JP2007049972A - 調理済みパスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 澱粉の老化に起因する品質劣化を解消し、特にチルド又は冷凍のいずれで保管した後に喫食しても、茹で上げ直後と同様、ぼそつき感がなく、且つ弾力性にも優れた食感を有する調理済みパスタの提供。
【解決手段】 パスタの表層部に糖類が2.0〜10.0質量%含有されている調理済みパスタ;乾燥パスタを茹でた後、この茹でパスタを40〜105℃に維持せしめた糖類含有水溶液に5〜60分間浸漬させる調理済みパスタの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は調理済みパスタ、特に食感に優れた調理済みパスタ及びその製造方法に関する。
従来、うどんやそば、あるいはパスタを中心とした調理済み麺類は、その手軽さ及び優れた品質によって市場を拡大している。しかしながら、これらの食品にあっては、製造工程や物流における温度変化により、澱粉の老化に起因する麺切れや食感の軟化等が起こり、その商品価値が著しく損なわれると云う問題があった。
また、これらの食品は、長期保存に耐えるように、乾燥処理や冷凍処理が施されたものも流通している。斯かる乾燥処理や冷凍処理を施す麺に関しては、例えば、以下のような技術が既に提案されている。
すなわち、即席麺類の製造方法としては、例えば麺類の表面を酵素デキストリン及びグルコースを含むアルコール水溶液で覆った後、冷凍真空乾燥を行う即席麺類の製造方法(特許文献1参照)が;冷凍食品としては、例えば冷凍処理した冷凍食品の表面を天然の多糖類粘質物、オリゴ糖もしくは合成糊料のうち少なくとも一種類のコーティング剤で被覆した冷凍食品(特許文献2参照)が;冷凍麺の製造方法としては、例えば麺線に糖液を浸潤させる工程を経た後、冷凍処理する冷凍麺の製造方法(特許文献3参照)がそれぞれ報告されている。
しかしながら、上記いずれの方法によっても、澱粉の老化に起因する品質劣化を十分には解消し得ず、茹で上げ直後と同様、ぼそつき感がなく、且つ弾力性にも優れた食感を有する麺類を得ることは難しいのが実状であった。
特開昭56−75073号公報 特開平3−80068号公報 特開平8−173072号公報
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、澱粉の老化に起因する品質劣化を解消し、特にチルド又は冷凍のいずれで保管した後に喫食しても、茹で上げ直後と同様、ぼそつき感がなく、且つ弾力性にも優れた食感を有する調理済みパスタを提供することを課題とするものである。
本発明者は、当該課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、前記特許文献1や2に記載の如く、単に麺類の表面に糖類をコーティングしたり、あるいはまた前記特許文献3に記載の如く、麺類の内部にまで糖類を浸潤させた場合には、澱粉の老化に起因する品質劣化を解消し得ないものの、茹でたパスタを熱があり、柔軟な状態下で糖類含有水溶液に浸漬せしめれば、パスタの表層部に糖類を集中的に吸収させることができ、その結果澱粉の老化が抑制され、優れた食感を維持することができるパスタが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、パスタの表層部に糖類が2.0〜10.0質量%含有されていることを特徴とする調理済みパスタにより上記課題を解決したものである。
また、本発明は、乾燥パスタを茹でた後、この茹でパスタを40〜105℃に維持せしめた糖類含有水溶液に5〜60分間浸漬させることを特徴とする調理済みパスタの製造方法により上記課題を解決したものである。
本発明によれば、茹で上げ直後と同様の食感が維持され、特にぼそつき感がなく、且つ弾力性にも優れた調理済みパスタを得ることができる。しかも、この優れた食感はチルド又は冷凍のいずれで保管した後においても維持される。
本発明で用いられる乾燥パスタとしては、特に制限されないが、例えばスパゲッティー、フェットチーネ、バーミセリ、マカロニ、ラビオリ、ラザニア等を挙げることができる。
本発明において、乾燥パスタを茹でる際の温度は、例えば97〜100℃であり、通常のパスタを茹でる場合の熱湯の温度である。また、乾燥パスタの茹で上げ方法、例えば乾燥パスタに対する水の添加量、茹で時間、茹で歩留まり等に特に制限はなく、パスタの種類に応じて常法に従って茹で上げることができる。
次いで、茹でたパスタを糖類含有水溶液に浸漬させる。浸漬させる際の水溶液の温度は、40℃〜105℃、就中90〜105℃が好ましく、特に熱湯の状態であることがより好ましい。水溶液の温度が40℃より低いと、茹で上げたパスタが硬化することにより、糖類が吸収されにくくなる。また、浸漬時間としては、5〜60分間、特に10〜30分間が好ましい。
本発明は、パスタを茹でた後、パスタが熱を有し、柔軟な状態であれば、パスタの表層部に糖類を集中的に吸収させることができ、所望の食感及び弾力性を有するパスタを得ることができる、と云う知見からなっており、このことからも、茹で上げたパスタの品温を出来る限り下げることなく糖類を吸収させる操作をする必要がある。ここで、パスタの表層部とは、パスタ表面から内側方向において5〜30質量%を占める領域部分を指す。
本発明において、糖類含有水溶液に用いられる糖類としては、食品衛生法上、その使用が認められているものであれば、その由来、その加工法を問わないが、例えばオリゴ糖、トレハロース、水あめ、還元水あめ、デキストリン、ポリデキストロース等を挙げることができ、これらを単体で又は2種以上を混合して用いることができる。このなかでも、パスタへの浸透が容易であるという観点から、オリゴ糖、又はトレハロースが好ましく、オリゴ糖がより好ましい。さらに、オリゴ糖の中でも、重合度4〜7のオリゴ糖がより好ましい。
糖類を含有する糖類含有水溶液の濃度は、特に制限されないが、例えば10〜50質量%、就中15〜50質量%が好ましく、特に15〜40質量%がより好ましい。この水溶液の濃度が低すぎると、パスタへの糖類の吸収が遅くなり、他方、濃度が高すぎると、パスタ表面へ糖類を集中的に吸収させることが困難となることにより、食感が低下する場合がある。
本発明においては、斯かる浸漬処理により糖類が、パスタの表層部に2.0〜10.0質量%含有せしめられるが、当該糖類の含有率としては、3.0〜10.0質量%とするのがより好ましい。パスタ表層部における糖類の含有率が、2.0質量%未満あるいは10.0質量%を超えた場合には、優れた食感を有する調理済みパスタを得ることはできない。
パスタ表層部中における糖類の含有率を測定する方法としては、特に制限されないが、例えばカラムクロマトグラフィーを用いて定量分析をする方法等を挙げることができる。
本発明においては、前記処理により得られた調理済みパスタを更にチルド処理又は冷凍処理することができる。ここで、冷凍処理の方法としては、例えば、−40℃、35分、1気圧の条件で、急速に冷凍させる方法を挙げることができる。斯かるチルド処理又は冷凍処理を施した調理済みパスタも優れた食感を維持する。
次に、本発明をさらに具体的に説明するために、実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明は、以下の実施例等にのみ限定されるものではない。
実施例1〜5並びに比較例1〜3
マカロニ(商品名「シルバーS41−30」:マ・マーマカロニ(株)製)100gをそれぞれ表1に示す手順に従って茹で上げ、20%オリゴ糖水溶液(商品名「日食フジオリゴ 450P」、ブドウ糖重合度4、日本食品化工(株))に浸漬して調理済みマカロニを調製した。なお、いずれの実施例及び比較例においても、最終の歩留まりが280%となるように調製した。なお、パスタ表層部における糖類の含有率の測定は、前処理としてアルコール抽出を行った後、以下の条件に従い、ポストカラム法により定量分析をすることにより行なった。
◎測定条件
カラム;「Shodex Asahipak NH2P50-4Eカラム(4.6mm×250cm)」(昭和電工(株)製)
カラム温度;室温
クロマト装置;LC−10ADvp((株)島津製作所製)
検出器;蛍光分光光度計 RF−10AxL((株)島津製作所製)
注入量;5μL
得られた各実施例及び比較例に係る調理済みマカロニ80gをそれぞれトレーに取り分けて、冷凍処理を施した。冷凍処理の条件は、−40℃、35分、1気圧であった。
官能評価は、10名のパネラーにより、冷凍処理が施された調理済みマカロニを、室温で解凍した後、喫食し、以下の基準により食感の評価を行い、平均値を求めた。
その結果を以下の表1に示す。
◎食感の評価基準
5:ぼそつき感が全くなく、弾力感にも優れている。
4:ぼそつき感がなく、弾力感もある。
3:ぼそつき感はほとんどなく、多少弾力感も認められる。
2:ぼそついた食感だが、多少弾力感は認められる。
1:ぼそついた食感で、弾力感もない。

Claims (3)

  1. パスタの表層部に糖類が2.0〜10.0質量%含有されていることを特徴とする調理済みパスタ。
  2. 乾燥パスタを茹でた後、この茹でパスタを40〜105℃に維持せしめた糖類含有水溶液に5〜60分間浸漬させることを特徴とする調理済みパスタの製造方法。
  3. 糖類含有水溶液に浸漬後、チルド又は冷凍処理をすることを特徴とする請求項2記載の調理済みパスタの製造方法。
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