しかしながら、生成されたCMY値に対しては、更に、カラープリンタの特性に応じた補正(補正処理)が行われる。実際に印刷される印刷画像の階調は、カラープリンタの特性にも左右されるからである。このため、CMY値が多ビット化されている場合には、多くのビットを処理しなくてはならず、補正処理における演算を煩雑化させてしまうという問題点があった。
また、多ビット化が行われると、1の画素に対して処理するビット数が増加するため、処理時間を増大させてしまうという問題点があった。RGB値からCMY値への変換処理、および、CMY値の補正処理は、入力画像のすべての画素に対して行わなければならないため、例えばA4の用紙を600dpiの解像度で印刷しようとすれば、処理する画素は約3200万点にものぼる。従って、1の画素に対する処理時間がわずかに増加するだけでも、画像処理全体では大幅に処理時間を増大(処理速度を低下)させてしまう重大な問題点となっていた。
更には、近年、デジタルカメラが広く普及しており、また、デジタルカメラで撮影されたJPEGなどのイメージデータを記憶する記録媒体(外部メディア)を直接装着し、その記録媒体からイメージデータを読み出して印刷するカラープリンタが汎用化されている。かかるカラープリンタによれば、PCを介することなく画像を印刷することができるが、PCほど記憶容量の大きなメモリを搭載することはできない。このため、ルックアップテーブルによりRGB値から多ビット化されたCMY値を生成し、更に、その多ビット化されたCMY値の補正処理を行うには、メモリの容量が不足しており、かかる画像処理を行うことが困難であるという問題点があった。その結果、カラープリンタにおいて記録媒体から読み出したイメージデータを印刷する場合には、画質を低下させてしまうという問題点があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、印刷データを形成する画像処理の処理速度と印刷画像の画質との両者を向上させることのできる画像処理装置および画像処理プログラムを提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の画像処理装置は、入力された画像情報の色を示すデータであって第1の色群の色成分値を有する入力色データを記憶する入力色データ記憶手段と、その入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データを生成する印刷データ生成手段と、その印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値を印刷手段の特性に応じたものに補正する補正手段と、その補正手段により補正された印刷データを印刷する前記印刷手段とを備え、前記補正手段は、前記印刷手段により印刷データが印刷された場合に実際に現出される階調を指標として予め設定された設定範囲に印刷データの色成分値が属する場合、補正後の印刷データの色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正するビット幅補正手段を備えており、そのビット幅補正手段による補正により色成分値をビット幅が増大された値とすることにより、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させるものである。
請求項2記載の画像処理装置は、請求項1記載の画像処理装置において、前記補正手段は、印刷データの色成分値が前記設定範囲に属さない場合には、前記ビット幅補正手段の動作を禁止して、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第1回避手段を備えている。
請求項3記載の画像処理装置は、請求項1または2に記載の画像処理装置において、第1の色群の色成分値を第2の色群の色成分値に変換するための変換情報として、第1の色群の色成分値に対応して第2の色群の色成分値を記憶する変換情報記憶手段を備えており、前記印刷データ生成手段は、その変換情報記憶手段に記憶される変換情報に基づいて前記入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値を、第2の色群の対応する色成分値に変換するものである。
請求項4記載の画像処理装置は、請求項3記載の画像処理装置において、前記変換情報記憶手段は、第2の色群の色成分値を所定のビット幅以下の値で記憶するものである。
請求項5記載の画像処理装置は、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ビット幅補正手段は、各色成分値毎に補正を行うものであって、前記印刷手段により印刷データが印刷された場合における各色成分値のそれぞれの階調が所定の濃度以下となる範囲を、各色成分値の設定範囲とし、該設定範囲に色成分値が属する場合、その色成分値の補正後の値を補正前の色成分値よりもビット幅の大きな値に補正するものである。
請求項6記載の画像処理装置は、請求項1から5のいずれかに記載の画像処理装置において、前記ビット幅補正手段は、各色成分値毎に補正を行うものであって、補正後の色成分値の変化量が、補正前の色成分値の変化量に対して小さくなる範囲を設定範囲とし、その設定範囲に色成分値が属する場合、その色成分値の補正後の値を補正前の色成分値よりもビット幅の大きな値に補正するものである。
請求項7記載の画像処理装置は、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置において、前記補正手段は、第2の色群の色成分値の内、前記印刷手段により印刷された印刷データにおける色成分値の実際の階調の濃度変化が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい特定の色成分値に対しては、前記ビット幅補正手段の動作を禁止して、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第2回避手段を備えている。
請求項8記載の画像処理装置は、請求項7記載の画像処理装置において、前記第2の色群の色成分値は、少なくとも、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれに対応した色成分値を有しており、前記第2回避手段にてビット幅の増大が回避される色成分値はイエローの色成分値である。
請求項9記載の画像処理装置は、請求項7または8に記載の画像処理装置において、前記第2の色群の色成分値は、少なくとも、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタのそれぞれに対応した色成分値を有しており、前記第2回避手段にてビット幅の増大が回避される色成分値はライトシアン、ライトマゼンタの色成分値である。
請求項10記載の画像処理装置は、請求項1から9のいずれかに記載の画像処理装置において、前記第2の色群の色成分値は、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれに対応した色成分値を有しており、前記印刷データ生成手段は、第1群の色成分値から変換された第2の色群の色成分値であるシアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が、所定の値以上である場合に、ブラックの色成分値を備えた印刷データを生成するものであり、前記補正手段は、ブラックの色成分値に対しては、前記ビット幅補正手段の動作を禁止して、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第3回避手段を備えている。
請求項11記載の画像処理装置は、入力された画像情報の色を示すデータであって第1の色群の色成分値を有する入力色データを記憶する入力色データ記憶手段と、その入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データを生成する印刷データ生成手段と、その印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値を印刷手段の特性に応じたものに補正する補正手段と、その補正手段により補正された印刷データを印刷する前記印刷手段とを備え、前記補正手段は、印刷データの色成分値の内の所定の色成分値に対しては、補正後の色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正するビット幅補正手段を備えており、そのビット幅補正手段による補正により色成分値をビット幅が増大された値とすることにより、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させるものである。
請求項12記載の画像処理装置は、請求項11記載の画像処理装置において、前記補正手段は、印刷データの色成分値が前記所定の色成分値でない場合には、前記ビット幅補正手段の動作を禁止して、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第4回避手段を備えている。
請求項13記載の画像処理装置は、請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置において、前記補正手段は、前記印刷データ生成手段にて生成される印刷データに対し誤差拡散の方式によって中間調の補正を行う中間調補正手段を備えている。
請求項14記載の画像処理プログラムは、入力された画像情報の色を示すデータであって第1の色群の色成分値を有する入力色データを記憶する入力色データ記憶ステップと、その入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、その印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値を印刷装置の特性に応じたものに補正する補正ステップと、その補正ステップにより補正された印刷データを前記印刷装置に出力する出力ステップとを備え、前記補正ステップは、前記出力ステップにより前記印刷装置に出力された印刷データが、その印刷装置で印刷された場合に実際に現出される階調を指標として予め設定された設定範囲に、印刷データの色成分値が属する場合、補正後の印刷データの色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正するビット幅補正ステップを備えており、そのビット幅補正ステップによる補正により色成分値をビット幅が増大された値とすることにより、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させるものである。
請求項15記載の画像処理プログラムは、請求項14記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正ステップは、印刷データの色成分値が前記設定範囲に属さない場合には、前記ビット幅補正ステップの動作を禁止して、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第1回避ステップを備えている。
請求項16記載の画像処理プログラムは、請求項14または15に記載の画像処理プログラムにおいて、前記印刷データ生成ステップは、第1の色群の色成分値を第2の色群の色成分値に変換するために第1の色群の色成分値に対応して記憶された第2の色群の色成分値に基づいて、前記入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値を、第2の色群の対応する色成分値に変換するものである。
請求項17記載の画像処理プログラムは、請求項14から16のいずれかに記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正ステップは、第2の色群の色成分値の内、前記印刷装置により印刷された印刷データにおける色成分値の実際の階調の濃度変化が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい特定の色成分値に対しては、前記ビット幅補正ステップの動作を禁止して、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第2回避ステップを備えている。
請求項18記載の画像処理プログラムは、請求項14から17のいずれかに記載の画像処理プログラムにおいて、前記第2の色群の色成分値は、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれに対応した色成分値を有しており、前記印刷データ生成ステップは、第1群の色成分値から変換された第2の色群の色成分値であるシアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が、所定の値以上である場合に、ブラックの色成分値を備えた印刷データを生成するものであり、前記補正ステップは、ブラックの色成分値に対しては、前記ビット幅補正ステップの動作を禁止して、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第3回避ステップを備えている。
請求項19記載の画像処理プログラムは、入力された画像情報の色を示すデータであって第1の色群の色成分値を有する入力色データを記憶する入力色データ記憶ステップと、その入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データを生成する印刷データ生成ステップと、その印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値を印刷装置の特性に応じたものに補正する補正ステップと、その補正ステップにより補正された印刷データを前記印刷装置に出力する出力ステップとを備え、前記補正ステップは、印刷データの色成分値の内の所定の色成分値に対しては、補正後の色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正するビット幅補正ステップを備えており、そのビット幅補正ステップによる補正により色成分値をビット幅が増大された値とすることにより、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させるものである。
請求項20記載の画像処理プログラムは、請求項19記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正ステップは、印刷データの色成分値が前記所定の色成分値でない場合には、前記ビット幅補正ステップの動作を禁止して、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避する第4回避ステップを備えている。
請求項21記載の画像処理プログラムは、請求項14から20のいずれかに記載の画像処理プログラムにおいて、前記補正ステップは、前記印刷データ生成ステップにて生成される印刷データに対し誤差拡散の方式によって中間調の補正を行う中間調補正ステップを備えている。
請求項1記載の画像処理装置によれば、印刷データ生成手段により、入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換され、印刷データが生成される。ここで、印刷データ生成手段により生成された印刷データに対応した印刷を実行すると、階調が不連続(階調が視覚的に不均等)になり画質の不良な画像が形成される。実際に現出される階調は、印刷手段の特性により左右され、印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値に応じて実際に現出された階調では、本来表現する階調(入力色データに対応した階調)からずれてしまうからである。このため、印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値は、補正手段により印刷手段の特性に応じたものに補正され、その補正手段により補正された印刷データが印刷手段により印刷される。また、印刷手段により印刷データが印刷された場合に実際に現出される階調を指標として予め設定された設定範囲に、印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値が属する場合、ビット幅補正手段により、補正後の印刷データの色成分値は、補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正される。即ち、設定範囲に対応する階調範囲では、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させることができる。
よって、予め設定された設定範囲に対応する階調の範囲において、微細な階調表現(擬似的に連続した階調表現)を実現して画像の階調とびを低減した高画質な印刷物を作製することができるという効果がある。つまり、補正後の印刷データの色成分値のビット幅が小さいと、取り得る色成分値の間隔が拡大し、微細な階調表現が困難となる。階調と色成分値の値とは連動しているからである。本装置では、補正後の印刷データの色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正して、より下位桁まで色成分値を生成するので、微細な階調表現(微小な階調変化)を実現することができるという効果がある。
その上、ビット幅を増大させる色成分値の範囲は、実際に現出される階調を指標として設定されているので、形成し得る階調のレベルが粗である(1の階調と次の階調との間の濃度変化が大きい)と画質を低下させ易い範囲を設定範囲として、補正を行うことができる。これによれば、全ての色成分値に対してビット幅を増大させる補正を行わずとも、良好な画質の画像を形成することができるという効果がある。
尚、印刷手段の特性とは、印刷手段にて実行される印刷方式や画像の形成方式、更には、印刷手段にて形成される印刷画像の階調や色相が印刷手段固有の再現性を有することなどを意味している。
請求項2記載の画像処理装置によれば、請求項1記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷データの色成分値が設定範囲に属さない場合には、補正手段の第1回避手段により、ビット幅補正手段の動作が禁止され、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。即ち、ビット幅補正手段による補正は、設定範囲に属する色成分値に限定して実行される。よって、ビット幅の増大された色成分値が係わる処理を低減できるという効果がある。ビット幅の増大された値を用いて処理を行うと、1の処理において多くのビットを処理しなくてはならず、処理が煩雑となって処理速度を低下させる要因となるが、全ての色成分値に対してではなく、一部の色成分値に対してビット幅を増大させる処理を行うことができるので、(設定範囲に対応した階調の範囲において微細な階調表現が実現された)良好な画質の画像を形成できると共に、迅速な画像処理を実現できるという効果がある。
また、例えば、プリンタなどの画像処理装置では、パーソナルコンピュータ等に設けられるほど容量の大きなメモリを搭載することができない。このため、補正手段により一律に大きなビット幅の値に色成分値を補正する処理を行うと、メモリの動作領域を圧迫してしまう。しかし、本装置の構成を備えることにより、微細な階調表現を実現するべく色成分値を大きなビット幅の値に補正しても、動作不良となるほどメモリの動作領域が圧迫されることはなく、正常に画像処理装置を動作させることができる。
請求項3記載の画像処理装置によれば、請求項1または2に記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷データ生成手段により、変換情報記憶手段に記憶される変換情報に基づいて入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値が、第2の色群の対応する色成分値に変換され、印刷データが生成される。よって、印刷データ生成手段にて変換情報記憶手段に記憶される変換情報に基づいて印刷データを生成することにより、入力された画像情報に応じた的確な色相(色成分値)の印刷データを生成することができるという効果がある。
尚、変換情報記憶手段に記憶される変換情報としては、例えば、入力された第1の色群の色成分値を印刷データの第2の色群の色成分値に変換するルックアップテーブルなどが例示される。
請求項4記載の画像処理装置によれば、請求項3記載の画像処理装置の奏する効果に加え、変換情報記憶手段には、第2の色群の色成分値が所定のビット幅以下の値で記憶されているので、第1の色群から変換された第2の色群の色成分値を所定のビット幅以下の値とすることができる。即ち、印刷データ生成手段により生成される印刷データの色成分値を、所定のビット幅以下の値とすることができる。よって、補正手段にて補正を実行する色成分値(補正前の色成分値)を所定のビット幅以下の値とすることができ、補正手段による補正の処理速度を高速化することができるという効果がある。
印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値は、多少その値が変化しても、画質に対し目立った影響を及ぼさない。このため、必ずしも、印刷データ生成手段により生成する印刷データの色成分値を詳細な値(ビット幅の大きな値)とする必要はない。故に、かかる印刷データ生成手段により生成される色成分値を所定のビット幅以下に制限しても画質を大きく低下させることはない上、画像処理全体を高速化することができる。
また、例えば、プリンタなどの画像処理装置では、パーソナルコンピュータ等に設けられるほど容量の大きなメモリを搭載することができない。一方で、ビット幅の増大された色成分値に係る処理が増大するほど、メモリの動作領域に対する圧迫が大きくなる。しかし、本装置では、印刷データ生成手段により生成される色成分値を所定のビット幅以下に制限しているので、ビット幅の大きな色成分値が印刷データ生成手段にて生成される従来の画像処理に比べて、メモリの動作領域に対する圧迫を減少させることができ、本装置における画像処理を円滑に実行することができる。
請求項5記載の画像処理装置によれば、請求項1から4のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ビット幅補正手段により、各色成分値毎に補正が行われ、印刷手段により印刷データが印刷された場合における各色成分値のそれぞれの階調が、所定の濃度以下となる範囲に色成分値が属する場合、その色成分値の補正後の値が、補正前の色成分値よりもビット幅の大きな値に補正される。
よって、形成し得る階調のレベルが粗である(1の階調と次の階調との間の濃度変化が大きい)と目立った画質不良が生じる所定濃度以下の低濃度域において、ビット幅の大きな値の色成分値にて画像を形成することができる。故に、かかる低濃度域において、擬似的に連続した階調を表現でき、良好な画質を有する印刷物を提供することができるという効果がある。
請求項6記載の画像処理装置によれば、請求項1から5のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、ビット幅補正手段により、各色成分値毎に補正が行われると共に、補正後の色成分値の変化量が、補正前の色成分値の変化量に対して小さくなる範囲に色成分値が属する場合、その色成分値の補正後の値が、補正前の色成分値よりもビット幅の大きな値に補正される。よって、形成し得る階調のレベルが粗である(1の階調と次の階調との間の濃度変化が大きい)と目立った画質不良が生じる領域において、ビット幅の大きな値の色成分値にて画像を形成することにより、微細な階調表現を現出させることができ、良好な画質を有する印刷物を提供することができるという効果がある。
補正手段による補正は、印刷手段の特性に応じて実行されるものであり、補正後の色成分値の変化量が補正前の色成分値の変化量に対して小さくなる設定範囲とは、補正手段による補正によって、補正前の色成分値の変化に比して小さく補正後の色成分値が変化される領域である。言い換えれば、補正後の色成分値の微小変化により、現出される階調が変化する領域である。かかる設定範囲において、補正後の色成分値をビット幅の大きな値に補正することにより、補正後の色成分値を小刻みに変化させることができるので、擬似的に連続した階調を現出させることができ、良好な画質を有する印刷物を形成することができる。
請求項7記載の画像処理装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、第2の色群の色成分値の内、印刷手段により印刷された印刷データにおける色成分値の実際の階調の濃度変化が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい特定の色成分値に対しては、補正手段の第2回避手段によってビット幅補正手段の動作が禁止され、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。よって、無駄に処理時間が増大することを回避しつつ、画質の良好な印刷物を形成することができるという効果がある。
つまり、印刷された印刷データ(画像)における色成分値の実際の階調の変化(濃度変化)が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい場合、階調変化は目立たない。ビット幅補正手段により、かかる色成分値をビット幅の大きな値に補正しても、画質の向上に対して有効な効果は得られがたい。そこで、第2回避手段によって、特定の色成分値に対し、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避することにより、処理速度の高速化を実現することができる上、画質を大きく低下させることはない。
請求項8記載の画像処理装置によれば、請求項7記載の画像処理装置の奏する効果に加え、第2の色群の色成分値は、少なくとも、シアン、マゼンタ、イエローのそれぞれに対応した色成分値を有しており、第2回避手段にてビット幅の増大が回避される色成分値はイエローの色成分値であるので、色成分値が変化しても実際の階調変化が目立たないイエローの色成分値を、大きなビット幅の値に補正することを回避でき、画質を良好に維持しつつ、処理速度の高速化を図ることができるという効果がある。
請求項9記載の画像処理装置によれば、請求項7または8に記載の画像処理装置の奏する効果に加え、第2の色群の色成分値は、少なくとも、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタのそれぞれに対応した色成分値を有しており、第2回避手段にてビット幅の増大が回避される色成分値はライトシアン、ライトマゼンタの色成分値であるので、色成分値が変化しても実際の階調変化が目立たないライトシアン、ライトマゼンタの色成分値を、大きなビット幅の値に補正することを回避でき、画質を良好に維持しつつ、処理速度の高速化を図ることができるという効果がある。
請求項10記載の画像処理装置によれば、請求項1から9のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、第2の色群の色成分値は、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれに対応した色成分値を有している。そして、印刷データ生成手段により第1群の色成分値から変換された第2の色群の色成分値であるシアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が、所定の値以上である場合に、ブラックの色成分値を備えた印刷データが生成される。生成されたブラックの色成分値に対しては、第3回避手段により、ビット幅補正手段の動作が禁止され、補正後の色成分値(補正後のブラックの色成分値)が補正前の色成分値(補正前のブラックの色成分値)よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。即ち、ブラックの色成分値が生成される場合には、シアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が所定の値以上であるので、その色成分値を有する印刷データに対応した印刷にて形成される階調は、所定濃度以上の高濃度となっている。よって、階調が大きく変化しなければその階調変化が目立たない(印刷物の閲覧者に認識されない)領域において発生するブラックの色成分値に対し、微細な階調を表現するための不必要な補正を回避して処理速度を向上させることができるという効果がある。また、階調が所定濃度以上の高濃度にある場合には、微少な階調変化に応じて画質が大きく左右されることはないので、かかるブラックの色成分値についてビット幅補正手段による補正を回避しても、印刷物の画質を低下させることはない。
請求項11記載の画像処理装置によれば、印刷データ生成手段により、入力色データ記憶手段に記憶される入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換され、印刷データが生成される。ここで、印刷データ生成手段により生成された印刷データに対応した印刷を実行すると、階調が不連続(階調が視覚的に不均等)になり画質の不良な画像が形成される。実際に現出される階調は、印刷手段の特性により左右され、印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値に応じて実際に現出された階調では、本来表現する階調(入力色データに対応した階調)からずれてしまうからである。このため、印刷データ生成手段により生成された印刷データの色成分値は、補正手段により印刷手段の特性に応じたものに補正され、その補正手段により補正された印刷データが印刷手段により印刷される。また、印刷データの色成分値の内の所定の色成分値に対しては、ビット幅補正手段により、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正され、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現が現出される。つまり、所定の色成分値における微細な階調表現(擬似的に連続した階調表現)が実現される。
このため、色成分値毎に適切な補正を行うことができるという効果がある。印刷データの色成分値が異なる色成分値であれば、各色成分値毎にその値と階調との対応関係は異なっている。これによれば、微細な階調表現により効果的に画質を向上させる色成分値と否である色成分値とが混在する場合、微細な階調表現により効果的に画質を向上させる色成分値を所定の色成分値とすれば、色成分値に応じた補正を実行できると共に、画質の向上に効果的な補正を効率的に実現できるという効果がある。
尚、印刷手段の特性とは、印刷手段にて実行される印刷方式や画像の形成方式、更には、印刷手段にて形成される印刷画像の階調や色相が印刷手段固有の再現性を有することなどを意味している。
請求項12記載の画像処理装置によれば、請求項11記載の画像処理装置の奏する効果に加え、印刷データの色成分値が所定の色成分値でない場合には、補正手段の第4回避手段により、ビット幅補正手段の動作が禁止され、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。
よって、画一的にどの色成分値に対してもビット幅補正手段による補正を実行するのでなく、所定の色成分値以外の色成分値においては、ビット幅補正手段による補正を非実行とできる。これによれば、色成分値の値をビット幅の大きな値に補正しても画質の向上に対して目立った効果を発揮しない色成分値に対しては、ビット幅補正手段による補正を省略できるので、処理速度を向上させることができる上、画質を大きく低下させることがないという効果がある。
請求項13記載の画像処理装置によれば、請求項1から12のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、補正手段の中間調補正手段により、印刷データ生成手段にて生成される印刷データに対し誤差拡散の方式によって中間調の補正が実行される。よって、中間調の補正処理を効率的に実現できるという効果がある。ビット幅補正手段による補正後に、中間調補正手段による中間調の補正を印刷データに対して行う場合、中間調補正手段の補正方式によっては、中間調の補正を煩雑にしかねない。例えば、ディザ方式によって中間調の補正を実行しようとすれば、ビット幅の異なる色成分値のそれぞれに対応したディザマトリクスが必要となる上、大きさの異なるディザマトリクスを用いた中間調の補正処理は、処理を複雑化させ、中間調処理の効率を低下させる。しかし、本装置においては、中間調補正手段には、誤差拡散の方式が採用されているので、ビット幅の異なる色成分値が共存しても、効率的に中間調処理を行うことができる。
請求項14記載の画像処理プログラムによれば、入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データが、印刷データ生成ステップにより生成される。ここで、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データに応じた印刷を、印刷装置に実行させると、階調が不連続(階調が視覚的に不均等)となった画質の不良な画像が形成される。実際に現出される階調は、印刷装置の特性により左右されるために、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値に応じて実際に現出された階調では、本来表現する階調(入力色データに対応した階調)からずれてしまうからである。このため、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値は、補正ステップにより印刷装置の特性に応じたものに補正され、その補正ステップにより補正された印刷データが、出力ステップにより印刷装置に出力される。また、印刷装置により印刷データが印刷された場合に実際に現出される階調を指標として予め設定された設定範囲に、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値が属する場合、ビット幅補正ステップにより、補正後の印刷データの色成分値は、補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正される。即ち、設定範囲に対応する階調範囲では補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させる印刷データを作成することができる。
よって、印刷装置に出力された印刷データを該印刷装置で印刷した場合に、予め設定された設定範囲に対応する階調の範囲において、微細な階調表現(擬似的に連続した階調表現)を実現して画像の階調とびを低減した高画質な印刷物を作製することができるという効果がある。つまり、補正後の印刷データの色成分値のビット幅が小さいと、取り得る色成分値の間隔が拡大し、微細な階調表現が困難となる。階調と色成分値の値とは連動しているからである。本プログラムでは、補正後の印刷データの色成分値を補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正して、より下位桁まで色成分値を生成するので、微細な階調変化を実現して良好な画質の画像を形成できる印刷データを作成することができるという効果がある。
その上、ビット幅を増大させる色成分値の範囲は、実際に印刷装置での印刷により現出される階調を指標として設定されているので、形成し得る階調のレベルが粗である(1の階調と次の階調との間の濃度変化が大きい)と画質を低下させ易い範囲を設定範囲として、補正を行うことができる。これによれば、全ての色成分値に対してビット幅を増大させる補正を行わずとも、画質の良好な画像を形成できる印刷データを作成することができるという効果がある。
尚、印刷装置の特性とは、印刷装置にて実行される印刷方式や画像の形成方式、更には、印刷装置にて形成される印刷画像の階調や色相が印刷装置固有の再現性を有することなどを意味している。
請求項15記載の画像処理プログラムによれば、請求項14記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、印刷データの色成分値が前記設定範囲に属さない場合には、第1回避ステップにより、ビット幅補正ステップの動作が禁止され、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。よって、ビット幅の増大された色成分値が係わる処理を低減できるという効果がある。ビット幅の増大された値を用いて処理を行うと、1の処理において多くのビットを処理しなくてはならず、処理が煩雑となって処理速度を低下させる要因となるが、本プログラムでは、ビット幅を増大させる補正は、全ての色成分値に対してではなく、一部の色成分値に対して行う処理とすることができるので、(設定範囲に対応した階調の範囲において微細な階調表現を実現して)画質の良好な画像を形成できる印刷データを作成できる上、その処理を迅速に実行することができるという効果がある。
請求項16記載の画像処理プログラムによれば、請求項14または15に記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、印刷データ生成ステップにより、第1の色群の色成分値を第2の色群の色成分値に変換するために第1の色群の色成分値に対応して記憶された第2の色群の色成分値に基づいて、入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値が、第2の色群の対応する色成分値に変換される。よって、印刷データ生成ステップにより、入力された画像情報に応じた的確な色相(色成分値)の印刷データを生成することができるという効果がある。
尚、第1の色群の色成分値を第2の色群の色成分値に変換するために第1の色群の色成分値に対応して記憶された第2の色群の色成分値とは、例えば、入力された第1の色群の色成分値を印刷データの第2の色群の色成分値に変換するルックアップテーブルなどが例示される。
請求項17記載の画像処理プログラムによれば、請求項14から16のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、第2の色群の色成分値の内、印刷装置により印刷された印刷データにおける色成分値の実際の階調の濃度変化が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい特定の色成分値に対しては、補正ステップの第2回避ステップによって、ビット幅補正ステップの動作が禁止され、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。よって、無駄に処理時間が増大することを回避しつつ、良好な画質の画像を形成することができる印刷データを作成できるという効果がある。
つまり、印刷装置にて印刷された印刷データ(画像)における色成分値の実際の階調の変化(濃度変化)が、色成分値の変化量に対して予め設定された基準の変化量よりも小さい場合、階調変化は目立たない。ビット幅補正ステップにより、かかる色成分値をビット幅の大きな値に補正しても、画質の向上に対して有効な効果は得られがたい。そこで、第2回避ステップによって、特定の色成分値に対し、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることを回避することにより、処理速度の高速化を実現することができる上、形成される画像の画質を大きく低下させることはない。
請求項18記載の画像処理プログラムによれば、請求項14から17のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、第2の色群の色成分値は、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのそれぞれに対応した色成分値を有しており、印刷データ生成ステップにより、第1群の色成分値から変換された第2の色群の色成分値であるシアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が、所定の値以上である場合には、ブラックの色成分値を備えた印刷データが生成される。そして、ブラックの色成分値に対しては、補正ステップの第3回避ステップにより、ビット幅補正ステップの動作が禁止され、補正後の色成分値(補正後のブラックの色成分値)が補正前の色成分値(補正前のブラックの色成分値)よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。即ち、ブラックの色成分値が生成される場合には、シアン、マゼンタ、イエローの各色成分値の最低値が所定の値以上であるので、印刷装置により、その色成分値に対応した印刷が実行された場合に形成される階調は所定濃度以上の高濃度となっている。
よって、階調が大きく変化しなければその階調変化が目立たない(印刷物の閲覧者に認識されない)領域において発生するブラックの色成分値に対し、微細な階調を表現するための不必要な補正を回避して処理速度を向上させることができるという効果がある。また、階調が所定濃度以上の高濃度にある場合には、微少な階調変化に応じて画質が大きく左右されることはないので、かかるブラックの色成分値についてビット幅補正ステップによる補正を回避しても、印刷装置にて印刷される画像の画質を低下させることはない。
請求項19記載の画像処理プログラムによれば、入力色データ記憶ステップにて記憶された入力色データの第1の色群の色成分値が第2の色群の対応する色成分値に変換された印刷データが、印刷データ生成ステップにより生成される。ここで、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データに応じた印刷を、印刷装置に実行させると、階調が不連続(階調が視覚的に不均等)となった画質の不良な画像が形成される。実際に現出される階調は、印刷装置の特性により左右され、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値に応じて実際に現出された階調では、本来表現する階調(入力色データに対応した階調)からずれてしまうからである。このため、印刷データ生成ステップにより生成された印刷データの色成分値は、補正ステップにより印刷装置の特性に応じたものに補正され、その補正ステップにより補正された印刷データが出力ステップによって印刷装置に出力される。また、補正ステップは、印刷データの色成分値の内の所定の色成分値に対しては、ビット幅補正ステップにより、補正後の色成分値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正される。つまり、所定の色成分値については、補正前の色成分値による階調表現に比べて多段階の階調表現を現出させる印刷データが作成される。
よって、色成分値毎に適切な補正を行うことができるという効果がある。印刷データの色成分値が異なる色成分値であれば、各色成分値毎にその値と階調との対応関係は異なっている。このため、微細な階調表現により効果的に画質を向上させる色成分値と否である色成分値とが混在する場合、微細な階調表現により効果的に画質を向上させる色成分値を所定の色成分値とすれば、色成分値に応じた補正を実行できると共に、画質の向上に効果的な補正を効率的に実現できるという効果がある。
尚、印刷装置の特性とは、印刷装置にて実行される印刷方式や画像の形成方式、更には、印刷装置にて形成される印刷画像の階調や色相が印刷装置固有の再現性を有することなどを意味している。
請求項20記載の画像処理プログラムによれば、請求項19記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、印刷データの色成分値が所定の色成分値でない場合には、補正ステップの第4回避ステップにより、ビット幅補正ステップの動作が禁止され、その印刷データの色成分値の補正後の値が補正前の色成分値よりも大きなビット幅の値に補正されることが回避される。
よって、画一的にどの色成分値に対してもビット幅補正ステップによって補正を実行するのでなく、所定の色成分値以外の色成分値においては、ビット幅補正ステップによる補正を非実行とできる。これによれば、色成分値の値をビット幅の大きな値に補正しても画質の向上に対して目立った効果を発揮しない色成分値に対しては、ビット幅補正ステップによる補正を省略できるので、処理速度を向上させることができる上、画質を大きく低下させることがないという効果がある。
請求項21記載の画像処理プログラムによれば、請求項14から20のいずれかに記載の画像処理プログラムの奏する効果に加え、補正ステップは、印刷データ生成ステップにて生成される印刷データに対し誤差拡散の方式によって中間調の補正を行う中間調補正ステップを備えているので、中間調の補正処理を効率的に実現できるという効果がある。ビット幅補正ステップによる補正後に、中間調補正ステップによる中間調の補正を印刷データに対して行う場合、中間調補正ステップの補正方式によっては、中間調の補正を煩雑にしかねない。例えば、ディザ方式によって中間調の補正を実行しようとすれば、ビット幅の異なる色成分値のそれぞれに対応したディザマトリクスが必要となる上、大きさの異なるディザマトリクスを用いた中間調の補正処理は、処理を複雑化させ、中間調処理の効率を低下させる。しかし、本プログラムにおいては、誤差拡散の方式で中間調の処理を行うので、ビット幅の異なる色成分値が共存しても、効率的に中間調処理を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、パーソナルコンピュータ(以下PCという)20及びプリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。このプリンタ1は、PC20から入力された画像情報またはプリンタ1の外部メディアスロット10に装着された外部メディア40に記憶された画像情報を、カラー印刷することができるように構成されている。また、本プリンタ1およびPC20は、所定の濃度(濃度値0.35)以下の低濃度の印刷画像を形成するCMY値に対する階調補正処理について、補正後の色成分値(C’M’Y’値)が多ビット化された値となるように形成されている。
プリンタ1は、CPU2と、ROM3と、RAM4と、データRAM5と、操作パネル6と、印字ヘッド7と、シート搬送モータ8と、キャリッジモータ9と、外部メディアスロット10と、USBインターフェース11と、USB接続端子12とを備えている。これら各デバイスは、バスラインやケーブルなどで構成される接続ライン13によりCPU2に接続されており、CPU2により制御される。
CPU2は、ROM3に記憶された各種プログラムを実行するマイクロプロセッサであり、ROM3は、CPU2により実行される各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU2により実行する上で必要なデータなどを格納した読み出し専用のメモリである。このROM3は、制御プログラムの一部として、印刷制御プログラム3aとプリンタ色変換プログラム3bとを備えている。
印刷制御プログラム3aは、プリンタ1の印刷動作を制御するためのプログラムである。CPU2は、この印刷制御プログラム3aに従って、キャリッジモータ9やシート材搬送モータ8を駆動させると共に、印字ヘッド7のアクチュエータを駆動させてインクをノズルから噴射させ、所定の文字又は模様を記録媒体であるシート材上に印刷する。
プリンタ色変換プログラム3bは、入力された画像情報に含まれるRGB値をプリンタルックアップテーブル3cとUCRカーブ3fとに基づいてCMYK値に変換して印刷データを生成すると共に、生成(変換)されたCMYK値に対し本プリンタ1(印字ヘッド7)の特性に応じた補正(キャリブレーション処理(S37)および誤差拡散処理(S45))を行うものである。図7および図8に示すフローチャートのプログラムは、プリンタ色変換プログラム3bとして記憶されている。
中間調を形成する中間調処理(多値化処理)をディザマトリクス方式で行うと、CMYK値が異なるビット幅で形成されている場合、マトリクスサイズが大きいディザマトリクスが必要となりコストの面において不利である上、その処理が煩雑となるという不具合が生じるが、本実施形態においては、中間調処理(多値化処理)を誤差拡散方式で行うため、かかる不具合の発生を回避できる。
尚、プリンタ1(印字ヘッド7)の特性とは、プリンタ1(印字ヘッド7)における印刷方式に加え、例えば、使用されるインクやトナー等の画像形成原料の濃度や発色性、画像形成原料を吐出させる部材(例えばノズル)の形状や方式、画像を形成するアクチュエータを動作させる電気的特性(印字ヘッド7のインク吐出特性)などにより、同じ印刷データが出力されても、異なる色表現(階調や色相)が形成される性質を意味している。
プリンタルックアップテーブル3cは、入力された画像情報が有するRGB値をCMY値に変換するためのテーブルであり、RGB値に対応つけてCMY値が記憶されている。RGB値は、光の3原色である赤を表すR値と、緑を表すG値と、青を示すB値とを構成成分とする値である。光の3原色の混色により各種の色は生成されるので、入力画像の各画素の色は、R値とG値とB値との組合せ(RGB値)により1の色(色相や階調など)が示される。一方、プリンタ1は、シアン、マゼンタ、イエロー(、更にはブラック)の各インクの網点パーセントを変更することによって色を生成するものであり、CMY値は、シアンの色成分を示すC値、マゼンタの色成分を示すM値、イエローの色成分を示すY値の各色成分値の組み合わせにて構成されている。各C値、M値、Y値は、それぞれのインク量(網点パーセント)を示す値であり、C値とM値とY値(更にはブラックの色を示すK値)との組合せ(CMY値、CMYK値)により1の色(色相や階調など)が示される。
いずれのRGB値がいずれのCMY値と対応するかは予め既知であり、その対応関係に基づいて、このプリンタルックアップテーブル3cは形成されている。従って、このプリンタルックアップテーブル3cを参照して、色信号の表現形式をRGB形式からCMY形式へと変更することにより、入力された画像情報のカラー印刷を実行することができる。
このプリンタルックアップテーブル3cには、8ビットのデータでそれぞれ形成されたR値、G値、B値に対応して、それぞれ8ビットのデータで形成されたC値、M値、Y値が記憶されている。また、記憶するデータ量を低減するために、プリンタルックアップテーブル3cは、特定のRGB値(R値、G値、B値)に対応するCMY値(C値、M値、Y値)のみを記憶するテーブルとなっている。具体的には、0〜255のRGB値を16分割した場合に区切りとなる値(0,16,32,・・・,255)を代表値とし、かかる代表値に対応するCMY値が記憶されている。代表値以外の他のRGB値に対応するCMY値は、代表値に対応したCMY値の線形補間演算によって算出される。線形補間演算は周知の方法であるので、その説明は省略する。
プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとは、RGB値から変換されたCMYK値を補正するためのテーブルである。このプリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとには、RGB値から変換されたCMYK値に対応つけて、そのCMYK値が示す本来の階調を実際に現出させるC’M’Y’K’値が記憶されている。つまり、プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとは、階調の補正を行うテーブルである。
RGB値から変換されたCMY値(CMYK値)に対し階調補正を実行せずに印刷データを形成して印字ヘッド7に印刷を実行させると、印刷画像の階調が視覚的に不均等になり画質不良となる。印刷画像において実際に現出される階調は、プリンタ1の特性(例えばインク濃度や印字ヘッド7のインク吐出特性など)に影響されるため、RGB値から変換されたそのままのCMYK値と実際現出される階調との間に、線形な比例関係が成立しないからである。
このため、プリンタ1には、プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとが設けられており、プリンタ色変換処理においてCPU2によりプリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとが参照され、RGB値から生成した印刷データ(CMYK値)に対応する階調を現出させるために、CMYK値からC’M’Y’K’値への補正が実行されるのである。
ここでプリンタ第1補正テーブル3dは、C値、M値、Y値、K値のそれぞれに対応して設けられた4つのテーブルを有しており、各テーブルには8ビットのC値、M値、Y値、K値に対応する8ビットのC’値、M’値、Y’値、K’値がそれぞれ記憶されている。
プリンタ第2補正テーブル3eは、C値、M値のそれぞれに対応して設けられた2つのテーブルを有しており、各テーブルには8ビットのC値、M値に対応する12ビットのC’値、M’値が記憶されている。プリンタ1では、このプリンタ第2補正テーブル3eに基づいた補正により、印刷データのビット幅を補正前よりも増大させる多ビット化が行われる。
多ビット化は、有効桁数を増加させてより詳細な値を示すために実行される。ビット幅が増加するほど有効桁数は大きくなるので、補正後のC’値、M’値、Y’値、K’値が取り得る値が増加する。つまり、多ビット化を行うことにより階調数が増加し微細な階調表現を実現できる。
尚、プリンタ1では、多ビット化が全てのCMYK値に対して実行されるのではなく、特定の色(本実施形態ではシアンとマゼンタ)である場合に実行される。従って、プリンタ第2補正テーブル3eには、C値、M値に対応したテーブルのみが設けられている。また、プリンタ第2補正テーブル3eには、しきい値以下のC値、M値に対応するC’値、M’値が、12ビットの値で記憶されており、しきい値以上の範囲に属するCMYK値に対応するC’M’Y’K’値は、第1補正テーブル3cに記憶されている。
プリンタ1は、外部メディアスロット10に装着された外部メディア40の画像情報をカラー印刷することができるように構成されているが、メモリ容量が制限されているため、多くのデータを記憶することが困難な上、多大なデータの演算を行うと著しくRAM4の動作領域を圧迫してしまう。従って、予め記憶しておくデータ量を削減することやRAM4の効率的な利用を行う必要がある。このため、本プリンタ1では、全てのCMYK値に対して多ビット化を実行するのではなく、特定の色(本実施形態ではシアンとマゼンタ)であって、更に、印刷画像における濃度がシアン、マゼンタ共に0.35以下となる範囲に限定して、CMYK値の多ビット化を実行している。
形成される印刷画像の階調が高濃度側であるほど、多少の濃度変化(階調変化)が生じても、そもそもの濃度が高いため目立つ画質不良とならない。一方で、形成される印刷画像の階調が低濃度側となるほど階調変化は目立つため、低濃度側での階調とびは重大な画質不良となる。また、シアン、マゼンタのインクは、イエローのインクに比べて濃度が高い。このため、イエローのインクに比べ、吐出量(C値、M値)の変化に対する階調の変化が大きく、印刷画像の階調(濃度)が低濃度であるほど、その変化は顕著になる。つまり、画質低下は、シアン、マゼンタの低濃度領域における階調とびが重要な因子である。そこで、プリンタ1では、シアンとマゼンタとが所定の濃度(しきい値)以下で印刷画像を形成する場合に限定して、印刷データの多ビット化(12ビットのC’値、M’値の生成)を実行することにより、実際に印刷画像が形成された場合に目立った画質不良を発生させてしまう領域に限定して印刷データの多ビット化を行っている。故に、良好な画質での印刷画像形成を実現しつつ、RAM4の効率的な利用と画像処理の高速化とを実現している。
UCRカーブ3fは、CMY値からブラックの色成分であるK値を生成するための関数である。このUCRカーブにより、CMY値とK値との対応関係は規定される。このUCRカーブ3fは、RGB値から変換されたCMY値によりK値を生成する場合にCPU2により参照され、記憶されるUCRカーブ3fに基づいたK値が、CMY値から生成される(図4参照)。尚、UCRカーブ3fは、CMY値に対応してK値を記憶するテーブルデータであっても良い。
プリンタしきい値メモリ3gは、プリンタ第2補正テーブル3eにて多ビット化を実行する範囲を規定するためのしきい値を記憶するメモリである。プリンタ1においては、上記のようにC値、M値についてのみ、多ビット化されたC’値、M’値に補正するように構成されているので、このプリンタしきい値メモリ3gには、C値、M値のそれぞれに対応して各1のしきい値が記憶されている。プリンタ色変換処理において、RGB値から変換されたC値、M値がこのプリンタしきい値メモリ3gに記憶されるしきい値以下である場合、階調補正時に、C値、M値は、多ビット化されたC’値、M’値に補正される。
尚、このプリンタしきい値メモリ3gに記憶されるしきい値は、実際の印刷画像の濃度に基づいて予め定められた値であり、例えば、印刷画像の濃度が、最高濃度の略6分の1以下の範囲において任意に設定された値とされている。本実施形態においては、このしきい値は0.35とされている。
RAM4は、CPU2により実行される各種処理に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM4は、プリンタ印刷データメモリ4aとプリンタ指定色メモリ4bとを備えている。
プリンタ印刷データメモリ4aは、印字ヘッド7に出力する印刷データを記憶するためのメモリである。上記したように、プリンタ1に入力された画像情報がRGB値で形成されている場合には、RGB値からCMYK値が生成され、更に、生成されたCMYK値に対しプリンタ1の特性に応じた階調補正(C’M’Y’K’値の生成)と誤差拡散とが実行されて、印字ヘッド7に出力される印刷データが形成される。このプリンタ印刷データメモリ4aに記憶される印刷データ(誤差拡散処理後の値、多値化された値)で印刷画像を形成するように、印字ヘッド7によるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクの吐出動作がCPU2により制御される。
プリンタ指定色メモリ4bは、プリンタ色変換処理において、C値、M値、Y値、K値のいずれの処理を行うかを示すためのメモリであり、C値、M値、Y値、K値のそれぞれを指定するC値指定情報、M値指定情報、Y値指定情報、K値指定情報のいずれかが記憶される。プリンタ色変換処理では、プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとによって階調補正を行うキャリブレーション処理(S37、図7参照)を各画素毎において各色成分(C値、M値、Y値、K値)毎に実行するように構成されている。このプリンタ指定色メモリ4bには、キャリブレーション処理(S37)が開始されるタイミングで、処理を行う色成分を指定する指定情報が書き込まれる。このプリンタ指定色メモリ4bは、CPU2によりプリンタ色変換処理の中で随時参照され、その記憶される指定情報に対応した色成分値に対する処理が実行される。
データRAM5は、安価な大容量のメモリであるダイナミックRAMで構成され、PC20から入力(送信)された画像情報を記憶するためのメモリである。本プリンタ1は、PC20と接続されており、PC20から入力された画像情報の印刷を実行する。PC20から入力された画像情報は、既に、印刷データに変換されており、プリンタ1において色変換を行う必要はない。このPC20から入力された画像情報は一時的にこのデータRAM5に書き込まれて記憶される。データRAM5に記憶された画像情報(印刷データ)は、印刷実行時に、CPU2によりデータRAM5から読み出されてプリンタ印刷データメモリ4aに書き込まれ、その印刷が実行される。印刷が実行された画像情報(印刷データ)は、このデータRAM5から消去される。一般に画像情報は大容量であるが、画像情報が印刷されたことを条件にその画像情報を消去しているので、データRAM5を有効に使用することができる。
尚、データRAM5に記憶された画像情報を、全て一度にプリンタ印刷データメモリ4aに書き込む必要はなく、例えば、1頁毎や1ブロック毎、或いは1ライン毎に書き込んでも良い。
操作パネル6は、プリンタ1の各種設定をユーザが行うためのものであり、各種設定を入力するための入力スイッチやテンキーに加え、液晶表示装置を備えている。入力スイッチやテンキーにより入力された情報やプリンタ1の動作状態は、その液晶表示装置に表示される。
印字ヘッド7は、複数のノズル、アクチュエータ(いずれも非図示)を備えたインクジェットヘッドである。本プリンタ1はカラー印刷を行うプリンタであり、印字ヘッド7には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクに対応した4つのインクジェットヘッドが設けられている。CPU2から出力された信号(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクに対応した多値化データ)は非図示のゲートアレイを介してアクチュエータの駆動回路に入力され、入力された信号に合った波形の駆動パルスが駆動回路によって各ノズルに対応したアクチュエータに印加される。この駆動パルスによりアクチュエータが駆動して各ノズルからインク滴が吐出され、所定の文字又は模様が印刷される。
シート搬送モータ8は、プリンタ1の所定の位置に配置された記録媒体であるシート体を搬送方向の上流から下流又はその逆方向に搬送するためのステッピングモータであり、その駆動はCPU2により制御される。このシート搬送モータ8の駆動により、印字ヘッド7の下面(ノズル端の対向面)にシート体は給送される。
キャリッジモータ9は、印字ヘッド7を装着した非図示のキャリッジを、シート搬送モータ8による搬送方向に対して直交方向に、キャリッジの初期位置である始点と、該始点とは反対側の限界位置である終点との間を往復移動させるべく駆動するためのステッピングモータであり、その移動はCPU2により制御される。
尚、図示を省略しているが、シート搬送モータ8およびキャリッジモータ9のそれぞれに対応したドライバ回路が設けられており、CPU2からの5ボルトの制御信号は、ドライバ回路によってモータ駆動用の12ボルトの駆動電圧に変換されてから、各モータ8,9に入力され、各モータ8,9の駆動が制御される。また、本実施形態では、シート搬送モータ8およびキャリッジモータ9はステッピングモータとしたがDCモータで構成しても良い。
外部メディアスロット10は、デジタルカメラなどで撮影された画像情報(イメージデータ)を記憶する外部ディア40を着脱自在に装着するものである。装着された外部メディア40に記憶される画像情報(RGB値)は、CPU2によって読み出され、プリンタ1内部に入力される。
USBインターフェース(USBI/F)11は、USB端子12に接続されたUSBケーブルを通してPC20と通信を行うものである。PC20から送信された画像情報は、このUSBインターフェース11を介して、プリンタ1に入力される。
本プリンタ1では、イエローに対応するY値については、階調補正において多ビット化を行わない色成分値としている。イエローのインク濃度は、シアンやマゼンタに比べて低濃度であり、インクの吐出量を増大させても階調濃度の変化は、シアンやマゼンタに比べて小さい。本実施形態では、このシアンまたはマゼンタの色成分値の変化に対し形成される印刷画像の濃度変化を基準値とし、その基準値よりも色成分値に対する印刷画像の濃度変化が小さい色成分値については、多ビット化を非実行とする。
尚、本プリンタ1には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクにより、即ちCMYK値によりカラー印刷が実行されるように形成されたが、更に、ライトシアン、ライトマゼンタのインクを用いて印刷画像が形成されるようにプリンタ1を構成しても良い。かかる場合には、ライトシアン、ライトマゼンタの色成分値に対する階調補正は、多ビット化を行わないものとして8ビットで階調補正を行うように構成しても良い。
PC20は、CPU22と、ROM23と、RAM24と、ハードディスク(HDD)25と、キーボード26と、表示装置27と、USBインターフェース28と、USB接続端子29とを備えている。これら各デバイスは、バスラインやケーブルなどで構成される接続ライン30によりCPU22に接続されており、CPU22により制御される。
CPU22は、ROM23やHDD25に記憶された各種プログラムを実行するマイクロプロセッサであり、ROM23は、CPU22により実行されるバイヤスなどのプログラムや、固定値などのデータを格納した読み出し専用のメモリである。
RAM24は、CPU22により実行される各種処理に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM24は、CMYK値メモリ24aとPC印刷データメモリ24bとPC指定色メモリ24cとを備えている。
CMYK値メモリ24aは、イメージデータメモリ25fに記憶されるRGB形式のイメージデータをCMY形式に変換した画像情報を記憶するメモリである。このCMYK値メモリ24aに記憶される画像情報は、イメージデータメモリ25fに記憶されるイメージデータの各画素のRGB値が、後述のPCルックアップテーブル25bに基づいてCMYK値にそれぞれ変換されて形成される。
PC印刷データメモリ24bは、プリンタ1へ出力する印刷データを記憶するためのメモリである。つまり、このPC印刷データメモリ24bに記憶される印刷データがプリンタ1において印刷画像を形成させる実際のデータ(プリンタ1へ入力される画像情報)となっている。このPC印刷データメモリ24bに記憶される印刷データは、CMYK値メモリ24aに記憶される各CMYK値に対して補正(階調補正や誤差拡散など)が実行された値(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各インクに対応した多値化データ)で形成されている。CPU22により、CMYK値メモリ24aに記憶される各CMYK値に対する補正が実行される毎に、その補正後の値が、このPC印刷データメモリ24bに書き込まれて記憶される。尚、PC印刷データメモリ24bに記憶される印刷データは、プリンタ1への出力を契機として、このPC印刷データメモリ24bから消去される。
PC指定色メモリ24cは、後述するPC色変換処理(図5参照)において、C値、M値、Y値、K値のいずれの処理を行うかを示すためのメモリであり、C値、M値、Y値、K値のそれぞれを指定するC値指定情報、M値指定情報、Y値指定情報、K値指定情報のいずれかを記憶するメモリである。PC色変換処理では、PC第1補正テーブル25cとPC第2補正テーブル25dとによって階調補正を行うキャリブレーション処理(S7、図6参照)を、各画素毎において各色成分(C値、M値、Y値、K値)毎に実行するように構成されている。このPC指定色メモリ24cには、キャリブレーション処理(S7)が開始されるタイミングで、処理を行う色成分を指定する指定情報が書き込まれる。このPC指定色メモリ24bは、CPU22によりPC色変換処理の中で随時参照され、その記憶される指定情報に対応した色成分値に対する処理が実行される。
HDD25は、書き換え可能な不揮発性の大容量メモリであり、電源断後も、HDD25に記憶されるデータは不揮発に保持される。このHDD25には、CPU22により実行される各種制御プログラムが記憶されている。
また、HDD25は、プリンタドライバ25a、PCルックアップテーブル25b、PC第1補正テーブル25c、PC第2補正テーブル25d、PCしきい値メモリ25e、イメージデータメモリ25fを備えている。
プリンタドライバ25aは、文書作成アプリケーションや画像作成アプリケーションなど、各種アプリケーションで作成された文書データや画像データを、プリンタ1において処理可能な印刷データに変換し、プリンタ1へ出力するためのプログラムである。PC20は、プリンタドライバ25aに従って、文書データや画像データに含まれる文字や画像に対して画像処理を行い、アプリケーションで作成された(RGB形式の)画像データから、RGB形式(RGB値)で形成されるイメージデータ(印刷用の画像情報)を生成する。その後、生成したイメージデータの有する各RGB値をCMYK値に変換して印刷データを生成すると共に、生成した印刷データ(CMYK値)に対する各種補正を行って、出力する印刷データ(CMY形式の画像情報に基づいた多値化データ)を作成する。尚、図5および図6に示したフローチャートのプログラムは、このプリンタドライバ25aの一部として記憶されている。
また、印刷データの補正において、印刷データを出力先のプリンタ1に応じた階調補正を行う必要があるが、階調補正のためのPC第1補正テーブル25cとPC第2補正テーブル25dとは、このプリンタドライバ25aをPC20にインストールすることによって、HDD25に書き込まれる。また、階調の微細化(印刷データの多ビット化)を実行する範囲を規定するためのしきい値も、このプリンタドライバ25aをPC20にインストールすることによって、PCしきい値メモリ25eに記憶される。
PCルックアップテーブル25bは、PC20に入力された画像情報またはPC20にて作成された画像情報(厳密には、PC20の画像作成アプリケーションで作成された画像データや、外部入力された画像データが、プリンタドライバ24aにより変換された画像情報であるRGB形式のイメージデータ)が有するRGB値を、CMYK値に変換するためのテーブルであり、RGB値に対応つけてCMYK値が記憶されている。つまり、プリンタルックアップテーブル3cと同様に、画像情報の色信号の表現形式は、このPCルックアップテーブル25bにてRGB形式からCMY形式へと変更され、画像情報を印刷するための印刷データが生成される。
また、PCルックアップテーブル25bも、8ビットのデータでそれぞれ形成されたR値、G値、B値に対応して、8ビットのデータで形成されたC値、M値、Y値、K値が記憶されている。また、記憶するデータ量を低減するために、PCルックアップテーブル25bについても、特定のRGB値(R値、G値、B値)に対応するCMYK値(C値、M値、Y値、K値)のみを記憶するテーブルとなっている。具体的には、0〜255のRGB値を16分割した場合に区切りとなる値(0,16,32,・・・,255)を代表値とし、かかる代表値に対応するCMYK値が記憶されている。代表値以外の他のRGB値に対応するCMYK値は、代表値に対応したCMYK値の線形補間演算によって算出される。線形補間演算は周知の方法であるので、その説明は省略する。
尚、PCルックアップテーブル25bには、RGB値に対応してCMYK値が記憶されているので、UCRカーブを用いることなく、ブラックの色成分であるK値が規定(生成)される。また、PCルックアップテーブル25bは、C値、M値、Y値が所定の値以下である場合にはK値が発生されないように構成されている(図3参照)。
また、本実施形態では、プリンタルックアップテーブル3cおよびPCルックアップテーブル25bにおける色変換において、CMY値またはCMYK値は8ビットで生成される。つまり、ルックアップテーブル3c,25bにおけるCMY形式への変換処理においては、多ビット化は行われない。
PC第1補正テーブル25cとPC第2補正テーブル25dとは、RGB値から変換されたCMYK値を補正するためのテーブルである。PC第1補正テーブル25cとPC第2補正テーブル25dとは、プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eと同様に、階調の補正を行うテーブルであって、RGB値から変換されたCMYK値に対応つけて、そのCMYK値が示す本来の階調を実際に現出させるC’M’Y’K’値が記憶されている。
ここでPC第1補正テーブル25cは、C値、M値、Y値、K値のそれぞれに対応して設けられた4つのテーブルを有しており、各テーブルには8ビットのC値、M値、Y値、K値に対応する8ビットのC’値、M’値、Y’値、K’値がそれぞれ記憶されている。
PC第2補正テーブル25dは、C値、M値、Y値のそれぞれに対応して設けられた3つのテーブルを有しており、各テーブルには8ビットのC値、M値、Y値に対応する12ビットのC’値、M’値、Y’値が記憶されている。このPC第2補正テーブル25dに基づいた補正により、印刷データのビット幅を補正前よりも増大させる多ビット化が行われる。PC20においては、K値については多ビット化を行わないので、PC第2補正テーブル25dには、K値に対応したテーブルは設けられていない。また、PC第2補正テーブル25dには、しきい値以下のC値、M値、Y値に対応したC’値、M’値、Y’値が12ビットの値で記憶されており、それ以外の範囲(しきい値を越える範囲)に属するCMYK値に対応するC’M’Y’K’値は、PC第1補正テーブル25bに記憶されている。
PCしきい値メモリ25eは、PC第2補正テーブル25dにて多ビット化を実行する範囲を規定するためのしきい値を記憶するメモリである。PC20においては、上記のようにC値、M値、Y値について、多ビット化されたC’値、M’値、Y’値に補正するように構成されているので、このPCしきい値メモリ25eには、C値、M値、Y値のそれぞれに対応して各1のしきい値が記憶されている。このPCしきい値メモリ25eは、PC20でのPC色変換処理においてCPU22に参照され、RGB値から変換されたC値、M値、Y値がこのPCしきい値メモリ25eに記憶されるしきい値(本実施形態では0.35)以下である場合、C値、M値、Y値は、多ビット化されたC’値、M’値、Y’値に変換される。
尚、このPCしきい値メモリ25eに記憶されるしきい値は、PC20からプリンタ1へ出力された画像情報(印刷データ)の実際の印刷画像の濃度に基づいて予め定められた値であり、例えば、印刷画像の濃度が、最高濃度の略6分の1以下の範囲において任意に設定された値とされている。上記のように、本実施形態では、このしきい値は0.35とされている。
イメージデータメモリ25fは、RGB形式のイメージデータ(画像情報)を記憶するメモリであり、PC20の画像作成アプリケーションで作成された画像データや、外部入力された画像データは、プリンタドライバ24aにより印刷用の画像情報(RGB形式のイメージデータ)に変換された後、このイメージデータメモリ25fに記憶される。PC20におけるPC色変換処理により、このイメージデータメモリ25fに記憶されるRGB形式のイメージデータは、CPU22にて読み出され、読み出されたイメージデータから印刷データ(CMY形式の画像情報)が生成される。
キーボード26は、PC20へデータ又はコマンドを入力するものであり、表示装置27は、PC20で実行される処理内容や入力されたデータなどを視覚的に確認するために、文字や画像などを表示するものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどにより構成されている。
USBインターフェース(USBI/F)28は、USB端子29に接続されたUSBケーブルを通してプリンタ1と通信を行うものである。プリンタ1へ送信される画像情報は、このUSBインターフェース28を介して、プリンタ1に送信される。
尚、PC20が、複数のプリンタに接続され、それぞれのプリンタにて印刷を実行するように構成されている場合には、各プリンタのそれぞれに対応したプリンタドライバがPC20に搭載される。また、各プリンタドライバにより、各プリンタに対応したPC第1補正テーブル、PC第2補正テーブル、PCしきい値メモリが、それぞれHDD25に設けられる。
図2は、プリンタ第1補正テーブル3d、プリンタ第2補正テーブル3e、PC第1補正テーブル25c、PC第2補正テーブル25dによる階調補正の概念(補正曲線)を示した図である。横軸には、補正前のCMYK値を示しており、原点をCMYK値「0」とし、横軸に沿って原点から離れるほどその値が大きくなることが示されている。補正前のCMYK値の各色成分の最大値は、「255」とされている。縦軸には、補正後のCMYK値であるC’M’Y’K’値を示しており、原点をCMYK値「0」とし、縦軸に沿って原点から離れるほどその値が大きくなることが示されている。補正後のC’M’Y’K’値についても最大値は「255」とされているが、しきい値に対応した値以下の範囲では、12ビットで表現されているので、しきい値に対応した値を境界として有効桁数は異なっている。CMYK値およびC’M’Y’K’値は、その値が大きくなるほど、印刷画像の濃度が高くなるように設定されている。
図2の補正曲線に示すように、CMYK値からC’M’Y’K’値へは、CMYK値が原点に近づく(値が小さくなる)につれて、補正後のC’M’Y’K’値の変化が小さくなるように補正されることが示されている。印刷画像の濃度が低くなるにつれて階調変化は目立つため、低濃度側では微細に階調をコントロールする必要がある。一方で、高濃度側では、階調濃度(C’M’Y’K’値)を大胆に変化させなければ、階調の変化は識別されない。従って、CMYK値が小さくなるほど、CMYK値の変化に対して補正後のC’M’Y’K’値の変化が微小になるように補正テーブル3d,3e,25c,25dは設計されている。
これによれば、実際の印刷画像において、擬似的に連続した階調が形成される。言い換えれば、CMYK値に線形に比例した階調が形成される。尚、低濃度側では、CMYK値の変化量1に対してC’M’Y’K’値の変化量は1未満とされ、高濃度側では、CMYK値の変化量1に対してC’M’Y’K’値の変化量は1以上とされている。
ここで、CMYK値の補正において、低濃度側では、C’M’Y’K’値のわずかな変化で階調が変化するため、取り得るC’M’Y’K’値が少ない(有効桁数が小さい)と、形成されるべき階調変化がつぶれてしまい、階調とびとなってしまう。
階調とびとは、擬似的に連続して形成されるはずの階調が不連続に変化してしまう(視覚的に階調が不均等となる)現象、言い換えれば、1の階調とその次の階調とのレベル(濃度)が大きく変化してしまう(濃度格差大となる)現象である。例えば、補正前の3つのCMYK値に応じて、本来、第1の階調、第2の階調、第3の階調が形成されるはずが、全て第3の階調に収束されて階調変化が消滅してしまうといった事態である。上記したように印刷画像の濃度が低くなるにつれて階調変化は目立つため、低濃度側で階調とびが発生すると目立った画質不良となる。
この階調とびを解消するために、本実施形態では、図2に示したように、しきい値以下の低濃度側にCMYK値が属する場合には、補正後のC’M’Y’K’値を多ビット化された値(12ビットのビット幅で表現される値)とする画像処理が行われるように、プリンタ第2補正テーブル3eとPC第2補正テーブル25dとが構成されている(図2において「12ビット定義」で示す範囲)。また、しきい値を越える高濃度側にCMYK値が属する場合には、低濃度側に比べてC’M’Y’K’値の変化量を大きくしなくては視認可能な階調変化を形成できない。故に、C’M’Y’K’値に低濃度側ほどの精度(有効桁数、即ちビット幅)は要求されず、むしろ、ビット幅が増大されてしまうと演算処理を煩雑にしてしまうだけとなる。このため、しきい値を越える高濃度側にCMYK値が属する場合には、補正後のC’M’Y’K’値を多ビット化せず8ビットのまま画像処理が行われるように、プリンタ第1補正テーブル3dとPC第1補正テーブル25cとが用意されている(図2において「8ビット定義」で示す範囲)。
このように、階調とびが著しい画質低下を招く領域に限って、多ビット化されたC’M’Y’K’値で階調補正を行うことにより、本実施形態では、高画質の印刷画像を形成する印刷データを高速で作成することができる。
図3は、PC20に記憶されるPCルックアップテーブル25bに記憶されるK値について説明する図である。PCルックアップテーブル25bには、RGB値に対応つけてCMYK値が記憶されているが、上記したように、PCルックアップテーブル25bは、C値、M値、Y値が所定の値以下である場合にはK値が発生されないように構成されている。言い換えれば、C値、M値、Y値が所定の値以下である場合、K値は「0」となっている。
図3に示すように、横軸は印刷画像の濃度値を示しており、原点を濃度値「0」として横軸に沿って原点から離れるほどその値が大きくなることが示されている。縦軸は、PCルックアップテーブル25bに記憶されるCMYK値(出力値、0〜255)を示しており、原点を「0」として縦軸に沿って原点から離れるほどその値が大きくなることが示されている。図3中において、K値は四角をマークとする曲線で図示されており、印刷画像の濃度値が1.15を越える場合にK値が発生することが示されている。また、図3中において、CMY値は菱形をマークとする曲線で図示されており、CMY値を構成するC値、M値、Y値の内の最低値が略150以上となる場合に、K値が発生することが示されている。つまり、本実施形態では、印刷画像の濃度値が1.15を越える場合、言い換えればC値、M値、Y値が150以上となる場合にK値が発生するように、PCルックアップテーブル25bは構成されている。
RGB値がCMYK値に変換された場合の各C値、M値、Y値、K値の内、K値は、同じRGB値をCMY値に変換した場合のC値、M値、Y値のうちの最低値で与えられる。また、RGB値をCMY値に変換した場合のC値、M値、Y値からそのK値を減算した値(C値−K値、M値−K値、Y値−K値)が、RGB値がCMYK値に変換された場合の各C値、M値、Y値とされる。つまり、CMY値により吐出されるシアン、マゼンタ、イエローのインクにて形成される印刷画像のトータルの濃度の一部が、ブラックの色成分(ブラックのインクの吐出)で置き換えられることとなる。従って、図3に示すように、K値が増加すると、そのK値の増加分CMY値(C値、M値、Y値)は減少する。
このように、PC20では、K値は、印刷画像の濃度値が1.15を越える場合、即ち、印刷画像の濃度が高濃度である場合に発生するように構成されている。従って、K値に対する階調補正において微細な補正は不要である。故に、PC20における階調補正において、K値については多ビット化されたK’値に補正することなく、8ビットのままで処理が行われる。
図4は、プリンタ1のUCRカーブメモリ3fに記憶されるUCRカーブによるK値の生成特性を示した図である。横軸には、プリンタルックアップテーブル3cに記憶される各CMY値を構成するC値、M値、Y値の内の最低値を示している。縦軸には、生成されるK値を示している。図4に示すように、プリンタ1においては、1のCMY値を構成するC値、M値、Y値の最低値が、略150以上である場合にK値が生成される。つまり、C値、M値、Y値のそれぞれの値が略150以上であるCMY値については、K値が生成されて、CMY値からCMYK値に変換される。
このように、プリンタ1においても、K値は、形成される印刷画像の濃度が高濃度である場合に発生するように構成されている。従って、K値に対する階調補正において高精度の補正は不要である。故に、プリンタ1における階調補正において、K値については多ビット化されたK’値に補正することなく、8ビットのままで処理が行われる。
次に、図5〜図8のフローチャートを参照して、上記のように構成されたプリンタ1およびPC20で実行される色変換処理について説明する。まず、図5と図6のフローチャートによりPC20で実行されるPC色変換処理について説明する。
図5は、PC色変換処理のフローチャートである。PC色変換処理は、印刷の実行が操作者により要求されると起動され、イメージデータメモリ25fに記憶されるイメージデータを、プリンタ1において処理可能な印刷データに変換する。
このPC色変換処理では、まず、イメージデータメモリ25fに記憶されるイメージデータの各RGB値を読み出し(S1)、PCルックアップテーブル25bを参照して読み出したRGB値をCMYK値に変換する(S2)。そして、変換後のCMYK値をCMYK値メモリ24bに書き込む(S3)。このS1〜S3の処理により、イメージデータメモリ25fに記憶されるイメージデータは、そのイメージデータを構成する各画素の色成分値がCMYK値に変換されてCMYK値メモリ24bに記憶される。
次に、PC指定色メモリ24cにC値を指定するC値指定情報を書き込み(S4)、アドレスポインタを0(n=0)にセットする(S5)。続いて、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報に基づいて、CMYK値メモリ24bのn番地のアドレスに記憶されている指定された色成分値を読み出す(S6)。CMYK値は、8ビットのC値、M値、Y値、K値を備えた4バイトのデータであるので、CMYK値メモリ24bには4バイト毎にアドレスが付与されている。例えば、n=0、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報がC値指定情報であると、CMYK値メモリ24bの0番地に記憶されるC値が読み出される。
その後、読み出した色成分値(C値、M値、Y値、K値のいずれか)に対して、プリンタ1に応じた階調補正を行うためのキャリブレーション処理を実行する(S7)。続いて、キャリブレーション処理により補正されたCMYK値、即ちC’値、M’値、Y’値、K’値が12ビットであるか否かを確認し(S8)、ここで、12ビットに補正されていなければ(S8:No)、生成されたC’値、M’値、Y’値、K’値を12ビット化し(S9)、更に、12ビット化されたC’値、M’値、Y’値、K’値をRAM24の動作エリアに書き込む(S10)。S8の処理で確認した結果、キャリブレーション処理により補正されたCMYK値、即ちC’値、M’値、Y’値、K’値が12ビットであれば(S8:Yes)、S9の処理をスキップしてS10の処理に移行する。
尚、本実施形態においては、K値については多ビット化されないので、K’値は常に8ビットである、従って、キャリブレーション処理(S7)がK値に対して実行された場合は、S8の処理において、常に、Noへと分岐する。
続いて、アドレスポインタの示すn番地のアドレスが最終番地であるか否か確認し(S11)、n番地のアドレスが最終番地であると(S11:Yes)、CMYK値メモリ24bに記憶されている1の色成分値についての処理が全て終了したことが示されているので、指定されている色成分値がC値であるか否か、即ち、PC指定色メモリ24cに記憶されている指定情報がC値指定情報であるか否かを確認する(S12)。ここで、指定されている色成分値がC値でなければ(S12:No)、指定されている色成分値はM値、Y値、K値のいずれかである。
本PC色変換処理は、C値、M値、Y値、K値の順に実行されるとともに、S12の処理で確認された色成分値は、その色成分値までの処理が終了していることが示されている。従って、S12の処理での確認結果が、C値でなければ、少なくともM値に対する処理までは終了していることが示されている。故に、指定されている色成分値がM値であるか否か、即ち、PC指定色メモリ24cに記憶されている指定情報がM値指定情報であるか否かを確認する(S13)。ここで指定されている色成分値がM値でなければ(S13:No)、指定されている色成分値はY値、K値のいずれかであって、少なくともY値までの処理は、全て終了していることが示されている。このため、更に、指定されている色成分値がY値であるか否か、即ち、PC指定色メモリ24cに記憶されている指定情報がY値指定情報であるか否かを確認する(S14)。確認の結果、指定されている色成分値がY値でなければ(S14:No)、指定されている色成分値はK値であり、C値、M値、Y値、K値の順でK値までの処理が、全て終了したことが示されているので、生成されたC’値、M’値、Y’値、K’値に対して12ビット誤差拡散処理を実行して(S15)多値化データを作成すると共に生成された多値化データをPC印刷データメモリ24bに書き込んで、このPC色変換処理を終了する。
一方、S11の処理で確認した結果、n番地のアドレスが最終番地でなければ(S11:No)、CMYK値メモリ24bに記憶されている1の色成分値についての処理は未完了であるので、アドレスポインタの値(n)に1加算してn=n+1とし(S19)、次のアドレスを指定した後、その処理をS6の処理に移行する。
また、S12の処理で確認した結果、指定されている色成分値がC値であれば(S12:Yes)、C値に対する処理が全て終了し、M値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、PC指定色メモリ24cにM値を指定するM値指定情報を書き込んでから(S16)、その処理をS5の処理に移行する。これにより、アドレスポインタの値が再び0にセットされると共に、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報がM値指定情報に変更されているので、CMYK値メモリ24bの0番地に記憶されるM値が読み出されて、M値に対するキャリブレーション処理(S7)が実行される。
加えて、S13の処理で確認した結果、指定されている色成分値がM値であれば(S13:Yes)、M値に対する処理が全て終了し、Y値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、PC指定色メモリ24cにY値を指定するY値指定情報を書き込んでから(S17)、その処理をS5の処理に移行する。これにより、CMYK値メモリ24bの0番地に記憶されるY値が読み出されて、Y値に対するキャリブレーション処理(S7)が実行される。
更に、S14の処理で確認した結果、指定されている色成分値がY値であれば(S14:Yes)、Y値に対する処理が全て終了し、K値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、PC指定色メモリ24cにK値を指定するK値指定情報を書き込んでから(S18)、その処理をS5の処理に移行する。これにより、CMYK値メモリ24bの0番地に記憶されるK値が読み出されて、K値に対するキャリブレーション処理(S7)が実行される。
図6は、PC色変換処理の中で実行されるキャリブレーション処理(S7)のフローチャートである。キャリブレーション処理(S7)は、PC第1補正テーブル25cとPC第2補正テーブル25dとによって、出力先のプリンタ1に応じた階調補正を行う処理であり、RGB値から変換されたCMYK値が示す本来の階調が、印刷画像に反映されるように補正を行う処理である。
このキャリブレーション処理(S7)では、まず、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報がK値指定情報であるか否かを確認し(S20)、K値指定情報でなければ(S20:No)、多ビット化処理を行う可能性があるため、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報に対応するしきい値をPCしきい値メモリ25eから読み出した後(S21)、S6の処理で読み出された色成分値(C値、M値、Y値のいずれか)が、該しきい値以下であるか否かを確認する(S22)。尚、S6の処理で読み出された色成分値の記憶されるn番地のアドレスにK値が記憶されている場合には、読み出された色成分値(C値、M値、Y値)にK値が加算された値がしきい値以下であるか否かがこのS22の処理で判断される。つまり、K値が記憶されている場合には、CMY値の濃度の一部をK値が補っているので、かかる場合に、CMY値(C値、M値、Y値)としきい値とを比較すると、実際には多ビット化する必要のない高濃度で印刷画像が形成されるCMY値(C値、M値、Y値)であるにもかかわらず、多ビット化が行われかねない。このため、本PC色変換処理では、しきい値と比較する色成分値は、K値が加算された値としている。更に、しきい値は、S21の処理で毎回PCしきい値メモリ25eから読み出す必要はなく、1度読み出したしきい値をRAM24に記憶させ、S22の処理では、RAM24に記憶されるしきい値を読み出すこととしても良い。
S22の処理で判断した結果、しきい値以下であれば(S22:Yes)、12ビットに多ビット化したC’値M’値Y’値を生成するために、PC第2補正テーブル25dを参照して、S6の処理で読み出された色成分値(C値、M値、Y値)に対応する12ビットの色成分値(C’値、M’値、Y’値)を抽出する(S23)。これにより8ビットのC値、M値、Y値は、多ビット化された値に変換される。このように、8ビットのC値、M値、Y値を、12ビットのC’値、M’値、Y’値に変換して有効桁数を増加させることにより、C’値、M’値、Y’値の取り得る値(階調を形成する値)を増大させることができ、8ビットでは表現不能な多階調を実現することができる。つまり、C値、M値、Y値を、プリンタ1にて本来の階調を再現するための値(C’値、M’値、Y’値)に補正することができる(多ビット化された値による階調補正の実行)。その後、このキャリブレーション処理(S7)を終了する。
一方、S20の処理で確認した結果、PC指定色メモリ24cに記憶される指定情報がK値指定情報である場合(S20:Yes)、または、S22の処理で確認した結果、S6の処理で読み出された色成分値(C値、M値、Y値のいずれか)が、しきい値を越えていた場合(S22:No)、8ビットの色成分値(C’値、M’値、Y’値、K’)を生成するために、PC第1補正テーブル25cを参照して、S6の処理で読み出された色成分値(C値、M値、Y値、K値)に対応する8ビットの色成分値(C’値、M’値、Y’値、K’値)を抽出する(S24)。これにより、8ビットのC値、M値、Y値、K値は、プリンタ1にて本来の階調を再現するための値(C’値、M’値、Y’値、K’値)に補正される。そして、このキャリブレーション処理(S7)を終了する。
このように、PC20において、PC色変換処理で生成された印刷データは、プリンタ1へと出力され、プリンタ1において印刷画像が形成される。これにより、PC20で作成された画像データに対し、階調とびの抑制された再現性の良好な印刷画像を形成することができる上、CMYK値の多ビット化は部分的に行うので画像処理を高速に行うことができる。
次に、図7と図8のフローチャートを参照して、プリンタ1で実行されるプリンタ色変換処理について説明する。
図7は、プリンタ色変換処理のフローチャートである。プリンタ色変換処理は、外部メディアスロット10に装着された外部メディア40に記憶される画像データの印刷が、操作パネル上から指示されることにより開始される。
このプリンタ色変換処理では、まず、アドレスポインタを0(n=0)にセットし(S31)、印刷が指定されたイメージデータが記憶されるファイルの先頭アドレスを指定する。尚、外部メディア40のイメージデータのファイルには、1のRGB値が1のアドレスで管理されるようにアドレスが付与されている。また、先頭アドレスは必ずしも0でなくとも良い。
次に、指定されたイメージデータのファイルのn番地のアドレスに記憶されるRGB値を読み出す(S32)。読み出したRGB値はRAM24の動作エリアに記憶される。そして、プリンタルックアップテーブル3cを参照して読み出したRGB値をCMY値に変換する(S33)。そして、変換したCMY値に対応するK値をUCRカーブメモリ3fに記憶されるUCRカーブ(関数)に基づいて生成する(S34)。続いて、S33の処理で変換されたCMY値(C値、M値、Y値のそれぞれ)から、生成されたK値を減算して新たなCMY値を生成する(S35)。
その後、プリンタ指定色メモリ4bにC値を指定するC値指定情報を書き込み(S36)、生成されたCMYK値に対して、プリンタ1に応じた階調補正を行うためのキャリブレーション処理を実行する(S37)。続いて、キャリブレーション処理により補正されたCMYK値、即ちC’値、M’値、Y’値、K’値が12ビットであるか否かを確認し(S38)、キャリブレーション処理により補正されたCMYK値、即ちC’値、M’値、Y’値、K’値が12ビットでなければ(S38:No)、生成されたC’値、M’値、Y’値、K’値は8ビットであるので、生成されたC’値、M’値、Y’値、K’値を12ビット化し(S39)、更に、12ビット化されたC’値、M’値、Y’値、K’値をRAM24の動作エリアに書き込む(S40)。一方、12ビットでC’値、M’値、Y’値、K’値が生成されていると(S38:Yes)、S39の処理をスキップしてS40の処理に移行する。
尚、本実施形態においては、Y値、K値については多ビット化されないので、Y’値、K’値は常に8ビットである、従って、キャリブレーション処理(S37)がY値、K値に対して実行された場合は、S38の処理において、常に、Noへと分岐する。
その後は、指定されている色成分値がC値であるか否か、即ち、プリンタ指定色メモリ4bに記憶されている指定情報がC値指定情報であるか否かを確認する(S41)。ここで、指定されている色成分値がC値でなければ(S41:No)、指定されている色成分値はM値、Y値、K値のいずれかである。
本プリンタ色変換処理は、キャリブレーション処理(S37)を、C値、M値、Y値、K値の順で実行しており、キャリブレーション処理(S37)の後にプリンタ指定色メモリ4bに記憶されている指定情報にて、その対応する色成分値の処理が終了していることが示されている。従って、S41の処理での確認結果が、C値でなければ、少なくともM値に対する処理までは終了していることが示されている。故に、指定されている色成分値がM値であるか否か、即ち、プリンタ指定色メモリ4bに記憶されている指定情報がM値指定情報であるか否かを確認する(S42)。ここで指定されている色成分値がM値でなければ(S42:No)、指定されている色成分値はY値、K値のいずれかであって、少なくともY値までの処理は、終了していることが示されている。このため、更に、指定されている色成分値がY値であるか否か、即ち、プリンタ指定色メモリ4bに記憶されている指定情報がY値指定情報であるか否かを確認する(S43)。確認の結果、指定されている色成分値がY値でなければ(S43:No)、指定されている色成分値はK値であり、C値、M値、Y値、K値の順でK値までの処理が終了したことが示されているので、アドレスポインタの示すn番地のアドレスが最終番地であるか否か確認する(S44)。
その結果、n番地のアドレスが最終番地であると(S44:Yes)、指定されたイメージデータの全てのRGB値に対する色変換が終了しているので、生成されたC’値、M’値、Y’値、K’値に対して12ビット誤差拡散処理を実行して(S45)、多値化データを作成すると共に生成された多値化データをプリンタ印刷データメモリ4aに書き込んで、このプリンタ色変換処理を終了する。
一方、S44の処理で確認した結果、n番地のアドレスが最終番地でなければ(S44:No)、指定されたイメージデータの全てのRGB値に対する色変換は未完了であるので、アドレスポインタの値(n)に1加算してn=n+1とし(S49)、次のアドレスを指定した後、その処理をS32の処理に移行し、イメージデータの全てのRGB値に対する色変換が終了するまで、S32〜S49の処理を繰り返す。
また、S41の処理で確認した結果、指定されている色成分値がC値であれば(S41:Yes)、C値に対する処理が終了し、M値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、プリンタ指定色メモリ4bにM値を指定するM値指定情報を書き込んでから(S46)、その処理をS37の処理に移行する。
加えて、S42の処理で確認した結果、指定されている色成分値がM値であれば(S42:Yes)、M値に対する処理が終了し、Y値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、プリンタ指定色メモリ4bにY値を指定するY値指定情報を書き込んでから(S47)、その処理をS37の処理に移行する。
更に、S43の処理で確認した結果、指定されている色成分値がY値であれば(S43:Yes)、Y値に対する処理が終了し、K値に対する処理を開始するタイミングであることが示されているので、プリンタ指定色メモリ4bにK値を指定するK値指定情報を書き込んでから(S48)、その処理をS37の処理に移行する。
図8は、プリンタ色変換処理の中で実行されるキャリブレーション処理(S37)のフローチャートである。キャリブレーション処理(S37)は、プリンタ第1補正テーブル3dとプリンタ第2補正テーブル3eとによって、プリンタ1に応じた階調補正を行う処理であり、RGB値から変換されたCMYK値が示す本来の階調が、印刷画像に反映されるように補正を行う処理である。
このキャリブレーション処理(S37)では、まず、プリンタ指定色メモリ4bに記憶される指定情報がC値指定情報またはM値指定情報であるか否かを確認し(S51)、C値指定情報またはM値指定情報であれば(S51:Yes)、多ビット化処理を行う可能性があるため、プリンタ指定色メモリ4bに記憶される指定情報に対応するしきい値をプリンタしきい値メモリ3gから読み出した後(S52)、S33の処理で生成されたCMY値の指定された色成分値(C値、M値のいずれか)が、該しきい値以下であるか否かを確認し(S53)、しきい値以下であれば(S53:Yes)、12ビットに多ビット化したC’値またはM’値を生成するために、プリンタ第2補正テーブル3eを参照して、S35の処理で生成された色成分値(C値、M値)に対応する12ビットの色成分値(C’値M’値)を抽出する(S54)。これにより、プリンタ1に応じた階調補正がなされた色成分値(C’値M’値)を生成される。そして、このキャリブレーション処理(S37)を終了する。
尚、しきい値は、S52の処理で毎回プリンタしきい値メモリ3gから読み出す必要はなく、1度読み出したしきい値をRAM4に記憶させ、S52の処理では、RAM4に記憶されるしきい値を読み出すこととしても良い。
ここで、S35の処理において新たに生成されたCMY値は、S33の処理で生成されたCMY値からK値が減算されている。このため、S35の処理で生成されたCMY値としきい値とを比較すると、実際には多ビット化する必要のない高濃度で印刷画像が形成されるC値M値であっても、見かけ上の値が小さくなるために、多ビット化が行われかねない。このため、本プリンタ色変換処理では、S33の処理で生成されたCMY値(C値およびM値)をしきい値と比較することにより、不要な多ビット化が行われることを回避している。
一方、S51の処理で確認した結果、プリンタ指定色メモリ4bに記憶される指定情報がC値指定情報またはM値指定情報でなかった場合(S51:No)、S53の処理で確認した結果、S33の処理で生成されたCMY値の指定された色成分値(C値、M値のいずれか)が、しきい値を越えていた場合(S53:No)、プリンタ第1補正テーブル3dを参照して、S35の処理で生成された色成分値(C値、M値、Y値、K値)に対応する8ビットの色成分値(C’値、M’値、Y’値、K’値)を抽出する(S55)。これにより、プリンタ1に応じた階調補正がなされた色成分値(C’値、M’値、Y’値、K’値))を生成して、このキャリブレーション処理(S37)を終了する。
このように、本プリンタ1では、印刷画像を形成するインク色がシアンとマゼンタである場合であって、かつ形成される印刷画像の濃度が低濃度となる領域において、階調補正された色成分値が多ビット化された値となるように処理を行うので、入力画像に対し再現性の良好な印刷画像を形成することができる上、画像処理を高速に行うことができる。
また、本プリンタ1およびPC20では、ルックアップテーブル3c,25bは、8ビット(所定のビット幅以下)で、RGB値に対応するCMY値(CMYK値)を記憶する構成とし、ルックアップテーブル3c,25bによる色変換においては、CMY値(CMYK値)の多ビット化は行わずに、RGB値を8ビットのCMY値(CMYK値)に変換している。
従来の画像処理のように、ルックアップテーブルにより多ビット化を行えば、当然、RGB値からCMY値へ変換時の丸め誤差を小さくすることができ、その後の階調補正についても、ビット幅が増大されているため階調とびを抑制し得る。しかし、ルックアップテーブルにより多ビット化を行えば、それ以降の処理において、多ビット化されたCMY値を処理せねばならず、画像処理全体において処理するビット数が増大し、速度低下を招いてしまう。そこで、本プリンタ1およびPC20では、ルックアップテーブル3c,25bによる色変換においては、CMY値(CMYK値)の多ビット化を行わない構成とし、画像処理速度の向上を行っている。尚、色相のズレは階調とびに比べると画質への影響は小さいので、ルックアップテーブル3c,25bによる多ビット化を省略しても、印刷画像の画質が大きく低下することはない。
尚、本実施形態では、この外部メディアスロット10に装着された外部メディア40から直接的に画像情報を読み取るように構成されており、かかる外部メディア40から読み出されたRGB値を記憶するRAM4の動作エリアが請求項に記載の入力色データ記憶手段に該当する。また、請求項に記載の入力色記憶ステップとしては、PC20におけるPC色変換処理において、外部メディア40からRGB値を読み出してRAM24の動作エリアに書き込むS32のステップが該当する。請求項に記載の出力ステップとしては、PC20において生成された印刷データを、USBI/F28を経由してプリンタ1に出力するCPU22の処理が該当する。
以上説明したように、本プリンタ1およびPC20では、階調とびが発生した場合に目立った画質不良となる領域、即ち、印刷画像を、所定の濃度以下の低濃度で形成するCMY値の階調補正について、階調補正後の色成分値が多ビット化された値となるように処理を行うので、入力画像に対し再現性の良好な印刷画像を形成することができる上、画像処理を高速に行うことができる。
以上実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、RGB値をルックアップテーブル3c,25bを用いてCMY値(CMYK値)の各色成分値を得るものとしたが、RGB値から演算(C=255−R、M=255−G、Y=255−B)によって、CMY値を生成しても良い。
また、上記実施形態では、外部メディア40は、プリンタ1に備えられた外部メディアスロット10に装着するものとしたが、専用の外部メディアリーダから別途設けられた入力端子を介して入力するようにしてもよい。
更には、上記実施形態では、ブラックの色成分は、印刷画像の濃度が所定以上の濃度となる場合に発生するように構成されたが、これに変えて、CMY値と同様に、印刷画像の濃度値が0近傍である領域から発生させるように構成しても良い。かかる場合には、K値についても、しきい値を設け、かかるしきい値以下である場合には、階調補正後の色成分値が多ビット化された値となるように階調補正を実行する構成とする。
加えて、上記各実施形態では、階調補正において多ビット化を行う領域は、印刷画像の濃度が所定の濃度以下であることを条件としたが、これに代えて、補正後のC’M’Y’値の変化量に比べ補正前のCMY値の変化量が相対的に大きい範囲に補正前のCMY値が属することを条件に、その範囲のCMY値の階調補正後の色成分値が多ビット化された値となるように階調補正を実行しても良い。
また、上記実施形態では、補正後のC’M’Y’値は、12ビットに多ビット化されたが、多ビット化されるビット幅はこれに限られるものでなく、8ビットから16ビットの間の任意のビット幅が適宜用いられ、10ビットであっても、16ビットであっても良い。また、より低濃度側で増大されるビット幅が大きくなるように、複数のしきい値を設け、第1のしきい値以下にCMY値が属する場合には、10ビットに多ビット化し、第1のしきい値よりも小さな第2のしきい値以下にCMY値が属する場合には、12ビットに多ビット化し、更に、第2のしきい値よりも小さな第3のしきい値以下にCMY値が属する場合には、16ビットに多ビット化するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、プリンタ1においてのみ、階調の補正においてY値の多ビット化を回避する構成としたが、PC20においても、Y値の多ビット化を回避して、画像処理の更なる高速化を実行しても良い。
更に、上記実施形態では、印刷画像の濃度が所定の濃度以下であることを、階調補正における多ビット化の条件とした。これに代えて、特定の色成分値であること(例えば、C値、M値であること)を条件として多ビット化を行うように構成しても良い。これによれば、特定の色成分値(シアン、マゼンタ)については、全値において多ビット化が実行されるが、かかる特定の色成分値(シアン、マゼンタ)以外の色成分値については、多ビット化は非実行とされるので、画像処理を高速化することができる。また、しきい値に基づいて、CMY値に対して多ビット化を行うか否かを判断する判断ステップを省略することができるので、画像処理を簡素にすることができる。
また、上記実施形態においては、プリンタ1はインクジェットプリンタで構成されたが、プリンタ1は、インクジェットプリンタに限られるものではなく、カラー印刷を行う(CMY、またはCMYKの色表現系で印刷を行う)一般的なプリンタ、例えば、電子写真プリンタや、感熱転写プリンタなどを、適宜用いることができる。
更には、上記実施形態においては、多ビット化を規定するしきい値は、C値、M値、Y値に対し全て同じ値(0.35)とされたが、C値、M値、Y値のそれぞれに対し異なる値としても良い。
加えて、上記実施形態では、プリンタ第1補正テーブル3dとPC第1補正テーブル25cとは、8ビットのC値、M値、Y値、K値に対応する8ビットのC’値、M’値、Y’値、K’値がそれぞれ記憶されるように構成された。これに代えて、代表値のCMYK値に対するC’M’Y’K’値のみを記憶する構成とし、代表値以外のCMYK値に対するC’M’Y’K’値については、線形補間演算によって生成しても良い。プリンタ第1補正テーブル3dとPC第1補正テーブル25cとにより補正されるCMYK値は、高濃度側に属する値であるので、演算により生成されたC’M’Y’K’値が、丸め誤差等により本来の値から多少ズレても、視覚的に明確な差を発生させ難い。このため、画質を低下させることなく、プリンタ第1補正テーブル3dおよびPC第1補正テーブル25cのテーブルサイズ(メモリ容量)を削減できる。