JP2020069890A - インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】インホイールモータを備える電動車両において、車輪およびインホイールモータの振動が車体へ伝達し難くする改良発明を提供する。【解決手段】本発明のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造は、弾性ブッシュ62,64の第1弾性部材を介してメインフレーム80に固定される第1サブフレーム60と、連結点72,74の第2弾性部材を介してメインフレーム80に固定される第2サブフレーム70と、一端がインホイールモータ駆動装置10の上部と連結し他端が第1サブフレーム60と連結するダンパ44と、一端がインホイールモータ駆動装置10の下部と連結し他端が第2サブフレーム70と連結するロアアーム48とを備える、【選択図】図1
Description
本発明は、インホイールモータ駆動装置をサブフレームに連結するサスペンション構造と、サブフレームを車体側メンバに連結する構造に関する。
路面から車体のメインフレームへの振動伝達を低減する構造として、特開2015-120399号公報(特許文献1)のような構造がある。この構造では、車体のサブフレームがメインフレームを、弾性率を変更可能な弾性部材で支持しており、車両の旋回時等は弾性率を高くし、それ以外の場合は弾性率を低くして振動や騒音の伝達を抑えている。
特許文献1には、車輪を車体に連結するサスペンション装置についての記載がないので、一般的なストラット式サスペンション装置を採用する場合について以下に検討する。この場合、車輪はナックルで回転自在に車体側メンバに連結される。ナックルは、上側のストラットでメインフレームに連結され、下側のロアアームでサブフレームに連結される。
そうすると路面から、車輪、ナックル、ロアアームを経由して、サブフレームに伝達される振動は、特許文献1の弾性部材によってメインフレームへ伝達し難くされるものの、路面から、車輪、ナックルを経由してストラットに伝達される振動は、メインフレームに直接伝達してしまう。
特許文献1の構造は、サブフレームに電動機を搭載し、電動機と車輪を駆動軸で連結するオンボードタイプモータに関する。一方、オンボードタイプモータに代えて、車輪の内部に電動機を配置して当該車輪を駆動するインホイールモータが知られている。インホイールモータは、車室空間を広くすることができる等の利点があるが、電動モータのうなり、および歯車同士の歯当たりを原因とする振動源となる。かかる振動は、インホイールモータが大きな駆動力を発揮するほど大きくなる。
本発明は、上述の実情に鑑み、インホイールモータを備える電動車両において、車輪およびインホイールモータの振動が車体へ伝達し難くする改良発明を提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造は、第1弾性部材を介して車体側メンバに固定される第1サブフレームと、第2弾性部材を介して車体側メンバに固定される第2サブフレームと、一端がインホイールモータ駆動装置の上部と連結し他端が第1サブフレームと連結するアッパリンクと、一端がインホイールモータ駆動装置の下部と連結し他端が第2サブフレームと連結するロアリンクと、を備える。
かかる本発明によれば、インホイールモータ駆動装置がサスペンション装置によって第1および第2サブフレームに連結されることから、メインフレーム等の車体側メンバに直接連結されない。そして第1サブフレームと車体側メンバの間に第1弾性部材が介在し、第2サブフレームと車体側メンバの間に第2弾性部材が介在する。したがって車輪およびインホイールモータの振動は、第1弾性部材および第2弾性部材で減衰され、車体側メンバへ伝達し難くされる。なお、サスペンション装置はアッパリングおよびロアリンクを有する構造であればよく、特に限定されない。かかるサスペンション装置として例えば、ストラット式サスペンション装置、ダブルウィッシュボーン式サスペンション装置等が挙げられる。
本発明の一局面として第1サブフレームは、車体側メンバの車幅方向一方側および他方側に分割配置される。かかる局面によれば車幅方向両側、つまり左右、のサスペンション構造を独立させることができる。他の局面として第1サブフレームは、車体側メンバの車幅方向一方側から他方側まで延びる1部材であってもよい。
第1サブフレームは、インホイールモータ駆動装置等から車体側メンバへ振動を伝達する経路を構成する。一般的に振動伝達経路の重量が大きいほど、振動は減衰される。そこで本発明の好ましい局面として第1サブフレームは、インホイールモータ駆動装置と電気的に接続するインバータを支持する。かかる局面によればインバータの重量が第1サブフレームの重量に加算されることから、振動伝達経路の重量が大きくなり、車輪およびインホイールモータ駆動装置の振動が第1サブフレームで減衰される。インバータは、左右のアッパリンクと連結する第1サブフレームに支持されていてもよいし、左右に分割された左側第1フレームあるいは右側第1フレームに支持されていてもよい。
なお第1サブフレームの重量を大きくする手段は、インバータに限定されない。他の局面として第1サブフレームは、インホイールモータ駆動装置を転舵させるステアリング操舵装置を支持してもよい。
第1弾性部材の弾性係数は、車幅方向において均一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい。また車両前後方向において均一であってもよいし、あるいは異なっていてもよい。本発明の一局面として第1弾性部材は、インホイールモータ駆動装置の駆動時と制動時で弾性係数が異なる。かかる局面によれば、同一外力が第1弾性部材に入力されても、駆動時の外力と制動時の外力で外力たわみ特性を異ならせることができる。したがって例えば、駆動時には第1弾性部材を硬めに設定してサスペンション装置のアライメント変化を抑制する一方、制動時には第1弾性部材を柔らかめに設定して振動伝達を抑制するといったセッティングが可能になる。インホイールモータ駆動装置の駆動時と制動時で弾性係数が異なる構成として例えば、第1弾性部材の前側部分と後側部分の形状を異ならせる。形状を異ならせる具体例として、異なる断面形状の孔を設ける例や、凹部を不等間隔に設ける例がある。孔は例えばスグリ孔である。あるいは第1弾性部材の前側部分と後側部分の材質を異ならせる。
このように本発明によれば、インホイールモータ駆動装置および車輪の振動が、メインフレーム等の車体側メンバへ伝達し難くされるので、車室内の乗員の乗り心地が改良される。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態になるインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造を示す全体図であり車両前後方向にみた状態を表す。図2は、同実施形態を示す平面図である。図3は、同実施形態のサスペンション装置を示す模式図であり、車幅方向にみた状態を表す。車幅方向とは外側(アウトボード側)から内側(インボード側)までの方向をいい、電動車用の前進方向に対する左右方向である。以下の説明では、車両前後方向を単に前後方向という場合があり、車両前方を単に前方という場合があり、車両後方を単に後方という場合がある。本実施形態は、ロードホイールWと、タイヤTと、インホイールモータ駆動装置10と、サスペンション装置40と、第1サブフレーム60と、第2サブフレーム70と、車体のメインフレーム80を備える。
ロードホイールWはリム部およびスポーク部を備える公知のものであり、リム部の外周にタイヤTが装着される。タイヤTおよびロードホイールWは電動車両の車輪を構成する。リム部は、スポーク部の外周縁から車幅方向内側に立ち上がる。ロードホイールWは内空領域を区画する。
インホイールモータ駆動装置10は、ロードホイールWの内空領域に配置され、車輪ハブ軸受部とモータ部と減速部を有する。車輪ハブ軸受部は回転輪14を回転自在に支持する転がり軸受であり、車重等、タイヤTが負担する荷重を受け止める。回転輪14は車輪ハブ軸受部から車幅方向外側(アウトボード側)へ突出し、ロードホイールWのスポーク部が取付固定される。回転輪14の軸線は、ロードホイールWの車軸に沿って延びる。図1〜図3では、ロードホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10が直進方向を向いており、転舵していない。このとき回転輪14の軸線は、車幅方向と平行に延びる。ロードホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10が転舵する際、回転輪14の軸線は車幅方向に延びているが、転舵角を伴って傾斜する。車幅方向と平行に延びる回転輪14の軸線を基準線O´とする。
モータ部は電動モータであり、回転輪を駆動する。減速部はモータ部の出力回転を減速して回転輪に伝達する。
サスペンション装置40は、ストラット式サスペンション装置であり、ストラット41およびロアアーム48を有する。ストラット41は上下方向に延びるアッパリンクであり、ストラット下端42およびストラット上端43(アッパマウントともいう)を有する。ストラット下端42はインホイールモータ駆動装置10と結合し、ストラット上端43は第1サブフレーム60に取り付けられて、第1サブフレーム60の車幅方向端部を支持する。
第1サブフレーム60は、メインフレーム80の車幅方向一方から他方まで延びる枠状であり、メインフレーム80よりも上方に配置される。第1サブフレーム60は、インバータ90を支持する。インバータ90は図示しない電気ケーブルでインホイールモータ駆動装置10と電気的に接続する。
図示しない変形例として第1サブフレーム60は、ステアリング操舵装置を支持する。このステアリング操舵装置は、インホイールモータ駆動装置10と連結し、インホイールモータ駆動装置10を転舵軸線K回りに転舵させる。
第1サブフレーム60は、左前弾性ブッシュ61と、左後弾性ブッシュ62と、右前弾性ブッシュ63と、右後弾性ブッシュ64で、車体のメインフレーム80に連結される。これらの弾性ブッシュ61〜64は、第1サブフレーム60の車幅方向外側縁に設けられ、ゴム製等の第1弾性部材を含む。第1弾性部材については後で詳細に説明する。左前弾性ブッシュ61は、基準線O´およびストラット上端43よりも前方に配置される。左後弾性ブッシュ62は、基準線O´およびストラット上端43よりも後方に配置される。また弾性ブッシュ61,62は、ストラット上端43よりも車幅方向内側(インボード側)、かつ、ロアアーム48の車幅方向内側端48b,48cよりも外側(アウトボード側)に配置される。また弾性ブッシュ61,62は、メインフレーム80よりも上方、かつ、ストラット上端43よりも下方に配置される。
メインフレーム80の車幅方向中央を通り、車両前後方向に真っ直ぐに延びる基準線に関し、右前弾性ブッシュ63および右後弾性ブッシュ64は、左前弾性ブッシュ61および左後弾性ブッシュ62と左右対称に配置される。
ここで附言すると、左前弾性ブッシュ61および右後弾性ブッシュ64を通る直線と、左後弾性ブッシュ62および右前弾性ブッシュ63を通る直線の交点は、第1サブフレーム60の中心点を構成する。サスペンション装置40のアライメント変化を防止するには、第1サブフレーム60の中心点回りの回動を防止することが好ましい。
ストラット41は上下方向に伸縮するショックアブソーバであり、入れ子式のダンパ44と、ダンパ44の上端領域(ダンパ内筒)を包囲するコイルスプリング45を有する。コイルスプリング45の上端は、ストラット上端43(ダンパ内筒上端)に設けられるアッパコイルスプリングシート47を支持する。コイルスプリング45の下端はロアコイルスプリングシート46に支持される。ロアコイルスプリングシート46は、ストラット41の下端領域を占めるダンパ外筒44sに固定される。ダンパ外筒44sの下端はストラット下端42に相当する。
ストラット41は、ロードホイールWよりも車幅方向内側に配置される。またインホイールモータ駆動装置10からみて車幅方向内側に偏って配置される。ロアコイルスプリングシート46と、コイルスプリング45と、ダンパ44の上端領域と、アッパコイルスプリングシート47は、タイヤTよりも上方に配置される。
ロアアーム48は、車幅方向に延びるロアリンクであり、車幅方向外側端48aと車幅方向内側端48b,48cを有する。車幅方向外側端48aはボールジョイント49を介してインホイールモータ駆動装置10に連結される。インホイールモータ駆動装置10は、ストラット上端43とボールジョイント49を通る直線である転舵軸線Kを中心として、転舵可能である。なおボールジョイント49は、基準線O´よりも下方で、ロードホイールWの内空領域に配置される。
車幅方向内側端48b,48cは車両前後方向に離隔し、弾性ブッシュ51,52がそれぞれ設けられる。車幅方向内側端48bおよび弾性ブッシュ51は、基準線O´近傍、例えば基準線O´よりも僅かに後方、に配置される。車幅方向内側端48cおよび弾性ブッシュ52は、基準線O´よりも後方に離隔して配置される。
ロアアーム48は、ストラット41よりも下方に配置されることから、ロアリンクともいう。ロアアーム48は、弾性ブッシュ51,52を介して第2サブフレーム70の車幅方向端部に連結する。ロアアーム48は、車幅方向内側端48b,48cを基端とし、車幅方向外側端48aを遊端として、上下方向に揺動可能である。弾性ブッシュ51,52を通り車両前後方向に延びる直線は、ロアアーム48の揺動軸を構成する。
第2サブフレーム70は、メインフレーム80の車幅方向一方から他方まで延び、メインフレーム80よりも下方に配置される。つまり第2サブフレーム70は、第1サブフレーム60の直下に配置され、第1サブフレーム60と第2サブフレーム70の間にメインフレーム80が配置される。
第2サブフレーム70は、左前連結点71と、左後連結点72と、右前連結点73と、右後連結点74で、車体のメインフレーム80に連結される。これらの連結点は、第2サブフレーム70の車幅方向外側縁に設けられ、ゴム製等の第2弾性部材を含む。左前連結点71は、弾性ブッシュ61よりも後方かつ基準線O´よりも前方に配置される。左後連結点72は、基準線O´および弾性ブッシュ62よりも後方に配置される。また連結点71,72は、ストラット上端43よりも車幅方向内側(インボード側)、かつ、ロアアーム48の車幅方向内側端48b,48cよりも外側(アウトボード側)に配置される。また弾性ブッシュ61,62は、メインフレーム80よりも上方、かつ、ストラット上端43よりも下方に配置される。
メインフレーム80の車幅方向中央を通り車両前後方向に延びる直線を基準線として、右前連結点73および右後連結点74は、左前連結点71および左後連結点72と左右対称に配置される。メインフレーム80は第1サブフレーム60および第2サブフレーム70からみて車体側メンバである。車体側メンバとは説明する部材からみて車体側に連結される部材をいう。
図4は同実施形態の弾性ブッシュを示す横断面図である。図5は同実施形態の弾性ブッシュを示す縦断面図である。各弾性ブッシュ61〜64は、同じ構造であり、金属製の内筒65および外筒66と、円筒形状のゴム等の第1弾性部材67を有し、上下方向に延びる姿勢で第1サブフレーム60に取付固定される。外筒66は、第1弾性部材67の外周に固定される。外筒66の両端にはフランジがそれぞれ形成され、これらフランジ間に第1サブフレーム60を固定する。
内筒65は、第1弾性部材67の内周に固定される。内筒65の両端にはフランジがそれぞれ形成され、これらフランジ間に第1弾性部材67を固定する。内筒65の中心孔には下方からボルト81の軸部82が通される。軸部82は内筒65よりも下方で、メインフレーム80に形成される貫通孔84にも通される。軸部82の下端には頭部83が形成される。頭部83は、貫通孔84の内径よりも大きく、メインフレーム80に当接する。軸部82の上端は、内筒65から上方へ突出し、ナット68でねじ止めされる。かくして弾性ブッシュ61〜64は、第1サブフレーム60とメインフレーム80の間に介在するよう、ボルト81およびナット68で連結固定される。インホイールモータ駆動装置10からストラット41を経由して第1サブフレーム60に伝達する振動は、弾性ブッシュ61〜64の第1弾性部材67で減衰し、メインフレーム80に伝達し難くされる。
第1弾性部材67には、周方向0°および180°の位置に、スグリ孔69a,69bが形成される。スグリ孔69aは車両前方に配置され、スグリ孔69bは車両後方に配置される。前後方向にスグリ孔69a,69bを配置することにより、第1弾性部材67は、前後方向の弾性係数が車幅方向の弾性係数よりも小さくされる。換言すると、第1弾性部材67の車幅方向一方側部分および他方側部分は、スグリ孔が設けられず、肉厚にされることから、第1弾性部材67の車幅方向の弾性係数が前後方向の弾性係数よりも大きくされる。
本実施形態のスグリ孔69a,69bは、第1弾性部材67の周方向に長い長孔である。スグリ孔69aの径方向寸法は、スグリ孔69bの径方向寸法よりも大きい。つまりスグリ孔69aの断面積がスグリ孔69bの断面積よりも大きい。これにより、第1弾性部材67の前方部分が柔らかくなり後方部分が硬くなるので、第1弾性部材67の弾性係数を前方部分で小さく後方部分で大きくなるよう異ならせることができる。なお図示しない変形例としてスグリ孔69aの断面積とスグリ孔69bの断面積が等しくてもよい。
次に、本実施形態の作用を説明する。
本実施形態によれば、第1弾性部材67を含む弾性ブッシュ61〜64を介してメインフレーム80に固定される第1サブフレーム60と、第2弾性部材を含む連結点71〜74を介してメインフレーム80に固定される第2サブフレーム70と、一端がインホイールモータ駆動装置10と連結し、他端が第1サブフレーム60と連結する上側のストラット41と、一端がインホイールモータ駆動装置10と連結し、他端が第2サブフレーム70と連結する下側のロアアーム48とを備えることから、路面UからタイヤTに入力される振動およびインホイールモータ駆動装置10の振動が第1弾性部材67および第2弾性部材(連結点71〜74)で減衰され、メインフレーム80への振動伝達を軽減することができる。したがって、メインフレーム80に設けられる車室内の乗員において、乗り心地が改良される。
次に、スグリ孔69a,69bを有する弾性ブッシュ61〜64の作用を説明する。
まず図3を参照して、タイヤTの支持構造につき概略説明すると、タイヤTは最下部の接地点Tuで水平な路面Uに設置する。タイヤTは、図3で省略されるロードホイールおよびインホイールモータ駆動装置を介して、サスペンション装置に連結され、転舵軸線Kを中心として転舵する。サスペンション装置下部のボールジョイント49は、接地点Tuからみて前方に偏って位置する。サスペンション装置上部のストラット上端43は、接地点Tuよりも後方に位置する。転舵軸線Kは、ストラット上端43およびボールジョイント49を通る直線であり、キャスタ角を伴って傾斜する。
インホイールモータ駆動装置10が駆動して電動車両を加速させる場合、図3に示すように前向きの駆動力FdがタイヤTの接地点Tuに作用する。そうすると、ボールジョイント49に前向きの外力Ffが作用し、ストラット上端43に後向きの外力Fgが作用する。
外力Fgは第1サブフレーム60を後方へ押し、図6に示すように各弾性ブッシュ61〜64の第1弾性部材67を弾性変形させる。図6は同実施形態の弾性ブッシュを示す横断面図であり、図4に対応する。第1サブフレーム60が外筒66を後方へ押すことから、第1弾性部材67の前側部分は外筒66と内筒65に挟圧される圧縮領域になり、第1弾性部材67の後側部分は外筒66と内筒65に引き離される引張領域になる。
第1弾性部材67はスグリ孔69aが径方向に塞がれないほどの小さな外力Fgでは柔らかく、振動を減衰させる。これに対し、スグリ孔69aが径方向に塞がれるほどの大きな外力Fgで、第1弾性部材67は硬くなり、第1サブフレーム60の後方移動を抑制する。
反対に車輪を制動する場合、図示しない反対向き(前向き)の外力が第1サブフレーム60に作用し、第1弾性部材67が図4とは前後反対に弾性変形する。この場合も、スグリ孔69bが径方向に塞がれるか否かで第1弾性部材67の弾性係数が異なる。
このように本実施形態によれば、第1弾性部材67に設けられるスグリ孔69a,69bの断面形状が異なり、前後方向に離れていることから、車輪を駆動する場合と、制動する場合で、第1弾性部材67に作用する外力と第1サブフレーム67の弾性係数の関係(外力たわみ特性)が異なる。
駆動力Fdが小さい範囲では、弾性係数が小さく、車輪およびインホイールモータ駆動装置10の振動伝達を弾性ブッシュ61〜64で減衰させることができる。また駆動力Fdが大きい範囲では、第1サブフレーム60の前後方向移動が抑制されるので、サスペンション装置40のアライメント変化が抑制される。
さらに駆動力Fdが第1弾性部材67に作用する場合と、制動力−Fdが第1弾性部材67に作用する場合で、振動伝達の減衰性能を異ならせることができる。
また本実施形態によれば、メインフレーム80の車幅方向両側にサスペンション装置40,40がそれぞれ配置され、第1サブフレーム60がメインフレーム80の車幅方向一方から他方まで延び、第1サブフレーム60の車幅方向一方端は、一方のストラット41に支持され、第1サブフレーム60の車幅方向他方端は、他方のストラット41に支持される。これにより、第1サブフレーム60の中心点に関し、一方のストラット41から入力される前後方向の外力Fgのモーメントと、他方のストラット41から入力される前後方向の外力Fgのモーメントが相殺されるので、第1サブフレーム60の中心点回りの回動を防止することができる。
また本実施形態のアウトボード側部分に着目すると、弾性ブッシュ61,62が、ロアアーム48の車幅方向内側端48b,48cよりも外側(アウトボード側)に配置される。弾性ブッシュ63,64についても同様である。これにより、弾性ブッシュ61,62と弾性ブッシュ63,64の車幅方向距離を長くすることができ、第1サブフレーム60の安定性において有利である。
また本実施形態によれば、第1サブフレーム60がインバータ90を支持することから、インホイールモータ駆動装置10からメインフレーム80までの振動伝達経路をなす第1サブフレーム60の重量を増加させることができる。したがって振動伝達経路における振動伝達率が低減し、メインフレーム80の車室において静粛性が向上する。なお第1サブフレーム60は、他の装置、例えばステアリング操舵装置、を支持してもよい。
次に本発明の他の実施形態を説明する。図7は本発明の他の実施形態を示す全体図であり、車両前後方向にみた状態を表す。図8は、他の実施形態を示す平面図である。他の実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。他の実施形態では、第1サブフレーム60j,60kを備える。第1サブフレーム60j,60kは、前述した第1サブフレーム60を車幅方向一方側および他方側に分割したものであり、それぞれ枠状に構成される。第1サブフレーム60jは、メインフレーム80の車幅方向一方側に配置され、一方のストラット上端43に連結される。第1サブフレーム60kは、メインフレーム80の車幅方向他方側に配置され、他方のストラット上端43に連結される。
第1サブフレーム60jは、弾性ブッシュ61,62,61´,62´でメインフレーム80の車幅方向一方側に連結される。弾性ブッシュ61,62,61´,62´は第1サブフレーム60jの前後左右の角部にそれぞれ固定される。
第1サブフレーム60kは、弾性ブッシュ63,64,63´,64´でメインフレーム80の車幅方向他方側に連結される。弾性ブッシュ63,64,63´,64´は第1サブフレーム60kの前後左右の角部にそれぞれ固定される。
メインフレーム80の車幅方向中央を通り、車両前後方向に真っ直ぐに延びる基準線に関し、第1サブフレーム60jおよび第1サブフレーム60kは、左右対称に配置される。一方の第1サブフレーム60jにはインバータ90が取り付けられる。インバータ90は他方の第1サブフレーム60kから離隔し、一方の第1サブフレーム60jに支持される。
図7の実施形態によれば、前述した図1の実施形態と同様、インホイールモータ駆動装置10がサスペンション装置40によって第1サブフレーム60および第2サブフレーム70に連結され、メインフレーム80に直接連結されない。第1サブフレーム60とメインフレーム80の間に第1弾性部材67が介在し、第2サブフレーム70とメインフレーム80の間に連結点71〜74(第2弾性部材)が介在する。したがって車輪およびインホイールモータ駆動装置10の振動は、第1弾性部材67および第2弾性部材で減衰され、メインフレーム80へ伝達し難くされる。
また図7の実施形態によれば、車幅方向両側、つまり左右、のサスペンション構造を独立させることができる。また弾性ブッシュ61,62,61´,62´,63,64,63´,64´のうちの少なくとも1にスグリ孔を形成することにより、インホイールモータ駆動装置10の駆動時と制動時で第1弾性部材67の外力たわみ特性が異ならせることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
本発明は、電気自動車およびハイブリッド車両において有利に利用される。
10 インホイールモータ駆動装置、 14 回転輪、
40 サスペンション装置、 41 ストラット(アッパリンク)、
42 ストラット下端、 43 ストラット上端、 44 ダンパ、
45 コイルスプリング、 48 ロアアーム(ロアリンク)、
49 ボールジョイント、
51,52,61,62,63,64 弾性ブッシュ、
60 第1サブフレーム、 65 内筒、 66 外筒、
67 第1弾性部材、 68 ナット、 70 第2サブフレーム、
71,72,73,74 連結点(第2弾性部材)、
80 メインフレーム、 81 ボルト、 82 軸部、
83 頭部、 84 貫通孔、 90 インバータ、
Fd 駆動力、 Ff,Fg 外力、 K 転舵軸線、
O´ 基準線、 T タイヤ(車輪)、 Tu 接地点、 U 路面、
W ロードホイール(車輪)。
40 サスペンション装置、 41 ストラット(アッパリンク)、
42 ストラット下端、 43 ストラット上端、 44 ダンパ、
45 コイルスプリング、 48 ロアアーム(ロアリンク)、
49 ボールジョイント、
51,52,61,62,63,64 弾性ブッシュ、
60 第1サブフレーム、 65 内筒、 66 外筒、
67 第1弾性部材、 68 ナット、 70 第2サブフレーム、
71,72,73,74 連結点(第2弾性部材)、
80 メインフレーム、 81 ボルト、 82 軸部、
83 頭部、 84 貫通孔、 90 インバータ、
Fd 駆動力、 Ff,Fg 外力、 K 転舵軸線、
O´ 基準線、 T タイヤ(車輪)、 Tu 接地点、 U 路面、
W ロードホイール(車輪)。
Claims (5)
- 第1弾性部材を介して車体側メンバに固定される第1サブフレームと、
第2弾性部材を介して前記車体側メンバに固定される第2サブフレームと、
一端がインホイールモータ駆動装置の上部と連結し、他端が前記第1サブフレームと連結するアッパリンクと、
一端が前記インホイールモータ駆動装置の下部と連結し、他端が前記第2サブフレームと連結するロアリンクと、を備える、インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。 - 前記第1サブフレームは、前記車体側メンバの車幅方向一方側および他方側に分割配置される、請求項1に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
- 前記第1サブフレームは、前記インホイールモータ駆動装置と電気的に接続するインバータを支持する、請求項1または2に記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
- 前記第1サブフレームは、前記インホイールモータ駆動装置を転舵させるステアリング操舵装置を支持する、請求項1〜3のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
- 前記第1弾性部材は、前記インホイールモータ駆動装置の駆動時と制動時で、弾性係数が異なる、請求項1〜4のいずれかに記載のインホイールモータ駆動装置用サスペンション構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018204786A JP2020069890A (ja) | 2018-10-31 | 2018-10-31 | インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018204786A JP2020069890A (ja) | 2018-10-31 | 2018-10-31 | インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造 |
Publications (1)
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JP2020069890A true JP2020069890A (ja) | 2020-05-07 |
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JP2018204786A Pending JP2020069890A (ja) | 2018-10-31 | 2018-10-31 | インホイールモータ駆動装置用サスペンション構造 |
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- 2018-10-31 JP JP2018204786A patent/JP2020069890A/ja active Pending
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