JP2017192655A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
Description
本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の装着時及び装着後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。第1の切れ込み213及び第2の切れ込み214、並びに第1の凸型立体形状部231及び第2の凸型立体形状部232に言及する際の、長手方向及び幅方向も、吸収性物品1の長手方向及び幅方向と一致する方向であり、ぞれぞれ、図中、符号Y及び符号Xで示す方向である。さらに、身体側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1の用途は、特に限定されるものではなく、一般には、幼児又は成人用を問わず、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、パンツタイプの使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用品等であってもよいが、本発明は、パンツタイプの使い捨ておむつと併用される尿取りパッドに好適に適用される。
トップシート21は、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布等から形成される。また、トップシート21には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート21を構成する不織布1枚あたりの坪量は、13g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体23へと誘導するために必要とされる、吸収体23を覆う形状であればよい。
図1及び図3に示すように、本発明の吸収性物品1のトップシート21には、身体側最上層のシート211のみに、左右一対の第1の切れ込み213が、吸収性物品1の長手方向に延びる吸収性物品の中心線Aを中心として左右略対称に形成されている。すなわち、本発明の吸収性物品1のトップシート21においては、長手方向に延びる吸収性物品の中心線Aより右寄りの部位と、左寄りの部位とに、当該中心線Aを中心として略対称の形状を有する、一対の第1の切れ込み213が形成されている。このため、トップシート21上、幅方向に広がった体液を第1の切れ込み213により形成される開口部215で捕捉することができ、排泄された体液の幅方向端部における横漏れを防止することができる。第1の切れ込み213は、略コの字状の形状を有しているが、2箇所の角部は角丸加工がなされていてもよい。2箇所の角部に角丸加工がなされていることにより、吸収性物品1を着用したときに、角部が着用者の肌に刺激を与えることを防止できる。
図1及び図3に示すように、本発明の吸収性物品1のトップシート21には、身体側最上層のシート211のみに、第2の切れ込み214が設けられていることが好ましい。第2の切れ込み214は、吸収性物品1の長手方向端部から、吸収性物品1の長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられていることが好ましく、4分の1以下の位置に設けられていることがより好ましい。さらに、第2の切れ込み214は、吸収性物品1のもう一方の長手方向端部から長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられていてもよい(図示せず)。第2の切れ込み214は、吸収性物品1の長手方向に直交する方向に沿って設けられるとともに、身体側からの平面視で、長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口していることが好ましい。これにより、トップシート21上、長手方向に広がった体液を第2の切れ込み214により形成される開口部で捕捉することができ、排泄された体液の長手方向端部における前後漏れを防止することができる。また、第2の切れ込み214が、長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口していることにより、長手方向に広がる体液を、第2の切れ込み214で捕捉しやすくすることができる。図1に示すように、第2の切れ込み214は、特に、長手方向中心方向に向かって開口していることが好ましい。
バックシート22は、吸収体23が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成すればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
吸収体23は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)と、を含有することが好ましい。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティッシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体23の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、100g/m2以上800g/m2以下の坪量とすることが好ましい。
本発明の吸収性物品1は、第1の切れ込み213及び開口部215の近傍において、トップシート21の下層に位置する吸収体23が第1の凸型立体形状部231を有しており、この第1の凸型立体形状部231により第1の切れ込み213が支持されて、開口部215における身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが、容易に離間可能となっている。このような構成を採用することにより、身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが離間した状態が容易に維持されるので、第1の切れ込み213を設けることによる効果がより増強され、身体側最上層のシート211と離間している、下層に位置するシート212の表面から、排泄された体液が迅速に吸収されて、体液の迅速な吸収を担保することができる。
本発明の吸収性物品1は、第2の切れ込み214及び開口部の近傍において、トップシート21の下層に位置する吸収体23が第2の凸型立体形状部232を有していることが好ましく、この第2の凸型立体形状部232により第2の切れ込み214が支持されて、開口部における身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが、容易に離間可能となっていることが好ましい。このような構成を採用することにより、身体側最上層のシート211と、下層に位置するシート212とが離間した状態が容易に維持されるので、第2の切れ込み214を設けることによる効果がより増強され、身体側最上層のシート211と離間している、下層に位置するシート212の表面から、排泄された体液が迅速に吸収されて、体液の迅速な吸収を担保することができる。
吸収性物品1の製造方法は、周知の方法を採用することができ、例えば、(A)吸収性繊維を高吸収性ポリマーとともに積繊して吸収体マットを作成し、吸収体23を形成する工程、(B)トップシート21と立体ギャザー24をホットメルト系接着剤で固定・一体化する工程、(C)トップシート21、立体ギャザー24、及びバックシート22の内側にホットメルト系接着剤を塗工する工程、(D)集合ドラムにおいて、吸収体23の上部にトップシート21を、吸収体23の下部にバックシート22を配置し、各構成部材を固定・一体化する工程、(E)吸収性物品1の半製品をカッター装置により製品寸法でカットし、個々の吸収性物品1を切り離す工程、を有する製造方法等を挙げることができる。そして、本発明においてトップシート21を積層するに先立って、任意のカッター等により、トップシート21に第1の切れ込み213や第2の切れ込み214を形成し、吸収体マットの製造にあたり、第1の凸型立体形状部231や第2の凸型立体形状部232を形成する部位に対応する金型上の位置に凹部を設けておけばよい。
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ20gと、高吸収性ポリマー6gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ420mm、幅150mmにカットした。この吸収体をトップシート及びバックシートとともに積層するとともに、1対の横漏れ防止用立体ギャザーを形成し、長さ480mm、幅200mmの尿取りパッドを作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートとしては、身体側にエアスルー不織布(坪量20g/m2)を2枚と、その下層にスパンボンド不織布(15g/m2)を1枚用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量35g/m2)を用いるとともに、トップシートのうち、身体側のエアスルー不織布を接合して一体化し、身体側最上層となる一体化したエアスルー不織布のみに、長手方向の寸法が120mm、幅方向の寸法が25mmである、幅方向中心部に向かって開口する1対の第1の切れ込みを形成するとともに、長手方向の寸法が25mm、幅方向の寸法が80mmである、長手方向中心部に向かって開口する1つの第2の切れ込みを形成した。身体側最上層となる一体化したエアスルー不織布と、その下層となるスパンボンド不織布とは、第1の切れ込み及び第2の切れ込み、並びにこれらの開口部が離間可能なようにした。さらに、第1の切れ込み及び第2の切れ込みの箇所に、それぞれ、第1の凸型立体形状部と第2の凸型立体形状部とを設けた。第1の凸型立体形状部の寸法は、長手方向の寸法が110mm、幅方向の寸法が8mm、高さ4mmで、第2の凸型立体形状部は、長手方向の寸法が8mm、幅方向の寸法が70mm、高さ4mmであった。得られた尿取りパッドの概要を図1及び図2に示す。得られた尿取りパッドの吸収速度、液戻り量を以下に従って測定・評価するとともに、モニターテストの官能評価により、横漏れし難さ、背漏れし難さを評価した。得られた結果を表1に示す。
外径80mmの円柱の中央に内径75mmの穴が開いており、重さ100gとした測定冶具を、トップシートを上に向けた状態で、尿取りパッドの長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水150mlを投下し、生理食塩水が尿取りパッドに接触した時点から、測定治具中央円内の円周に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでを終点として時間を計測し、吸収速度とした。
吸収性物品の中央に生理食塩水300mlを注入し、10分経過後に、あらかじめ重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35gf/cm2)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=10サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量が少ないほど吸収性能に優れる。
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の横漏れについて、「横漏れがある」又は「横漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「横漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「横漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「横漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「横漏れがない」がいないか、1人以上5人以下のとき
20名のパネラーにより、吸収性物品の着用時の背漏れについて、「背漏れがある」又は「背漏れがない」の選択で調査を行い、以下の基準により評価を行った。
◎:「背漏れがない」が16人以上20人以下のとき
○:「背漏れがない」が11人以上15人以下のとき
△:「背漏れがない」が6人以上10人以下のとき
×:「背漏れがない」がいないか、1人以上5人以下のとき
図4及び図5に示すように、第1の凸型立体形状部及び第2の凸型立体形状部を設けなかった点以外は、実施例1と同様の方法により尿とりパッドを作製して、比較例2のサンプルとし、実施例1と同一の試験・評価を行った。得られた結果を表1に示す。
図6に示すように、第1の切れ込み及び第2の切れ込み、並びに第1の凸型立体形状部及び第2の凸型立体形状部を形成しなかった点以外は、実施例1と同様の方法により、尿とりパッドを作製して、比較例2のサンプルとし、実施例1と同一の試験・評価を行った。得られた結果を表1に示す。
21 トップシート
211 身体側最上層のシート
212 下層に位置するシート
213 第1の切れ込み
214 第2の切れ込み
215 (第1の切れ込みにより形成される)開口部
22 バックシート
23 吸収体
231 第1の凸型立体形状部
232 第2の凸型立体形状部
24 立体ギャザー
24a 立体ギャザー用弾性部材
24b 立体ギャザーシート
A 長手方向に延びる吸収性物品の中心線
Y 長手方向
X 幅方向
Claims (8)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記トップシートは、2枚以上の液透過性の不織布から構成され、
身体側最上層のシートのみに、左右一対の第1の切れ込みが、前記吸収性物品の長手方向に延びる吸収性物品の中心線を中心に左右略対称に形成されており、
前記第1の切れ込みは、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で幅方向中心方向又は幅方向外側方向に向かって開口しており、
前記第1の切れ込み及び開口部の近傍において、前記身体側最上層のシートは、下層に位置するシートに接合されておらず、かつ前記第1の切れ込み及び開口部の近傍において、下層に位置する吸収体が第1の凸型立体形状部を有しており、前記第1の凸型立体形状部により前記第1の切れ込みが支持されて、前記開口部における前記身体側最上層のシートと、前記下層に位置するシートとが、容易に離間可能となっている、吸収性物品。 - 前記第1の凸型立体形状部の幅方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であって、前記第1の切れ込みにより形成される開口部の領域内に位置しており、
前記第1の凸型立体形状部の長手方向の寸法は、前記第1の切れ込みの長手方向の寸法よりも小さく、前記第1の凸型立体形状部の幅方向の寸法は、前記第1の切れ込みの幅方向の寸法よりも小さい、請求項1に記載の吸収性物品。 - 第1の切れ込みの幅方向の寸法が5mm以上50mm以下であり、長手方向の寸法は、幅方向の寸法よりも大きい、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 吸収性物品が幅方向両端部に立体ギャザーを有し、前記第1の切れ込みが、前記立体ギャザーの前記トップシートとの接合部よりも内側に、長手方向に沿って形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
- 前記第1の切れ込みに加え、前記身体側最上層のシートのみに、第2の切れ込みが、前記吸収性物品の長手方向端部から、前記吸収性物品の長手方向における寸法の3分の1以下の位置に設けられ、
前記第2の切れ込みは、長手方向に直交する方向に設けられるとともに、略コの字状に形成され、身体側からの平面視で長手方向中心方向又は長手方向外側方向に向かって開口しており、
前記第2の切れ込み及び開口部の近傍において、前記身体側最上層のシートは、下層に位置するシートに接合されておらず、かつ前記第2の切れ込み及び開口部の近傍において、下層に位置する吸収体が第2の凸型立体形状部を有しており、前記第2の凸型立体形状部により前記第1の切れ込みが支持されて、前記開口部における前記身体側最上層のシートと、前記下層に位置するシートとが、容易に離間可能となっている、請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。 - 前記第2の凸型立体形状部の長手方向の寸法が3mm以上30mm以下、高さが2mm以上10mm以下であって、前記第2の切れ込みにより形成される開口部の領域内に位置しており、
前記第2の凸型立体形状部の幅方向の寸法は、前記第2の切れ込みの幅方向の寸法よりも小さく、前記第2の凸型立体形状部の長手方向の寸法は、前記第2の切れ込みの長手方向の寸法よりも小さい、請求項5に記載の吸収性物品。 - 第2の切れ込みの長手方向の寸法が5mm以上50mm以下であり、幅方向の寸法は、長手方向の寸法よりも大きい、請求項5又は6に記載の吸収性物品。
- 前記身体側最上層のシートが、2枚の不織布が接合している不織布シートから構成される、請求項1から7のいずれかに記載の吸収性物品。
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