JP2016032554A - 吸収性製品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】着用者の少なくとも股間部から肛門部にかけて装着され、着用者の排泄物の通過を防止する防水シートと、防水シートよりも着用者側に配置され、排泄物を吸収して保持する吸収体19と、最も着用者側に配置され、液透過性を有するシート体20と、を備え、シート体20は、排泄物の少なくとも軟便を吸収体19側に通すための通過手段25を有し、かつ、伸長した状態で接続され、装着した際、着用者の左右方向Xの中央部に、着用者の前後方向Yに沿って配置される弾性部材28を有しており、通過手段25は、少なくとも弾性部材28の周辺に配置された複数のスリット3を有し、このスリット3は軟便の重みや排泄される圧力により幅が広がるようになっている。
【選択図】図1
Description
特許文献1は、この吸収性製品の一例であり、その図5に示されるように、使用者の股側に液透過性のある不織布などを配置してなるトップシート13と、外側に排泄物の透過を防止するバックシート12と、トップシート13とバックシート12とで挟まれ、トップシート13から透過してきた排泄物を吸収する吸収性ポリマー等からなる吸収体14とを有している。
また、特許文献1のおむつでは、空隙24に入った軟便等が着用者の肌側に戻って、着用者の肌を汚すことを防止するため、開口部29を小さ目には形成している。しかし、肛門部と開口部29とを位置合わせして、軟便を空隙24に確実に落す必要があることから、開口部29の大きさを抑制することには限界がある。このため、開口部29は所要の大きさとせざるを得ず、空隙24に一旦入った軟便が着用者の肌側に戻って肌を汚す事態は有効に防止されているとは言えない。
そこで、本発明は、排泄物が身体に触れることを可及的に回避して、排泄後の気持ち悪さやスキントラブルを回避できる吸収性製品を提供することを目的とする。
この点、最も着用者側にあるシート体は、排泄物の少なくとも軟便を吸収体側に通すための通過手段を有するため、この通過手段から少なくとも軟便を吸収体側に移すことができる。
ここで、このシート体は、伸長した状態で接続され、装着した際、着用者の左右方向の中央部に、着用者の前後方向に沿って配置される弾性部材を有している。従って、シート体は、弾性部材の作用により垂れ下がりが防止され、シート体と吸収体との間には積極的に空間が形成されることになり、この空間に軟便等を収容してから、これを吸収体で吸収していくことができ、その間、軟便等と肌とをシート体で仕切って、着用者の肌を汚してしまう事態を抑制できる。さらに、シート体は、装着した際、左右方向の中央部が上側に凸となるため、股間部の逆U字状のような形状に沿って装着し易くなり、着用者の肌により密着させることができる。従って、シート体と股間部との間に軟便等が入って肌を汚してしまう事態も有効に防止できる。
しかも、少なくとも軟便を吸収体側に通すための通過手段は、少なくとも弾性部材の周辺に配置された複数のスリット及び/又は長孔であり、軟便の重みや排泄される圧力により幅が広がるようになっている。このため、軟便が付着するとスリットや長孔の幅が広がって、軟便を吸収体側に容易に移すことができる。そして、このように軟便が移動すると、スリットや長孔の周辺は軽くなって、その周辺にある弾性部材の力で、元の位置に戻ろうとして、広がったスリットや長孔は細くなる。従って、一旦、吸収体側に移動した排泄物が着用者の肌に触れる事態も有効に防止できる。
また、上記「長孔」はその幅が狭い長い孔であって、その幅が排泄物の重みや圧力で大きくなる一方で、その重みや圧力がなくなった際に、吸収体側の軟便が肌側に比較的に戻り難くなる幅に変化する孔を意味する趣旨であり、直線状の孔だけではなく、例えば、曲がっている孔や波形の孔や、幅の狭い長円状・楕円形状・三角形状の孔、等も含まれる。
また、上記「弾性部材」は着用者の左右方向の中央部に配置されているが、必ずしも肛門部の直下に配置される必要はなく、肛門部に隣接して配置されるものも含まれる。
そうすると、着用者が軟便を排泄すると、その際の圧力や重みで弾性部材は押されて、軟便は弾性部材の左右両側に広がろうとする。この点、通過手段は、肛門部に隣接して、肛門部の左右両側に配置されたスリット及び/又は長孔を有しているため、上記左右両側に広がろうとした軟便は、肛門部に隣接したスリット及び/又は長孔を通って、比較的に直ぐに吸収体側に移動することになる。この際、弾性部材は肛門部に隣接したスリット及び/又は長孔のさらに左右両側に隣接して配置されていないため、肛門部に隣接したスリット及び/又は長孔が軟便の重み等で広がろうとする作用を弾性部材が邪魔することも可及的に防止できる。
そして、弾性部材は、肛門部に隣接して左右両側に配置されたスリット及び/又は長孔に挟まれているため、肛門部の略直下に配置されることになる。従って、シート体は臀部の割れ目等にフィットして、シート体と吸収体との間に排泄物を入れるための大きな空間を形成して、当該空間に入った排泄物が、再び肌側に漏れ出す事態を有効に回避できる。
そうすると、排泄された軟便は、肛門部に隣接して左右両側に配置された弾性部材に挟まれたスリット及び/又は長孔を通って、即座に吸収体側に移動することになる。従って、軟便がシート体表面の幅の狭い左右に伝わることを抑制して、排泄物が身体に触れる事態を有効に回避できる。そして、弾性部材は肛門に密着しないため、好ましい着用感も得られる。さらに、スリット及び/又は長孔は弾性部材に挟まれているので、排泄前の状態に戻ろうとする力も強くすることができる。
従って、着用者の臀部と内腿の境目や、鼠蹊部と内腿の境目が窪んでいるため、そこに軟便が伝わり易くなっていても、当該境目に沿って複数の列になったスリット及び/又は長孔が軟便を確実にキャッチして、効果的に軟便を吸収体側に移動させることができる。
従って、軟便が胴回り側に流れてきた場合(例えば、床ずれ防止のために臀部を浮かせて寝た状態で臀部側に軟便が流れてきた場合)であっても、胴回り方向に略沿って形成された前記スリットや長孔がその軟便をキャッチして吸収体側に移動させ、軟便が漏れる事態を防止できる。
また、上述した発明と同様に、シート体は、伸長した状態で接続され、着用者の前後方向に沿って配置される弾性部材を有しているので、弾性部材の作用により垂れ下がりが防止され、シート体と吸収体との間に積極的に空間を形成し、この空間に軟便等を収容できる。
しかも、上述した発明と同様に、通過手段は、少なくとも弾性部材の周辺に配置された複数のスリット及び/又は長孔を有し、軟便の重みや排泄される圧力により幅が広がるようになっている。このため、軟便が付着するとスリットや長孔の幅が広がって、軟便を吸収体側に容易に移すことができる。そして、このように軟便が移動すると、スリットや長孔の周辺は軽くなって、その周辺にある弾性部材の力で、元の位置に戻ろうとして、広がったスリットや長孔は細くなる。従って、一旦、吸収体側に移動した排泄物が着用者の肌に触れる事態も有効に防止でき、排泄後の気持ち悪さやスキントラブルを回避できる
さらに、このシート体は、着用者の左右方向に、山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げられた折り曲げ部を有している。そうすると、平坦なシート体に比べて着用者の左右方向の寸法を大きくすることができ、股間部の狭い左右方向(幅方向)であっても、排泄物が直ぐに幅方向の両端に届いてしまう事態を抑制できる。特に、シート体を交互に折り曲げることで角度が付いて、着用者が横向きに寝た場合であっても、排泄物が着用者の左右方向(横向きに寝た状態の上下方向)に伝わる速度を落すことができる。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
また、以下の説明において、特段の説明がない限り、「前後方向」は吸収性製品を装着した際の着用者の下腹部と股間部と臀部とを結ぶ方向を、「左右方向」は吸収性製品を装着した際の着用者の左右方向(右脚と左脚とを結ぶ方向)を意味する。
先ず、本発明の第1実施形態に係る吸収性製品10を図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は後述する弾性部材28により湾曲した状態であり、図2はこの図1の吸収性製品10を伸ばし広げてから平面視した図である。また、図3(B)ではパンツを省略して図示している。また、図4の一点鎖線で囲った図は弾性部材28周辺の拡大図である。
図1〜図4の吸収性製品10は、本発明の好適な例として、パンツの中に敷いて用いられる失禁用の尿取りパッド(「失禁用パッド」とも言う)の例を示しているが、本発明の吸収性製品は、失禁用に限られるものではなく、乳幼児用おしめとしても用いることができる。また、パンツの中に敷く形式ではなく、おしめ自体がパンツ形状をしたパンツ式、またはテープでパンツの形状に組み立てて使用するテープ式等の使い捨ておむつにも用いることができる。
また、この長手方向Yに直交する幅方向(短手方向)Xは着用者の左右方向に沿って装着される。
図2に示すように、この幅方向Xの寸法が長手方向Yの中央部付近において短くなることで、吸収性製品10には縮幅部12が形成されている。縮幅部12は股間部に装着される部分である。
この縮幅部12は長手方向Yの中央ではなく、やや位置がずれており、縮幅部12から臀部側の端部10bまでの距離L1は、縮幅部12から下腹部側の端部10aまでの距離L2に比べて長い。縮幅部12から臀部側の端部10bまでの形状、及び、縮幅部12から下腹部側の端部10aまでの形状は、それぞれ概ね円形状である。なお、幅方向Xについて、吸収性製品10は左右対称である。
防水シート18は、着用者USの排泄物の通過を防止して、服の汚れ等を防止するための部材であり、バックシートとも呼ばれる。防水シート18は周知の材料を利用でき、可撓性を備えた材質、例えば薄いプラスチックフィルムにより作られている。具体的に、防水シート18は、ポリエチレンフィルムやポリエチレンラミネート紙等が使用でき、好ましくは、微多孔性防水樹脂フィルム等の不透水性ではあるが透湿性を有する素材を用いるとよい。
この吸収体19はティッシュ17に包まれて、外部に晒されることが防がれている。ティッシュ17には、液体等を吸収する柔らかい材質、たとえばパルプ、レーヨン、コットン、ケナフ、バガス、シルク、親水処理をした繊維(ポリオレフィン系、ポリエステル、アクリル)などを単一又は複合してシート化したものを用いることができる。シート化した場合、その表面にエンボス加工を施し、表面に液体を拡散させて、吸収体19の広範囲な領域で液体を吸収させるとよい。
本実施形態のシート体20は不織布から形成されている。不織布には公知なものが利用でき、例えば、合成樹脂を繊維化した熱融着性繊維(例えば、PET/PE,PP/PE,PET/EP,PP/EP)をサーマルボンド法やスパンボンド法等でバインダーを使わずに融着して形成される。このような不織布は、起毛立ちし難くい材料であることから使用者の肌に触れる材料として好適に使用できると共に、吸収体19側に排泄物を透過させることができる。この不織布は、液透過性を有すると共に液浸透性も有する。
そして、図1及び図4に示すように、シート体20には、少なくとも軟便を吸収体19側、即ち空間Sに通すための通過手段25を有している。従って、着用者が排泄した軟便は、シート体20に形成された通過手段25を通って空間Sに移動し、この空間Sに軟便を収容してから、これを吸収体19で吸収していくことができ、その間、軟便と肌とをシート体20で仕切って、吸収体19で素早く吸収できない軟便であっても、着用者の肌を汚してしまう事態を抑制できる。なお、本実施形態の通過手段25は、後述するように、軟便だけではなく尿も空間S側に移動でき、また、大便が大きく硬くない限り、空間S側に移動できるようにしている。
先ず、弾性部材28について説明する。
本実施形態の弾性部材28は、図1〜図4に示すように、伸長した状態でシート体20に接続され、装着した際、着用者の左右方向の中央部に、着用者の前後方向に沿って配置される。
即ち、吸収性製品10を伸ばして広げた図2の状態で、弾性部材28を、幅方向Xの中央部に、長手方向Yに沿って伸長させてシート体20に接続し、この図2の状態において、長手方向Yに弾性力を発揮させている。このため、図3(B)のように、吸収性製品10を下腹部と股間部と臀部を結ぶカーブに沿った形状にした場合には、弾性部材28は縮まって、この弾性部材28が接続されたシート体20は、図4に示すように左右方向の中央部が上側に凸となった状態が、図3(B)に示すように前後方向に続くため、着用者の股間部の形状に沿って装着し易くなり、着用者の肌により密着させることができる。
弾性部材28には、公知の合成ゴム等の弾性材を利用できるが、薄いシート体20が肌に触れた際、弾性部材28が異物として感じられないように薄い帯状の合成ゴム(例えば、熱可塑性ポリウレタンをテ?プ状にしたポリウレタンエラストマー・テープ)を利用するのが好ましい。
本実施形態では、図1及び図4の弾性部材28が縮まった状態では、シート体20の弾性部材28の近傍(図4の弾性部材28の左右両側の部分)にギャザー29が形成されて、シート体20の表面は凸凹になっている。これにより、弾性部材28の近傍が濡れていても、装着感を向上できる。
また、本実施形態の弾性部材28は、可及的に大きな空間Sが形成できるように、図3に示すように、装着した際、下腹部から股間部及び肛門部を通って臀部の下側まで配置される。
なお、外側シート体27は肌側シート体26に比べて繊維密度が高いのが好ましく、これにより、毛細管現象により外側シート体27に液体を積極的に導くと共に、液体の肌側シート体26への移行を抑制できる。
通過手段25は弾性部材28の周辺に配置された複数のスリット及び/又は長孔を有しており、本実施形態の通過手段25は図2に示すようにスリット3からなっている。なお、この「弾性部材28の周辺」とは、弾性部材28の作用を受ける領域を意味する。
具体的には、吸収性製品10を伸ばし広げた図2の状態では、スリット3は完全に閉じている。このスリット3は、製造過程において、弾性部材28の弾性力に抗しながら伸ばし広げたシート体20の上から、カッターを刺し入れて形成されている。これに対して、図1の湾曲状態では、弾性部材28の弾性力でシート体20の弾性部材28の周辺は長手方向Yが縮まるため、スリット3の幅は少し広がった状態となる。すなわち、スリット3が開口した状態となる。
また、最も幅方向Xの中心部に近い列G3,G4は、装着した際、着用者の肛門部に隣接して、肛門部の左右両側に配置されるようになっており、この列G3,G4の双方から若干の間隔W1を空けて、列G3と列G4の間に弾性部材28が挟まれて配置されている(この間隔W1の領域におけるシート体20に図4のギャザー29が形成される)。従って、弾性部材28は、図4に示すように、肛門部の略直下に配置され、シート体20は臀部の割れ目等にフィットして、シート体20と吸収体19との間に排泄物を入れるための大きな空間Sを形成できる。
なお、この最も中央部側に配置された列G3,G4のさらに左右両側には隣接して弾性部材は配置されないのが好ましい。
さらに、この位置のずれ方についても基準を有しており、着用者の臀部と内腿の境目、及び/又は、鼠蹊部と内腿の境目(例えば図3の臀部HPと内腿THの境目)において、スリット3は当該境目に沿って複数の列G1〜G6となるように配置されており、この境目のスリット3の並びを基準にして、各列G1〜G6のスリット3の長手方向Yの位置が決められている。即ち、図2を例に説明すると、幅方向Xに並んだ各列の複数のスリット3a,3b,3cの並び(並ぶ方向R1)が、図3の臀部HPと内腿THの境目の方向R2に対応しており、この図2のスリット3a,3b,3cの並びを基準にして、各列G1〜G6のスリット3が規則正しく長手方向Yに沿って配置されている。これにより、例えば図3の臀部HPと内腿THの境目に沿って(矢印R2の方向に沿って)軟便や尿が流れても、当該境目のスリット(図2のスリット3a,3b,3c)がその軟便や尿を確実に捉えることができる。
また、図2において、長手方向Yについて互いに隣接するスリット3どうしの間隔L4は、スリット3の長さL3の約1/8の約0.5cmである。
また、図2の互いに隣接する列G1と列G2,及び列G2と列G3,列G4と列G5,及び列G5と列G6の夫々の間隔Wは約1cmである。
図5(A)はこのスリット3の幅が広がった状態を示しており、この図に示すように、着用者が軟便CAを排泄すると、その際の圧力や重みで、肛門部直下の弾性部材28は押されて、軟便CAは弾性部材28の左右両側に広がろうとする。そして、軟便CAの重みや排泄時の圧力により、スリット3(特に肛門部に隣接した列G3,G4のスリット3)の左右のシート体の部分20aが押されることで、図1のスリット3の幅W2が図5(A)のように広がって大きな幅W3となり、ここから軟便CAは比較的に直ぐに吸収体19側(即ち空間S)に移動することになる。
この際、弾性部材28は肛門部に隣接した列G3,G4のスリット3のさらに左右両側に隣接して配置されていないため、列G3,G4のスリット3が軟便CAの重み等で広がろうとする作用を弾性部材が邪魔することも可及的に防止できる。
また、図1に示すように、スリット3は弾性部材28の弾性力で、装着時、予め少し広がった幅W2を有するため、軟便がシート体20の表面を素早く広がろうとしても、スリット3を素通りしてしまう事態を出来るだけ回避できる。
さらに、本実施形態では複数のスリット3からなる複数の列G1〜G6を有するため、多量あるいは勢いのよい軟便CAが排泄され、中央部側のスリット3の列G3,G4で軟便CAを捉えきれなかった場合であっても、図6に示すように、より外側の列G2,G5等のスリット3で軟便CAを空間Sに移動させることができる。
また、本実施形態では、吸収体19(ティッシュ17を含む)とシート体20との間には空間Sが存在するのみであるが、本実施形態の変形例である図7に示すように、吸収体19の空間S側に公知なトップシートとも呼ばれる表面材30を配設してもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図8〜図10は第2実施形態に係る吸収性製品32であり、図8は概略斜視図、図9は吸収性製品32を装着して、図8のC−C位置で切断した場合の概略断面図、図10は図8の吸収性製品の使用状態を図9の断面位置で説明する図である。なお、これらの図では図1及び図4で図示したギャザー29は省略している。
これらの図の吸収性製品32が図1〜図7の吸収性製品10と主に異なるのは、弾性部材33と通過手段35の配置である。
そして、通過手段35は、この肛門部に隣接した弾性部材33,33に挟まれた複数のスリット3からなる列G9を有している。スリット3自体の構成は既に述べたものと同様であるが、長手方向Yに沿った複数のスリット3からなる列は、図8に示すように5列G7〜G11であり、図1に示す6列G1〜G6よりも一つ少なく、幅方向Xの中心部の列G9を中心に左右対称とされている。
また、吸収性製品32の使用状態を示す図10(A)に示すように、排泄された軟便CAは、肛門部に隣接して左右両側に配置された弾性部材33,33に挟まれたスリット3を通って、即座に吸収体19側に移動して、軟便CAがシート体20の表面の幅の狭い左右方向に広がることを抑制できる。また、弾性部材33が肛門部の直下に配置されないため、肛門部にシート体20が密着してなる装着感の悪さを解消することができる。
また、弾性部材33が2列あるため、排泄を終えた後のシート体20の復元力も、第1実施形態に比べて強い。
なお、本第2実施形態の吸収性製品32では、スリット3からなる列は5列G7〜G11と少なくなるが、大量あるいは勢いのよい軟便CAが排泄された場合であっても、図10(B)に示すように、左右両側の弾性部材33,33がある程度の障壁となって、幅方向(短手方向)Xに勢いよく流れることを抑制できる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図11及び図12は第3実施形態に係る吸収性製品37であり、図11は概略斜視図、図12は吸収性製品37を装着して、図11のD−D位置で切断した場合の概略断面図である。なお、これらの図では図1及び図4で図示したギャザー29は省略している。
これらの図の吸収性製品37が図1〜図7の吸収性製品10と異なるのは、弾性部材40が追加して配置されている点である。
幅方向Xの左側の第2の弾性部材40と右側の第2の弾性部材40とは同様の構成であり、長手方向Yに沿って配置され、幅方向Xの最も外側のスリット3の列G1,G6に近接している。
なお、第1の弾性部材28と第2の弾性部材40との弾性力は異なっていてもよく、その場合、第2の弾性部材40を第1の弾性部材28の弾性力に比べて弱くしてもよい。
本発明の第3実施形態の吸収性製品37は以上のように構成され、このため、図12に示すように、シート体20の肌への密着性を高めることができ、また、大量で勢いのよい軟便であっても、第2の弾性部材40,40が配置されたシート体の部分20b,20bが肌に密着してより所謂横漏れを防止することができ、さらに、排泄を終えた後のシート体20の復元力も、第1実施形態に比べて向上できる。
次に、本発明の第3実施形態の変形例について説明する。図13はその変形例に係る吸収性製品39を伸ばし広げて、シート体20の通過手段25周辺を平面から視認した部分平面図である。なお、図13の右側が臀部側の端部10b、左側が下腹部側の端部10aである。また、この図では図1及び図4で図示したギャザー29は省略している。
図13の吸収性製品39が図11及び図12の吸収性製品37と異なるのは、通過手段25が向きの異なるスリット5を有する点である。
すなわち、シート体20に形成された通過手段25は、股間部から肛門部にかけての領域AR1では図11と同様に長手方向(着用者の前後方向)Yに沿ったスリット3であり、この領域AR1よりも胴回り側の領域AR2では、胴回り方向に略沿って形成されたスリット5となっている。本変形例の吸収性製品39は尿取りパッドであり、胴回り一周には装着されず、腹部から股間部及び肛門部を通って腰部辺りにかけてのみ装着されるため、スリット5は着用者の左右方向(幅方向X)に沿って形成されている。
この幅方向Xのスリット5は、弾性部材28,40よりも胴回り側に配置され、そして、スリット3の各列G1〜G6の間を流れてきた排泄物が当たるように配置されている。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図14は第4実施形態に係る吸収性製品42を装着して、着用者の外尿道口付近で左右方向に切断した場合の概略縦断面図である。なお、この図では図1及び図4で図示したギャザー29は省略している。
この図の吸収性製品42が図11及び図12の吸収性製品37と異なるのは、シート体20と吸収体19とを部分的に繋いだ点である。
すなわち、吸収性製品42のシート体20と吸収体19との間には、尿が浸透可能な部材であって、部分的にシート体20と吸収体19とを繋ぐようにした連結部43が設けられている。従って、空間Sが形成されていても、排泄後にシート体20に付着した尿を、連結部43を介して吸収体19側に導くことができる。なお、この連結部43はシート体20と吸収体19とを部分的に繋ぐため、空間Sの軟便に対する収容量を著しく阻害することもない。
また、外側シート体27は肌側シート体26に比べて繊維密度が高くなっており、その結果、連結部43の繊維密度も肌側シート体26の繊維密度に比べて高く形成されている。これにより、シート体20に付着した尿を、相対的に繊維密度の高い連結部43により、毛細管現象で吸収体19側に積極的に導くことができる。
なお、本発明は図14に示す態様に限られるものではない。
例えば、連結部43は、シート体20と吸収体(ティッシュ17を含む)19とを直接的に繋ぐものに限られるものではなく、例えば、吸収体19の肌側の表面を覆うトップシートと呼ばれる表面材とシート体20とを連結部43を介して繋いでも構わない。
また、シート体20の内、弾性部材28,40に近接した部分以外の領域では、尿が付着すると相対的に垂れ下がる傾向にあって肌に密着し難いため、連結部43と接続される必要性は相対的に低いが、本発明は、弾性部材28,40に近接した部分以外の領域に連結部43を接続することを排除するものではない。
また、本実施形態では、シート体20の外側シート体27を吸収体19側に延伸することで連結部43を形成しているが、シート体20と連結部43とを全く別の部材から形成してもよい。この際、連結部43の繊維密度を外側シート体27の繊維密度よりも高くするのが好ましく、これにより、積極的に吸収体20側に尿を導くと共に、連結部43に付着した尿がシート体20側に伝わる事態を防止できる。
また、本第4実施形態の変形例である図15に示すように、シート体20と吸収体19とを繋ぐ襞状ないしプリーツ状の連結部99を、前後方向Yに沿って断続的に形成してもよい。この場合、図15に示すように、肛門部ANの周辺には配置されず、主に女性の外尿道口HRの周辺に断続的に配置するとよく、これにより、肛門部AN周辺の領域では、空間Sに多くの軟便が収容されるようにすると共に、外尿道口HRから排泄された尿を吸収体19側に積極的に導くことができる。また、図15では、連結部99を、着用者の左右方向に沿うようにして、弾性部材28に近接した部分以外の領域に形成してもよく、これにより、腹部側への軟便の移動を抑えることもできる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。図16〜図18は第5実施形態に係る吸収性製品50であり、図16は概略斜視図、図17は吸収性製品50を装着して、図16のE−E位置で切断した場合の概略断面図、図18は吸収性製品50を装着して、横向きに寝た状態で軟便を排泄した場合の図17に対応した概略断面図である。なお、これらの図では図1及び図4で図示したギャザー29は省略している。
これらの図の吸収性製品50が図1〜図7の吸収性製品10と異なるのは、シート体20に蛇腹状部を設けた点、等である。
なお、本実施形態の蛇腹状は、図16に示すように、長手方向Yの両端部に、幅方向Xに沿って設けられた合成ゴム等の弾性部材55で、その形状が概ね保持されている。
また、蛇腹状になった領域AR3は、幅方向Xの中心部(装着した際に肛門部に対応した部分)にある谷折りの折り曲げ部49a(図17も参照)を中心に左右対称であり、左右それぞれに同数(図の場合3つ)の折り曲げ部49を有している。
これに対して、図17に示すように、左右方向の中央部には、断面円形状の弾性部材52が肛門部に近接するようにして肛門部の左右に、長手方向Yに沿って配設されている。具体的には、弾性部材52は、肌側シート体26と外側シート体27とで挟まれて接続されているが、山折りの方(肌側)に配置されている。なお、本実施形態の弾性部材52は幅方向Xの中央部に配置されているが、本発明はこのような態様に限られるものではなく、幅方向Xの中央部と弾性部材40との間に配置されてもよく、或いは、弾性部材52を設けずに、左右の弾性部材40,40のみでも構わない。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。図19〜図21は第6実施形態に係る吸収性製品60であり、図19は概略斜視図、図20は図19のミシン目部分の拡大図、図21は吸収性製品60を装着して、図19のF−F位置で切断した場合の概略断面図である。
これらの図の吸収性製品60が図1〜図7の吸収性製品10と異なるのは、陰茎を挿入可能にして男性用と女性用を兼ねた点である。
即ち、図19に示すように、シート体20は、縮幅部12を股間部にあてがって男性が吸収性製品60を装着した場合における陰茎の根元に対応した位置に、略左右方向(略幅方向)Xに沿って複数の切込み61を断続的に配列してなるミシン目64が形成されている。なお、その他の構成は図1と同様である。従って、男性が着用する場合は、シート体20のミシン目64の部分を断裂させて、図21に示すように、陰茎MSをシート体20と吸収体19との間に挿入して、陰茎MSからの尿を吸収体19に吸収させることができる。また、女性が使用する場合は、ミシン目64を断裂させなければ、孔が開くこともなく、従って、通過手段25から入った軟便等がこのミシン目64から肌側に漏れ出てしまうことを可及的に防止できる。
そこで、本実施形態のミシン目64は、前後方向Yに互いに隣接した第1及び第2のミシン目の列62,63を有し、第1のミシン目の列62と第2のミシン目の列63とは、左右方向Xについて切込み61の位置が互い違いに形成されている。なお、本実施形態の第1のミシン目の列62と第2のミシン目の列63とは平行である。従って、図20に示すように、ミシン目64の領域を前後方向Yに引っ張ると、第1のミシン目62の端部62aとこれに隣接した第2のミシン目63の端部63aとの間NFは、前後方向Yで伸縮性が殆どないので、比較的に断裂し易く、第1のミシン目62と第2のミシン目63との間NFで断裂しながら、全体的に左右方向Xに沿って切り開いて、図21に示すように、陰茎MSを挿入するための挿入孔66を形成することができる。
また、本実施形態では、左右方向の中央部にある前後方向Yに沿った弾性部材28により、シート体20と吸収体19との間に、陰茎を挿入し易い空間Sが形成されているが、さらに、図21に示すように、ティッシュ17に比べて表面が滑らかな不織布シート67を配置するようにしてもよい。
また、図20に示すように、本変形例では好ましい実施形態として、第1のミシン目62の端部62aとこれに隣接した第2のミシン目63の端部63aとは左右方向Xの位置を略同じにしているが、本発明はこれに限られず、図の第1のミシン目62と第2のミシン目63の互いの切込み61が、左右方向Xについてオーバーラップする領域を有しても構わない(例えば、第2のミシン目63の端部63aから図20のY方向に仮想線を引き出した場合、その仮想線が第1のミシン目62の切込み61のいずれの位置に当たっても構わない)。
例えば、上述した実施形態では尿取りパッドを例示したが、パンツ式のおむつ等であってもよい。
また、本発明の通過手段25の数・種類・寸法も上述した実施形態に限れるものではない。
また、上記実施形態では、通過手段25の例としてスリットをあげたが、幅の狭い長孔であってもよく、或いは、スリットと長孔を組み合せて用いてもよい。
また、図8〜図18の実施形態の吸収体19の空間S側に公知なトップシートと呼ばれる表面材を配設してもよい。
また、上記第6実施形態は、男性も容易に使用できるものとして、男性用と女性用を兼ねた吸収性製品を説明したが、第1実施形態〜第5実施形態についても、陰茎を別売りのパッドで包んで、女性用としてだけではなく、男性用としても使用できる。
また、第6実施形態の第1及び第2のミシン目の列62,63は、図では夫々1列であるが、本発明はこれに限られず、夫々2列以上であってもよい。
Claims (6)
- 着用者の少なくとも股間部から肛門部にかけて装着され、
前記着用者の排泄物の通過を防止する防水シートと、
前記防水シートよりも前記着用者側に配置され、前記排泄物を吸収して保持する吸収体と、
最も前記着用者側に配置され、液透過性を有するシート体と、
を備え、
前記シート体は、前記排泄物の少なくとも軟便を前記吸収体側に通すための通過手段を有し、かつ、伸長した状態で接続され、装着した際、前記着用者の左右方向の中央部に、前記着用者の前後方向に沿って配置される弾性部材を有しており、
前記通過手段は、少なくとも前記弾性部材の周辺に配置された複数のスリット及び/又は長孔を有し、このスリット及び/又は長孔は、前記軟便の重みや排泄される圧力により幅が広がるようになっている
ことを特徴とする吸収性製品。 - 前記通過手段は、前記着用者の肛門部に隣接して、前記肛門部の左右両側に配置された前記スリット及び/又は長孔を有し、
前記弾性部材は、前記左右両側に配置された前記スリット及び/又は長孔に挟まれて配置されると共に、前記左右両側に配置された前記スリット及び/又は長孔のさらに左右両側に隣接して配置されていない
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性製品。 - 前記弾性部材は、前記肛門部に隣接するようにして、前記肛門部の左右両側に配置され、
前記通過手段は、前記左右両側の前記弾性部材に挟まれた前記スリット及び/又は長孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性製品。 - 前記通過手段は、少なくとも前記着用者の臀部と内腿、及び/又は、鼠蹊部と内腿の境目において、前記着用者の前後方向に長い前記スリット及び/又は長孔を有し、このスリット及び/又は長孔は、前記境目に沿って複数の列となるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の吸収性製品。
- 前記シート体は、前記着用者の少なくとも胴回りに近接した位置まで延伸しており、
前記通過手段は、股間部から肛門部にかけての領域よりも前記胴回り側において、前記胴回り方向に略沿って形成されたスリット及び/又は長孔を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の吸収性製品。 - 着用者の少なくとも股間部から肛門部にかけて装着され、
前記着用者の排泄物の通過を防止する防水シートと、
前記防水シートよりも前記着用者側に配置され、前記排泄物を吸収して保持する吸収体と、
最も前記着用者側に配置され、液透過性を有するシート体と、
を備え、
前記シート体は、前記排泄物の少なくとも軟便を前記吸収体側に通すための通過手段を有し、かつ、前記着用者の左右方向に、山折りと谷折りを交互に繰り返して折り曲げられた折り曲げ部を有し、さらに、前記着用者の前後方向に沿って、伸長した状態で接続された弾性部材を有しており、
前記通過手段は、少なくとも前記弾性部材の周辺に配置された複数のスリット及び/又は長孔を有し、このスリット及び/又は長孔は、前記軟便の重みや排泄される圧力により幅が広がるようになっている
ことを特徴とする吸収性製品。
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