JP2007040320A - 冷間鍛造傘歯車軸 - Google Patents
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Abstract
【課題】 傘歯車軸の軸受支持部の軸受による支持を良好なものとすることができると共にその支持強度を高める。
【解決手段】 冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、傘歯車部1と、該傘歯車部1のトー側に隣接するトー側軸受支持部2とを備えており、該トー側軸受支持部2は、傘歯車部2の歯底に沿って延びる歯底線L2−L2と交わることのできる大きさに形成される。
【選択図】 図2
【解決手段】 冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、傘歯車部1と、該傘歯車部1のトー側に隣接するトー側軸受支持部2とを備えており、該トー側軸受支持部2は、傘歯車部2の歯底に沿って延びる歯底線L2−L2と交わることのできる大きさに形成される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、冷間鍛造傘歯車軸、特に、車両の動力伝達系に用いて好適な冷間鍛造傘歯車軸に関する。
従来、シャフトドライブ式の動力伝達装置を備えた車両では、エンジンの動力を、プロペラシャフトおよび傘歯車伝動機構を介して車輪軸に伝達するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
特開2001−138763号公報
ところで、前記傘歯車伝動機構に用いられる傘歯車群のうち、プロペラシャフトにジョイントを介して連結される傘歯車軸は、傘歯車部の前、後部、すなわちそのトー側およびヒール側に隣接して軸受(ニードル軸受、ボール軸受)を支持する前後の軸部支持部が一体に設けられている。
ところが、このような傘歯車軸は、一般に、(1) 熱間鍛造により歯面を粗成形し、ついで、(2) その粗歯鍛造品をその軸方向両端よりチャッキングして機械切削により歯面の仕上げ加工を行なうようにしており、その仕上加工をするにあたっては、切削工具が、傘歯底の歯底にまで及ぶようにされているなるため、傘歯車部のトー側に隣接するトー側軸受支持部は、切削工具との干渉を避けるために、傘歯底の歯底線よりも径方向内側に位置するように、自ずから制約を受けることになり、該トー側軸受部は、所望の直径、長さに設計できないという課題がある。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、傘歯車を精密冷間鍛造により成形することにより、鍛造成形品の傘歯車部の後加工を不要にして前記制約を回避して、前記課題を解決できるようにした、新規な冷間鍛造傘歯車軸を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、傘歯車部と、該傘歯車部のトー側に隣接するトー側軸受支持部とを備えており、該トー側軸受支持部は、傘歯車部の歯底に沿って延びる歯底線と交わることのできる大きさに形成されていることを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、請求項2記載の発明は、冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、傘歯車部と、その傘歯車部のトー側に隣接するトー側軸受支持部と、その傘歯車部のヒール側に隣接するヒール側軸受支持部とを備えており、前記トー側軸受支持部は、傘歯車部の歯底に沿って延びる歯底線と交わることのできる大きさに形成され、また前記ヒール側軸受支持部の直径は、傘歯車部の歯底の最大径よりも大径に形成されていることを特徴としている。
さらに、上記目的を達成するために、請求項3記載の発明は、前記請求項1、または2記載のものにおいて、前記ヒール側軸受支持部には、延長軸部が一体に延設されており、該延長軸部の外端面の中心には、外方に向かって突出する加工用チャッキング凸部が一体に成形されるいることを特徴としている。
前記請求項各項記載の発明によれば、傘歯車軸の軸受支持部の軸受による支持を良好なものとすることができると共にその支持強度が高められる。
また、特に、請求項3記載の発明によれば、傘歯車軸の延長軸部の外端面と、そこに接続される他の部材との接触面積を小さくすることができ、傘歯車軸と他の部材間の摩擦抵抗を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
この実施例は、本発明傘歯車を、車両のシャフトドライブ式動力伝達装置の傘歯車軸に実施した場合であり、図1は、傘歯車軸の側面図、図2は、図1の2−2線に沿う断面図、図3は図2の3矢視図、図4は、傘歯車軸を用いた車両のシャフトドライブ式動力伝達装置の要部の断面図である。
図1,2において、全体を符号Bで示す傘歯車軸は、精密冷間鍛造により一体成形されるものであり、傘歯1tを有する傘歯車部1と、その傘歯車部1の前側、すなわちそのトー側に隣接するトー側軸受支持部2と、その後側、すなわちそのヒール側に隣接するヒール側軸受支持部3と、さらにそのヒール側軸受支持部3より軸方向後方に一体に延長される延長軸部4とを備えている。前記傘歯車部1とヒール側軸受支持部3との境界には、径方向外側に延びるフランジ部5が一体に成形されている。また、延長軸部4の途中に形成される径大部6には雄スプライン6sが成形されている。
図2には、傘歯車部1の傘歯1tのピッチ線L1−L1が1点鎖線にて、またその歯底線L2−L2が2点鎖線にてそれぞれ示されており、前記トー側軸受支持部2は、前記歯底線L2−L2と交わるように、すなわち、そのトー側軸受支持部2の少なくとも一部が歯底線L2−L2よりも径方向外側に位置するように成形されている。
また、図2に示すように、前記ヒール側軸受支持部3の直径D1は、傘歯車部1の歯底部の最大径D2よりも大径に成形される。
ところで、この実施例では、傘歯車軸Bは、精密冷間鍛造にて成形され、その傘歯車軸Bの傘歯1tの歯面は鍛造後の後加工(精密機械加工)が不要であることから、従来のような後加工のための工具を歯底線L2−L2にまで及ばせる必要がなく、これにより、トー側軸受支持部2は、歯底線L2−L2と交わることのできる大きさに冷間鍛造成形することが可能になる。
図2,3に示すように、トー側軸受支持部2の外端面には、その中心軸線上に加工チャッキング用の孔8およびこの孔8の中心に対して上下および左右に対称な十字状の位置決めマーク9(傘歯車部の傘歯の歯数が偶数の場合)とが、この傘歯車軸の冷間鍛造時に成形される。この位置決めマーク9は、傘歯車軸Bの冷間鍛造後に、これを後加工すべく精密加工機などにチャッキングする時に、確実に傘歯1tの位置を認識させるためのものであり、これにより、後加工時の誤加工を防止することができる。
なお、この位置決めマーク9は鍛造の直後に刻印するようにしてもよい。
図1,2に示すように、延長軸部4の外端面の中心軸線上には、加工チャッキング用の円錐状凸部10が、この傘歯車軸Bの冷間鍛造時に同時に成形される(従来の熱間鍛造では、精密成形が困難なため、加工チャッキング用の孔を後加工により形成)。
しかして、このチャッキング用の凸部10の尖端は、後の使用例で述べるように、傘歯車軸Bの後端に連接される他の部材(プロペラシャフト20)と接触されて、傘歯車軸Bと他の部材間の接触面積を小さくすることができ、それら間の摩擦抵抗を低減することができる。
つぎに、図4を参照して、前述のように冷間鍛造により成形された傘歯車軸Bを、車両のシャフトドライブ伝動装置に使用した使用例について説明する。
エンジンEに連なるプロペラシャフト20と、車輪Wに連なる車輪軸21とは傘歯車伝動機構22を介して連動連結される。傘歯車伝動機構22のギヤボックス23内には、本発明のかかる前記傘歯車軸Bが回転自在に支承されており、すなわち、該傘歯車軸Bのトー側軸受支持部2はニードル軸受24を介して、また、そのヒール側軸受支持部3はボール軸受25を介してギヤボックス23にそれぞれ回転自在に支承されている。また、傘歯車軸Bの延長軸部4の後端には、プロペラシャフト20の前端面が接続され、延長軸4とプロペラシャフト20とは、それらにそれぞれスプライン結合26,27される中空円筒状のジョイント28により連結される。そして、延長軸部4の後端面の円錐状凸部10の尖端は、プロペラシャフト20の前端面に形成した凹部20dに接触され、それら間の接触面積を小さくして接触摩擦抵抗を低減している。また、傘歯車軸Bの傘歯車部1には、ギヤボックス23にボール軸受30,31を介して回転自在に支承されて、車輪軸21に連結される大径のリング傘歯車29が噛合される。
エンジンEの駆動力は、プロペラシャフト20、本発明に係る傘歯車軸Bおよびリング傘歯車29を介して車輪軸21に伝達される。
なお、図4中、32は、プロペラシャフト20とジョイント28間の間隙をシールするゴムブーツ、33は、プロペラシャフト20とジョイント28間をシールするオイルシールである。
しかして、傘歯車軸Bの傘歯車部1に隣接する、トー側軸受支持部2は、傘歯車部1の歯底線L2−L2と交わることがで大きさに形成されるので、傘歯車軸Bのトー側軸受支持部2はギヤボックスギ23にニードル軸受24を介して確実に安定支持され、その軸受支持強度が高めれれる。
また、傘歯車軸Bの傘歯車部1に隣接する、ヒール側軸受支持部3の直径D1は、傘歯車部1の歯底部の最大径D2よりも大径に形成されるので、傘歯車軸Bのヒール側軸受支持部3もギヤボックスギ23にボール軸受25を介して確実に安定支持され、その軸受支持強度が高められる。
つぎに、図5を参照して、本発明の第1の変形例について説明するに、この第1の変形例は、トー側軸受支持部2が、前記実施例のものよりも軸方向に長く成形される。このトー側軸受支持部2も傘歯車部1の歯底線L2−L2と交わっており、このトー側軸受支持部102を軸方向に長くしてもその直径を大径に成形することができ、前記実施例と同じ作用効果を奏する。
図6には、本発明の第2の変型例が示される。この第2の変形例は、トー側軸受支持部2の外端面に形成される位置決めマーク9が、そのチャッキング用孔8に対して上下、左右対称な多角形(六角形)の凹部に形成され、傘歯車軸Bを後加工すべく、これを精密加工機にチャッキング保持する場合に、傘歯1tの歯数が偶数の場合の傘歯1tの位置を正確に認識することができる。後加工時に、誤って加工することが防止される。
なお、前記位置決めマーク9を、そのチャッキング凹部8に対して上下、左右非対称な多角形にすれば、傘歯1tの歯数が偶数あるいは奇数のいずれの場合にも傘歯1tの位置を正確に認識することができる。
図7には、本発明の第3の変型例が示される。この第3の変形例は、トー側軸受支持部2の外端面に形成される位置決めマーク9は、そのチャッキング用孔8に対して上下、左右非対称な位置に2つの円形凹部として形成され、傘歯車軸Bを後加工すべく、これを精密加工機にチャッキング保持する場合に、傘歯1tの歯数が偶数あるいは奇数のいずれの場合にも、傘歯1tの位置を正確に認識することができる。後加工時に、誤って加工することが防止される。
なお、前記第2、第3変型例のいずれの場合にも位置決めマークは、傘歯車軸Bの冷間鍛造時に、チャッキング用孔8と共に冷間鍛造型により精確に成形することができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
たとえば、前記実施例では、本発明にかかる傘歯車軸を、車両の動力伝達系に実施した場合について、これを他の傘歯車伝動系にも実施できることは勿論である。
1・・・・・・・傘歯車部
2;102・・・トー側軸受支持部
3・・・・・・・ヒール側軸受支持部
4・・・・・・・延長軸部
8・・・・・・・チャッキング用孔
9・・・・・・・位置決めマーク
10・・・・・・チャッキング凸部
D1・・・・・・ヒール側軸受支持部3の直径
D2・・・・・・傘歯車部1の歯底部に最大直径
L2−L2・・・傘歯車部1の歯底線
2;102・・・トー側軸受支持部
3・・・・・・・ヒール側軸受支持部
4・・・・・・・延長軸部
8・・・・・・・チャッキング用孔
9・・・・・・・位置決めマーク
10・・・・・・チャッキング凸部
D1・・・・・・ヒール側軸受支持部3の直径
D2・・・・・・傘歯車部1の歯底部に最大直径
L2−L2・・・傘歯車部1の歯底線
Claims (3)
- 冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、
傘歯車部(1)と、該傘歯車部(1)のトー側に隣接するトー側軸受支持部(2)とを備えており、該トー側軸受支持部(2)は、傘歯車部(1)の歯底に沿って延びる歯底線(L2−L2)と交わることのできる大きさに形成されていることを特徴とする、冷間鍛造傘歯車軸 - 冷間鍛造により成形される傘歯車軸であって、
傘歯車部(1)と、その傘歯車部(1)のトー側に隣接するトー側軸受支持部(2)と、その傘歯車部(1)のヒール側に隣接するヒール側軸受支持部(3)とを備えており、前記トー側軸受支持部(2)は、傘歯車部(1)の歯底に沿って延びる歯底線(L2−L2)と交わることのできる大きさに形成され、また前記ヒール側軸受支持部(3)の直径(D1)は傘歯車部(1)の歯底の最大径(D2)よりも大径に形成されていることを特徴とする、冷間鍛造傘歯車軸。 - 前記ヒール側軸受支持部(3)には、延長軸部(4)が一体に延設されており、該延長軸部(4)の外端面の中心には、外方に向かって突出する加工用チャッキング凸部(10)が一体に成形されるいることを特徴とする、前記請求項1または2記載の冷間鍛造傘歯車軸。
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