JP2017029048A - 蒸しケーキ改良材及び蒸しケーキ生地 - Google Patents
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Description
さらに、小麦粉と乳化剤とからなる混合物を密閉容器中で撹拌しながら間接加熱処理して得られる熱処理混合物を添加する方法(例えば特許文献7参照)も提案されている。しかし、この方法では、乳化剤に由来するねちゃついた食感が発生しやすいため使用量が限られ、そのため大きな食感の改善効果が得られない問題に加え、該熱処理混合物の添加により生地粘度が大きく変化してしまうという問題もあった。
本発明は、上記知見により得られたものであり、分子量20万以下のデキストランを含有する蒸しケーキ改良材を提供するものである。
また、本発明の蒸しケーキ生地を加熱処理すると、ソフトで歯切れが良く風味良好な蒸しケーキを安定して得ることができる。
先ず、本発明で使用するデキストランについて述べる。
デキストランとは、グルコースを構成糖とし、α−1,6グリコシド結合による主鎖と、一部、α−1,4グリコシド結合及び/又はα−1,3グリコシド結合を有するという構造を有する、微生物が生産する多糖類の1種である。
一般的には、乳酸菌等の細菌をショ糖を含有する培地で培養した際に、該細菌が有する又は該細菌が産生するデキストランスクラーゼによるグルコース転移反応によって生成する。また、デキストランスクラーゼを、ショ糖を含有する溶液や生地に作用させることにより得られる。
なお、デキストランとしては上記のようにデキストランスクラーゼ又はそれを有する細菌を用いて得られたデキストランに加え、該デキストランを部分的に加水分解して精製した分岐構造の少ないものも市販されている。
ここでデキストランの分子量が20万を超えると、得られる蒸しケーキがもっちりした食感になってしまい、良好な歯切れが得られない。また、蒸しケーキ生地の物性に影響が出てしまうという問題がある。
尚、本発明において分子量とは質量平均分子量をいう。
また、デキストランの分子量の下限は、一般的に0.5万である。デキストランの質量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィにより測定する。
ここで、本発明の蒸しケーキ改良材における上記分子量20万以下のデキストランの配合割合が0.1質量%未満であると、少ない添加量で蒸しケーキ改良効果を付与するという蒸しケーキ改良材としての意義がなくなるおそれがある。
本発明の蒸しケーキ改良材中の上記分子量20万以下のデキストランの存在形態は、上記分子量20万以下のデキストランが水相に溶解した形態であることが好ましい。
また、本発明の蒸しケーキ改良材は油相を含有するものであってもよい。
上記油相に使用する油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、バター、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂並びにこれらを水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明では、上記の油脂の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の蒸しケーキ改良材が油相を含有する場合、油分と水分を含有する乳化油脂の形態であることが好ましい。その場合、その乳化型は水中油型であっても油中水型であってもよいが、水中油型であることが好ましい。
高度分岐環状デキストリンとは、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンであり、従来の澱粉加水分解物とは異なり、環状を構成することにより還元末端がほとんどない構造を有し、DE(デキストロース当量)は5未満であり、水溶性が高く、その溶液の透明性が高いこと、他のデキストリンと異なり分子量分布が狭いという特徴を有する。上記の内分岐環状構造部分とは、α−1,4グリコシド結合とα−1,6グリコシド結合とで形成される環状構造部分であり、上記の外分岐構造部分とは、該内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分である。
上記高度分岐環状デキストリンの配合割合が、上記分子量20万以下のデキストラン1質量部に対し、0.1質量部未満であると、上記分子量20万以下のデキストランとの相乗効果が認められず、10質量部を超えると、蒸しケーキ改良材がもちもちした食感となってしまう。
上記の乳原料としては、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料であればどのようなものでも構わないが、具体的な例としてクリーム又はバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分があげられる。
上記のクリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。先ず、牛乳を遠心分離して得られる脂肪濃度30〜40質量%のクリームをプレートで加温し、遠心分離機によってクリームの脂肪濃度を70〜95質量%まで高める。次いで、乳化破壊機で乳化を破壊し、再び遠心分離機で処理することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。
上記のバターからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の製造方法は、例えば以下の通りである。先ず、バターを溶解機で溶解し熱交換機で加温する。これを遠心分離機で分離することによってバターオイルが得られる。本発明で用いられる上記水相成分は、最後の遠心分離の工程でバターオイルの副産物として発生するものである。該バターオイルの製造に用いられるバターとしては、通常のものが用いられる。
先ず、乳原料の脂質をFolch法を用いて抽出する。次いで、抽出した脂質溶液を湿式分解法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載の湿式分解法に準じる)にて分解した後、モリブデンブルー吸光度法(日本薬学会編、衛生試験法・注解2000 2.1食品成分試験法に記載のリンのモリブデン酸による定量に準じる)によりリン量を求める。求められたリン量から以下の計算式を用いて乳原料の乳固形分100g中のリン脂質の含有量(g)を求める。
リン脂質(g/100g)=〔リン量(μg)/(乳原料−乳原料の水分(g))×25.4×(0.1/1000)
上記の乳原料中のリン脂質をリゾ化するには、ホスホリパーゼAで処理すれば良い。ホスホリパーゼAは、リン脂質分子のグリセロール部分と脂肪酸残基とを結びつけている結合を切断し、この脂肪酸残基を水酸基で置換する作用を有する酵素である。ホスホリパーゼAは、作用する部位の違いによってホスホリパーゼA1とホスホリパーゼA2とに分かれるが、ホスホリパーゼA2が好ましい。ホスホリパーゼA2の場合、リン脂質分子のグリセロール部分の2位の脂肪酸残基が選択的に切り離される。
上記酸の添加によるpHの調整は、上記酸を上記乳原料自体に添加することにより行ってもよいし、上記乳原料と、分子量20万以下のデキストラン等の蒸しケーキ改良材の材料とを混合する際に、又は混合後に上記酸を添加することにより行ってもよい。
上記カルシウム塩としては塩化カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム等が例示され、このうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、本発明においては得られる蒸しケーキの風味が良好である点で塩化カルシウム及び/又は乳酸カルシウムを使用することが好ましい。
上記均質化処理に用いられる均質化機としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バブル式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、ディスパーミル等があげられる。均質化圧力は特に制限はないが、好ましくは0〜100MPaである。2段式ホモジナイザーを用いて均質化処理をする場合は、例えば、1段目3〜100MPa、2段目0〜5MPaの均質化圧力にて行っても良い。
上記のその他の成分としては例えば、ゲル化剤や安定剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤、糖類・甘味料、澱粉類、蛋白質、乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料以外の乳や乳製品、卵製品、穀類、無機塩、有機酸塩、キモシン等の蛋白質分解酵素、トランスグルタミナーゼ、ラクターゼ(β−ガラクトシダーゼ)、α―アミラーゼ、グルコアミラーゼ等の糖質分解酵素、ジグリセライド、植物ステロール、植物ステロールエステル、果汁、濃縮果汁、果汁パウダー、乾燥果実、果肉、野菜、野菜汁、香辛料、香辛料抽出物、ハーブ、高度分岐環状デキストリン以外のデキストリン類、カカオ及びカカオ製品、コーヒー及びコーヒー製品、その他各種食品素材、着香料、苦味料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤、強化剤等を配合してもよい。
但し本発明では、得られる蒸しケーキの食感がソフト性や歯切れ性、更には口溶けの悪いものになることを避けるため、上記分子量20万以下のデキストランと高度分岐環状デキストリンを合計した含有量以上のゲル化剤や安定剤は使用しないことが好ましい。
例えば、本発明の蒸しケーキ改良材の形態が顆粒状、或いは粉末状の場合は、粉体混合用混合機を使用し、各原料を混合することによって得る方法や、各原料を含有する水溶液や懸濁液或いは水中油型乳化物を製造後、製造した水溶液等をスプレードライやフリーズドライ等により粉末化する方法を挙げることができる。
該殺菌は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、或いは直火等の加熱調理により行うことができる。そして前記水相を冷却することにより、本発明の蒸しケーキ改良材が得られる。
また、殺菌する前又は後で、ホモジナイザーにより均質化しても良い。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3MPa〜30MPaとするのが好ましい。
詳しくは、先ず水に、分子量20万以下のデキストランを溶解し、必要に応じ更にその他の水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。一方、食用油脂に油溶性の原料を溶解させた油相を用意する。そして、この水相と油相を、好ましくは45〜75℃で予備乳化し、油中水型の予備乳化物を得る。次いでこの予備乳化物を殺菌することが好ましい。尚、本発明における殺菌には滅菌も含む。殺菌方法は、タンクでのバッチ式、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式等の何れの方法を用いてもよい。
次に、前記予備乳化物を冷却し、結晶化することにより油中水型の本発明の蒸しケーキ改良材が得られる。好ましくは冷却可塑化する。冷却条件は、好ましくは−0.5℃/分以上、更に好ましくは−1℃/分以上とする。この際、徐冷却よりも、急速冷却の方が好ましい。尚、冷却可塑化する機器としては、密閉型連続式チューブ冷却機、例えば、ボテーター、コンピネーター、パーフェクター等のマーガリン製造機やプレート型熱交換機等が挙げられ、また、開放型のダイアクーラーとコンプレクターとの組み合わせも挙げられる。
詳しくは、先ず水に、分子量20万以下のデキストランを溶解し、必要に応じ更にその他の水溶性の原料を溶解させた水相を用意する。一方、食用油脂に油溶性の原料を溶解させた油相を用意する。そして、この水相と油相を、好ましくは45℃〜75℃で予備乳化し、水中油型の予備乳化物を得る。次いでこの予備乳化物を殺菌することが好ましい。尚、本発明における殺菌には滅菌も含む。
該殺菌は、インジェクション式、インフュージョン式等の直接加熱方式、或いはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、或いは直火等の加熱処理により行うことができる。そして前記予備乳化物を冷却することにより、本発明の蒸しケーキ改良材が得られる。
また、殺菌する前又は後で、ホモジナイザーにより均質化しても良い。均質化処理を行う場合の均質化圧力は、3MPa〜30MPaとするのが好ましい。
本発明の蒸しケーキ生地は、蒸しケーキ生地で用いる澱粉類100質量部に対して、分子量20万以下のデキストランを0.02質量部〜3質量部、好ましくは0.1質量部〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.0質量部含有するものである。
本発明の蒸しケーキ生地では、澱粉類中、好ましくは小麦粉類を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは100質量%使用する。
上記卵成分としては、全卵、卵黄、卵白、加塩全卵、加塩卵黄、加塩卵白、加糖全卵、加糖卵黄、加糖卵白等が挙げられ、もちろんこれらの乾燥品、冷凍品、酵素処理品等を用いることもできる。本発明の蒸しケーキ生地における好ましい卵成分含有量は、蒸しケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、好ましくは50〜300質量部であり、より好ましくは100〜300質量部である。
なお乾燥品を用いる場合はその乾燥前重量で換算するものとする。
本発明の蒸しケーキ生地における好ましい糖類含有量は、蒸しケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、固形分として好ましくは20〜200質量部、より好ましくは50〜200質量部、さらに好ましくは100〜170質量部である。尚、上記糖類含量には、上記副原料として糖類を含有する原料を練込使用した場合は、それらに含まれる純糖類含量も含めて算出するものとする。
本発明の蒸しケーキ生地における好ましい油脂含量は、蒸しケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対し、純油分として好ましくは10〜100質量部、より好ましくは10〜80質量部、最も好ましくは20〜75質量部である。尚、上記油脂含量には、上記副原料として油脂を含有する原料を練込使用した場合は、それらに含まれる純油分含量も含めて算出するものとする。
上記ゲル化剤としては、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸ナトリウム)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ペクチン、LMペクチン、HMペクチン、ローカストビーンガム、グアーガム、ジェランガム、タラガントガム、キサンタンガム、カラギーナン、カードラン、タマリンドシードガム、カラヤガム、タラガム、トラガントガム、アラビアガム、ゼラチン、海藻抽出物、海藻エキス、寒天等が挙げられる。
上記膨張剤としては、ベーキングパウダー、重曹、重炭安、炭安、イスパタ等が挙げられる。
本発明の蒸しケーキ生地は、本発明の蒸しケーキ改良材を蒸しケーキ生地の製造時に練り込むことにより、製造することができる。蒸しケーキに対する本発明の蒸しケーキ改良材の使用量は、蒸しケーキ生地で用いる澱粉類100質量部に対して、分子量20万以下のデキストランが0.02質量部〜3質量部、好ましくは0.1質量部〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.0質量部となる量である。
本発明の蒸しケーキは、本発明の蒸しケーキ生地を加熱処理、好ましくは蒸成することにより得られたものであり、蒸しケーキのほか、蒸しカステラ、かるかん、蒸しまんじゅう、中華まんじゅう、ふくれ菓子等を含むものである。蒸成方法としては、蒸しケーキの製造に通常採用することができる蒸成方法を採用することができ、例えば、蒸し器による蒸し、オーブン中に水又はお湯をはって焼くことによる簡易的な蒸工程、電子レンジ等のマイクロウェーブを用いた蒸工程を含む。蒸成条件は、蒸成方法や蒸しケーキ1つ当たりに使用する蒸しケーキ生地量等によっても異なり、特に制限されるものではないが、蒸成温度は85〜100℃、蒸成湿度は90〜100%、蒸成時間は10〜40分の範囲がそれぞれ好ましい。
本発明の蒸しケーキの改良方法は、蒸しケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、分子量20万以下のデキストランを0.02質量部〜3質量部、好ましくは0.1質量部〜1.5質量部、更に好ましくは0.3〜1.0質量部添加した蒸しケーキ生地を用いるものである。
なお、本発明の蒸しケーキの改良方法において、分子量20万以下のデキストランに加え、高度分岐環状デキストリン及び/又は乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を蒸しケーキ生地に添加することが好ましい。
高度分岐環状デキストリンを添加する場合、蒸しケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、0.05質量部〜10質量部、好ましくは0.1質量部〜4.5質量部となる量を添加することが好ましい。
乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を添加する場合、蒸しケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、乳固形分として0.06質量部〜1.2質量部、好ましくは0.1質量部〜1.0質量部を添加することが好ましい。
〔実施例1〕
分子量1万のデキストラン(名糖産業製)2質量部を水道水98質量部に溶解し、これを本発明の蒸しケーキ改良材1とした。
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)2質量部を水道水98質量部に溶解し、これを本発明の蒸しケーキ改良材2とした。
分子量20万のデキストラン(名糖産業製)2質量部を水道水98質量部に溶解し、これを本発明の蒸しケーキ改良材3とした。
分子量50万のデキストラン2質量部を水道水98質量部に溶解し、これを比較例の蒸しケーキ改良材4とした。
分子量500万のデキストラン2質量部を水道水98質量部に溶解し、これを比較例の蒸しケーキ改良材5とした。
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)4質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)10質量部に水86質量部を添加し、更にこれをホモジナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し本発明の蒸しケーキ改良材6を得た。
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)4質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)10質量部に水85.97質量部を添加し、更にフィチン酸0.03質量部を添加して、pHを5.5に調整した。更にこれをホモジナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し本発明の蒸しケーキ改良材7を得た。
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物の配合量を10質量部から7.2質量部に、水の配合量を85.97質量部から88.78質量部に、フィチン酸の添加量を0.03質量部から0.02質量部に変更した以外は実施例5と同様の配合・製法で本発明の蒸しケーキ改良材8を得た。(フィチン酸添加後のpHは、5.5であった。)
クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物の配合量を10質量部から4質量部に、水の配合量を85.97質量部から91.99質量部に、フィチン酸の添加量を0.03質量部から0.01質量部に変更した以外は実施例5と同様の配合・製法で本発明の蒸しケーキ改良材9を得た。(フィチン酸添加後のpHは、5.5であった。)
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)2質量部、高度分岐環状デキストリン(商品名「クラスターデキストリン」(江崎グリコ製))4質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)4質量部に水89.99質量部を添加し、更にフィチン酸0.01質量部を添加してpHを5.5に調整した。更にこれをホモジナイザーにて均質化圧力3MPaにて均質化後、UHT加熱処理(142℃、4秒)を行った。そして、再度、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し本発明の蒸しケーキ改良材10を得た。
高度分岐環状デキストリン(商品名「クラスターデキストリン」(江崎グリコ製))の配合量を4質量部から1.6質量部に、水の配合量を89.99質量部から92.39質量部に変更した以外は実施例8と同様の配合・製法で本発明の蒸しケーキ改良材11を得た。(フィチン酸添加後のpHは、5.5であった。)
[実施例10〜25及び比較例3〜5]
得られた蒸しケーキ改良材1〜11を用いて、下記の[表1]に記載の配合で、下記の製法により蒸しケーキ生地及び蒸しケーキを製造した。尚、表1中の数値は質量部である。
なお、蒸しケーキ生地の卵成分と油脂の合計量は、蒸しケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対して254質量部であった。
全卵、上白糖、転化糖液糖、上記蒸しケーキ改良材、及びケーキ用起泡性乳化脂をミキサーボウルに投入し、これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、低速で10秒混合後、高速で、比重が0.30となるまで起泡した。
ここで、小麦粉、ベーキングパウダー、重曹及び食塩を予め混合し、ふるいをかけておいたものを添加し、低速1分混合した。次いで、液状油10質量部、香料2質量部を添加し、低速1分混合し、蒸しケーキ生地を得た。(比重は0.36前後)
得られた蒸しケーキ生地45gを紙ケース型に絞り入れ、これを蒸し機(フジスチーマー)を用い、温度92℃、湿度100%にて15分蒸し、蒸しケーキを得た。
得られた蒸しケーキを常温で1日保存した後、下記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供した。
10人のパネラーに、常温で1日保存した後の蒸しケーキを試食させ、食感(ソフト性、歯切れ及び風味)について、下記評価基準に従って官能評価をさせ、10人のパネラーの合計点をだし、38〜50点:◎、25〜37点:○、13〜24点:△、0〜12点:×として、表2に結果を示した。
(評価基準)
・ソフト性
5点:非常にソフトな食感である。
3点:ソフトな食感である。
1点:やや硬い食感である。
0点:非常に硬い食感である。
・歯切れ
5点:非常に歯切れが良い。
3点:歯切れが良い。
1点:歯切れが悪い。
0点:非常に歯切れが悪い。
・風味
5点:良好な風味がある。
3点:ほぼ良好な風味がある。
1点:くもったような卵風味が感じられる。
0点:不良な卵風味である。
〔実施例26〕
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)4質量部、シュガーエステル0.1質量部を水75.9質量部に添加、分散・溶解し、水相を得た。ここにパーム分別軟部油20質量部からなる油相を添加・混合、乳化し、予備乳化物を得た。該予備乳化物をUHT加熱処理(142℃、4秒)を行った後、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し本発明の蒸しケーキ改良材12を得た。
分子量4万のデキストラン(名糖産業製)4質量部、クリームからバターオイルを製造する際に生じる水相成分の濃縮物(乳固形分38質量%、乳固形分中のリン脂質の含有量9.8質量%)7.2質量部、シュガーエステル0.1質量部を水68.68質量部に添加、分散・溶解し、更にフィチン酸0.02質量部を添加してpHを5.5に調整した水相を得た。ここにパーム分別軟部油20質量部からなる油相を添加、混合、乳化し、予備乳化物を得た。該予備乳化物をUHT加熱処理(142℃、4秒)を行った後、ホモジナイザーにて均質化圧力12MPaにて均質化を行った。これを5〜10℃に冷却し本発明の蒸しケーキ改良材13を得た。
[実施例28〜30及び比較例6]
得られた蒸しケーキ改良材12及び13並びに実施例6で得られた蒸しケーキ改良材8を用いて、下記の[表3]に記載の配合で、下記の製法により蒸しケーキ生地及び蒸しケーキを製造した。尚、表3中の数値は質量部である。
なお、蒸しケーキ生地の卵成分と油脂の合計量は、蒸しケーキ生地に使用する澱粉類100質量部に対して254質量部(比較例6及び実施例28)、及び256質量部(実施例29及び実施例30)であった。
全原料をミキサーボウルに投入し、これをたて型ミキサーにセットし、ワイヤーホイッパーを使用して、低速で30秒混合後、高速で、比重が0.40となるまで起泡し、オールインミックス法の蒸しケーキ生地を得た。(比重は0.40)
得られた蒸しケーキ生地45gを紙ケース型に絞り入れ、これを蒸し機(フジスチーマー)を用い、温度92℃、湿度100%にて15分蒸し、蒸しケーキを得た。
得られた蒸しケーキを常温で1日保存した後、上記の食感(ソフト性、歯切れ及び風味)の評価に供し、結果を[表4]に記載した。
Claims (6)
- 分子量20万以下のデキストランを含有する蒸しケーキ改良材。
- 更に高度分岐環状デキストリンを含有することを特徴とする請求項1記載の蒸しケーキ改良材。
- 更に乳固形分中のリン脂質の含有量が2質量%以上である乳原料を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の蒸しケーキ改良材。
- 蒸しケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、分子量20万以下のデキストランを0.02質量部〜3質量部含有する蒸しケーキ生地。
- 請求項4に記載の蒸しケーキ生地を加熱処理した蒸しケーキ。
- 蒸しケーキ生地に含まれる澱粉類100質量部に対し、分子量20万以下のデキストランを0.02質量部〜3質量部添加した蒸しケーキ生地を用いることを特徴とする蒸しケーキの改良方法。
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- 2015-07-31 JP JP2015151769A patent/JP6636742B2/ja active Active
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