JP2007116133A - 発光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の発光特性に合わせて発光色度を容易に調整することができる発光装置を提供する。
【解決手段】本発明の発光装置は、凹部7内に配置された青色発光タイプのLEDチップ2を有し、このLEDチップ2は、黄色系蛍光体を透明樹脂に混合・分散させた黄色系蛍光体含有樹脂層9により覆われている。また、凹部7の開口部には、赤色蛍光体を含有する赤色蛍光体シート10が配置されている。黄色系蛍光体として、主波長が異なる2種類の蛍光体を使用することも可能である。
【選択図】図6
【解決手段】本発明の発光装置は、凹部7内に配置された青色発光タイプのLEDチップ2を有し、このLEDチップ2は、黄色系蛍光体を透明樹脂に混合・分散させた黄色系蛍光体含有樹脂層9により覆われている。また、凹部7の開口部には、赤色蛍光体を含有する赤色蛍光体シート10が配置されている。黄色系蛍光体として、主波長が異なる2種類の蛍光体を使用することも可能である。
【選択図】図6
Description
本発明は、発光ダイオードランプなどの発光装置に関する。
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDランプは、液晶ディスプレイ、携帯電話、情報端末などのバックライト、屋内外広告など、多方面への展開が飛躍的に進んでいる。さらに、LEDランプは、長寿命で信頼性が高く、また低消費電力、耐衝撃性、高純度表示色、軽薄短小化の実現などの特徴を有することから、産業用途のみならず一般照明用途への適用も試みられている。このようなLEDランプを種々の用途に適用する場合、白色発光を得ることが重要となる。
LEDランプで白色発光を実現する代表的な方式としては、(1)青、緑および赤の各色に発光する3つのLEDチップを使用する方式、(2)青色発光のLEDチップと黄色ないし橙色発光の蛍光体とを組合せる方式、(3)紫外線発光のLEDチップと青色、緑色および赤色発光の三色混合蛍光体とを組合せる方式、の3つが挙げられる。これらのうち、一般的には(2)の方式が広く実用化されている。
そして、上記した(2)の方式を適用したLEDランプの構造としては、LEDチップを装備したカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込み、これを固化させて蛍光体を含有する樹脂層を形成した構造が一般的である(例えば、特許文献1参照)。
このようなLEDランプにおいては、黄色ないし橙色発光蛍光体に加えて赤色発光蛍光体を使用することで、演色性の向上はもとより発光効率の向上も期待されている。また、演色性を高めるために、窒化物系や硫化物系などの赤色発光蛍光体の開発も盛んに行われている。
また、上述したようなカップ型のフレーム内に蛍光体を混合した透明樹脂を流し込まないで、シートに蛍光体を含有させた構造の発光装置もある。すなわち、半導体発光素子上に形成される蛍光体シートからなる発光装置において、蛍光体シートは、同一励起波長に対しピーク波長の異なる蛍光を発する蛍光体をそれぞれ含む複数の蛍光体シートからなり、半導体発光素子に近いほうに配置される第1の蛍光体シートは、半導体発光素子に遠い方に配置される第2の蛍光体シート中の蛍光体の蛍光のピーク波長より長い蛍光を発する蛍光体(例えば、赤色発光蛍光体。)を含んでなり、半導体発光素子の発光により第1の蛍光体シートの蛍光体を励起し、第1の蛍光体シートを透過した半導体発光素子からの発光により第2の蛍光体シートの蛍光体(例えば、黄色蛍光体。)を励起するように構成したものである。この場合の半導体発光素子は主として紫外線を放射し、各蛍光体はこの紫外線により励起されて発光するものである(例えば、特許文献2参照)。
特開2001−148516公報
特開2004−164977公報
しかしながら、従来からの発光装置においては、特に、青色光を放射する発光素子を使用した発光装置においては、高演色性や色温度、発光輝度など所望する発光特性に合わせて、1種類あるいは複数種類の蛍光体を調合し一括して透明樹脂に混合するため、所望する色度に調整することが難しかった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、高演色性や色温度、発光輝度など所望の発光特性に合わせて、容易に発光色度を調整することができる発光装置を提供することを目的としている。
請求項1記載の発明は、凹部を有する基材と;前記凹部内に配置された青色光を放射する発光素子と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて、黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体を含有し、前記発光素子を覆うように配置された蛍光体含有樹脂層と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を含有し、前記蛍光体含有樹脂層の上に前記基材の凹部を被覆するように配設されたシート状蛍光体層と;を具備することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光装置において、前記基材の凹部の複数個が平板状の基板の上に所定の配列で配設されていることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発光装置において、シート状蛍光体層は前記凹部内であって開口部とほぼ面一となるように配設されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、複数の発光素子と;白色の絶縁材により前記各発光素子を間隔的に並べて配設し得る大きさに形成された反射層と;反射層に形成されて前記発光素子に電気的に接続された回路パターンと;回路パターンの近傍で前記複数の発光素子を前記反射層の同一面上に接着する透光性接着層と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて、黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体を含有し、前記発光素子を覆うように配置された蛍光体含有樹脂層と;前記発光素子から放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を含有し、前記蛍光体含有樹脂層の上に配設されたシート状蛍光体層と;を具備することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4いずれか一記載の発光装置において、蛍光体含有樹脂層及びシート状蛍光体層を構成する樹脂は同じ材質であることを特徴とする。なお、前記樹脂は熱硬化性を有するものである場合には、製造がし易く、好適である。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5いずれか一記載の発光装置において、黄色系蛍光体の平均粒径(D50)は15μm以上30μm以下であり、前記蛍光体含有樹脂層を形成する樹脂の硬化前の粘度は1Pa・s以上3Pa・s以下であることを特徴とする。
上記した請求項1ないし6記載の発明において、特に指定しない限り、用語の定義および技術的意味は以下の通りである。基材は、例えば、回路パターンやリード端子のような配線部を有する基板と、この基板上に設けられ外部に開口した凹部を形成するフレームから構成されている。基材の凹部内には、底面から上方へ向けて、発光素子、蛍光体含有樹脂層およびシート状蛍光体層がこの順に配置されている。なお、フレームを使用せずに基板上に直接凹部を形成して、基材を作製してもよい。
青色光を放射する発光素子は、放射した青色光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものである。本発明において用いられる青色光を放射する発光素子としては、例えば青色発光タイプのLEDチップなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
蛍光体含有樹脂層は、発光素子から放射された青色光により励起されて黄色光ないし橙色光(以下、黄色光という。)を発光する黄色ないし橙色発光蛍光体(以下、黄色系蛍光体という。)を、透明樹脂に混合し分散させた層であり、発光素子を覆うように基材の凹部内に塗布・充填される。透明樹脂としては、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などを適用することができる。また、蛍光体含有樹脂層の形成に用いられる蛍光体粒子は、発光効率及びノズル目詰まり等の観点から、平均粒径(D50)が15μm以上30μm以下のものが好適である。さらに、蛍光体含有樹脂層の形成に用いられる液状の透明樹脂は、粘度が1Pa・s以上3Pa・s以下の範囲である。なお、この粘度は25℃で測定される粘度である。液状透明樹脂は、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等であり、これらのうちの1種のみからなるものであってもよいし、2種以上からなるものであってもよい。液状透明樹脂が2種以上の液状透明樹脂からなる場合、粘度は2種以上の液状透明樹脂を混合した際の混合物の粘度とする。
シート状蛍光体層は、発光素子から放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を保持するものであり、シリコーン樹脂のような透明樹脂に赤色蛍光体を混合・分散させた赤色蛍光体含有樹脂を、シート状に成形して形成される。シート状蛍光体層は、0.5〜1.0mm程度の厚みが好ましく、蛍光体含有樹脂層の上に、基材の凹部を被覆するようにして配置されている。シート状蛍光体層の厚みが0.5mm未満であると十分な量の蛍光体を含有させることができず、1.0mmを超えると光の透過率が低下し所望の光量を得られ難くなる。
白色を呈する絶縁材で形成される反射層は、その反射率が400nm〜740nmの波長領域で85%以上であれば100%に近いほど好ましい。この種の白色系絶縁材として、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化ケイ素等の白色粉末の内の少なくとも一種が混入された熱硬化性樹脂を、紙や布等のシート基材に含浸させてなる接着シートを挙げることができる。
透光性接着層には、例えばエポキシ樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂系のダイボンド材を用いることができる。接着層は、その厚みが5μm以下で、光の透過率が70%以上であれば100%に近いほど好ましい。この種の接着層としては、特にシリコーン樹脂系の接着層を好適に用いることができる。シリコーン樹脂系の接着層は、紫外線から可視光の略全ての波長範囲の光に対して高い光透過率を有し、比較的短波長の光を長時間照射されても変色など劣化をし難い点で優れている。なお、以上の高分子接着剤に代えて低融点ガラスを透光性の接着層として用いることも可能である。
回路パターンは、反射層上にエッチング処理等によって設けられた銅箔等の金属箔や接着剤によって貼り付けられた導電体等で好適に形成できる。この回路パターンは、複数の発光素子とワイヤボンディングなどにより電気的に接続され、複数の発光素子を、直列、又は並列、若しくは直並列に接続して設けられる。更に、この発明で、複数の発光素子が実装された反射層の一面を覆って各発光素子を封止する透光性の封止部材を設けることは好ましいが、この封止部材は必要不可欠ではない。
請求項1記載の発明によれば、発光素子を覆うように配設された黄色系蛍光体を含有する蛍光体含有樹脂層の上に、赤色蛍光体を含有するシート状蛍光体層が配置されているので、シート状蛍光体層に配合する赤色蛍光体の主波長や配合量を調整するだけで、所望の色度を得ることができる。したがって、高演色性や色温度、発光輝度など所望の発光特性を容易に実現することができる。
請求項2記載の発明によれば、黄色系蛍光体含有樹脂層と赤色蛍光体を含むシート状蛍光体層とを有する発光素子の複数個が、平板状の基板の上に所定の配列で配設され、各発光素子により構成される発光部において、シート状蛍光体層に含有される赤色蛍光体の主波長や配合量を調整するだけで所望の色度を得ることができるので、個々の発光素子の発光のばらつきを解消しやすく、均一性がとりやすい。したがって、ばらつきがなく均一で良好な発光特性を有する平面状の発光装置を容易に得ることができる。
請求項3記載の発明によれば、シート状蛍光体層は前記凹部内であって開口部とほぼ面一となるので、シート状蛍光体層端部から放射された赤色光等は前記凹部内面で反射して放射され光取り出し効率を低下させることがない。
請求項4記載の発明によれば、蛍光体含有樹脂層は、白色の反射層上の同一面上に並べて配列された発光素子を満遍なく平坦面を有して覆うことができ、シート状蛍光体層をこの蛍光体含有樹脂層上に均一に配設することができ、複数の凹部内に1個ずつ発光素子を配設したものと比較して発光装置全体としての色ムラを抑制でき発光装置を歩留まり良く製造することができる。
請求項5記載の発明によれば、蛍光体含有樹脂層及びシート状蛍光体層を構成する熱硬化樹脂は同じ材質であり、熱膨張率等の物性が同じであることから両者間の剥離等を抑制できる。
請求項6記載の発明によれば、黄色系蛍光体の平均粒径(D50)は15μm以上30μm以下であり、前記蛍光体含有樹脂層を形成する樹脂の硬化前の粘度は1Pa・s以上3Pa・s以下であるので、白色の反射層上へ注入してから硬化させるまでの間に蛍光体粒子が沈降、堆積することを抑制でき、発光効率の低下を抑制でき、さらに均一に発光することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の発光装置をLEDランプに適用した実施形態の構成を示す断面図、図2は、図1に示すLEDランプの複数個を、例えば一平面上に3行3列のマトリックス状に配置したLEDモジュールの一例を示す平面図、図3は、図2のA−A´線断面図である。図1に示すLEDランプ1は、発光素子として、青色発光タイプのLEDチップ2を有している。このLEDチップ2は、回路パターン3を有する基板4上に搭載されている。基板4としては、放熱性と剛性を有するアルミニウム(Al)やニッケル(Ni)、ガラスエポキシ樹脂などから成る平板が用いられ、この基板4上に電気絶縁層5を介して陰極側と陽極側の回路パターン3がそれぞれ形成されている。
そして、LEDチップ2の底面電極が一方の電極側の回路パターン3の上に載置されて電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン3に、金線のようなボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。LEDチップ2の電極接続構造としては、フリップチップ接続構造を適用することもできる。これらの電極接続構造によれば、LEDチップ2の前面への光取出し効率が向上する。基板4上には凹部7を有する樹脂製などのフレーム8が設けられており、凹部7内にLEDチップ2が配置され、収容されている。LEDチップ2が収容された凹部7内には、黄色系蛍光体を透明樹脂に混合し分散させた蛍光体含有樹脂が塗布・充填されており、LEDチップ2はこのような黄色系蛍光体含有樹脂層9により覆われている。
黄色系蛍光体は、例えば、RE3(Al,Ga)5O12:Ce蛍光体(REは、Y、GdおよびLaから選ばれる少なくとも1種を示す。)などのYAG蛍光体、AE2SiO4:Eu蛍光体(AEは、Sr、Ba、Caなどのアルカリ土類元素を示す。)などの珪酸塩蛍光体の中から選択される。このような黄色系蛍光体として、主波長が異なる2種類の蛍光体を使用することができる。上述した黄色系蛍光体含有樹脂層9は、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などの液状透明樹脂に黄色系蛍光体を混合し分散させた黄色系蛍光体含有樹脂を、LEDチップ2が配置された凹部7内にディスペンサなどを用いて充填し、熱硬化させることにより形成される。これによって、LEDチップ2を封止することができる。
凹部7の開口部には、シート状蛍光体層としての赤色蛍光体を含有する赤色蛍光体シート10がその上端面が開口部とほぼ面一になるように配置され、シリコーン樹脂などでフレーム8に固定されている。この赤色蛍光体シート10は、シリコーン樹脂などの透明樹脂に赤色蛍光体を添加、混合した後、ドクターブレード法などにより厚さ0.5〜1.0mmのシート状に成形し、150℃で1時間加熱して樹脂を硬化することにより形成される。なお、赤色蛍光体シート10の成形において、透明樹脂と蛍光体を混合する際に気泡が混入した場合には、真空脱泡して気泡を除去することが好ましい。蛍光体含有樹脂層9及びシート状蛍光体層10を構成する熱硬化樹脂は同じ材質のものを使用すれば、熱膨張率等の物性が同じであることから両者間の剥離等を抑制できるので好ましい。
赤色蛍光体シート10中に含有される赤色蛍光体は、LEDチップ2から放射される青色光により励起されて、主波長が590〜640nmの赤色光を発光するものである。赤色蛍光体としては、La2O2S:Eu蛍光体のような酸硫化物蛍光体などが用いられる。さらに、上記したような蛍光体に代えて、組成に応じて種々の発光色が得られる窒化物系蛍光体(例えば、AE2Si5N8:Eu)、酸窒化物系蛍光体(例えば、Y2Si3O3N4:Ce)、サイアロン系蛍光体(例えば、AEx(Si,Al)12(N,O)16:Eu)などを適用してもよい。
実施形態のLEDランプ1では、印加された電気エネルギーがLEDチップ2で青色光に変換されて放射され、放射された青色光の一部は、黄色系蛍光体含有樹脂層9に含有された黄色系蛍光体で長波長の光である黄色光に変換される。また、LEDチップ2から放射された青色光の一部は、赤色蛍光体シート10中に含有された赤色蛍光体で、より長波長の光である赤色光に変換される。そして、LEDチップ2から放射された青色光と黄色系蛍光体および赤色蛍光体の発光色とに基づく色である白色光が、LEDランプ1から放出される。
このとき、赤色蛍光体シート10からの発光の主波長を変えることにより、発光の色度を変えることができ、色温度や発光輝度、演色性など所望の発光特性を容易に実現することができる。すなわち、赤色蛍光体シート10に含有される赤色蛍光体の主波長や配合量を調整することにより、発光色度が黒体放射の軌跡上に位置しかつ演色性の高いLEDランプを得ることができ、また希望の色温度を実現し、演色性よりも発光効率に優れたLEDランプを得ることも可能である。また、主波長の異なる各種の赤色蛍光体を種々の割合で含有する赤色蛍光体シート10を用意しておき、それらの赤色蛍光体シート10を適宜換えることで、発光の色度を調整することも可能である。
さらに、各LEDランプ1において、赤色蛍光体シート10に含有される赤色蛍光体の主波長や配合量を調整するだけで、所望の色度を得ることができるので、ばらつきがなく均一で良好な発光を有する平面状のLEDモジュール20を容易に得ることができるなお、上記実施形態では、LEDランプ1をマトリックス状に複数個配置したLEDモジュール20について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複数個のLEDランプ1を1列状に配置して形成してもよく、さらにLEDランプ1は単数でもよい。
次に本発明に係る第2の実施形態を示すLEDランプについて説明する。本実施の形態では、一つの凹部内にLEDチップをマトリックス状に複数配置してなる。図4及び図5中符号1はLEDランプを示している。このLEDランプ1は、複数の発光素子としてのLEDチップ2と、回路パターン3と、基板4と、反射層5と、フレームとしてのリフレクタ8と、蛍光体含有樹脂層9と、シート状蛍光体層10、透光性接着層21と、光拡散部材22と、を備えて発光装置(LEDモジュール)を形成している。なお、基板4とリフレクタ8が協同して凹部7を構成している。
基板4は、金属又は絶縁材例えば合成樹脂製の平板からなるとともに、LEDランプ1に必要とされる発光面積を得るために所定形状例えば長方形状をなしている。基板4を合成樹脂製とする場合、例えばガラス粉末入りのエポキシ樹脂等で形成できる。基板4を金属製とする場合、この基板4の裏面からの放熱性がよく、基板4の各部の温度を均一にできるに伴い、同じ波長域の光を発するLEDチップ2の発光色のばらつきを抑制する上で好ましい。前記ばらつき抑制のためには、熱伝導性に優れた材料例えば熱伝導率が10W/m・K以上の材質で基板4を形成するとよく、そうした材料として金属材料例えばアルミニウム又はその合金を挙げることができる。
反射層5は、所定数のLEDチップ2を配設し得る大きさであって、例えば基板4の表面全体に被着されている。反射層5は、400nm〜740nmの波長領域で85%以上の反射率を有した白色の絶縁材で形成されている。反射層5をなす白色絶縁材は、例えば酸化アルミニウム等の白色粉末が混入された熱硬化性樹脂をシート基材に含浸させてなる。反射層5はそれ自体の接着性により基板4の表面となる一面に接着される。
回路パターン3は、各LEDチップ2への通電要素として、反射層5の基板4が接着された面とは反対側の面に接着されている。この回路パターン3は、例えば各LEDチップ2を直列に接続するために、図4に示すように基板4及び反射層5の長手方向に所定間隔ごとに点在して2列形成されている。一方の回路パターン3列の一端側に位置された端側回路パターン3aには給電パターン部3cが一体に連続して形成され、同様に他方の回路パターン3列の一端側に位置された端側回路パターン3aには給電パターン部3dが一体に連続して形成されている。給電パターン部3c,3dは反射層5の長手方向一端部に並べて設けられ、互いに離間して反射層5により絶縁されている。これらの給電パターン部3c,3dの夫々に電源に至る図示しない電線が個別に半田付け等で接続されるようになっている。
各LEDチップ2は、例えば窒化物半導体を用いてなるダブルワイヤー型のLEDチップからなり、反射膜を有しておらず、厚み方向の双方に光を放射できる。各LEDチップ2は、基板4の長手方向に隣接した回路パターン3間に夫々配置されて、白色の反射層5の同一面上に透光性接着層21により接着されている。この接着により、回路パターン3及びLEDチップ2は反射層5の同一面上で直線状に並べられるので、この並び方向に位置したLEDチップ2の側面2a,2bと回路パターン3とは近接して対向するように設けられている。透光性接着層21の厚みは5μm以下である。この透光性接着層21には、例えば5μm以下の厚みで光透過率が70%以上の透光性を有した接着剤、例えばシリコーン樹脂系の接着剤を好適に使用できる。
各LEDチップ2の電極とLEDチップ2の両側に近接配置された回路パターン3とは、ワイヤボンディングにより設けられたボンディングワイヤ6で接続されている。更に、前記二列の回路パターン3列の他端側に位置された端側回路パターン同士も、ワイヤボンディングにより接続されている。したがって、本実施形態の場合、各LEDチップ2は直列に接続されている。
リフレクタ8は、一個一個又は数個のLEDチップ2ごとに個別に設けられるものではなく、反射層5上の全てのLEDチップ2を包囲する単一のものであり、枠、例えば図4に示すように長方形の枠で形成されている。リフレクタ8は反射層5に接着止めされていて、その内部に複数のLEDチップ2及び回路パターン3が収められているとともに、前記一対の給電パターン部3c,3dはリフレクタ8の外部に位置されている。
リフレクタ8は、例えば合成樹脂で成形されていて、その内周面は反射面となっている。リフレクタ8の反射面は、AlやNi等の反射率が高い金属材料を蒸着又はメッキして形成できる他、可視光の反射率の高い白色塗料を塗布して形成することができる。或いは、リフレクタ8の成形材料中に白色粉末を混入させてリフレクタ8自体を可視光の反射率が高い白色とすることもできる。前記白色粉末としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の白色フィラーを用いることができる。なお、リフレクタ8の反射面はLEDランプ1の照射方向に次第に開くように形成することが望ましい。
蛍光体含有樹脂層9は、透光性材料、例えば透明シリコーン樹脂や透明ガラス等からなる。蛍光体含有樹脂層9を形成するために用いる蛍光体粒子として上記したような平均粒径(D50)が15μm以上30μm以下のものを用いると共に、液状透明樹脂として粘度が1Pa・s以上3Pa・s以下のものを用いる。蛍光体を含む液状透明樹脂は、反射層5表面及び一直線上に配列された各LEDチップ2及びボンディングワイヤ6等を満遍なく埋めてリフレクタ8内に固化される。反射層5表面とボンディングワイヤ6との間に流れ込んだ液状透明樹脂は毛細管現象等により各LEDチップ2及びボンディングワイヤ6に行き渡っているものと考えられる。なお、蛍光体含有樹脂層9を形成するために用いられる液状透明樹脂が2種以上の液状透明樹脂からなるものである場合には、これら2種以上の液状透明樹脂を混合した際の混合物の粘度が1Pa・s以上、3Pa・s以下であればよい。例えば、各LEDチップ2を青色LEDチップとした本実施形態では、これらの素子から発光された一次光(青色)を波長変換して異なる波長の二次光として黄色の光を出す蛍光体(図示しない)が、好ましい例として略均一に分散した状態に混入されている。
本実施形態の発光装置では、蛍光体含有樹脂層9は、白色の反射層5上の同一面上に並べて配列された発光素子2を満遍なく覆うことができるため、基板上の複数の凹部内に1個ずつ発光素子を配設したものと比較して発光装置1全体としての色温度の変化が抑制でき発光装置1を歩留まり良く製造することができる。また、各蛍光体の平均粒径(D50)は15μm以上30μm以下であり、前記透明樹脂の硬化前の粘度は1Pa・s以上3Pa・s以下としているので、白色の反射層5上へ注入してから硬化させるまでの間に蛍光体粒子が沈降、堆積することを抑制でき、発光効率を低下させ、さらに均一に発光することができる。
シート状蛍光体層10は、前述した実施形態のものと同様のものである。第2の実施形態の蛍光体含有樹脂層9の表面積が比較的広く、また、柔らかい性質を呈するのでゴミなどが付着しやすい状態にある。これをシート状蛍光体層10で覆うことによりゴミなどの付着を防止するには、シート状蛍光体層10の硬度を高くして硬くするのが望ましい。具体的にはシリコーンレジンやシリコーンゴムなどが好適である。
この組み合わせにより、LEDチップ2から放出された青色の光の一部が蛍光体に当たることなく蛍光体含有樹脂層9を透過する一方で、LEDチップ2から放出された青色の光が当たった各蛍光体が、青色の光を吸収し黄色光及び赤色光を発光して、この黄色光及び赤色光が蛍光体含有樹脂層9及びシート状蛍光体層10を透過するので、これら補色関係にある二色及び赤色光の混合によってLEDランプ1の平均演色評価数Raを向上させた白色光を実現できる。
前記LEDランプ1と組み合わされる光拡散部材22は平板状であってリフレクタ8の前方に配置されている。なお、リフレクタ8にその前方に突出する延長部を設けてそこに光拡散部材22を支持してもよく、或いは、LEDランプ1を収めた図示しない照明器具本体に支持させてもよい。光拡散部材22には、400nm〜480nmの青色の光の透過率と、540nm〜650nmの黄色の光の透過率との差が10%以内であって、可視光の透過率が90%以上100%未満の光拡散性能を有するものを好適に使用できる。こうした光拡散部材22を用いることにより、前記青色の一次光と黄色の二次光とを光拡散部材22で混色させて、光拡散部材22を色むらが抑制された白色を得ることができる。
次に、本発明の実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1〜3 主波長が540nmの第1の黄色蛍光体Y1をシリコーン樹脂に対して後述する割合で配合したY1含有樹脂を、青色発光LEDチップを収容するカップ(凹部)内に塗布・充填してY1含有樹脂層を形成し、その上に赤色蛍光体シートを配置した。
赤色蛍光体シートは、主波長が650nmの赤色蛍光体Rをシリコーン樹脂中に分散させ、ドクターブレード法により厚さ0.5mmのシート状に成形し、150℃で1時間加熱して樹脂を硬化させることにより作製した。このとき、赤色蛍光体Rのシリコーン樹脂に対する配合割合を変えた。実施例1では、黄色蛍光体Y1と赤色蛍光体Rの含有量を、Y1含有樹脂層の総重量とR含有樹脂シート(赤色蛍光体シート)の総重量に対して、それぞれ5%、4%とした。また、実施例2では、黄色光体Y1と赤色蛍光体Rの含有量を、Y1含有樹脂層の総重量と赤色蛍光体シートの総重量に対して、それぞれ5%、8%とした。さらに、実施例3では、黄色蛍光体Y1と赤色蛍光体Rの含有量を、Y1含有樹脂層の総重量と赤色蛍光体シートの総重量に対して、それぞれ5%、12%とした。
そして、これらの赤色蛍光体シートをそれぞれY1含有樹脂層の上に配置し、図1及び図4に示すLEDランプを作製した。次いで、これらのLEDランプの発光の色度を測定した。実施例1では、図6に示すCIE(x,y)色度図において、点E1で表される色度となり、実施例2では点E2で表される色度、実施例3では点E3で表される色度となった。これらの点E1、点E2および点E3はいずれもほぼ黒体軌跡a上にあり、良好な色温度(例えば5000K)の発光を示していた。なお、図6の色度図において、b1は、Y1含有樹脂層からの発光の色度を連ねた線形を示し、これは、LEDチップから発光される青色光の色度を表す点と、黄色蛍光体Y1単体から発光される黄色光の色度を表す点とを結ぶ直線となる。またcは、各波長の色度点を連ねたスペクトル軌跡を表す。
さらに、590〜640nmの範囲で主波長が異なる赤色蛍光体を含む赤色蛍光体シートを使用してLEDランプを作製し、その発光の色度や演色性、発光効率などを測定したところ、赤色蛍光体シートを主波長が異なるものに換えることにより、発光特性(発光の色温度や発光輝度、演色性など)を変えることができることがわかった。すなわち、赤色蛍光体シートに含有される赤色蛍光体の主波長を変えることにより、色度が黒体放射の軌跡上に位置しかつ演色性の高いLEDランプを得ることができ、また希望の色温度を実現し、演色性よりも発光効率に優れた設計のLEDランプを得ることも可能である。
1…LEDランプ、2…LEDチップ、3…回路パターン、4…基板、6…ボンディングワイヤ、7…凹部、8…フレーム、9…黄色系蛍光体含有樹脂層、10…赤色蛍光体シート。
Claims (6)
- 凹部を有する基材と;
前記凹部内に配置された青色光を放射する発光素子と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて、黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体を含有し、前記発光素子を覆うように配置された蛍光体含有樹脂層と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を含有し、前記蛍光体含有樹脂層の上に前記基材の凹部を被覆するように配設されたシート状蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。 - 前記基材の凹部の複数個が平板状の基板の上に所定の配列で配設されていることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
- シート状蛍光体層は前記凹部内であって開口部とほぼ面一となるように配設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の発光装置。
- 複数の発光素子と;
白色の絶縁材により前記各発光素子を間隔的に並べて配設し得る大きさに形成された反射層と;
反射層に形成されて前記発光素子に電気的に接続された回路パターンと;
回路パターンの近傍で前記複数の発光素子を前記反射層の同一面上に接着する透光性接着層と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて、黄色光ないし橙色光を発光する黄色系蛍光体を含有し、前記発光素子を覆うように配置された蛍光体含有樹脂層と;
前記発光素子から放射された青色光により励起されて赤色光を発光する赤色蛍光体を含有し、前記蛍光体含有樹脂層の上に配設されたシート状蛍光体層と;
を具備することを特徴とする発光装置。 - 蛍光体含有樹脂層及びシート状蛍光体層を構成する樹脂は同じ材質であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか一記載の発光装置。
- 黄色系蛍光体の平均粒径(D50)は15μm以上30μm以下であり、前記蛍光体含有樹脂層を形成する樹脂の硬化前の粘度は1Pa・s以上3Pa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか一記載の発光装置。
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