JP2007045321A - 懸架用ロッド及び懸架用ロッドを用いた軌道系車両用台車 - Google Patents

懸架用ロッド及び懸架用ロッドを用いた軌道系車両用台車 Download PDF

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Abstract

【課題】 軌道系車両において、車体重量の増大や車体と車軸フレーム間の過大な相対変位を招くことなく車軸から車体への振動伝達を抑制し、車内の騒音を低減する。
【解決手段】 ロッド本体の一端が車軸フレームに結合され他端が車体側に結合されて前記車軸フレームを車体側に懸架する懸架用ロッド11、12において、前記ロッド本体の車軸フレーム側結合部13、14又は車体側結合部15、16の少なくとも一方に、前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が小さい領域では負荷荷重に対して変位量が大きい柔特性を有し、前記小荷重負荷領域を越えた大荷重負荷領域においては前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重に対して前記小荷重負荷領域よりも変位量が小さい硬特性を有する2相弾性機構を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、台車の車軸フレームを車体に懸架するロッドに2相弾性機能を付与させることにより、車軸フレームと車体間の過大な相対変位を招くことなく、車軸フレームから車体への振動伝達を防止できるようにした懸架用ロッド及びそれを用いた軌道系車両用台車に関する。
軌道上を走行し、車両当りゴムタイヤの走行輪4輪と案内輪4輪とをもったゴムタイヤ式の案内操向車両における台車は、タイヤをステアリングさせる関係から1軸台車で構成され、走行輪を駆動する車軸を支持する車軸フレームの懸架方式も平行リンク方式が主流となっている。
例えば特許文献1(特開昭59−11955号公報)には、前記平行リンク方式を採用し、懸架ばねの伸縮に伴う案内輪装置の上下方向の変位をなくすとともに、案内輪装置の振動の車体への伝達を防止するようにした構成が開示されている。
即ち特許文献1に開示された方式においては、車軸フレームの車体に対する結合は、車両の走行方向に長軸をもつ2本の上部ロッドを左右に間隔を開けて配置し、各上部ロッドの下方に上下間隔をもって平行に2本の下部ロッドを配置し、それら上下各ロッドは1端を車軸に、他端を車体にブラケットを介してそれぞれ枢着され、これら上下ロッドの両端又はいずれか一方の枢着構造をゴム又は防振性のゴム状物にしている。
また特許文献2(特開平9−315297号公報)には、車軸フレームを前記平行リンク方式で車体側に支持させ、走行輪を駆動する電動機及び減速機等を含む駆動装置を車軸フレームと非接触とし、代わりに車体側に支持させ、これによって車軸フレームのたわみが減速機に及ばないようにするとともに、床下艤装スペースを大きく確保するようにした構成が開示されている。
図13は、特許文献1及び2に開示された平行リンク方式の台車構造(1軸ステアリング台車)を簡略化して示す側面図である。図13において、01は車体であり、02は、車体01に固定された懸架枠、03は、車体01の左右両側に配置されたゴムタイヤからなる走行輪であり、その駆動軸である車軸04とは図示しないキングピンを介して水平動揺自在に結合されている。
車軸04は車軸フレーム05によって支持され、車軸フレーム05と懸架枠02との間には懸架用空気ばね06が介設されている。
車軸フレーム05には、垂直のピン07により左右一対の回転アーム08が後方に突出して結合されており、回転アーム08の先端には案内輪09を含む案内輪装置010が支持されている。案内輪装置010の両端部に支持された案内輪09は、走行輪03の軸距より広い左右外方位置に設けられて、それぞれ図示しない案内軌条に転接するようになっている。
車軸フレーム05は、懸架枠02に上下4本のロッド011及び012を介して支持されている。上部ロッド011は、左右に各々1本ずつ配置され、その下方に左右1本ずつ配置された下部ロッド012とは互いに平行で、かつ実質的に等長であり、これらの両端は車軸フレーム05に対して球面軸受013及び014を介してそれぞれ枢着されているとともに、懸架枠02に対して筒形防振ゴム015及び016を介してそれぞれ枢着され、車軸フレーム05の振動が車体01に伝播するのを防止している。
車軸04の駆動系である減速装置017及び減速装置017に接続された図示しない電動機等が従来の防振ゴムを介して懸架枠02に支持されている。また車体の横方向に作用する力に対する支持のために、車体の横方向に配置された図示しないラテラルロッドの一端が車体側に防振ゴムを介して枢着され、他端が車軸フレーム05に防振ゴムを介して枢着されている。
かかる構成において、左右の案内輪09が図示しない左右の案内軌条に沿って転動しガイドされる。そして案内輪09の変位は、左右2本の回転アーム08で案内輪装置010に伝えられ、図示しないステアリングロッド及びタイロッドを介して走行輪03を水平方向に揺動させる構成となっている。それによって左右の案内軌条でのガイドに従い左右の走行輪03が同期して操向される。
なお防振ゴムの構造の例として、特許文献3(特開平6−109075号公報)には、自動車のエンジンのストッパとして用いられるトルクロッド等に用いられ、一対のゴムブッシュをロッドにて連結した防振ゴムが開示されている。この防振ゴムは、内筒を囲んだゴムブッシュと、両端に前記ゴムブッシュを嵌入した外筒を有する合成樹脂製連結ロッドとからなり、一方の内筒を囲繞するゴムブッシュにすぐり部(空隙部)を設けて他方の内筒を囲繞するゴムブッシュのバネ定数と大きく異ならしめ、これによって防振ゴムに生じる共振現象を回避するようにしている。
また特許文献4(特開2000−108628号公報)には、自動車用サスペンションに適用されてコーナリング荷重を伝達するサスペンションロッドと車体との間をゴムブッシュを介して連結するブッシュ装置が開示されている。このブッシュ装置は、ゴムブッシュの弾性体にすぐり部を設けて、圧縮荷重作用時のばね定数を引張り荷重作用時に比べて相対的に小さくし、外部荷重(コーナリング荷重)の方向に応じて弾性体のばね定数の大きさを変化させるようにしたものである。
特開昭59−11955号公報 特開平9−315297号公報 特開平6−109075号公報 特開2000−108628号公報
図13に示された従来の平行リンク方式の台車018において、上部ロッド011及び下部ロッド012の懸架枠02側及び車軸フレーム及び台車枠(以下「車軸フレーム」と略称する。)05側の枢着部には、防振と回転ジョイントを兼ねた緩衝ゴム013、014、015及び016が装着されているが、これらロッドに加わる荷重が大きいことから、緩衝ゴムもたわみとゴム寿命に配慮して、かなり硬い緩衝ゴムが採用されている。
一方車軸は、車体の床下に装架された主電動機に対して車軸が直角に配置された直角カルダン方式で駆動されているが、車軸04の中央に配置された減速装置017で減速されて両側の走行輪03に伝達される。
このため車軸内では歯車の噛み合いによる高周波の振動が発生しており、この振動が前記平行リンクや前記ラテラルロッドを伝わって車体に伝達される。車体のもつ固有振動数が車軸04から伝わる振動よりも高い振動数にある場合は問題ないが、軽量化等により車体の剛性が低くなり、従って固有振動数も低くなり、車軸04から伝わった振動数に近い固有振動数となっている場合には、共振現象を起こし、車内は共鳴により大きな騒音状態となる。
乗客輸送システムにおける車両は、居住性、快適性を求められる車両であることから、騒音レベルは低く規制されており、かかる騒音状態はこの規制値を著しく逸脱することになる。このため騒音対策が大きな課題となっている。騒音対策としては、下記の方法が考えられる。
1.前記上部ロッド又は下部ロッドに使用する緩衝ゴムの硬度を下げて柔らかくし、車軸からの振動伝達率を下げて振動を遮断する。
2.車体の剛性を上げて車体のもつ固有振動数を高くして、車軸からの振動との共鳴を避け、共鳴による騒音を防止する。
3.車体側に防振・防音材料を取り付け又は貼り付け、振動を低く抑え、共鳴による騒音を防止する。
しかしながらこれらの方法には、乗客輸送システムに採用するには下記の問題があった。前記方法1については、緩衝ゴムが柔らかすぎると、寿命も短くなるとともに、車体と車軸フレーム間での変位が大きくなり、軌道側と台車側とで干渉の問題を発生したり、車軸が走行時不規則な動きを発生し、車両が蛇行状態に陥り、危険な状況になることがある。
前記方法2では、車体の剛性を上げることは車体の構成材料の寸法が大きくなり、軽量化に反して車両重量が重くなることであり、車内の居住空間が狭くなったり、あるいはタイヤの負担制限から、輸送力の減少につながり、また各構成部品への負荷が大きくなって部品寿命が短くなるという問題がある。
また前記方法3においては、車体側に防振材料を取り付けるということは、重量が増えることであり、また床、壁の厚さが増し、車内の居住空間が狭くなることであり、前記方法2と同様に輸送力及び重量の問題が発生する。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、案内走行式車両用台車等の軌道系車両において、車体重量の増大や車体と車軸フレーム間の過大な相対変位を招くことなく、車軸から車体への振動の伝播を抑制して、車内の騒音を低減することができる懸架用ロッド及び軌道系車両用台車を提案することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明は、
ロッド本体の一端が車軸フレームに結合され他端が車体側に結合されて前記車軸フレームを車体側に懸架する懸架用ロッドにおいて、
前記ロッド本体の車軸フレーム側結合部又は車体側結合部の少なくとも一方に、前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が小さい領域では負荷荷重に対して変位量が大きい柔特性を有し、前記小荷重負荷領域を越えた大荷重負荷領域においては前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重に対して前記小荷重負荷領域よりも変位量が小さい硬特性を有する2相弾性機構を設けたことを特徴とすることを特徴とする。
本発明の懸架用ロッドは、ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が小さい領域では負荷荷重に対して変位量が大きい柔特性を有することにより、車軸フレームから車体側へ振動は伝達されない。また前記小荷重負荷領域を越えた大荷重負荷領域においては前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重に対して前記小荷重負荷領域よりも変位量が小さい硬特性を有するようにしたため、変位量が制限され、車体と車軸フレーム間の相対変位が過大にならない。
本発明の懸架用ロッドによって車軸フレームを車体に懸架した場合、車体の加速始めからある速度までは牽引力が必要であるため、前記大荷重負荷領域に入って前記2相弾性機構が硬特性を呈するが、速度が低いため、走行輪駆動電動機の回転数も低く、騒音は大きくならない。
高速領域では走行輪駆動電動機の回転数は高いが、牽引力は小さくて済むため、前記小荷重負荷領域に入って前記2相弾性機構が柔特性を呈し、車軸フレームの振動は車体に伝達されないため、車体の共振による騒音は低く抑えられる。
また低速からの加速時は牽引力が大きく、前記大荷重負荷領域に入って前記2相弾性機構が硬特性を呈し、この領域ではたわみ量は少ないため、車体と車軸フレーム間の相対変位は大きくならない。一方高速時には牽引力は小さく、前記2相弾性機構は小荷重負荷領域に入って柔特性を呈するが、小荷重負荷であるのでたわみ量は小さく、車体と車軸フレーム間の相対変位は大きくならない。
本発明の懸架用ロッドにおいて、好ましくは、前記2相弾性機構が、前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸と、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシングと、前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体とからなり、該筒形弾性体に前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が作用する位置であってかつ前記軸を挟んで両側にスリット状空隙部を設けてなるようにする。
前記構成に加えて、前記スリット状空隙部の幅長によって前記柔特性領域と前記硬特性領域との境界をなす前記筒形弾性体のひずみ量を設定するように構成してもよい。
かかる構成では、2相弾性機構を筒形弾性体に前記スリット状空隙部を設けるだけで構成することができるとともに、前記スリット状空隙部の幅長によって前記柔特性領域と前記硬特性領域との境界をなす前記筒形弾性体のひずみ量を任意に設定することができる。またスリット状空隙部の形状を変えることにより、弾性特性を容易に変更することができ、かつ微妙な調整が可能となる。
また前記2相弾性機構を、
前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシング、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、
前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、
前記シリンダの内面と前記ロッドの外面とを前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するせん断型弾性体で接続し、
前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設け、前記限界量をもって前記せん断型弾性体の柔特性によって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体の硬特性によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成してもよい。
かかる構成において、前記ストッパによって設定された前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を超える荷重が懸架用ロッドに負荷された場合は、筒形弾性体の硬弾性特性に基づく領域に入る。せん断型弾性体は、圧縮型弾性体と比較してゴム特性が柔らかく、またゴム質又は寸法の選定により弾性特性を比較的自由に選択可能である。また比較的単純な形状をしているため、管理しやすく、別な弾性特性を有する弾性体への取替えも簡単である。
また前記2相弾性機構を、
前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状体、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、
前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、
前記シリンダの内面と前記ロッドの外面との間に前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するコイルバネを装着して前記シリンダと前記ロッドとの相対変位に対して前記コイルバネの弾性力を負荷するように構成し、
前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設けて前記限界量をもって前記コイルバネによって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成してもよい。
また本発明の軌道系車両用台車は、
軌道上を走行し、車軸フレームを車両の走行方向に左右に間隔を開けて上下2段に配置された2本の上部ロッドと2本の下部ロッドにより車体に結合するとともに、車体の横断方向に配置されたラテラルロッドで結合してなる軌道系車両用台車において、
前記上部ロッド、下部ロッド及びラテラルロッドを前記構成の懸架用ロッドで構成したことを特徴とする。
特に下部ロッドは、上部ロッドに比べて大きな荷重が加わるので、本発明の懸架用ロッドで構成すると、車体と車軸フレーム間の相対変位を一層効果的に抑えることができ、かつ車体の防振効果が著しい。
本発明の懸架用ロッドによれば、ロッド本体の車軸フレーム側結合部又は車体側結合部の少なくとも一方に、前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が小さい領域では負荷荷重に対して変位量が大きい柔特性を有し、前記小荷重負荷領域を越えた大荷重負荷領域においては前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重に対して前記小荷重負荷領域よりも変位量が小さい硬特性を有する2相弾性機構を設けたことにより、車体と車軸フレーム間の相対変位を抑えて、過大な相対変位によって起こる軌道側と台車側との干渉や、車軸の不規則な動きあるいは車両が蛇行状態に陥るのを防止できるとともに、車軸フレームから車体側への振動伝播をなくして車体内の騒音を低減することができる。
また好ましくは、前記2相弾性機構が、前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸と、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシングと、前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体とからなり、該筒形弾性体に前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が作用する位置であってかつ前記軸を挟んで両側にスリット状空隙部を設けてなるようにすることにより、従来の筒形弾性体にスリット状空隙部を設けるだけで、簡単に製作できるとともに、スリット状空隙部の形状を変えるだけで、懸架用ロッドの弾性特性を容易に変更できる。
さらには前記構成に加えて、前記スリット状空隙部の幅長によって前記柔特性領域と前記硬特性領域との境界をなす前記筒形弾性体のひずみ量を設定するように構成すれば、前記スリット状空隙部の幅長によって前記柔特性領域と前記硬特性領域との境界をなす前記筒形弾性体のひずみ量を任意に設定することができる。
また好ましくは、前記2相弾性機構を、前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシング、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、前記シリンダの内面と前記ロッドの外面とを前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するせん断型弾性体で接続し、前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設け、前記限界量をもって前記せん断型弾性体の柔特性によって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体の硬特性によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成することにより、前記せん断型弾性体をゴム質又は寸法を変えるだけで、弾性特性を比較的自由に選択することができる。
またせん断型弾性体は、単純な形状をしているため、管理しやすく、取替えも容易であり、軸方向の寸法を長くすることにより、耐久性を容易に向上させることができる。
また好ましくは、前記2相弾性機構を、前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状体、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、前記シリンダの内面と前記ロッドの外面との間に前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するコイルバネを装着して前記シリンダと前記ロッドとの相対変位に対して前記コイルバネの弾性力を負荷するように構成し、前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設けて前記限界量をもって前記コイルバネによって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成することにより、2相弾性機構の構成をさらに簡素化でき、かつメンテナンスがしやすくなるという利点がある。
本発明の軌道系車両用台車は、軌道上を走行し、車軸フレームを車両の走行方向に左右に間隔を開けて上下2段に配置された2本の上部ロッドと2本の下部ロッドにより車体に結合するとともに、車体の横断方向に配置されたラテラルロッドで結合してなる軌道系車両用台車において、前記上部ロッド、下部ロッド及びラテラルロッドを本発明の懸架用ロッドで構成したことにより、車軸フレームと車体間の相対変位を過大にすることなく、かつ車軸フレームの振動が車体に伝播するのを抑え、これによって車体内の騒音を低減することができる。
特に下部ロッドは、上部ロッドに比べて大きな荷重が加わるので、本発明の懸架用ロッドで構成すると、車体と車軸フレーム間の相対変位を一層効果的に抑えることができ、かつ車体の防振効果が著しい。
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明を軌道系の案内走行式車両用台車に適用した第1実施例を示す側面図、図2の(a)は前記第1実施例の弾性結合部15、16の立面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく軸22端部の斜視図、図3は前記第1実施例の前記弾性結合部15、16の荷重―たわみ線図、図4は、前記第1実施例の下部ロッド12の取付構造を示す斜視図である。
図5は、従来の台車と本発明の弾性結合部を有する台車との実際の走行パターンにおける騒音レベルを示す線図、図6は、1軸ステアリング台車において、上部ロッド11及び下部ロッド12に作用する荷重の状況を示す説明図、図7は、本発明の第2実施例を示す立面図、図8の(a)は第3実施例の弾性結合部の立面図、(b)は前記弾性結合部の荷重―たわみ特性を示す線図、図9は、本発明の第4実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド60の縦断立面図、図10は、その荷重―たわみ特性を示す線図、図11は、本発明の第5実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド80の縦断立面図、図12は、その荷重―たわみ特性を示す線図である。
本発明の第1実施例を示す図1は、軌道系の案内走行式車両用台車の1軸ステアリング台車18の台車構造を示し、図1において、1は車体であり、2は、車体1にボルトで固定された懸架枠、3は、車体1の左右両側に配置されたゴムタイヤからなる走行輪であり、その駆動軸である車軸4とは図示しないキングピンを介して水平揺動自在に結合されている。
車軸4は車軸フレーム5によって支持され、車軸フレーム5と懸架枠2との間には懸架用空気ばね6が介設されている。
車軸フレーム5には、垂直のピン7により左右一対の回転アーム8が後方に突出して結合されており、回転アーム8の先端には案内輪9を含む案内輪装置10が支持されている。案内輪装置10の両端部に支持された案内輪9は、走行輪3の軸距より広い左右外方位置に設けられて、それぞれ図示しない案内軌条に転接するようになっている。
車軸フレーム5は、懸架枠2に上下4本の懸架ロッド11及び12を介して支持されている。上部ロッド11は、左右に各々1本ずつ配置され、その下方に配置された左右1本ずつの下部ロッド12とは互いに平行で、かつ実質的に等長であり、これらの両端は車軸フレーム5に対して球面軸受13及び14を介してそれぞれ枢着されているとともに、懸架枠2に対して弾性結合部15及び16を介してそれぞれ枢着され、車軸フレーム5の振動が車体1に伝播するのを防止している。
車軸4の駆動系である減速装置17及び減速装置17に接続された図示しない電動機等が懸架枠2に支持されている。また車体に横方向に作用する力に対する支持のために、車体の横断方向に配置された図示しないラテラルロッドの一端が車体側に枢着され、他端が車軸フレーム5に介して枢着されている。
かかる構成において、左右の案内輪9が図示しない左右の案内軌条に沿って転動しガイドされる。そして案内輪9の変位は、左右2本の回転アーム8で案内輪装置10に伝えられ、図示しないステアリングロッド及びタイロッドを介して走行輪3を水平方向に揺動させる構成となっている。それによって左右の走行輪3が同期して操向される。
図2の(a)は弾性結合部15及び16の拡大断面図、(b)は前記弾性結合部の側面図、(c)は軸端部の構造を示す斜視図、図3は、前記弾性結合部の荷重−たわみ特性を示す線図である。図2において、21は、懸架ロッド11又は12が取り付けられた外筒、22は、懸架枠2に接続され外筒21の内部に挿入される軸、23は、外筒21と軸22との間に挿入される例えばNBRゴム等で構成された弾性ゴムである。
弾性ゴム23には、懸架ロッド11又は12の長手方向(X軸方向)に負荷される荷重が横切る位置であってかつ軸22の両側にスリット状空隙部23a及び23bが設けられている。前記空隙部23a、23bのスリット長tは例えば2mmに設定されている。
かかるスリット状空隙部を設けることにより、弾性結合部15又は16は、図3に示すような荷重―たわみ特性を有する。図3において、X方向に荷重が負荷されると、懸架枠2に接続された軸22が上下ロッド11又は12に接続された外筒21の中でX方向のどちらかの向きに偏心し、空隙部23a又は23bのスリット長tがつぶれる。スリット長tがつぶれるまでは弾性結合部15又は16の弾性特性は柔らかく(図3の領域A)、スリット長tがつぶれた後は弾性ゴム23の本来の弾性特性(図3の領域B)である領域Aより硬い弾性特性となる。このようにスリット長tに相当するたわみ量を境として2相の弾性特性を有する。
領域Aでは弾性結合部15、16の弾性特性は柔らかく、このため車軸フレーム5の振動は、上部ロッド11又は下部ロッド12を通して車体1には伝わらない。実際の車両では始動時において加速始めからある速度までは牽引力が必要であることから、弾性結合部15、16の弾性特性は領域Bとなっているが、速度が低いため走行輪3を駆動する電動機の回転数も低く、車軸フレームから伝わる振動による騒音は小さい。高速領域では回転数が高いが牽引力は小さくて済むことから、弾性結合部は領域Aとなり、領域Aでは車軸フレーム5の振動は弾性結合部でカットされ、車体1に伝わらないため、車体1の共振による騒音を小さく抑えることができる。
また低速からの加速時であって牽引力が大きい時は、弾性結合部は領域Bとなるが、剛性が大きいため、たわみ量は少なく許容値の範囲内に抑えられる。高速域では牽引力が小さく、弾性結合部は領域Aの範囲にあるため、たわみ量も許容値の範囲内にある。
図4は、下部ロッド12の一端を懸架枠2に弾性結合部16を介して取り付け、下部ロッド12の他端を球面軸受14を介して車軸フレーム5に取り付ける取付構造を示す斜視図である。
図4において、31は、懸架枠2の下端に設けられた下部ロッド12の取付座であり、取付ボルト用孔32が設けられている。下部ロッド12の弾性結合部16は、ボルト孔32及び軸22に設けられたボルト孔33に取付ボルト34を螺合することによって懸架枠2に接続される。
また下部ロッド12の他端に球面軸受14が設けられ、球面軸受14のピン孔35及び車軸フレーム5の設けられたピン孔36にピン37を嵌入させることにより、球面軸受14を車軸フレーム5に接続することによって、下部ロッド12が車軸フレーム5に上下方向に揺動可能に取り付けられる。
図14は、車軸フレームと懸架枠との結合部に設けられた従来の防振ゴム構造を示し、図5は、従来台車と本発明の弾性結合部を有する台車との実際の走行パターンにおける騒音レベルを示す。
図14において、従来の防振ゴム構造は、上部又は下部の懸架ロッド011、012に接続された外筒21と、車軸フレーム05に接続され外筒21内に挿入された軸022と、外筒021と軸022との間に介装された弾性ゴム23とからなり、(b)に示すように弾性ゴム023の本来の弾性特性のみを示す荷重―たわみ曲線を呈する。
図5において、uは一般的な走行パターンの場合の速度曲線、vは走行輪3の駆動モータにより懸架ロッドに加わる牽引力を示す曲線、wは本発明の弾性結合部15、16の弾性特性領域を示す曲線、aは本発明台車の騒音レベルを示す曲線、bは従来構造の台車の騒音レベルを示す曲線であり、直線sは騒音の基準レベルを示す。
図5において、車両の始動時には牽引力は最大値となり、本発明の弾性結合部の弾性特性は領域Bとなる。速度が上昇するに従って牽引力は徐々に小さくなり、本発明の弾性結合部は領域Bから領域Aに移行する。
減速時には走行輪3の駆動モータにブレーキ力が付加され、懸架ロッドには逆方向の力が付与される。本発明の弾性結合部によれば、定速時等懸架ロッドに加わる牽引力が小さい時は弾性特性が領域Aとなり、これによって車軸フレーム5の振動が上下ロッド11又は12を通して車体1に伝播しなくなるため、従来構造の台車に比べて車内の騒音レベルを低減することができる。
図6は、1軸ステアリング台車において、上部ロッド11及び下部ロッド12に作用する荷重の状況を示す説明図である。図6において、走行輪3は矢印rの方向に回転し、この場合、台車18は、加減速によりタイヤ3に付加される駆動力又はブレーキ力に対する反力をタイヤ接地部から受け、この反力を上部ロッド11及び下部ロッド12で受け、懸架枠2を通して車体1に伝わる。このため懸架ロッド11及び12には、加減速時にロッド長手方向に駆動力の反力が作用する。
即ちタイヤ3の接地部に作用する駆動反力Ptは、次の式で表される。
〔数1〕Pt=Tm/R (1)
また上部ロッド11に作用する荷重Fuは、次の式で表される。
〔数2〕Fu=Pt×(H1/H2) (2)
ここで、H1≒H2であるので、Fu≒Ptとなる。また下部ロッド12に作用する荷重は、次の式で表される。
〔数3〕Fd=Pt×(H0/H2) (3)
前記と同様に、H1≒H2からH0≒2H2であるので、Fd≒2Ptとなり、従って上部ロッド11及び下部ロッド12に作用する荷重の関係は、Fd≒2Fuとなる。
以上から、下部ロッド12には上部ロッド11の2倍の荷重が逆方向に作用する。このため従来下部ロッド12の両端結合部に挿入された防振ゴムの剛性が柔らかすぎると、車軸が車体の前後方向に傾くことになる。
このため車軸フレーム5に前後及び上下方向で剛接された案内横梁(案内輪装置10の一部)及び案内輪9の上下変位量が大きくなり、走行路面との隙間が狭くなり、限界値を超える可能性が出てくる。
また走行輪3の駆動力伝達系統は、車体に装架した電動機から推進軸を介して直角カルダン方式で車軸に回転を伝達しているが、車軸が前後に傾くことで推進軸の変位角が大きくなり、その許容値を超える可能性があるとともに、回転の角速度に変化が生じ、スプラインや継手の軸受を傷めることがある。
このため上部ロッド11及び下部ロッド12に本発明の弾性結合部を用いることにより、車軸の車体前後方向の傾きをなくし、前記問題を解消することができる。
また前述のように車軸フレーム側からの振動伝達の寄与度は、下部ロッド12のほうが大きいため、下部ロッド12の車軸フレーム側又は車体側結合部に本発明の弾性結合部を用いることにより、車軸フレーム側から車体側への振動伝達を効果的に防止することができるとともに、車体と車軸フレーム間の過大な相対変位を抑えることができる。
次に本発明の第2実施例を図7に基づいて説明する。図7は、本第2実施例にかかる台車の立面図である。図7において、図1と同一符号を付した部材又は機器は、図1と同一の部材又は機器であり、それら同一部材又は機器の説明は省略する。なお第2実施例においては、図示していないが、上下ロッド11及び12の懸架枠2側結合部は、第1実施例と同様に弾性結合部15及び16を採用している。41は、車体1の横方向の変位を抑制するラテラルロッドで、ラテラルロッド41の一端は、車体1に取り付けられたブラケット43に図14に示す従来の防振ゴム構造020と同一構造の防振ゴム構造45を介して接続され、ラテラルロッド41の他端は、図2に示す本発明の弾性結合部15、16と同一構成の弾性結合部44を介して車軸フレーム5に取り付けられたブラケット42に接続されている。
この場合ラテラルロッド41の軸線とスリット状空隙部23a、23bとの位置関係は、図2のX−X軸との位置関係と同一であり、ラテラルロッド41の軸線がスリット状空隙部23a、23bの中心を横切るように配置される。
即ちラテラルロッド41の車体1側結合部は、ラテラルロッド41の端部が図14中の外筒021に接続され、車体側ブラケット43が軸022に接続されている。またラテラルロッド41の車軸フレーム側結合部は、ラテラルロッド41の端部が図2の外筒21に接続され、車軸フレーム側ブラケット42が図2の軸22に接続されている。
車体1の横方向に作用する力に対しては、車体1をラテラルロッド41を介して車軸フレーム5に接続し、車体1と車軸フレーム5との横方向の相対変位を抑制しているが、ラテラルロッド41の両端に従来の防振ゴム構造020を装着した場合、防振ゴム構造020の弾性特性が柔らか過ぎると、車体と車軸フレーム間で必要以上に相対変位し、ローリングとも相まって傾き限界を超す可能性がある。
また防振ゴム構造020の弾性特性が硬すぎる場合には、過大な相対変位の問題は発生しないが、車軸フレーム5の振動がラテラルロッド41及び防振ゴム構造020を介して車体1に伝達され、その振動が車体1の固有振動数に近い振動であれば、車体1が共振を起こし、共鳴により車内は大きな騒音を発生する。
このため本第2実施例においては、ラテラルロッド41の車軸フレーム側結合部に図3に示す弾性特性を有する図2に示す弾性結合部を用いる。これによってラテラルロッド41に負荷する荷重が小さい領域A(スリット長tがつぶれるまでの領域)では柔らかい弾性特性を有するため、車軸フレームからの振動はラテラルロッド41を通して車体へは伝わらない。一方ラテラルロッド41に負荷する荷重が大きくなって領域Bの硬特性を呈すると、たわみ量が抑えられ、ラテラルロッド41を介在した車体と車軸フレーム間の過大な相対変位の問題は生じない。
第2実施例では、第1実施例と同様に、上下部ロッド11及び12と懸架枠2との結合部は、弾性結合部15及び16を装着しているため、ラテラルロッド41の前記構造と相まって車軸フレーム5からの振動伝播を大幅に抑えることができるとともに、車体1と車軸フレーム5間の過大な相対変位を有効に抑えることができる。
次に本発明の第3実施例を図8に基づいて説明する。図8の(a)は第3実施例の弾性結合部の立面図、(b)は前記弾性結合部の荷重―たわみ特性を示す線図である。
本第3実施例の弾性結合部は、図2に示す第1実施例の弾性結合部と比べて、弾性ゴム53の設けられたスリット状空隙部53a、53bの空隙の形状を図示のように変更している。
即ち空隙部のスリット長tの寸法を小さくして早めにスリット長tがつぶれるようにし、かつ突起部54を山型にして、突起部54の弾性ゴムが徐々につぶれるようにして、領域Aと領域Bとの境界の荷重−たわみ曲線を緩やかにしてなるものである。
第3実施例によれば、領域Aと領域Bとの境界の荷重−たわみ曲線が緩やかになることで、懸架ロッド11、12やラテラルロッド41にかかる荷重の変化のショックが軽減されるとともに、弾性結合部の弾性特性が緩やかになることで、騒音の変化も緩やかになり、乗客に感覚的に騒音が静かであるような錯覚を起こさせ、不快感を抱きにくくする効果がある。
次に本発明の第4実施例を図9に基づいて説明する。図9は本第4実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド60を示し、図10は、その荷重―たわみ特性を示す線図である。
図9及び10において、61は図14に示す従来の筒形防振ゴム構造020で構成された車体側結合部であり、車軸フレーム側結合部62も同様に従来の筒形防振ゴム構造020で構成されている。なお車軸フレーム側結合部62は、球面軸受で構成してもよい。結合部61及び62を接続するロッドは、シリンダ63とシリンダ63の内部に遊嵌されシリンダ63に対し抜き差し可能なロッド64で構成されている。
シリンダ63の防振ゴム61側端面には、防振ゴム61の外筒61aに接続部65を介して接続された蓋体66が配置され、蓋体66の内面がシリンダ63の外面端部に螺合することにより互いに接合している。シリンダ63の内面には第1のカラー67と第2のカラー68が内接して設けられ、第1のカラー67と第2のカラー68との間には円環形状をした仕切り部材69が嵌着されている。また74は、シリンダ63の防振ゴム62側端部を仕切る円環形状をした仕切り部材である。ロッド64の一端は防振ゴム62の外筒62aに接続されている。
またロッド64の外面に設けられた段差64aと環状キー75との間のロッド外面には円筒形状の内筒ゴム72が被着され、シリンダ63の内面に設けられた段差63aと第2のカラー68の間のシリンダ内面には外筒ゴム73が被着され、内筒ゴム72と外筒ゴム73の間にゴム本体71が嵌着されてせん断型防振ゴム70を構成している。またロッド64の先端にはストッパ76が嵌着されている。
なおせん断型防振ゴム70を構成する弾性ゴムは防振ゴム61又は62の弾性特性より柔らかい特性を有し、またストッパ76に対する仕切り部材69の間隔とストッパ76に対する蓋体66内面の間隔とは同一寸法tに設定されている。
かかる構成の第4実施例において、ロッド60は、図10の荷重―たわみ曲線に示すように、小たわみ領域(領域A)ではせん断型防振ゴム70の弾性特性に基づく弾性特性を呈し、たわみ量がtを越えてストッパ76によりシリンダ63とロッド64との相対変位が停止された後は、防振ゴム61又は62(これらは同一の弾性特性をもつ)の弾性特性に基づく弾性特性を呈するようになる。従って前記第1実施例と同様に、ロッド60に結合された被結合部材間の過大な相対変位を抑制することができるとともに、騒音の伝播を抑制する効果をもつ。
かかる構成のロッド60を図1の上部ロッド11、下部ロッド12又は図7のラテラルロッド41に適用する。
第4実施例によれば、せん断型防振ゴム70は圧縮型の防振ゴム61、62等と比べてゴム質及び寸法の選定により、弾性特性を比較的自由に選択することが可能である。また比較的単純な形状をしているため、管理しやすく、また前記第1実施例の弾性結合部では空隙部の形状が複雑であることから、狙った特性のものを得るのにある程度試行錯誤して製作する必要があるが、第4実施例の場合は、取替えも容易であり、試行錯誤することなく製作することが可能である。
またせん断型防振ゴム70の軸方向長さを長くすることにより、耐久性を容易に向上させることができる。
次に本発明の第5実施例を図11及び図12に基づいて説明する。図11は、本第5実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド80を示し、図10は、その荷重―たわみ特性を示す線図である。
図9及び10において、第4実施例を示す図9及び10と同一符号を付した部材又は機器は第4実施例と同一の部材又は機器であるので、それらの説明を省略する。第5実施例は、第4実施例のせん断型防振ゴム70の代わりに、コイルバネ81をシリンダ63とロッド64の間に配置するものである。シリンダ63の内側に係止部82aを有する円筒形のガイド82を装着し、円筒ガイド82の内側にコイルバネ81を配置する。
円筒ガイド82はシリンダ63の内部で摺動可能であるが、係止部82aはロッド64の段差64aで係止される。またコイルバネ81の両端は係止部82a及び仕切り部材69で係止される。また円筒ガイド82と仕切り歩合69tの隙間及びストッパ76と蓋体66の内面との隙間がともに同一の寸法tに設定されており、これによってロッド64は、コイルバネ81の弾性力に抗してtだけ相対変位が可能となっている。またコイルバネ81の弾性特性は、防振ゴム61又は62の弾性特性より柔らかい特性を有する。
かかる構成のロッド80を図1の上部ロッド11、下部ロッド12又は図7のラテラルロッド41に適用する。
第5実施例は、かかる構成において、コイルバネ81が防振ゴム61又は62の弾性特性より柔らかい特性を有するので、図12の弾性特性曲線に示すように、シリンダ63とロッド64が寸法tまで相対変位するまではコイルバネ81の弾性特性に基づく弾性特性を呈し、それ以上の相対変位では防振ゴム61又は62の弾性特性(防振ゴム61及び62は同一の弾性特性を有する)に基づいた弾性特性を呈する。
従って第5実施例においても、第4実施例と同様に、ロッド80に結合された被結合部材間の過大な相対変位を抑制することができるとともに、騒音の伝播を抑制する効果をもつ。
また第5実施例においては、柔弾性特性を得るためにコイルバネ81を用いているので、第4実施例よりもさらに構造が簡素になり、メンテナンスもしやすいという利点がある。
本発明によれば、台車の車軸フレームを車体に懸架するロッドに2相弾性機能を付与させることにより、車軸フレームと車体間の過大な相対変位を抑制できるとともに、車軸フレームから車体への振動伝達を防止できるようにしたものであり、またその懸架ロッドを軌道系車両の台車に用いることにより、走行性能と乗り心地を大幅に向上させることができる。
本発明を軌道系の案内走行式車両用台車に適用した第1実施例を示す側面図である。 (a)は前記第1実施例の弾性結合部15、16の立面図、(b)は同じく側面図、(c)は同じく軸22端部の斜視図である。 前記第1実施例の前記弾性結合部15、16の荷重―たわみ線図である。 前記第1実施例の下部ロッド12の取付構造を示す斜視図である。 従来の台車と本発明の弾性結合部を有する台車との実際の走行パターンにおける騒音レベルを示す線図である。 1軸ステアリング台車において、上部ロッド11及び下部ロッド12に作用する荷重の状況を示す説明図である。 本発明の第2実施例を示す立面図である。 (a)は本発明の第3実施例の弾性結合部の立面図、(b)は前記弾性結合部の荷重―たわみ特性を示す線図である。 本発明の第4実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド60の縦断立面図である。 前記第4実施例の荷重―たわみ特性を示す線図である。 本発明の第5実施例の懸架用ロッド又はラテラルロッド80の縦断立面図である。 前記第5実施例の荷重―たわみ特性を示す線図である。 従来の平行リンク方式の台車構造(1軸ステアリング台車)を簡略化して示す側面図である。 (a)は従来の防振ゴム構造を示す立面図、(b)はその荷重―たわみ特性を示す線図である。
符号の説明
1 車体
2 懸架枠
3 走行輪
4 車軸
5 車軸フレーム及び台車枠
6 空気ばね
7 垂直ピン
8 回転アーム
9 案内輪
10 案内輪装置
11 上部ロッド
12 下部ロッド
13、14、44 球面軸受
15、16 弾性結合部
17 減速装置
18 台車
21、51、61a、62a 外筒
22、52 軸
23、53 弾性ゴム
23a、23b、53a、53b スリット状空隙部
31 取付座
32、33 ボルト孔
34 取付ボルト
35、36 ピン孔
37 ピン
41 ラテラルロッド
42、43 ブラケット
45、61、62 筒形防振ゴム構造
60、80 懸架ロッド又はラテラルロッド
63 シリンダ
63a、64a 段差
64 ロッド
65 接続部
66 蓋体
67 第1のカラー
68 第2のカラー
69、74 仕切り部材
70 せん断型防振ゴム
71 ゴム本体
72 内筒ゴム
73 外筒ゴム
75 環状キー
76 ストッパ
81 コイルバネ
82 円筒ガイド
82a 係止部

Claims (8)

  1. ロッド本体の一端が車軸フレームに結合され他端が車体側に結合されて前記車軸フレームを車体側に懸架する懸架用ロッドにおいて、
    前記ロッド本体の車軸フレーム側結合部又は車体側結合部の少なくとも一方に、前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が小さい領域では負荷荷重に対して変位量が大きい柔特性を有し、前記小荷重負荷領域を越えた大荷重負荷領域においては前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重に対して前記小荷重負荷領域よりも変位量が小さい硬特性を有する2相弾性機構を設けたことを特徴とする懸架用ロッド。
  2. 前記2相弾性機構が、
    前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸と、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシングと、前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体とからなり、該筒形弾性体に前記ロッド本体の長軸方向に負荷される荷重が作用する位置であってかつ前記軸を挟んで両側にスリット状空隙部を設けたことを特徴とする請求項1記載の懸架用ロッド。
  3. 前記スリット状空隙部の幅長によって前記柔特性領域と前記硬特性領域との境界をなす前記筒形弾性体のひずみ量を設定するように構成したことを特徴とする請求項2記載の懸架用ロッド。
  4. 前記2相弾性機構が、
    前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状ケーシング、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、
    前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、
    前記シリンダの内面と前記ロッドの外面とを前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するせん断型弾性体で接続し、
    前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設け、前記限界量をもって前記せん断型弾性体の柔特性によって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体の硬特性によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成されたことを特徴とする請求項1記載の懸架用ロッド。
  5. 前記2相弾性機構が、前記被結合部材のどちらか一方に取り付けられた軸、前記被結合部材の他方に取り付けられた筒状体、及び前記軸と前記筒状ケーシングとの間に介設された筒形弾性体を備え、
    前記ロッド本体をシリンダと該シリンダの中に抜き差し可能に挿入されるロッドとからなる2重管構造とし、
    前記シリンダの内面と前記ロッドの外面との間に前記筒形弾性体より荷重に対する変位量が大きい柔特性を有するコイルバネを装着して前記シリンダと前記ロッドとの相対変位に対して前記コイルバネの弾性力を負荷するように構成し、
    前記シリンダと前記ロッドとの相対変位の限界量を設定するストッパを設けて前記限界量をもって前記コイルバネによって形成される柔特性領域と前記筒形弾性体によって形成される硬特性領域との境界変位量をなすように構成されたことを特徴とする請求項1記載の懸架用ロッド。
  6. 軌道上を走行し、車軸フレームを車両の走行方向に左右に間隔を開けて上下2段に配置された2本の上部ロッドと2本の下部ロッドにより車体に結合するとともに、車体の横方向に配置されたラテラルロッドで結合してなる軌道系車両用台車において、
    前記上部ロッド、下部ロッド及びラテラルロッドを請求項1記載の懸架用ロッドで構成したことを特徴とする軌道系車両用台車。
  7. 前記2相弾性機構が請求項2、3、4又は5項の構成を有することを特徴とする請求項6記載の軌道系車両用台車。
  8. 前記下部ロッドを請求項1記載の懸架用ロッドで構成したことを特徴とする請求項6記載の軌道系車両用台車。
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