JP2007169821A - 抄き合わせ板紙の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】澱粉の水性スラリーを層間にスプレーする抄き合わせ板紙の製造において、スプレーされた澱粉の層間への定着が困難な抄紙機においても、層間への定着が高く、廃水負荷の低減や層間強度の向上を図ることのできる抄き合わせ板紙の製造方法を提供する。
【解決手段】 アニオン澱粉の粒子表面にカチオンポリマーを吸着させた自己定着型澱粉をスプレー用澱粉として使用することにより、層間への定着を図ることにより、層間強度の低下や廃水負荷の増大を抑えることができる。

Description

本発明は、抄き合わせ板紙の製造方法に関し、詳しくは抄き合わせ層間に未糊化の澱粉の水性スラリーをスプレーする抄き合わせ板紙の製造方法に関し、さらに詳しくはアニオン澱粉に特定のカチオンポリマーを吸着させて得た自己定着型澱粉の水性スラリーを層間にスプレーする抄き合わせ板紙の製造方法に関する。
板紙は単位面積当りの重量が大きく、単層で抄造すると濾水に時間が掛かり、抄紙機の能力や規模の面で実用性が乏しくなる。そこで、複数の紙層を別々のフォーマで抄き、これを重ね合わせる抄き合わせの方法が採用される。
しかしながら、この抄き合わせでは、抄き合わせ層間での繊維の絡みが少なくなるため、紙層内のZ方向強度に比べて層間強度が著しく小さくなることが避けられず、抄造時の乾燥工程や仕上工程での紙剥がれ、板紙使用時の層間剥離、段ボールシート製造の際の段割れ、印刷時のふくれ(層間での局部的な剥がれ)などの問題が生じやすい。
そこで、一般に未糊化の澱粉を水に懸濁した水性スラリーを抄き合わせの層間にスプレーし、乾燥工程の熱で澱粉を糊化させて層間強度の補強を図る技術が採用される。
この澱粉スプレーに関しては、従来より多くの技術が提案され、一部で実用に供されている。例えば、カチオン澱粉の水溶液をスプレーする方法(特許文献1)、膨潤状態のカチオン澱粉半糊化液をスプレーする方法(特許文献2)、糊化温度の低い澱粉誘導体の水性スラリーをスプレーする方法(特許文献3)などがある。
しかし、これらはいずれも未糊化の澱粉をスプレーした際に澱粉が乾燥工程で十分糊化しない場合(澱粉は糊化されなければ接着力を発揮しない)の対策として考案されたもので、澱粉の層間への定着を促進する技術とは言い難い。
スプレーされた澱粉が層間で定着しやすくなるよう考案された技術としては、カチオン澱粉とアニオン澱粉の両者を含む水性スラリーをスプレーする方法(特許文献4)と、架橋を施した澱粉誘導体をスプレーする方法(特許文献5)がある。
しかし、前者はカチオン澱粉とアニオン澱粉を混合してイオン的相互作用で凝集状態にした未糊化の水性スラリーをスプレーすることにより層間への定着の向上を狙ったものであるが、両澱粉が粒子状であることから強固な凝集状態を得ることは困難であり、ノズルからのスプレー、ワイヤー上の吸引、或いはプレス時の加圧で受ける剪断作用により容易に凝集が破壊され、結果的に十分な層間への定着を期待することができない。
一方、後者は層間に定着した澱粉が乾燥時に糊化した際、溶解した澱粉が層間から層内に浸透移動するのを、架橋を施すことで防ぐ技術であり、スプレー時の層間への定着そのものを向上させるものではない。
また、本発明に用いる自己定着型澱粉を使用する製紙方法については、既に本出願人によって出願(特許文献6)されているが、その方法は紙の抄造時に添加する、いわゆる内添用途に限定した内容であり、抄き合わせ板紙での層間スプレーへの利用についてなんら想定していないものである。
一般的な紙の強度(以下、一般紙力と称する)を上げる方法のひとつとして、紙を抄く時にパルプなどからなる紙料懸濁液に澱粉、PAMなどの紙力増強剤を添加する上記の内添法が知られている。
特許文献6に記載の技術は、この内添法で一般紙力を増強することを目的としたものである。一方、本発明による抄き合わせ板紙の製造方法においては、抄き上がった湿紙からなる紙層の間に澱粉をスプレーする方法に関するものである。
内添法とスプレー法とでは、澱粉に要求される性質が異なり、内添法では紙料懸濁液に添加する際の粘度は、ポンプ送りや添加された後の紙料中での分散を除けば、特に操業上問題とはならない。
一方スプレー法においては、水性スラリーの粘度が非常に重要であり、これが高すぎると曳糸性を帯び、スプレーした時に形成される液滴が過度に大きくなって層間にまばらに定着する結果となり、最終的に十分な層間強度を得ることが困難となる。さらに極端な場合には、スプレーノズルから垂れ落ちてスプレーすること自体が困難となる場合がある。
特公昭51−46852 特開昭51−143707 特開平1−298296 特開平5−230792 特開2001−115121 特許第3578932号
板紙は、一般に複数の紙層を抄き合わせることにより抄造される。その際紙層間では紙を構成する繊維の絡みが少なくなるため、層間強度が弱くなることが避けられない。これを補うために、未糊化の澱粉の水性スラリーを紙層間にスプレーし、乾燥工程の熱で糊化させて層間の接着を図る澱粉スプレーの技術が採用されることが多い。
しかしながら、スプレーされた後のワイヤー上の濾水作用やプレス工程での搾水作用により澱粉が水とともに移動して層間に定着せず、十分な層間強度を得られない場合があり、さらに紙層から離脱して廃水に流出する澱粉が増え、廃水負荷を高めて問題となる場合がある。
この問題を解決すること、すなわち抄紙機のタイプや抄造条件に拘らず安定的に層間への定着を向上させ、層間強度の補強や廃水負荷の低減が図られる澱粉スプレー技術を提供することが本発明の目的に他ならない。
本発明者らは、以上の課題を解決すべく、鋭意研究した結果、次亜塩素酸塩で処理した酸化澱粉、二塩基酸無水物を反応させた澱粉二塩基酸ハーフエステル、燐酸及び/又は燐酸塩で処理した澱粉燐酸エステルなどのアニオン澱粉に、0.2%、20℃における水溶液粘度が20〜200mPa・sの範囲である高分子量カチオンポリマーを澱粉固形分当たり固形分で500〜10,000ppm添加して、アニオン澱粉の粒子表面に該カチオンポリマーを吸着させて得られる自己定着型澱粉を水性スラリーの状態で板紙の抄造に際して抄き合わせ層間にスプレーすることにより、澱粉の層間への定着が飛躍的に高くなり、製紙廃水の負荷を上げることなく、高い層間強度の板紙を得る製紙方法を見出すことに成功した。
すなわち、本発明は、アニオン澱粉に高分子量カチオンポリマーを吸着させて得た自己定着型澱粉の水性スラリーを板紙の抄造時抄き合わせ層間にスプレーすることにより、製紙廃水の負荷を上げることなく、高い層間強度の板紙を得る製紙方法に関する。
本発明に用いる自己定着型澱粉が、板紙の抄造時抄き合わせ層間にスプレーされた際に層間への高い定着性を示すメカニズムは、明らかになっていないが、以下の通りと推察される。
パルプ繊維の表面は通常マイナスに帯電しており、イオン性のない澱粉やアニオン澱粉の水性スラリーを層間にスプレーした場合では、パルプ繊維とのイオン的な結合が期待できない。また、カチオン澱粉であっても、澱粉粒子の表面に存在する一部のカチオンのみがパルプ繊維上のアニオンと点接着的にイオン結合するに過ぎないため、スプレー後の濾水や搾水に伴う水力学的作用を受けて、層間から層内へ、或いは抄き上がった紙の外へ容易に移動する。この結果、十分な層間強度が得られず、紙から離脱した澱粉は、廃水の負荷を高めることとなる。
しかるに、本発明に用いる自己定着型澱粉では、アニオン澱粉の粒子表面に吸着されたカチオンポリマーが、全部ではないにせよ、お互いのカチオンの反撥作用により澱粉粒子の表面から放射状に分布し、より多くのパルプ繊維上のアニオンと結合することとなる。
即ち、全体として面接着的に強固な結合を作り、パルプ繊維から澱粉粒子を引き離そうとする水力学的作用に対抗し得ることとなり、結果的に高い層間への定着が達成される。
すなわち、本発明の自己定着型澱粉は、アニオン澱粉の粒子表面に存在するアニオンにカチオンポリマー上のカチオンの一部を結合させ、残余の大半のカチオンをパルプ繊維上のアニオンとの結合に積極的に利用することで、抄き合わせ板紙の層間にスプレーした際の層間への定着向上を狙ったものであり、本発明者らは、その劇的な効果を確認して本発明を完成させるに至った。
スプレーされた澱粉が層間に定着し難い抄紙機にあっても、本発明により自己定着型澱粉を水性スラリーの状態で抄き合わせ板紙の抄造時に層間にスプレーすることにより、層間への定着を図ることができる。
これにより、製紙廃水の負荷を低減できる、層間強度を高くすることができる、澱粉のスプレー量を減らすことができるなどの効果が期待でき、産業上の意義は非常に大きいものがある。
本発明に使用される自己定着型澱粉は、アニオン澱粉の粒子表面に特定のカチオンポリマーを吸着させたものである。
本発明に使用されるアニオン澱粉は、従来より知られている次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜塩素酸塩で処理された酸化澱粉、無水こはく酸や無水マレイン酸などの二塩基酸無水物を反応させた澱粉二塩基酸ハーフエステル、燐酸/尿素(併用)、燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウムなどの燐酸及び/又は燐酸塩で処理した澱粉燐酸エステルが、経済性よりみて好適に使用できるが、無論これらに限定されるものではない。
また、本発明に使用されるアニオン澱粉は、その粒子表面に0.01meq/g以上のアニオンを有していることが好ましく、これ未満ではカチオンポリマーの吸着が不十分となり、本発明の効果が満足には得られない。
更に、本発明で使用されるアニオン澱粉の原料澱粉は特に限定されないが、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、小麦澱粉、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチなど市販のいずれの澱粉も使用できる。
本発明に使用されるカチオンポリマーは、カチオン変性PAM(ポリアクリルアミド)、ポリエチレンイミン、カチオン変性ポリ(メタ)アクリレート、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、キトサン、ポリビニルアミンなどが例示されるが、経済性と効果より、共重合PAM、マンニッヒ変性PAM、ホフマン分解PAMなどPAM系のものが好適である。
また、該ポリマーはカチオンのほか、必要に応じてノニオン、アニオン(ネットカチオン量が0.2meq/gを下回らない範囲で)、疎水基などの置換基を有していても良い。
澱粉を定着させるためには、カチオンポリマーの分子量は、高いほど良い。しかし、非常に高い分子量を持つポリマーの分子量を正確に測ることは困難であり、また、測定方法による誤差も大きいため、本発明では、水溶液粘度を指標として規定した。
すなわち、本特許では、カチオンポリマーを蒸留水で希釈、又は溶解して0.2%濃度の水溶液としたものの20℃、60rpmにおけるB型粘度が20〜200mPa・sの範囲であることが必要であり、この範囲未満では、抄き合わせ層間での澱粉の定着が不十分となり、満足な層間強度が得られない。
また、むらのないスムーズなスプレー状態を確保するために、抄造された湿紙からなる層間にスプレーする際の水性スラリーの濃度に応じて適度な水溶液粘度を有するカチオンポリマーを選択する必要がある。すなわち、スプレー時の水性スラリーの濃度が高いほど、水溶液粘度の低いカチオンポリマーを選択しなければならない。
スプレー時の水性スラリーの濃度は、求められる層間強度、抄紙機の生産量及びスプレー時の流量により決定されるが、通常2〜10%の範囲でスプレーされることが多い。本発明者らは、この濃度範囲でのスプレーに適した自己定着型澱粉を得るためには、吸着させるカチオンポリマーの濃度0.2%20℃における水溶液粘度が200mPa・s以下であることが好ましいことを見出した。
本発明におけるアニオン澱粉へのカチオンポリマーの添加量は、澱粉固形分当り固形分で500〜10,000ppmの範囲が好ましい。添加率が500ppm未満では、澱粉の層間での定着が十分でなく、10,000ppmを超える添加率では、均一なスプレー状態を得ることが困難となる、経済性に見合った効果が得られないなどの不都合が生ずる。
本発明により、アニオン澱粉にカチオンポリマーを吸着させて自己定着型澱粉を得る方法としては、アニオン澱粉を水に懸濁した水性スラリーとカチオンポリマーの水溶液を接触させ、カチオンポリマーをアニオン澱粉に吸着させるに足る十分な時間が取れさえすれば、どのような方法でも良い。最も簡便な方法は、アニオン澱粉の水性スラリーにカチオンポリマー水溶液又は粉末状カチオンポリマーを添加し、暫く攪拌を続ける方法である。
また、アニオン澱粉の水性スラリーを連続的に紙料に添加し、この添加ラインに連続的にカチオンポリマーの水溶液を添加する方法も採用することができるが、この場合カチオンポリマーの均一な吸着を促進するため、スタティックミキサーなどのインラインミキサーを設けることが好ましい。
更に、利便性を高めることを目的として、アニオン澱粉の粉体に必要量の固形状カチオンポリマーを予め配合し、オンサイトで自己定着型澱粉が得られるように設計した澱粉製品として、製紙会社に供給することもできる。
自己定着型澱粉は、水性スラリーの状態で板紙の抄造時に抄き合わせ層間にスプレー添加される。添加場所は、特に限定せず、それぞれの抄紙機や抄造条件に適した場所を選択する。本発明の自己定着型澱粉を使用するに当たり、必要に応じてカチオン澱粉糊液やPAMなどの他の紙力増強剤、サイズ剤などを併用することは何ら差し支えない。
本発明による抄き合わせ板紙の層間スプレー用自己定着型澱粉は、層間強度が要求される白板紙、段ボール原紙(ライナー、中芯原紙)、紙管原紙などの製造に好適であり、従来の層間スプレー用澱粉では層間への定着が困難な脱水力、吸引力の強い抄紙機に特に好適でる。
以下、本発明の態様を実施例をもって説明する。無論、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
コーンスターチに燐酸ナトリウムと尿素を反応させて得た市販燐酸エステル化澱粉(商品名:スプレット#200/日本食品化工株式会社製、澱粉粒子表面のアニオン化度0.089meq/g)を所定量の水に懸濁して20%濃度のアニオン澱粉の水性スラリーを得た。
次いで、カチオンポリマーとして予め希薄水溶液にした共重合型カチオンPAM−A(水溶液粘度70mPa・s、カチオン化度1.0meq/g)を澱粉固形分当り固形分で7,000ppm添加し、攪拌混合した。
得られた自己定着型澱粉の水性スラリーを4%濃度に希釈した後、表1に記載の条件で抄造される塗工白板紙の1/2、2/3及び4/5の3層間に1.2g/m2となるようにスプレーし、抄き合わせ板紙を得た。
上記の板紙について、澱粉歩留をTAPPI T419 om−91に基づく紙中澱粉量の測定結果より、層間強度をTAPPI T569 pm−00により求め、結果を表2に記載した。
カチオンポリマーの添加率を10,000ppmに増やしたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
カチオンポリマーの添加率を5,500ppmに減らしたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
カチオンポリマーの添加率を3,000ppmに減らしたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
タピオカ澱粉を原料として既知の方法により試作したタピオカ澱粉こはく酸ハーフエステル(澱粉粒子表面のアニオン化度0.020meq/g)を市販燐酸エステル化澱粉の代わりに、および共重合型カチオンPAM−B(水溶液粘度150mPa・s、カチオン化度0.9meq/g)を共重合型カチオンPAM−Aの代わりに用いたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
カチオンポリマーの添加率を3,000ppmに減らしたことを除き、実施例5と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(比較例1)
カチオンポリマーの添加を止めたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(比較例2)
カチオンポリマーの添加率を300ppmに減らしたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(比較例3)
カチオンポリマーの添加率を12,000ppmに増やしたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(比較例4)
市販燐酸エステル化澱粉の代わりに未加工のコーンスターチ(粒子表面のアニオン化度ゼロ)を用いたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(比較例5)
自己定着型澱粉の代わりに、未加工タピオカ澱粉を用いたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
(対照例)
自己定着型澱粉の添加を止めたことを除き、実施例1と同様の条件で抄き合わせ板紙を得た。得られた板紙について実施例1と同様に澱粉歩留と層間強度を求め、結果を表2に記載した。
表2を見ると、本発明によらない比較例では、澱粉歩留が20%前後であり、大半が紙に定着せず、白水に抜け出たことが分かる。白水の一部は回収されるとしても、廃水の負荷を高めることは疑いない。
また、層間強度も澱粉スプレーを行わない対照例に比べてわずかに上昇している程度であり、層間への定着が悪いことが明らかである。すなわち、本抄紙機では、おそらくその構造上の問題から、従来の澱粉スプレーでは層間強度を向上することが極めて困難と考えられる。

Figure 2007169821

Figure 2007169821

Claims (2)

  1. 高分子量カチオンポリマーをアニオン澱粉に吸着させて得た自己定着型澱粉の水性スラリーを抄き合わせ層間へスプレーすることを特徴とする抄き合わせ板紙の製造方法。
  2. 高分子量カチオンポリマーが濃度0.2%、20℃における水溶液粘度20〜200mPa・sの範囲であることを特徴とする請求項1記載の抄き合わせ板紙の製造方法。
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