JP4875940B2 - デンプン系紙力増強剤およびそれを用いた抄紙方法 - Google Patents

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本発明は、紙または板紙の製造において原料パルプに添加される、濾水性や歩留りを改善しつつ紙力を向上させ、紙製品性能の向上や生産性の向上を可能にする紙力増強剤および製紙方法に関する。
紙および板紙の紙力を向上させる為に、パルプスラリーに加熱溶解したデンプン糊液やポリアクリルアミド系の合成紙力増強剤などを添加することが従来から行なわれている。近年、コストダウンに伴うDIP(脱インクパルプ)などの劣化したパルプ繊維である故紙パルプ配合率の増加により紙力低下は免れ得ず、これら紙力増強剤の添加量を増加することにより対応せざるを得ないのが実情である。従来、デンプンを出発原料とするデンプン系紙力増強剤は、水中で加熱溶解した糊液の状態で添加している。デンプンは冷水に不溶性であるが、水に懸濁して加熱すると、60℃前後でデンプン粒子が膨潤を始め、さらに高温になるに従い膨潤した粒子が崩壊、デンプン分子が水中に分散して粘性の高い溶液(いわゆる糊液)となる。通常、糊液としたデンプンをパルプ繊維に効率よく定着させる為に、デンプンをカチオン化したカチオン化デンプン、あるいはカチオン化とアニオン化を組み合わせた両性デンプンを使用している。しかし、添加量を増やすとワイヤーパートでの水切れ性、すなわち濾水性が悪化すると共にデンプンのパルプ繊維への歩留りが頭打ちとなるため、対紙料1.5%程度の添加が限度となっている。
別の手段として、デンプンを溶解せずデンプン粒子の状態のままで紙料に添加する方法が提案されている。具体的には、未変性デンプンまたはアニオン性デンプンに対して歩留り向上剤としてカチオン性ポリマーを添加することにより紙力を向上させる方法が提案されている(特許文献1および2参照)。さらには、製紙工程において未溶解あるいは水の存在下で温度45〜55℃まで加熱することにより予備膨潤された未変性デンプン粒子を、カチオン性ポリマー系凝集剤、およびベントナイトのようなアニオン性微粒子ネットワークアグロメレーション助剤を含有したスラリー形態で添加する方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの方法では、依然としてパルプ繊維に対するデンプンの歩留り性が充分ではなく、紙力増強剤としての効果は満足できるものではなかった。
特開2000−226401号公報 特開2004−131851号公報 特表2001−504174号公報
本発明は、紙または板紙の製造においてコストダウンに伴うDIPなどの故紙パルプ配合率の増加・抄紙系のクローズド化・酸性抄紙から中性さらにはアルカリ抄紙化への変化などに対応し、濾水性や歩留りを改善しつつ紙力を向上させ、紙製品性能の向上や生産性の向上を可能にする紙力増強剤および製紙方法を提供する。
本発明は、カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子表面にアニオン性無機填料が吸着されてなる紙力増強剤に関する。
前記カチオン化処理を施したデンプン粒子のカチオン基置換度が0.005〜0.07であることが好ましい。
前記アニオン性無機填料がベントナイト、シリカまたはカオリンであることが好ましい。
カチオン化処理を施したデンプン粒子とアニオン性無機填料の重量比が1:0.001〜1:0.5であることが好ましい。
また本発明は、パルプスラリーに対し、前記紙力増強剤およびカチオン性ポリマーまたは両性ポリマーを添加し、得られたパルプスラリーを抄紙する工程を含む製紙方法であって、前記紙力増強剤を前記カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーによりパルプ繊維に定着させ、その後の乾燥工程においてデンプン粒子を溶解して紙力を向上させることを特徴とする製紙方法にも関する。
紙料に添加された、カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子とアニオン性無機填料を水中で混合することにより得られる、デンプン粒子表面にアニオン性無機填料を吸着させた紙力増強剤を、カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーによりパルプ繊維に定着させ、その後の乾燥工程での加熱によりデンプン粒子を溶解することで紙力を向上させる。紙または板紙の製造においてコストダウンに伴うDIPなどの故紙パルプ配合率の増加・抄紙系のクローズド化・酸性抄紙から中性さらにはアルカリ抄紙化への変化などに対応し、濾水性や歩留りを改善しつつ紙力を向上させ、紙製品性能の向上や生産性の向上を可能にする紙力増強剤および製紙方法を提供する。
本発明は、カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子表面にアニオン性無機填料が吸着されてなる紙力増強剤である。
本発明で用いられるデンプンとしては、特に限定されず、例えばタピオカ、馬鈴薯、トウモロコシ、小麦、サゴ、サツマイモ、米、ワキシートウモロコシなどから製造された生デンプンがあげられる。なかでも、生産性やコストの点からタピオカデンプン、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、小麦デンプンが好ましい。未溶解のデンプン粒子の平均粒径は、およそ2〜50μmである。これらは単独でも、2種以上を組合せ用いてもよい。
デンプン粒子に対してカチオン処理を施すために用いるカチオン化処理剤としては、3級アミン、第4級アンモニウムクロライド、硫酸第4級アンモニウム、スルファミン酸第4級アンモニウムなどがあげられる。具体例としては、ジエチルアミノエチルクロライド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドおよび2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、4−クロロ−2−ブテニルトリメチルアンモニウムクロリドなどがあげられる。なかでも、4級アンモニウムエーテルデンプンは酸性からアルカリ性の広いpH領域でカチオン型をとることから、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。これらは単独でも、2種以上を組合せ用いてもよい。
なお、カチオン化の処理が施されていれば、デンプンの粘度や糊化開始温度を低下させるために、酸化、酸処理、アニオン化等の処理を組み合わせて施しても良く、またデンプンの溶解を抑えるために架橋反応を施しても良い。酸化デンプンとするために使用される処理剤としては、次亜塩素酸ナトリウムがあげられる。酸処理デンプンとするために使用される処理剤としては、塩酸、硫酸などがあげられる。アニオン化デンプンとするために使用される処理剤としては、リン酸、リン酸塩、ポリリン酸ナトリウムなどがあげられる。架橋デンプンとするために使用される処理剤としては、ジカルボン酸無水物、エピクロルヒドリン、トリポリリン酸ナトリウム、オキシ塩化リン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどがあげられる。
前記カチオン化処理を施したデンプン粒子におけるカチオン基置換度としては、0.005〜0.07であることが好ましく、0.01〜0.05であることがより好ましい。カチオン基置換度が0.005未満であるとアニオン性無機填料がデンプン粒紙表面に充分量を吸着させることが出来なくなり、0.07を超えると作るのが困難となり経済的に魅力がなくなる。
本発明で用いられるアニオン性無機填料としては、ベントナイト、シリカ、カオリンなどがあげられる。シリカはコロイダルシリカとして用いることが好ましい。アニオン性無機填料の平均粒径は10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。平均粒径が小さいほどカチオン化処理を施したデンプン粒子表面に均一に吸着されるが、10μmを超えるとカチオン化処理したデンプン粒紙表面に吸着されにくくなる傾向がある。これらは単独でも、2種以上を組合せ用いてもよい。なお、下限については特に限定されないが、0.001μm以上である。
カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子とアニオン性無機填料は、紙または板紙の製造工程において、例えば紙料に添加する前に水中で混合して用いられる。これによりカチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子表面にアニオン性無機填料がイオン的に吸着し、紙力増強剤として使用されうる。
カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子とアニオン性無機填料の配合比(重量比)は1:0.001〜1:0.5であることが好ましく、1:0.005〜1:0.2であることがより好ましい。アニオン性無機填料の配合比が小さい場合は、カチオン化処理を施されたデンプン粒子表面に吸着するアニオン性無機填料の量が充分ではないためにカチオン性ポリマーまたは両性ポリマーによりパルプに定着させることが不充分となり、一方、大きい場合はデンプンの含有量が低下するためにコスト高となる傾向がある。
本発明は、パルプスラリーに対し、前記紙力増強剤およびカチオン性ポリマーを添加し、得られたパルプスラリーを抄紙する工程を含む製紙方法であって、前記紙力増強剤を前記カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーによりパルプ繊維に定着させ、その後の乾燥工程においてデンプン粒子を溶解して紙力を向上させることを特徴とする製紙方法にも関する。
具体的には、タンク中で作製されたパルプスラリーはファンポンプによりプレッシャースクリーンに供給され、該プレッシャースクリーンにより未溶解物や凝集物が除去されたのち、抄紙工程に供するという方法があげられる。紙力増強剤およびカチオン性ポリマーはファンポンプ通過前、ファンポンプ通過後プレススクリーン通過前、プレススクリーン通過後のいずれの時点で添加しても良い。
原料パルプとしては特に限定されないが、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、未晒パルプ、半化学パルプ、機械パルプ、故紙パルプなどがあげられる。
カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーは、紙力増強剤の歩留り向上剤としての役割を果たす。カチオン性ポリマーは、分子内にカチオン性基を有するポリマーである。両性ポリマーは、ポリマーの同一分子鎖にカチオン性およびアニオン性の官能基を有するポリマーである。カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーとしては、カチオン性または両性のグァーガム、カチオン性または両性のポリアクリルアミド誘導体、ポリダドマック、カチオン性または両性の溶解デンプン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン樹脂などがあげられる。なかでもカチオン化処理を施したデンプン粒子表面にアニオン性無機填料を吸着させた本発明品をパルプ繊維に定着させるという点から、カチオン性または両性のグァーガム、カチオン性または両性のポリアクリルアミド誘導体、ポリダドマック、カチオン性または両性の溶解デンプンを用いることが好ましい。これらは単独でも、2種以上を組合せ用いてもよい。
カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーの分子量としては、10万〜2000万であることが好ましく、50万〜1500万であることがより好ましい。分子量が10万未満であると、カチオン化処理を施したデンプン粒子表面にアニオン性無機填料を吸着させた本発明品をパルプ繊維に定着させることが不充分となり、2000万を超えるとパルプ繊維の凝集が強くなり、結果として紙の地合を大きく乱してしまう傾向がある。
本発明の紙力増強剤によると、カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子表面にアニオン性無機填料が、均一かつ全面に吸着されるため、カチオン性ポリマーによりパルプ繊維に充分に定着されることとなる。それにより、その後の乾燥工程での加熱によりデンプン粒子が溶解しても、優れた歩留まり性を確保することができる。
本発明は、セルロース繊維を含む水性希釈紙料から製紙装置を用いて製造される紙および板紙の製造に好適に用いることができる。該水性希釈紙料に、セルロース繊維以外の構成成分として任意の填料や任意の合成パルプ等を含んでいても構わない。具体的には、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、加工原紙などの雑種紙、中芯やライナーなどの段ボール原紙、白板紙などの紙器用板紙、紙管原紙や建材用原紙などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜3ならびに比較例1および2
[ベントナイトの吸着試験]
ベントナイトを水に懸濁して5%スラリーとし、30分間プロペラ攪拌した。別に、各種デンプンを水に懸濁して10%スラリーとした。ここへ前記ベントナイト5%スラリーを所定量添加して、ガラス棒で15秒間攪拌した。その後2分間静置後、上澄み液の濁度(単位FAU)をHACH製DR/890で測定した。測定値は高いほど濁りの度合いが高いことを示す。さらに、スラリー中のデンプン粒子の凝集の有無を目視で確認した。結果を表1に示す。
Figure 0004875940
表1より、カチオン化処理を施していないデンプン粒子表面にはアニオン性無機填料であるベントナイトは吸着しない(比較例1、2)のに対して、カチオン化処理を施したデンプン粒子表面にはアニオン性無機填料であるベントナイトは速やかに吸着する(実施例1〜3)ことがわかる。比較例1、2では凝集が起こらないためにスラリーの沈降速度が遅く、細かなデンプン粒子も含んでいるために濁度は高値であった。実施例1、3のデンプンではデンプン重量に対して約1%のベントナイトが、実施例2のデンプンでは0.25〜0.5%のベントナイトが粒子表面に結合することが認められた。
実施例4〜19および比較例3〜11
[デンプン歩留り試験]
広葉樹晒クラフトパルプを0.5%濃度となるように水で希釈して試験用紙料(濾水度380mlCSF、pH7.2、水温23℃)を作製した。製紙業界にて汎用的に使用されるブリット式ダイナミックドレイネージジャーテスター(以下、ブリットジャーと略す)に60メッシュの金網を取り付け、紙料500gを入れて1000rpmで攪拌した。デンプン系紙力増強剤として、未溶解の各種デンプンと各種アニオン性無機填料を表2のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌した。次にカチオン性ポリマーまたは両性ポリマーを添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて、10秒後に脱水を開始した。最初の白水の20mlを捨て、その後の100mlを採取した。得られた白水にアミラーゼ酵素を添加して80℃で2時間反応させてデンプンを分解し、白水中の全糖量を測定することによりデンプン粒子のパルプ繊維への歩留り率を求めた。
実施例13では、デンプン系紙力増強剤を添加してからの撹拌を1250rpm、30秒間とした。結果を表2に示す。
表2中の製品名の詳細は以下のとおりである。
ベントナイト:ベントナイト(メイプロフィラーK、三晶(株)販売)
シリカ:湿式シリカ(ニップシールNS−P、東ソー・シリカ(株)製)
カオリン:市販カオリン、No.2グレード品
CS1:カチオン化タピオカデンプン(SBガム−POSIT300、三晶(株)販売;カチオン基置換度0.027)
R525:両性トウモロコシデンプン(チャージマスターR525、三晶(株)販売)
CS2:カチオン化タピオカデンプン(三晶(株)製(試作品);カチオン基置換度0.0095)
CS3:カチオン化タピオカデンプン(三晶(株)製(試作品);カチオン基置換度0.0060)
CS4:カチオン化タピオカデンプン(三晶(株)製(試作品);カチオン基置換度0.0021)
生タピオカ:未変性タピオカデンプン
PT13:リン酸化タピオカデンプン(PT−13、三晶(株)販売)
MB9806:カチオン化グァーガム(メイプロボンド9806、三晶(株)販売;濾水性・歩留り向上用)
BAMS71:両性ポリアクリルアミド(BAMS71、三晶(株)販売;分子量約100万、紙力向上用)
溶解CS1:CS1を水中で加熱溶解して糊液としたもの
LD54:ポリダドマック(LD54、三晶(株)販売;分子量約30万、凝結剤)
LP51:ポリアミン(LP51、三晶(株)販売;分子量約3万、凝結剤)
Figure 0004875940
表2より、紙力増強剤としてカチオン化処理を施した未溶解のデンプンを用いた実施例4〜19では、高いデンプン歩留り率を示しているのに対し、未処理のデンプンまたはアニオン化処理を施したデンプンを用いた比較例3〜8では、デンプンの歩留り率が劣ったものとなることがわかる。
実施例20〜24および比較例12〜17
[抄紙試験1]
段ボールを水中で離解して作成した1.5%濃度の段ボール故紙に、撹拌しながら硫酸バンドをパルプ固形分に対して1%添加して試験用紙料(濾水度335mlCSF、pH6.2、水温25℃)を作製した。この紙料を0.5%濃度となるように水で希釈して、以下の総歩留り率および濾水性試験に供した。別に、この紙料を1%濃度となるように水で希釈して、以下の抄紙試験に供した。
(1)総歩留り率
0.5%紙料500gをブリットジャーに入れ、1000rpmで攪拌した。カチオン性ポリマーを添加して10秒間攪拌した。次にデンプン系紙力増強剤として、未溶解の各種デンプンと各種アニオン性無機填料を表3のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて10秒後に脱水を開始した。最初の白水の20mlを捨て、その後の100mlを採取して総歩留り率を測定した。総歩留りは、白水を濾過・乾燥して白水中の固形分重量を測定し、次式により算出する。ここでの2.5gは0.5%紙料500g中の固形分重量である。
総歩留り率%=((2.5g−白水100ml中の固形分重量×5)/2.5g)×100
実施例21では、デンプン系紙力増強剤として、未溶解のカチオン化デンプンとベントナイトの懸濁液を各々準備して、予め混合せずに紙料へ同時に添加した。実施例22および比較例15、16では、カチオン性ポリマーを添加してからの撹拌を1250rpm、30秒間とした。これはポリアクリルアミド系紙力増強剤や溶解したカチオン化デンプンは、実機抄紙工程に於いて工程初期段階のマシンチェストで添加されるためにシェア条件を高くしたものである。
(2)濾水性
0.5%紙料1Lをブリットジャーに入れ、1000rpmで攪拌した。カチオン性ポリマーを添加して10秒間攪拌した。次にデンプン系紙力増強剤として、未溶解の各種デンプンと各種アニオン性無機填料を表3のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて10秒間攪拌した。その後、直ちに紙料をボトムオリフィスを封鎖したカナディアンフリーネステスターの濾水筒へ移して、常法に従い紙料を流下させ、経時的な全濾水量の変化を比較した。本試験では、濾水量が700mlに到達するまでの時間(秒数)を測定した。秒数が少ないほど濾水性は良好である。
実施例21では、デンプン系紙力増強剤として、未溶解のカチオン化デンプンとベントナイトの懸濁液を各々準備して、予め混合せずに紙料へ同時に添加した。実施例22および比較例15、16では、カチオン性ポリマーを添加してからの撹拌を1250rpm、30秒間とした。
(3)抄紙試験
1%紙料800mlをブリットジャーに入れ、1000rpmで攪拌した。カチオン性ポリマーを添加して10秒間攪拌した。次にデンプン系紙力増強剤として、未溶解の各種デンプンと各種アニオン性無機填料を表3のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて10秒間攪拌した。その後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約160g/m2の試験紙を作製した。
得られた試験紙の圧縮強度をJIS P 8126に準拠して測定した。
得られた試験紙のデンプン含有率を次のように測定した。ミキサーに水と細かく裁断した試験紙を入れて離解した。得られた懸濁液にアミラーゼ酵素を添加して80℃で2時間反応させてデンプンを分解し、懸濁液中の全糖量を測定することによりデンプン粒子の試験紙への歩留り率を求めた。
実施例21では、デンプン系紙力増強剤として、未溶解のカチオン化デンプンとベントナイトの懸濁液を各々準備して、予め混合せずに紙料へ同時に添加した。実施例22および比較例15、16では、カチオン性ポリマーを添加してからの撹拌を1250rpm、30秒間とした。結果を表3に示す。
表3中の製品名の詳細は以下のとおりである。
ベントナイト:ベントナイト(メイプロフィラーK、三晶(株)販売)
シリカ:湿式シリカ(ニップシールNS−P、東ソー・シリカ(株)製)
CS1:カチオン化タピオカデンプン(SBガム−POSIT300、三晶(株)販売;カチオン基置換度0.027)
R525:両性トウモロコシデンプン(チャージマスターR525、三晶(株)販売)
生タピオカ:未変性タピオカデンプン
溶解CS1:CS1を水中で加熱溶解して糊液としたもの
LCS12:カチオン性ポリアクリルアミド(LCS12、三晶(株)販売;分子量約50万、紙力向上用)
ESC−15:カチオン性ポリアクリルアミド(メイプロフロックESC−15、三晶(株)販売;分子量約1000万、歩留り向上用)
Figure 0004875940
デンプン粒子として紙料に添加した実施例20〜24および比較例12の試験紙をヨウ素溶液で染め、顕微鏡観察したところ、これらデンプン粒子は良好に溶解していることが認められた。表3より、紙力増強剤としてカチオン化処理を施した未溶解のデンプンを用いた実施例20〜24では、圧縮強度を保持しつつ、高いデンプンの歩留り率を示しており、微細繊維などの歩留り性や濾水性にも優れることがわかる。
実施例25〜28ならびに比較例18および19
[抄紙試験2]
広葉樹晒クラフトパルプと針葉樹晒クラフトパルプを80:20の比率で混合したものを、0.5%濃度となるように水で希釈して試験用紙料(濾水度432mlCSF、pH7.4、水温25℃)を作製した。
(1)濾水性
0.5%紙料1Lをブリットジャーに入れ、1000rpmで攪拌した。デンプン系紙力増強剤として、未溶解の酸化カチオン化デンプンと各種アニオン性無機填料を表4のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌した。次にカチオン性ポリマーを添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて10秒間攪拌した。その後、直ちに紙料をボトムオリフィスを封鎖したカナディアンフリーネステスターの濾水筒へ移して、常法に従い紙料を流下させ、経時的な全濾水量の変化を比較した。本試験では、濾水量が700mlに到達するまでの時間(秒数)を測定した。秒数が少ないほど濾水性は良好である。
(2)抄紙試験
0.5%紙料800mlをブリットジャーに入れ、1000rpmで攪拌した。デンプン系紙力増強剤として、未溶解の酸化カチオン化デンプンと各種アニオン性無機填料を表4のように予め混合した懸濁液として添加して10秒間攪拌した。次にカチオン化ポリマーを添加して10秒間攪拌を続け、その後750rpmに下げて10秒間攪拌した。その後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約80g/m2の試験紙を作製した。
得られた試験紙の引張強度をJIS P 8113に準拠して測定した。
得られた試験紙の破裂強度をJIS P 8112に準拠して測定した。
得られた試験紙のデンプン含有率を次のように測定した。ミキサーに水と細かく裁断した試験紙を入れて離解した。得られた懸濁液にアミラーゼ酵素を添加して80℃で2時間反応させてデンプンを分解し、懸濁液中の全糖量を測定することによりデンプン粒子の試験紙への歩留り率を求めた。
表4中の製品名の詳細は以下のとおりである。
ベントナイト:ベントナイト(メイプロフィラーK、三晶(株)販売)
シリカ:湿式シリカ(ニップシールNS−P、東ソー・シリカ(株)製)
コロイダルシリカ:市販コロイダルシリカ
カオリン:市販カオリン、No.2グレード品
CS5:酸化カチオン化馬鈴薯デンプン(HI−CAT102、ロケット社製;カチオン基置換度0.030)
溶解CS5:CS5を水中で加熱溶解して糊液としたもの
MB9806:カチオン化グァーガム(メイプロボンド9806、三晶(株)販売;濾水性・歩留り向上用)
Figure 0004875940
デンプン粒子として紙料に添加した実施例25〜28の試験紙をヨウ素溶液で染め、顕微鏡観察したところ、これらデンプン粒子は良好に溶解していることが認められた。表4より、紙力増強剤としてカチオン化処理を施した未溶解のデンプンを用いた実施例25〜28では、引張強度および破裂強度を保持しつつ、高いデンプン歩留り率を示しており、濾水性にも優れることがわかる。

Claims (3)

  1. パルプスラリーに対し、カチオン化処理を施した未溶解のデンプン粒子表面にベントナイトが吸着されてなる紙力増強剤およびカチオン性ポリマーまたは両性ポリマーを添加し、得られたパルプスラリーを抄紙する工程を含む製紙方法であって、前記紙力増強剤を前記カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーによりパルプ繊維に定着させ、その後の乾燥工程においてデンプン粒子を溶解して紙力を向上させることを特徴とする製紙方法
  2. 前記カチオン化処理を施したデンプン粒子のカチオン基置換度が0.005〜0.07である請求項1記載の製紙方法。
  3. カチオン化処理を施したデンプン粒子とベントナイトの重量比が1:0.001〜1:0.5である請求項1または2記載の製紙方法。
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