JP3944803B2 - 抄き合わせ紙用添加剤および抄き合わせ紙の製造方法 - Google Patents

抄き合わせ紙用添加剤および抄き合わせ紙の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抄き合わせ紙用添加剤および抄き合わせ紙の製造方法に関する。本発明の抄き合わせ紙用添加剤は、層間接着剤、濾水性向上剤として使用できる。特に層間接着剤として有用である。
【0002】
【従来の技術】
抄き合わせ紙は、抄き合わせ前の湿潤紙層の表面に層間接着剤をスプレー塗布して製造されており、層間接着剤としては、従来より安価な澱粉が用いられている。しかし、澱粉は使用に際して、水に分散された状態で用いられるため、スプレーノズルの詰まりや分散液の沈降により添加量が振れるなどの作業上の問題がある。また、澱粉は抄き合わせた後の乾燥工程で糊化させて接着させるため、乾燥工程時に糊化しやすい酸化澱粉、α化澱粉、カチオン化澱粉等の変性澱粉等が多く採用されているにもかかわらず、澱粉自体の接着強度が弱いため、目的の層間接着強度を得るためには澱粉を多量に使用せざるをえず、そのため抄き合わせ後の乾燥工程で充分に糊化できなかったり、澱粉に吸収された水の影響で層間でふくれ現象を起こすことなども問題とされている。さらには層間に定着されずに紙外へ抜けた澱粉が排水のCOD上昇の原因となるなどの環境上の問題もあり、澱粉の使用に関してはさまざまな問題を抱えているのが現状である。
【0003】
このような問題を解決するために、澱粉に代わる層間接着剤として、疎水性のモノマーを導入したアクリルアミド系の水溶性高分子や、等電点によるイオンコンプレックスの形成を利用した両性系のアクリルアミド系の水溶性高分子が提案されている(特開平7−157999号公報、特開平7−189193号公報等)。かかるアクリルアミド系の水溶性高分子によれば、層間接着剤の添加量が少なくて済み、また取り扱い性がよいこと等の特長を有するため、前記澱粉を使用する際に伴う問題点は解決される。
【0004】
しかし、アクリルアミド系の水溶性高分子は層間接着剤として優れた性能を有している反面、澱粉と比較すると高価であるためにその使用には経済的制約をうけているのが現状である。こうした現状の問題に対し、澱粉等とアクリルアミド系の水溶性高分子をブレンドしたり、澱粉等の存在下でアクリルアミド等を共重合したものなども検討されているが、十分な層間接着強度の抄き合わせ紙を提供できる抄き合わせ紙用添加剤は未だ開発されていない。また、層間接着剤は、これをスプレー噴霧する際の液ダレや噴霧状態等のスプレー適性が不十分であったり、操業性、特に抄紙マシーンの汚れについての問題がある。特に近年、製紙業界においては、製紙プロセスにおけるクローズド化に伴う水質の悪化や、古紙のリサイクル化による原料パルプの悪化などにより、抄紙マシーンの汚れを助長する要因が多くなってきており、抄紙マシーンの汚れの少ない薬品が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、抄き合わせ紙用の層間接着剤としての諸特性を有する澱粉類およびアクリルアミド系の高分子からなる抄き合わせ紙用添加剤であって、しかもスプレー適性がよく、抄紙マシーンの汚れに係わる問題の少ない抄き合わせ紙用添加剤および抄き合わせ紙の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく、澱粉類を含有する水溶液中で、アクリルアミド等を主成分とするモノマー混合物を共重合して得られる両性共重合体を含有する抄き合わせ紙用添加剤を使用した際のスプレー適性および抄紙マシーンの汚れについて検討を重ねた。その結果、スプレー適性には、モノマー混合物を共重合した両性共重合体の粘性を低下させることとスプレ−時の希薄溶液の安定性が重要であること、また抄紙マシーンの汚れは、紙層に定着しきれなかった層間接着剤が白水中で夾雑物と接触することにより凝集して粘着性物質となり、それがマシーンワイヤーや毛布などに付着することにより生じると考えられることから、抄紙マシーンの汚れを改善するためには、層間接着剤の定着性を向上させることは無論であるが、未定着の層間接着剤がマシーン汚れを引き起こさないように前記モノマー混合物組成を設計することが重要であると考えた。そして、これらのことを考慮して、澱粉類を含有する水溶液中で、共重合させるモノマー混合物の組成について鋭意検討を重ねた結果、疎水性モノマー、特に(メタ)アクリロニトリルを特定量含有し、かつアニオン性モノマーとしてメタクリル酸を特定量含有してなる以下に示す特定組成のモノマー混合物を共重合して得られた両性型共重合体が、広範囲の抄紙pH領域において硫酸バンドのような定着剤の有無に拘わらず高い定着性能を有し、またスプレー適性に優れ、しかも抄紙系において粘着性のある凝集物を生じないため、沈殿しても容易に再分散させることができるため容易に洗浄除去できること、さらには当該両性型共重合体を構成するメタクリル酸のモル含有率を水溶性カチオン性モノマ−のモル含有率以上にすることでさらに層間接着強度を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、尿素燐酸エステル澱粉5〜40重量%の存在下に、(a)(メタ)アクリルアミド、(b)メタクリル酸、(c)水溶性カチオン性モノマーおよび(d)疎水性モノマーを含むモノマー混合物60〜95重量%を共重合させて得られる両性型共重合体を含有する、スプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤、前記モノマー混合物中に、さらに(e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーを3モル%以下含んでなるスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤、ならびに、紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせた後、湿潤紙層をプレスし、さらに乾燥する工程を含む2層以上の抄き合わせ紙の製造方法において、紙層形成後の抄き合わせ前の湿潤紙層間に、前記スプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤をスプレー添加することを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法に関する。以下、スプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤は単に抄き合わせ紙用添加剤という。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の抄き合わせ紙用添加剤には、小麦、米、トウモロコシ、馬鈴薯、タピオカ等の生澱粉を原料としてこれに所定の熱化学処理を施した尿素燐酸エステル澱粉を用いる。当該尿素燐酸エステル澱粉の存在下でモノマー混合物を共重合して得られる両性型共重合体からなる製品は安定性の点で好ましい。
【0009】
尿素燐酸エステル澱粉類の存在下で共重合させるモノマー混合物は、(a)(メタ)アクリルアミドを主成分としてなる。なお、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドおよび/またはメタクリルアミドをいう。本発明において(メタ)とは全て同様の意味である。これら(メタ)アクリルアミドは単独使用または併用できるが、経済性の面からはアクリルアミドを単独使用するのがよい。(a)(メタ)アクリルアミドの使用量は、モノマーの総モル和に対し、45〜93モル%程度であり、使用量の下限としては、60モル%、上限としては88モル%の範囲とするのがより好ましい。
【0010】
また本発明の抄き合わせ紙用添加剤は、尿素燐酸エステル澱粉類の存在下で、モノマー混合物を共重合した両性型共重合体を含むため、モノマー混合物としてアニオン性モノマーおよびカチオン性モノマーを使用する。共重合体中に、アニオン基とカチオン基の両イオン性基を導入することによりスプレー適性が良好となり、またカチオン性基の自己定着性とアニオン性基と紙中の硫酸バンドとの相互作用による相乗効果により定着率も向上する。さらに層間接着強度を向上させるためには、高分子中におけるアニオン価をカチオン価より高くするのがよい。
【0011】
本発明で用いるアニオン性モノマーは、公知のものであれば制限なく何でも使用できるというわけではなく、両性型共重合体が、スプレー適性に優れ、しかも白水中で粘着性のある凝集物を生じさせないようにするため、各種アニオン性モノマーのなかでも、(b)メタクリル酸を使用することが必須とされる。(b)メタクリル酸にはその塩を含む。すなわち、メタクリル酸は、それ自身は親水性であるが、共重合体中では疎水性を示して両性型共重合体の粘性を下げる効果があり、スプレー適性の点で好ましい。また、スプレー塗布する際に希薄溶液とした場合にも安定性がよい。硬度の高い水を希釈水として用いた場合、沈殿物を生じることもあるが、分散性がよいため撹拌により容易に再分散させることができるので、スプレー時のノズルの詰まりやタレもなく作業性の点でも好ましく、マシーン汚れの原因になりにくいという特長がある。なお、同じ親水性のアニオン性モノマーであっても、アクリル酸では両性型共重合体の粘性の低下は認められない。また、イタコン酸のような二塩基酸を用いると、イオンコンプレックスを形成しやすくなるため、希薄溶液中での安定性が著しく低下してしまう。その結果、スプレー時に液ダレが生じ、マシーン汚れを引き起こす原因となる。かかる観点から(b)メタクリル酸の使用量は、モノマーの総モル和に対して、1〜15モル%程度であり、使用量の下限としては、6モル%、上限としては10モル%の範囲とするのがより好ましい。また、(b)メタクリル酸は、必要に応じてあらかじめ重合前に水酸化ナトリウムなどのアルカリにより中和しても良い。中和の割合は適宜選択すれば良いが、(b)メタクリル酸の50モル%以下が好ましい。
【0012】
一方、カチオン性モノマーは、水溶性でカチオン性を示すものであれば特に制限されない。(c)水溶性カチオンモノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第3級アミノ基を有するビニルモノマー、当該第3級アミノ基を有するビニルモノマーの塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸や有機酸の塩類、当該第3級アミノ基含有ビニル単量体とメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチル硫酸やエピクロルヒドリンなどの4級化剤との反応によって得られる第4級アンモニウム塩を含有するビニルモノマーなどがあげられる。(c)水溶性カチオンモノマーの使用量は、モノマーの総モル和に対し、1〜15モル%程度、好ましくは5〜8モル%である。
【0013】
なお、層間接着強度の向上のためには、高分子中におけるアニオン価をカチオン価より高くするのが好ましいため、モノマ−混合物中の前記イオン性を有するモノマーの割合を、(b)メタクリル酸のモル含有率が(c)カチオン性モノマーのモル含有率以上になるように調整するのが好ましい。一方、前記イオン性を有するモノマ−の割合が、前記範囲に満たない場合には、両性型共重合体をスプレー塗布する際の希薄溶液の安定性が不良になったり、湿潤紙層への定着性が悪くなり抄紙マシーンの汚れにつながり易い。また前記範囲を超える場合には(a)(メタ)アクリルアミドの割合が少なくなるため紙力が悪くなり、十分な層間強度を有する抄き合わせ紙を得難い。
【0014】
また、本発明では、水中における両性型共重合体の粘性を抑えるため、(d)疎水性モノマーを使用する。(d)疎水性モノマーとしては、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、α−オレフィンなどがあげられる。これら(d)疎水性モノマー中でも製造面と経済面の点から(メタ)アクリロニトリルが好ましい。(d)疎水性モノマーの使用量は、モノマーの総モル和に対し、5〜30モル%程度であり、下限としては10モル%、上限としては25モル%とするのが好ましい。(d)疎水性モノマーの使用量が、前記範囲に満たない場合には、スプレー適性が悪くなり易い。また前記範囲を超える場合には(a)(メタ)アクリルアミドの割合が少なくなり紙力が悪く十分な層間強度を有する抄き合わせ紙を得難い。
【0015】
本発明の抄き合わせ紙用添加剤としては、尿素燐酸エステル澱粉類の存在下で、前記(a)〜(d)成分を含有してなるモノマー混合物を共重合して得られる両性型共重合体を用いることができるが、当該両性型共重合体に分岐型架橋構造を持たせることにより、高濃度の塗工液をスプレー可能とし、層間接着強度や操業性をさらに向上させるために、モノマー混合物中に前記(a)〜(d)に加えて、さらに(e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーを含有することもできる。
【0016】
(e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーとしては、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸およびこれらの炭素数1〜4のアルキルエステル、アリル(メタ)アクリレート、N−アリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアリル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリトリメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等があげられる。これらの中でもN,N−ジメチルアクリルアミドが最も優れた効果を有している。(e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーの使用量は、モノマーの総モル和に対し、3モル%程度以下である。好ましくは2モル%以下であり、所望の効果を得るためには、その使用量の下限は0.01モル%とするのが好ましい。
【0017】
また本発明の抄き合わせ紙用添加剤として用いる両性型共重合体の製造には、本発明の目的を損なわない範囲で、前記(a)〜(d)成分または前記(a)〜(e)成分と共同重合可能なビニルモノマーを含有するモノマー混合物を使用できる。このようなビニルモノマーとしては、アクリル酸、イタコン酸等のα,β−不飽和カルボン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーまたはそれらの塩、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル等のジビニルエステル類、エポキシアクリレート類、ウレタンアクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデート、ジビニルベンゼン等の2官能性モノマー、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、トリアリルトリメリテート、N,N−ジアリルアクリルアミド等の3官能性モノマー、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラアリルピロメリテート、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、テトラアリルアミン塩、テトラアリルオキシエタン等の架橋性モノマーがあげられる。
【0018】
本発明の抄き合わせ紙用添加剤として用いる両性型共重合体は、尿素燐酸エステル澱粉類の存在下で、前記モノマー混合物を共重合して得られたものである。前記尿素燐酸エステル澱粉類の使用量と、前記モノマー混合物の使用量は、当該両性型共重合体を構成する成分の総重量に対し、尿素燐酸エステル澱粉類の使用量が5〜40重量%であり、一方モノマー混合物の総重量は60〜95重量%である。尿素燐酸エステル澱粉類の使用量は工業的有用性の点からすれば多い程よく、その下限はより好ましくは10重量%以上である。また、得られる両性型共重合体の層間接着剤としての層間接着強度、定着性、製品としての安定性、作業性等の点から、尿素燐酸エステル澱粉の使用量の上限はより好ましくは30重量%以下とされる。なお、製品の安定性や粘度が高くなり作業性に支障を及ぼすことを特に考慮すれば尿素燐酸エステル澱粉の使用量の上限は20重量%以下、さらには15重量%以下である。
【0019】
本発明の両性型共重合体を得る方法は、従来公知の各種方法を採用できる。例えば、所定の反応容器に、まず尿素燐酸エステル澱粉類と水を仕込み糊化させ、ついで前記モノマー混合物を所定量仕込み、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、またはこれらと亜硫酸水素ナトリウムのごとき還元剤とを組み合わせた形のレドックス系重合開始剤等の通常のラジカル重合開始剤を加え、攪拌下、加温することにより共重合させることにより得ることができる。
【0020】
得られた両性型共重合体は水溶性または水分散性の共重合体であり、共重合体の粘度は固形分濃度15重量%に換算して通常30000cps(25℃)程度以下、好ましくは20000cps(25℃)程度以下の性状である。特に、モノマー混合物中に、(e)成分を含む場合には、分岐構造を有しており、当該単量体を使用していない共重合体に比べて、高分子量でありながら比較的低粘度であり、得られた両性型共重合体の粘度は固形分濃度15重量%に換算して通常20000cps(25℃)程度以下、好ましくは10000cps(25℃)程度以下の性状である。
【0021】
また得られた両性型共重合体は、疎水性モノマーを使用し、アニオン性基とカチオン性基を併わせ持つ両性タイプであるため、その希薄溶液(0.01〜5重量%程度の水溶液または水分散液)はやや濁った状態にある。また、粘性が低いため、希薄溶液をスプレー液として、0.5〜3(kg/cm2)の圧力で霧状に噴霧することが可能であり、スプレーノズルの詰まりや液ダレがなく、スプレー適性が良好である。
【0022】
前記両性型共重合体を含有する本発明の抄き合せ紙用添加剤は、常法に従い、本発明の抄き合わせ紙の製造に供される。すなわち、本発明では、紙層形成後の抄き合わせ前の湿潤紙層間に、前記抄き合せ紙用添加剤をスプレー塗布し、紙層形成後に湿潤紙層を抄き合わせた後、湿潤紙層をプレスし、さらに乾燥し、2層以上の抄き合わせ紙を製造する。
【0023】
抄き合せ紙用添加剤として用いる両性型共重合体は、通常、0.01〜5重量%程度の濃度で、50cps(25℃)以下の粘度で使用する。また、かかる抄き合せ紙用添加剤は、通常、パルプ固形分に対し、0.05〜5重量%程度の使用割合でスプレー塗布される。
【0024】
なお、本発明の抄き合わせ紙の製造にあたっては、抄き合わせ前の湿潤紙層の水分量の少ない方の表面に、抄き合せ紙用添加剤をスプレー塗布することによって、さらに抄き合わせ紙の層間接着強度を向上させることができる。また、抄き合わせ前の脱水方向に対し反対側にある湿潤紙層の表面に、抄き合せ紙用添加剤をスプレー塗布することによっても、抄き合わせ紙の層間接着強度を向上させることができる。すなわち、湿潤紙層の表面の水分量はそれぞれ異なるため、上記スプレー塗布方法にしたがって抄き合せ紙用添加剤をスプレー塗布する湿潤紙層の表面を選択すれば、抄紙工程中に水分とともに紙外へ流出する抄き合せ紙用添加剤を最小限に抑えられ、その結果、層間への抄き合せ紙用添加剤の定着の割合が多くなり、抄き合わせ紙の層間接着強度を向上させることができる。その場合貼り合わされる湿潤紙層に硫酸バンドが添加されていれば、その効果をさらに向上させることができる。また、マシーン汚れに対しても効果的である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の両性型共重合体を用いた抄き合わせ紙用添加剤は、単なるブレンド物と違って、澱粉とアクリルアミド系高分子の双方の特性有し、また連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーを用いた場合には分岐型構造により、高い層間接着強度を有する抄き合わせ紙を提供できる。また本発明の抄き合わせ紙用添加剤は、抄き合わせ紙を製造する際のスプレー適性に優れ、また得られる抄き合わせ紙は高い層間接着強度を有する。しかも本発明の抄き合わせ紙用添加剤を用いて抄き合わせ紙を製造した場合には、抄紙マシーンの汚れに係わる問題が少なく、操業性に優れる。さらには尿素燐酸エステル澱粉を使用することで製品の安定性にも優れたものを提供できる。
【0026】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、部および%はいずれも重量基準による。
【0027】
(両性型共重合体の調製)
実施例1
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管、モノマー用滴下ロートおよび触媒用滴下ロートを備えたフラスコに、イオン交換水422部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)41.8部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル43.84部、メタクリル酸8.52部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート25.96部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.28部およびイオン交換水355部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.12部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度4000cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0028】
実施例2
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水746.2部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)73.8部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル23.46部、メタクリル酸7.6部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート32.42部、N,N−ジメチルアクリルアミド2.92部およびイオン交換水332.1部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.10部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度8500cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0029】
実施例3
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水532部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)52.6部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル22.85部、メタクリル酸7.4部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド22.41部、N,N−ジメチルアクリルアミド2.84部およびイオン交換水315.8部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.09部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度5500cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0030】
実施例4
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水474.3部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)46.9部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、アクリロニトリル45.26部、メタクリル酸8.8部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロライドの70%水溶液69.09部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.38部およびイオン交換水378部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.33部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度3500cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0031】
実施例5
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水596.6部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)59.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、アクリロニトリル23.58部、メタクリル酸7.64部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロライドの70%水溶液60.0部、N,N−ジメチルアクリルアミド2.93部およびイオン交換水336.2部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.18部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度5100cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0032】
実施例6
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水919.0部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)72.6部、アクリルアミド155部、アクリロニトリル23.16部、メタクリル酸7.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート31.99部を仕込んだ後、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。窒素ガス雰囲気下、攪拌して50℃まで加熱し、重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.2部および亜硫酸水素ナトリウム0.04部加え、温度90℃で180分間重合を行った。重合終了後、イオン交換水を加え、固形分濃度15%、粘度6800cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0033】
実施例7
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水404.2部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)40.0部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル24.1部、メタクリル酸15.6部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート28.6部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.0部およびイオン交換水339.4部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.07部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度3850cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0034】
実施例8
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水431.4部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)42.6部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル25.5部、メタクリル酸27.6部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート30.2部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.2部およびイオン交換水362.3部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.14部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度3500cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0035】
比較例1
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水537.4部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)53.15部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル41.94部、メタクリル酸13.59部、N,N−ジメチルアクリルアミド1.57部およびイオン交換水318.2部を仕込んだ後、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.07部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方モノマーは120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行い、固形分濃度15%、粘度4900cps(25℃)のアニオン性共重合体を得た。
【0036】
比較例2
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水587.9部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)58.1部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、アクリロニトリル24.22部、イタコン酸11.87部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート33.46部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.01部およびイオン交換水295.2部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.17部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度6100cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0037】
比較例3
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水497.5部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)49.2部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、メタクリル酸6.5部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート27.82部、N,N−ジメチルアクリルアミド2.51部およびイオン交換水295.2部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.10部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度6200cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0038】
比較例4
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水574.5部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)56.8部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、アクリロニトリル24.22部、アクリル酸6.58部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート33.46部、N,N−ジメチルアクリルアミド3.01部およびイオン交換水340.9部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.14部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度5800cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0039】
比較例5
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水577.9部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)57.2部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド160部、アクリロニトリル23.9部、イタコン酸11.71部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート33.02部およびイオン交換水341.8部を仕込みを仕込んだ後、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.14部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%、粘度3800cps(25℃)の両性型共重合体を得た。
【0040】
比較例6
実施例1と同様の反応装置に、イオン交換水2238.6部および尿素燐酸エステル澱粉(王子エースP340、王子コーンスターチ(株)製)221.4部を入れ、窒素ガス雰囲気下、攪拌して90℃まで加熱した。次に、モノマー用滴下ロートにアクリルアミド155部、アクリロニトリル23.46部、メタクリル酸7.6部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート32.42部、N,N−ジメチルアクリルアミド2.92部およびイオン交換水332.1部を仕込み、硫酸を用いてpHを4〜5に調整した。また、触媒用滴下ロートには、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.10部およびイオン交換水100部を仕込んだ。窒素ガスを通じて全ての反応系内の酸素を除去した後、触媒は連続的に200分間かけて滴下し、一方、モノマー混合物は120分間かけて滴下して、温度90℃で重合を行った。重合の途中から増粘してしまい重合終了後、イオン交換水を所定量加え、固形分濃度15%に調整したが、高粘度品となり、翌日固まった。
【0041】
前記実施例1〜6および比較例1〜6に記載の共重合体を構成する、澱粉および混合モノマーの種類および組成比(モル%)示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003944803
【0043】
表1中、AM:アクリルアミド、MAA:メタクリル酸、IA:イタコン酸、AA:アクリル酸、DM:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、APDM:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、Dml:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートベンジルクロライド、AN:アクリロニトリル、DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミドを示す。
【0044】
(抄き合わせ紙の製造)
段ボール古紙をナイアガラ式ビーターにて叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.S.F.)420mlに調整したパルプに硫酸バンドを2%添加した後、市販のアニオン性アクリルアミド系紙力増強剤を対パルプ0.7%添加して攪拌し均一に混合した。得られたパルプスラリーを0.5%まで希釈し、手抄紙試験機により水分量80%の湿紙(乾燥坪量50g/m2)を調製した。湿紙の片面に、表1に示す実施例1〜6または比較例1〜5で得た抄きあわせ紙用添加剤をイオン交換水で0.5%に希釈した液を、パルプ固形分に対して0.7%となる割合でスプレー塗布した後、紙力剤塗布面ともう1方の湿紙とを重ね、150mmHgで1分間吸引脱水し、乾燥して、抄き合わせ紙を得た。
【0045】
(層間接着強度の測定)
得られた抄き合わせ紙を24時間調湿後、J−TAPPIの紙パルプ試験方法(No.19−77)に従って層間接着強度(T字剥離強度(g/in))を測定した。結果を表2に示す。
【0046】
(定着率)
得られた抄き合わせ紙の窒素含有量を測定し、層間への定着率を算出した。定着率(%)=(B−C)/A×100。A:塗布した抄き合わせ紙用添加剤の窒素量測定値、B:抄き合わせ紙用添加剤を塗布して抄き合わせた紙の窒素量測定値、C:Bと同じパルプを用いて層間接着剤を塗布せず抄き合わせた紙の窒素量測定値。結果を表2に示す。
【0047】
(スプレー適性)
キャップスプレー装置(WAGNER製,HV−380)を用いて、実施例1〜6または比較例1〜5で得た各種アクリルアミド系水溶性共重合体を濃度0.5%に希釈した水溶液のスプレー状態(スプレー圧:0.5kg/cm2)およびノズルからの液ダレを観察した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
Figure 0003944803
【0049】
表1中、(1)は合成できなかったため、評価不能であった。
【0050】
(希薄溶液の安定性:マシーン汚れに相当する評価)
実施例1〜6または比較例1〜5で得られた抄き合わせ紙用添加剤を、抄紙系を想定して、30°硬水を用いて濃度0.5%に希釈した水溶液を、0.1規定水酸化ナトリウム水溶液で表3または表4に示す各pHに調節した後、室温で1時間放置した後の状態と1日放置した後の再分散性を調べた。結果を表3または表4に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0003944803
【0052】
【表4】
Figure 0003944803
【0053】
表3、表4中、○:容易に再分散する、△:沈殿するが、容易に再分散する、×:再分散しない、を示す。

Claims (7)

  1. 尿素燐酸エステル澱粉5〜40重量%の存在下に、(a)(メタ)アクリルアミド、(b)メタクリル酸、(c)水溶性カチオン性モノマーおよび(d)疎水性モノマーを含むモノマー混合物60〜95重量%を共重合させて得られる両性型共重合体を含有する、スプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  2. モノマー混合物中の各モノマー使用割合が、モノマーの総モル和に対し、(a)(メタ)アクリルアミド45〜93モル%、(b)メタクリル酸1〜15モル%、(c)水溶性カチオン性モノマー1〜15モル%、および(d)疎水性モノマー5〜30モル%である請求項1記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  3. モノマー混合物中の(b)メタクリル酸のモル含有率が(c)水溶性カチオン性モノマーのモル含有率以上である請求項1または記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  4. (d)疎水性モノマーが(メタ)アクリロニトリルである請求項1〜のいずれかに記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  5. モノマー混合物中に、さらに(e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーを、モノマーの総モル和に対し、3モル%以下含んでなる請求項1〜のいずれかに記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  6. (e)連鎖移動性の置換基を有するビニルモノマーが、N,N−ジメチルアクリルアミドである請求項記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤。
  7. 紙層形成後の湿潤紙層を抄き合わせた後、湿潤紙層をプレスし、さらに乾燥する工程を含む2層以上の抄き合わせ紙の製造方法において、紙層形成後の抄き合わせ前の湿潤紙層に、請求項1〜のいずれかに記載のスプレー塗布型抄き合わせ紙用添加剤をスプレー添加することを特徴とする抄き合わせ紙の製造方法。
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