JP2007066969A - 白色発光ダイオード装置とその製造方法 - Google Patents

白色発光ダイオード装置とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上に、青色光を発光する発光ダイオードチップと蛍光体層とからなる発光ダイオード発光部が複数配置された白色発光ダイオード装置において、各発光ダイオード発光部の色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置を提供すること。
【解決手段】基板と;前記基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップと;前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの表面上に塗布され、前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれのピーク波長に合わせて塗布厚が決定されている透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層と;を有することを特徴とする白色発光ダイオード装置。
【選択図】図3

Description

本発明は青色光を発光する複数の発光ダイオードチップを具備する白色発光ダイオード装置とその製造方法に関する。
発光ダイオードは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、屋内外広告等、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、発光ダイオードは長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高純度表示色、軽薄短小化の実現等の特徴を有することから、産業用のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このような発光ダイオードを種々の用途に適用する場合、白色光を得ることが重要となる。
発光ダイオードで白色光を実現する代表的な方式としては、(1)赤、緑および青の各色に発光する3つの発光ダイオードチップを使用する方式、(2)青色光を発光する発光ダイオードチップと黄色ないし橙色光を発光する蛍光体とを組み合わせる方式、(3)紫外線を発光する発光ダイオードチップと赤色、緑色および青色の三色混合蛍光体とを組み合わせる方式の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には輝度特性の観点から、(2)の青色光を発光する発光ダイオードチップと黄色ないし橙色光を発光する蛍光体とを組み合わせる方式が広く実用化されている。
上記した(2)および(3)の方式を適用した発光ダイオードの構造としては、発光ダイオードチップを装備したカップ型のフレーム内に、所望の色を発光する蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する蛍光体層を形成した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照。)。
そして、このような白色発光する発光ダイオードは、例えば基板上に複数配置することにより白色発光ダイオード装置とし、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、各種表示器、照明装置等に好適に用いられている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−148516号公報 特開平10−190065号公報(例えば、図3参照。)
上記したように白色発光する発光ダイオードは、基板上に複数配置することにより白色発光ダイオード装置とし、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末等のバックライト、各種表示器、照明装置等に好適に用いられている。
しかしながら、このような白色発光ダイオード装置に形成される各発光ダイオード発光部は同じ白色光を発光するものでもわずかに色度が異なっている。このようなわずかな色度の違いは発光ダイオード発光部単独で見た場合にはわからないが、白色発光ダイオード装置全体として見た場合には隣接する発光ダイオード発光部どうしの比較から容易にわかる。特に、上記(2)に示したような青色光を発光する発光ダイオードチップと黄色ないし橙色光を発光する蛍光体とを組み合わせる方式の発光ダイオード発光部が複数形成された白色発光ダイオード装置については、発光ダイオード発光部の一部が黄色っぽく見えたりすることがあり、色度のバラツキが明確となることがある。このような色度のバラツキは照明装置等としての品質や特性を低下させるため、抑制することが求められる。
このような白色発光ダイオード装置における各発光ダイオード発光部の色度のバラツキは、当初、各発光ダイオード発光部を製造する際の蛍光体層の塗布厚の違いによるものと考えられ、各発光ダイオード発光部に塗布される蛍光体層の塗布厚を同一にするよう厳密な制御が試みられた。しかしながら、蛍光体層の塗布厚を厳密に制御しても、白色発光ダイオード装置における各発光ダイオード発光部の色度のバラツキを抑制することは困難であった。
すなわち、このような白色発光ダイオード装置における各発光ダイオード発光部の色度のバラツキは各発光ダイオード発光部の蛍光体層の塗布厚の違いによるものではなく、各発光ダイオード発光部の発光ダイオードチップのピーク波長等が異なることによるものであることが明らかとなった。このため、従来は白色発光ダイオード装置の製造に用いられる発光ダイオードチップのピーク波長等を測定し、それが所定の範囲内にあるもののみを用い、範囲外となるものについては廃棄処分していた。しかしながら、このような方法によると、白色発光ダイオード装置の製造に用いることのできる発光ダイオードチップの数が少なくなり、反対に廃棄する発光ダイオードチップの数が多くなり、結果として白色発光ダイオード装置の製造コストを上昇させることとなっていた。
本発明は上記したような課題を解決するためになされたものであって、各発光ダイオード発光部の色度のバラツキが抑制されるとともに、製造過程において廃棄される発光ダイオードチップの数を抑制することができる白色発光ダイオード装置とその製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に係る発明は、基板と;前記基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップと;前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの表面上に塗布され、前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれのピーク波長に合わせて塗布厚が決定されている透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層と;を有することを特徴とする白色発光ダイオード装置である。
請求項2に係る発明は、前記塗布厚が、前記発光ダイオードチップのピーク波長を、別途求めた発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されていることを特徴とする請求項1記載の白色発光ダイオード装置である。
請求項3に係る発明は、基板と;前記基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップと;前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの表面上に塗布され、前記複数の発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定されたそれぞれの色度に合わせて塗布厚が決定されている透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層と;を有することを特徴とする白色発光ダイオード装置である。
請求項4に係る発明は、前記塗布厚が、前記発光ダイオードチップの色度を、別途求めた発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定された色度とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されていることを特徴とする請求項3記載の白色発光ダイオード装置である。
請求項5に係る発明は、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップのそれぞれについてピーク波長を測定する工程と;前記各ピーク波長を、別途求めた発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて、蛍光体層の塗布厚を決定する工程と;前記決定された塗布厚となるように、前記各発光ダイオードチップの表面上に透明樹脂と蛍光体粒子とを含む混合物を塗布して蛍光体層を形成する工程と;を有することを白色発光ダイオード装置の製造方法である。
請求項6に係る発明は、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップを覆うように蛍光体シートをかぶせて、前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの色度を測定する工程と;前記各色度を、別途求めた発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて、蛍光体層の塗布厚を決定する工程と;前記決定された塗布厚となるように、前記各発光ダイオードチップの表面上に透明樹脂と蛍光体粒子とを含む混合物を塗布して蛍光体層を形成する工程と;を有することを白色発光ダイオード装置の製造方法である。
なお、本発明における用語の定義および技術的意味は、特に指定しない限り以下の通りである。蛍光体粒子は青色光を発光する発光ダイオードチップ(以下、単に発光ダイオードチップと呼ぶ。)から放射された青色光により励起されて可視光を発光し、この蛍光体粒子から発光される可視光と発光ダイオードチップから放射される光との混色によって白色光が得られるものであり、蛍光体粒子の種類は、所望とする白色光や、発光ダイオードチップから放射される青色光に応じて適宜選択されるものである。
請求項1に係る発明によれば、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップ上に形成された透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層の塗布厚が、それぞれの発光ダイオードチップのピーク波長に合わせて決定されている。このため、各発光ダイオードチップのピーク波長にバラツキがある場合でも、それに合わせて蛍光体層が形成されるため、色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置とすることができる。また、各発光ダイオードチップのピーク波長にバラツキがある場合でも色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置を製造することができるため、廃棄する発光ダイオードチップの数を少なくすることができる。
請求項3に係る発明によれば、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップ上に形成された透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層の塗布厚が、この蛍光体層を形成していない状態で複数の発光ダイオードチップについて蛍光体シートをかぶせて測定されたそれぞれの色度に合わせて決定されている。この場合についても、各発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度にバラツキがある場合でも、それに合わせて蛍光体層が形成されているため、色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置とすることができる。また、各発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度にバラツキがある場合でも色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置を製造することができるため、廃棄する発光ダイオードチップの数を少なくすることができる。
請求項5に係る発明によれば、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップのそれぞれについて測定されたピーク波長を、別途求めた発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめ、蛍光体層の塗布厚を決定し、発光ダイオードチップ上に塗布している。このため、各発光ダイオードチップのピーク波長にバラツキがある場合でも、それに合わせて最適な塗布厚の蛍光体層を塗布することができ、色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置を容易に製造することができる。また、各発光ダイオードチップのピーク波長にバラツキがある場合でも白色発光ダイオード装置の製造ができるため、廃棄する発光ダイオードチップの数を少なくすることができる。
請求項6に係る発明によれば、基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップを覆うように蛍光体シートをかぶせてそれぞれについて測定された色度を、別途求めた発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定された色度とそれに対して白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめ、蛍光体層の塗布厚を決定し、発光ダイオードチップ上に塗布している。この場合についても、各発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度にバラツキがある場合でも、それに合わせて最適な塗布厚の蛍光体層を塗布することができ、色度のバラツキが抑制された白色発光ダイオード装置を容易に製造することができる。また、各発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度にバラツキがある場合でも白色発光ダイオード装置の製造ができるため、廃棄する発光ダイオードチップの数を少なくすることができる。
以下、本発明について添付図面に基づいて説明する。なお、複数の添付図面中、同一または相当部分には同一の符号を付している。
図1は本発明の白色発光ダイオード装置1の一実施形態を示す平面図、図2は図1に示す白色発光ダイオード装置1のA−A線断面図、また図3は図2のB部を拡大して示した断面図であり、白色発光ダイオード装置1に形成されている複数の発光ダイオード発光部のうちの一つを示したものである。
本発明の白色発光ダイオード装置1は、基板2上に複数の発光ダイオード発光部3が平面状に配設されたものであり、例えば図1に示す例のように発光ダイオード発光部3が3行3列のマトリクス状に配設されたものである。基板2は放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)やニッケル(Ni)、ガラスエポキシ等の平板からなり、複数の発光ダイオード発光部3の各基板を一体に連成してなる一体基板である。この基板2上には、電気絶縁層4を介して回路パターン5が配設されている。
図1に示すように、回路パターン5は各発光ダイオード発光部3毎に、CuとNiの合金やAu等により、陰極側と陽極側の回路パターン(配線パターン)5a、5bに形成されており、この回路パターン5上に各発光ダイオード発光部3毎に青色光を発光する発光ダイオードチップ6が搭載されている。これらの発光ダイオードチップ6は青色光を発光するものであり、例えば窒化ガリウム(GaN)系半導体等からなるものである。
各発光ダイオードチップ6は、その底面電極が回路パターン5a、5bの一方の表面上に載置され電気的に接続される一方、その上面電極が回路パターン5a、5bの他方の表面上にボンディングワイヤ7により電気的に接続されている。
そして、基板2上には、各発光ダイオードチップ6の周囲に、それらから所要の間隔を置いて取り囲むように凹部形成部材8が形成されている。凹部形成部材8には、基板2の表面から遠ざかるにつれて同心円状に漸次拡開する円錐台状の凹部9が形成されている。このような凹部形成部材8は、例えばPBT(ポリブチレンテレフタラート)、PPA(ポリフタルアミド)、PC(ポリカーボネート)等の合成樹脂からなるものである。
この凹部形成部材8内には透明樹脂10と蛍光体粒子11とからなる蛍光体層12が塗布(充填)されており、発光ダイオードチップ6はこの蛍光体層12によって覆われている。蛍光体層12は、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の液状透明樹脂に蛍光体粒子を添加、混合したものをディスペンサ内に入れ、このディスペンサからこれらの混合物を凹部形成部材8の円錐台状の凹部9内に滴下し塗布することにより形成される。
蛍光体粒子11は、発光ダイオードチップ6(青色光を発光する発光ダイオードチップ)から放射された青色光により励起されて可視光を発光し、この蛍光体粒子から発光される可視光と発光ダイオードチップ6から放射される光との混色によって白色光が得られるものであればよく、黄色ないし橙色発光蛍光体粒子が主として用いられる。また、演色性等の向上を図るために、黄色ないし橙色発光蛍光体粒子と共に赤色蛍光発光体粒子を併用してもよい。
黄色ないし橙色発光蛍光体粒子としては、例えばRE(Al,Ga)12:Ce蛍光体(REはY、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)等のYAG蛍光体粒子、AESiO:Eu蛍光体(AEはSr、Ba、Ca等のアルカリ土類元素である。)等の珪酸塩蛍光体粒子が用いられる。
このような白色発光ダイオード装置1においては、各発光ダイオード発光部3に印加された電気エネルギーが発光ダイオードチップ6で青色光に変換され、この青色光により蛍光体粒子11が励起されて可視光を発光し、この蛍光体粒子11から発光される可視光と発光ダイオードチップ6から放射される光との混色により白色光が得られる。
本発明の白色発光ダイオード装置1の第1の実施形態では、各発光ダイオードチップ6のピーク波長に合わせて、それらの表面上に塗布される蛍光体層12の塗布厚(d)が決定される。なお、塗布厚(d)は、図3に示すように、発光ダイオードチップ6の発光面側の表面から、蛍光体層12の表面までの距離とする。
本発明の白色発光ダイオード装置1では、各発光ダイオード発光部3における発光ダイオードチップ6のピーク波長が異なっている場合でも、各発光ダイオード発光部3から放射される白色光が所望の色度の白色光となるように、各発光ダイオードチップ6のピーク波長に合わせてそれらの表面上に塗布される蛍光体層12の塗布厚(d)が決定されるため、各発光ダイオード発光部3から放射される白色光の色度にバラツキのない白色発光ダイオード装置とすることができる。
蛍光体層12の塗布厚(d)は、具体的には、各発光ダイオード発光部3を構成する発光ダイオードチップ6について測定したピーク波長を、別途求めた同様の発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されるものである。このようにすることで、白色発光ダイオード装置1を製造するために用いる発光ダイオードチップ6についてピーク波長を測定するだけで、それらについての蛍光体層12の最適な塗布厚(d)を決定することができ、各発光ダイオード発光部3から放射される白色光の色度にバラツキのない白色発光ダイオード装置を容易に得ることができる。
また、本発明の白色発光ダイオード装置1の第2の実施形態では、各発光ダイオードチップ6に蛍光体シートをかぶせて測定された色度に合わせて、それらの表面上に塗布される蛍光体層12の塗布厚(d)が決定される。このようなものとしても、各発光ダイオード発光部3から放射される白色光の色度にバラツキのない白色発光ダイオード装置とすることができる。
このような場合の蛍光体層12の塗布厚(d)は、具体的には、各発光ダイオードチップ6について蛍光体シートをかぶせて測定された色度を、別途求めた同様の発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定された色度とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されるものである。このようにすることで、各発光ダイオード発光部3を構成する発光ダイオードチップ6について蛍光体シートをかぶせて色度を測定するだけで、それらについての最適な蛍光体層12の塗布厚(d)を決定することができ、各発光ダイオード発光部3から放射される白色光にバラツキのない白色発光ダイオード装置とすることができる。
次に、上記第1の実施形態および第2の実施形態の白色発光ダイオード装置1の製造方法について具体的に説明する。まず、第1の実施形態の白色発光ダイオード装置1の製造方法について説明する。
まず、実際の白色発光ダイオード装置1の製造に先立ち、予めその製造に用いる発光ダイオードチップ6と同様の発光ダイオードチップ(以下、測定用発光ダイオードチップと呼ぶ。)について、そのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係(以下、ピーク波長と塗布厚との関係と呼ぶ。)を求めておく。
なお、上記したように、この測定用発光ダイオードチップは白色発光ダイオード装置1の製造に用いられる発光ダイオードチップ6と同様なものではあるが、白色発光ダイオード装置1の製造に直接用いられるものではなく、あくまでもピーク波長と塗布厚との関係を求めるに用いられるものである。また、ここでの蛍光体層は、白色発光ダイオード装置1における蛍光体層12と同様な組成を有するものである。
ピーク波長と塗布厚との関係を求めるには、測定用発光ダイオードチップのピーク波長を分光光度計を用いて測定した後、蛍光体層を塗布し、所望の色度の白色光となるときの塗布厚を測定する。同様にして、異なるピーク波長を有する測定用発光ダイオードチップについても、所望の色度の白色光が得られるときの塗布厚を測定する。塗布厚を測定するためのピーク波長の範囲は、白色発光ダイオード装置1の製造に用いられる発光ダイオードチップのピーク波長の一般的なばらつきを網羅できる程度とすることが好ましい。
なお、このようなピーク波長と塗布厚との間には以下のような関係がある。まず、CIE 1976 UCS系色度図において、色度の差は一般にΔu’v’=√((Δu’)+(Δv’))で表される。この色度の差(Δu’v’)は0.01程度であれば人間の目に色のバラツキとして認識されないが、それを超える場合には色のバラツキとして認識され問題となる。ここで、形成された発光ダイオード発光部3については、通常、Δu’が発光ダイオードチップ6のロットの違いやそれに塗布された蛍光体層12の塗布厚(d)によりほとんど変化しないことからΔu’=0と見なすことができ、実質的に色度の差(Δu’v’)の主要因はΔv’である。
また、発光ダイオード発光部3の蛍光体層12の塗布厚(d)を一定とした場合、発光ダイオードチップ6のピーク波長の変化(Δλ)に色度の変化(Δv’)が比例することからΔv’=AΔλと表すことができる(図4)。なお、Aは比例定数である。従って、あるピーク波長が基準となるピーク波長(所望の色度の白色光が得られるときのピーク波長)からΔλだけずれている場合、色度がAΔλずれることになり、この分を補正すればよいことになる。
ここで、発光ダイオードチップ6のピーク波長(λ)を一定とした場合、蛍光体層12の塗布厚の変化(Δd)に色度の変化(Δv’)が比例することからΔv’=BΔdと表すことができる(図5)。なお、Bは比例定数である。従って、上記色度のずれ(AΔλ)を補正するには上記2つの式からAΔλ−BΔd=0とすればよく、これをΔdについて解いてΔd=AΔλ/Bとなる。よって、基準となるピーク波長(所望の色度の白色光が得られるときのピーク波長)との差(Δλ)がわかれば、基準となる蛍光体層の塗布厚(所望の色度の白色光が得られるときの蛍光体層の塗布厚)との塗布厚の差(Δd)が求まり、これに従って蛍光体層12を塗布することで発光ダイオード発光部3の白色光の色度を所望の色度の白色光に補正することができる。
次に、実際の白色発光ダイオード装置1の製造として、図6に示すように、基板2上に電気絶縁層4を介して回路パターン5が配設される共に、回路パターン5上に複数の発光ダイオードチップ6が搭載され、それらがボンディングワイヤ7により電気的に接続され、さらにそれらの周囲に凹部形成部材8が設けられたものを用意する。なお、この図6に示すものは、最終的に図2に示す白色発光ダイオード装置1となるものであり、図2に示す白色発光ダイオード装置1の蛍光体層12を形成していない段階のものである。
このように基板3上に複数の発光ダイオードチップ6を搭載したものについて、各発光ダイオードチップ6のピーク波長を測定する。ピーク波長の測定は、各発光ダイオードチップ6の発光面側(図中、上側)から分光光度計を用いて順次ピーク波長を測定することにより行うことができる。このようにして測定された各発光ダイオードチップ6のピーク波長を予め求めておいたピーク波長と塗布厚との関係に当てはめ、実際に各発光ダイオードチップ6上に塗布する蛍光体層12の塗布厚(d)を求める。
その後、この求めた塗布厚(d)となるようにそれぞれの発光ダイオードチップ6上に順次蛍光体層12を塗布する。蛍光体層12の塗布は、液状透明樹脂に蛍光体粒子を添加、混合した混合物をディスペンサ内に入れ、このディスペンサから混合物を凹部形成部材8内の発光ダイオードチップ6上へ順次滴下することにより行うことができる。蛍光体層12の塗布厚(d)は、ディスペンサからの混合物の滴下量を調整することにより行うことができる。
この際、予め同様なディスペンサおよび凹部形成部材8を用いて、ディスペンサからの滴下量と蛍光体層12の塗布厚との関係を求めておくことが好ましい。このようにすることで、上記したようなピーク波長から求めた蛍光体層12の塗布厚(d)をこのディスペンサからの滴下量と蛍光体12の塗布厚との関係に当てはめ、ディスペンサからの混合物の滴下量を容易に求めることができる。
次に、第2の実施形態の白色発光ダイオード装置1の製造方法について具体的に説明する。まず、実際の白色発光ダイオード装置1の製造に先立ち、予めその製造に用いる発光ダイオードチップ6と同様の発光ダイオードチップ(測定用発光ダイオードチップ)について所定の蛍光体シートをかぶせて測定される色度と、それに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係(以下、色度と塗布厚との関係と呼ぶ。)を求めておく。
色度と塗布厚との関係を求めるには、測定用発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて色度を測定した後、その蛍光体シートを取り外して蛍光体層を塗布し、この蛍光体層が塗布されたものについて所望の色度の白色光が得られるときの蛍光体層の塗布厚を測定する。さらに、蛍光体シートをかぶせて測定される色度が異なる測定用発光ダイオードチップについて、所望の色度の白色光が得られるときの蛍光体層の塗布厚を測定する。塗布厚を測定するための色度(蛍光体シートをかぶせて測定される色度)の範囲は、白色発光ダイオード装置1の製造に一般的に用いる発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度の一般的なばらつきを網羅できる程度とすることが好ましい。
なお、蛍光体シートをかぶせて測定される色度と蛍光体層の塗布厚との間には以下のような関係がある。まず、第1の実施形態の製造方法のところで説明したように、CIE 1976 UCS系色度図においては、発光ダイオード発光部3の色度の差(Δu’v’)は実質的にΔv’とみなすことができる。
ここで、白色発光ダイオード装置1における色度のばらつきを抑制するには、例えば図7に示すように、ある発光ダイオードチップ6に蛍光体シート13をかぶせて色度計の検出器14等によって測定する色度と基準となる色度(所望とする白色光の色度)との差をΔv’として、各発光ダイオード発光部3となる部分についてこのような差(Δv’)を補正していけばよい。なお、図7は左側より順に、発光ダイオード発光部3となる各部分について、検出器14で色度を測定する様子を示したものである。
また、第1の実施形態の製造方法のところで説明したように、発光ダイオード発光部3の蛍光体層12の塗布厚の変化(Δd)に色度の変化(Δv’)が比例することからΔv’=BΔdと表すことができる(図5)。なお、Bは比例定数である。
従って、上記色度のずれ(Δv’)を補正するには上記2つの式からΔv’−BΔd=0とすればよく、これをΔdについて解いてΔd=Δv’/Bとなる。よって、発光ダイオードチップ6に蛍光体シート13をかぶせて測定されたある色度と基準となる色度(所望とする白色光の色度)との差(Δv’)がわかれば、基準となる蛍光体層の塗布厚(所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚)との塗布厚の差(Δd)が求まり、これに従って蛍光体層12を塗布することで発光ダイオード発光部3の白色光の色度を所望の色度の白色光に補正することができる。
次に、実際の白色発光ダイオード装置1の製造として、図6に示すように、基板2上に電気絶縁層4を介して回路パターン5が配設される共に、回路パターン5上に複数の発光ダイオードチップ6が搭載され、それらがボンディングワイヤ7により電気的に接続され、さらにそれらの周囲に凹部形成部材8が設けられたものを用意する。なお、この図6に示すものは、最終的に図2に示す白色発光ダイオード装置1となるものであり、図2に示す白色発光ダイオード装置1の蛍光体層12を形成していない段階のものである。
そして、図7に示すように、その発光ダイオードチップ6が搭載された面側に、例えばこれら全ての発光ダイオードチップ6を覆うような1枚の蛍光体シート13をかぶせ、各発光ダイオードチップ6を発光させたときのそれに対向する部分の蛍光体シート13の色度をその上側に設けた色度計の検出器14により、順次測定する。なお、ここで用いる蛍光体シート13は、測定用発光ダイオードチップの色度の測定に用いたものと同様なものである。また、図7は、左側より順に検出器14で測定する様子を示したものである。そして、予め求めた色度と塗布厚との関係に、これらの測定した色度をあてはめ、各発光ダイオードチップ6に塗布する蛍光体層12の塗布厚(d)を求める。なお、蛍光体シート13は発光ダイオードチップ6の色度を測定するためだけに用いられ、その後の製造には不必要なため、色度を測定した後に取り外しておく。
その後、この求めた塗布厚(d)となるようにそれぞれの発光ダイオードチップ6上に蛍光体層12を塗布する。蛍光体層12の塗布は、第1の実施形態の白色発光ダイオード装置1の製造と同様にして行うことができ、液状透明樹脂に蛍光体粒子を添加、混合した混合物をディスペンサ内に入れ、このディスペンサから混合物を凹部形成部材8内の発光ダイオードチップ6上へ滴下することにより行うことができる。蛍光体層12の塗布厚(d)の調整についても、第1の実施形態の白色発光ダイオード装置1の製造と同様にして行うことができ、ディスペンサからの混合物の滴下量を調整することにより行うことができる。
(実施例1)
まず、白色発光ダイオード装置1を製造するためのものとして、図6に示すような蛍光体層が未形成の部材を用意した。すなわち、基板2上に電気絶縁層4を介して回路パターン5が配設される共に、回路パターン5上に複数の発光ダイオードチップ6が搭載され、それらがボンディングワイヤ7により電気的に接続され、さらにそれらの周囲に凹部形成部材8が設けられたものを用意した。なお、この蛍光体層が未形成の部材は、最終的に図1、2に示されるような白色発光ダイオード装置1となるものである。搭載される発光ダイオードチップ6の数は9個とし、各発光ダイオードチップ6はピーク波長が450nm〜465nmの範囲内にあるものを用いた。
また、別途、同様な発光ダイオードチップを用いて、所定の色度を得られるときのピーク波長と蛍光体層の塗布厚との関係を求めた。なお、蛍光体層の形成に用いる樹脂ペーストは、樹脂粘度が0.3Pa・sのシリコーン樹脂中に(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce組成のYAG蛍光体を10重量%添加、混合したものを用いた。その結果、ピーク波長の変化(Δλ[nm])と色度の変化(Δv’)との間にはΔv’=0.008Δλの関係があり、また蛍光体層の塗布厚(Δd[μm])と色度の変化(Δv’)との間にはΔv’=1.5×10−4Δdの関係があることがわかった。
従って、ピーク波長の変化(Δλ[nm])と蛍光体層の塗布厚の変化(Δd[μm])との間には、Δd=(0.008/1.5×10−4)Δλの関係があることがわかった。ここで、実際に測定されるピーク波長と塗布厚とをそれぞれをλ[nm]、d[μm]とし、基準となるピーク波長と塗布厚(所望の色度の白色光が得られるときのピーク波長と塗布厚)とをそれぞれλ(457[nm])、d(985[μm])とすると、Δλ=λ−λ、Δd=d−dとなる。これらを上記関係式に代入して、実際に塗布する厚さd[μm]は以下のような式で求められる。
d=(0.008/1.5×10−4)(λ−λ)+d
=(0.008/1.5×10−4)(λ−457)+985
次に、図6に示すような蛍光体層が未形成の部材の各発光ダイオードチップ6について分光光度計を用いてピーク波長λ[nm]を測定し、これを上記関係式に代入することにより各発光ダイオードチップ6に塗布する樹脂ペーストの塗布厚d[μm]を求め、これに従い各発光ダイオードチップ6に樹脂ペーストを塗布し白色発光ダイオード装置1を製造した。
このようにして製造した白色発光ダイオード装置1について、各発光ダイオード発光部3を発光させてそれらの色度を測定した。その結果、所望とする色度からの各発光ダイオード発光部3の色度のずれ(Δv’)の平均値(Δv’av)が0.006となっており、各発光ダイオード発光部3の色度のばらつきが十分に抑制されていることが認められた。
(比較例1)
実施例1で用いたものと同様な蛍光体層が未形成の部材を用意し、その各発光ダイオードチップ上に実施例1と同様の樹脂ペーストを985μmの厚さでそれぞれ塗布し、白色発光ダイオード装置を製造した。
このようにして製造した白色発光ダイオード装置について、実施例1と同様に各発光ダイオード発光部を発光させて色度を測定した。その結果、所望とする色度からの各発光ダイオード発光部3の色度のずれ(Δv’)の平均値(Δv’av)は0.023となっており、各発光ダイオード発光部3の色度に大幅なばらつきがあることが認められた。
本発明の白色発光ダイオード装置の一例を示した平面図。 図1に示すA−A線部の断面図。 図2に示すB部の拡大断面図。 発光ダイオードチップのピーク波長と色度との関係を示した図。 蛍光体層の塗布厚と色度との関係を示した図。 蛍光体層を塗布する前の白色発光ダイオード装置を示した断面図。 図6に示したものについての色度を測定する様子を示した図。
符号の説明
1…白色発光ダイオード装置、2…基板、3…発光ダイオード発光部、4…電気絶縁層、5…回路パターン、6…発光ダイオードチップ、7…ボンディングワイヤ、8…凹部形成部材、9…凹部、10…透明樹脂、11…蛍光体粒子、12…蛍光体層、13…蛍光体シート、14…色度計の検出器

Claims (6)

  1. 基板と;
    前記基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップと;
    前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの表面上に塗布され、前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれのピーク波長に合わせて塗布厚が決定されている透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層と;
    を有することを特徴とする白色発光ダイオード装置。
  2. 前記塗布厚は、前記発光ダイオードチップのピーク波長を、別途求めた発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されていることを特徴とする請求項1記載の白色発光ダイオード装置。
  3. 基板と;
    前記基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップと;
    前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの表面上に塗布され、前記複数の発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定されたそれぞれの色度に合わせて塗布厚が決定されている透明樹脂と蛍光体粒子とを含む蛍光体層と;
    を有することを特徴とする白色発光ダイオード装置。
  4. 前記塗布厚は、前記発光ダイオードチップの蛍光体シートをかぶせて測定された色度を、別途求めた発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定された色度とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて決定されていることを特徴とする請求項3記載の白色発光ダイオード装置。
  5. 基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップのそれぞれについてピーク波長を測定する工程と;
    前記各ピーク波長を、別途求めた発光ダイオードチップのピーク波長とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて、蛍光体層の塗布厚を決定する工程と;
    前記決定された塗布厚となるように、前記各発光ダイオードチップの表面上に透明樹脂と蛍光体粒子とを含む混合物を塗布して蛍光体層を形成する工程と;
    を有することを白色発光ダイオード装置の製造方法。
  6. 基板上に配置された青色光を発光する複数の発光ダイオードチップを覆うように蛍光体シートをかぶせて、前記複数の発光ダイオードチップのそれぞれの色度を測定する工程と;
    前記各色度を、別途求めた発光ダイオードチップに蛍光体シートをかぶせて測定される色度とそれに対して所望の色度の白色光が得られる蛍光体層の塗布厚との関係に当てはめて、蛍光体層の塗布厚を決定する工程と;
    前記決定された塗布厚となるように、前記各発光ダイオードチップの表面上に透明樹脂と蛍光体粒子とを含む混合物を塗布して蛍光体層を形成する工程と;
    を有することを白色発光ダイオード装置の製造方法。
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