となるように構成されている(1)から(3)いずれか記載の吸収性物品。
(5)の吸収性物品によれば、表面部材は、短手方向の断面形状が波状に形成されて、収縮した状態にあるので、したがって、表面部材を、短手方向に、より拡張できる。
(6) 前記立体部には、前記長手方向に沿って複数の弾性部材が略平行に配置されている(5)記載の吸収性物品。
(6)の吸収性物品によれば、複数の弾性部材を略平行に、長手方向に沿って設けたので、立体部の断面形状を略台形にできる。これにより、立体部の形状を、使用者の陰部周辺に適したものにできる。
(7) 前記立体部と前記吸収体との間に、本体表面シートが設けられており、この本体表面シート上に、前記立体部の底部が部分的に接着して配置されている(1)又は(2)記載の吸収性物品。
(7)の吸収性物品によれば、立体部の底部を、本体表面シートの上に、部分的に接合したので、立体部と本体表面シートとの間を部分的に離間できる。したがって、使用者の溝の動きに合わせて、立体部自体を追従させることができる。
(8) 前記拡張部を形成する前の表面シート基材として、開孔フィルム又は二次元ネットを用いる(1)から(6)いずれか記載の吸収性物品。
(8)の吸収性物品によれば、表面シート基材に開孔フィルム又は二次元ネットを用いたので、不織布等の繊維からなる基材と比較して、表面シート上の液体の表面残りが少なく、また、吸収後の外観が白いので、使用者に対して清潔な印象を与えることができる。
(9) 前記立体部の肌当接面のうち少なくとも一部の領域の伸び率は、105%以上500%以下の範囲内で前記短手方向に拡張可能である(1)から(8)いずれか記載の吸収性物品。
(9)の吸収性物品によれば、立体部の肌当接面は、使用者の皮膚の伸びに追従できる適度な伸び率を有する。
本発明によれば、短手方向に伸縮可能な拡張部を、立体部の頂部を形成する肌当接面に設けたので、立体部の頂部を、使用者の身体の溝に当接させた状態で、この身体の溝を形成する肌の伸縮に合わせて肌当接面を伸縮させることができる。したがって、使用者が動くことにより、身体の溝を形成する肌が伸縮し、この溝が左右、或いは上下に移動した場合であっても、立体部を、この身体の溝及び肌の動きに追従して当接できる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各実施形態の説明において、第1実施形態と共通するものについては同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
<第1実施形態>
[生理用ナプキンの全体構成]
図1ないし図5を参照して、本実施形態に係る吸収性物品の全体構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る吸収性物品としての生理用ナプキン1を示すものであり、外力が作用していない状態の外観を示す斜視図である。
図2は、生理用ナプキン1を平坦に展開した状態を示す平面図である。
図3は、図1中の縦方向基準線に沿った断面を示す側断面図である。
図4は、図1中のIII−III線に沿った断面を示す破断斜視図である。
図5は、図1中のIV−IV線に沿った断面を示す破断斜視図である。
以下においては、生理用ナプキン1を構成する各要素の2つの表面のうち、使用者の身体に向く表面を「肌側表面」とし、反対側の表面を「着衣側表面」とする。また、生理用ナプキン1の長手方向を「縦方向」とし、この縦方向と直交する方向を「横方向」とする。各要素の寸法は、特に明記しない限り、縦方向に測定した寸法を「長さ寸法」とし、横方向に測定した寸法を「幅寸法」とする。
また、本実施形態の生理用ナプキン1を構成する各部材の配置や寸法は、年齢が27歳、身長が168cm、体重が56kg、BMIの値が19.8の被験者Aから採取したデータに基づいて設定されている。そのため、以下に示す生理用ナプキン1の各部材の位置や寸法等は、被験者の体型によって前後することがある。
図1ないし図3に示すように、生理用ナプキン1は、縦長の本体部10と、この本体部10の肌側表面に設けられ、縦方向の中心軸に沿って延びる立体部40と、を備え、長手方向(縦方向)と短手方向(横方向)とを有する実質的に縦長の形状である。
図4及び図5に示すように、本体部10は、着衣側表面に位置する液不透過性の裏面シート11と、この裏面シート11の上に設けられた吸収体20と、この吸収体20の肌側表面の横方向の両端部に位置する側部シート13と、を備える。これらの各部材は、図示しないホットメルト型接着剤により互いに接着されている。
本体部10の縦方向の両端部には、曲線形状の前縁部15aと、この前縁部15aと同じく曲線形状の後縁部15bと、が形成されている。本実施形態では、本体部10の縦方向の長さ、すなわち、前縁部15aと後縁部15bとの間の長さは、例えば、350mmである。
本体部10の横方向の両端部には、本体部10前方において、吸収体20の両側端部22cよりも横方向に突出した前方フラップ部16と、この前方フラップ部16よりも後方において、横方向に突出した折り返しフラップ部17と、この折り返しフラップ部17よりもさらに後方において、横方向に突出した後方フラップ部18と、が形成されている。また、これら前方フラップ部16、折り返しフラップ部17、及び後方フラップ部18は、裏面シート11と側部シート13とを重ねて、図示しないホットメルト型接着剤で互いに接合することにより形成されている。本実施形態では、本体部10の横方向の幅、すなわち、折り返しフラップ17の両端の間の長さは、例えば、160mmである。また、本体部10の最小幅、すなわち、折り返しフラップ17の付け根の間の長さは、例えば、100mmである。
吸収体20は、液体を吸収して保持する帯状の吸収体であり、単一のラップ材23で包まれた状態で、裏面シート11と、立体部40及び側部シート13と、の間に挟まれ、長手方向と本体部10の縦方向とを一致させて本体部10の略中央に設けられている。また、吸収体20は、図示しない吸収体用のホットメルト型接着剤により、裏面シート11、立体部40及び側部シート13に接合されている。本実施形態では、吸収体20の寸法は、例えば、縦方向の長さが330mmで、横方向の長さが75mmである。
吸収体20の縦方向の両端部には、曲線形状の前端部21aと、この前端部21aと同じく曲線形状の後端部21bと、が形成されている。吸収体20の横方向の両端部には、それぞれが縦方向基準線Oyと平行な側端部22cが形成されている。ただし、吸収体20の各端部21a,21b,22cの形状は、本実施形態に限られるものではない。また、吸収体20は、前端部21aが本体部10の前縁部15aのやや後方に位置し、かつ、後端部21bが本体部10の後縁部15bのやや前方に位置するように設けられている。
横方向の両側に位置する側部シート13の、互いに向き合う縁部13cは、吸収体20の両側端部22cよりも内側に位置するように設けられている。このように側部シート13を設けることにより、吸収体20により吸収された経血が滲み出すことを防止できる。
図4及び図5に示すように、裏面シート11の着衣側表面には、感圧接着剤層52が、縦方向基準線Oyの左右両側において、縦方向基準線Oyと略平行に帯状に塗工されている。このように感圧接着剤層52を塗工することにより、生理用ナプキン1を使用者の下着に固着でき、生理用ナプキン1と使用者の身体との相対的な位置のずれを防止できる。
図1及び図2には、複数の基準線が示されている。このうち、縦方向基準線Oyは、本体部10の横方向の中心を示し、前縁部15aの略中央から後縁部15bの略中央へ縦方向に延びる基準線である。
膣対向基準線X1は、互いに対向する折り返しフラップ部17の略中央の間を、縦方向基準線Oyと垂直な方向に延びる基準線である。膣対向基準線X1と縦方向基準線Oyとの交点が、膣口対向基準位置である。この膣口対向基準位置とは、生理用ナプキン1を下着に固着させた状態で股間部に装着するときに、膣の中心に対向する目安となる基準位置を示している。本実施形態では、この膣口対抗基準位置は、例えば、本体部10の前縁部15aから後方120mmに位置するように、折り返しフラップ部17は形成されている。
尾てい骨対向基準線X2は、吸収体20の後端部21bよりやや前方にて、縦方向基準線Oyと垂直な方向に延びる基準線である。尾てい骨対向基準線X2と縦方向基準線Oyとの交点が、尾てい骨対向基準位置である。この尾てい骨対向基準位置とは、上記の膣口対向基準位置と同様に、生理用ナプキン1を装着するときに、尾てい骨に対向する目安となる基準位置を示している。
図3ないし図5に示すように、立体部40は、液透過性の表面シートとしての外側シート44a及び内側シート44bを重ねて形成した帯状の積層表面シート41と、これら外側シート44aと内側シート44bとの間に挟まれた線状の弾性部材42と、から構成される帯状の部材である。
立体部40は、図1及び図2に示すように、本体部10の肌側表面上に取り付けられる。具体的には、図4及び図5に示すように、立体部40の幅方向の両端部を、吸収体20と側部シート13との間に挟んだ状態で、図示しないホットメルト型接着剤で接合することにより、立体部40は本体部10に取り付けられている。
表面部材としての積層表面シート41は、柔軟な不織布で形成された帯状の外側シート44a及び内側シート44bを、図示しないホットメルト型接着剤で接合することにより形成される。また、これら外側シート44aと内側シート44bとの間には、中心軸に沿って弾性部材42が取り付けられている。
弾性部材42は、伸張させた状態では収縮力が作用する線状の弾性体である。この弾性部材42は、膣口対向基準位置及び尾てい骨対向基準位置の間に、伸張させた状態で取り付けられている。弾性部材42を伸張させた状態で取り付けることにより、立体部40の縦方向基準線Oy上の膣口対向基準位置と尾てい骨対向基準位置との間では、肌側表面の方向へ弾性部材42の収縮応力が作用する。
弾性部材42の収縮応力が立体部40に作用することにより、図3及び図5に示すように、立体部40の縦方向基準線Oy上の膣口対向基準位置と尾てい骨対向基準位置との間は、肌側表面の方向へ隆起して、横方向の断面が略三角形の形状に立体部40を変形させる。これにより、立体部40には、使用者の身体の溝と当接する頂部45と、当該溝を形成する肌に当接し、頂部45を形成する側壁部46と、が形成される。また、本体部10は縦方向に湾曲する。
また、立体部40のうち側壁部46を形成する領域には、複数の拡張部47が形成されているが、これらの拡張部47については、後に詳述する。
図4及び図5に示すように、生理用ナプキン1の肌側表面には、立体部40と吸収体20とを重ねた状態で、立体部40の肌側表面から圧縮し、加熱した圧縮溝19が形成されている。これら圧縮溝19は、縦方向には、吸収体20の両側端部22c,22cからやや縦方向基準線Oyに近い位置に、縦方向基準線Oyと略平行に形成され、また、横方向には、吸収体20の前縁部21a及び後縁部21bからやや中心に近い位置に、形成されている。
また、立体部40が隆起していない状態における弾性部材42と、圧縮溝19との間の長さは、例えば、20mmである。立体部40が隆起した状態における弾性部材42と、圧縮溝42との間の長さは、例えば、28mmである。
このような圧縮溝19を設けることによって、本体部10及び立体部40の剛性が高まり、弾性部材42の収縮応力が本体部10に作用した場合に、この本体部10に折れを発生させずに、縦方向に沿って均一な曲率で湾曲させることできる。
[拡張部]
上述のように、側壁部46には、横方向に伸縮可能な複数の拡張部47が形成されている。具体的には、図4に示すように、拡張部47は、立体部40が隆起していない状態で、積層表面シート41に、縦方向基準線Oyと平行に切り込みを入れることにより形成される。
切り込みは、例えば、縦方向に沿って14mmで、千鳥格子状に入れられる。これらの切り込みは、縦方向及び横方向に、それぞれ2mmの間隔を空けて入れられる。
また、図2に示すように、これらの切り込みは、縦方向には、膣口対向基準位置から尾てい骨対向基準位置まで(例えば、120mm)、横方向には、縦方向基準線Oyを中心に幅35mmの範囲内で配したが、これに限られるものではない。縦方向には10mm以上300mm以下の範囲内で、また、横方向には5mm以上80mm以下の範囲内で配することが好ましい。
このような拡張部47を形成することにより、側壁部46は、横方向へ拡張させることができる。図5に示すように、弾性部材42の収縮応力により、側壁部46に横方向への張力が作用すると、切り込みとして形成された拡張部47は、横方向に開いて開口孔を形成し、側壁部46は横方向へ拡張する。
また、拡張部47が横方向に開いて開口孔を形成する場合には、同時に、この拡張部47は縦方向に縮む必要がある。したがって、側壁部46を、横方向へ、より拡張させるためには、側壁部46は縦方向にたるんだ状態にあることが好ましい。本実施形態では、上述のように、弾性部材42の収縮応力により、本体部10は湾曲した状態であるため、側壁部46は、縦方向にたるんだ状態にある。したがって、側壁部46を、横方向へ容易に拡張させることができる。
[側壁部の伸び率及び復元率の測定]
図6ないし図8を参照して、拡張部47が形成された側壁部46の伸び率及び復元率の測定について説明する。
図6は、伸び率及び復元率を測定するための装置の外観を示す斜視図である。
図7は、測定中の試験片を示す斜視図である。
図8は、測定後の試験片の外観を示す平面図である。
図6に示すように、側壁部46の伸び率及び復元率を測定するための測定装置70は、人工皮革の測定台71と、この測定台71の上に載置された矩形形状の試験片72と、この試験片72の上にさらに載置されたおもり73と、から構成される。
試験片72は、立体部40を構成する積層表面シート41から、拡張部47が形成された領域を含むようにして、長手方向を図6中L1の長さ、幅方向を図6中L2の長さで切り取って形成したものである。この試験片72のうち、拡張部47が形成された領域の中には、長手方向に沿って、図6中W1の間隔で、印74が設けられている。
おもり73は、試験片72上の、印74が設けられていない領域に載置されている。
伸び率の測定は、次のように行われる。まず、図7に示すように、試験片72の端部を図7中F1の方向へ、所定の引き出し速度で引き出す。これにより、試験片72は、図7中F1の方向へ拡張する。次いで、試験片72の上に載置されたおもり73が、図7中F1の方向へ動き出した時点における、印74の間隔W2を測定する。
このようにして測定されたW1及びW2により、試験片72の伸び率は、伸び率=(W2/W1)×100(%)で算出する。
また、復元率の測定では、上述の伸び率の測定が終了した後に、図8に示すように、外力が作用していない状態における試験片72の印74の間隔W3を測定する。
このようにして測定されたW3により、試験片72の復元率は、復元率=(W3/W1)×100(%)で算出する。
なお、以上のような伸び率及び復元率の測定は、以降の実施形態においても適用できる。
本測定では、おもり73には、質量が9.5gで、直径が20mmの円筒形状の鉄製のものを用いた。
試験片72には、本実施形態の生理用ナプキン1の側壁部46を、L1=40mm,L2=25.5mmの寸法で切り取ったものを用い、印74を、W1=20mmの間隔で設けた。
また、引出し速度は、10mm/minで行った。
この結果、試験片72、すなわち本実施形態の生理用ナプキン1の側壁部46の伸び率は180%であった。また、復元率は90%であった。
立体部40に設けられた側壁部46が、使用者の皮膚の伸びに違和感なく追従するためには、皮膚に圧迫感がなく押し当てられた状態で、側壁部46が伸び縮みする必要がある。具体的には、この本測定によって算出される伸び率が、105%以上500%以下の範囲内であることが好ましい。105%以下であると、使用者の皮膚の伸びに十分に追従できずに肌との間に隙間を生じるおそれがある。また、伸び率が500%以上であると、過剰に伸びすぎるために、使用者の皮膚が縮む際に追従できないおそれがある。
また、使用者の皮膚が縮む際には、側壁部46は、もとの状態に戻る必要がある。具体的には、本測定によって算出される復元率が60%以上100%以下の範囲内、より好ましくは80%以上100%以下の範囲内であることが好ましい。復元率が60%以下であると、側壁部46が伸びた状態のままで、使用者の皮膚が縮んでしまうため、皮膚の動きに追従できず、側壁部46に皺や隙間が生じてしまい、経血のもれの原因となるおそれがある。
[各部材の素材]
以上のように構成された生理用ナプキン1の、各構成部材に用いる素材について説明する。
積層表面シート41を形成する外側シート44a及び内側シート44bには、目付量が25g/mで、ポリエチレンテレフタレート(酸化チタン1.1%含有)−ポリエチレンの芯鞘型複合熱可塑性繊維(2デニール×44mm)の芯鞘構造を有するスルーエア不織布を使用した。
この不織布は、芯鞘構造の芯部に酸化チタンを添加しているため、酸化チタンが入っていないものより表面のすべり性及びドレープ性が高く風合いが良い。また、スルーエア不織布なので、他の不織布(スパンボンド、スパンレース等)と比較して、嵩を有するので、空隙を多く設けることが可能であり、液の透過性が良好である。
また、外側シート44a及び内側シート44bの原綿は、親水性の油剤をコーティングされた繊維が80%、撥水性の油剤をコーティングされた繊維が20%をブレンドしたものを使用した。
外側シート44a及び内側シート44bの構成部材は、これらに限定されるものではない。外側シート44a及び内側シート44bには、ポイントボンド、スパンレース、スパンボンド不織布、エアレイドパルプシート、開孔プラスティックフィルム等を用いてもよいが、最も好ましいのは表面の風合いがよく、密度の小さいスルーエア不織布である。
また、外側シート44a及び内側シート44bの目付量は、10g/m以上60g/m以下の範囲内であることが好ましい。目付量が15g/m以下であると、表面強度が十分に得られず、使用中に破損するおそれがあり、また、立体部40を形成するために使用する弾性部材42を止着するためのホットメルトが表面ににじみ出るおそれがある。また、目付量が60g/m以上の場合、過剰なごわつきが発生し、使用者に違和感を生じさせてしまう。
外側シート44a及び内側シート44bの密度は、0.007g/cm以上0.12g/cm以下の範囲内が好ましい。密度がこの範囲内よりも大きい場合、これら外側シート44a及び内側シート44bの繊維間をスムーズに透過することが難しく、また、0.007g/cm以下である場合には、各シートの強度が十分に保てずにやぶれるおそれがある。
弾性部材42を止着するホットメルト型接着剤には、ゴム系のホットメルト型接着剤を、0.15g/mの線密度で、弾性部材42の周囲をまわるように塗工した。
圧縮溝19は、表面側が凸状、裏面側が平らな形状のエンボスを、上下の温度を135度にした状態で、1000パスカルの圧力で押すことにより形成されたものである。より詳細には、長さが2.5mm、幅が2.0mm、高さが0.5mmの寸法に低圧搾部を形成し、また、長さが1.0mm、幅が2.0mm、高さが0.2mmに高圧搾部を形成した。
吸収体20には、目付量が400g/mの針葉樹クラフトパルプ(高吸収ポリマーを3%含有)を使用し、この吸収体20を包むラップ材23には、目付量が15g/mの親水油剤を含んだポリプロピレン・スパンボンド不織布で包んだものを使用した。
感圧接着剤層52には、目付量が25g/mのゴム系のホットメルト型接着剤を、コーター塗工したものを使用した。
側部シート13には、目付量が22g/mで、ポリプロピレン(芯)/ポリエチレン(鞘)の芯鞘構造を有するスパンボンド不織布を使用した。
弾性部材42には、繊度が7500dtexのポリウレタン弾性糸を使用し、これを、1.5倍に伸張させた状態で、ホットメルト型接着剤で外側シート44a及び内側シート44bに止着した。
裏面シート11には、目付量が23g/mのポリエチレン・フィルムを使用した。
[その他の素材]
本実施形態では、吸収体20に、針葉樹クラフトパルプを粉砕したものに、高吸収ポリマーを3%ブレンドしたものをティッシュで包んだものを用いたが、これに限られるものではない。粉砕したパルプに合成繊維をブレンドしたものや、エアレイドパルプ等のシート状のもの、また、コットンやレーヨン、パルプ等からなるスパンレースやそれらを混合したものであってもよい。また、弾性を有するウレタンやセルローススポンジ等を用いてもよい。以上に挙げたものの組み合わせに限定されるものではなく、通常吸収体として用いられているものであればこれらに限らない。
本実施形態では、感圧接着剤層52として、ゴム系のホットメルト型接着剤を用いたが、これに限られるものではない。例えば、オレフィン系のホットメルト型接着剤、メカニカルファスナー、またはスチレンゴム系のすべり止め剤等を用いてもよい。
また、本実施形態では、裏面シート11に、液不透過性のポリエチレンシートを使用したが、これに限られるものではなく、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のうち1種または2種以上を組み合わせて得られる樹脂フィルム、前記樹脂フィルムにフィラー等を添加し延伸して微細な孔を形成して透湿性を付加したもの、または樹脂と紙のラミネート材、不織布と樹脂フィルムが積層されたシートでもよい。
本実施形態の生理用ナプキン1によれば、横方向に伸縮可能な拡張部47を、立体部40の頂部45を形成する側壁部46に設けたので、立体部40の頂部45を、使用者の身体の溝に当接させた状態で、この身体の溝を形成する肌の伸縮に合わせて側壁部46を伸縮させることができる。したがって、使用者が動くことにより、身体の溝を形成する肌が伸縮し、この溝が左右、或いは上下に移動した場合であっても、立体部40を、この身体の溝及び肌の動きに追従して当接できる。
[立体部のその他の形態]
図9ないし図14を参照して、本実施形態の立体部40のその他の形態について説明する。
図9ないし図13は、本実施形態の立体部40のその他の形態を示す部分破断斜視図である。
図14は、本実施形態の側壁部46に形成される切り込みの、その他の形態を示す平面図である。
本実施形態では、立体部40を構成する積層表面シート41を、外側シート44a及び内側シート44bを重ねて形成したが、重ねるシートの枚数はこれに限らない。例えば、図9に示すように、外側シート44aと内側シート44bとの間に、中間シート44cをさらに重ねて積層表面シート41aを形成してもよい。これにより、立体部40aの剛性を高めることができる。
本実施形態では、弾性部材42を、外側シート44a及び内側シート44bの間に挟んで取り付けたが、弾性部材42を取り付ける位置はこれに限らない。例えば、図10に示すように、弾性部材42bを、内側シート44bの本体部10側に取り付けてもよい。
本実施形態では、弾性部材42に、7500dtexのポリウレタン弾性糸を用いたが、これに限るものではない。例えば、図11に示すように、帯状の弾性部材44cを用いてもよい。具体的には、この弾性部材44cは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等を含む弾性フィルムシートや、またはメルトブローン法によって連続繊維で形成された弾性伸縮不織布から帯状に切断したものである。
本実施形態では、弾性部材42を、外側シート44aと内側シート44bとの間に、中心軸に沿って取り付けたが、これに限るものではない。例えば、図12に示すように、複数の弾性部材42dを、外側シート44aと内側シート44bとの間に、中心軸と平行に複数取り付けてもよい。このように、複数の弾性部材42dを設けることにより、立体部40dの側壁部46dを、使用者の肌に強く当接させることができる。
また、本実施形態では、積層表面シート41と吸収体20との間には何も設けていないが、これに限るものではない。例えば、図13に示すように、積層表面シート41と吸収体20との間に、反発性の部材49eを設けてもよい。反発性の部材49eには、例えば、多孔ウレタンフォーム、セルローススポンジ、パルプ、及び合成繊維を混合してティッシュで包んだものが用いられるが、これに限るものではない。
また、本実施形態では、図14の(1)に示すような、MD方向(縦方向)に沿った切り込みを側壁部46に入れることにより、拡張部47を形成しているが、これに限るものではない。例えば、図14中の(2)から(5)に示すような形態の切り込みを、側壁部46に入れてもよい。
また、拡張部47は、上述のように切り込みを入れて形成されるものに限るものではないが、側壁部46の拡張部47を形成した領域は、拡張部47が形成されていない領域と比較して低密度となるように形成することが好ましい。これにより、立体部40にふれた経血が、積層表面シート41に拡散して、使用者に不快感を与えることを防止できる。具体的には、拡張部47は、0g/cm以上0.03g/cm以下の範囲内の密度で形成されることが好ましい。
<第2実施形態>
図15及び図16を参照して、本発明の第2実施形態に係る生理用ナプキン101について説明する。本実施形態では、積層表面シート141の形状が第1実施形態と異なる。
図15は、本発明の第2実施形態に係る生理用ナプキン101を示すものであり、立体部140を含む破断斜視図である。
図16は、図15中のV−V線に沿った断面を示す断面図である。
上述のように、拡張部47が横方向に開いて開口孔を形成する場合には、同時に、この拡張部47は縦方向に縮む必要がある。したがって、積層表面シート141を、横方向へ、より拡張させるためには、積層表面シート141は縦方向にたるんだ状態にあることが好ましい。
図15に示すように、拡張部47が形成された積層表面シート141は、エンボス加工をさらに施すことにより蛇腹状に形成されている。具体的には、積層表面シート141には、縦方向に沿って、凸部及び凹部を交互に形成されており、図16に示すように、この縦方向の断面形状が波状となっている。積層表面シート141を、このような形状に形成することにより、積層表面シート141は縦方向にたるんだ状態にできる。したがって、積層表面シート141を、横方向へ容易に拡張させることができる。
<第3実施形態>
図17ないし図20を参照して、本発明の第3実施形態に係る生理用ナプキン201について説明する。本実施形態では、積層表面シート241に形成する拡張部247の構造が第1実施形態と異なる。
図17は、本発明の第3実施形態に係る生理用ナプキン201を示すものであり、立体部240を含む破断斜視図である。
図18は、図17中の立体部240が隆起した状態を示す破断斜視図である。
図19は、図17中の積層表面シート241にエンボス加工を施している状態を示す斜視図である。
図20は、エンボス加工が施された積層表面シート241を示す正面図である。
図17及び図18に示すように、外側シート244a及び内側シート244bを重ねて形成した積層表面シート241は、図19に示すようなエンボス加工を施すことにより、蛇腹状に形成されている。
具体的には、積層表面シート241には、横方向に沿って、凸部及び凹部が交互に形成されている。積層表面シート241のうち、凹部が形成された部分は、部分的に引き伸ばされ、密度が低く形成されている(図20参照)。このようにして、密度が低い部分を形成することにより、積層表面シート241には拡張部247が形成される。
本実施形態の積層表面シート241の目付量は、15g/m以上70g/m以下の範囲内であることが好ましい。例えば、積層表面シート241の目付量が、15g/m以下であると、上述のエンボス加工を施した場合に破損するおそれがある。また、70g/m以上であると、積層表面シート241に形成された凸部が固くなりすぎてしまい、使用者に違和感を感じさせてしまうおそれがある。
<第4実施形態>
図21及び図22を参照して、本発明の第4実施形態に係る生理用ナプキン301について説明する。本実施形態では、積層表面シート341の構造が第1実施形態と異なる。
図21は、本発明の第4実施形態に係る生理用ナプキン301を示すものであり、立体部340を含む破断斜視図である。
図22は、図21中の立体部340が隆起した状態を示す破断斜視図である。
図21に示すように、積層表面シート341は、それぞれ異なる加工が施された外側シート344a及び内側シート344bを重ねることによって形成されている。
具体的には、外側シート344aには、縦方向に切り込みが入れられ、これにより、拡張部347が形成されている。また、内側シート344bは、横方向に沿って、凸部及び凹部が交互に形成されている。このように、それぞれに異なる加工が施された外側シート344a及び内側シート344bを重ねて、積層表面シート341は形成される。
本実施形態では、外側シート344aにスルーエア不織布を用い、内側シート344bにALPシートを用いた。外側シート344a及び内側シート344bに用いられる素材は、これらの素材に限られるものではないが、外側シート344aには、液透過性を重視して、液保持性の低い素材を用いることが好ましい。また、内側シート344bには、液吸引性を重視して、液保持性の高い素材を用いることが好ましい。
本実施形態の生理用ナプキン301によれば、図22に示すように、外側シート344aに形成された拡張部347が横方向に開いて開口孔が形成されると、この開口孔から内側シート344bの表面が露出する。したがって、開口孔から内側シート344bのみを、使用者の肌に当接できるので、立体部340の吸収状態を変化させることができる。
<第5実施形態>
図23及び図24を参照して、本発明の第5実施形態に係る生理用ナプキン401について説明する。本実施形態では、本体部410及び立体部440の構造が第1実施形態と異なる。
図23は、本発明の第5実施形態に係る生理用ナプキン401を示すものであり、立体部440を含む破断断面図である。
図24は、図23中の立体部が隆起した状態を示す破断斜視図である。
図23に示すように、本体部410は、着衣側表面に位置する液不透過性の裏面シート11と、この裏面シート11の上に設けられた吸収体20と、この吸収体20の肌側表面を覆うように設けられた本体表面シート491と、吸収体20の肌側表面の横方向の両端部に位置する側部シート13と、を備える。これらの各部材は、図示しないホットメルト型接着剤により互いに接着されている。
図23及び図24に示すように、積層表面シート441は、帯状の外側シート444a及び内側シート444bを重ねて形成される帯状の部材である。立体部440は、この積層表面シート441を折り畳み、端部を図示しないホットメルト型接着剤で接合することにより、筒状に形成される。
立体部440の底部は、本体部410の本体表面シート491の肌側表面に中心軸上に、部分的に接合されている。部分的に接合することにより、立体部440と本体部410との間を部分的に離間できる。
本実施形態の生理用ナプキン401によれば、立体部440と本体部410との間を離間させて設けたので、使用者の身体の溝の動きに合わせて、立体部440自体を追従させることができる。したがって、立体部440の肌への密着度を高めることができる。
[変形例1]
図25ないし図28を参照して、本実施形態の変形例1について説明する。
図25は、本実施形態の変形例1に係る生理用ナプキン401aを示すものであり、立体部440aを含む破断斜視図である。
図26は、生理用ナプキン401aの使用状態を示す断面図である。
図27は、生理用ナプキン401aの使用状態を示す断面図である。
図25に示すように、筒状に形成された立体部440aの内部には、反発性の部材449aが、横方向の断面形状が略三角形になるように設けられている。また、立体部440aの頂部445aは、積層表面シート441aを折りたたむことによって、使用者の肌側へ突出した形状に形成されている。
図26に示すように、使用時には、立体部440の頂部445aは、使用者の身体900の溝を形成する肌901により挟持される。これにより、図27に示すように、例えば、使用者の動きによって、身体900の溝の位置がずれた場合であっても、立体部440を、この動きに追従させることができる。
[変形例2]
図28を参照して、本実施形態の変形例2について説明する。
図28は、本実施形態の変形例2に係る生理用ナプキン401bを示すものであり、立体部440bを含む破断斜視図である。
図28に示すように、立体部440bの側壁部446bには、拡張部447が形成されていない領域に、粘着剤448bがさらに設けられている。
本実施形態の変形例2に係る生理用ナプキン401bによれば、側壁部446bに粘着剤448bを設けたので、この粘着剤448bが使用者の肌と粘着し、側壁部446bを使用者の肌の動きに追従させやすい。
<第6実施形態>
図29ないし図31を参照して、本発明の第6実施形態に係る生理用ナプキン501について説明する。本実施形態では、本体部510及び立体部540の構造が第1実施形態と異なる。
図29は、本発明の第6実施形態に係る生理用ナプキン501を示すものであり、外力が作用していない状態の外観を示す斜視図である。
図30は、生理用ナプキン501を平坦に展開した状態を示す平面図である。
図31は、図29中のVI−VI線に沿った断面を示す破断斜視図である。
本実施形態に係る生理用ナプキン501は、主として、日中に用いられることを目的として成形された昼用の生理用ナプキンである。
図29及び図30に示すように、生理用ナプキン501は、縦長の本体部510と、この本体部510の肌側表面に設けられ、縦方向の中心軸に沿って延びる立体部540と、を備える。
図31に示すように、本体部510は、着衣側表面に位置する液不透過性の裏面シート511と、この裏面シート511の上に設けられた吸収体20と、この吸収体20の肌側表面の横方向の両端部に位置する側部シート513と、を備える。これらの各部材は、図示しないホットメルト型接着剤により互いに接着されている。
本体部510の横方向の両端部には、横方向に突出した折り返しフラップ部517が形成されている。この折り返しフラップ部517は、裏面シート511と側部シート513とを重ねて、図示しないホットメルト型接着剤で互いに接合することにより形成されている。
図29及び図30には、複数の基準線が示されている。このうち、縦方向基準線Oyは、本体部510の横方向の中心を示す基準線である。
膣対向基準線X3は、互いに対向する折り返しフラップ部517の略中央の間を、縦方向基準線Oyと垂直な方向に延びる基準線である。膣対向基準線X3と縦方向基準線Oyとの交点が、膣口対向基準位置である。
立体部540は、図30に示すように、本体部510の肌側表面上の膣口対向基準位置を中心に、前後対称に取り付けられる。
弾性部材542は、伸張させた状態では収縮力が作用する線状の弾性体である。この弾性部材542は、図30に示すように、立体部540の縦方向の端部の間に、伸張させた状態で取り付けられている。このように弾性部材542を伸張させた状態で取り付けることにより、立体部540の、縦方向基準線Oy上には、肌側表面の方向へ弾性部材542の収縮応力が作用する。
弾性部材542の収縮応力が立体部540に作用することにより、図31に示すように、立体部540の縦方向基準線Oy上は、肌側表面の方向へ隆起して、横方向の断面が略三角形の形状に立体部540を変形させる。これにより、立体部540には、頂部545と、この頂部545を形成する側壁部546と、が形成される。これにより、膣口対向基準位置を中心として、前後対称な、横方向の断面が略三角形状の立体構造が形成される。
本実施形態の生理用ナプキン501によれば、立体部540を、本体部510の肌側表面上の膣口対向基準位置を中心に、前後対称に取り付けたので、立体部540を、陰裂や会陰部付近に形成される溝に当接させることができる。したがって、日中の活動時に経血がもれるのを防ぐことができる。
<第7実施形態>
図32ないし図34を参照して、本発明の第7実施形態に係る生理用ナプキン601について説明する。本実施形態では、積層表面シート641の構造及び素材が第6実施形態と異なる。
図32は、本発明の第7実施形態に係る生理用ナプキン601を示すものであり、生理用ナプキン601を平坦に展開した状態を示す平面図である。
図33は、図32中のVII−VII線に沿った断面を示す破断斜視図である。
図34は、図33中の外側シート644aの拡大平面図である。
図32及び図33に示すように、積層表面シート641を形成する外側シート644a及び内側シート644bには、複数の開孔が設けられた素材が用いられている。
具体的には、外側シート644aの素材には、PEやPPを主成分とした開孔フィルムを用いている。外側シート644aに用いる開孔フィルムは、目付量が10g/m以上50g/m以下の範囲内で、開孔率10%以上60%以下の範囲内であることが好ましい。
開孔フィルムの開孔の径は、0.2mm以上3.0mm以下の範囲内であることが好ましいが、開孔の形状は真円に限らず、図34に示すような楕円形状でもよく、この場合は、長軸の径(図34中のH1)の長さは、0.2mm以上3.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
また、外側シート644aの素材には、例えば、二次元ネット等を用いてもよく、この場合は、目付量が10g/m以上60g/m以下の範囲内であり、開孔率が10%以上60%以下の範囲内であることが好ましい。
内側シート644bの素材も、上述の外側シート644aと同じ開孔フィルムを用いているが、これに限らない。例えば、目付量が10〜100g/m程度のスルーエア・ポイントボンド・スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド不織布やメルトブローン不織布等を用いてもよいし、目付量が20〜100g/m程度で、化繊率が10〜70%程度のエアレイドパルプ、紙等を用いてもよい。以上に挙げた素材は、液体の本体内部への移動の観点から好まれるものである。
以上のような素材の外側シート644a及び内側シート644bを重ねることによって、積層表面シート641は形成される。図32及び図33に示すように、積層表面シート641には、横方向に沿って凸部及び凹部が交互に並んだ形状に賦形処理が施されて、本体部510に設けられている。
[積層表面シートのその他の形態]
図35を参照して、本実施形態の生理用ナプキン601のその他の形態について説明する。
図35は、本実施形態の生理用ナプキン601のその他の形態を示す破断斜視図である。
本実施形態では、同じ径の開孔が複数形成された開孔フィルムを用いたが、これに限らず、異なる径の開孔が形成された開孔フィルムを用いてもよい。例えば、図35に示すように、所定の径の開孔646が形成された開孔フィルムに、開孔646の径よりも大きな径の開孔647を、開孔処理をさらに施すことによって形成してもよい。大きな径の開孔647の径は、3.0mm以上5.0mm以下の範囲内であることが好ましい。このような開孔処理を、さらに施すことにより、立体部640aの横方向への伸び率を高めることができる。
<第8実施形態>
図36及び図37を参照して、本発明の第8実施形態に係る生理用ナプキン701について説明する。本実施形態では、弾性部材742を取り付ける位置が第6実施形態と異なる。
図36は、本発明の第8実施形態に係る生理用ナプキン701を示すものであり、立体部740を含む破断斜視図である。
図37は、図36中の立体部740が隆起した状態を示す破断斜視図である。
図36に示すように、積層表面シート41を形成する外側シート44aと内側シート44bとの間には、2つの弾性部材742a,742bが、互いに略平行にして、縦方向に取り付けられている。
図37に示すように、2本の弾性部材742a,742bの収縮応力が立体部740に作用することにより、積層表面シート41が変形し、立体部740に、2つの頂部745a,745bと側壁部746とを形成する。これにより、立体部740には、横方向の断面が略台形の立体構造が形成される。
本実施形態の生理用ナプキン701によれば、立体部740の断面形状を略台形にすることにより、立体部740の形状を、使用者の陰部周辺に適したものにできる。したがって、立体部740を、より適切に陰部周辺に当接できる。
<第9実施形態>
図38ないし図40を参照して、本発明の第9実施形態に係る生理用ナプキン801について説明する。本実施形態では、弾性部材842を取り付ける位置が第8実施形態と異なる。
図38は、本発明の第9実施形態に係る生理用ナプキン801を示すものであり、生理用ナプキン801を平坦に展開した状態を示す平面図である。
図39は、図38中のVIII−VIII線に沿った断面を示す破断斜視図である。
図40は、図38中のVIII−VIII線に沿った断面を示す破断斜視図である。
図38及び図39に示すように、積層表面シート41を形成する外側シート44aと内側シート44bとの間には、弾性部材842cが、さらに取り付けられている。具体的には、弾性部材742a,742bの間に取り付けられている。また、図41に示すように、弾性部材842cの有効な長さは、弾性部材742a,742bよりも短く設けられている。
図40に示すように、3本の弾性部材742a,742b,842cの収縮応力が立体部840に作用することにより、積層表面シート41が変形し、立体部840に、3つの頂部745a,745b,845cと側壁部746とを形成する。これにより、立体部840には、横方向の断面が略台形の立体構造が形成される。また、弾性部材842cの有効な長さは、弾性部材742a,742bよりも短く設けられているので、頂部845cは、頂部745a,745bよりも低く形成される。
本実施形態の生理用ナプキン801によれば、立体部840の、頂部745aと頂部745bとの間に、頂部845cを中心とした凹部を形成できる。これにより、使用者の股ぐりに向けた経血の流れ(横もれの原因)を防止できる。
本発明の第1実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、外力が作用していない状態の外観を示す斜視図である。 第1実施形態に係る生理用ナプキンを平坦に展開した状態を示す平面図である。 図1中の縦方向基準線に沿った断面を示す側断面図である。 図1中のIII−III線に沿った断面を示す破断斜視図である。 図1中のIV−IV線に沿った断面を示す破断斜視図である。 伸び率及び復元率を測定するための装置の外観を示す斜視図である。 測定中の試験片の外観を示す斜視図である。 測定後の試験片の外観を示す平面図である。 第1実施形態の立体部のその他の形態を示す部分破断斜視図である。 第1実施形態の立体部のその他の形態を示す部分破断斜視図である。 第1実施形態の立体部のその他の形態を示す部分破断斜視図である。 第1実施形態の立体部のその他の形態を示す部分破断斜視図である。 第1実施形態の立体部のその他の形態を示す部分破断斜視図である。 第1実施形態の側壁部に形成される切り込みの、その他の形態を示す平面図である。 本発明の第2実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 図15中のV−V線に沿った断面を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 図17中の立体部が隆起した状態を示す破断斜視図である。 図17中の積層表面シートにエンボス加工を施している状態を示す斜視図である。 エンボス加工が施された積層表面シートを示す正面図である。 本発明の第4実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 図21中の立体部が隆起した状態を示す破断斜視図である。 本発明の第5実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断断面図である。 図23中の立体部が隆起した状態を示す破断斜視図である。 第5実施形態の変形例1に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 第5実施形態の変形例1に係る生理用ナプキンの使用状態を示す断面図である。 第5実施形態の変形例1に係る生理用ナプキンの使用状態を示す断面図である。 第5実施形態の変形例2に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 本発明の第6実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、外力が作用していない状態の外観を示す斜視図である。 第6実施形態に係る生理用ナプキンを平坦に展開した状態を示す平面図である。 図29中のVI−VI線に沿った断面を示す破断斜視図である。 本発明の第7実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、生理用ナプキンを平坦に展開した状態を示す平面図である。 図32中のVII−VII線に沿った断面を示す破断斜視図である。 図33中の外側シートの拡大平面図である。 第7実施形態の生理用ナプキンのその他の形態を示す破断斜視図である。 本発明の第8実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、立体部を含む破断斜視図である。 図36中の立体部が隆起した状態を示す破断斜視図である。 本発明の第9実施形態に係る生理用ナプキンを示すものであり、生理用ナプキンを平坦に展開した状態を示す平面図である。 図38中のVIII−VIII線に沿った断面を示す破断斜視図である。 図38中のVIII−VIII線に沿った断面を示す破断斜視図である。
符号の説明
1,101,201,301,401,401a,401b 生理用ナプキン
501,601,601a,701,801 生理用ナプキン
10,410,510 本体部
11 裏面シート
20 吸収体
40,40a,40b,40c,40d,40e,140 立体部
240,340,440,440a,440b,540 立体部
640,640a,740,840 立体部
41,41a、141,241,341,441,541 積層表面シート
641,641,641a 積層表面シート
44a,144a,244a,344a,444a 外側シート
644a,645a 外側シート
44b,144b,244b,344b,444b 内側シート
644b,645b 内側シート
42,42b,42c,42d,542,642,742 弾性部材
742a,742b,842c,842 弾性部材
45,245,345,445,445a,545 頂部
745a,745b,845c 頂部
46,46d,246,346,446,446a 側壁部
446b,746 側壁部
47,47a,47b,47c,47d,347,447 拡張部

Claims (9)

  1. 液透過性の表面シートを備える表面部材で形成される立体部、液不透過性の裏面シート、並びに、これら立体部及び裏面シートの間に設けられた吸収体を有し、長手方向と短手方向を有する実質的に縦長の吸収性物品であって、
    前記立体部は、使用者の身体の溝に当接する頂部と、当該溝を形成する肌に当接し、前記頂部を形成する肌当接面と、を含む立体形状であり、
    前記立体部の肌当接面のうち少なくとも一部には、前記短手方向に伸縮可能な拡張部が形成されている吸収性物品。
  2. 前記拡張部は、前記表面部材の少なくとも一部に設けられた貫通又は非貫通の切り込みである請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記立体部の少なくとも頂部付近には、前記長手方向に沿った弾性部材が配置されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
  4. 前記肌当接面には、前記長手方向に沿って凸部及び凹部が交互に形成されており、当該長手方向の断面形状が波状となるように構成されている請求項1から3いずれか記載の吸収性物品。
  5. 前記表面部材の全部又は一部には、前記短手方向に沿って凸部及び凹部が交互に形成されており、当該短手方向の断面形状が波状となるように構成されている請求項1から3いずれか記載の吸収性物品。
  6. 前記立体部には、前記長手方向に沿って複数の弾性部材が略平行に配置されている請求項5記載の吸収性物品。
  7. 前記立体部と前記吸収体との間に、本体表面シートが設けられており、この本体表面シート上に、前記立体部の底部が部分的に接着して配置されている請求項1又は2記載の吸収性物品。
  8. 前記拡張部を形成する前の表面シート基材として、開孔フィルム又は二次元ネットを用いる請求項1から6いずれか記載の吸収性物品。
  9. 前記立体部の肌当接面のうち少なくとも一部の領域の伸び率は、105%以上500%以下の範囲内で前記短手方向に拡張可能である請求項1から8いずれか記載の吸収性物品。
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