JP2007092252A - 研磨布 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨加工時の変形を抑制することができ、研磨速度の低下を抑制し寿命を向上させることができる研磨布を提供する。
【解決手段】研磨クロスは、ポリエステル繊維12が樹脂層8で被覆された繊維10によりシート状に形成された不織布を有している。樹脂層8は、ポリエステル繊維12の表面を被覆し架橋された架橋ポリウレタン樹脂層8aと、架橋ポリウレタン樹脂層8aを被覆するウレタン樹脂層8bとを有している。架橋ポリウレタン樹脂層8aは、湿式凝固されたポリウレタン樹脂が多価イソシアネート化合物で架橋されている。ウレタン樹脂層8bは、イソシアネート末端ウレタンプレポリマが3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンで架橋されている。研磨加工時に、摩擦等で発熱しても、架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとがいずれも軟化しない。
【選択図】図2

Description

本発明は研磨布に係り、特に、樹脂層で被覆された繊維によりシート状に形成された繊維集合体を有する研磨布に関する。
従来、レンズ、平行平面板、反射ミラー等の光学材料、ハードディスク用基板、半導体用シリコンウエハ、液晶用ガラス等、高精度に平坦性が要求される材料の平坦加工には、研磨布が用いられている。例えば、シリコンウエハ等の精密研磨加工に用いられる研磨布としては、不織布やフェルト等のシート状に形成された繊維集合体が知られている。不織布等では、繊維が交絡されており、繊維間に空隙が形成されるため、この空隙に研磨液を貯留させつつ研磨加工が行われる。しかしながら、このタイプの研磨布は柔軟性を有することから、変形しやすいため、被研磨物の周縁部が中央部より研磨加工されるロールオフが生じやすく平坦性が低下する。ロールオフの発生を回避するには、研磨布の変形を抑制することが必要であるが、変形を抑制するために研磨速度を小さくすると研磨効率が低下する、という問題が生じる。このため、不織布等を樹脂溶液に含浸後乾燥させることで変形を抑制した研磨布が用いられている。
ところが、樹脂溶液に含浸しても不織布等を形成する繊維に付着する樹脂量が不十分なときは、不織布等の変形に対する抑制効果が不十分なため、ロールオフ等の問題が解決されない。これを解決するために、1回〜数回に分けて不織布等を樹脂溶液に含浸する技術が知られている。例えば、熱可塑性ポリウレタン樹脂に含浸させるとともに、それより硬質な熱硬化性樹脂の薄膜で被覆・補強した不織布タイプの研磨布が開示されている(特許文献1参照)。
特公平7−4769号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、熱硬化性樹脂の薄膜で補強されているものの、不織布の繊維と熱硬化性樹脂との間に熱可塑性ポリウレタン樹脂が介在しているため、研磨加工時の摩擦や化学反応等に伴う発熱により熱可塑性ポリウレタン樹脂が軟化することがある。この結果、研磨布が変形し、繊維間の空隙が塞がれてしまうため、研磨加工時に研磨液を貯留することができず研磨速度が低下し研磨布の寿命を低下させる。また、研磨加工時には、研磨布自体の摩耗により熱硬化性樹脂が削られるため、軟化した熱可塑性ポリウレタン樹脂が研磨液中に流れ出し繊維間の空隙を塞いでしまう、という問題もある。
本発明は上記事案に鑑み、研磨加工時の変形を抑制することができ、研磨速度の低下を抑制し寿命を向上させることができる研磨布を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、樹脂層で被覆された繊維によりシート状に形成された繊維集合体を有する研磨布において、前記樹脂層は、前記繊維の表面を被覆し架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、該第1の熱硬化性樹脂層を被覆した第2の熱硬化性樹脂層とを有していることを特徴とする。
本発明では、樹脂層が、繊維集合体を形成する繊維の表面を被覆し架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、該第1の熱硬化性樹脂層を被覆した第2の熱硬化性樹脂層とを有しているため、研磨加工時に摩擦や化学反応で発熱しても、架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、第2の熱硬化性樹脂層とがいずれも軟化せず繊維集合体の変形が抑制されて繊維間の空隙が維持されるので、繊維間の空隙に研磨液を貯留させつつ研磨加工することで、研磨速度の低下を抑制し寿命を向上させることができる。
この場合において、第1の熱硬化性樹脂層が、ジイソシアネート化合物と、分子内に2個以上の活性水素を有する活性水素化合物と、ジイソシアネート化合物及び活性水素化合物の反応生成物を架橋するための第1の架橋剤とを有してもよい。このとき、第1の架橋剤を、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物としてもよい。また、活性水素化合物が分子内に少なくとも水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のうち2つ以上を有することが好ましい。このような第1の熱硬化性樹脂層は、湿式凝固されたポリウレタン樹脂を、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物で架橋してもよい。また、第2の熱硬化性樹脂層が、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物と、該多価イソシアネート化合物を架橋するための第2の架橋剤とを有してもよい。このとき、第2の架橋剤を有機ジアミン化合物としてもよい。この有機ジアミン化合物が3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンであることが好ましい。また、繊維集合体の密度が0.34g/cm〜0.51g/cmであることが好ましい。
本発明によれば、樹脂層が、繊維集合体を形成する繊維の表面を被覆し架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、該第1の熱硬化性樹脂層を被覆した第2の熱硬化性樹脂層とを有しているため、研磨加工時に摩擦や化学反応で発熱しても、架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、第2の熱硬化性樹脂層とがいずれも軟化せず繊維集合体の変形が抑制されて繊維間の空隙が維持されるので、研磨速度の低下を抑制し寿命を向上させることができる、という効果を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明に係る研磨布の実施の形態について説明する。
(研磨布)
図1に示すように、本実施形態の研磨布(以下、研磨クロスという。)1は、樹脂層で被覆された繊維によりシート状に形成された繊維集合体としての不織布2を有している。不織布2は、繊維を交絡することで立体網目状に形成されており、繊維間には空隙が形成されている。
図2に示すように、不織布2を形成する繊維10は、原料繊維のポリエステル繊維12が樹脂層8で被覆されている。ポリエステル繊維12は、本例では、繊度2.5d(デニール)、繊維長51mmに設定されている。樹脂層8は、ポリエステル繊維12の表面を被覆し架橋された第1の熱硬化性樹脂層としての架橋ポリウレタン樹脂層8aと、架橋ポリウレタン樹脂層8aの表面を被覆する第2の熱硬化性樹脂層としてのウレタン樹脂層8bとを有している。
架橋ポリウレタン樹脂層8aは、湿式凝固されたポリウレタン樹脂が、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物(第1の架橋剤)で架橋されている。ポリウレタン樹脂には、100%モジュラス(2倍長に引っ張る時の張力)が20MPa以下のポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の樹脂が用いられている。一方、ウレタン樹脂層8bは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物のイソシアネート末端ウレタンプレポリマが、有機ジアミン化合物(第2の架橋剤)の3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(以下、MOCAと略記する。)で架橋されている。
図1に示すように、不織布2の被研磨物を研磨するための研磨面Pの背面には、粘着部材の両面テープ3が貼り合わされている。両面テープ3は、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムの基材4の両面に粘着剤5が塗着されている。研磨クロス1は、両面テープ3の不織布2と反対面が研磨機の研磨定盤に装着される。
(研磨クロスの製造)
研磨クロス1は、図3に示す各工程を経て製造される。まず、一次含浸工程では、ポリエステル繊維12により形成された不織布基材を、ポリウレタン樹脂と架橋剤とを含む樹脂溶液に浸漬した後、1対のローラ間を加圧可能なマングルローラを用いて過剰な樹脂溶液を絞り落とし、不織布基材に樹脂溶液を均一に含浸させる。
不織布基材としては、本例では、ポリエステル繊維12で形成されたニードルパンチ不織布が使用されている。不織布基材の厚さは、1.5mm未満では樹脂溶液に含浸後の乾燥時に不織布基材の厚さ方向で樹脂の移動(樹脂マイグレーション)が発生し樹脂の被覆厚さが偏りやすく、5.0mmを超えると不織布基材の内部まで樹脂溶液が浸透できなくなるので、1.5〜5.0mmの範囲とすることが好ましい。また、不織布基材の密度は、0.1g/cm未満では樹脂溶液に含浸しても樹脂が原料繊維間の空隙を通じて流出し原料繊維に付着しにくく、0.2g/cmを超えると樹脂の付着量が大きくなり繊維間の空隙を塞いでしまうので、0.1〜0.2g/cmの範囲とすることが好ましい。発明者らの検討結果によれば、理想的な不織布基材の密度は0.144g/cm程度である。
樹脂溶液は、ポリウレタン樹脂と、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)と、多価イソシアネート化合物とを混合してポリウレタン樹脂を溶解させる。このとき、ポリウレタン樹脂の固形分濃度(樹脂換算濃度)が、例えば、19%となるように調製する。ポリウレタン樹脂としては、本例では、100%モジュラス9MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂が用いられている。
一次含浸工程の樹脂溶液に添加することができる多価イソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基が2つのジイソシアネート化合物、イソシアネート基が3つのトリイソシアネート化合物、イソシアネート基が4つのテトライソシアネート化合物等を挙げることができる。ジイソシアネート化合物としては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソチオシアネート、キシリレン−1,4−ジイソチオシアネート、エチリジンジイソチオシアネート等を挙げることができる。トリイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタン−トリイソシアネート等を挙げることができる。テトライソシアネート化合物としては、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等を挙げることができる。また、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとプレンツカテコールとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、イソシアヌル酸とヘキサメチレンジイソシアネートとの付加物等のようにイソシアネート化合物をプレポリマ化した多価イソシアネートプレポリマを使用することもできる。これらの多価イソシアネート化合物や多価イソシアネートプレポリマの二種以上を併用してもよい。
凝固再生工程では、一次含浸後の不織布をポリウレタン樹脂に対して貧溶媒である水を主成分とする水系凝固液に常温で浸漬することでポリウレタン樹脂を凝固再生させる。凝固液中では、ポリエステル繊維12に付着している樹脂溶液の表面で樹脂溶液のDMFと凝固液との置換の進行によりポリウレタン樹脂がポリエステル繊維12の表面に凝固再生される。凝固再生を常温で行うことで、樹脂溶液に含有された多価イソシアネートによる架橋反応の進行が抑制される。
洗浄・乾燥工程では、表面にポリウレタン樹脂が凝固再生された不織布基材を水等の洗浄液中で洗浄し不織布基材中に残存するDMF等を除去する。洗浄後、不織布基材を洗浄液から引き上げ、マングルローラで余分な洗浄液を絞り落とす。その後、不織布基材を、例えば、約120°Cの乾燥機中で乾燥させる。
熱処理工程では、乾燥後の不織布基材を、例えば、約105°Cに設定された加熱機中でおよそ16時間加熱する。この加熱処理により、凝固再生したポリウレタン樹脂の分子間に、樹脂溶液に含有された多価イソシアネート化合物で架橋結合が形成される。ポリエステル繊維12の表面には、架橋されたポリウレタン樹脂による架橋ポリウレタン樹脂層8aが形成される。
バフ処理工程では、熱処理後の不織布基材の両面側にバフ処理が施される。樹脂溶液に含浸した後、ポリウレタン樹脂を湿式凝固させた不織布基材では、両面側の樹脂量が多く、繊維間の空隙が狭められているため、両面側にバフ処理を施すことで、空隙が狭められた部分を除去する。
架橋ポリウレタン樹脂層8aの形成後バフ処理された不織布(以下、不織布中間体という。)の密度は、0.22g/cm未満では二次含浸工程で樹脂マイグレーションが発生しやすく樹脂が付着しにくくなり、0.32g/cmを超えると二次含浸工程で樹脂が付着することで繊維間の空隙が塞がれてしまい研磨加工時に研磨液等の目詰まりが生じやすくなるので、0.22〜0.32g/cmの範囲に設定することが好ましい。発明者らの検討結果によれば、不織布中間体の理想的な密度は0.252g/cm程度と考えられる。この密度を得るには、一次含浸での樹脂付着量を75%程度に設定することが好ましい。一次含浸する前の不織布基材の密度が0.1〜0.2g/cmの範囲であることから、架橋ポリウレタン樹脂層8aの密度は、0.02〜0.22g/cmの範囲となる。
二次含浸工程では、不織布中間体を、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物と、有機ジアミン化合物の架橋剤とを含む樹脂溶液に常温で浸漬した後、一次含浸工程と同様にマングルローラを用いて過剰な樹脂溶液を絞り落とし、不織布に樹脂溶液を均一に含浸させる。二次含浸を常温で行うことで、樹脂溶液に含有された有機ジアミン化合物による架橋反応の進行が抑制される。
二次含浸工程の樹脂溶液に使用可能な多価イソシアネート化合物としては、分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物(ポリオール成分)と、分子内に2つのイソシアネート基を有する化合物(イソシアネート成分)とを反応させることで生成したDMF等の有機溶媒に可溶性のイソシアネート末端ウレタンプレポリマが用いられている。ポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させるときに、イソシアネート成分のイソシアネート基のモル量をポリオール成分の水酸基のモル量より大きくすることで、イソシアネート末端ウレタンプレポリマを得ることができる。本例では、ポリオール成分のポリテトラメチレングリコールと、イソシアネート成分の2,4−トリレンジイソシアネートとを反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマが使用されている。
イソシアネート末端ウレタンプレポリマの生成に用いられるポリオール成分としては、低分子量のジオール化合物(低分子ジオール)及び高分子量のジオール化合物(高分子ジオール)のいずれも使用することができる。低分子ジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール等を挙げることができる。高分子ジオールとしては、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール化合物(Polyetherpolyol)、エチレングリコールとアジピン酸との反応物(EG−AA)やブチレングリコールとアジピン酸との反応物(BG−AA)等のポリエステルポリオール化合物(Polyesterpolyol)、ポリカーボネートポリオール化合物(Polycarbonatepolyol)、ポリカプロラクトンポリオール化合物(Polycaprolactonepolyol)等を挙げることができる。一方、イソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−Tolylene diisocyanate)、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−Diphenylmethane diisocyanate)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−Hexamethylene diisocyanate)等を挙げることができる。
二次含浸工程の樹脂溶液に使用可能な有機ジアミン化合物の架橋剤としては、脂肪族又は芳香族のジアミン化合物を挙げることができ、本例では、MOCAが用いられている。なお、本例では、不織布の強度を向上させるために、樹脂溶液にジイソシアネート化合物のジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネートが更に添加されている。
乾燥工程では、二次含浸工程後の不織布中間体を、例えば、約120°Cの乾燥機中で乾燥させる。キュアリング工程では、乾燥後の不織布中間体を、例えば、約105°Cに設定された加熱機中でおよそ24時間加熱する。この加熱処理により、イソシアネート末端ウレタンプレポリマの分子間に、樹脂溶液に含有されたMOCAで架橋結合が形成され、架橋ポリウレタン樹脂層8aの表面に、架橋されたウレタンプレポリマによるウレタン樹脂層8bが形成される。キュアリング後の不織布中間体の研磨面P側にバフ処理を施すことで、二次含浸に用いた樹脂で繊維間の空隙が狭められた部分を除去し不織布2を得る。
二次含浸によりウレタン樹脂層8bが形成された不織布2の密度は、0.34g/cm未満では樹脂層8の全体の樹脂量が少なく研磨布での強度が不足し、0.51g/cmを超えると繊維10間の空隙が塞がれてしまい研磨加工時に研磨液を貯留することができなくなるので、0.34〜0.51g/cmの範囲に設定することが好ましい。不織布2の密度をこの範囲に設定するためには、樹脂付着量を30〜80%に調整することが好ましい。発明者らの検討結果によれば、二次含浸後の不織布の理想的な密度は0.360g/cm程度と考えられる。この密度を得るには、二次含浸での樹脂付着量を43%程度に設定することが好ましい。二次含浸する前の不織布、すなわち、不織布中間体の密度が0.22〜0.32g/cmの範囲であることから、ウレタン樹脂層8bの密度は、0.02〜0.29g/cmの範囲となる。
一次含浸、二次含浸でポリエステル繊維12が樹脂層8で被覆された不織布2の研磨面Pの背面に、基材4の両面に粘着剤5が塗着された両面テープ3の一面を貼り合わせる。両面テープ3の他面側には剥離紙が貼り合わされている。基材4には、PET等の可撓性フィルムを使用することができ、使用可能な粘着剤5としては、例えば、アクリル系粘着剤等を挙げることができる。その後、円形等の所望の形状、サイズに裁断した後、汚れや異物等の付着がないことを確認する等の検査を行い研磨クロス1を完成させる。
被研磨物の研磨加工を行うときは、研磨機の研磨定盤に研磨クロス1を両面テープ3の剥離紙を剥離して貼着する。研磨加工時には、被研磨物及び研磨面P間に研磨粒子を含む研磨液を供給すると共に、被研磨物及び研磨面P間を加圧しながら研磨定盤を回転させることで、被研磨物の表面を研磨加工する。
(作用等)
次に、本実施形態の研磨クロス1の作用等について説明する。
従来知られている不織布やフェルト等のシート状に形成された繊維集合体を有する研磨布では、柔軟で変形しやすいため、被研磨物の周縁部が中央部より大きく研磨加工されるロールオフが生じやすく平坦性が低下する。ロールオフの発生を回避するには、研磨布の変形を抑制することが必要であるが、変形を抑制するために研磨速度を小さくすると研磨効率が低下する、という問題が生じる。また、変形を抑制するために、不織布を樹脂溶液に含浸後乾燥させた研磨布が用いられているが、繊維に付着する樹脂量が不十分なときは、不織布の変形を十分に抑制することができない。更に、不織布を熱可塑性樹脂に一度含浸させた後、熱硬化性樹脂に含浸して付着樹脂量を増加させ不織布を補強した研磨布が用いられている。このような不織布では、不織布の原料繊維と熱硬化性樹脂との間に介在する熱可塑性ポリウレタン樹脂が、研磨加工時の摩擦や化学反応等に伴う発熱により軟化することがある。この結果、研磨布が変形し、繊維間の空隙が塞がれてしまうため、研磨加工時に研磨液を貯留することができなくなり研磨速度が低下すると共に、研磨布の寿命も低下する。また、研磨加工時には、研磨布自体の摩耗により研磨面で繊維を被覆する熱硬化性樹脂が削られるため、軟化した熱可塑性ポリウレタン樹脂が研磨液中に流れ出し繊維間の空隙を塞いでしまう、という問題もある。本実施形態は、これらの問題を解決することができる研磨布である。
本実施形態の研磨クロス1では、ポリエステル繊維12の表面を被覆する樹脂層8が、湿式凝固されたポリウレタン樹脂が架橋された架橋ポリウレタン樹脂層8aと、この架橋ポリウレタン樹脂層8aを被覆しイソシアネート末端ウレタンプレポリマが架橋されたウレタン樹脂層8bとを有している。このため、研磨加工時に、研磨布クロス1及び被研磨物間の摩擦や研磨液と被研磨物との化学反応等により発熱しても、架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとがいずれも軟化しないので、不織布2の変形を抑制することができる。これにより、樹脂層8で被覆された繊維10間の空隙が維持される(不織布の空隙構造が変化しにくい)ので、この空隙に研磨液を貯留させつつ研磨加工することで、研磨速度の低下を抑制し研磨布の寿命を向上させることができる。
また、本実施形態の研磨クロス1では、架橋ポリウレタン樹脂層8a、ウレタン樹脂層8bがいずれも架橋されている。このため、研磨加工時に不織布2の研磨面Pが摩耗しても樹脂層8を構成する樹脂が研磨液中に流れ出さず不織布2の空隙を塞ぐことがない(目詰まりしない)ので、研磨加工を安定して継続することができる。更に、樹脂層8の架橋により耐薬品性が向上するため、例えば、アルカリ性の研磨液等を使用しても安定な研磨加工を行うことができる。
更に、本実施形態の研磨クロス1では、不織布2の密度が0.34〜0.51g/cmの範囲に調整されている。研磨クロス1の製造に用いた(樹脂層8の形成前)の不織布基材の密度が0.1〜0.2g/cmの範囲であることから、不織布2では樹脂層8の密度が0.14〜0.41g/cmの範囲となる。このため、樹脂層8により不織布2の強度が増大するので、研磨加工時に被研磨物の加工面及び研磨クロス1の研磨面P間を略均等に加圧することができる。これにより、被研磨物のロールオフの発生を抑制し平坦性を向上させることができる。
なお、本実施形態の研磨クロス1では、ポリウレタン樹脂に100%モジュラス9MPaのポリエステル系ポリウレタン樹脂を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ポリエーテル系やポリカーボネート系のポリウレタンを用いてもよく、また、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物と、分子内に2つ以上の活性水素を有する活性水素化合物とを反応させることで、DMF等の有機溶剤に可溶な中間のポリマ(ウレタンプレポリマ)を生成するようにしてもよい。このジイソシアネート化合物としては、上述した一次含浸工程の多価イソシアネート化合物として例示したm−フェニレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を用いることができる。一方、活性水素化合物は、分子内に、少なくとも水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のうち2つ以上を有する化合物であればよい。このようにすれば、イソシアネート基が活性水素と容易に反応しウレタンプレポリマを生成することができる。水酸基を2つ以上有する化合物としては、二次含浸工程イソシアネート末端ウレタンプレポリマの生成に用いるポリオール成分として例示した化合物を用いることができる。また、ジカルボン酸やジアミンでもよく、分子内にカルボキシル基とアミノ基とを有する化合物、分子内に水酸基とカルボキシル基を有する化合物、分子内に水酸基とアミノ基とを有する化合物を用いてもよい。ジイソシアネート化合物と、活性水素化合物とを反応させるときに、活性水素化合物の活性水素のモル量をジイソシアネート化合物のイソシアネート基のモル量より大きくすることで、活性水素末端のウレタンプレポリマを得ることができる。
また、本実施形態の研磨クロス1では、一次含浸工程で多価イソシアネート化合物にジイソシアネート化合物、トリイソシアネート化合物、テトライソシアネート化合物等を例示したが本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、一次含浸工程で例示した多価イソシアネート化合物の1種以上と、活性水素を有する化合物であるブロック化剤の1種以上とを反応して得られるブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。このブロックイソネート化合物は、加熱処理を施すことによりブロック化剤が解離し、イソシアネート基を再生するため、活性水素末端のウレタンプレポリマと反応することができる。
ブロックイソシアネート化合物に用いられる多価イソシアネート化合物としては、一般に公知のイソシアネート類であれば、いずれも使用できるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するに止めれば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジベンジルジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、p−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートモノマ類、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族トリイソシアネートモノマ類、水添トリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートモノマ類、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネートモノマ類等を挙げることができる。また、これらの単独又は2種以上から構成される多価イソシアネート化合物を単独又は2種以上を併用してもよい。
更に、これらのジイソシアネートモノマ類による3官能以上のポリイソシアヌレート型多価イソシアネート又はビューレット型多価イソシアネート等の各種の変性多価イソシアネート類を用いることもできる。また更に、ジイソシアネートモノマ類や変性多価イソシアネート類の1種以上と、多価アルコール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ラクトン変性ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アルキドポリオール、ポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィンポリオール、エポキシ変性ポリオール、シリコンポリオール、フッ素ポリオール等のポリヒドロキシ化合物の1種以上とをウレタン化反応させて得られる末端イソシアネート基を有するウレタン変性多価イソシアネートプレポリマ類等でもよく、これらの単独又は2種以上を併用してもよい。
このような多価イソシアネート化合物の選択にあたり、加熱黄変性や機械的物性等を考慮した場合には、原料ジイソシアネートモノマ類としては、脂肪族モノマ類及び/又は脂環式モノマ類が好ましい。また、多価イソシアネート化合物の取り扱い上の安全性や、毒性を考慮した場合には、ウレタン変性多価イソシアネートプレポリマ類が好ましい。
一方、多価イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロックするブロック化剤としては、一般に公知の活性水素を有する化合物であれば、いずれも使用できるが、それらのうちで特に代表的なもののみを例示するに止めれば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトオキシム等のケトオキシム類、フェノール、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチル等であり、これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。ブロック化剤の解離性や、得られる樹脂層8の着色を考慮した場合には、ブロック化剤としてはメチルエチルケトオキシムやε−カプロラクタムが特に好ましい。
また、本実施形態の研磨クロス1では、二次含浸工程の多価イソシアネート化合物に、ポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。イソシアネート末端ウレタンプレポリマとしては、二次含浸工程で用いるDMF等の有機溶媒に可溶性であればよく、主鎖構造についても制限されない。また、架橋剤の有機ジアミン化合物にMOCAを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分子内に2つのアミノ基を有する化合物であれば、二次含浸工程の架橋剤に用いることができる。
更に、本実施形態の研磨クロス1では、架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとに異なる樹脂を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一次含浸工程で、ジイソシアネート化合物と、分子内に2つ以上のアミノ基を有するジアミン化合物(活性水素化合物)を反応させることでアミノ基末端のウレタンプレポリマを生成し、多価イソシアネート化合物で架橋するようにすれば、架橋ポリウレタン樹脂層8aとウレタン樹脂層8bとを同じ構造の樹脂で形成することができる。本実施形態の二次含浸で用いた架橋剤のMOCAで架橋すると、架橋に伴う樹脂の収縮が大きくなり、不織布の引裂強度が低下するため、一次含浸工程でMOCAを使用しないことが好ましい。
また更に、本実施形態の研磨クロス1では、不織布にポリエステル繊維12で形成されたニードルパンチ不織布を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。不織布の原料繊維としては、例えば、ナイロン繊維等のポリアミド繊維やアクリル繊維等の樹脂繊維を用いてもよく、綿、麻等の天然繊維を用いてもよい。製造工程中でDMF等の有機溶剤や水等の洗浄液を吸収することによる繊維の膨潤を防止することや繊維の量産性を考慮すれば、樹脂繊維を用いることが好ましい。また、ニードルパンチ不織布以外に水流交絡による不織布等を用いてもよい。厚さ1.5〜5.0mmの範囲の不織布が好ましいことを考慮すれば、ニードルパンチ不織布を用いることが好適である。
更にまた、本実施形態の研磨クロス1では、不織布2と両面テープ3とを貼り合わせた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、不織布2と両面テープ3との間にポリエステル等のポリオレフィン製の基材を介在させてもよい。このようにすれば、不織布2が基材により支持されるので、研磨クロス1の搬送時や、研磨クロス1を研磨定盤に貼付するときの取り扱いを容易にすることができる。また、不織布に粘着剤5のみを塗布し、剥離紙を貼り合わせるようにしてもよい。このようにすれば、両面テープ3のコスト分を削減することができる。
次に、本実施形態に従い製造した研磨クロス1の実施例について説明する。なお、比較のために製造した比較例の研磨クロスについても併記する。
(実施例1)
下表1に示すように、実施例1では、不織布基材に、繊度2.5dのポリエステル繊維で形成された厚さ3.0mm、密度0.138g/cm、目付(単位面積あたり重量)414g/cmのニードルパンチ不織布を用いた。一次含浸工程では、100%モジュラスが9MPaの熱可塑性ポリウレタン(ポリウレタン純分35%のDMF溶液)と、架橋剤の3官能末端イソシアネート化合物(大日本インキ株式会社製、商品名:バーノックDN−950)(架橋剤純分75%の酢酸エチル溶液)とを溶解した樹脂溶液を用いた。樹脂溶液は、下表2に示すように、ポリウレタン樹脂の490重量部に対して、架橋剤のDN−950の25重量部、有機溶剤のDMFの485重量部を配合した。この樹脂溶液のポリウレタン樹脂固形分濃度は、樹脂分換算で19%である。樹脂溶液にニードルパンチ不織布を、不織布(ウェブ)に対する樹脂の含浸量が115%となるように含浸させ、乾燥後、105°Cで16時間熱処理した。一次含浸後のニードルパンチ不織布の両面をバフ処理し、不織布中間体を得た。二次含浸工程では、下表1に示すように、イソシアネート末端ウレタンプレポリマと、架橋剤のMOCAとを溶解した樹脂溶液を用いた。樹脂溶液は、下表3に示すように、プレポリマの426重量部に対して、架橋剤のMOCAの74重量部、有機溶媒のDMFの150重量部、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記する。表3においても同じ。)の350重量部を配合した。この樹脂溶液のウレタン樹脂固形分は、樹脂分換算で50%である。樹脂溶液に不織布中間体を、樹脂の含浸量が67%となるように含浸させ、乾燥後、105°Cで24時間キュアリングした。
Figure 2007092252
Figure 2007092252
Figure 2007092252
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、実施例1と同様のニードルパンチ不織布を用いた。一次含浸工程での樹脂溶液の配合は、表2に示すように、架橋剤を用いずに、ポリウレタン樹脂の543重量部に対してDMFを457重量部とした。樹脂溶液にニードルパンチ不織布を樹脂の含浸量が109%となるように含浸させ、乾燥後、熱処理せずに一次含浸後のニードルパンチ不織布の両面をバフ処理し、不織布中間体を得た。二次含浸工程では、表3に示すように、実施例1と同様に調製した樹脂溶液を用いた。表1に示すように、樹脂溶液に不織布中間体を、樹脂の含浸量が65%となるように含浸させ、乾燥後、105°Cで24時間キュアリングした。従って、比較例1では、不織布を形成する原料繊維と、二次含浸による熱硬化性樹脂との間に、一次含浸による架橋されていない熱可塑性樹脂が介在している。
(試験・評価)
(物性)
実施例1及び比較例1で得られた不織布中間体と、二次含浸後のニードルパンチ不織布について、厚さ、密度、A硬度、圧縮率をそれぞれ測定した。厚さ及び密度は、日本工業規格(JIS K 6550)に従い測定した。すなわち、厚さは、ダイヤルゲージ(最小目盛り0.01mm)を使用し加重100g/cmをかけて測定した。また、密度は、単位面積あたりの重量を測定し、厚さの測定結果を用いて算出した。A硬度は、日本工業規格(JIS K 6253)に従い、バネを介して試験片表面へ押し付けられた押針の押し込み深さから求めた。圧縮率は、日本工業規格(JIS L 1021)に従い、圧縮時の厚み減少分を測定し、圧縮前の厚さに対する圧縮時の厚み減少分の百分率を算出した。厚さ、密度、A硬度、圧縮率の測定結果を下表4に示す。
Figure 2007092252
表4に示すように、比較例1では、不織布中間体について、厚さ1.80mm、密度0.288g/cmとなり、A硬度が55、圧縮率9.5%であった。これに対して、実施例1では、不織布中間体について、厚さ1.73mm、密度0.297g/cmを示しており、比較例1との差は大きくないものの、A硬度が70、圧縮率5.4%を示しており、比較例1より硬度が高く、圧縮による変形が小さくなっていることが明らかとなった。また、二次含浸後の不織布では、比較例1が、厚さ1.31mm、密度0.497g/cmとなり、A硬度が75、圧縮率6.5%であった。これに対して、実施例1では、厚さ1.31mm、密度0.497g/cmを示しており、比較例1と同じ密度にもかかわらず、A硬度が81、圧縮率5.6%を示しており、比較例1より硬度が高く、圧縮による変形が小さくなっていることが明らかとなった。
(温度に対する硬度変化)
実施例1及び比較例1の不織布について、20、30、40、50、60、70°Cの各温度環境下でそれぞれ1時間放置後のA硬度を測定した。温度に対するA硬度の変化を図4に示し、図4のグラフ作製に用いたA硬度の測定値を下表5に示す。また、ブランクのA硬度の測定値を100としたときの温度に対する相対硬度の変化を図5に示し、図5のグラフ作製に用いた相対硬度の数値を下表6に示す。なお、ブランクのA硬度の測定値は、表4の測定値を示している。
Figure 2007092252
Figure 2007092252
図4、図5、表5、表6に示すように、比較例1では、温度が高くなるにつれてA硬度、相対硬度が大きく低下している。これに対して、実施例1では、温度上昇に伴う硬度低下が抑制されていることが明らかとなった。このことから、架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとがいずれも架橋された実施例1の不織布では、原料繊維と熱硬化性樹脂層との間に熱可塑性樹脂が介在している比較例1の不織布と比較して、熱に対する安定性に優れていることが判明した。従って、研磨加工時に摩擦等で発熱しても、研磨クロスの変形を抑制することができる。
(DMF(溶剤)に対する安定性)
実施例1及び比較例1の研磨クロスについて、有機溶剤のDMFに浸漬して1時間放置したときの研磨クロスの重量変化を測定し、研磨クロス重量を100としたときの重量の減少割合を溶出率として求めた。すなわち、重量減少分はDMF中に溶出した樹脂分に相当する。溶出率の測定結果を下表7に示す。
Figure 2007092252
表7に示すように、比較例1の溶出率が27.30%であったのに対し、実施例1では溶出率が3.30%を示した。このことは、実施例1では、架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとがいずれも架橋されているため、溶剤中でも樹脂の溶出が抑制され安定していることが明らかとなった。
(研磨加工時の安定性)
実施例1及び比較例1の研磨クロスのそれぞれ1枚について、以下の条件で研磨加工を10回繰り返し、各回の研磨レートを測定した。研磨レートは、研磨効率を示す数値の一つであり、一分間当たりの研磨量を厚さで表したものである。研磨加工前後の被研磨物の重量減少を測定し、被研磨物の研磨面積及び比重から計算により算出した。各回の研磨レートの変化を図6に示し、図6のグラフ作製に用いた研磨レートの測定結果を下表8に示す。
使用研磨機:不二越株式会社製、MCP−150X
回転数:(定盤)100r/m、(トップリング)75r/m
研磨圧力:330g/cm
揺動幅:10mm(揺動中心値より200mm)
揺動移動:1mm/min
研磨剤:Nalco社製、品番2350(2350原液:水=1:9の混合液を使用)
研磨剤温度:20°C
研磨剤吐出量:300cc/min
使用ワーク(被研磨物):8インチφシリコンウエハ
バックパッド(ワーク保持用):フジボウ愛媛株式会社製、品番TP102(240−8−1)550
研磨時間:20分間/各回
シーズニング:(研磨布貼付後)10min、(各回終了後)5min
Figure 2007092252
図6、表8に示すように、比較例1では、研磨加工を繰り返すにつれて、研磨レートが大きく低下している。これに対して、実施例1では、研磨レートの低下が抑制されており、各回の研磨レートも比較例1より大きいことが明らかとなった。従って、実施例1の研磨クロス1を用いることで、優れた研磨レートで安定した研磨加工を繰り返すことができることが判明した。
以上説明したように、樹脂層8を構成する架橋ポリウレタン樹脂層8aと、ウレタン樹脂層8bとをいずれも架橋された熱硬化性樹脂層とした研磨クロス1では、圧縮に対する変形を抑制することができ、温度や有機溶剤に対する安定性にも優れていることから、安定した研磨加工を継続することができると共に、寿命を向上させることができる。
本発明は研磨加工時の変形を抑制することができ、研磨速度の低下を抑制し寿命を向上させることができる研磨布を提供するため、研磨布の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
本発明に係る実施形態の研磨クロスを示す断面図である。 実施形態の研磨クロスを形成し樹脂層を有する繊維の断面図である。 実施形態の研磨クロスの製造工程の概略を示す工程図である。 実施例及び比較例の研磨クロスに用いた不織布のA硬度の温度に対する変化を示すグラフである。 実施例及び比較例の研磨クロスに用いた不織布のA硬度の相対硬度の温度に対する変化を示すグラフである。 実施例及び比較例の研磨クロスを用いて研磨加工を繰り返したときの研磨レートの変化を示すグラフである。
符号の説明
1 研磨クロス(研磨布)
2 不織布(繊維集合体)
8 樹脂層(第1の熱硬化性樹脂層、第2の熱硬化性樹脂層)
8a 架橋ポリウレタン樹脂層(第1の熱硬化性樹脂層)
8b ウレタン樹脂層(第2の熱硬化性樹脂層)
12 ポリエステル繊維(繊維)

Claims (9)

  1. 樹脂層で被覆された繊維によりシート状に形成された繊維集合体を有する研磨布において、前記樹脂層は、前記繊維の表面を被覆し架橋された第1の熱硬化性樹脂層と、該第1の熱硬化性樹脂層を被覆した第2の熱硬化性樹脂層とを有していることを特徴とする研磨布。
  2. 前記第1の熱硬化性樹脂層は、ジイソシアネート化合物と、分子内に2つ以上の活性水素を有する活性水素化合物と、前記ジイソシアネート化合物及び前記活性水素化合物の反応生成物を架橋するための第1の架橋剤とを有することを特徴とする請求項1に記載の研磨布。
  3. 前記第1の架橋剤は、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項2に記載の研磨布。
  4. 前記活性水素化合物は、分子内に、少なくとも水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のうち2つ以上を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の研磨布。
  5. 前記第1の熱硬化性樹脂層は、湿式凝固されたポリウレタン樹脂が前記多価イソシアネート化合物で架橋されていることを特徴とする請求項3に記載の研磨布。
  6. 前記第2の熱硬化性樹脂層は、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート化合物と、該多価イソシアネート化合物を架橋するための第2の架橋剤とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の研磨布。
  7. 前記第2の架橋剤は、有機ジアミン化合物であることを特徴とする請求項6に記載の研磨布。
  8. 前記有機ジアミン化合物は、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタンであることを特徴とする請求項7に記載の研磨布。
  9. 前記繊維集合体の密度は、0.34g/cm〜0.51g/cmであることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の研磨布。
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