以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
[第1の実施形態]
<両面印刷可能な画像形成装置の印刷動作例について>
まず、本実施形態に係る画像形成装置で行われる印刷動作について簡単に説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、装置本体の内部にインクジェット記録方式の画像形成部を有している。装置本体の下方側に多数枚の画像形成媒体(被記録媒体)(以下、「用紙」という。)を積載可能な給紙トレイを備え、この給紙トレイから給紙される用紙を取り込み、搬送機構によって用紙を搬送し、画像形成部によって印刷要求された所定の画像を用紙上に形成する。その後、装置本体の側方に装着された排紙トレイに用紙を排紙する。
また、カラー印刷の場合、上記に示した画像形成部は、所定の画像処理により生成されたラスタイメージを、後述する記録ヘッドから記録液である、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(Bk)インクを吐出し、用紙上に印刷画像を形成する。上記の説明では、記録ヘッドから吐出するインクの構成を、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの4色としたが、これらに、レッド(R)、ブルー(B)を加えた6色インクを用いる構成や、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)を加えた6色インクを用いる構成や、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、及びレッド(R)を加えた7色インクを用いる構成や、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)、及びダークイエロー(DY)を加えた7色インクを用いる構成などとしてもよい。
<画像形成装置のハードウェア構成について>
では、次に、上記に説明を行った印刷動作を実現する本実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成について図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像形成装置500は、以下に説明する制御部200によってインクジェット記録方式による印刷動作の制御を行っている。
制御部200は、当該装置全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)201と、CPU201が実行するプログラムとその他の固定データを格納するROM(Read Only Memory)202と、CPU201により展開(ロード)されたプログラムや画像データなどを一時保持するRAM(Random Access Memory)203と、当該装置の電源がオフになっている間も動作条件データなどを記憶しておくための書き換え可能な不揮発性メモリ(以下、「NVRAM:Non Volatile RAM」という。)204と、画像データに対する各種信号処理、並び替えなどを行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC(Application Specific Integrated Circuit)205とを備えている。
また、制御部200は、ホスト側(図示していないが、例えば、印刷データを送信するPC(Personal Computer)など。)との各種データや信号の送受信を行うためのホストI/F206(例えば、ホストと当該装置がネットワークで接続されている場合にはネットワークI/Fとである。)と、記録ヘッド209を駆動制御するためのデータ転送手段、駆動波形を生成する駆動波形生成手段を含む印刷制御部207と、キャリッジ11側に設けた記録ヘッド209を駆動するためのヘッドドライバ(ドライバIC)208と、主走査モータ12及び副走査モータ14を駆動するためのモータ駆動部210と、帯電ローラ212にACバイアスを供給するACバイアス供給部211と、エンコーダセンサ13及び16からの各検出信号やドット形成位置のズレを来たす要因としての環境温度を検出する温度センサ215などの各種センサからの検出信号を入力するためのI/O213などを備えている。更に、制御部200には、当該装置が有する機能を制御するための各種動作条件情報などの入力及び当該装置の動作状態情報などを表示するためのユーザインタフェース(UI)機能を有する操作パネル214が接続されている。
<画像形成機能の動作制御について>
ここからは、本実施形態に係る画像形成装置500が有する画像形成機能を制御部200によってどのように動作制御するのかについて説明を行う。
制御部200は、例えば、PCなどの情報処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの画像撮像装置などのホスト側から、当該装置に接続されたUSB(Universal Serial Bus)ケーブル又はネットワークケーブルを経由し、ホストI/F206を介して画像データを受信する。
制御部200は、CPU201によって、ホストI/F206の受信バッファ内の画像データをRAM203に展開して所定の解析を行い、ASIC205にて必要な画像処理やデータの並び替え処理などを行う。その後、制御部200は、CPU201によって、所定の画像処理を行った画像データを印刷制御部207に転送する。なお、本実施形態では、画像出力するためのドットパターンデータの生成は後述するようにホスト側のプリンタドライバで行っている。
制御部200は、印刷制御部207によって、画像データをシリアルデータでキャリッジ11のヘッドドライバ208に転送するとともに、画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロック、ラッチ信号、及び滴制御信号(マスク信号)などをキャリッジ11のヘッドドライバ208に出力する。また、制御部200は、ROM202に格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器、電圧増幅器、及び電流増幅器などで構成される駆動波形生成手段やキャリッジ11のヘッドドライバ208に与える駆動波形選択手段を備える印刷制御部207によって、1つの駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルスで構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成してキャリッジ11のヘッドドライバ208に出力する。
キャリッジ11は、ヘッドドライバ208によって、シリアルデータとして入力された記録ヘッド209の1行分に相当する画像データに基づいて、制御部200の印刷制御部207から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を、選択的に記録ヘッド209のインク滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(図示していないが、例えば圧電素子。)に対して印加することで記録ヘッド209を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、インクの付着量を調整することができ、例えば、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)など、インクの付着量が異なるドットをそれぞれ形成することができる。
また、制御部200は、CPU201によって、リニアエンコーダを構成するエンコーダセンサ13からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値、並びに予めNVRAM204などのような不揮発性の記憶装置に記憶しておいた速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて、主走査モータ12に対する駆動出力値(制御値)を算出し、モータ駆動部210を介して主走査モータ12を駆動する。同様に、ロータリエンコーダを構成するエンコーダセンサ16からの検出パルスをサンプリングして得られる速度検出値及び位置検出値、並びに予め記憶しておいた速度・位置プロファイルから得られる速度目標値及び位置目標値とに基づいて副走査モータ14に対する駆動出力値を算出し、モータ駆動部210を介して副走査モータ14を駆動する。
上記に説明を行った動作制御は、NVRAM204からRAM203に展開された制御プログラムが、CPU201によって実行されることによって実現される。
<印刷制御部及びヘッドドライバとの動作制御について>
ここからは、印刷制御部207及びヘッドドライバ208との動作制御について図2を用いて詳細に説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置500が有する印刷制御部207及びヘッドドライバ208との動作制御の一例を示す図である。
印刷制御部207は、1印刷周期内に複数の駆動パルスで構成される駆動波形を生成して出力する駆動波形生成部(駆動波形生成手段)301と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0及び1)、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、及び滴制御信号M0〜M3とを出力するデータ転送部302とを備えている。
なお、滴制御信号は、ヘッドドライバ208の後述するスイッチ手段であるアナログスイッチ315の開閉を滴ごとに指示する2ビットの信号であり、駆動波形の印刷周期にあわせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、選択しないときにはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッドドライバ208は、データ転送部302からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ311と、シフトレジスタ311の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路312と、階調データと滴制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ313と、デコーダ313のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ315が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ314と、レベルシフタ314を介して与えられるデコーダ313の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ315とを備えている。
アナログスイッチ315は、記録ヘッド209のインク滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子である圧電素子209aの選択電極(個別電極)に接続され、駆動波形生成部301からの駆動波形が入力される。従って、シリアル転送された画像データ(階調データ)と滴制御信号M0〜M3をデコーダ313でデコードした結果に応じてアナログスイッチ315がオンにすることにより、駆動波形を構成する所要の駆動信号(駆動パルス)が通過して(選択されて)圧電素子209aに印加される。
<インクを吐出するときの駆動について>
次に、駆動波形(駆動パルス)の一例について図3及び図4を参照して説明する。
図3及び図4は、本発明の第1の実施形態に係るインクを吐出するときの駆動波形の一例を示す図である。
駆動波形生成部301からは1印刷周期(1駆動周期)内に、図3に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素と、立下り後の状態から立ち上がる波形要素などで構成される、8個の駆動パルスP1〜P8からなる駆動波形を生成して出力する。一方、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって使用する駆動パルスを選択する。
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、圧電素子209aが収縮して加圧液室(非図示)の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、圧電素子209aが伸長して加圧液室の容積が収縮する加圧波形要素である。
そして、データ転送部302からの滴制御信号M0〜M3によって、小滴(小ドット)を形成するときには、図4(a)に示すように駆動パルス(駆動信号)P1を選択し、中滴(中ドット)を形成するときには、図4(b)に示すように駆動パルス(駆動信号)P4〜P6を選択し、大滴(大ドット)を形成するときには、図4(c)に示すように駆動パルスP2〜P8を選択し、微駆動の(滴吐出を伴わないでメニスカスを振動させる)ときには図4(d)に示すように駆動パルスP2を選択して、それぞれ記録ヘッド209の圧電素子209aに印加させる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置500は、印刷画像に応じて、インク液室内のインクに所定の圧力を加えることによりインクの付着量を制御し、さまざまな滴量のインク滴をノズルから飛翔させ、紙やフィルムなどに付着させて画像を形成する。
<画像印刷システムについて>
次に、本実施形態に係る画像形成装置500によって印刷画像を出力するための画像印刷システムについて図5用いて説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る画像印刷システムの構成例を示す図である。
画像印刷システム(画像形成システム)は、例えば、PCなどからなる1又は複数台の画像処理装置400と画像形成装置500とが、ホストI/F407及び206を介してUSBケーブル又はネットワークケーブルなどで接続され構成されている。
<<画像処理装置のハードウェア構成について>>
図6は、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置400のハードウェア構成の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、図6に示すように、当該装置全体の制御を司るCPU401と、CPU401が実行するプログラムとその他の固定データを格納するROM402と、CPU401により展開されたプログラムなどを一時保持するRAM403と、ハードディスクドライブ(HDD:Hird Disk Draive)などの不揮発性の記憶装置406と、マウスやキーボードなどの入力装置404と、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などのモニタ405と、図示していないが、光ディスクなどの記録媒体を読み取る記録媒体読取装置と、本実施形態に係る画像形成装置500などの外部機器と通信を行なうホストI/F407とが、バスラインに接続され構成されている。
画像処理装置400の記憶装置406には、当該装置を制御するための基本ソフトウェアであるOS(Operating System)や本実施形態に係る画像処理プログラムなどのソフトウェアが記憶されている。
本実施形態に係る画像処理プログラムは、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記録媒体やインターネットなどのネットワークからダウンロードするなどして、記憶装置406にインストールしたものである。
このように方法によって画像処理プログラムがインストールされた画像処理装置400では、記憶装置406からRAM402に展開された画像処理プログラムをCPU401が実行することによって、次に説明する画像処理を実現している。なお、この画像処理プログラムは、プリンタドライバとして機能するものであり、所定のOS上で動作するプログラムであったり、特定のアプリケーションソフトウェアの一部をなすプログラム(プラグイン)であってもよい。
<<画像印刷システムの画像処理について>>
では、本実施形態に係る画像処理装置400にインストールされた画像処理プログラムによって実現される画像処理について説明する。
本実施形態に係る画像処理プログラムは、アプリケーションソフトウェアなどから与えられた画像データをモニタ表示用の色空間から画像形成装置500用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行うCMM(Color Management Module)処理部と、CMYの値から黒生成/下色除去を行うBG/UCR(black generation/ Under Color Removal)処理部と、画像形成制御信号となるCMYK信号に対し画像形成装置500が画像形成できる色再現材料の最大総量値に応じてCMYK信号を補正する総量規制部と、画像形成装置500の特性や利用者の嗜好を反映した入出力補正を行うγ補正部と、画像形成装置500の解像度に合わせて拡大処理を行うズーミング(Zooming)処理や画像データを画像形成装置500が形成するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部(多値・少値マトリクス)と、中間調処理で得られた印刷画像であるドットパターンデータを各スキャンのデータに分割し、更に用紙へ画像形成を行う各ノズル位置に合わせてデータを展開するラスタライジング部とから機能構成されており、ラスタライジング部からの出力を画像形成装置500に送信することで印刷を行う。
また、上記の画像処理のうち、次に説明するように一部を画像形成装置500側で実行することもできる。
このような構成とした場合の画像処理装置400では、上記に説明を行った機能のうち、画像処理プログラムによって、CMM処理部、BG/UCR処理部、総量規制部、及びγ補正部までの処理を行って生成した画像データを画像形成装置500に送信する。
一方、画像形成装置500は、画像処理装置400から受信した画像データに対して、制御部200が備える画像処理プログラムによって、ズーミング(Zooming)部、中間調処理部(多値・少値マトリクス)、及びラスタライジング部までの処理を行い、ラスタライジング部からの出力を印刷制御部207に渡す。
このように本実施形態に係る画像処理方法は、上記に挙げた2つの構成であっても好適に適用することができる。本実施形態では、画像処理装置400にインストールされた画像処理プログラムがラスタライジング部までの処理を行い、画像形成装置500側で、ラスタライジング部からの出力を用紙へ画像形成する構成とする。すなわち、画像処理装置400で実行されるアプリケーションソフトウェアなどからのプリント命令は、画像処理装置400にインストールされた本実施形態に係る画像処理プログラムによって画像処理されて画像形成装置500が出力可能な多値のドットパターンデータ(印刷画像)を生成し、生成した印刷画像がラスタライズされて画像形成装置500に送信され、送信されたラスタデータ(ビットマップデータ)が画像形成装置500で印刷される。
<<画像処理装置における画像・図形・文字の画像形成動作について>>
本実施形態に係る画像処理装置400では、アプリケーションソフトウェアからの画像(イメージ)描画、図形(グラフィック)描画、文字描画の画像形成命令(例えば、画像形成するときの線の描画位置、太さ、形などを記述したものや、画像形成する文字の書体、位置、大きさなどを記述したもの。)は、RAM403の所定の記憶領域に確保された描画データメモリに一時的に保存される。なお、これらの命令は、特定のページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述されたものである。
そして、描画データメモリに記憶された命令は、ラスタライジング部であるラスタライザによって解釈され、図形の画像形成命令であれば、指定された位置や太さなどに応じた画像形成ドットパターンに変換される。また、画像の画像形成命令であれば、そのまま画像形成ドットパターンに変換される。
その後、これらの画像形成ドットパターンに対して画像処理を行い、RAM403の所定の記憶領域に確保されたラスタデータメモリに記憶する。このとき、画像処理装置400は、マトリクス状の直交格子を基本的な画像形成位置として画像形成ドットパターンデータにラスタライズする。
また、このときに行われる画像処理としては、例えば、再現色を調整するためのCMM処理、γ補正処理、及びディザ法や誤差拡散法などの中間調処理、更にはBG/UCR処理及び総量規制処理などが行われる。
その結果、ラスタデータメモリに記憶された画像形成ドットパターンデータは、インタフェースを経由して画像形成装置500へ送信される。
<<文字のビットマップデータ形成機能について>>
ここからは、これまでに説明した画像処理のうち、文字の画像形成ドットパターンデータであるビットマップデータを形成する機能について図7を用いて詳細に説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る文字のビットマップデータ(ドットフォント)形成機能の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態では、この機能の中で、「文字画像のジャギー補正」を行っている。
本実施形態に係る文字のビットマップデータ形成機能は、描画データメモリ32と、ラスタライザ33と、ラスタデータメモリ34と、フォントプロセッサ35と、フォントデータメモリ36とから構成されている。
本実施形態に係る画像処理装置400では、まず、アプリケーションソフトウェア31から転送される画像・図形・文字の画像形成命令(例えば、線の位置・太さ・形や文字の位置・大きさ・書体など。)を、描画データメモリ32に一時保持する。
次に、フォントプロセッサ35は、RAM403の所定の記憶領域に確保された描画データメモリ32に記憶された画像形成命令を解釈し、文字の画像形成命令であれば、画像処理装置400にインストールされているフォントアウトラインデータから対応する文字の輪郭情報を参照し、指定された位置や大きさなどに応じた画像形成ドットパターンに変換し、画像形成装置500で画像形成可能なラスタデータを生成する(文字のドットパターンへの展開をする)。このラスタデータは、ラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
また、フォントプロセッサ35は、文字をビットマップデータに展開するドット展開部35aと、文字の輪郭部に発生した階段状の変化(ジャギー)を補正するための補正ドットを画像形成するためのジャギー補正部35bとから構成されている。
上記に示した本実施形態の例では、文字のドットパターンへの展開をラスタライザ33と独立したフォントプロセッサ35で行う構成としたが、フォントプロセッサ35とラスタライザ33とを統合することも可能である。
また、ラスタライザ33及びフォントプロセッサ35は、例えば、画像処理プログラムであるプリンタドライバなどのソフトウェアとして実現されるのが一般的であるが、ラスタライザ33及びフォントプロセッサ35の一方又は両方をハードウェアとして実現することも可能である。また、フォントデータメモリ36は、描画データメモリ32と同一の物理メモリであっても、また独立した物理メモリであってもよい。
<<1文字を処理するときの処理手順について>>
次に、上記に説明を行ったフォントプロセッサ35による文字に対する処理について図8を用いて説明を行う。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る1文字を処理するときの処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態に係る画像形成装置400は、処理対象となった文字に対して、指定された大きさのフォントデータがフォントデータメモリ36上に展開されているか否かを判定する(ステップS1)。
画像処理装置400は、フォントデータが展開されていないと判定された場合(ステップS1がNOの場合)、ドット展開部35aによってフォントデータメモリ36への処理対象となっている文字のフォントデータが展開される(ステップS2)。
また、フォントデータが展開されていると判定された場合(ステップS1がYESの場合)、ジャギー補正後のフォントデータが展開されているため、処理を終了する。
次に、画像処理装置400は、ジャギー補正部35bによって、フォントデータメモリ36に展開されたフォントデータに対してジャギー補正処理を行う(ステップS3)。
<<ジャギー補正処理について>>
図8に示す本実施形態に係るジャギー補正処理(ステップS3)について図9を用いて具体的に説明する。
図9は、本発明の第1の実施形態に係るジャギー補正前と補正後のドット配列の一例を示す図である。
例えば、輪郭部にジャギーが発生した文字画像の一例を図9(a)に示す。図9(a)に示されるように、文字の中でも曲線などの斜線部では、文字の輪郭を形成するドット列が階段状に変化するため、その継ぎ目(変化点)で線の輪郭が不連続となり、いわゆるジャギーが発生する。
本実施形態では、このようなジャギーを視覚的に目立たなくする(軽減する)ため、図8のジャギー補正(ステップS3)によって、図9(b)に示すような補正を行う。図9(b)に示す例は、大滴(大ドット)で形成された文字画像に対して、文字画像の輪郭部に隣接する空白部へ小滴(小ドット)を付加することによってジャギー補正を行っている。
図9(b)では、補正ドットを小滴(小ドット)とした例を示したが、本実施形態では、別の補正方法として、空白部への中滴(中ドット)の付加や輪郭部の大滴(大ドット)を小滴(小ドット)又は中滴(中ドット)へ置換することも可能である。また、図9(b)に示すように、空白部に位置する画素の階調値を、小ドット(小滴)を生成する階調値に置換し、その後、中間調処理を行うことでジャギー補正を行うことも可能である。
このように、本実施形態では、文字画像の輪郭部に発生したジャギーに対して、適切なサイズの補正ドットにより補正することで、滑らかな輪郭を形成することができる。また、本実施形態に係る画像形成装置500は、インクジェット記録方式を採用していることから、補正ドットであるインク滴が用紙に着弾した後に広がる特性があることから、インクの付着量を適切に調整することによって、輪郭部はより滑らかになる。
次に、図8及び図9に示す本実施形態に係るジャギー補正処理(ステップS3)の処理手順について図10及び図11を用いて具体的に説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るジャギー補正(パターンマッチングによる補正)の処理手順の一例を示す図である。また、図11は、本発明の第1の実施形態に係るジャギー補正(補正ドット付加方式)の動作例を示す図である。
図10には、補正ドットに小ドット(小滴)のみ用いるジャギー補正の処理手順の一例が示されている。
本実施形態に係るジャギー補正処理では、小ドット(小滴)の付加又は置換を行うべき画素位置を認識するために、予め用意しておいたジャギーを検出する複数のジャギー検出パターンによるパターンマッチングを用いる。
パターンマッチングに用いるジャギー検出パターンは、m×nサイズのウィンドウが用いられる。
以下に説明するジャギー補正の処理手順は、図11(中段)のドット配列に示すようなジャギーに対して補正を行う処理手順であり、このとき用いるジャギー検出パターンのウィンドウには、図11(上段)に示すm=3及びn=3のウィンドウを用いるものとし、ジャギー検出時の補正ドットのインクの付着量を、予め決めておいた小ドット(小滴)として説明する。
本実施形態に係る画像処理装置400は、ジャギー補正部35bによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開されたフォントデータの先頭画素を注目画素として、ジャギー検出を開始する(ステップS101)。
画像処理装置400は、展開されたフォントデータから、注目画素を中心とした3×3のウィンドウサイズに対応した部分データ(フォントデータ内の一部のビットマップデータ)を取得し(ステップS102)、予め記憶装置406に記憶しておいた複数のジャギー検出パターンとのパターンマッチングを行う(ステップS103)。
画像処理装置400は、取得した部分データとジャギー検出パターンとがマッチングするか否かを判定する(ステップS104)。
画像処理装置400は、マッチングした場合(ステップS104がYESの場合)、ジャギー検出パターンに含まれる補正ドットのインクの付着量を示すデータに基づいて、注目画素を小ドット(小滴)に置換(空白部の注目画素に小ドット(小滴)を付加)、又は、注目画素の階調値を、小ドット(小滴)を形成する所定の階調値に置換する(ステップS105)。
画像形成装置400は、その後、注目画素を別の画素位置に移動し(ステップS106)、ステップS102の処置手順へ移行してから再びステップS102〜ステップS106までの処理を行う。
また、画像形成装置400は、マッチングしなかった場合(ステップS104がNOの場合)、ステップS105の処理手順をスキップして、ステップS106の処理手順へ移行する。
画像形成装置400は、上記の処理手順を、展開されたフォントデータの全画素を対象に行い、全ての画素への処理が終了するまで(ステップS107がYESの場合)繰り返される。
このように、本実施形態に係る画像処理装置400は、上記のジャギー補正の処理手順によって、例えば、図11(中段)のドット配置に示すような文字の輪郭部であった場合に、図11(上段)に示すジャギー検出パターンとマッチングするため、図11(下段)に示すように、注目画素を小ドット(小滴)に置換(空白部の注目画素に小ドット(小滴)を付加)、又は、注目画素の階調値を、小ドット(小滴)を生成する所定の階調値に置換する。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る注目画素の階調値変換情報を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正では、注目画素の階調値を、小・中・大ドット(小滴・中滴・大滴)のいずれか1つを生成する所定の階調値に置換する場合に、例えば、図12に示すような、補正ドットのインクの付着量と階調値とを関連付けた階調値変換データを用いて行っている。階調値変換データのデータ形式は、各画素を複数ビットで表現し、例えば、図12に示すように1から90までの階調値は小ドット(小滴)に関連付けておき、91から180までの階調値は中ドット(中滴)に関連付けておき、181から255までの階調値は大ドット(大滴)に関連付けておく。
このように、本実施形態に係る画像処理装置400は、図12に示すような階調値変換データと、補正ドットのインクの付着量を示すデータに基づいて、ジャギー補正の対象となった注目画素の階調値を、中間調処理後の大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうちジャギー補正に適切なインクの付着量の補正ドットを形成するような階調値に置き換えることができる。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成について>
これまでに説明を行ったように、本実施形態に係るジャギー補正機能は、フォントプロセス35が備えるジャギー補正部35bによって実現される。ここからは、ジャギー補正部35bによって行う、カラー印刷時のジャギー補正について図13を用いて説明を行う。
図13は、本発明の第1の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(補正ドット付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正部35bは、ジャギー補正ドット形成部41及び合成部42とから構成されている。
画像形成装置500において文字を含む文書データを印刷すると、記録ヘッドの解像度が低い場合(印刷画像が低解像度の場合)に、文字画像の輪郭部にジャギーが発生する。このとき、画像形成装置500がカラー印刷機能を有している場合、染料系インク(用紙に着弾した後に広がる(滲む)特性を持つインク)によって形成された印刷画像と、顔料系インク(用紙に着弾した後に拡がらない(あまり滲まない)特性を持つインク)によって形成された印刷画像とでは、顔料系インクによる印刷画像の方が、文字画像の輪郭部に発生したジャギーが顕著に現れてしまい、印字品質を低下させてしまう。そこで、本実施形態では、カラー印刷において、発生したジャギーに対して補正ドットにより補正を行い、補正のときに、補正ドットの配置位置とインクの付着量とを調整可能とし、カラー印刷に対応したジャギー補正を行う。
ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字の文字画像51に、有彩色用のジャギー補正パターン52を適用して有彩色用のジャギー補正ドット53を形成する機能(補正ドット形成手段)である。
ジャギー補正ドット形成部41は、図10において説明したパターンマッチングにより有彩色文字(文字画像)51の輪郭部に発生したジャギーを検出し、有彩色文字51の座標空間における注目画素の位置、すなわち補正ドットの配置位置と、中間調処理された階調を再現する補正ドットのインクの付着量とが所定のデータ形式にデータ化された有彩色用のジャギー補正パターン52を生成し、生成されたパターンに従って、有彩色用のジャギー補正ドット53を形成する。
このとき、ジャギー補正ドット形成部41は、以下に挙げる方法によってジャギー補正パターン52を形成する。
<<ジャギー補正パターン52の生成>>
ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51を再現するインクの組み合わせ(有彩色を構成するインク)に応じて、インクに対応するジャギー補正パターン52を生成する。
例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックインクにより有彩色を再現する場合には、有彩色の再現色に該当するインクによって形成する1つ以上の画像を重ね合わせて、擬似的に再現された有彩色の印刷画像を形成する。すなわち、有彩色文字51がレッドの場合、レッドを再現するマゼンタ及びイエローインクによって形成する画像を重ね合わせて、擬似的にレッドの印刷画像が再現される。
このことから、ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51を再現する各インク(有彩色を構成するインク)に対応した文字画像の輪郭部に発生したジャギーを検出し、インクごとの補正ドットの配置位置とインクの付着量とが設定された、ジャギー補正パターン52を生成する。例えば、有彩色文字51がレッドの場合、レッドを再現するマゼンタインクの補正パターンと、イエローインクの補正パターンとを生成する。
更に、ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51が色の異なる複数のインクによって再現される場合に、有彩色文字51の明度に応じて、有彩色を再現する各インクに対応したジャギー補正パターン52へ、補正ドットの配置位置とインクの付着量の各種情報を設定する。
[有彩色文字51の明度が低い場合]
ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51の視認性が高いと判断した場合に、ジャギー補正ドット53の視認性も高くして、ジャギー補正ドット53と輪郭部との色の差による視覚的違和感を抑制することを目的として、例えば、以下の内容を設定する。
(a)補正ドットの配置位置
各インクに対応するジャギー補正ドット53を重ねて配置する。
(b)補正ドットのインクの付着量
各インクの付着量を、有彩色文字51を再現する各インクの付着量と同じ付着量とする(同じ比率で付着させる)。
[有彩色文字51の明度が高い場合]
一方、ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51の視認性が低いと判断した場合に、ジャギー補正ドット53の視認性も低くして、ジャギー補正ドット53と輪郭部との色の差による視覚的違和感を抑制することを目的として、例えば、以下の内容を設定する。
(a)補正ドットの配置位置
各インクに対応するジャギー補正ドット53同士を離して配置するか、重ねて配置するかのどちらか一方を選択する。
(b)補正ドットのインクの付着量
各インクの付着量を、有彩色文字51を再現する各インクのうち、最も明度が低いインクを基準とした付着量の比率に従った付着量とする(各インクの付着量の比率を異ならせる)。
ジャギー補正ドット形成部41は、有彩色文字51の明度の値と設定された閾値との大小を比較することによって、上記に挙げた「補正ドットの配置位置とインクの付着量」の設定内容を切り替える。有彩色文字51の明度の値は、有彩色文字(文字画像)51の階調値に基づいて算出する。また、閾値の設定は、予め設定しておいてもよいし、ユーザインタフェース(UI)から受け付けた利用者の設定値を反映させる構成としてよい。更に、閾値の設定だけでなく、補正ドットの配置位置、補正ドットのインクの付着量、また基準とするインクなどの詳細な設定についても、ユーザインタフェースから受け付けるような構成としてもよい。このような構成にしておくことで、利用者は、ジャギー補正ドット53への自由なカラー調整を行うことができ、その結果、利用者の所望する印刷品質を実現することができる。
また、ジャギー補正ドット形成部41では、有彩色文字51の明度に応じて、有彩色用のジャギー補正ドット53を形成するか否か(ジャギー補正を行うか否か)を判断する。例えば、印刷画像から階調値を計測可能な計測器により計算された明度の値を、判断するときの閾値として予め設定しておき、有彩色文字51の明度が閾値より小さい場合には、明度が小さいと言うことは、視認性の低い印字であると判断して補正ドットの形成しない(ジャギー補正を行わない)。
ジャギー補正を行うか否かの判定を行うときに用いる閾値と、「補正ドットの配置位置とインクの付着量」の設定内容を切り替えるときに用いる閾値との関係は、設定内容を切り替えるときに用いる閾値の方が、ジャギー補正を行うか否かの判定を行うときに用いる閾値より大きい。
このように、ジャギー補正ドット形成部41は、展開されたドットフォント(ビットマップデータ)から有彩色文字51の明度に応じて生成された有彩色用のジャギー補正パターン52に従い、適切な再現色による有彩色用のジャギー補正ドット53を形成できる。
上記の内容をまとめると、本実施形態に係るジャギー補正ドット形成部41は、以下に示す処理手順によって有彩色用のジャギー補正ドット53を形成する。
(A)有彩色文字51に対してジャギー補正を行う否かを判定
ジャギー補正ドット形成部41は、フォントデータメモリ36に展開されたドットフォントから有彩色文字51の階調値から算出した明度からジャギー補正を行う否かを判定する。
(B)補正ドットの配置位置情報を取得
ジャギー補正ドット形成部41は、(A)でジャギー補正を行う場合、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、有彩色文字51の輪郭部に発生したジャギーを検出し、検出したときの注目画素の位置を取得する。
(C)有彩色用のジャギー補正パターン52を生成
ジャギー補正ドット形成部41は、(A)において算出した有彩色文字51の明度に応じて、再現色に対応するジャギー補正パターン52を生成する。このとき生成される補正パターンには、(B)において取得した注目画素の位置とを基にした有彩色文字51の座標空間における補正ドットの配置位置と、有彩色文字51を再現する各インク(有彩色を構成するインク)に対応したジャギー補正を行うための補正ドットのインクの付着量とが、所定のデータ形式で設定されている。
(D)有彩色用のジャギー補正ドット53の形成
ジャギー補正ドット形成部41は、各インクに対応するジャギー補正パターン52に含まれる補正ドットの配置位置とインクの付着量とに基づいて、カラー印刷時のジャギー補正ドット53を形成する。
このようにして、ジャギー補正ドット形成部41は、生成された有彩色用のジャギー補正パターン52に従って形成された有彩色用のジャギー補正ドット53を、補正ドットの配置位置に基づいて、ドットフォントと同じ座標空間に配置し、中間調処理を施した補正ドットパターンを形成する。
次に、合成部42は、ジャギー補正ドット形成部41により形成された有彩色用のジャギー補正ドット53を、文字形成部35cにより形成したジャギー補正前有彩色文字54(カラー印刷時の中間調処理が施されたドットフォント)に合成する機能(合成手段)である。
合成部42は、ジャギー補正ドット形成部41によって形成された有彩色用のジャギー補正ドット53がドットフォントと同じ座標空間に配置された補正ドットパターンを、ジャギー補正前有彩色文字54に重畳することで合成する。その結果、本実施形態に係るジャギー補正機能は、カラー印刷時に対応した有彩色用のジャギー補正ドット53をジャギーが発生していた箇所に適用することができる。
合成部42は、合成後のジャギー補正後有彩色文字55(ビットマップデータ)を、フォントデータメモリ36に展開する。
その後、展開されたジャギー補正後有彩色文字55は、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
また、本実施形態に係るジャギー補正では、ジャギーを検出するときに用いるジャギー検出パターンを、ウィンドウサイズを3×3のサイズよりも大きくすることによって、水平又は垂直に近いジャギーが発生した文字の輪郭部の傾斜(階段状の変化)を検出することができ、その傾きに応じた両面用ジャギー補正ドット53によってジャギー補正を行い、両面印刷時における印字品質を向上させることができる。
また、本実施形態に係るジャギー補正では、ジャギー検出パターンのウィンドウサイズを、「ジャギー補正対象の範囲をどの辺りまでとするか」や「ジャギー補正にかかる処理時間が画像形成装置500の印刷性能に悪影響を及ぼさないか」などを考慮して決定する。「ジャギー補正にかかる処理時間が画像形成装置500の印刷性能に悪影響を及ぼさないか」については、ジャギー検出パターンのウィンドウサイズが大きくなると、パターンマッチングで利用するデータ量が増加するため、マッチングにかかる処理時間も増加することから、画像形成装置500の印刷性能を考慮すると、そのサイズはできるだけ小さい方がよい。一方、「ジャギー補正対象の範囲をどの辺りまでとするか」については、要求される印字品質に依存するため、処理速度と文字品質との両方の要素を考慮して最適なウィンドウサイズを決定する必要がある。
<カラー印刷時のジャギー補正の基本補正手順について>
図13を用いて説明を行った機能構成によるカラー印刷時のジャギー補正の基本補正手順について図14〜図17を用いて説明する。
<<有彩色文字51の明度が低い場合>>
図14は、本発明の第1の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正(補正ドット付加方式)の補正手順の一例(その1)を示す図である。また、図14では、例えば、有彩色文字51の色を「レッド」とし、さらに文字の明度が低い場合にジャギー補正を行うときを例に説明する。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して中間調処理を行い(ステップS201及びステップS202)、マゼンタ及びイエローインクで再現されたジャギー補正前有彩色文字54を形成する(ステップS203)。
一方、画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して、ジャギー検出パターンを参照してパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出する。次にジャギー補正ドット形成部41は、ジャギーが検出されたときに、有彩色文字51から取得した文字の明度に応じて、明度が低い場合の補正ドットの配置位置とインクの付着量のデータが設定された、有彩色文字(文字画像)51の「レッド」を再現するインク色に該当したマゼンタインクのジャギー補正パターン52mと、イエローインクのジャギー補正パターン52yとを生成する。パターンマッチングが終了した後に、ジャギー補正ドット形成部41は、生成されたジャギー補正パターン52m及び52yを参照する。(ステップS201、ステップS204、及びステップS205)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、参照したジャギー補正パターン52m及び52yに設定された、ジャギー検出時の注目画素の位置を基にした補正ドットの配置位置に基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエローインクの補正ドットとを重ねて配置し、また、中間調処理された階調を再現するジャギー補正ドット53aのインクの付着量とに基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエローインクの補正ドットとのインクの付着量を、有彩色文字(文字画像)51を再現する各インクの付着量と同じ付着量(同じ比率)とし、有彩色用のジャギー補正ドット53aからなるカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS206a)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS203の処理手順によって形成されたカラー印刷時のジャギー補正前有彩色文字54(ドットフォント)と、ステップS206aの処理手順によって形成されたカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、ジャギー補正後有彩色文字55a(ビットマップデータ)を形成し、フォントデータメモリ36に展開(ロード)する(ステップS207)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS207の処理手順によって展開(ロード)されたジャギー補正後有彩色文字55a(ビットマップデータ)を、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<<有彩色文字(文字画像)51の明度が高い場合(その1)>>
図15は、本発明の第1の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正(補正ドット付加方式)の補正手順の一例(その2)を示す図である。また、図15では、例えば、有彩色文字51の色を「レッド」とし、更に文字の明度が高い場合にジャギー補正を行うときに補正ドットを重ねて配置する例を説明する。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して中間調処理を行い(ステップS201及びステップS202)、マゼンタ及びイエローインクで再現されたジャギー補正前有彩色文字54を形成する(ステップS203)。
一方、画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して、ジャギー検出パターンを参照してパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出する。次にジャギー補正ドット形成部41は、ジャギーが検出されたときに、有彩色文字51から取得した文字の明度に応じて、明度が高い場合の補正ドットの配置位置(重なり合う配置位置)とインクの付着量のデータが設定された、有彩色文字51の「レッド」を再現するインクに該当したマゼンタインクのジャギー補正パターン52mと、イエローインクのジャギー補正パターン52yとを生成する。パターンマッチングが終了した後に、ジャギー補正ドット形成部41は、生成されたジャギー補正パターン52m及び52yを参照する。(ステップS201、ステップS204、及びステップS205)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、参照したジャギー補正パターン52m及び52yに設定された、ジャギー検出時の注目画素の位置を基にした補正ドットの配置位置に基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエローインクの補正ドットとを重ねて配置し、また、中間調処理された階調を再現するジャギー補正ドット53aのインクの付着量とに基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエローインクの補正ドットとのインクの付着量を、マゼンタの明度とイエローの明度とを想定的に比較して結果に基づいて、イエローより明度の低いマゼンタインクの付着量がイエローインクの付着量より多くする、すなわち明度の高いイエローインクの補正ドットを間引き、有彩色用のジャギー補正ドット53bからなるカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS206b)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS203の処理手順によって形成されたカラー印刷時のジャギー補正前有彩色文字54と、ステップS206bの処理手順によって形成されたカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、ジャギー補正後有彩色文字55bを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS207)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS207の処理手順によって展開されたジャギー補正後有彩色文字55bを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<<有彩色文字51の明度が高い場合(その2)>>
図16は、本発明の第1の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正(補正ドット付加方式)の補正手順の一例(その3)を示す図である。また、図16では、例えば、有彩色文字51の色を「レッド」とし、更に文字の明度が高い場合にジャギー補正を行うときに補正ドットを離して配置する例を説明する。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して中間調処理を行い(ステップS201及びステップS202)、マゼンタ及びイエローインクで再現されたジャギー補正前有彩色文字54を形成する(ステップS203)。
一方、画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して、ジャギー検出パターンを参照してパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出する。次にジャギー補正ドット形成部41は、ジャギーが検出されたときに、有彩色文字51から取得した文字の明度に応じて、明度が高い場合の補正ドットの配置位置(所定の距離を保って配置位置)とインクの付着量のデータが設定された、有彩色文字51の「レッド」を再現するインクに該当したマゼンタインクのジャギー補正パターン52mと、イエローインクのジャギー補正パターン52yとを生成する。パターンマッチングが終了した後に、ジャギー補正ドット形成部41は、生成されたジャギー補正パターン52m及び52yを参照する。(ステップS201、ステップS204、及びステップS205)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、参照したジャギー補正パターン52m及び52yに設定された、ジャギー検出時の注目画素の位置を基にした補正ドットの配置位置に基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエローインクの補正ドットとを所定の距離を保って離して配置し、また、中間調処理された階調を再現するジャギー補正ドット53aのインクの付着量とに基づいて、マゼンタインクの補正ドットと、イエロー(Y)インクの補正ドットとのインクの付着量を、マゼンタの明度とイエローの明度とを想定的に比較して結果に基づいて、イエロー(Y)より明度の低いマゼンタ(M)インクの付着量がイエロー(Y)インクの付着量より多くする、すなわち明度の高いイエロー(Y)インクの補正ドットを間引き、有彩色用のジャギー補正ドット53bからなるカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS206c)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS203の処理手順によって形成されたカラー印刷時のジャギー補正前有彩色文字54(ドットフォント)と、ステップS206cの処理手順によって形成されたカラー印刷時の有彩色用のジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、ジャギー補正後有彩色文字55c(ビットマップデータ)を形成し、フォントデータメモリ36に展開(ロード)する(ステップS207)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS207の処理手順によって展開(ロード)されたジャギー補正後有彩色文字55b(ビットマップデータ)を、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<有彩色文字(文字画像)51の明度に応じたジャギー補正機能の制御手順について>
図17は、本発明の第1の実施形態に係る文字の明度に応じたジャギー補正機能を制御する処理手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、印刷しようとしている有彩色文字(文字画像)51の明度が予め設定された所定の閾値より小さいか否かを判定する(ステップS301)。
画像処理装置400は、文字の明度が閾値より小さい場合(ステップS301がYESの場合)、ジャギー補正ドット形成部41によって、文字の輪郭部と同じ比率になるように、ジャギー補正ドット53のインクの付着量の比率を制御する(ステップS304)。また、ジャギー補正ドット形成部41によって、各インクに対応するジャギー補正ドット53を所定の距離を保つように離して配置する(ステップS305)。
また、画像処理装置400は、文字の明度が閾値以上の場合(ステップS301がNOの場合)、ジャギー補正ドット形成部41によって、明度の高い再現色(インク色)が多くなるようにインクの付着量を制御(ステップS302)。また、ジャギー補正ドット形成部41によって、各インクに対応するジャギー補正ドット53を重ねて配置する(ステップS303)。
<まとめ>
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、本実施形態に係る画像処理装置400は、カラー印刷時のジャギー補正を、以下の処理手順により実現している。
(手順1)有彩色文字51に対してジャギー補正を行う否かを判定
本実施形態に係る画像処理装置400は、ジャギー補正ドット形成部41によって、フォントデータメモリ36に展開(ロード)されたドットフォント(ビットマップデータ)から有彩色文字51の階調値から算出した明度からジャギー補正を行う否かを判定する。
(手順2)補正ドットの配置位置情報を取得
画像処理装置400は、ジャギー補正ドット形成部41によって、有彩色文字51に対してジャギー補正を行うか否かの判定(ジャギー補正実行判定)でジャギー補正を行うと判定した場合、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、有彩色文字51の輪郭部に発生したジャギーを検出し、検出したときの注目画素の位置を取得する。
(手順3)有彩色用のジャギー補正パターン52を生成
画像処理装置400は、ジャギー補正ドット形成部41によって、ジャギー補正実行判定の手順において算出した有彩色文字51の明度に応じて、再現色に対応するジャギー補正パターン52を生成する。このとき生成される補正パターンには、補正ドットの配置位置情報の取得において取得した注目画素の位置とを基にした有彩色文字51の座標空間における補正ドットの配置位置と、有彩色文字51を再現する各インクに対応したジャギー補正を行うための補正ドットのインクの付着量とが、所定のデータ形式で設定されている。
(手順4)有彩色用のジャギー補正ドット53の形成
画像処理装置400は、ジャギー補正ドット形成部41によって、各インクに対応するジャギー補正パターン52に含まれる補正ドットの配置位置とインクの付着量とに基づいて、カラー印刷時のジャギー補正ドット53を形成する。その結果、ジャギー補正ドット形成部41は、形成されたジャギー補正ドット53を、補正ドットの配置位置に基づいて、ドットフォントと同じ座標空間に配置した補正ドットパターンを形成する。
(手順5)ジャギー補正
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ジャギー補正ドット形成部41により形成されたジャギー補正ドット53がドットフォントと同じ座標空間に配置された補正ドットパターンを、ジャギー補正前有彩色文字54に重畳することで合成する。その結果、カラー印刷時に対応した有彩色用のジャギー補正ドット53をジャギーが発生していた箇所に適用する。
このように、本実施形態に係る画像処理装置400は、上記(手順1)〜(手順5)によって、カラー印刷において、有彩色文字51の階段状に変化した輪郭部に対し、階段状の変化を軽減する補正(ジャギー補正)を行うときに、有彩色文字51の明度に応じて、ジャギー補正ドット53の配置位置や補正ドット形成時のインクの付着量を調整することができる。
よって、本実施形態に係る画像処理装置400は、カラー印刷において、有彩色文字51の階段状の変化が目立たず、高品質の印字が可能なジャギー補正機能を提供することができる。
<変形例について>
図18は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(文字太らせドットを含む補正ドット付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
本変形例と第1の実施形態との違いは、本変形例では、中間調処理後のジャギー補正パターン52ではなく、中間調処理後の文字太らせ用のドットを含むジャギー補正パターン52bを用いて、中間調処理後の有彩色文字51に対して有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cを付加し、ジャギー補正を行う点である。
<<太文字処理について>>
ジャギー補正部35bは、ジャギー補正ドット形成部41により、有彩色文字51に対して、文字太らせ用のジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、文字の明度に応じて生成した有彩色用の文字太らせジャギー補正パターン52bを参照し、検出した注目画素の位置情報である補正ドットの位置と、カラー印刷時の中間調処理後の階調を再現する有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cのインクの付着量とに基づいて、有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cからなるカラー印刷時の中間調処理後の有彩色用の文字太らせジャギー補正ドットパターンを形成する。
このとき、ジャギー補正ドット形成部41では、有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cの補正ドットの位置とインクの付着量を、有彩色文字51と同じ濃度となるようにする。また、有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cは、文字輪郭部の両側だけでなく、片側だけであっても良い。
一方、文字形成部35cは、有彩色文字51に対して、カラー印刷時の中間調処理を施したジャギー補正前の有彩色文字54を形成する。
<カラー印刷時のジャギー補正(文字太らせドット補正ドット付加方式)の基本補正手順について>
図19は、本発明の第3の実施形態の変形例に係るカラー印刷時のジャギー補正(文字太らせドットを含む補正ドット付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字太らせ部35dによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して中間調処理を行い(ステップS1001及びステップS1002)、ジャギー補正前有彩色文字54を形成する(ステップS1003)。
一方、画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、有彩色文字51に対して、文字太らせ用のジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、文字の明度に応じて生成した有彩色用の文字太らせジャギー補正パターン52bを参照し、検出した注目画素の位置情報である補正ドットの位置と、カラー印刷時の中間調処理後の階調を再現する有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cのインクの付着量とに基づいて、文字太らせ用のドットを含む有彩色用の文字太らせジャギー補正ドット81cからなるカラー印刷時の中間調処理後の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS1004)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS1003の処理手順によって形成された中間調処理後のジャギー補正前有彩色文字54と、ステップS1004の処理手順によって形成された太文字処理に対応する有彩色用の文字太らせジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、中間調処理後のジャギー補正後有彩色文字83bを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS1005)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS1005の処理手順によって展開された中間調処理後のジャギー補正後有彩色文字83bを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
このように、本変形例に係る画像形成装置100では、カラー印刷において、有彩色文字51の階段状に変化した輪郭部に対し、階段状の変化を軽減する補正(ジャギー補正)を行うときに、有彩色文字51の明度に応じて、文字太らせ用のドットを含むジャギー補正ドット81bの配置位置や補正ドット形成時のインクの付着量を調整することができる。よって、本変形例においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
[第2の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置400は、両面印刷時の印字濃度調整を行う前に、優再々色文字(文字画像)51に対して補正画像を付加してジャギー補正を行うことのできる装置である。
第1の実施形態に係る画像処理装置400では、カラー印刷時の中間調処理を施したジャギー補正前有彩色文字54に、カラー印刷時の有彩色を再現する有彩色用のジャギー補正ドット53を重畳して合成し、ジャギー補正を行うものであった。
そこで、本実施形態では、カラー印刷時の中間調処理を行う前の有彩色文字51に対して、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、ジャギーを検出したときの注目画素、すなわちジャギー補正を行う画素に、有彩色文字51の明度に応じた有彩色を再現する補正ドットを形成するような階調値を有する画素を付加し、その後に中間調処理を行いジャギー補正する画像処理装置400を実現している。
以降に、本実施形態に係る画像処理装置400について、図20〜22を用いて説明する。また、第1の実施形態と同様の技術的事項については、第1の実施形態で説明を行った図面及び参照符号を用いて説明を省略する。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成について>
図20は、本発明の第2の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正(補正画素付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正機能は、第1の実施形態において図13を用いて説明を行ったように、フォントプロセス35が備えるジャギー補正部35bによって実現される。
本実施形態に係るジャギー補正部35bは、ジャギー補正画素付加部61から構成されている。
ジャギー補正画素付加部61は、有彩色文字の文字画像51に、有彩色用のジャギー補正画素を付加し、カラー印刷時の中間調処理前の有彩色用のジャギー補正画素データ71を形成する機能(補正画素付加手段)である。
ジャギー補正画素付加部61は、図10において説明したパターンマッチングによりジャギーが検出されたときに、補正を行う画素として特定された注目画素の階調値を、例えば、ジャギー補正ドット53が、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)の3段階のドットサイズで構成されるときに、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうち、有彩色文字(文字画像)51の明度に応じた、ジャギー補正に適切なドットサイズによる補正ドットを形成するような階調値に置き換え(ジャギー補正画素を付加し)、カラー印刷時の中間調処理前の有彩色用のジャギー補正画素データ71を形成する。
例えば、有彩色文字51の明度が高い場合には、補正ドットも文字と同じように視認性を低くするため小ドット(小滴)又は中ドット(中滴)のドットサイズによる補正ドットを形成するような階調値に置き換え、また有彩色文字(文字画像)51の明度が低い場合には、補正ドットも文字と同じように視認性を高くするため大ドット(大滴)のドットサイズによる補正ドットを形成するような階調値に置き換える。
その後、ジャギー補正画素付加部61によって形成された有彩色用のジャギー補正画素データ71は、文字形成部35c(文字形成手段)によって、カラー印刷時の中間調処理が施され、カラー印刷時の中間調処理後のジャギー補正ドット53を含むジャギー補正後有彩色文字55が形成される。その結果、本実施形態に係るジャギー補正機能は、カラー印刷時に対応した有彩色用のジャギー補正ドット53をジャギーが発生していた箇所に適用することができる。
形成されたジャギー補正後有彩色文字55は、文字形成部35cによって、フォントデータメモリ36に展開され、展開されたジャギー補正後有彩色文字55は、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
次に、図20に示す本実施形態に係るジャギー補正機能の動作例について図21を用いて説明する。
図21は、本発明の第2の実施形態に係るジャギー補正(補正画素付加方式)の動作例を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正機能は、第1の実施形態で図10に示した、補正ドットに小ドット(小滴)のみ用いるジャギー補正の処理手順と同じ手順によって実行される。
本実施形態に係る画像処理装置400は、図10に示すようなジャギー補正の処理手順によって、例えば、図21(中段)のドット配置に示すような文字の輪郭部であった場合に、図21(上段)に示すジャギー検出パターンとマッチングするため、図21(下段)に示すように、例えば、有彩色文字51の明度が高ければ、注目画素の階調値を小ドット(小滴)を生成する所定の階調値に置換する。
また、本実施形態においても、第1の実施形態において図12に示した、補正ドットのドットサイズ(インクの付着量)と階調値とを関連付けた階調値変換データを基に、注目画素の階調値を変換する。
このように、本実施形態に係る画像処理装置400は、階調値変換データと有彩色用のジャギー補正ドット53のドットサイズを示すデータに基づいて、ジャギー補正の対象となった注目画素を、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうちジャギー補正に適切なドットサイズによる補正ドットを形成するような階調値に置き換えることができる。
<カラー印刷時のジャギー補正の基本補正手順について>
図20を用いて説明を行った機能構成によるカラー印刷時のジャギー補正の基本補正手順について図22を用いて説明する。
図22は、本発明の第2の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正(補正画素付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61によって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51に対して、ジャギー検出パターンを参照してパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出する(ステップS401)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61によって、ジャギー検出時の注目画素の位置、すなわち補正画素の位置に基づいて、注目画素の階調値を、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうち、有彩色文字51の明度に応じて、ジャギー補正に適切なドットサイズによる補正ドットを形成するような階調値に置き換え(ジャギー補正画素を付加し)、両面用ジャギー補正画素データ71を形成する(ステップS402)。
画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ジャギー補正画素付加部61により形成された有彩色用のジャギー補正画素データ71に対して中間調処理を行い、カラー印刷時の中間調処理後のジャギー補正後有彩色文字55を形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS403)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS403の処理手順によって展開されたジャギー補正後有彩色文字55を、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<まとめ>
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、本実施形態に係る画像処理装置400は、カラー印刷において、文字画像の階段状に変化した輪郭部に対し、階段状の変化を軽減する補正(ジャギー補正)を行うときに、文字画像の明度に応じて、補正ドット形成時のドットサイズを調整することができる。
よって、本実施形態に係る画像処理装置400は、両面印刷において、文字画像の階段状の変化が目立たず、高品質の印字が可能なジャギー補正機能を提供することができる。
[第3の実施形態]
本実施形態に係る画像処理装置400は、所定の加工が施された有彩色文字51に対応してジャギー補正を行うことのできる装置である。
第1及び第2の実施形態に係る画像処理装置400では、太文字処理や輪郭強調処理が施されていない有彩色文字51に対してジャギー補正を行うものであった。
そこで、本実施形態では、印字された文字の視認性を向上させるために、有彩色文字51に対して太文字処理又は輪郭強調処理を施し、どちらか一方の加工処理を行った後にジャギー補正する画像処理装置400を実現している。
以降に、本実施形態に係る画像処理装置400について、図23〜31を用いて説明する。また、第1及び第2の実施形態と同様の技術的事項については、第1及び第2の実施形態で説明を行った図面及び参照符号を用いて説明を省略する。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成(文字太らせ機能を含む)について>
図23は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(文字太らせ機能を含む補正ドット付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正機能は、第1の実施形態において図13を用いて説明を行ったように、フォントプロセス35が備えるジャギー補正部35bによって、有彩色文字51に対して有彩色用のジャギー補正ドット81aを付加し、ジャギー補正を行う。
本実施形態と第1の実施形態との違いは、文字太らせ部35dによって有彩色文字51に太文字処理が施され、太文字処理された太文字画像がジャギー補正部35に入力される点である。
<<太文字処理について>>
文字太らせ部35dは、有彩色文字51の輪郭部に隣接する空白画素を、太らせ用の画素に置き換えて(付加して)太文字処理を行い、太文字画像を形成する機能(太文字画像形成手段)である。
次に、文字形成部35cは、文字太らせ部35dにより形成された太文字画像に対して、カラー印刷時の中間調処理を行うことで、カラー印刷時に太文字処理を施した太文字画像を形成する。このとき、太文字処理の中で付加する太らせ用の画素の階調値は、入力された有彩色文字51の階調値と同じ階調値とする。また、文字の輪郭部を濃く表現する場合には、入力された有彩色文字51の階調値よりも高い階調値としてもよい。
<カラー印刷時の太文字処理を行ったときのジャギー補正(補正ドット付加方式)の基本補正手順について>
図24は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時の太文字画像のジャギー補正(補正ドット付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字太らせ部35dによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51の輪郭部に隣接する空白画素を、太らせ用の画素に置き換えて、太文字画像を形成する(ステップS501及びステップS502)。
画像処理装置400は、文字形成部35cによって、文字太らせ部35dにより形成された太文字画像に対して中間調処理を行い、太文字処理後のジャギー補正前有彩色文字82aを形成する(ステップS503及びステップS504)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、文字太らせ部35dにより形成された太文字画像に対して、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、文字の明度に応じて生成した有彩色用のジャギー補正パターン52を参照し、検出した注目画素の位置情報である補正ドットの位置と、カラー印刷時の中間調処理後の階調を再現する有彩色用のジャギー補正ドット81aのインクの付着量とに基づいて、太文字処理に対応する有彩色用のジャギー補正ドット81aからなるカラー印刷時の中間調処理後の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS505)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS504の処理手順によって形成された太文字処理後のジャギー補正前有彩色文字82aと、ステップS505の処理手順によって形成された太文字処理に対応する有彩色用のジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、太文字処理後のジャギー補正後有彩色文字83aを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS506)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS506の処理手順によって展開された太文字処理後のジャギー補正後有彩色文字83aを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成について>
図25は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(文字太らせ機能を含む補正画素付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
本実施形態に係るジャギー補正機能は、第2の実施形態において図20を用いて説明を行ったように、フォントプロセス35が備えるジャギー補正部35bによって、有彩色文字(文字画像)51に対して有彩色用のジャギー補正画素を付加し、ジャギー補正を行うこともできる。
ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61は、文字太らせ部35dによって形成された太文字画像に対して、有彩色用のジャギー補正画素を付加し(注目画素の階調値を、カラー印刷時の中間調処理を施した有彩色用のジャギー補正ドット53を形成する階調値に置き換え)、有彩色用のジャギー補正画素データ91aを形成する。
<カラー印刷時の太文字処理を行ったときのジャギー補正(補正画素付加方式)の基本補正手順について>
図26は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時の太文字画像のジャギー補正(補正画素付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、文字太らせ部35dによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51の輪郭部に隣接する空白画素を、太らせ用の画素に置き換えて、太文字画像を形成する(ステップS601及びステップS602)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61によって、文字太らせ部35dにより形成された太文字画像に対して、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、注目画素の位置(補正画素の位置)に基づいて、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうち、有彩色文字51の明度に応じて、ジャギー補正に適切なドットサイズによる有彩色用のジャギー補正ドット53を形成するような階調値に置き換え、有彩色用のジャギー補正画素データ91aを形成する(ステップS603)。
画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ジャギー補正画素付加部61により形成された有彩色用のジャギー補正画素データ91aに対して中間調処理を行い、カラー印刷時の中間調処理後のジャギー補正後有彩色文字83aを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS604)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS604の処理手順によって展開されたジャギー補正後有彩色文字83aを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成(輪郭強調機能を含む)について>
図27は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(輪郭強調機能を含む補正ドット付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
また、本実施形態と第1の実施形態との違いは、輪郭強調部35eによって有彩色文字51に輪郭強調処理が施され、輪郭強調処理された輪郭強調文字画像がジャギー補正部35bに入力される点である。
<<輪郭強調処理について>>
輪郭強調部35eは、有彩色文字51の輪郭部の画素を、輪郭強調用の画素に置き換えて輪郭強調処理を行い、輪郭強調文字画像を形成する機能(輪郭強調文字画像形成手段)である。
次に、文字形成部35cは、輪郭強調部35eにより形成された輪郭強調文字画像に対して中間調処理を行うことで、カラー印刷時に輪郭強調処理を施した輪郭強調文字画像を形成する。このとき、輪郭強調処理の中で元の画素を置き換える輪郭強調用の画素の階調値は、入力された有彩色文字51の階調値よりも高い階調値とする。
<カラー印刷時の輪郭強調処理を行ったときのジャギー補正(補正ドット付加方式)の基本補正手順について>
図28は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時の輪郭強調文字画像のジャギー補正(補正ドット付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、輪郭強調部35eによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51の輪郭部の画素を、輪郭強調用の画素に置き換えて、輪郭強調文字画像を形成する(ステップS701及びステップS702)。
画像処理装置400は、文字形成部35cによって、輪郭強調部35eにより形成された輪郭強調文字画像に対して中間調処理を行い、輪郭強調処理後のジャギー補正前有彩色文字82bを形成する(ステップS703及びステップS704)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正ドット形成部41によって、輪郭強調部35eにより形成された輪郭強調文字画像に対して、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、文字の明度に応じて生成した有彩色用のジャギー補正パターン52を参照し、検出した注目画素の位置情報である補正ドットの位置と、カラー印刷時の中間調処理後の階調を再現する有彩色用のジャギー補正ドット81bのインクの付着量とに基づいて、輪郭強調処理に対応する有彩色用のジャギー補正ドット81bからなるカラー印刷時の中間調処理後の有彩色用のジャギー補正ドットパターンを形成する(ステップS705)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有する合成部42によって、ステップS704の処理手順によって形成された輪郭強調処理後のジャギー補正前有彩色文字82bと、ステップS705の処理手順によって形成された輪郭強調処理に対応する有彩色用のジャギー補正ドットパターンとを重畳して合成し、輪郭強調処理後のジャギー補正後有彩色文字83bを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS706)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS706の処理手順によって展開された輪郭強調処理後のジャギー補正後有彩色文字83bを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<カラー印刷時のジャギー補正の機能構成について>
図29は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時のジャギー補正機能(輪郭強調機能を含む補正画素付加方式)の機能構成の一例を示す図である。
また、本実施形態に係るジャギー補正機能は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61によって、輪郭強調部35eにより形成された輪郭強調文字画像に対して、有彩色用のジャギー補正画素を付加し(注目画素の階調値を、カラー印刷時の中間調処理を施した有彩色用のジャギー補正ドット53を形成する階調値に置き換え)、有彩色用のジャギー補正画素データ91bを形成する。
<カラー印刷時の輪郭強調処理を行ったときのジャギー補正(補正画素付加方式)の基本補正手順について>
図30は、本発明の第3の実施形態に係るカラー印刷時の輪郭強調文字画像のジャギー補正(補正画素付加方式)の補正手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、輪郭強調部35eによって、ドット展開部35aによりフォントデータメモリ36に展開された有彩色文字51の輪郭部の画素を、輪郭強調用の画素に置き換えて、輪郭強調文字画像を形成する(ステップS801及びステップS802)。
画像処理装置400は、ジャギー補正部35bが有するジャギー補正画素付加部61によって、輪郭強調部35eにより形成された輪郭強調文字画像に対して、ジャギー検出パターンを用いてパターンマッチングを行い、文字の輪郭部に発生したジャギーを検出し、注目画素の位置(補正画素の位置)に基づいて、検出した注目画素の階調値を、大・中・小ドット(大滴・中滴・小滴)のうち、有彩色文字51の明度に応じて、ジャギー補正に適切なドットサイズによる有彩色用のジャギー補正ドット53を形成するような階調値に置き換え、有彩色用のジャギー補正画素データ91bを形成する(ステップS903)。
画像処理装置400は、文字形成部35cによって、ジャギー補正画素付加部61により形成された有彩色用のジャギー補正画素データ91bに対して中間調処理を行い、カラー印刷時の中間調処理後のジャギー補正後有彩色文字83bを形成し、フォントデータメモリ36に展開する(ステップS804)。
その結果、画像処理装置400は、ステップS804の処理手順によって展開されたジャギー補正後有彩色文字91bを、ラスタライザ33を介してラスタデータメモリ34に一時保持され、インタフェースを介して画像形成装置500に出力される。
<太文字処理と輪郭強調処理との制御について>
また、本実施形態に係る画像処理装置400は、文字太らせ部35d又は輪郭強調部35eによって実行される各処理を、有彩色文字51に対して行うか否かを制御する。
例えば、文字サイズが6ポイント以下の場合に、文字に対して太文字処理や輪郭強調処理を行うと、インク滲みによって文字の視認性が低下してしまう。
また、利用者の好みは千差万別であり、利用者によっては、本実施形態に挙げた視認性向上を目的とする各種画像処理を常に実行されることを望む場合や、逆に実行させないことを望む場合などがある。
このことから、本実施形態では、予め決めておいた文字サイズを閾値に、入力された有彩色文字51の文字サイズが閾値より大きければ、文字太らせ部35d又は輪郭強調部35eのどちらか一方を選択的に実行する切り替え手段を有している。
よって、本実施形態では、利用者によって、「視認性向上のための太文字処理や輪郭強調処理を実行するか否かを制御する閾値」や「視認性向上のための処理を実行する場合に太文字処理又は輪郭強調処理のどちらを実行するか」などの各種設定値を設定可能なユーザインターフェースを、画像処理装置400側に備えている。例えば、本実施形態の場合では、画像処理プログラムであるプリンタドライバの印刷モード設定画面を提供する。また、画像形成装置500側において設定を行う場合には、操作パネル214に表示された設定項目を、テンキーを介して設定する。
<ジャギー補正機能における太文字処理と輪郭強調処理との制御手順について>
図31は、本発明の第3の実施形態に係る文字太らせ機能と輪郭強調機能とを制御する処理手順の一例を示す図である。
本実施形態に係る画像処理装置400は、印刷しようとしている文字のサイズが所定の文字サイズである閾値より大きいか否かを判定する(ステップS901)。
画像処理装置400は、文字のサイズが閾値より大きい場合(ステップS901がYESの場合)、視認性向上のための画像処理に太文字処理又は輪郭強調処理のどちらが選択設定されているかを判定する(ステップS902)。
画像処理装置400は、太文字処理が設定されていた場合(ステップS902が「太文字処理」の場合)、文字太らせ部35dによって太文字処理を行い(ステップS903)、その後にジャギー補正を行う(ステップS904)。
画像処理装置400は、輪郭強調処理が設定されていた場合(ステップS902が「輪郭強調処理」の場合)、輪郭強調部35eによって輪郭強調処理を行い(ステップS905)、その後にジャギー補正を行う(ステップS906)。
また、画像処理装置400は、文字のサイズが閾値以下の場合(ステップS901がNOの場合)、視認性向上のための画像処理を行わず、通常のジャギー補正を行う(ステップS907)。
<まとめ>
以上のように、本発明の第3の実施形態によれば、本実施形態に係る画像処理装置400は、有彩色文字51の階段状に変化した輪郭部に対し、階段状の変化を軽減する補正(ジャギー補正)を行うときに、有彩色文字51の明度に応じて、ジャギー補正ドット53の配置位置や補正ドット形成時のインクの付着量を調整することができる。
また、本実施形態に係る画像処理装置400では、文字太らせ部35dや輪郭強調部35eによって太文字処理や輪郭強調処理された文字画像に対しても、ジャギー補正を行うことができる。
よって、本実施形態に係る画像処理装置400は、カラー印刷において、文字画像の階段状の変化が目立たず、視認性が良く高品質の印字が可能なジャギー補正機能を提供することができる。
<画像印刷システムの構成に関する変形例について>
図32及び図33は、本発明の変形例に係る画像印刷システムの構成例を示す図である。
これまで各実施形態では、画像処理装置400においてジャギー補正機能を実現する画像印刷システムについて説明を行ってきた。
しかし、図32及び図33に示すように、本実施形態に係るジャギー補正機能を有する画像印刷システムは、画像処理装置400側と画像形成装置500側で実現する機能を分けた形で構成してもよく、また、画像形成装置500側で全ての機能を実現する形(画像形成装置が画像処理装置400としての機能を有する形)で構成してもよい。画像処理装置400と画像形成装置500とが有するハードウェア資源に応じて印刷性能や印刷品質が最適となるように実装すればよい。
各実施形態において説明を行った画像形成装置100の各機能は、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化された画像処理プログラムを、制御部11で実行することにより実現される。
よって、本実施形態に係る画像処理プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、DVDなどの記憶媒体に記憶させることによって、これらの記憶媒体を読み取り可能な装置から、画像処理装置400などの情報処理装置(PC)にインストールすることができる。また、画像処理装置400などの情報処理装置(PC)は、ホストI/F407を備えていることから、インターネットを用いて画像処理プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
また、各実施形態に係る画像処理装置400は、これまでに説明を行ってきたジャギー補正機能の内容から、インクの組成と特定の用紙との組み合わせによって、処理条件を切替えることがより効果的である。そのため、予めこの組み合わせが分かっている場合、又は、画像形成装置500が有する用紙の種類を判別する用紙種別を判別する手段により、ジャギー補正、太文字処理、及び輪郭強調処理などを含む画像処理を適用することが有効であると判定された場合に、自動的に切り替えを行うことができる。つまり、用紙の種類や記録方法(例えばインクジェットなど)に応じて決定される記録モードに連動して、最適な画像処理が適用されることになり、また、利用者が選択する手間を省くことができる。
また、カラー印刷で使用するインクの組み合わせとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックインクが、全て顔料系インクである組み合わせや、ブラックインクを顔料インクと、シアン、マゼンタ、及びイエローインクが染料インクである組み合わせや、インクが普通紙用に調製された顔料インク、シアン、マゼンタ、及びイエローの各インクが専用紙(光沢紙含む)用に調製されたインクである組み合わせなど、いずれの場合でも同様の効果を得られる。
また、各実施形態に係る画像形成装置500は、インクジェット記録方式による画像形成装置500を例に説明を行ったが、インク以外の記録液を用いた画像形成装置であってもよい。
最後に、上記各実施形態に挙げた形状に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。