JP6603922B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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以下、本発明の第一の実施形態に係る吸収性物品1について、図1及び2を参照して詳細に説明する。なお、実施形態の説明は、全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の着用時及び着用後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の短手方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、肌当接面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、非肌当接面とは、吸収体23等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1の用途は、特に限定されるものではなく、一般には、幼児又は成人用を問わず、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、パンツタイプの使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用品等であってもよいが、本発明は、長手方向の長さが480mm以上であり、短手方向の長さが190mm以上である大型の吸収性物品に対し、着用者の股間部に吸収性物品1を密着させる際に適用することができる。本発明は、長手方向の長さが500mm以上800mm以下、短手方向の長さが200mm以上400mm以下である吸収性物品に、さらに好適に適用することができ、尿取りパッド、及び大型軽失禁パッド等の吸収性物品に対しても、好適に適用することができるものである。
トップシート21は、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、あるいは、これらを積層した複合シートといった材料から形成される。また、トップシート21には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート21の坪量は、18g/m2以上40g/m2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体23へと誘導するために必要とされる、吸収体23を覆う形状であればよい。
バックシート22は、吸収体23が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成すればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
吸収体23は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)と、を含有することが好ましい。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンやおむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体23の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、100g/m2以上800g/m2以下の坪量とすることが好ましい。
本発明において、吸収体23は、前方域23a、排尿域23b、後方域23dを有する。これらのうち、排尿域23bは周囲に比して盛り上がった凸型立体形状部分23cを有し、この凸型立体形状部分23cは、図1に示すように、前方域23a側の部位、及び後方域23d側の部位が、凸型立体形状部分23cの中央部に比して狭まった形状となっている。吸収性物品1において、吸収体23の排尿域23bが、周囲に比して盛り上がった凸型立体形状部分23cを有することにより、吸収体23と着用者の股間部との密着性が良好となり、体液の漏れを無くして、吸収性能に優れた吸収性物品1を提供することができる。凸型立体形状部分23cは、長手方向の長さが30mm以上であることが好ましく、50mm以上250mm以下であることがさらに好ましい。また、凸型立体形状部分23cは、短手方向の最大長さが15mm以上であることが好ましく、20mm以上80mm以下であることがさらに好ましい。凸型立体形状部分23cは、最高部の高さが2mm以上8mm以下であることが好ましく、3mm以上6mm以下であることがさらに好ましい。凸型立体形状部分23cの寸法を以上のようなものとすることにより、吸収性物品1の吸収体23と着用者の股間部との密着性をより良好なものとすることができ、体液の漏れを効率的に防止することができる。
図2は、図1のX1−X1線における断面図((a))、及びX2−X2線における断面図((b))を示す図面である。本発明の吸収性物品1の吸収体23は、凸型立体形状部分23cの前方域23a側の狭まった形状に沿うように、前方域23a側を下部とし、排尿域23b側を上部とするY字形状で、トップシートから吸収体に亘るチャネルエンボス25(凹状のエンボス)が設けられている。ここで、例えば尿取りパッド等、従来の大型の吸収性物品を股間部に密着させて着用者に装着させるためには、吸収性物品を縦方向にV字型やW字型に折り込んだり、左右に振りながら引っ張って股間に入れ込んだりしなければならず、介護者に装着させるための技術と慣れが必要となり、そのような技術や慣れがない状況では、股間部への密着性を良好にしたまま着用者に装着させられないという問題があった。図2にみられるように、チャネルエンボス25のY字形状の分岐点より前側の部分は、吸収体23に向かって谷を形成するようにエンボスが形成されており(図2(a))、この部分を谷として吸収性物品1を谷折りしやすい構造となっている。一方、チャネルエンボス25のY字形状の枝分かれ部分は、凸型立体形状部分23cの両側に、吸収体23に向かって谷を形成するようにエンボスが形成されており、チャネルエンボス25のY字形状の分岐点より前側のスリットを利用して、吸収性物品1を谷折りした場合には、分岐した2本のスリットに挟まれた凸型立体形状部分23cが、着用者側に対してより隆起した構造を取ることとなる。
吸収性物品1の製造方法は、周知の方法を採用することができ、例えば、(A)吸収性繊維を高吸収性ポリマーとともに積繊して吸収体マットを作成し、吸収体23を形成する工程、(B)トップシート21と立体ギャザー24をホットメルト系接着剤で固定・一体化する工程、(C)トップシート21、立体ギャザー24、及びバックシート22の内側にホットメルト系接着剤を塗工する工程、(D)集合ドラムにおいて、吸収体23の上部にトップシート21を、吸収体23の下部にバックシート22を配置し、各構成部材を固定・一体化する工程、(E)吸収性物品1の半製品をカッター装置により製品寸法でカットし、個々の吸収性物品1を切り離す工程、を有する製造方法等を挙げることができる。
次に、本発明の第二の実施形態について、図3を参照して詳細に説明する。なお、以下の第二の実施形態においては、第一の実施形態と重複する説明については省略することがある。
図3は、第二の実施形態に係る吸収性物品をトップシート側から見た展開図である。本発明において、吸収体23は、前方域23a、排尿域23b、後方域23dを有する。これらのうち、排尿域23bは周囲に比して盛り上がった凸型立体形状部分23cを有し、この凸型立体形状部分23cは、図3に示すように、前方域23a側の部位が、凸型立体形状部分23cの中央部に比して狭まった形状となっている。吸収性物品1において、吸収体23の排尿域23bが、周囲に比して盛り上がった凸型立体形状部分23cを有することにより、吸収体23と着用者の股間部との密着性が良好となり、体液の漏れを無くして、吸収性能に優れた吸収性物品1を提供することができる。凸型立体形状部分23cは、長手方向の長さが30mm以上であることが好ましく、40mm以上200mm以下であることがさらに好ましい。また、凸型立体形状部分23cは、短手方向の最大長さが15mm以上であることが好ましく、20mm以上80mm以下であることがさらに好ましい。凸型立体形状部分23cは、最高部の高さが2mm以上8mm以下であることが好ましく、3mm以上6mm以下であることがさらに好ましい。凸型立体形状部分23cの寸法を以上のようなものとすることにより、吸収性物品1の吸収体23と着用者の股間部との密着性をより良好なものとすることができ、体液の漏れを効率的に防止することができる。
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ20gと、高吸収性ポリマー8gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ540mm、幅260mmにカットし、トップシート側を凸型に成形した上層吸収体と、フラッフパルプ15gを高吸収性ポリマー6gとともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ540mm、幅180mmにカットした下層吸収体とを有する吸収体を用いて、長さ630mm、幅320mmの尿取りパッドを作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートとしては、エアスルー不織布(坪量22g/m2)を用い、バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量35g/m2)を用いると共に、トップシート、バックシート、吸収体を一体化する際に、加熱エンボス加工機を用いてY字形状のチャネルエンボスを形成した。得られた尿取りパッドの吸収速度、液戻り量を以下に従って測定・評価すると共に、モニターテストの官能評価により、装着のしやすさ、尿道口への密着度を評価し、無荷重下にて、株式会社ミツトヨ製のハイトゲージを使用することにより、凸型立体形状部分の高さを測定した。得られた結果を表1に示す。
外径80mmの円柱の中央に内径30mmの穴が開いており、重さ2kgとした測定冶具を、トップシートを上に向けた状態で、尿取りパッドの長手方向、かつ短手方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水150mlを投下し、生理食塩水が尿取りパッドに接触した時点から、測定治具中央円内の円周に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでを終点として時間を計測し、吸収速度とした。
吸収性物品の中央に生理食塩水900mlを注入し、10分経過後に、予め重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)を注入部の中心に置き、ろ紙の上に687gの錘を載せた(圧力;35gf/cm2)。錘を載せてから1分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=10サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量が少ないほど吸収性能に優れる。
21 トップシート
22 バックシート
23 吸収体
23a 前方域
23b 排尿域
23c 凸型立体形状部分
23d 後方域
231 上層吸収体
232 下層吸収体
24 立体ギャザー
24a 立体ギャザー用弾性部材
24b 立体ギャザーシート
25 チャネルエンボス
Y 長手方向
X 短手方向
Claims (5)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、その間に配置された吸収体と、を有し、長手方向の長さが480mm以上であり、短手方向の長さが190mm以上である吸収性物品であって、
前記吸収体は、前方域、排尿域、及び後方域を有し、
前記吸収体は、排尿域が周囲に比して盛り上がった凸型立体形状部分を有し、
前記凸型立体形状部分は、少なくとも前方域側が中央部に比して狭まった形状となっており、
前記凸型立体形状部分の前方域側の狭まった形状に沿うように、前方域側を下部とし、排尿域側を上部とするY字形状で、トップシートから吸収体に亘るチャネルエンボスが設けられている、吸収性物品。 - 前記吸収体の長手方向の長さが420mm以上であり、短手方向の長さが150mm以上である、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記凸型立体形状部分の長手方向の長さが30mm以上であり、短手方向の最大長さが15mm以上である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記トップシートから前記凸型立体形状部分の最高部の高さが2mm以上8mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
- 前記チャネルエンボスの、Y字形状の分岐点より前側の部分の長さが50mm以上であり、Y字形状の枝分かれ部分の長さが、長手方向に沿って、40mm以上である、請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
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