JP2007063682A - 抄き合わせ紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 抄き合わせ紙の製造に際して、少ない塗工量で層間強度を高めるとともに、デンプン系で生じる作業上の問題点を改善する。
【解決手段】 (A)未糊化デンプン類と、(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマーとの混合物からなる層間強度向上剤を抄き合わせ前の湿潤紙層表面に塗工した後、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する方法である。成分(B)は、直鎖状のエチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーが好ましく、このポリマー(B)にはポリアリルアミン系ポリマー、ポリビニルアミン系ポリマーが挙げられる。成分(B)はデンプン類(A)に高い親和性を有し、相乗効果によって少量の塗工で充分な層間強度が得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】 (A)未糊化デンプン類と、(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマーとの混合物からなる層間強度向上剤を抄き合わせ前の湿潤紙層表面に塗工した後、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する方法である。成分(B)は、直鎖状のエチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーが好ましく、このポリマー(B)にはポリアリルアミン系ポリマー、ポリビニルアミン系ポリマーが挙げられる。成分(B)はデンプン類(A)に高い親和性を有し、相乗効果によって少量の塗工で充分な層間強度が得られる。
【選択図】 なし
Description
本発明は抄き合わせ紙の製造方法に関して、コストを抑えた少ない塗布量で効率的に層間強度の高い抄き合わせ紙を製造できるものを提供する。
紙管原紙や白板紙などの厚みのある板紙は多層抄きで製造されている。従来、層間を貼り合わせる接着剤(層間強度向上剤)には生デンプンや燐酸エステル化デンプンなどが用いられ、これらのスラリーをスプレーして抄き合わせ紙を製造するのが一般的である。
しかし、デンプンの接着強度は弱く、充分な強度を得るには多量に使用する必要があるため、作業上或は環境上、次の問題点があった。
(1)抄き合わせ後の乾燥工程で充分に糊化しない。特に、近年、生産性アップに伴って抄紙マシーンが高速化し、デンプン塗布量が多い場合、乾燥時に糊化に必要な熱量が得られない状況が増えていることが、この傾向を加速させる原因となっている。
(2)デンプン塗布量が多く、糊化時にデンプンの吸水量が多い時などに、層間でふくれ現象が発生する。
(3)スプレーノズルが目詰まりする。
(4)分散液の沈降によって、塗布濃度にブレが生じる。
(5)定着されずに排水へ抜けた場合、CODが上昇する。
しかし、デンプンの接着強度は弱く、充分な強度を得るには多量に使用する必要があるため、作業上或は環境上、次の問題点があった。
(1)抄き合わせ後の乾燥工程で充分に糊化しない。特に、近年、生産性アップに伴って抄紙マシーンが高速化し、デンプン塗布量が多い場合、乾燥時に糊化に必要な熱量が得られない状況が増えていることが、この傾向を加速させる原因となっている。
(2)デンプン塗布量が多く、糊化時にデンプンの吸水量が多い時などに、層間でふくれ現象が発生する。
(3)スプレーノズルが目詰まりする。
(4)分散液の沈降によって、塗布濃度にブレが生じる。
(5)定着されずに排水へ抜けた場合、CODが上昇する。
このようなスプレーデンプンの欠点を改善する目的で、種々の層間強度向上剤、並びに当該向上剤を用いた抄き合わせ紙を製造する方法が開発されている。
(1)特許文献1
コストを上昇させずに層間強度を向上する目的で、(メタ)アクリル酸系単量体をイオン性高分子からなる分散剤の存在下にて塩水溶液中で分散重合して得られる100μm以下のアニオン性高分子分散物と、糊化前のデンプン粒子との混合分散液をスプレーして、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
(1)特許文献1
コストを上昇させずに層間強度を向上する目的で、(メタ)アクリル酸系単量体をイオン性高分子からなる分散剤の存在下にて塩水溶液中で分散重合して得られる100μm以下のアニオン性高分子分散物と、糊化前のデンプン粒子との混合分散液をスプレーして、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
(2)特許文献2
デンプンより少量の使用で層間強度を向上する目的で、(メタ)アクリル酸/アクリルニトリル/アクリルアミド系単量体、或は、さらにノニオン性、アニオン性又はカチオン性などのその他の単量体を所定重量比率にて、カチオン性ポリマーからなる分散剤の存在下で重合したポリマー分散液をスプレーして、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
デンプンより少量の使用で層間強度を向上する目的で、(メタ)アクリル酸/アクリルニトリル/アクリルアミド系単量体、或は、さらにノニオン性、アニオン性又はカチオン性などのその他の単量体を所定重量比率にて、カチオン性ポリマーからなる分散剤の存在下で重合したポリマー分散液をスプレーして、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
(3)特許文献3
デンプン類とアクリルアミド系の高分子からなる添加剤により層間強度を向上する目的で、デンプン存在下にて(メタ)アクリルアミド/アニオン性モノマー(α,β−不飽和カルボン酸類)/カチオン性モノマー(3級アミン含有単量体又は4級アンモニウム塩含有単量体)と連鎖移動剤を重合して得られた両性型共重合体を塗布して、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
デンプン類とアクリルアミド系の高分子からなる添加剤により層間強度を向上する目的で、デンプン存在下にて(メタ)アクリルアミド/アニオン性モノマー(α,β−不飽和カルボン酸類)/カチオン性モノマー(3級アミン含有単量体又は4級アンモニウム塩含有単量体)と連鎖移動剤を重合して得られた両性型共重合体を塗布して、抄き合わせ紙を製造する方法が開示されている。
(4)特許文献4
低添加量で層間強度を向上する目的で、両性の(メタ)アクリルアミド系水溶液又は分散性高分子を、所定濃度において白濁した状態で使用する抄き合わせ紙の製造する方法が開示されている。
低添加量で層間強度を向上する目的で、両性の(メタ)アクリルアミド系水溶液又は分散性高分子を、所定濃度において白濁した状態で使用する抄き合わせ紙の製造する方法が開示されている。
(5)特許文献5
デンプンに含まれる可溶性のリン化合物がパルプスラリー中の硫酸アルミニウムと反応して不溶性のリン酸アルミニウムの沈殿を析出させることを抑制し、且つ、紙の強度を向上することを目的として、デンプンに結合したリン化合物の含有量が所定条件を満たす特定の尿素リン酸エステル化デンプンをスプレーする抄紙方法が開示されている。このスプレー用デンプンは層間強度などの向上に用いられる(第1頁左下欄、第2頁右上欄参照)。
デンプンに含まれる可溶性のリン化合物がパルプスラリー中の硫酸アルミニウムと反応して不溶性のリン酸アルミニウムの沈殿を析出させることを抑制し、且つ、紙の強度を向上することを目的として、デンプンに結合したリン化合物の含有量が所定条件を満たす特定の尿素リン酸エステル化デンプンをスプレーする抄紙方法が開示されている。このスプレー用デンプンは層間強度などの向上に用いられる(第1頁左下欄、第2頁右上欄参照)。
(6)特許文献6
(メタ)アクリルアミド/アニオン性モノマー(不飽和カルボン酸類、スルホン酸類など)/カチオン性モノマー(3級アミン含有単量体、4級アンモニウム塩含有単量体など)と連鎖移動剤を重合して得られたアクリルアミド系共重合体を、デンプンなどの水分散性多糖類を含む水分散液中でグラフト重合して得られるグラフト構造の多糖類−アクリルアミド系共重合体を紙力増強剤、層間強度向上剤などに用いることが開示されている(請求項1、第27段落参照)。
(メタ)アクリルアミド/アニオン性モノマー(不飽和カルボン酸類、スルホン酸類など)/カチオン性モノマー(3級アミン含有単量体、4級アンモニウム塩含有単量体など)と連鎖移動剤を重合して得られたアクリルアミド系共重合体を、デンプンなどの水分散性多糖類を含む水分散液中でグラフト重合して得られるグラフト構造の多糖類−アクリルアミド系共重合体を紙力増強剤、層間強度向上剤などに用いることが開示されている(請求項1、第27段落参照)。
層間強度向上剤として、デンプン類に代えてPAM(ポリアクリルアミド)系の薬品を用いることが考えられるが、PAM系高分子には次の問題点がある。
(a)PAMとデンプンのコスト差を考えると、デンプンの1/10程度の使用量で効果を出す必要がある。
(b)デンプンは未糊化でスプレーされて湿紙表面に残り易いが、PAM系高分子は水溶液状態であるため、表面に残り難く充分な強度が得られない。特に、上記(a)の通り、少量塗布では強度の確保は容易でない。
(a)PAMとデンプンのコスト差を考えると、デンプンの1/10程度の使用量で効果を出す必要がある。
(b)デンプンは未糊化でスプレーされて湿紙表面に残り易いが、PAM系高分子は水溶液状態であるため、表面に残り難く充分な強度が得られない。特に、上記(a)の通り、少量塗布では強度の確保は容易でない。
上記特許文献に示された層間強度向上剤も、PAM系、或は、デンプンをグラフトしたPAM系高分子が多く、上記問題を解消するには充分でない。また、特許文献1はアニオン性ポリマーとデンプン類の混合物を有効成分とするが、層間強度はやはり満足すべき水準ではない。
本発明は抄き合わせ紙を製造するに際して、少ない添加量で効率的に層間強度を高めることを技術的課題とする。
本発明は抄き合わせ紙を製造するに際して、少ない添加量で効率的に層間強度を高めることを技術的課題とする。
本発明者らは、1級アミン含有ポリマー、特に、カチオンの電荷密度が高いものをデンプン類と組み合わせると、デンプン類と両性の前記PAM系ポリマーを併用した場合は勿論、前記特許文献1のようなアニオン性ポリマーを併用した場合よりも、パルプ繊維及びデンプン粒子との新和性が強く働くことにより、1級アミン含有ポリマーとデンプン類の相乗作用にて少ない塗布量で効果的に層間強度を向上できることを見い出して、本発明を完成した。
即ち、本発明1は、抄き合わせ前の湿潤紙層表面に層間強度向上剤を塗工した後、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する方法において、
上記層間強度向上剤が、
(A)未糊化デンプン類と、
(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマー
との混合物であることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
上記層間強度向上剤が、
(A)未糊化デンプン類と、
(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマー
との混合物であることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明2は、上記本発明1において、
1級アミン含有ポリマー(B)が、次の一般式(1)で表される、
−(CH2−CH−)n− …(1)
|
(CH2)m−NH2
(式(1)中、mは0〜3の整数、nは重合数)
エチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーであることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
1級アミン含有ポリマー(B)が、次の一般式(1)で表される、
−(CH2−CH−)n− …(1)
|
(CH2)m−NH2
(式(1)中、mは0〜3の整数、nは重合数)
エチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーであることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明3は、上記本発明2において、一般式(1)の構造を有するポリマー(B)が、ポリアリルアミン系ポリマー、ポリビニルアミン系ポリマーの少なくとも一種であることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明4は、上記本発明1〜3のいずれかにおいて、デンプン類(A)が、生デンプン、変性デンプンの少なくとも一種である事を特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
本発明5は、上記本発明1〜4のいずれかにおいて、デンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)の混合重量比率が、A:B=95〜35:5〜65であることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法である。
(1)本発明の層間強度向上剤では、比較的カチオン密度の高い1級アミン含有ポリマー(B)を使用することにより、湿潤紙層の表面に当該ポリマー自身(B)と未糊化デンプン(A)とを効率的に定着させることができる。
この場合、薬品の作用機構については不明な部分が多く推測の域を出ないが、ポリマー成分(B)が比較的カチオン密度の高い1級アミンを含有するため、例えば、前記特許文献1のデンプン/アニオン性ポリマー混合物よりも、パルプ繊維並びにデンプン粒子との間に親和力、即ち、イオン的な結合力や水素結合力が強く働き、湿紙表面に両薬品が効率的に局在化して定着するため、少ない塗布量で効率的に層間強度が増大しているのではないかと推定される。
この両薬品の相乗的な作用により、少ない塗布量で効率的に層間強度の高い抄き合わせ紙を製造できるため、従来のデンプン単独スプレー処方に比べても、コスト面で有利となる。
さらに、デンプンを単独で多量に塗布すると、冒述の通り、充分に糊化しなかったり、ふくれやスプレーの目詰まりが発生したり、或は、塗布濃度にブレが生じるなどの問題があるが、本発明方法ではこれらの問題点を解消できるうえ、少ない塗工量ゆえに、短い乾燥時間でも効率的に層間強度を高めることができ、作業面においても有利になる。
この場合、薬品の作用機構については不明な部分が多く推測の域を出ないが、ポリマー成分(B)が比較的カチオン密度の高い1級アミンを含有するため、例えば、前記特許文献1のデンプン/アニオン性ポリマー混合物よりも、パルプ繊維並びにデンプン粒子との間に親和力、即ち、イオン的な結合力や水素結合力が強く働き、湿紙表面に両薬品が効率的に局在化して定着するため、少ない塗布量で効率的に層間強度が増大しているのではないかと推定される。
この両薬品の相乗的な作用により、少ない塗布量で効率的に層間強度の高い抄き合わせ紙を製造できるため、従来のデンプン単独スプレー処方に比べても、コスト面で有利となる。
さらに、デンプンを単独で多量に塗布すると、冒述の通り、充分に糊化しなかったり、ふくれやスプレーの目詰まりが発生したり、或は、塗布濃度にブレが生じるなどの問題があるが、本発明方法ではこれらの問題点を解消できるうえ、少ない塗工量ゆえに、短い乾燥時間でも効率的に層間強度を高めることができ、作業面においても有利になる。
(2)1級アミン含有ポリマー(B)が上記一般式(1)の構造を有するポリマー、例えば、ポリアリルアミン系、ポリビニルアミン系ポリマーの場合には、高いカチオン電荷密度を保持でき、少ない塗工量で層間強度を容易に向上できる。
また、より短い乾燥時間で層間強度を高めることができ、抄き合わせ紙の製造に際して作業効率を促進できる。
また、より短い乾燥時間で層間強度を高めることができ、抄き合わせ紙の製造に際して作業効率を促進できる。
本発明は、(A)未糊化デンプン類と、(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマーとの混合物からなる層間強度向上剤を、抄き合わせ前の湿潤紙層表面に塗工した後、プレスして、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する方法である。
本発明の層間強度向上剤は、デンプン類(A)と所定以上のカチオン電荷を有する1級アミン含有ポリマー(B)との混合物である。
デンプンは水とともに加熱すると、膨潤して糊化(即ち、α化)するが、上記デンプン類(A)は、未糊化のデンプン類を指す。
即ち、上記デンプン類(A)は、小麦、トウモロコシ、米、サツマイモ、ジャガイモ、タピオカ、サゴ等の生デンプン、デキストリン、或は、生デンプンに化学的、物理的、酵素的修飾を施した、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプン、リン酸デンプン、尿素リン酸エステル化デンプン等の変性デンプンなどをいう。本発明4に示すように、未糊化デンプン類(A)としては、生デンプン、変性デンプンが好ましい。
デンプンは水とともに加熱すると、膨潤して糊化(即ち、α化)するが、上記デンプン類(A)は、未糊化のデンプン類を指す。
即ち、上記デンプン類(A)は、小麦、トウモロコシ、米、サツマイモ、ジャガイモ、タピオカ、サゴ等の生デンプン、デキストリン、或は、生デンプンに化学的、物理的、酵素的修飾を施した、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、カチオン化デンプン、リン酸デンプン、尿素リン酸エステル化デンプン等の変性デンプンなどをいう。本発明4に示すように、未糊化デンプン類(A)としては、生デンプン、変性デンプンが好ましい。
本発明の層間強度向上剤の一方の成分である上記1級アミン含有ポリマー(B)は、分子内に1級アミンを含有する条件を満たすポリマーであり、1級アミンの外に2級アミン、3級アミン、或は4級アンモニウム塩を含有しても差し支えない。しかしながら、その逆に、2〜3級アミン、或は、4級アンモニウム塩を含有するが、1級アミンを含まないポリマーは、層間強度向上効果が低く(後述の試験例参照)、本ポリマー(B)から排除される。
当該1級アミン含有ポリマー(B)は、例えば、1級アミンを含有するモノマーを重合して得られるポリマーが一般的であり、ポリマーの種類は問わないため、PAM系であっても差し支えない。また、ポリエチレンイミンのような1級〜3級アミンを含有するポリマー、アミド基含有ポリマーをホフマン転移させて1級アミノ基に変性させたポリマー(この場合、部分的にアミド基が残存しても差し支えない)なども、本ポリマー(B)に含まれる。
当該1級アミン含有ポリマー(B)は、例えば、1級アミンを含有するモノマーを重合して得られるポリマーが一般的であり、ポリマーの種類は問わないため、PAM系であっても差し支えない。また、ポリエチレンイミンのような1級〜3級アミンを含有するポリマー、アミド基含有ポリマーをホフマン転移させて1級アミノ基に変性させたポリマー(この場合、部分的にアミド基が残存しても差し支えない)なども、本ポリマー(B)に含まれる。
本発明の1級アミン含有ポリマー(B)のカチオン当量は3meq/g以上であることが必要である。カチオン当量が3ミリ当量/gより少ないと、湿潤紙層表面に層間強度向上剤を塗工した場合、少ない塗工量で充分な層間強度が得られない(後述の試験例参照)。また、好ましいカチオン当量は4meq/g以上である。
この場合、カチオン当量は、酸性に調整したポリマー溶液をポリビニル硫酸カリウム水溶液で滴定して、流動電位がゼロになる液量から電荷量を算出した数値をいう(後述の試験例参照)。
本発明の1級アミン含有ポリマー(B)としては、本発明2に示すように、上記一般式(1)で表される、エチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーが好ましく、直鎖状のエチレン主鎖を有するものがより好ましい。この構造のポリマーでは、メチレン鎖が長くなると、分子量が増してカチオン当量を3meq/g以上に保持することが難しくなるため、メチレン鎖の数mは0〜3個であるポリマーが好ましいのである。
本発明3に示すように、この一般式(1)の構造を有するポリマー(B)としては、ポリアリルアミン系ポリマー(メチレン鎖数m=1)、ポリビニルアミン系ポリマー(同じくm=0)が挙げられる。
上記ポリビニルアミン系ポリマーは、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのホモポリマー又は共重合体であり、その市販品にはBASFjapan製のバソコールPR8086、PR8092などがある。また、上記ポリアリルアミン系ポリマーは、例えば、N−アリルアミン(塩)などのホモポリマー又は共重合体であり、その市販品には日東紡社製のPAA−H−10C、PAA−10C、PAA−15Bなどがある。
この場合、カチオン当量は、酸性に調整したポリマー溶液をポリビニル硫酸カリウム水溶液で滴定して、流動電位がゼロになる液量から電荷量を算出した数値をいう(後述の試験例参照)。
本発明の1級アミン含有ポリマー(B)としては、本発明2に示すように、上記一般式(1)で表される、エチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーが好ましく、直鎖状のエチレン主鎖を有するものがより好ましい。この構造のポリマーでは、メチレン鎖が長くなると、分子量が増してカチオン当量を3meq/g以上に保持することが難しくなるため、メチレン鎖の数mは0〜3個であるポリマーが好ましいのである。
本発明3に示すように、この一般式(1)の構造を有するポリマー(B)としては、ポリアリルアミン系ポリマー(メチレン鎖数m=1)、ポリビニルアミン系ポリマー(同じくm=0)が挙げられる。
上記ポリビニルアミン系ポリマーは、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのホモポリマー又は共重合体であり、その市販品にはBASFjapan製のバソコールPR8086、PR8092などがある。また、上記ポリアリルアミン系ポリマーは、例えば、N−アリルアミン(塩)などのホモポリマー又は共重合体であり、その市販品には日東紡社製のPAA−H−10C、PAA−10C、PAA−15Bなどがある。
本発明の層間強度向上剤を構成するデンプン類(A)、1級アミン含有ポリマー(B)は、前述の各具体例を夫々単用又は併用できる。
デンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)の混合重量比率は任意であり、特段の制限はないが、コスト面でデンプン類(A)は当該ポリマー(B)の1/10、或はそれ以下であることに鑑みると、デンプン類の重量割合を増した方が良いことはいうまでもない。
本発明5に示すように、成分(A)と成分(B)の混合重量比率は、A:B=95〜35:5〜65が適当であり、A:B=90〜60:10〜40が好ましい。即ち、コストを抑える見地から、層間強度向上剤の全量に対してデンプン類(A)は95〜35重量%、ポリマー(B)は5〜65重量%が適当であり、後述の実施例ではデンプン類(A)は概ね50重量%以上を使用している。
デンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)の混合重量比率は任意であり、特段の制限はないが、コスト面でデンプン類(A)は当該ポリマー(B)の1/10、或はそれ以下であることに鑑みると、デンプン類の重量割合を増した方が良いことはいうまでもない。
本発明5に示すように、成分(A)と成分(B)の混合重量比率は、A:B=95〜35:5〜65が適当であり、A:B=90〜60:10〜40が好ましい。即ち、コストを抑える見地から、層間強度向上剤の全量に対してデンプン類(A)は95〜35重量%、ポリマー(B)は5〜65重量%が適当であり、後述の実施例ではデンプン類(A)は概ね50重量%以上を使用している。
デンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)の混合物(形態としては混合液)は所定濃度に希釈して湿潤紙層の表面に塗工されるが、その際、混合液の濃度は任意に調整できる。
この成分(A)と(B)の混合液からなる層間強度向上剤には、ゼラチン、カゼイン、ガラクトマンナンなどの天然接着剤、或は、他の紙用添加剤を混合しても良い。
層間強度向上剤からなる混合液の湿潤紙層への塗工はスプレー(噴霧)処理が一般的であるが、刷毛による塗布や含浸処理などでも良い。
湿潤紙層への塗工量は任意であり特段の制限はないが、0.01〜1.5g/m2程度(用途によっては1.5g/m2以上)が適当であり、0.05〜0.50g/m2程度が好ましい。
また、湿潤紙には、PAM系ポリマーなどの紙力増強剤を内添しても良いことはいうまでもない(後述の抄き合わせ紙の製造実施例参照)。
以上のように、本発明においては、層間強度向上剤を湿潤紙層の表面に塗工し、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する。層間強度向上剤の一方の1級アミン含有ポリマー(B)は他方のデンプン類(A)に対して強い親和性があり、乾燥時の加熱で糊化したデンプン類(A)と当該ポリマー(B)とが湿潤紙層の表面に歩留った状態で相乗的に作用し、少量の塗工にて紙層間の強度を効果的に増大できる。
この成分(A)と(B)の混合液からなる層間強度向上剤には、ゼラチン、カゼイン、ガラクトマンナンなどの天然接着剤、或は、他の紙用添加剤を混合しても良い。
層間強度向上剤からなる混合液の湿潤紙層への塗工はスプレー(噴霧)処理が一般的であるが、刷毛による塗布や含浸処理などでも良い。
湿潤紙層への塗工量は任意であり特段の制限はないが、0.01〜1.5g/m2程度(用途によっては1.5g/m2以上)が適当であり、0.05〜0.50g/m2程度が好ましい。
また、湿潤紙には、PAM系ポリマーなどの紙力増強剤を内添しても良いことはいうまでもない(後述の抄き合わせ紙の製造実施例参照)。
以上のように、本発明においては、層間強度向上剤を湿潤紙層の表面に塗工し、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する。層間強度向上剤の一方の1級アミン含有ポリマー(B)は他方のデンプン類(A)に対して強い親和性があり、乾燥時の加熱で糊化したデンプン類(A)と当該ポリマー(B)とが湿潤紙層の表面に歩留った状態で相乗的に作用し、少量の塗工にて紙層間の強度を効果的に増大できる。
以下、本発明の層間強度向上剤のうちの一成分である1級アミン含有ポリマー(B)の合成例、当該合成例で得られたポリマー(B)とデンプン類(A)とからなる層間強度向上剤を用いた抄き合わせ紙の製造実施例、当該実施例で得られた抄き合わせ紙の層間強度試験例を順次説明する。また、合成例、実施例、試験例中の「%」、「部」は基本的に重量基準である。
尚、本発明は下記の実施例、合成例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
尚、本発明は下記の実施例、合成例などに拘束されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得ることは勿論である。
《1級アミン含有ポリマー(B)の合成例》
下記の合成例及び比較合成例では、重合反応でポリマーを合成する例だけではなく、合成に代えて市販品を使用した例を含む。
合成例1はカチオン当量が3meq/g以上のポリアリルアミン系ポリマーの例、合成例2〜4は同様にポリビニルアミン系ポリマーの例である。
また、比較合成例1はカチオン当量が3meq/gより小さいポリビニルアミン系ポリマーの例である。比較合成例2は1級アミン含有ポリマーと同様にカチオン性ポリマーに属する、2級アミン含有ポリマーの例、比較合成例3は同じく4級アンモニウム塩含有ポリマーの例である。
下記の合成例及び比較合成例では、重合反応でポリマーを合成する例だけではなく、合成に代えて市販品を使用した例を含む。
合成例1はカチオン当量が3meq/g以上のポリアリルアミン系ポリマーの例、合成例2〜4は同様にポリビニルアミン系ポリマーの例である。
また、比較合成例1はカチオン当量が3meq/gより小さいポリビニルアミン系ポリマーの例である。比較合成例2は1級アミン含有ポリマーと同様にカチオン性ポリマーに属する、2級アミン含有ポリマーの例、比較合成例3は同じく4級アンモニウム塩含有ポリマーの例である。
上記ポリマーのカチオン当量は下記の方法で測定・算出した。
[カチオン当量の測定]
MUTE製の粒子電荷計PCD02に、pHを3前後に調整したポリマー水溶液を所定量入れ、N/400のポリビニル硫酸カリウム水溶液で滴定を行い、流動電位がゼロとなる液量から電荷量を算出した。
そこで、上記合成例1〜4及び比較合成例1〜3の各ポリマーのカチオン当量を示すと、次の通りである(ポリマーの略称は下記の合成例及び比較合成例参照)。
カチオン当量(meq/g)
合成例1(PAA) 8.6
合成例2(PVAm−1) 7.9
合成例3(PVAm−2) 6.0
合成例4(PVAm−3) 3.4
比較合成例1(PVAm−4) 2.4
比較合成例2(PAS−92) 3.7
比較合成例3(PAS−J−81) 5.5
[カチオン当量の測定]
MUTE製の粒子電荷計PCD02に、pHを3前後に調整したポリマー水溶液を所定量入れ、N/400のポリビニル硫酸カリウム水溶液で滴定を行い、流動電位がゼロとなる液量から電荷量を算出した。
そこで、上記合成例1〜4及び比較合成例1〜3の各ポリマーのカチオン当量を示すと、次の通りである(ポリマーの略称は下記の合成例及び比較合成例参照)。
カチオン当量(meq/g)
合成例1(PAA) 8.6
合成例2(PVAm−1) 7.9
合成例3(PVAm−2) 6.0
合成例4(PVAm−3) 3.4
比較合成例1(PVAm−4) 2.4
比較合成例2(PAS−92) 3.7
比較合成例3(PAS−J−81) 5.5
(1)合成例1
日東紡製のポリアリルアミン系ポリマーであるPAA−H−10C(以下、PAAと略す;1級アミン含有ポリマー)を使用した。
日東紡製のポリアリルアミン系ポリマーであるPAA−H−10C(以下、PAAと略す;1級アミン含有ポリマー)を使用した。
(2)合成例2
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、N−ビニルホルムアミド60gと水240gを入れ、窒素ガス気流中で60℃まで昇温した。これに、10重量%の2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸水溶液1.8gを添加して、60℃で4時間保持した。
次いで、得られた重合体水溶液に48%−水酸化ナトリウム99gを添加して、80℃で3時間保持した。加水分解後、塩酸と水を添加してpH9〜10の水溶液に調整し、ポリマー有効成分8重量%のポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−1)を得た。
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計を備えた500mlの四つ口フラスコに、N−ビニルホルムアミド60gと水240gを入れ、窒素ガス気流中で60℃まで昇温した。これに、10重量%の2,2′−アゾビス−2−アミジノプロパン2塩酸水溶液1.8gを添加して、60℃で4時間保持した。
次いで、得られた重合体水溶液に48%−水酸化ナトリウム99gを添加して、80℃で3時間保持した。加水分解後、塩酸と水を添加してpH9〜10の水溶液に調整し、ポリマー有効成分8重量%のポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−1)を得た。
(3)合成例3〜4
重合体水溶液の加水分解時に加える水酸化ナトリウムの量、及び80℃での保持時間を変更した以外は、上記合成例2と同様の方法にて、加水分解率の異なる(即ち、カチオン当量が異なる)ポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−2〜3)を得た。
重合体水溶液の加水分解時に加える水酸化ナトリウムの量、及び80℃での保持時間を変更した以外は、上記合成例2と同様の方法にて、加水分解率の異なる(即ち、カチオン当量が異なる)ポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−2〜3)を得た。
(4)比較合成例1
重合体水溶液の加水分解時に加える水酸化ナトリウムの量、並びに80℃での保持時間を変更した以外は、上記合成例2と同様の方法にて、加水分解率の異なる(即ち、カチオン当量が3meq/g未満の)ポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−4)を得た。
重合体水溶液の加水分解時に加える水酸化ナトリウムの量、並びに80℃での保持時間を変更した以外は、上記合成例2と同様の方法にて、加水分解率の異なる(即ち、カチオン当量が3meq/g未満の)ポリビニルアミン系ポリマー(PVAm−4)を得た。
(5)比較合成例2
日東紡製のポリアリルアミン系樹脂であるPAS−92(ジアリルアミン/SO2の共重合体;2級アミン含有ポリマー)を使用した。
日東紡製のポリアリルアミン系樹脂であるPAS−92(ジアリルアミン/SO2の共重合体;2級アミン含有ポリマー)を使用した。
(6)比較合成例3
日東紡製のポリアリルアミン系樹脂であるPAS−J−81(アクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合体;4級アンモニウム塩含有ポリマー)を使用した。
日東紡製のポリアリルアミン系樹脂であるPAS−J−81(アクリルアミド/ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合体;4級アンモニウム塩含有ポリマー)を使用した。
そこで、未糊化デンプン類(A)と、上記合成例1〜4及び比較合成例1〜3で得られた1級アミン含有ポリマー(B)、2級アミン又は4級アンモニウム塩含有ポリマー、或は、これら比較合成例以外のポリマー種である両性PAM系ポリマーとの混合液からなる層間強度向上剤などを用いた抄き合わせ紙の製造実施例、比較例を述べる。
《抄き合わせ紙の製造実施例》
前述したように、コスト面から見ると、1級アミン含有ポリマーなどの各種ポリマーはデンプン類の価格よりかなり高価である。
このため、ポリマーの価格をデンプン類の10倍程度であると仮定したうえで、デンプン類(A)のみを使用した比較例1(即ち、従来の代表例)をコストの基準例として、他の実施例、比較例においては、コストが当該比較例1に近似するように、薬品の重量混合比率及び塗工量を調整した。
例えば、比較例1では、塗工量は0.50g/m2であり、デンプン類とポリマーの重量比率は、デンプン類/ポリマー=100/0であるため、コスト指標は0.50×100%=0.50で表される。実施例1では、塗工量は0.14g/m2であり、デンプン類とポリマーの重量比率は、デンプン類/ポリマー=70/30であるため、コスト指標は0.14×30%×10+0.14×70%×1=0.518で表され、比較例1のコスト指標と概ね近似している。
《抄き合わせ紙の製造実施例》
前述したように、コスト面から見ると、1級アミン含有ポリマーなどの各種ポリマーはデンプン類の価格よりかなり高価である。
このため、ポリマーの価格をデンプン類の10倍程度であると仮定したうえで、デンプン類(A)のみを使用した比較例1(即ち、従来の代表例)をコストの基準例として、他の実施例、比較例においては、コストが当該比較例1に近似するように、薬品の重量混合比率及び塗工量を調整した。
例えば、比較例1では、塗工量は0.50g/m2であり、デンプン類とポリマーの重量比率は、デンプン類/ポリマー=100/0であるため、コスト指標は0.50×100%=0.50で表される。実施例1では、塗工量は0.14g/m2であり、デンプン類とポリマーの重量比率は、デンプン類/ポリマー=70/30であるため、コスト指標は0.14×30%×10+0.14×70%×1=0.518で表され、比較例1のコスト指標と概ね近似している。
実施例1〜4はデンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)(ポリアリルアミン系ポリマー)との重量混合比率及び塗工量を変化させた例である。実施例5〜13は成分(A)と成分(B)(ポリビニルアミン系ポリマー)との重量混合比率及び塗工量を変化させた例である。実施例14〜15は上記実施例8を基本として、成分(A)と成分(B)(ポリビニルアミン系ポリマー)のうち、成分(A)に生デンプンの代わりに変性デンプンを使用した例である。
一方、比較例1はデンプン類(A)のみを塗工し、1級アミン含有ポリマー(B)を塗工しないブランク例(従来の代表例)である。比較例2〜3は成分(B)のみを塗工し、成分(A)を塗工しないブランク例である。比較例4は成分(A)と、前記比較合成例1であるカチオン当量が所定未満のポリマー(B)とを塗工した例である。比較例5は冒述の特許文献4に準拠した例であり、本発明の1級アミン含有ポリマー(B)に代えて、両性PAM系ポリマー(PAMと略す)を塗工した例、比較例6はデンプン類(A)と当該両性PAM系ポリマーを塗工した例である。比較例7は本発明の1級アミン含有ポリマー(B)に代えて、前記比較合成例2の2級アミン含有ポリマーを塗工した例、比較例8はデンプン類(A)と当該2級アミン含有ポリマーを塗工した例である。比較例9は本発明の1級アミン含有ポリマー(B)に代えて、前記比較合成例3の4級アンモニウム塩含有ポリマーを塗工した例、比較例10はデンプン類(A)と当該4級アンモニウム塩含有ポリマーを塗工した例である。
尚、図1には、実施例1〜15並びに比較例1〜10のデンプン類(A)とポリマー(B)の種類、その重量混合比率、薬品(成分(A)と(B)の混合液)濃度、塗布量などをまとめた。
尚、図1には、実施例1〜15並びに比較例1〜10のデンプン類(A)とポリマー(B)の種類、その重量混合比率、薬品(成分(A)と(B)の混合液)濃度、塗布量などをまとめた。
(1)実施例1
段ボール古紙(pH6.7、カナディアンスタンダードフリーネス=410ml)の3%スラリーを1分間攪拌し分散した後、液体バンドを1.5%添加(対パルプ分)した。更に1分後、下記の合成例に示す内添紙力増強剤を0.4%添加(対パルプ分)し、1分間攪拌を続けた。全ての薬品を添加した後のパルプスラリーのpHは6.4であった。この紙料170mlを採取し、タッピスタンダードシートマシン(1/16m2)に投入し、乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙した。
次いで、ワイヤー上の湿紙に濾紙とクーチプレートを乗せ、クーチロールを1回かけ、湿紙を濾紙に転写した。得られた湿紙の水分量は82%であり、これをA層とした。A層は濾紙ごと直示天秤に乗せ、0.17重量%のPAA(合成例1のポリマー)と未糊化の生デンプン(コーンスターチ)スラリーを30:70の重量比率で混合した溶液をハンドスプレーで5gスプレー塗布した。この場合、薬品塗布量は0.14g/m2に相当する量であった。
次いで、A層と同様にして、坪量80g/m2の紙を抄紙する際に、抄造時の水をワイヤー下付近に残した状態で排水を止めた。このワイヤー上の湿紙の水分量は92%であり、これをB層とした。薬品を塗布したA層を濾紙が付いたままB層に重ね合わせ、残したワイヤー下の水を排水することにより減圧脱水した。
その後、新たに濾紙とプレートを乗せ、クーチロールをかけ、濾紙に転写させた。転写した湿紙を2枚の濾紙で挟み、5kg/m2の圧力で1分間プレスした後、回転ドラムドライヤーで105℃で3分間乾燥させて、実施例1の抄き合わせ紙を得た。
段ボール古紙(pH6.7、カナディアンスタンダードフリーネス=410ml)の3%スラリーを1分間攪拌し分散した後、液体バンドを1.5%添加(対パルプ分)した。更に1分後、下記の合成例に示す内添紙力増強剤を0.4%添加(対パルプ分)し、1分間攪拌を続けた。全ての薬品を添加した後のパルプスラリーのpHは6.4であった。この紙料170mlを採取し、タッピスタンダードシートマシン(1/16m2)に投入し、乾燥坪量80g/m2の紙を抄紙した。
次いで、ワイヤー上の湿紙に濾紙とクーチプレートを乗せ、クーチロールを1回かけ、湿紙を濾紙に転写した。得られた湿紙の水分量は82%であり、これをA層とした。A層は濾紙ごと直示天秤に乗せ、0.17重量%のPAA(合成例1のポリマー)と未糊化の生デンプン(コーンスターチ)スラリーを30:70の重量比率で混合した溶液をハンドスプレーで5gスプレー塗布した。この場合、薬品塗布量は0.14g/m2に相当する量であった。
次いで、A層と同様にして、坪量80g/m2の紙を抄紙する際に、抄造時の水をワイヤー下付近に残した状態で排水を止めた。このワイヤー上の湿紙の水分量は92%であり、これをB層とした。薬品を塗布したA層を濾紙が付いたままB層に重ね合わせ、残したワイヤー下の水を排水することにより減圧脱水した。
その後、新たに濾紙とプレートを乗せ、クーチロールをかけ、濾紙に転写させた。転写した湿紙を2枚の濾紙で挟み、5kg/m2の圧力で1分間プレスした後、回転ドラムドライヤーで105℃で3分間乾燥させて、実施例1の抄き合わせ紙を得た。
尚、本実施例1で、抄き合わせ前の紙料に内添する紙力増強剤の合成例は下記の通りである。
[内添用紙力増強剤の合成]
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計を備えた500mlのフラスコに、水345g、アクリルアミド58.9g、イタコン酸2.3g、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド8.4g、メチレンビスアクリルアミド0.007gを入れ、硫酸でpH3付近に調節した。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、攪拌下60℃まで昇温した。
次に、1%過硫酸アンモニウム水溶液水40gと1%亜硫酸ナトリウム10gを仕込んだ。80℃まで昇温して120分間かけて重合を行い、固形分15.1%、粘度6400mPa・s(25℃)、平均分子量235万の両性ポリアクリルアミド系重合体水溶液を得た。
[内添用紙力増強剤の合成]
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計を備えた500mlのフラスコに、水345g、アクリルアミド58.9g、イタコン酸2.3g、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド8.4g、メチレンビスアクリルアミド0.007gを入れ、硫酸でpH3付近に調節した。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、攪拌下60℃まで昇温した。
次に、1%過硫酸アンモニウム水溶液水40gと1%亜硫酸ナトリウム10gを仕込んだ。80℃まで昇温して120分間かけて重合を行い、固形分15.1%、粘度6400mPa・s(25℃)、平均分子量235万の両性ポリアクリルアミド系重合体水溶液を得た。
(2)実施例2〜13
1級アミン含有ポリマー(B)の種類、未糊化生デンプン(A)との混合比率及び薬品濃度を図1に示す条件で変更した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2〜13の各抄き合わせ紙を得た。
1級アミン含有ポリマー(B)の種類、未糊化生デンプン(A)との混合比率及び薬品濃度を図1に示す条件で変更した以外は、実施例1と同様の操作により、実施例2〜13の各抄き合わせ紙を得た。
(3)実施例14〜15
1級アミン含有ポリマーに混合するデンプンに、未糊化のカチオン化デンプン又はリン酸エステル化デンプンを使用した以外は、上記実施例8と同様の操作により、実施例14〜15の各抄き合わせ紙を得た。
1級アミン含有ポリマーに混合するデンプンに、未糊化のカチオン化デンプン又はリン酸エステル化デンプンを使用した以外は、上記実施例8と同様の操作により、実施例14〜15の各抄き合わせ紙を得た。
(4)比較例1
塗布する薬品のうち、未糊化の生デンプンを0.63%の濃度で塗布した以外は、前記実施例1と同様の操作により、比較例1の抄き合わせ紙を得た。
塗布する薬品のうち、未糊化の生デンプンを0.63%の濃度で塗布した以外は、前記実施例1と同様の操作により、比較例1の抄き合わせ紙を得た。
(5)比較例2〜10
成分(A)と(B)からなる薬品の種類及び濃度を図1に示す条件で変更した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例2〜10の抄き合わせ紙を得た。
成分(A)と(B)からなる薬品の種類及び濃度を図1に示す条件で変更した以外は、実施例1と同様の操作により、比較例2〜10の抄き合わせ紙を得た。
但し、比較例5〜6に使用した両性PAM系ポリマーの合成例は下記の通りである。
[両性PAM系ポリマーの合成例]
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計、モノマー及び触媒滴下用ロートを備えた500mlのフラスコに水119gを入れ、攪拌下90℃まで昇温した。次に、モノマー滴下用ロートにアクリルアミド72g、イタコン酸0.8g、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド2.8g、メチレンビスアクリルアミド0.01g及び水140gを仕込み、硫酸でpH4付近に調節した。
また、触媒滴下用ロートには、過硫酸アンモニウム0.35g及び水30gを仕込んだ。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、触媒を150分間かけて滴下し、モノマーは100分間かけて滴下して、環流下で重合した。
重合終了後、48%水酸化ナトリウム1g及び水を加え、固形分15.8%、粘度3400mPa・s(25℃)、平均分子量265万の両性ポリアクリルアミド系重合体水溶液(PAMと略す)を得た。
[両性PAM系ポリマーの合成例]
攪拌機、窒素導入管、冷却管、温度計、モノマー及び触媒滴下用ロートを備えた500mlのフラスコに水119gを入れ、攪拌下90℃まで昇温した。次に、モノマー滴下用ロートにアクリルアミド72g、イタコン酸0.8g、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド2.8g、メチレンビスアクリルアミド0.01g及び水140gを仕込み、硫酸でpH4付近に調節した。
また、触媒滴下用ロートには、過硫酸アンモニウム0.35g及び水30gを仕込んだ。窒素ガスを通じて反応系内の酸素を除去した後、触媒を150分間かけて滴下し、モノマーは100分間かけて滴下して、環流下で重合した。
重合終了後、48%水酸化ナトリウム1g及び水を加え、固形分15.8%、粘度3400mPa・s(25℃)、平均分子量265万の両性ポリアクリルアミド系重合体水溶液(PAMと略す)を得た。
《抄き合わせ紙の層間強度試験例1》
そこで、実施例1〜15及び比較例1〜10で得られた各抄き合わせ紙を調湿した後、紙の重量を測定すると共に、J−TAPPI No.19−77に従ってT字剥離強さ(fg/5cm)を測定した。
そこで、実施例1〜15及び比較例1〜10で得られた各抄き合わせ紙を調湿した後、紙の重量を測定すると共に、J−TAPPI No.19−77に従ってT字剥離強さ(fg/5cm)を測定した。
図1の最右欄はその試験結果である。
比較例1はデンプン類(A)のみを使用した従来例であり、層間強度は282(gf/5cm)であった。
この層間強度を基準にすると、比較例1と同様のコスト条件に設定された実施例1〜15は、いずれも少ない塗工量で層間強度に優れることが確認できた。
デンプン類(A)を用いず、所定のカチオン当量を有する1級アミン含有ポリマー(B)(ポリアリルアミン系又はポリビニルアミン系ポリマー)のみを使用した比較例2〜3では、層間強度は実施例1〜15はもとより、比較例1にも大きく劣った。従って、この比較例2〜3を実施例に対比すると、抄き合わせ紙の層間強度を向上するには、成分(A)と(B)の併用が必要であることが明らかになった。
また、成分(A)と(B)の併用であっても、カチオン当量が所定に満たないポリマー(B)を使用した比較例4では、層間強度は比較例1より大きく劣った。従って、適正な層間強度を得るには、成分(A)と(B)を併用するだけでは充分でなく、ポリマー(B)には所定以上のカチオン当量が必要であることが確認された。
比較例1はデンプン類(A)のみを使用した従来例であり、層間強度は282(gf/5cm)であった。
この層間強度を基準にすると、比較例1と同様のコスト条件に設定された実施例1〜15は、いずれも少ない塗工量で層間強度に優れることが確認できた。
デンプン類(A)を用いず、所定のカチオン当量を有する1級アミン含有ポリマー(B)(ポリアリルアミン系又はポリビニルアミン系ポリマー)のみを使用した比較例2〜3では、層間強度は実施例1〜15はもとより、比較例1にも大きく劣った。従って、この比較例2〜3を実施例に対比すると、抄き合わせ紙の層間強度を向上するには、成分(A)と(B)の併用が必要であることが明らかになった。
また、成分(A)と(B)の併用であっても、カチオン当量が所定に満たないポリマー(B)を使用した比較例4では、層間強度は比較例1より大きく劣った。従って、適正な層間強度を得るには、成分(A)と(B)を併用するだけでは充分でなく、ポリマー(B)には所定以上のカチオン当量が必要であることが確認された。
比較例5は冒述の特許文献4に準拠して、両性PAM系ポリマー(3級アミン含有モノマーとアニオン性モノマーとアクリルアミドの共重合体)のみを使用した例であるが、層間強度は前記比較例2〜4と同様の水準であり、比較例1より大きく劣った。また、この両性PAM系ポリマーをデンプン類と併用した比較例6では、層間強度は当該比較例5より少し改善されたが、やはり比較例1より劣った。
同じく、2級アミン含有ポリマー又は4級アンモニウム塩含有ポリマーだけを使用した比較例7又は9も層間強度は比較例1より大きく劣り、これらのポリマーとデンプン類(A)を併用した比較例8又は10も、層間強度は当該比較例7又は9より少し改善されたものの、やはり比較例1より劣った。
以上のように、比較例5〜10を実施例1〜15に対比すると、両性PAM系ポリマー、又はカチオン性ポリマーである2級アミン含有ポリマーや4級アンモニウム塩含有ポリマーのみを使用し、或はこれらのポリマーとデンプン類を併用しても、抄き合わせ紙の層間強度の向上には寄与しないこと、また、デンプン類に併用するポリマーは両性ポリマーや、同じカチオン性ポリマーのうちでも2級アミン含有ポリマーや4級アンモニウム塩含有ポリマーではなく、1級アミン含有ポリマーでなければ層間強度を向上できないことが確認できた。
同じく、2級アミン含有ポリマー又は4級アンモニウム塩含有ポリマーだけを使用した比較例7又は9も層間強度は比較例1より大きく劣り、これらのポリマーとデンプン類(A)を併用した比較例8又は10も、層間強度は当該比較例7又は9より少し改善されたものの、やはり比較例1より劣った。
以上のように、比較例5〜10を実施例1〜15に対比すると、両性PAM系ポリマー、又はカチオン性ポリマーである2級アミン含有ポリマーや4級アンモニウム塩含有ポリマーのみを使用し、或はこれらのポリマーとデンプン類を併用しても、抄き合わせ紙の層間強度の向上には寄与しないこと、また、デンプン類に併用するポリマーは両性ポリマーや、同じカチオン性ポリマーのうちでも2級アミン含有ポリマーや4級アンモニウム塩含有ポリマーではなく、1級アミン含有ポリマーでなければ層間強度を向上できないことが確認できた。
そこで、実施例1〜15の層間強度について詳述する。
実施例1〜4(成分(B)はポリアリルアミン系ポリマー)では、成分(B)の混合比率の増減に伴って塗工量を調整しているが、塗工量が変化しても概ね同様の層間強度を保持できた。即ち、デンプン類の重量比率が比較的多く、塗工量が多い実施例3〜4も、逆に、ポリマーの重量比率が比較的多く、塗工量が少ない実施例1〜2でも層間強度にはあまり変わりがなかった。但し、層間強度のレベルから見ると、デンプン類の重量比率が多い実施例3〜4の評価が相対的に良かった。
一方、成分(B)にポリビニルアミン系ポリマーを使用した実施例5〜13では、ポリマー(B)の重量比率が同じ(20重量%)で、カチオン当量の異なるポリマーを使用した実施例6、8、12を対比すると、同じ塗工量(0.18g/m2)では、カチオン当量が大きい方(実施例6)が層間強度は増す傾向を示した。同じカチオン当量のポリマー(PVAm−2)を使用した実施例7〜11を見ると、ポリマー(B)の重量比率の増減に拘わらず、少ない塗工量で概ね同様の層間強度を達成できた。但し、層間強度のレベルから見ると、ポリマー(B)の重量比率が小さい実施例7〜8の評価が相対的に良く、ポリマー(B)が50重量%以上の比率である実施例11では、塗工量が0.08g/m2と少量である(コスト面からポリマーの重量比率が多いために塗工量が少ない)ため、評価は実施例7〜8に一歩譲った。
また、成分(A)を生デンプンから変性デンプンに代替した実施例14〜15においては、成分(A)と(B)の重量比率が共通する実施例8と対比しても、層間強度にあまり差異は見られなかった。
実施例1〜4(成分(B)はポリアリルアミン系ポリマー)では、成分(B)の混合比率の増減に伴って塗工量を調整しているが、塗工量が変化しても概ね同様の層間強度を保持できた。即ち、デンプン類の重量比率が比較的多く、塗工量が多い実施例3〜4も、逆に、ポリマーの重量比率が比較的多く、塗工量が少ない実施例1〜2でも層間強度にはあまり変わりがなかった。但し、層間強度のレベルから見ると、デンプン類の重量比率が多い実施例3〜4の評価が相対的に良かった。
一方、成分(B)にポリビニルアミン系ポリマーを使用した実施例5〜13では、ポリマー(B)の重量比率が同じ(20重量%)で、カチオン当量の異なるポリマーを使用した実施例6、8、12を対比すると、同じ塗工量(0.18g/m2)では、カチオン当量が大きい方(実施例6)が層間強度は増す傾向を示した。同じカチオン当量のポリマー(PVAm−2)を使用した実施例7〜11を見ると、ポリマー(B)の重量比率の増減に拘わらず、少ない塗工量で概ね同様の層間強度を達成できた。但し、層間強度のレベルから見ると、ポリマー(B)の重量比率が小さい実施例7〜8の評価が相対的に良く、ポリマー(B)が50重量%以上の比率である実施例11では、塗工量が0.08g/m2と少量である(コスト面からポリマーの重量比率が多いために塗工量が少ない)ため、評価は実施例7〜8に一歩譲った。
また、成分(A)を生デンプンから変性デンプンに代替した実施例14〜15においては、成分(A)と(B)の重量比率が共通する実施例8と対比しても、層間強度にあまり差異は見られなかった。
以上のように、成分(A)と(B)の混合液を湿潤紙層の表面に塗工すると、少ない塗工量で層間強度を向上できることが分かった。
そこで、本発明の層間強度向上剤を用いて所定の塗工量の下で乾燥時間を変化させた場合の層間強度を、従来のデンプン類のみを塗工した場合と対比して、現場での作業性の適否を試験した。
《抄き合わせ紙の製造実施例及び層間強度試験例2》
実施例16〜18は前記実施例8を基本として、乾燥時間の変化に伴う層間強度の差異性を調べた例である。比較例11〜12はデンプン類のみを用いて塗工濃度に濃淡を持たせた際に、乾燥時間の変化に伴う層間強度の差異性を調べた例である。
尚、図2には、実施例16〜18及び比較例11〜16のデンプン類(A)とポリマー(B)の種類、その重量混合比率、薬品(成分(A)と(B)の混合液)濃度、塗布量などをまとめた。
そこで、本発明の層間強度向上剤を用いて所定の塗工量の下で乾燥時間を変化させた場合の層間強度を、従来のデンプン類のみを塗工した場合と対比して、現場での作業性の適否を試験した。
《抄き合わせ紙の製造実施例及び層間強度試験例2》
実施例16〜18は前記実施例8を基本として、乾燥時間の変化に伴う層間強度の差異性を調べた例である。比較例11〜12はデンプン類のみを用いて塗工濃度に濃淡を持たせた際に、乾燥時間の変化に伴う層間強度の差異性を調べた例である。
尚、図2には、実施例16〜18及び比較例11〜16のデンプン類(A)とポリマー(B)の種類、その重量混合比率、薬品(成分(A)と(B)の混合液)濃度、塗布量などをまとめた。
(1)実施例16〜18
図2に示す通り、前記実施例8と同様の混合溶液(コーンスターチとPVAm−2)を塗布し、乾燥時間を3分、1.5分、1分に変更した以外は、前記実施例1と同様の操作により、実施例16〜18の各抄き合わせ紙を得た。また、各条件毎に乾燥直後の紙重量を測定し、調湿後の紙重量と対比した。
図2に示す通り、前記実施例8と同様の混合溶液(コーンスターチとPVAm−2)を塗布し、乾燥時間を3分、1.5分、1分に変更した以外は、前記実施例1と同様の操作により、実施例16〜18の各抄き合わせ紙を得た。また、各条件毎に乾燥直後の紙重量を測定し、調湿後の紙重量と対比した。
(2)比較例11〜16
塗布薬品にデンプン(コーンスターチ)単独の分散溶液を用い、薬品濃度及び乾燥時間を図2に示した条件で変更した以外は、前記実施例1と同様の操作により、比較例11〜16の各抄き合わせ紙を得た。
塗布薬品にデンプン(コーンスターチ)単独の分散溶液を用い、薬品濃度及び乾燥時間を図2に示した条件で変更した以外は、前記実施例1と同様の操作により、比較例11〜16の各抄き合わせ紙を得た。
次いで、実施例16〜18及び比較例11〜16で得られた各抄き合わせ紙について、前記試験例1と同様に、J−TAPPI No.19−77に従ってT字剥離強さ(fg/5cm)を測定した。
図2の最右欄はその試験結果である。
先ず、比較例11〜16では、比較例11→12→13に見るように、デンプン類の塗工量が多いと(下記の比較例14〜16の0.25g/m2に比べて2倍の0.5g/m2である)、糊化に時間を要するため、乾燥時間1分では258(gf/5cm)であり、3分では287(gf/5cm)であることから、乾燥時間が短くなると層間強度が低下することが分かる。
また、デンプン類の塗工量が少ない比較例14〜16では、比較例14→15→16に見るように、層間強度は乾燥時間にあまり影響されなかった(これは、糊化に多くの熱量を要しないため、乾燥時間が短くても一定の層間強度が得られるためと推定できる)。その反面、層間強度のレベルは塗工量が少ないために低かった。
これに対して、実施例16〜18を見ると、実施例16では過乾燥につき、乾燥直後の重量より調湿後の重量は大きく増加していた。実施例18では乾燥直後の重量より調湿後の重量は減少しており、直後には乾燥が不充分であることが窺えた。また、実施例17ではこれらの中間の数値であった。
先ず、比較例11〜16では、比較例11→12→13に見るように、デンプン類の塗工量が多いと(下記の比較例14〜16の0.25g/m2に比べて2倍の0.5g/m2である)、糊化に時間を要するため、乾燥時間1分では258(gf/5cm)であり、3分では287(gf/5cm)であることから、乾燥時間が短くなると層間強度が低下することが分かる。
また、デンプン類の塗工量が少ない比較例14〜16では、比較例14→15→16に見るように、層間強度は乾燥時間にあまり影響されなかった(これは、糊化に多くの熱量を要しないため、乾燥時間が短くても一定の層間強度が得られるためと推定できる)。その反面、層間強度のレベルは塗工量が少ないために低かった。
これに対して、実施例16〜18を見ると、実施例16では過乾燥につき、乾燥直後の重量より調湿後の重量は大きく増加していた。実施例18では乾燥直後の重量より調湿後の重量は減少しており、直後には乾燥が不充分であることが窺えた。また、実施例17ではこれらの中間の数値であった。
以上のように、比較例11〜16では、デンプン類の塗工量が多い場合、乾燥時間が短くなると層間強度が低下し、デンプン類の塗工量が少ない場合には、層間強度は乾燥時間にあまり影響されないが、層間強度のレベルは塗工量が多い場合より低下した。これに対して、実施例16〜18では、乾燥時間を問わず層間強度はあまり変わらないことから、デンプン類のみを使用する場合に比べて少ない塗工量で、且つ、乾燥時間が短くても、高い層間強度が得られることが確認できた。
従って、本発明にあっては、抄き合わせ紙を製造する場合、現場での作業性に優れ、生産性を高めることができる。
従って、本発明にあっては、抄き合わせ紙を製造する場合、現場での作業性に優れ、生産性を高めることができる。
Claims (5)
- 抄き合わせ前の湿潤紙層表面に層間強度向上剤を塗工した後、プレスし、さらに乾燥して抄き合わせ紙を製造する方法において、
上記層間強度向上剤が、
(A)未糊化デンプン類と、
(B)3meq/g以上のカチオン当量を有する1級アミンを含有するポリマー
との混合物であることを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法。 - 1級アミン含有ポリマー(B)が、次の一般式(1)で表される、
−(CH2−CH−)n− …(1)
|
(CH2)m−NH2
(式(1)中、mは0〜3の整数、nは重合数)
エチレン主鎖の炭素原子に炭素数が0〜3個のメチレン鎖を介して1級アミンが結合した構造を有するポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の抄き合わせ紙の製造方法。 - 一般式(1)の構造を有するポリマー(B)が、ポリアリルアミン系ポリマー、ポリビニルアミン系ポリマーの少なくとも一種であることを特徴とする請求項2に記載の抄き合わせ紙の製造方法。
- デンプン類(A)が、生デンプン、変性デンプンの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の抄き合わせ紙の製造方法。
- デンプン類(A)と1級アミン含有ポリマー(B)の混合重量比率が、A:B=95〜35:5〜65であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の抄き合わせ紙の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019076702A1 (de) | 2017-10-18 | 2019-04-25 | Basf Se | Verfahren zur herstellung von mehrlagigem papier |
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-
2005
- 2005-08-29 JP JP2005247811A patent/JP2007063682A/ja active Pending
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