JP2007091768A - 油圧作動油組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 150℃以上の引火点を有し、かつ40℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素系基油に、粘度指数向上剤及び潤滑性向上剤が配合されてなり、40℃における動粘度が20〜120mm2/sである油圧作動油組成物である。
【選択図】 なし
Description
しかし、この種の油圧作動油においては、前記要求、特に高い粘度指数を達成するために、通常、分子量が極めて大きい粘度指数向上剤を多量に配合しなければならず、そのため油圧作動油組成物の動粘度が極めて高くなることを考慮して、基油としては極低粘度の基油を使用しなければならなかった。
ところが、このような極低粘度基油を用いる油圧作動油においては、特定の条件下において作動油中に気泡が発生し易くなり、その気泡に起因して、ドアの開閉時にしばしば異音が発生するという現象が発生した。この現象は、ドアの開閉を静かに、円滑に行うことを目的とするドアクローザー用油圧作動油組成物にとって重大な現象である。
1.150℃以上の引火点を有し、かつ40℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素系基油に、粘度指数向上剤及び潤滑性向上剤が配合されてなり、40℃における動粘度が20〜120mm2/sである油圧作動油組成物、
2.炭化水素系基油の引火点が、155〜300℃である前記1に記載の油圧作動油組成物、
3.炭化水素系基油が、鉱油及び/又は炭化水素系合成油である前記1又は2に記載の油圧作動油組成物、
4.粘度指数向上剤が、ポリメタクリレートである前記1〜3のいずれかに記載の油圧作動油組成物、
5.潤滑性向上剤が、過塩基性カルシウムスルホネートである前記1〜4のいずれかに記載の油圧作動油組成物、
6.ドアクローザー用である前記1〜5のいずれかに記載の油圧作動油組成物、
を提供するものである。
油圧作動油組成物の基油として複数の炭化水素系基油(基材)を用いる場合は、いずれの基材の引火点も150℃以上であることが望ましい。複数の炭化水素系基材からなる基油の引火点は、配合割合にもよるが、引火点が最も低い基材に影響されるからである。
すなわち、油圧型緩衝器においては、油圧作動油は、油圧型緩衝器の作動(例えば、ドアクローザーによるドアの開閉)により圧力変動を受け、加圧又は減圧下に曝される。このような圧力変動下においては、油圧作動油中の低引火点を有する軽質成分が気化することによって、油圧作動油中に気泡が発生しやすくなる。そしてこの発生した気泡がオリフィスを通過する際に、急激な圧縮又は膨張を受けることによって異音を発生するのである。
このような異音の発生機構からすると、気泡の発生を防ぐために、炭化水素系基油の引火点はより高いことが好ましく、したがって、155℃以上であることがより好ましい。
本発明の油圧作動油組成物に用いる炭化水素系基油の引火点の上限に制限はなく、通常は300℃以下である。
これら鉱油の中でも、水素化分解して得られる精製鉱油又はワックスを異性化して得られる精製鉱油が好ましい。
本発明の油圧作動油組成物に用いる基油は、鉱油又は炭化水素系合成油をそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上の鉱油又は炭化水素系合成油の混合物であってもよい。また、鉱油と炭化水素系合成油との混合物であってもよい。
本発明において用いることができる粘度指数向上剤としては、特に制限はなく、例えば、重量平均分子量が2〜100万のポリメタクリレート、重量平均分子量が2〜30万のエチレン‐プロピレン共重合体、重量平均分子量が1〜30万のポリイソブチレン、重量平均分子量が1〜30万のポリアルキルスチレン、重量平均分子量が2〜10万のスチレン−ジエン水素化共重合体、重量平均分子量が2〜10万のスチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などを挙げることができる。中でも、粘度指数向上性能の観点から、ポリメタクリレートが好ましい。
粘度指数向上剤の配合量は、油圧作動油組成物全量を基準に、通常は1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%である。粘度指数向上剤の配合量が、1〜30質量%であれば、初期の粘度指数を達成でき、せん断安定性も良好に保つことができる。
本発明において用いることができる潤滑性向上剤としては、例えば、過塩基性カルシウムスルホネート、硫化オレフィン、ジアルキルポリスルフィド、ジアリールポリスルフィド、ジアリールアルキルポリスルフィドなどの硫黄化合物、リン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩などのリン化合物、塩素化油脂、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸、塩素化脂肪酸エステルなどの塩素化合物、ナフテン酸塩、ジチオリン酸亜鉛、ジチオカルバミン酸亜鉛、硫化オキシモリブデンオルガノホスホロジチオエート、硫化オキシモリブデンジチオカルバメートなどを挙げることができる。
過塩基性カルシウムスルホネートとしては、塩基価が300mgKOH/g以上のものが好ましく、より好ましくは400mgKOH/g、特に好ましくは500mgKOH/gのものである。塩基価が300mgKOH/g以上のカルシウムスルホネートであれば、高い耐摩耗性を得ることができる。過塩基性カルシウムスルホネートの塩基価の上限については特に制限はないが、通常700mgKOH/g程度である。
本発明において用いることができる酸化防止剤としては、特に制限はないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル-p-クレゾ−ル、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル)などのフェノ−ル系酸化防止剤、ジオクチルジフェニルアミン等のアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤を挙げることができる。
これら酸化防止剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。酸化防止剤の配合量は、油圧作動油組成物全量を基準に、通常は0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%である。
また、脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールで代表される炭素数8〜30、好ましくは12〜20の脂肪族アルコールを挙げることができる。これらの脂肪酸アルコールは、飽和又は不飽和アルコール、直鎖又は分岐アルコールのいずれであってもよい。
さらに、脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30、好ましくは12〜20の脂肪酸と炭素数1〜30、好ましくは1〜20の脂肪族アルコールとから形成される脂肪酸エステルを挙げることができる。脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸メチルなどが挙げられる。
また、油脂としては、牛脂、豚脂(ラード)等の動物油脂、大豆油、なたね油等の植物油脂などが挙げられる。
これら油性剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
油性剤の配合量は、油圧作動油組成物全量に基づき、通常は0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜2質量%である。
また、本発明の油圧作動油組成物は、粘度指数が250以上であることが好ましく、270以上であることがより好ましい。油圧作動油組成物の粘度指数が250以上であれば、季節を通じてドアクローザーのドアの開閉速度の変化を抑えることができる。
また、本発明の油圧作動油組成物は、アニリン点が75以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましい。アニリン点が75以上であれば、シール材との適合性が良好である。
また、本発明の油圧作動油組成物は、流動点が−40℃以下であることが好ましく、−45℃以下であることがより好ましい。流動点が−40℃以下であれば、寒冷時や寒冷地においても油圧装置を安全に作動させることができる。
なお、油圧作動油組成物等の評価方法は、以下の方法で行った。
・動粘度 :JIS K 2283に準拠して測定した。
・粘度指数 :JIS K 2283に準拠して測定した。
・せん断安定度:JPI‐5S‐29‐88「超音波、A法、30分、30ml」に準拠し,せん断後の40℃及び100℃の動粘度の低下率(%)を測定した。
・全酸価 :JIS K 2501(指示薬法)に準拠して測定した。
・塩基価 :JIS K 2501(塩酸法)に準拠して測定した。
・密度 :JIS K 2249に従って測定した。
・アニリン点 :JIS K 2256に準拠して測定した。
・引火点 :JIS K 2265に準拠して測定した。
・流動点 : JIS K 2269に準拠して測定した。
・泡立ち :JIS K 2518に準拠して測定した。
・錆止め(A法):JIS K 2510に準拠して測定した。
(i)ドアクローザー開閉実験(異音の有無)
油圧作動油組成物をドアクロ−ザー(リョービ社製)に充填した後、速度調整弁によってドアの閉まる速度を調整して、以下の2つの条件における異音の発生の有無と程度を確認した。
条件1:ドアを通常の速度で閉めた場合(所要時間5秒)
条件2:ドアを速い速度で閉めた場合(所要時間2〜3秒)
油圧作動油組成物を充填したドアクロ−ザーを50万回開閉した。その後以下の評価をした。
1)油圧作動油組成物の40℃の動粘度低下率を測定した。
2)ドアクロ−ザーのオリフィス流量を0にして、90度開いたドアが閉まるのに要する時間(全閉所要時間)を測定した。
1)の動粘度低下率は小さい方が、また、2)のドアが閉まるのに要する時間は長い方がせん断安定性が良好であり、耐久性に優れていることを示す。
(iii)シール材との適合性実験
シール材(NBR:三菱電線製シール材P14)を100℃に保った油圧作動油組成物に72時間浸漬し、その後のシール材の体積変化率及び質量変化率を測定した。
第1表に示す炭化水素系基油(基材)及び添加剤を、第1表に示す配合割合で混合して、実施例1〜4及び比較例1〜3の油圧作動油組成物を調製した。それらの組成物の性状を第1表に、性能を第3表に示した。なお、第1表で用いた基油の性状等を第2表に示した。
粘度指数向上剤A:ポリメタクリレート(重量平均分子量27万)55質量%含有鉱油
粘度指数向上剤B:ポリメタクリレート(重量平均分子量55万)35質量%含有鉱油
潤滑性向上剤A:過塩基性カルシウムスルホネート(塩基価537mgKOH/g)
酸化防止剤A:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
油性剤A:ラードオイル(85質量%)及びオレイン酸(15質量%)
消泡剤A:シリコーン系消泡剤
Claims (6)
- 150℃以上の引火点を有し、かつ40℃における動粘度が5〜50mm2/sである炭化水素系基油に、粘度指数向上剤及び潤滑性向上剤が配合されてなり、40℃における動粘度が20〜120mm2/sである油圧作動油組成物。
- 炭化水素系基油の引火点が、155〜300℃である請求項1に記載の油圧作動油組成物。
- 炭化水素系基油が、鉱油及び/又は炭化水素系合成油である請求項1又は2に記載の油圧作動油組成物。
- 粘度指数向上剤が、ポリメタクリレートである請求項1〜3のいずれかに記載の油圧作動油組成物。
- 潤滑性向上剤が、過塩基性カルシウムスルホネートである請求項1〜4のいずれかに記載の油圧作動油組成物。
- ドアクローザー用である請求項1〜5のいずれかに記載の油圧作動油組成物。
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