JP3960466B2 - 食品用加工剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、てり、つやが増強し、且つその持続性、及び保湿性等に優れた食品用加工剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、惣菜の加工において、てり、つやは料理の外観の見栄えをよくするばかりでなく、高級感を与え、惣菜の商品価値を高めるので重要視されている。このてり、つやを惣菜に付与することが、和食では特に工夫されている。また、みりんや発酵調味料、みりん風調味料、醤油等を使用することにより、てり、つやと色沢を出す調理方法が伝承されている。一方、てり、つやの機能を強化するため、これらの調味料を加工したり、種々調味料を混合した複合調味料が開発されている。しかし、てり、つやと具材の色調とのバランスが自然で美しく、そのてり、つやが持続する食品用加工剤はなく、調理の工夫に頼っているのが現状である。また、煮物やイモ類、野菜類の惣菜では、比較的てり、つやが出しにくく、煮物は野菜類、魚類、肉類の混合状態での調理が多く、また味付けは各惣菜メーカー独自の味付けがあるので、単にてり、つやを付与するためのてり・つや剤では、全体の料理に違和感を生じ不自然で、テクスチャーや味に影響も与えるので、かえって本来の調理にそぐわない料理になることもある。このようなニーズに対応した汎用性のある食品用加工剤が望まれている。
したがって、外観として、調理された具材の表面部分に湿潤感があり、てり、つやが持続されていること、並びに味覚の面から比較的バランスの整った味付けで、調味成分が内部に良く浸透しており、更に表面に長く保留される機能を持った食品用加工剤の開発が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような状況にかんがみて行われたものであり、てり、つやの調理後の増強及びその持続性、具材の有する色調の調理後の自然感及びその保持、調理された具材の味付きのよさ、保湿性、湿潤感、及びこれらの持続性、並びに本来の味付けを引立てる機能等を総合的に保持する食品用加工剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すると、第1の発明は、デンプン糖を還元してなる糖アルコール混合物、発酵調味料(醤油、酢、味噌、みりん、核酸系調味料を除く)、及びデンプン類を含有する食品用加工剤であって、該糖アルコール混合物における全糖アルコールに占めるソルビトールの割合が30〜80w/w%であり、かつ発酵調味料の含有量が1〜20w/w%、デンプン類の含有量が0.1〜10w/w%であることを特徴とする食品用加工剤に関し、第2の発明は、デンプン類が、加工デンプンである第1の発明に関する。
【0005】
本発明者らは、上記課題の機能を具備する食品用加工剤の開発を鋭意検討した結果、デンプン糖を還元してなる糖アルコール混合物及び発酵調味料の組合せにより、てり、つやの増強効果及びその持続性、並びに保湿効果があり、且つ料理本来の特性を生かすことのできる食品用加工剤を完成させるに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の食品用加工剤は、デンプン糖を還元してなる糖アルコール混合物(以下、糖アルコール混合物という)及び発酵調味料を有効成分として含有するものである。糖アルコール混合物又は発酵調味料単独では、てり、つやの増強が不十分であり、前述の課題を満足させる食品用加工剤を得ることができない。また、本発明でいう糖アルコール混合物の中の任意の1化合物のみを含有するものでも前述の効果を満足させることができない。
【0007】
デンプン糖は、デンプンを加水分解して得られるものである。デンプンの由来は穀類、種子類、根茎類等特に限定はない。この例として、糯米、粳米、とうもろこし、小麦、大麦、ばれいしょ、甘しょ、片栗、カンナ、タピオカ等を挙げることができる。加水分解は常法に従って行えばよい。この例として、酸加水分解及び酵素加水分解を挙げることができる。加水分解により得られるデンプン糖は常法により還元すればよく、この例として、高圧接触還元法を挙げることができる。このようにして得られる糖アルコール混合物はデンプンの加水分解の程度によりグルコース及び/又は種々のグルコオリゴ糖等を還元してなる種々の糖アルコールの化合物を含有するものである。糖アルコール混合物の性状は、粉末等の固体、液状等特に限定はない。これらの中で、全糖アルコールに占めるソルビトールの割合が5w/w%超である糖アルコール混合物が好ましく、ソルビトールの割合が30〜80w/w%で含有する糖アルコール混合物が特に好適である。ソルビトールの割合が30w/w%以上であると、調理を行った惣菜等のてり、つやの増強、その持続性、及び保湿性に特に優れたものとなる。一方、ソルビトールの割合が80w/w%超では、前述のソルビトールの割合が30w/w%以上での効果はみられるが、その効果は弱くなる。また、糖アルコール混合物による甘味の影響が強くなるので、食品用加工剤による甘味を考慮する必要があり、調理における操作が煩雑になる。糖アルコール混合物の他の組成には特に限定はない。好適な糖アルコール混合物の一例として、全重量に占める糖アルコールの総重量比が70w/w%で、且つソルビトール、マルチトール、3糖アルコール、及び4糖アルコール以上の糖アルコール組成が、それぞれ40〜50、40〜50、8〜13、及び2〜10w/w%からなる混合物を挙げることができる。ここで、糖アルコールに付された数字はグルコースの重合度を表す。例えば、3糖アルコール及び4糖アルコールとは、グルコースがα−1,4結合及び/又はα−1,6結合により、それぞれ3及び4個結合した糖を還元してなる糖アルコールのことを示す。
【0008】
本発明でいう発酵調味料は、酒類の不可飲処置による免税措置に基づいて食塩を添加して発酵することを基本とし、これに糖質原料、米麹、発酵アルコールなど目的に応じた副原料を添加して製造された醸造調味料である。製造工程は、発酵工程と熟成工程からなる。発酵工程では蒸煮した糖質原料、米麹、酵母及び食塩を混合して醪となし発酵させる。発酵後の醪は、圧搾・ろ過して搾汁と粕に分ける。次の熟成工程ではこの搾汁を米麹へ添加して、糖化・熟成させ、熟成後、圧搾ろ過し搾汁と粕に分離する。搾汁はおり下げ、清澄及び仕上げろ過して液分の発酵調味料を得る。また、本発明では、常法により濃縮又は粉末化した発酵調味料を用いることもできる。濃縮又は粉末化の方法に特に限定はない。
【0009】
本発明の食品用加工剤は、糖アルコール混合物及び発酵調味料を有効成分として含有していればよい。これらを含有することにより、前述の具備すべき課題の特性を保持するものとなる。特に、本発明の食品用加工剤は調理後の惣菜等の具材の表面部分の保湿性及び湿潤感に優れたものである。保湿性が優れているので、調理後の時間の経過による水分含量の低下が少なくなり、調理後の湿潤感の低下も少なくなる。本発明の食品用加工剤は、前述の有効成分の混合の方法に特に限定はなく、粉同士の混合、一部液状物への混合や希釈いずれの方法であってもよい。製品の形状は、粉状、スラリー状、又は液状を問わない。本発明の食品用加工剤は、少なくとも糖アルコール混合物及び発酵調味料を含有していればよく、好ましくは発酵調味料が、1〜20w/w%の範囲で含有する組成物であればよい。好適な一例として、糖アルコール混合物及び発酵調味料が、それぞれ30及び17w/w%含有する組成物を挙げることができる。
【0010】
本発明の食品用加工剤では糖アルコール混合物及び発酵調味料にデンプン類を含有することにより、調理後の食品のてり、つやが相乗的に増強される。本発明で用いることができるデンプン類は、食用に供されるものであればよく、特に限定されない。例えば、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン、小麦デンプン、米デンプン、サゴデンプン、加工デンプン等が挙げられる。加工デンプンとしては、食用に供されるものであればよく、デキストリン、酸化デンプン、架橋デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、グラフト共重体、α化デンプン、アミロース、分別アミロース、湿熱処理デンプン等、が挙げられる。デンプン類が糊化することによる粘度上昇が、調理後の惣菜等の具材の表面から水分等の流下を防ぐ。これにより、てり、つやの増強、その持続性、及び保湿性に効果のある糖アルコール混合物等を具材の表面に保持させることができ、てり、つや、及び湿潤感の持続性が向上する。また、デンプン類は具材の表面に皮膜を形成する。これによって具材の表面が保護されることとなり、具材の有する調理後の光沢の自然感及びその持続性が向上する。デンプン類の含有量は0.1〜10w/w%を含有させることが好ましい。0.1w/w%以上となると、てり、つや、具材の有する光沢度の自然感、及びその持続性の点から特に好適である。しかし、10w/w%超では、惣菜中の液部の粘度がデンプン類の糊化により高くなりすぎるため、調理における操作が煩雑になる。好適な一例として、糖アルコール混合物、発酵調味料、及びデンプン類が、それぞれ30、17、及び4w/w%含有する組成物を挙げることができる。
【0011】
本発明の食品用加工剤は他の成分には特に限定はない。このため、糖アルコール混合物及び発酵調味料、並びにこれらとデンプン類を含有するものであればよく、添加物等を混合、含有させることができる。また、他の調味料及び/又は酒類もあらかじめ混合、含有させることができる。添加物等の例としては、オリゴ糖、多糖類、酸味料、苦味料、糊料、着香料、増粘安定剤、着色料、ゲル化剤、発色剤、保存料、分散剤、酸化防止剤、日持向上剤、乳化剤、香辛料、呈味料、酵素、有機酸塩、各種アミノ酸、アミノ酸塩等の他に、塩化カリウム等の無機塩類、アミノ酸系、核酸系の旨味成分、動物性蛋白加水分解物、植物性蛋白加水分解物、アミノ酸調味液、海藻類、魚介類、肉類、きのこ類、酵母、又は鰹節等の抽出物を挙げることができる。前述の他の調味料及び/又は酒類は調理に用いることができるものであれば特に限定はない。これらを含有させることにより調理時の操作の簡略化を図ることができ、また本発明の食品用加工剤の効果に有効な成分をあらかじめ均一に分散させておくことができる。前述の他の調味料の例として、醤油、酢、味噌、魚醤油、食塩、等を挙げることができる。更に、酒類を含有させておくことにより、酒類に含まれるアルコールによる本発明のてり・つや剤の防腐効果を得ることもできる。酒類の例として、清酒、みりん、ワイン、焼酎、雑酒、醸造用アルコール等を挙げることができる。前述の他の調味料及び/又は酒類の中で多価アルコールを成分として含有する醤油、清酒が好ましい。添加物、及び前述の他の調味料等の含有量は調理法等に応じて適宜選択すればよい。
【0012】
前述の添加物等の中で、特にオリゴ糖を含有させることが好ましい。オリゴ糖は本発明の食品用加工剤に含有する糖アルコール混合物との相乗作用により、てり、つや効果が更に増強されたものとなる。本発明でいうオリゴ糖は、アルドース、ケトース、デオキシ糖、アミノ糖、ウロン酸等の単糖類及び/又はその誘導体が縮合してなる重合度2〜10の糖であれば特に限定はない。オリゴ糖の種類は、加水分解により1種類の単糖類を生成するホモオリゴ糖又はその混合物、加水分解により2種以上の単糖類を生成するヘテロオリゴ糖又はその混合物、及びこれらの混合物いずれのものも用いることができる。ホモオリゴ糖の例として、グルコースを構成糖とするグルコオリゴ糖、グルコサミンを構成糖とするグルコサミノオリゴ糖等があり、グルコオリゴ糖の例として、マルトース、イソマルトース、ニゲロース、コージビオース、トレハロース、マルトトリオース、イソマルトトリオース、パノース、マルトテトラオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオース、セロオリゴ糖等を挙げることができる。これらのオリゴ糖はその製造法、由来等には特に限定はない。例えば、自然界に有するものの単離、多糖類の加水分解、糖転移反応、縮合等を挙げることができる。これらの中でデンプンを加水分解物して得られるオリゴ糖が好適に使用できる。この例として、イソオリゴ〔三重化糧(株)製〕、N.S.−200〔日本コーンスターチ(株)製〕を挙げることができる。オリゴ糖の添加量に特に限定はなく、その成分の混合の方法及び製品の形状は前述と同様に行ってよい。
【0013】
また、添加物等として前述のデンプン類を除く多糖類(以下、多糖類という)を添加することも好ましい。多糖類はデンプン類を含有させる時と同様に、粘度上昇による調理後の具材表面の水分等の流下を防ぐ効果を得るために用いる。このため、水溶液中で粘度を上昇させる効果があるものを用いることが特に好ましい。デンプン類を含有する本発明の食品用加工剤を用いて調理することにより、デンプン類が糊化するが、糖アルコール混合物、特にソルビトールによるデンプン類の老化を防ぐ効果により、その物性変化が少なくなる。このため、本発明の食品用加工剤においては、多糖類の添加量を調理後の具材の食感に影響を及ぼさない程度にすることができる。具体的には、0.1w/w%程度でよい。多糖類の由来には特に限定はなく、この例として、グリコーゲン、セルロース、イヌリン、プルラン、マンナン、キチン、寒天、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、カラゲナン、キトサン、グアガム等の種子を起源とする多糖類、アラビアガム等の樹液を起源とする多糖類、キサンタンガム、カードラン等の微生物を起源とする多糖類、等が挙げられる。
【0014】
本発明の食品用加工剤は、てり、つやを求めるすべての食品へ利用でき、特に使用する食品の種類に限定はない。例えば、菓子類、惣菜類、加工食品類等への使用が挙げられる。特に惣菜へは好適に使用できる。惣菜は穀類、イモ類、種実類、豆類、魚介類、獣鳥肉類、卵類、野菜類、キノコ類、藻類及びこれらの混合物を調理したものである。ここでいう調理の方法は特に限定はなく、焼く、煎る、炒める、揚げる、蒸す、ゆでる、煮る等を挙げることができ、いずれの方法においても好適に使用できる。本発明の食品用加工剤は、いずれの食品に用いても、前述の本発明の効果を得ることができる。更に、本発明の食品用加工剤は、保湿性にも優れたものである。これにより、調理後の食品の保存中における水分含量の変化が少なくなり、調理直後の湿潤感、呈味成分の変化等が少なく、保存による味の劣化も少ないものとなる。
【0015】
本発明の食品用加工剤の使用量はその中に含有するソルビトールの量を基準とすればよく、調理物全重量に対するソルビトール含量が0.08w/w%以上あればよいが、充分な効果を示す範囲は調理物全重量に対して0.15〜5.3w/w%である。一方、5.3w/w%超では、前述に記載のてり、つや及びその持続性等の調理後の具材の外観、保湿性、並びに湿潤感といった効果は十分に得ることができるが、食品への香味の影響が大きくなり、好ましくない。また、本発明の食品用加工剤を他の調味料と混合して使用しても好適にてり、つやの効果を生ずる。本発明の食品用加工剤と混合することができる調味料の例としては、醤油、味噌、みりん、酢等が挙げられる。使用方法は特に限定はなく、煮汁に入れてそのまま煮る、調理品表面へまぶす、かける、塗付する等、一般の食品用加工剤の使用方法に従って用いればよい。また、使用時は料理の前、中、後、いずれの時であってもよく、何回かに分けて用いてもよい。
【0016】
かくして、本発明により、てり、つやの調理後の増強及びその持続性、具材の有する色調の調理後の自然感及びその保持、調理された具材の味付きのよさ、保湿性、湿潤感、及びこれらの持続性、並びに本来の味付けを引き立てる機能等を総合的に具備する、糖アルコール混合物及び発酵調味料、並びにこれらとデンプン類を有効成分として含有してなる食品用加工剤が提供される。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
実施例1
糖アルコール混合物が調理後の具材の光沢度に及ぼす影響を検討した。表1に示す基本配合からなる調味液(以下、基本配合という)に、発酵調味料として味しるべMTM〔武田薬品工業(株)製〕を2.2g、及び糖アルコール混合物としてSE30、SE57、又はSE600〔いずれも日研化学(株)製、組成を表2に示す〕を2.6gを添加し、十分にかくはんした(それぞれ本発明1、本発明2、及び本発明3)。対照として、基本配合に発酵調味料、SE30、SE57、又はSE600のみを添加して同様にかくはんした(それぞれ対照例1、対照例2、対照例3、及び対照例4)。かくはん後、加熱して沸騰させ、市販の冷凍里芋1個投入した。これを再沸騰させてから20分間弱火で加熱後、10分間室温で放冷し、光沢度を測定した。光沢度の測定は、光沢計Model 801A Gloss Analysis System〔トライコーシテムス(株)〕で行った。その結果、本発明1及び本発明2は対照例1〜4のいずれのものよりも有意に光沢度が高かった。更に、ソルビトールの割合が高い糖アルコール混合物からなる本発明3は本発明1及び本発明2より有意に光沢度が高く、対照例1〜4との差は非常に大きいものであった。一方、対照例1〜4間では、光沢度は同等であり、有意差はみられなかった。したがって、糖アルコール混合物と発酵調味料とを含有してなる食品用加工剤は、光沢度の増加、すなわちてり、つやが有意に増強することが明らかになった。更に、糖アルコール混合物において、ソルビトールの割合が高いものを用いると、てり、つやの増強に特に効果が高いことが明らかになった。
【0019】
【表1】
Figure 0003960466
【0020】
【表2】
Figure 0003960466
【0021】
実施例2
糖アルコール混合物の添加量が調理後の具材の光沢度に及ぼす影響を検討した。基本配合に、発酵調味料(味しるべMTM)2.2g、及び糖アルコール混合物(SE600)2.6g(前述の本発明3)又は5.3gを添加(本発明4)して十分にかくはんした。対照として、基本配合に発酵調味料のみを添加し、同様にかくはんした(対照例1)。かくはん後、実施例1と同様に市販の冷凍里芋を加熱調理、次いで放冷し、光沢度を測定した。その結果、本発明3と対照例1とを比べてみると、実施例1と同様に、本発明3と対照例1との光沢度の差は非常に高く、てり、つやの増強が認められた。更に、糖アルコール混合物の添加量を増加した本発明4においては、光沢度、すなわちてり、つやが本発明3より有意に増強し、対照例1との差は顕著なものであった。したがって、糖アルコール混合物によるてり、つやはその添加量に依存して顕著に増加することが明らかになった。
【0022】
実施例3
糖アルコール混合物とデンプン類との併用が調理後の具材の光沢度に及ぼす影響を検討した。基本配合に、発酵調味料(味しるべMTM)、糖アルコール混合物(SE600)、及びデンプン類としてパインエース1〔松谷化学(株)製〕を、それぞれ2.2g、5.3g、及び0.4gを、表3に示す組合せで添加し、かくはんした。対照として、基本配合に発酵調味料のみを添加し、同様にかくはんした(対照例1)。また、対照例1にデンプン類を添加したものを対照例5とした。かくはん後、実施例1と同様に市販の冷凍里芋を加熱調理、次いで放冷した。放冷後に前述のように光沢度を測定し、光沢度の測定値について対照例1の光沢度との差を求めた。光沢度の測定を光沢計Model 801A Gloss Analysis System〔トライコーシテムス(株)〕を用いて行った。該光沢計は被測定物の表面における正反射率を光沢度とし、これを数値で表示したものである。その結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
Figure 0003960466
【0024】
表3より、発酵調味料、糖アルコール混合物、及びデンプン類を含有する本発明5は、本発明4、対照例1、及び対照例5より光沢度が非常に高いものであった。本発明5と対照例1との差(81)は、対照例5と対照例1との差(10)と本発明4と対照例1との差(16)との和(26)より高いものであった。したがって、糖アルコール混合物及び発酵調味料に、更にデンプン類を含有させることにより、光沢度、すなわちてり、つやの増強に相乗効果がみられることが明らかになった。
【0025】
実施例4
添加物として多糖類及び/又はオリゴ糖の添加が調理後の具材の表面の光沢度に及ぼす影響を検討した。まず、多糖類の添加による光沢度に及ぼす影響を検討した。基本配合に、糖アルコール混合物(SE600)及び発酵調味料(味しるべMTM)を、それぞれ2.6g及び2.2g添加(前述の本発明3)し、更に多糖類としてモナートガムGS〔大日本製薬(株)製〕0.02gを添加(本発明6)して、実施例3と同様に、かくはん、水分調整、加熱調理、及び放冷後、実施例3と同様に光沢度の測定を行った。その結果、多糖類を添加した本発明6の方が光沢度が高く、本発明3との光沢度の差は9であった。次に、オリゴ糖の添加が調理後の具材の表面の光沢度に及ぼす影響を検討した。基本配合に前述の糖アルコール混合物、発酵調味料、及び多糖類を、それぞれ5.3g、2.2g、及び0.02g、並びにデンプン類としてパインエース1を0.4g添加し(本発明7)、更にオリゴ糖としてイソオリゴ〔三重化糧(株)製〕を4g添加(本発明8)してかくはんし、前述と同様に加熱、放冷した。放冷後、光沢度の測定を行い、本発明8の光沢度と本発明7の光沢度との差を求めた。その結果、オリゴ糖を添加した本発明8は本発明7より有意に光沢度が高く、その差は40であり、非常に大きいものであった。したがって、本発明の食品用加工剤に添加物として、多糖類及び/又はオリゴ糖を用いることが好ましく、特にオリゴ糖が非常に有用であることが明らかになった。
【0026】
実施例5
本発明8の配合からなる食品用加工剤を用い、表4に示す配合からなる調味液1000mlを用いて筑前煮を調理した(本発明を用いる調理例、以下調理例1という)。具材として、鶏肉100g、しいたけ80g、三度豆40g、たけのこ160g、にんじん160g、及びれんこん160gを用い、これらは皮剥き、切断等の前処理を行った。これらを約40分間煮詰めながら加熱調理を行い、室温まで放冷後、ラップして、5℃の冷蔵下で48時間放置後、前述の光沢計で鶏肉表面の光沢度を測定した。光沢度の測定は、室温まで放冷した直後を0時間として、0、24、及び48時間後に行った。参考例1及び参考例2として、表4に示す配合からなる調味液を用い、同様に前処理、加熱調理、放冷、光沢度の測定を行った。参考例1で用いる対照例6は、発酵調味料(味しるべMTM)、デンプン類(パインエース1)、及びオリゴ糖(イソオリゴ)が、それぞれ10、20、及び70w/w%含有してなる食品用加工剤であり、参考例2では食品加工剤の代わりに砂糖を用いた。
【0027】
【表4】
Figure 0003960466
【0028】
その結果、0時間における鶏肉表面の光沢度、すなわちてり、つやは調理例1が最も高く、次いで参考例1であり、参考例2が最も低く、且つ各例間の光沢度の差は有意なものであった。この傾向は24及び48時間保存後においても同様であった。また、調理例1及び参考例1の48時間保存後における光沢度は、参考例2の0時間における光沢度より有意に大きいものであり、てり、つやの持続性を有するものであった。更に、調理例1においては具材の有する色調の調理後の自然感が参考例1及び2と比べて特に優れており、48時間経過後も劣化がなく、その持続性にも優れたものであった。光沢度の測定時にすべての食材について食したところ、調理例1は、調理直後の具材表面及び内部によく浸透した味は冷蔵中に失われることがなく、調理直後と水分の差を感じない、特に好適な筑前煮であった。総合評価では、調理例1が最も高く、次いで参考例1であり、参考例2が最も低かった。したがって、本発明の食品用加工剤は、てり、つやの増強及びその持続性、並びに具材の有する色調の自然感及びその持続性があり、調理による味付のよさ及び味付の浸透性がよく、並びに保湿性及び湿潤感の低下が少ない、食品用加工剤としての好ましい機能を具備するものであった。
【0029】
実施例6 鰤の照り焼き
本発明8の食品用加工剤を用い、表5に示す配合からなる調味液に鰤90gを20分間漬け込み、190℃のオーブンで10分焼き、ハケで調味液を塗り1分焼くという操作を3回繰り返して照り焼きを調理した(本発明を用いる調理例、以下調理例2という)。調理品は室温まで放冷後、ラップして、5℃の冷蔵下で48時間放置後、前述の光沢計で光沢度を測定した。光沢度の測定は、室温まで放冷した直後を0時間として、0、24、及び48時間後に測定した。対照として、表5の参考例3における調味液を用い、同様に調理した。
【0030】
その結果、実施例5と同様に、本発明8を用いた調理例2は参考例3に比べ、調理直後の光沢が全体に自然な感じに仕上がり、且つ光沢度、すなわちてり、つやが高いものであった。更に、48時間経過後においても、調理例2の光沢度は参考例3に比べて高く、光沢の自然感が持続したものであった。更に、官能検査を行ったところ、調理直後の具材の表面の味付き及び具材内部に浸透した味が冷蔵中に失われることがなく、調理直後と48時間冷蔵後との間の水分の差も感じない、好適な照り焼きであった。したがって、本発明の食品用加工剤は、てり、つやの増強及びその持続性があり、具材の有する色調の調理後の自然感及びその持続性もあり、調理による味付のよさ及び味付の浸透性もよく、並びに保湿性及び湿潤感の低下が少ない、食品用加工剤としての好ましい機能を具備するものであった。
【0031】
【表5】
Figure 0003960466
【0032】
実施例7
卵4個に本発明8の食品用加工剤30mlを添加して厚焼き卵を調理し、室温まで冷却後、ラップに包んで室温で放置した(本発明を用いる調理例、以下調理例3という)。その放置開始時及び放置中に厚焼き卵の重量を測定し、下記数式(数1)により、重量変化率を求めた。対照として、本発明8の代わりに本みりん30mlを添加し、同様に調理、放置、及び重量測定を行った(参考例4)。その結果を図1に示す。
【0033】
【数1】
Figure 0003960466
【0034】
図1より、本発明8を用いた調理例3の厚焼き卵は参考例4の厚焼き卵より、測定を行ったいずれの保存時間においてもその重量変化率が小さく、調理例3と参考例4との重量変化率の差は時間の保存時間の経過と共に大きくなる傾向であった。したがって、本発明の食品用加工剤は、該食品用加工剤を用いて加熱調理を行った食品の保存中において、水分の蒸発等による減少が少ないものであり、加熱調理後の食品の保湿性及び調理直後の湿潤感の持続性に優れているものであることが明らかになった。
【0035】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の食品用加工剤は、てり、つやの増強及びその持続性、具材の有する色調の調理後の自然感及びその保持、保湿性、湿潤感、具材表面の味付きのよさ及びこれらの持続性、並びに本来の味付けを引立てる機能を総合的に具備しており、食品加工、調理に有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚焼き卵の保存中における重量変化率を示す図である。

Claims (2)

  1. デンプン糖を還元してなる糖アルコール混合物、発酵調味料(醤油、酢、味噌、みりん、核酸系調味料を除く)、及びデンプン類を含有する食品用加工剤であって、該糖アルコール混合物における全糖アルコールに占めるソルビトールの割合が30〜80w/w%であり、かつ発酵調味料の含有量が1〜20w/w%、デンプン類の含有量が0.1〜10w/w%であることを特徴とする食品用加工剤。
  2. デンプン類が、加工デンプンである請求項1に記載の食品用加工剤。
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