JP6753025B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
本明細書の説明において、吸収性物品1の着用時とは、吸収性物品1の装着時及び装着後の少なくとも一方をいう。吸収性物品1の長手方向とは、吸収性物品1が着用されたときに着用者の前後に亘る方向であり、図中、符号Yで示す方向である。また、吸収性物品1の幅方向とは、長手方向に対して横又は直交する方向であり、図中、符号Xで示す方向である。さらに、身体側表面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、衣類側表面とは、吸収体等の各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。体液とは、尿、血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。さらに、吸収性物品1の用途は、特に限定されるものではなく、一般には、幼児用又は成人用を問わず、テープ止めタイプの使い捨ておむつ、パンツタイプの使い捨ておむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド、生理用品等であってもよい。
トップシート21は、体液が吸収体へと移動するような液透過性を備えた基材から形成すればよく、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド/スパンボンドを積層した複合不織布等から形成される。また、トップシート21には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート21には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。さらに、強度及び加工性の点から、トップシート21を構成する不織布1枚あたりの坪量は、13g/m2以上50g/m2以下であることが好ましい。トップシート21の形状としては特に制限はないが、漏れがないように体液を吸収体へと誘導するために必要とされる、吸収体を覆う形状であればよい。
本発明の吸収性物品1においては、トップシート21を構成する不織布シートに、吸収性物品1の長手方向に沿って、不織布シートを貫通する直線状のスリット214が間欠的に設けられている。そして、上下に積層した少なくとも2枚の不織布シートのそれぞれに設けられたスリット214は、上下方向には重ならないようになっている。不織布シートにスリット214を設けることにより、トップシート21上に排泄された体液は、スリット214を介して吸収体に吸収されるので、体液の迅速な吸収が担保されて吸収速度が増大するとともに、不織布シートの内部に体液が残留することを防止することもできる。
バックシートは、吸収体が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成すればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、あるいは、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
吸収体は、基材としての吸収性繊維と、高吸収性ポリマー(SAP)と、を含有することが好ましい。吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプを使用することが好ましい。斯かるフラッフパルプとしては、木材パルプ、合成繊維、ポリマー繊維、非木材パルプ等を綿状に解繊したものを挙げることができる。吸収体の吸収性繊維は、吸収性能及び肌触りを損なわないよう、100g/m2以上800g/m2以下の坪量とすることが好ましい。
吸収性物品1の製造方法は、周知の方法を採用することができ、例えば、(A)吸収性繊維を高吸収性ポリマーとともに積繊して吸収体マットを作成し、吸収体を形成する工程、(B)トップシート21と立体ギャザーをホットメルト系接着剤で固定・一体化する工程、(C)トップシート21、立体ギャザー、及びバックシートの内側にホットメルト系接着剤を塗工する工程、(D)集合ドラムにおいて、吸収体の上部にトップシート21を、吸収体の下部にバックシートを配置し、各構成部材を固定・一体化する工程、(E)吸収性物品1の半製品をカッター装置により製品寸法でカットし、個々の吸収性物品1を切り離す工程、を有する製造方法等を挙げることができる。そして、本発明においてトップシート21を吸収体と積層するに先立って、任意のカッター等により、スリット214が形成された不織布シートを、所定の位置に積層して、トップシート21として用いればよい。
(吸収体の作製)
パルプシートを粉砕して解繊したフラッフパルプ6gと、高吸収性ポリマー7gとをともに積繊した吸収体マットを準備し、長さ330mm、幅105mmにカットした。この吸収体をトップシート及びバックシートとともに積層するとともに、1対の横漏れ防止用立体ギャザーを形成し、長さ400mm、幅320mmの吸収性物品を作製し、実施例1のサンプルとした。なお、トップシートを構成する不織布シートのうち、身体側最上層の不織布シート(エアスルー不織布)の坪量は、18g/m2であり、下層に位置する不織布シート(エアスルー不織布)の坪量は20g/m2であって、各不織布シートに長さ10mm、幅1mmのスリットを、各スリットの長手方向の間隔が15mmとなるように形成した。身体側最上層の不織布シートに形成したスリットの幅方向の間隔は10mm、下層に位置する不織布シートに形成したスリットと、身体側最上層に位置する不織布シートとの幅方向の離間距離は5mmとした。バックシートとしては、通気性ポリエチレンフィルム(坪量18g/m2)を用いた。得られた吸収性物品の吸収速度、液戻り量を以下に従って測定・評価した。
外径80mmの円柱の中央に内径30mmの穴が開いており、重さ2000gとした測定治具を、トップシートを上に向けた状態で、吸収性物品の長手方向、かつ幅方向の中央部の上に置き、上部の穴から生理食塩水40ml(温度36±3℃)を投下し、生理食塩水が吸収性物品に接触した時点から、測定治具中央円内の円周に生理食塩水が完全に吸い込まれるまでを終点として時間を計測し、吸収速度とした。吸収性物品に生理食塩水が完全に吸収された後、3分間放置して、同様の吸収試験を計3回繰り返した。
吸収性物品の中央に生理食塩水300ml(温度36±3℃)を注入し、10分経過後に、あらかじめ重量を測定したろ紙(ADVANTEC社製No.2ろ紙、直径55mm)10枚を注入部の中心に置き、ろ紙の上にアクリルプレートと錘を載せた(圧力;35gf/cm2)。錘を載せてから10分経過後に、ろ紙の重量を測り、試験前後のろ紙の重量差(g)を液戻り量とした。液戻り量は、N=10サンプルについて行ったものの平均値とした。液戻り量が少ないほど吸収性能に優れる。
○:吸収速度が速く、逆戻り量が少ない
△:吸収速度が遅く、逆戻り量が多い
身体側最上層の不織布シートと下層に位置する不織布シートに長さ20mm、幅1mmのスリットを、各スリットの長手方向の間隔が25mmとなるように形成し、身体側最上層の不織布シートに形成したスリットの幅方向の間隔を20mm、下層に位置する不織布シートに形成したスリットと、身体側最上層に位置する不織布シートとの幅方向の離間距離を10mmとした点以外は、実施例1と同様に吸収性物品を作製した。
身体側最上層の不織布シートにスリットを形成せず、下層に位置する不織布シートに形成したスリットの幅方向の離間距離を20mmとした点以外は、実施例1と同様に吸収性物品を作製した。
トップシートにスリットを一切設けなかった点以外は、実施例1と同様に吸収性物品を作製した。
21 トップシート
212 身体側最上層の不織布シート
213 下層に位置する不織布シート
214 スリット
Y 長手方向
X 幅方向
Claims (7)
- 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された吸収体と、を有する吸収性物品であって、
前記トップシートは、少なくとも2枚の液透過性の不織布シートから構成され、
前記各不織布シートには、前記吸収性物品の長手方向に沿って、前記不織布シートを貫通する複数の直線状のスリットが間欠部によって間欠的に隔てられ、
上下に積層した前記不織布シートのそれぞれに設けられた前記スリットは、上下方向に全く重なっておらず、前記各スリットの位置は上下方向にズレて設定されており、前記各スリットは引き伸ばされず、楕円形状にされず、直線状のスリットの形状で用いられ、
前記スリットの前記間欠部は、前記トップシートの幅方向に直線的に並んでいる、吸収性物品。 - 積層した前記不織布シートのうち、身体側最上層の不織布シートのスリットは、長さが5mm以上30mm以下であり、長手方向に隣接するスリットが5mm以上50mm以下の間隔で離間している、請求項1に記載の吸収性物品。
- 積層した前記不織布シートのうち、下層に位置する不織布シートのスリットは、長さが5mm以上30mm以下であり、長手方向に隣接するスリットが5mm以上50mm以下の間隔で離間しており、
少なくとも2枚の前記不織布シートを積層した状態において、身体側最上層の不織布シートのスリットと、下層に位置する不織布シートのスリットとは、幅方向に2mm以上15mm以下離間している、請求項1又は2に記載の吸収性物品。 - 積層した前記不織布シートに設けられるスリットの幅は、0.5mm以上2.5mm以下である、請求項1から3のいずれかに記載の吸収性物品。
- 積層した前記不織布シートのうち、下層に位置する不織布シートの坪量が、18g/m2以上40g/m2以下であり、身体側最上層に位置する不織布シートの坪量が、13g/m2以上30g/m2以下である、請求項1から4のいずれかに記載の吸収性物品。
- 積層した前記不織布シートのうち、下層に位置する不織布シートの坪量が、身体側最上層の不織布シートの坪量よりも高い、請求項1から5のいずれかに記載の吸収性物品。
- トップシートを構成する不織布シートが、エアスルー不織布である、請求項1から6のいずれかに記載の吸収性物品。
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