JP2009113183A - 雌スプライン加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特殊な保持装置を用いることなく、内周面の雌スプラインの位相と外周面との位相とを一致させることができる雌スプライン加工方法を提供する。
【解決手段】トルク伝達部材1の内周面のうち少なくとも軸方向一端に、ブローチ刃101を内周面の軸方向一端から挿入可能であり、ブローチ刃101が挿入された状態でブローチバイト100に対する相対回転が規制される案内溝13を形成する。その後、トルク伝達部材1をブローチバイト100に対して相対回転可能で且つトルク伝達部材1の軸方向一端側がブローチバイトの先端側を向くように配置した後に、ブローチバイト100をトルク伝達部材1に対して軸方向へ移動させて、ブローチ刃10を案内溝13に挿入することで、トルク伝達部材1とブローチバイト100との位相決めを行う。この状態で、ブローチバイト100をトルク伝達部材1に対してさらに軸方向へ移動させて、雌スプライン11aを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば等速ジョイントの内輪などのトルク伝達軸が挿通されるトルク伝達部材の内周面に形成する雌スプラインの加工方法に関するものである。
ボール形等速ジョイントやトリポード形等速ジョイントを構成する内輪は、外周面にボール溝やトリポード軸部が形成され、内周面に雌スプラインが形成されている。そして、内周面の雌スプラインの凹凸の位相と、外周面のボール溝やトリポード軸部の位相によっては、径方向の肉厚が変化する。そのため、製造される内輪の強度にばらつきが生じることがあった。
この問題を解決するために、例えば、特開2006−144973号公報(特許文献1)に製造方法が記載されている。この製造方法は、ブローチ加工により雌スプラインを形成する際に、ブローチバイトに対して内輪が、軸周りに相対回転することを規制し、且つ、軸直角方向に相対移動可能となるように、内輪を保持することが記載されている。これにより、内周面の位相と外周面の位相とを一致させることができるとされている。
特開2006−144973号公報
しかし、特許文献1に記載の製造方法では、内輪を保持する専用の装置が必要となり、高コスト化を招来する。そこで、本発明は、特許文献1に記載されている保持装置を用いることなく、トルク伝達部材の内周面の雌スプラインの位相とその外周面との位相とを一致させるように製造可能な雌スプライン加工方法を提供することを目的とする。
本発明の雌スプライン加工方法は、
外周面に径方向外方へ突出するブローチ刃を有するブローチバイトにより、トルク伝達軸が挿通されるトルク伝達部材の内周面に雌スプラインを形成する雌スプライン加工方法であって、
前記トルク伝達部材の内周面のうち少なくとも軸方向一端に、前記ブローチ刃を前記内周面の前記軸方向一端から挿入可能であり、前記ブローチ刃が挿入された状態で前記ブローチバイトに対する相対回転が規制される案内溝を形成する案内溝形成工程と、
前記案内溝形成工程の後に、前記トルク伝達部材を前記ブローチバイトに対して相対回転可能で且つ前記トルク伝達部材の前記軸方向一端側が前記ブローチバイトの先端側を向くように配置するトルク伝達部材配置工程と、
前記トルク伝達部材配置工程の後に、前記ブローチバイトを前記トルク伝達部材に対して軸方向へ移動させて、前記ブローチ刃を前記案内溝に挿入するトルク伝達部材位相決め工程と、
前記トルク伝達部材位相決め工程の後に、前記ブローチバイトを前記トルク伝達部材に対してさらに軸方向へ移動させて、前記雌スプラインを形成する雌スプライン形成工程と、
を備えることを特徴とする。
ここで、雌スプラインを形成する対象であるトルク伝達部材とは、ボール形等速ジョイントを構成する内輪、および、トリポード形等速ジョイントを構成するトリポード(「内輪」ともいう)などである。ボール形等速ジョイントを構成する内輪は、外周面にボール溝が形成され、内周面に雌スプラインが形成されている。トリポード形等速ジョイントを構成するトリポードは、外周面に3本のトリポード軸部が形成され、内周面に雌スプラインが形成されている。つまり、トルク伝達部材は、内周面に雌スプラインが形成されており、外周面が断面非円形からなる部材である。より具体的には、トルク伝達部材は、内周面の雌スプラインと外周面の位相によって、肉厚が異なる状態となり得る部材である。
そして、本発明によれば、トルク伝達部材に案内溝を形成することで、ブローチ刃がトルク伝達部材の内側に挿入される当初に、ブローチ刃の一部が案内溝に挿入されることで、ブローチ刃とトルク伝達部材との位相決めが行われる。仮に、ブローチ刃を案内溝に挿入する前の状態において、ブローチ刃の位相と案内溝の位相とがずれている場合に、ブローチ刃が案内溝に挿入されることで、トルク伝達部材がブローチバイトに対して相対回転して、両者の位相が所定の位相となる。このように、両者の位相が決められた状態で、ブローチバイトをトルク伝達部材に対してさらに軸方向へ移動させることで、外周面に対して所定の位相の雌スプラインが内周面に形成される。つまり、ブローチ加工を行う前に、予めトルク伝達部材に案内溝を形成しておくことで、トルク伝達部材の外周面と内周面の雌スプラインとの位相決めをすることができる。従って、特許文献1のような製造装置を用いることなく、低コストに雌スプラインの位相決めを行うことができる。
本発明の好適な態様において、前記案内溝の内周側の周方向開口幅は、前記軸方向一端から軸方向他端に向かって狭くなるように形成され、
前記案内溝の内周側のうち前記軸方向一端側における前記周方向開口幅は、前記ブローチ刃の周方向幅より大きく形成され、
前記案内溝の内周側のうち前記軸方向他端側における前記周方向開口幅は、前記ブローチ刃の周方向幅より小さく形成されている。
これにより、トルク伝達部材位相決め工程において、案内溝にブローチ刃を挿入した状態で、案内溝の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口の縁部が、ブローチ刃に当接しないようになる。つまり、案内溝の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口の縁部が、ブローチ加工されない。従って、当該縁部が、ブローチ加工による角状に加工されない。つまり、トルク伝達部材の雌スプラインの溝は、ブローチ加工される領域である直線状溝部と、ブローチ加工されない領域である拡開状溝部とにより構成されることになる。そして、相手部材であるトルク伝達軸における雄スプラインが、軸方向全長に亘って同一の幅で直線状に形成されているとすると、以下のような効果を奏する。すなわち、実際にトルク伝達部材が使用されて相手部材であるトルク伝達軸との間でトルク伝達される際に、拡開状溝部が形成される端部にトルク負荷が集中されることを防止できる。このことは、例えば、特開2003−307232号公報に記載されていることを共通する。この結果、トルク伝達部材の雌スプラインの端部における疲労強度不足の発生を解消できる。
さらに、案内溝の内周側のうち軸方向他端側における周方向開口幅が、ブローチ刃の周方向幅より小さく形成されているため、当該軸方向他端側部分は、必ずブローチ刃によりブローチ加工される部位となる。例えば、案内溝が、トルク伝達部材の軸方向中央付近まで形成されているとした場合には、案内溝の内周側のうち軸方向他端側とはトルク伝達部材の軸方向中央付近となる。つまり、トルク伝達部材の軸方向中央部に位置する可能性のある案内溝の内周側のうち軸方向他端側部分が、確実に、雌スプラインの歯面を形成することになる。従って、相手部材との間でトルク伝達が確実に且つ良好に行うようにできる。
また、本発明の好適な態様において、前記トルク伝達部材の軸中心から前記案内溝の溝底までの最大距離は、前記ブローチバイトの軸中心から前記ブローチ刃の外周縁までの最大距離より小さくされている。
これにより、案内溝の溝底部分は、全て、ブローチ刃によりブローチ加工されることになる。例えば、ブローチ加工後に案内溝の溝底部分が僅かに残る場合には、その残る部分を形成する部分が角状を形成し、実際にトルク伝達部材が使用されて相手部材との間でトルク伝達される際に応力集中するおそれがある。しかし、上記のように、案内溝の溝底部分が全てブローチ加工されることにより、角状に残る部分が存在しなくできる。従って、案内溝の溝底部分が角状に形成されることによる応力集中を回避できる。
また、本発明の他の好適な態様において、前記ブローチ刃は、前記ブローチバイトの先端側から根元側に向かって拡径している拡径刃を備え、
前記トルク伝達部材位相決め工程は、前記拡径刃が前記案内溝に挿入され、前記案内溝に前記拡径刃が当接する。
つまり、拡径刃は、ブローチバイトの先端側の突出量は少なく、根元側に行くに従って突出量が大きくなる。これにより、ブローチ刃の拡径刃がトルク伝達部材の内側に挿入される当初は、拡径刃の僅かな突出部分がトルク伝達部材の内側に挿入されることになる。そして、その突出量が徐々に大きくなるように変化する。従って、ブローチ刃の挿入当初に、案内溝からずれた位相に挿入されたとしても、ブローチ刃の拡径刃が案内溝に滑らかにガイドされる状態となる。従って、案内溝による位相決めが確実にできる。
また、本発明の他の好適な態様において、前記案内溝の溝周方向幅は、溝開口側から溝底に向かって狭くなるように形成されている。これにより、拡径刃の突出量が大きくなるに従って、拡径刃と案内溝との係合力が大きくなっていく。つまり、係合力が小さな状態において両者の位相がずれている場合であっても、徐々に係合力が大きくなる状態の両者の位相へ移動させる、いわゆる位相決めへのガイド機能を発揮する。従って、ブローチ刃の挿入当初に位相がずれている場合であっても、確実に位相決めができる。
また、本発明の他の好適な態様において、前記案内溝は、複数形成され、それぞれの前記案内溝は、それぞれの前記ブローチ刃を前記軸方向一端から挿入可能であり、それぞれの前記ブローチ刃が挿入された状態で前記ブローチバイトに対する相対回転を規制する。
ここで、上記の好適な態様とは異なる態様として、一つの案内溝が、複数のブローチ刃を挿入するようにもできる。この場合、それぞれの案内溝がそれぞれのブローチ刃を挿入する場合に比べて、トルク伝達部材の内周全体における案内溝の個数が少なくなる。両者の態様を比較した場合、それぞれの案内溝がそれぞれのブローチ刃を挿入する場合の方が、案内溝をそれほど高精度に加工しなくても、案内溝全体としての位相ばらつきが平準化されることで、個々の案内溝の加工精度ばらつきによる位相ばらつきを低減できる。
また、本発明の他の好適な態様において、前記案内溝形成工程は、前記トルク伝達部材の外周面または内周面を鍛造により成形する際に、同時に鍛造により前記案内溝を形成する。つまり、案内溝の形成をトルク伝達部材の他の部位の鍛造工程と同時に行うことで、高コスト化を防止できる。
また、本発明の好適な態様として、トルク伝達部材は等速ジョイントの内輪とする。ここで、等速ジョイントの内輪とは、ボール形等速ジョイントの内輪、および、トリポード形等速ジョイントのトリポードを含む意味である。このように、等速ジョイントの内輪に本発明の製造方法を適用することで、当該内輪を非常に低コストで大量生産可能とすることができる。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態においては、本発明におけるトルク伝達部材の一例として、トリポード形等速ジョイントを構成するトリポード1を例に挙げて説明する。
(トリポード1の形状説明およびその製造方法の概要説明)
まず、トリポード1の形状について説明し、その後に、このトリポード1の製造方法の概要について図1を参照して説明する。図1は、トリポード1の製造工程を示し、(a)(b)(c)の順に製造工程が進められる。(a1)(b1)(c1)は、トリポード1を軸方向から見た図であり、(a2)(b2)(c2)は、(a1)(b1)(c1)の軸方向断面図である。そして、図1(c1)(c2)に示すトリポード1は、最終形状である。
トリポード1は、図1(c1)(c2)に示すように、内周面に雌スプライン11aが形成された円筒状からなるボス部11と、ボス部11の外周面からそれぞれボス部11の径方向外方に延びるように立設された3本のトリポード軸部12とから構成される。3本のトリポード軸部12は、ボス部11の周方向に等間隔(120度間隔)に形成されている。また、ボス部11の内周には、外周面に雄スプラインが形成されたトルク伝達軸(図示せず)が挿通される。そして、ボス部11の雌スプライン11aとトルク伝達軸の雄スプラインがスプライン嵌合する。
このトリポード1は、まず、円柱状からなる鋼材の塊を閉塞鍛造により図1(a1)(a2)に示す形状を形成する(閉塞鍛造工程)。すなわち、図1(a1)(a2)に示すように、ボス部11の外側部分、および、各トリポード軸部12の粗形状が形成される。この時点において、ボス部11の中央部が貫通されておらず、当該中央部は両端面側に円形の凹部11b、11bが形成されている。
続いて、図1(b1)(b2)に示すように、鍛造加工により、ボス部11の貫通孔11cを形成する(鍛造加工工程)。つまり、このときには、ボス部11の内周面が、軸方向に亘って、ほぼ同径となる円筒状に形成されている。さらに、この鍛造加工工程において、後に詳述する案内溝13を、ボス部11の内周面のうち軸方向一端側に形成する(案内溝形成工程)。この案内溝13は、ブローチ加工に用いるブローチバイト100のブローチ刃101のうち拡径刃101aの一部が挿入可能であり、拡径刃101aが案内溝13に挿入された状態でトリポード1のブローチバイト100に対する相対回転が規制される溝である。なお、ブローチバイト100の詳細形状については、後述する。
続いて、図示しないが、ボス部11の端面および内周面を切削加工する。さらに、トリポード軸部12の外周面の切削加工も行う。ここで、ボス部11の内周面の半径はR2とされている。続いて、図1(c1)(c2)に示すように、これまで形成したトリポード1に対して、雌スプライン11aを形成するために、ブローチ加工を行う。このようにして、トリポード1を製造する。このブローチ加工工程について、案内溝13およびブローチバイト100の詳細を説明した後に説明する。
(案内溝13の詳細説明)
次に、案内溝13の詳細について、図2および図3を参照して説明する。図2(a)は、案内溝形成工程におけるトリポード1、すなわち、図1(b1)に示すトリポード1の軸方向から見た図の拡大図である。図2(b)は、図2(a)の軸方向断面図である。図3は、図2(a)のA方向から見た状態の拡大図である。
案内溝13は、上述したように、トリポード1のボス部11の内周面のうち軸方向一端に形成されている。この案内溝13は、形成される雌スプライン11aのそれぞれの凹部に対応する位置に、それぞれ形成されている。つまり、案内溝13は、形成される雌スプライン11aの凹部の個数と同数形成されている。
さらに、図2(a)に示すように、案内溝13は、軸方向から見た場合にほぼ三角形状に形成されている。つまり、案内溝13の溝周方向幅(図2(a)に示す幅)は、溝開口側(内周側)から溝底に向かって狭くなるように形成されている。さらに、この案内溝13は、軸方向一端(図2(a)の手前側、図2(b)の右側、図3の上側)から、ボス部11の軸方向中央よりも僅かに軸方向一端側寄りの位置まで形成されている。つまり、案内溝13の軸方向の奥行き量はD1であって、この奥行き量D1はボス部11の軸方向長さの半分よりも小さい。また、案内溝13の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口幅はW1である。
さらに、案内溝13の内周側の周方向開口幅は、図3に示すように、軸方向一端から軸方向他端に向かって狭くなるように形成されている。より詳細には、この案内溝13の内周側の周方向開口幅は、軸方向一端側の幅W1を底辺とし、奥行き量D1を高さとする二等辺三角形状をなしている。
さらに、案内溝13の溝底方向の溝深さは、軸方向一端を最大とし、軸方向他端側に行くに従って浅くなっている。つまり、トリポード1の軸中心から案内溝13の溝底までの距離は、軸方向一端の開口側から軸方向他端側に向って小さくなっている。そしで、トリポード1の軸中心から案内溝13の溝底までの最大距離、すなわち、案内溝13のうち軸方向一端の溝底までの距離はR1である。また、トリポード1の軸中心から案内溝13の溝底までの最小距離、すなわち、案内溝13のうち軸方向他端の溝底までの距離は、切削加工された貫通孔11cの半径と同一のR2である。
(ブローチバイト100の詳細説明)
次に、ブローチバイト100について図4を参照して説明する。図4(a)は、ブローチバイト100の軸直角方向から見た図である。図4(b)は、図4(a)のB方向から見た図である。なお、図4(a)においてブローチ刃101を分かりやすく示すため、図4(a)と図4(b)とは一致していない。図4(b)に示すブローチバイト100におけるブローチ刃101の個数は、図1および図2に示すトリポード1におけるスプライン11aの凹部の個数と一致させているが、図4(a)におけるブローチ刃101の個数は、これらに比べて非常に少なく表示している。
図4(a)(b)に示すように、ブローチバイト100は、外周面に径方向外方へ突出する複数のブローチ刃101を有する。つまり、このブローチ刃101が、雌スプライン11aのそれぞれの凹部を形成する部分となる。そして、ブローチバイト100は、その先端に芯決め用の円柱部102を有している。この円柱部102の外半径R3は、ボス部11の内径R2とほぼ同等もしくは内径R2より僅かに大きくされている。つまり、円柱部102がボス部11の貫通孔に挿入可能であることに加えて、トリポード1とブローチバイト100との芯決めが可能となる関係としている。
ブローチ刃101は、拡径刃101aと、最大刃101bとを備えている。拡径刃101aは、円柱部102からブローチバイト100の根元側に向かって、拡径している刃である。つまり、この拡径刃101aは、径方向外方への突出量が、ブローチバイト100の先端側から根元側に向かって徐々に大きくなるように形成されている。より具体的には、拡径刃101aは、直線のテーパ状に形成されている。さらに、拡径刃101aの周方向幅W2は、ブローチバイト100の軸方向に亘って同一幅としており、且つ、雌スプライン11aの凹部の周方向幅と同一である。そして、この拡径刃101aの周方向幅W2は、案内溝13の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口幅W1より僅かに小さくされている。また、案内溝13の内周側のうち軸方向他端側における周方向開口幅は、拡径刃101aの周方向幅W2より小さくされている。
最大刃101bは、拡径刃101aの根元側から、径方向外方への突出量が同一からなる刃である。つまり、この最大刃101bの転写した形状が、雌スプライン11aの凹部となる。そして、ブローチバイト100の軸中心から最大刃101bの外側端までの距離R4は、トリポード1の軸中心から案内溝13の溝底までの最大距離R1より僅かに大きくされている。さらに、最大刃101bの周方向幅は、拡径刃101aの周方向幅と同一幅である。
(ブローチ加工工程の詳細)
次に、ブローチ加工工程について、詳細に説明する。このブローチ加工工程とは、上述の「トリポード1の製造方法の概要説明」において記載したように、図1(c1)(c2)に示すように、トリポード1に対して雌スプライン11aをブローチ加工により形成する工程である。
まず、図1(b1)(b2)に示す状態におけるトリポード1をブローチ盤(例えば、特開2006−144973号公報に記載されている)のテーブル(図示せず)の上に配置する(トルク伝達部材配置工程)。このとき、トリポード1は、案内溝13がブローチバイト100の先端側に向くように、すなわち、案内溝13が上側を向くようにテーブル上に配置されている。さらに、トリポード1は、ブローチバイト100に対して相対回転可能となるように、テーブル上に配置されている。
続いて、ブローチバイト100をトリポード1に対して軸方向へ移動させて、ブローチバイト100の先端である円柱部102をトリポード1の貫通孔11cに挿入する。これにより、ブローチバイト100によるトリポード1の芯決めがされる。続いて、ブローチバイト100をトリポード1に対して軸方向へさらに移動させて、ブローチ刃101の拡径刃101aを案内溝13に挿入する。このとき、拡径刃101aの位相と案内溝13の位相が一致していれば、トリポード1はブローチバイト100に対して相対回転することなく、拡径刃101aが案内溝13に挿入される。一方、拡径刃101aの位相と案内溝13の位相がずれている場合には、拡径刃101aと案内溝13の位相が一致する状態となるように、トリポード1がブローチバイト100に対して相対回転する。これは、拡径刃101aがトリポード1に当接した状態において、ブローチバイト100が軸方向に移動する際にトリポード1とブローチバイト100にかかる力が小さくなる方向へ移動するためである。このように、拡径刃101aが案内溝13に挿入されて、ブローチバイト100とトリポード1との位相が決定される(トルク伝達部材位相決め工程)。
続いて、ブローチバイト100をトリポード1に対してさらに軸方向へ移動させて、ブローチ刃101の最大刃101bが完全にトリポード1の貫通孔11cを貫通させて、雌スプライン11aが形成される(雌スプライン形成工程)。
このように、トルク伝達部材位相決め工程において、トリポード1に案内溝13を形成することで、拡径刃101aがトリポード1の内側に挿入される当初に、拡径刃101aの一部が案内溝13に挿入されることで、ブローチバイト100とトリポード1との位相決めが行われる。このように、両者の位相が決められた状態で、ブローチバイト100をトリポード1に対してさらに軸方向へ移動させることで、トリポード1の外周面に対して所定の位相の雌スプライン11aを内周面に形成することができる。
また、案内溝13の溝周方向幅は、溝開口側(ボス部11の内周側)から溝底に向かって狭くなるように形成されている。これにより、拡径刃101aの突出量が大きくなるに従って、拡径刃101aと案内溝13との係合力が大きくなっていく。つまり、係合力が小さな状態において両者の位相がずれている場合であっても、徐々に係合力が大きくなる状態の両者の位相へ移動させる、いわゆる位相決めへのガイド機能を発揮する。このことからも、ブローチ刃101を案内溝13に挿入する当初に両者の位相がずれている場合であっても、確実に位相決めができる。
また、拡径刃101aおよび最大刃101bの周方向幅W2は、案内溝13の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口幅W1より小さく形成されている。従って、トルク伝達部材位相決め工程において、案内溝13に拡径刃101aを挿入した状態で、案内溝13の内周側のうち軸方向一端側における周方向開口の縁部が、拡径刃101aに当接しないようになる。さらに、その後のブローチ加工においても両者の位相が変化しないため、最大刃101bが案内溝13の軸方向一端側の周方向開口の縁部に当接しない。つまり、案内溝13の内周側のうち軸方向一端側の周方向開口の縁部が、ブローチ加工されないことになる。従って、当該縁部が、ブローチ加工による角状に加工されない。
つまり、トリポード1の雌スプライン11aの溝は、ブローチ加工される領域である直線状溝部と、ブローチ加工されない領域である拡開状溝部(案内溝13が残る部分)とにより構成されることになる。そして、相手部材であるトルク伝達軸における雄スプラインが、軸方向全長に亘って同一の幅で直線状に形成されているとすると、以下のような効果を奏する。すなわち、実際にトリポード1が使用されてトルク伝達軸との間でトルク伝達される際に、拡開状溝部が形成される端部にトルク負荷が集中されることを防止できる。この結果、トリポード1の雌スプライン11aの端部における疲労強度不足の発生を解消できる。
さらに、案内溝13の内周側のうち軸方向他端側における周方向開口幅が、ブローチ刃101の周方向幅W2より小さく形成されているため、当該軸方向他端側部分は、必ずブローチ刃101によりブローチ加工される部位となる。つまり、案内溝13のうち内周側のうち軸方向一端側の一部はブローチ加工されないようにするが、その他の部位はブローチ加工されるようにし、雌スプライン11aの歯面を形成している。従って、案内溝13が形成されていた部分のほとんどの領域においては、相手部材との間でトルク伝達が確実に且つ良好に行うようにできる。
また、トリポード1の軸中心から案内溝13の溝底までの最大距離R1は、ブローチバイト100の軸中心から最大刃101bの外周縁までの最大距離R4より小さくされている。これにより、案内溝13の溝底部分は、全て、ブローチ刃101によりブローチ加工されることになる。仮に、ブローチ加工後に案内溝13の溝底部分が僅かに残る場合には、その残る部分を形成する部分が角状を形成し、実際にトリポード1が使用されて相手部材との間でトルク伝達される際に応力集中するおそれがある。しかし、本実施形態のように、案内溝13の溝底部分が全てブローチ加工されることにより、角状に残る部分が存在しなくできる。従って、案内溝13の溝底部分が角状に形成されることによる応力集中を回避できる。
また、ブローチバイト100が拡径刃101aを備え、この拡径刃101aが最初に案内溝13に当接するようにしている。これにより、ブローチ刃101の拡径刃101aがトリポード1の内側に挿入される当初は、拡径刃101aの僅かな突出部分がトリポード1の内側に挿入されることになる。そして、その突出量が徐々に大きくなるように変化する。従って、ブローチ刃101の挿入当初に、案内溝13からずれた位相に挿入されたとしても、ブローチ刃101の拡径刃101aが案内溝13に滑らかにガイドされる状態となる。従って、案内溝13による位相決めが確実にできる。
なお、上記実施形態においては、案内溝13の個数が、ブローチバイト100のブローチ刃101の個数と同数とした。つまり、それぞれのブローチ刃101がそれぞれの案内溝13に挿入されるようにした。この他に、一つの案内溝13に、複数のブローチ刃が挿入されるようにすることもできる。例えば、一つの案内溝13の周方向幅が、連続する3個のブローチ刃101の周方向幅と同程度となるようにする等である。この場合、それぞれの案内溝13がそれぞれのブローチ刃101を挿入する場合に比べて、トリポード1の内周全体における案内溝13の個数が少なくなる。両者の態様を比較した場合、それぞれの案内溝13がそれぞれのブローチ刃101を挿入する場合の方が、案内溝13をそれほど高精度に加工しなくても、案内溝13全体としての位相ばらつきが平準化されることで、個々の案内溝13の加工精度ばらつきによる位相ばらつきを低減できる。
また、上記実施形態においては、案内溝13を鍛造加工工程において同時に形成した。この他に、閉塞鍛造工程において、案内溝13を同時形成するようにすることも可能である。もちろん、鍛造加工工程および閉塞鍛造工程とは別工程として、案内溝形成工程を設けることもできる。ただし、鍛造加工工程または閉塞鍛造工程と同時に、案内溝形成工程を行うことで、製造工程が増加しないため、低コスト化を図ることができる。
トリポード1の製造工程を示す図である。 (a)案内溝形成工程におけるトリポード1の軸方向から見た図の拡大図である。(b)図2(a)の軸方向断面図である。 図2(a)のA方向から見た状態の拡大図である。 (a)ブローチバイト100の軸直角方向から見た図である。(b)図4(a)のB方向から見た図である。
符号の説明
1:トリポード
11:ボス部、 11a:雌スプライン、 11b:凹部、 11c:貫通孔
12:トリポード軸部、 13:案内溝
100:ブローチバイト、 101:ブローチ刃
101a:拡径刃、 101b:最大刃
102:円柱部

Claims (8)

  1. 外周面に径方向外方へ突出するブローチ刃を有するブローチバイトにより、トルク伝達軸が挿通されるトルク伝達部材の内周面に雌スプラインを形成する雌スプライン加工方法であって、
    前記トルク伝達部材の内周面のうち少なくとも軸方向一端に、前記ブローチ刃を前記内周面の前記軸方向一端から挿入可能であり、前記ブローチ刃が挿入された状態で前記ブローチバイトに対する相対回転が規制される案内溝を形成する案内溝形成工程と、
    前記案内溝形成工程の後に、前記トルク伝達部材を前記ブローチバイトに対して相対回転可能で且つ前記トルク伝達部材の前記軸方向一端側が前記ブローチバイトの先端側を向くように配置するトルク伝達部材配置工程と、
    前記トルク伝達部材配置工程の後に、前記ブローチバイトを前記トルク伝達部材に対して軸方向へ移動させて、前記ブローチ刃を前記案内溝に挿入するトルク伝達部材位相決め工程と、
    前記トルク伝達部材位相決め工程の後に、前記ブローチバイトを前記トルク伝達部材に対してさらに軸方向へ移動させて、前記雌スプラインを形成する雌スプライン形成工程と、
    を備えることを特徴とする雌スプライン加工方法。
  2. 前記案内溝の内周側の周方向開口幅は、前記軸方向一端から軸方向他端に向かって狭くなるように形成され、
    前記案内溝の内周側のうち前記軸方向一端側における前記周方向開口幅は、前記ブローチ刃の周方向幅より大きく形成され、
    前記案内溝の内周側のうち前記軸方向他端側における前記周方向開口幅は、前記ブローチ刃の周方向幅より小さく形成されている請求項1に記載の雌スプライン加工方法。
  3. 前記トルク伝達部材の軸中心から前記案内溝の溝底までの最大距離は、前記ブローチバイトの軸中心から前記ブローチ刃の外周縁までの最大距離より小さくされている請求項1または2に記載の雌スプライン加工方法。
  4. 前記ブローチ刃は、前記ブローチバイトの先端側から根元側に向かって拡径している拡径刃を備え、
    前記トルク伝達部材位相決め工程は、前記拡径刃が前記案内溝に挿入され、前記案内溝に前記拡径刃が当接する請求項1〜3の何れか一項に記載の雌スプライン加工方法。
  5. 前記案内溝の溝周方向幅は、溝開口側から溝底に向かって狭くなるように形成されている請求項4に記載の雌スプライン加工方法。
  6. 前記案内溝は、複数形成され、
    それぞれの前記案内溝は、それぞれの前記ブローチ刃を前記軸方向一端から挿入可能であり、それぞれの前記ブローチ刃が挿入された状態で前記ブローチバイトに対する相対回転を規制する請求項1〜5の何れか一項に記載の雌スプライン加工方法。
  7. 前記案内溝形成工程は、前記トルク伝達部材の外周面または内周面を鍛造により成形する際に、同時に鍛造により前記案内溝を形成する請求項1〜6の何れか一項に記載の雌スプライン加工方法。
  8. 前記トルク伝達部材は等速ジョイントの内輪である請求項1〜7の何れか一項に記載の雌スプライン加工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011173464A (ja) * 2010-02-23 2011-09-08 Jtekt Corp スプライン伸縮軸の製造方法、スプライン伸縮軸及び車両操舵用伸縮軸
CN104942378A (zh) * 2015-07-08 2015-09-30 荆州荆龙汽车零部件科技有限公司 小模数盲孔内花键加工刀具装置及加工方法

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