JP2012196539A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透液性のトップシート3とバックシート2との間に、圧縮復元性を有する吸収体4が介在されるとともに、トップシート3の表面から吸収体4内まで食い込むエンボス凹部8が線状に延在されている、吸収性物品において、トップシート3におけるエンボス凹部8の底部の近傍に、スリット30が形成されており、且つこのスリット30を有する部分は、スリット30の変形によってエンボス凹部8の延在方向と直交する方向の伸縮性が他の部分よりも高く、それによってエンボス凹部の傍における皺の発生が防止される構造とする。
【選択図】図1
Description
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、漏れ防止手段が種々講じられている。これら漏れ防止手段の一つとして、吸収体に中高部を設けるとともに、その周縁部(前後左右)に沿って熱エンボスによって吸収体内まで食い込むエンボス凹部を形成し、中高部を有する部分を身体表面にフィットさせる技術が存在する。例えば、特許文献1では、均一に積繊した吸収体を中高形状を象ったフィットエンボスでパルプを圧搾変形し中高部を形成するとともに、中高部の周囲に防漏溝を設けることによって体液の拡散(漏れ)を防止する技術が提案されている。
さらに特許文献2では、使用面側から体液を受け入れて内部に保持する吸収要素と、この裏面側にあって前記吸収要素から裏面側への体液の漏れを防止する漏れ防止シートと、少なくとも製品の長手方向中間において、製品の両側部にあって、体液の透過を実質的に許さないギャザーカフスシートに対して弾性伸縮部材を有し、製品の装着時その弾性伸縮部材の収縮力により使用者の肌側に起立するギャザーカフスとを備え、前記吸収要素は、排血口部位を跨いで長手方向に沿い、かつ幅方向中央部に使用面側に高い中高部を有し、前記ギャザーカフスはその収縮力が少なくとも排血口部位を跨ぐ範囲に相当する長さ範囲に作用するように構成され、前記吸収要素の前記中高部の両側に、少なくとも排血口部位を跨ぐ長さ範囲にわたってエンボスが形成され、これらのエンボスは、排血口部位において前後より幅方向外方に膨出する形状をなしている生理用ナプキンが提案されている。
そこで本発明の主たる課題は、トップシートにおける皺の発生を確実に防止できる技術を提供することにある。
<請求項1記載の発明>
透液性のトップシートとバックシートとの間に、圧縮復元性を有する吸収体が介在されるとともに、前記トップシートの表面から前記吸収体内まで食い込むエンボス凹部が線状に延在されている、吸収性物品において、
前記トップシートにおける前記エンボス凹部の底部の近傍に、スリット又は打抜き孔が形成されており、且つこのスリット又は打抜き孔を有する部分は、スリット又は打抜き孔の変形によって前記エンボス凹部の延在方向と直交する方向の伸縮性が他の部分よりも高く、それによって前記トップシートにおけるエンボス凹部の傍における皺の発生が防止されている、
ことを特徴とする吸収性物品。
トップシートにおけるエンボス凹部の底部の近傍に、スリット又は打抜き孔が形成されていると、トップシート表面から吸収体内に食い込むエンボス凹部を形成する際にトップシートが不均一に引張られても、スリット又は打抜き孔が開閉、拡縮等の変形により、トップシートは局所的に皺が寄らないように伸縮する。その結果、トップシートにおける皺の発生が防止される。また、この本発明の効果は、生産ラインの速度に関係無く確実に発揮される。さらに、スリット又は打抜き孔を開けることにより、液が吸収体に入り込み易くなり、吸収速度が速くなるという副次的効果ももたらされる。なお、本発明は、「スリット又は打抜き孔を有する部分は、スリット又は打抜き孔の変形によってエンボス凹部の延在方向と直交する方向の伸縮性が他の部分よりも高い」ものであるため、例えば、トップシートとして汎用されている孔開きフィルム(シート全体に一様に多数の孔を有する)を用いただけの形態は含まないものである。
前記スリットの長手方向と、前記エンボス凹部の延在方向とのなす角が45度以下となる向きで、前記スリットが形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
スリットの長手方向とエンボス凹部の延在方向とのなす角が大き過ぎると、エンボス凹部を形成する際にトップシートが不均一に引張られても、スリットが変形し難い。よって、本発明では、スリットの長手方向とエンボス凹部の延在方向とのなす角が45度以下であるのが好ましい。なお、「スリットの長手方向」とは、スリットが曲線の場合にはスリットの両端を結ぶ方向を意味する。また、「エンボス凹部の延在方向」とは、エンボス凹部が曲線状に延在する場合にはスリットに最も近い部分における接線方向を意味する。これらの意味は、他の本発明の説明においても同様である。
前記スリット又は打抜き孔は前記エンボス凹部に沿って間隔を空けて複数形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
このように、スリット又は打抜き孔がエンボス凹部に沿って間隔を空けて複数形成されていると、エンボス凹部の形成に伴う皺をより効果的に防止できるものでありながら、トップシートにおける個々の開口を小さくし、トップシートの裏側の素材露出を抑えることができる。特にエンボス凹部が曲線状の場合、トップシートは種々の方向の張力を受け、種々の方向の皺が発生し易くなるが、スリット又は打抜き孔がエンボス凹部に沿って間隔を空けて複数形成されていることで、あらゆる方向の皺を効果的に防止することができる。
前記トップシートにおける前記中高部と重なる範囲の幅方向中央部に、高さの高い高所部分及び高さの低い低所部分が前後方向に並設されており、
前記トップシートにおける前記中高部と重なる範囲のうち、前記高所部分の幅方向両側及び低所部分の幅方向両側に前記スリット又は打ち抜き孔がそれぞれ形成されており、
前記高所部分におけるスリット又は打抜き孔の前後方向の長さが、前記低所部分におけるスリット又は打抜き孔の前後方向の長さよりも長い、
のは好ましい。
前記トップシートにおける前記中高部と重なる範囲の幅方向中央部に、高さの高い高所部分及び高さの低い低所部分が前後方向に並設されており、
前記トップシートにおける前記中高部と重なる範囲のうち、前記低所部分の幅方向両側のそれぞれに前記スリット又は打ち抜き孔が単数又は幅方向に所定の間隔を空けて複数形成されるとともに、前記高所部分の幅方向両側のそれぞれに前記スリット又は打ち抜き孔が幅方向に所定の間隔を空けて前記低所部分よりも多い数形成されている、
のも好ましい。
前記スリット又は打抜き孔の長手方向の長さが1〜10mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
スリット又は打抜き孔の寸法は適宜定めることができるが、小さ過ぎると皺防止効果が乏しくなり、大き過ぎるとトップシート裏側の素材露出が問題となるため、通常の吸収性物品においては本項記載の範囲内とするのが好ましい。
<請求項5記載の発明>
前記エンボス凹部が曲線状に延在するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
<生理用ナプキンの基本構造の一例>
図1は本発明に係る生理用ナプキン1の展開図であり、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図、図4は図1の要部拡大図である。この生理用ナプキン1は、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性トップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4、6と、この吸収体4の形状保持および拡散性向上のために吸収体4を囲繞するクレープ紙5と、吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成され、かつ吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では不透液性バックシート2と透液性トップシート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している不透液性バックシート2と、立体ギャザーBSを形成しているサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性バックシート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW、Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップWB、WBが形成されている。
そして、以上のように構成された生理用ナプキンにおいて、エンボス凹部8のうち幅方向両側に位置する前後方向延在部分の全体にわたり、その幅方向中央側(中高部6側)の近傍に、スリット30がエンボス凹部8に沿って間隔を空けて多数形成されている。スリット30の形状は図示形態のように直線状をなしているのが好ましいが、適宜定めることができ、円弧状等の曲線状にしても良い。また、スリット30に代えて、円孔や楕円孔等のように開口が面積を有する適宜形状の打抜き孔とすることもできる。
(1)上記例では、エンボス凹部8のうち幅方向両側に位置する前後方向延在部分の全体にわたり、その幅方向中央側(中高部6側)の近傍に、スリット30がエンボス凹部8に沿って間隔を空けて多数形成されているが、本発明では、トップシート3におけるエンボス凹部8の底部の近傍にスリット30が形成される限り、スリットの数や部位は特に限定されない。例えば、図示しないが、高所部分HP等のようにエンボス凹部に沿う部分の一部のみにスリット又は打ち抜き孔を単数又は複数形成したり、エンボス凹部8の外側にスリット形成したりすることができる。また、中高部6の周縁に沿うエンボス凹部8ではなく、中高部6の外側における平坦な部分に設けられた後部サイドエンボス凹部10や、前端独立エンボス凹部9、後端独立エンボス凹部11においても、その加工形成時には、中高部6の周縁エンボス凹部8と同様の原因で皺が入るおそれがあるため、その底部の近傍、すなわち内側(中央側)または外側にスリットを形成することや、中高部6を有しない吸収性物品におけるエンボス凹部に対してスリットを形成することも本発明に含まれる。
Claims (5)
- 透液性のトップシートとバックシートとの間に、圧縮復元性を有する吸収体が介在されるとともに、前記トップシートの表面から前記吸収体内まで食い込むエンボス凹部が線状に延在されている、吸収性物品において、
前記トップシートにおける前記エンボス凹部の底部の近傍に、スリット又は打抜き孔が形成されており、且つこのスリット又は打抜き孔を有する部分は、スリット又は打抜き孔の変形によって前記エンボス凹部の延在方向と直交する方向の伸縮性が他の部分よりも高く、それによって前記トップシートにおけるエンボス凹部の傍における皺の発生が防止されている、
ことを特徴とする吸収性物品。 - 前記スリットの長手方向と、前記エンボス凹部の延在方向とのなす角が45度以下となる向きで、前記スリットが形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
- 前記スリット又は打抜き孔は前記エンボス凹部に沿って間隔を空けて複数形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記スリット又は打抜き孔の長手方向の長さが1〜10mmとされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記エンボス凹部が曲線状に延在するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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