JP2005328728A - 穀物加工食品用のほぐれ改良剤、並びに、穀物加工食品及び穀物加工食品製造方法 - Google Patents

穀物加工食品用のほぐれ改良剤、並びに、穀物加工食品及び穀物加工食品製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
充分なほぐれ改良効果を有し、かつ、食味を損なわない穀物加工食品用のほぐれ改良剤、並びに、該ほぐれ改良剤を利用した穀物加工食品及び該ほぐれ改良剤を利用する穀物加工食品製造方法を提供すること。
【解決手段】
デキストランを含有する穀物加工食品用ほぐれ改良剤を提供する。デキストランは、平均分子量が1万〜200万であることが好ましい。また、前記ほぐれ改良剤が添加されている穀物加工食品及び前記ほぐれ改良剤を利用する穀物加工食品製造方法を提供する。穀物加工食品は、米飯類、麺類等が含まれ、例えば、それらの穀物加工食品に、デキストランを0.1%〜10.0%含有するほぐれ改良剤を添加することにより、ほぐれ改良効果を得ることができる。

Description

本発明は、デキストランを含有する穀類加工食品用のほぐれ改良剤、並びに、該ほぐれ改良剤を添加した穀物加工食品及び該ほぐれ改良剤を添加する穀物加工食品製造方法に関する。
一般的に、米飯類(炊米、チャーハン等)や麺類は、加熱・調理の直後に最も美味であることが多く、その後は経時的に物性が劣化する場合が多い。物性の劣化には、例えば、食品の色調が変化する、食味が損なわれる、食品表面の光沢が失われる、食品の付着性が増し結着する、等がある。特に、食品の付着性が増し結着すると、食品がほぐれにくくなるため、食べにくくなるだけでなく、味を損ない、また、再加熱・再調理する際のムラの原因ともなる。
このため、米飯類又は麺類のほぐれ改良剤が、いくつか開示されている。例えば、難消化性デキストリンとペクチン(特許文献1)、食用油脂とポリグリセリン脂肪酸エステル(特許文献2)、アラビアガム・プルラン(特許文献3)、油脂とデキストリンと乳化剤(特許文献4)、等をほぐれ改良剤として利用する方法が開示されている。
特開平9−75022号公報 特開2003−339317号公報 特開平9−51764号公報 特開2002−345423号公報
従来のほぐれ改良剤は、ほぐれ改良効果・結着防止効果が充分でない、ほぐれ改良剤により食味が変化する、等の課題を抱えていた。
例えば、特許文献1、特許文献3の場合、ほぐれ改良効果が充分でないため、ほぐれ改良剤を高濃度で使用する必要があり、食味を損なうという問題があった。また、特許文献2、特許文献4の場合も、油脂が製品中に分散しにくく、ほぐれ改良剤を高濃度で使用する必要があるため、食味を損なうという問題があった。
そこで、本発明は、充分なほぐれ改良効果を有し、かつ、食味を損なわない穀物加工食品用のほぐれ改良剤、並びに、該ほぐれ改良剤を利用した穀物加工食品及び該ほぐれ改良剤を利用する穀物加工食品製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、穀物加工食品にデキストランを含有させることにより、穀物加工食品の食味、食品表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を改良することができ、食品の経時的劣化を防止できることを新規に見出した。
そこで、本発明では、まず、デキストランを含有する穀物加工食品用のほぐれ改良剤を提供する。前記のとおり、穀物加工食品にデキストランを含有させることにより、穀物加工食品の食味、食品表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を改良することができる。また、前記物性を長時間保持することが可能になるため、食品の経時的劣化を防止できる。
本発明に係るデキストランの物性改良効果は、次の理由によると推測される。
デキストランは、粘着性が低い、水分保持機能が高い、等の特質を有するため、穀物加工食品の表面にデキストランの薄い皮膜を形成することにより、食品表面の水分を適度に保持することができる。
また、デキストランは、水溶液等の状態において、会合・凝集等の老化現象が極めて起きにくいという特質を有する。そのため、デキストランを含有させた穀物加工食品を冷却したり、加工後長時間が経過したりした場合にも、食品表面上のデキストランの皮膜は弾力を維持することができ、また、皮膜同士の結着も起こりにくい。
従って、穀物加工食品にデキストランを含有させることにより、食品表面の水分・弾力性を適度に維持することができ、また、食品相互の結着を防止できるため、食品表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を改良することができると考えられる。
加えて、デキストランを用いることには、以下のような有利性がある。
デキストランは、水分保持性能に優れるため、例えば、室内のように、穀物加工食品と比較して相対湿度の低い場所に食品を放置した場合でも、食品が乾燥することなく、穀物加工食品の食味、食品表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を長時間保持できる。
デキストランは、砂糖・デンプン等不純物の少ない原料から製造でき、また、水等に溶解した際の粘度が低いため精製も容易に行うことができる。そのため、無味・無臭・無色で夾雑物を殆ど含まない製品を調製しやすい。従って、デキストランを食品に添加しても、食味が変化したり、食品の色・外観に影響を与えたりしない。また、他の多糖類と比較して粘度が低いため、食品にからめやすく、からめたあとの食品内でのムラを少なくすることができる。さらに、デキストランは、摂取しても安全性が高く、また、デキストランの老化による劣化も他の多糖類より低い。
デキストランは、他の多糖類と比較して、高い低温安定性を持つ。つまり、デンプン分解物のように、冷蔵庫・冷凍庫等で低温処理を施しても、析出したり機能が低下したりすることがない。従って、穀物加工食品の低温処理前に、デキストランを添加することが可能であり、また、穀物加工食品を冷蔵庫等で保存した場合にも、物性を保持できる。さらに、デキストランは、低温下でも水等に容易に溶解させることができるので、取り扱いが容易である。
その他、デキストランを添加することにより、穀物加工食品が調理器具、食器等に付着することをも防止できる。
上記について、さらに鋭意研究を行った結果、デキストランの分子量が1万〜200万の場合、最も物性改良効果が高いことがわかった。これは、デキストランの分子量がこの範囲にある場合に、穀物加工食品が、最も適度な水分を保持できるためであると推定する。
なお、デキストランとは、グルコースを構成糖とし、α−1,6結合を主鎖とする多糖類をいう。生産方法は、特に限定されないが、例えば、ショ糖を原料として、Leuconostoc mesenteroides等のデキストランシュクラーゼ活性を有する菌を利用して発酵生産する方法(Biochem.Eng.J.41,77−188,2000)、当該菌より得られる酵素を利用した反応を用いる方法(Appl.Microbiol.Biotechnol.40,251−257,1993)、等により得られる。また、デンプン又はデキストリンを原料として、Gluconobacter oxydans等のデキストリンデキストラナーゼ活性を有する菌を利用して発酵生産する方法(Carbohydrate Polymers 45,285−292,2001)、当該菌より得られる酵素を利用した反応を用いる方法(J.Ferm.Bioeng.76,411−413,1993)によっても調製される。
生産方法によって、デキストランを構成するグルコース間の結合様式の割合が異なる。本発明に用いるデキストランは、α−1,6結合の割合が50%以上であることが望ましい。
次に、本発明では、前記ほぐれ改良剤を添加した穀物加工食品を提供する。
穀類加工食品とは、米、麦、そば、とうもろこし、大豆、等の穀類を加工した食品であり、例えば、米飯類、麺類等を広く包含する。米飯類とは、例えば、炊いた米、麦飯、赤飯、おにぎり、ちまき、チャーハン、ピラフ、バターライス等を含む。麺類とは、例えば、そば、うどん、中華麺、スパゲッティー等のパスタ、等を含み、また、生タイプ麺、茹で麺、蒸し麺、乾麺や、フライ麺、ノンフライ麺等を含む。
ほぐれ改良剤の添加方法は、特に限定されないが、本発明に係るほぐれ改良剤は熱安定性があるため、例えば、加熱・調理前に添加することができる。また、ほぐれ改良剤を、水等に溶解したのち、その溶解液に穀類加工食品を浸漬する、該溶解液を穀類加工食品に噴霧する、等の方法を用いてもよい。
また、本発明に係るほぐれ改良剤とともに、油脂類、糖質、たんぱく質、ペプチド、増粘多糖類、乳化剤等の物質を併用して用いてもよい。
前記の方法等によりデキストランを添加する場合、デキストラン等の溶液を作製してから穀物加工食品に添加する方法を用いることができる。その際、該溶液のデキストラン濃度は、0.1重量%〜10.0重量%のものを用いることができる。0.3重量%以上のデキストラン溶液は好適であり、特に、0.7重量%以上のものは、デキストラン添加後の穀物加工食品に対して、充分な物性改善効果を発揮させることができる。
本発明により、穀類加工食品のほぐれやすさ等の物性を改良できる。
実施例1は、デキストランを含有する水で米を炊いた場合の、食味、米飯の光沢及びほぐれやすさを調べた実験である。なお、実施例は、本発明の作用・機能を実証するために行った実験であり、本発明が実施例により限定されるわけではない(以下、同じ)。
実施例1では、次の五種類の試料を添加して、食味、米飯の光沢及びほぐれやすさを比較した。用いた試料は、デキストラン(和光純薬株式会社製、製品コード049−22331)、大豆多糖(商品名「ソヤファイブ」、登録商標、不二製油株式会社製)、プルラン(商品名、株式会社林原商事製)、高度分岐環状デキストリン(商品名「クラスターデキストリン」、江崎グリコ株式会社製)、イソマルトオリゴ糖(商品名「IMO900P」、昭和産業株式会社製)、デキストリン(商品名「L−SPD」、昭和産業株式会社製)である。また、コントロールとして、無添加のものについても同様の実験を行った。実験手順は、次の通りである。なお、前記の大豆多糖は、現在、ほぐれ改良剤として一般的に利用されているものである。
まず、無添加のものを除き、水225gに各試料を溶解して、0.7重量%の溶液を調製した。次に、各水溶液に、無洗米(共同産業株式会社製)150gを30分間浸漬した後、炊飯器(松下電器工業製、「SR−CJ05」)を用いて、炊き上げた。
次に、炊き上げた米飯より、重さ110gのおにぎりを作製し、各おにぎりに、a.室温で3時間放置、b.4℃で24時間保存したのち電子レンジで加熱、c.−18℃で24時間保存したのち電子レンジで加熱、の三つのいずれかの条件を付加したのち、官能評価を行った。
なお、「食味」に関する官能評価は、五段階評価で行い、以下の基準で判定した。「5」は味・風味が非常に良好である、「4」は味・風味が良好である、「3」は味・風味が普通である、「2」はやや味・風味が悪い、「1」は味・風味が悪い。無添加のものを除き、雑味の有無に関しても勘案して評価した。
「米飯の光沢」に関する官能評価は、五段階評価で行い、以下の基準で判定した。「5」は米表面のみずみずしさ・つやが非常に良好である、「4」はみずみずしさ・つやが良好である、「3」はみずみずしさ・つやが普通である、「2」はみずみずしさ・つやがやや不良である、「1」みずみずしさ・つやがない。
「ほぐれやすさ」に関する官能評価は、おにぎりを口腔内に入れた際のほぐれやすさを五段階評価で行い、以下の基準で判定した。「5」はほぐれやすさが非常に良好である、「4」はほぐれやすさが良好である、「3」はほぐれやすさが普通である、「2」はほぐれやすくない、「1」はほとんどほぐれない。
前記各条件における官能評価の結果を、それぞれ、表1、表2、表3に示す。
Figure 2005328728
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表1の官能評価は、例えば、米を炊き上げた後、室温で放置して、米飯が冷めた場合を想定したものである。表2の官能評価は、例えば、炊き上げた米を冷蔵庫等で保管し、食べる際に電子レンジで加熱する場合を想定したものである。表3の官能評価は、例えば、冷凍食品として流通したのち、電子レンジ等で加熱・調理して食べる商品を想定したものである。
表1から表3のいずれの場合でも、無添加の場合と比較して、デキストランには明らかな物性改良効果が見られ、プルラン・大豆多糖には一定の物性改良効果が見られ、イソマルトオリゴ糖、デキストリン、高度分岐環状デキストリンには、米飯の物性改良効果は見られなかった。なお、大豆多糖は、米飯の光沢、ほぐれやすさに関しては、デキストランと同等の物性改良効果がみられたが、食味が損なわれていた。
以上の結果は、デキストランが、米飯の物性を改良する効果を有し、また、改良した物性を長時間保持できることを示している。また、デキストランが、冷蔵保管した米飯や冷凍食品にも適用できることを示している。従って、デキストランは、米飯用ほぐれ改良剤として、有効である。
デキストランの物性改良効果が高いのは、水分保持機能が高いためと推察される。糊化デンプン、デキストリン等の老化は、温度、水分、pH、時間等の影響を受けて、溶解していた分子鎖が水に不溶性の状態に変化することで起こる。つまり、α−1,4結合の連続する直鎖間で凝集・会合し、その際に、自由水が失われ、元の状態に戻ることができずに離水する。それに対し、デキストランは、α−1,4結合の直鎖構造をほとんど持たないため、凝集性・会合性がなく、自由水を失わない。そのため、デキストランを添加することにより、デキストランが米粒の表面を、水分を保持しながら覆い、米粒の乾燥や米飯食品内のデンプンの劣化を防止し、品質を保持する。
プルランは、マルトトリオース単位がα−1,6結合した構造をしており、α−1,6結合とα−1,4結合が1:2の割合で繰り返されている。プルランは、α−1,6結合を有し、老化しにくい物性を示すが、α−1,4結合も多く有するため、粘着性が高い。そのため、デキストランほどの物性改良効果は見られなかったと推測される。
イソマルトオリゴ糖は、酵素によりデンプンを分解して生成したα−1,6結合を有するオリゴ糖であるが、非常に短いグルコース鎖しか持たないため、水分保持能が低く、物性改良効果が見られなかったと推測される。
デキストリン・高度分岐環状デキストリンは、グルコースを構成糖とするが、糊化デンプン・デンプン等をアミラーゼ類の酵素で軽度に分解したものであり、前記の通りα−1,4結合を多く有するため、粘着性・老化性が高い一方、水分保持能は低い。そのため、充分な物性改良効果が見られなかったと推測される。なお、高度分岐環状デキストリンは、分子内に環状を持つデキストリンである。
なお、無添加の場合において、食味、米飯表面の光沢が失われたり、米粒同士の付着性が増してほぐれにくくなったりするのは、時間の経過とともに、米飯が乾燥し、また、米飯中のデンプンが老化するためであると考えられる。
実施例2は、デキストランの添加量と、食味、米飯の光沢及びほぐれやすさ、との関係を調べた実験である。
実施例2では、それぞれ、0.1重量%、0.3重量%、0.7重量%、10重量%に調製したデキストラン溶液について、食味、米飯の光沢及びほぐれやすさを比較した。また、コントロールとして、デキストラン無添加のものについても同様の実験を行った。実験手順は、次の通りである。
まず、水225gにデキストラン(和光純薬株式会社製、製品コード049−22331)を溶解し、それぞれ、0.1重量%、0.3重量%、0.7重量%、10重量%のデキストラン水溶液を調製した。次に、各水溶液に、無洗米(共同産業株式会社製)150gを30分間浸漬し、1.5gのサラダ油を添加した後、炊飯器(松下電器工業製、「SR−CJ05」)を用いて、炊き上げた。
次に、実施例1と同様に、炊き上げた米飯を成形用型枠にいれ、重さ110gのおにぎりを作製し、各おにぎりに、a.室温で3時間放置、b.4℃で24時間保存したのち電子レンジで加熱、の二つのいずれかの条件を付加したのち、官能評価を行った。なお、「食味」、「米飯の光沢」、「ほぐれやすさ」に関する官能評価は、実施例1と同じ基準を用いた。各条件における官能評価の結果を、それぞれ、表4、表5に示す。
Figure 2005328728
Figure 2005328728
表4、表5に示すとおり、無添加のものと0.1重量%の溶液を添加したものを比較すると、室温で3時間放置する条件を付加したもの、4℃で24時間保存したのち電子レンジで加熱する条件を付加したもの、のいずれの場合でも、加熱・調理前にデキストランを添加することにより、「食味」、「米飯の光沢」、「ほぐれやすさ」に関して、一定の効果を得ることができた。また、0.3重量%デキストラン溶液を添加したものは、充分な効果を得ることができ、0.7重量%デキストラン溶液を添加した場合は、さらに高い効果を得ることができた。
従って、本発明に係る穀物加工食品用のほぐれ改良剤としては、デキストランを少なくとも0.1重量%以上含有することが好ましく、0.3重量%以上含有することがより好ましく、0.7重量%以上含有することがさらに好ましい。デキストランを10重量%含有するほぐれ改良剤についても、高い効果を得ることができたので、0.1重量%以上10.0重量%以下の範囲でデキストランを含有するほぐれ改良剤は、少なくとも好適であると考えられる。
なお、米飯製造時には、約7%の水分が蒸発すると考えられるため、製造した米飯の最終重量を349gであるとすると、0.1重量%デキストランを含有するほぐれ改良剤を添加した場合の最終濃度は約0.06重量%、0.3重量%デキストランの場合は約0.20重量%、0.7重量%デキストランの場合は0.45重量%、10.0重量%デキストランの場合は6.45重量%であると考えられる。従って、穀物加工食品におけるデキストランの最終濃度は、0.06重量%以上6.45重量%以下の範囲の場合、少なくとも好適であると考えられる。
その他、表1と表4、表2と表5を比較すると、デキストランを単独で添加した場合より、デキストランとサラダ油の両方を添加した場合のほうが、「食味」、「米飯の光沢」、「ほぐれやすさ」の点で優れていた。このことは、デキストランと油脂を含有する米飯用ほぐれ改良剤も、米飯の物性を改良する効果を持つことを示している。
実施例3は、どの分子量のデキストランが、最も物性改良効果を有するかを調べた実験である。
添加試料に用いたデキストランは、分子量1500以下のもの(Fulka製、製品コード31394)、平均分子量1万のもの(SIGMA社製、製品コードD9260)、平均分子量4万のもの(和光純薬株式会社製、製品コード049−22331)、平均分子量7万のもの(和光純薬株式会社製、製品コード049−00552)、平均分子量25万のもの(和光純薬株式会社製、製品コード049−18982)、平均分子量50万のもの(SIGMA社製、製品コードD5251)、平均分子量200万のもの(SIGMA社製、製品コードD5376)、平均分子量2000万のもの(SIGMA社製、製品コードD5501)、及び発明者が作製した試作品、の九種類である。また、コントロールとして、無添加のものについても同様の実験を行った。
発明者が作製した試作品は、次の方法で作製した。即ち、デキストリンデキストラナーゼ活性を利用した酵素反応による方法(J.Ferm、Bioleng., 76,411-413,1993)により、デキストランを調製後、これを酸分解し、分画分子量10万の限外ろ過膜(日本ミリポア社製、PLHK OMP04)及び分画分子量1万の限外ろ過膜(日本ミリポア社製、PLGC OMP04)を用いて、分子量の範囲が1万〜10万なるように調製した。なお、この試作品に含有するデキストランの、α−1,6結合の割合は、作製方法より、50%以上であると推定される。
上記の九種類の添加試料を水に溶かして、0.7重量%のデキストラン水溶液を作製し、実施例2と同様の手順でおにぎりを作製した。そして、実施例2と同様の条件を付加したのち、実施例1、実施例2で用いた判断基準で官能評価を行った。各条件における官能評価の結果を、それぞれ、表6、表7に示す。
Figure 2005328728
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表6、表7に示すとおり、いずれのデキストランにおいても、米飯の物性改良効果が確認された。特に、分子量1万〜200万のデキストランは、米飯の物性改良効果が高かった。なお、分子量2000万のデキストランは、分子量1万〜200万のデキストランと比較して、物性改良効果がやや低かったが、これは、デキストランの水分保持・吸収機能が強すぎ、デキストラン自体の粘度が大きくなったためと推察される。
実施例4は、デキストランが、麺類に対してもほぐれ改良効果を有するかどうかを調べた実験である。添加試料には、イソマルトオリゴ糖(商品名「IMO900P」、昭和産業株式会社製)、デキストリン(商品名「L−SPD」、昭和産業株式会社製)、分岐環状デキストリン(商品名「クラスターデキストリン」、登録商標、江崎グリコ株式会社製)、大豆多糖(商品名「ソヤファイブ」、登録商標、不二製油株式会社製)、プルラン(商品名、株式会社林原商事製)、デキストラン(和光純薬株式会社製、製品コード049−22331)を用いた。実験手順は、次の通りである。
まず、各添加試料の2%水溶液を準備した。次に、日本そば(株式会社おびなた社製)を沸騰水で10分間茹でた後、水洗し、水洗後、素早く各添加試料の2%水溶液に1分間浸漬した。次に、浸漬後、水を切り、ざるそば用容器に入れて、4℃、24時間保存したのち、官能評価を行った。官能評価は、実施例1に示した基準により行った。結果を表8に示す。
Figure 2005328728
まず、表8中、無添加のものとデキストランを添加したものとを比較すると、食味、麺の光沢、麺のほぐれやすさ、のいずれの物性についても、デキストランを添加したもののほうが優れていた。また、大豆多糖又はプルランを添加したものとデキストランを添加したものとを比較した場合でも、デキストランは、物性改良効果が高かった。このことは、デキストランが、米飯類だけでなく、麺類に対しても、充分な物性改良効果を発揮することを示している。
本発明に係るほぐれ改良剤は、穀類加工食品の食味、表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を改良することができ、産業上有用である。本発明に係る穀類加工食品は、例えば、流通過程等により、製造後一定の時間が経過してから消費者が摂食する場合でも、食味、表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を保持できるため、産業上有用である。本発明に係る穀類加工食品製造方法は、食味、表面の光沢、ほぐれやすさ等の物性を長期間保持する穀類加工食品を生産できるため、産業上有用である。

Claims (6)

  1. デキストランを含有する穀物加工食品用のほぐれ改良剤。
  2. デキストランの平均分子量が1万〜200万であることを特徴とする請求項1に記載のほぐれ改良剤。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のほぐれ改良剤が添加されている穀物加工食品。
  4. 前記穀物加工食品は、米飯類であることを特徴とする請求項3に記載の穀物加工食品。
  5. 前記穀物加工食品は、麺類であることを特徴とする請求項3に記載の穀物加工食品。
  6. デキストランを0.1重量%〜10重量%含有する穀物加工食品用のほぐれ改良剤を添加する工程を少なくとも含む穀物加工食品製造方法。
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